JP2019066810A - 前置レンズ装置及び眼科用顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、特に、2つ以上の前置レンズを入れ替えることができる機構を備えた前置レンズ装置、及び当該前置レンズ装置を有する眼科用顕微鏡に関する。
眼科用顕微鏡には、前眼部(例えば角膜、前嚢、強膜等)を観察する機能と、後眼部(例えば網膜)を観察する機能とを備えるものがある。この種の眼科用顕微鏡では、対物レンズと被検眼の間の観察光学系の光路上に前置レンズを挿脱して、前眼部観察と後眼部観察とを切り替えることができる。
一方、後眼部観察に際しては図12(B)に示すように、対物レンズ13と被検眼11との間の距離H2´をより長く設定し、前側焦点位置U0と被検眼11との間に前置レンズ6を配置する。前置レンズ6は、観察光学系の光を平行光として被検眼の水晶体11bに導き、水晶体11bを介して網膜11aに焦点を結ぶように配置される。前置レンズ6の焦点距離をF2とすると、典型的には、H2´≒F1+2×F2である。
例えば、前置レンズを保持アームによって保持し、旋回軸を中心に保持アームを旋回させることにより、前置レンズを観察光学系の光路上に挿入し、また離脱させることができる前置レンズ装置が開発されている(特許文献1[0027]〜[0032])。保持アームには、さらにルーペ保持機構を設けることができ、ルーペを観察光学系の光路上に挿脱して、被検眼における焦点位置を調整することもできる(特許文献1[0071]〜[0077])。
また、眼科用顕微鏡の観察光学系の光軸に対して傾いた回転軸を中心に回転するレンズ受け部に、屈曲したレンズホルダを介して、2つの前置レンズを取り付けたリボルバ方式の前置レンズ装置が開発されている。この前置レンズ装置は、観察光学系の光路上で、2つの前置レンズを入れ替えることができる(特許文献2[0120])。
しかしながら、眼科用顕微鏡を手術に用いる際には、執刀医のみならず、助手等が共同で患者の被検眼の手術を行うため、被検眼の近くで作業する執刀医と助手等の手に接触することなく、かつ眼科用顕微鏡の観察視野内に入ることのないように、2種類の前置レンズを配置しなければならないという問題があった。
特に、特許文献2に記載のリボルバ方式の前置レンズ装置のように、観察光学系の光軸に対して、相当に傾斜した回転軸を中心にレンズ受け部を回転させる方式では、3つ以上の前置レンズを取り付けた場合には、使用していない前置レンズも眼科用顕微鏡の観察視野内に入ってしまう恐れがあるものであった。
また、特許文献2に記載のリボルバ方式の前置レンズ装置は、前置レンズの入れ替えはすべて手動で行う必要があり、観察光学系の光軸上に前置レンズを正確に合わせるのは容易でなく、特に前眼部(例えば角膜、前嚢、強膜等)と後眼部(例えば網膜)を交互に見たい場合は、手術中の時間ロスが発生するものであった。
(1) 第1の発明は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡に用いる前置レンズ装置において、
前記観察光学系の光軸と略平行な回転軸を中心に回転する前置レンズ支持体と、前記前置レンズ支持体を回転させる駆動部と、前記前置レンズ支持体に取り付けた少なくとも2つの前置レンズとを有し、
前記前置レンズ支持体を回転させることにより、前記観察光学系の光路上に挿入される前置レンズを入れ替えることができることを特徴とする前置レンズ装置に関する。
(2) 第1の発明の前置レンズ装置においては、前記前置レンズ支持体上に、回転対称となるように、3又は4個の前記前置レンズが取り付けられていることが好ましい。
(3) 前記いずれかの前置レンズ装置においては、前記前置レンズが、それぞれ前記眼科用顕微鏡の対物レンズとの距離が異なるように、前記レンズ支持体に取り付けられていることが好ましい。
(4) 前記(3)の場合には、前記前置レンズが、焦点距離の短いものほど被検眼側に取り付けられていることが好ましい。
(5) 前記(4)の場合には、少なくとも2つの前記前置レンズについて、前記前置レンズの焦点距離の長さの違いの分だけ前記観察光学系の光軸方向の位置をずらして、前記前置レンズを配置することが好ましい。
(6) 第2の発明は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡において、前記いずれかの前置レンズ装置を有することを特徴とする眼科用顕微鏡に関する。
(7) 第2の発明の眼科用顕微鏡においては、前記観察光学系の光軸上に挿脱可能で、前記観察光学系の対物レンズよりも被検眼側にある焦点位置を調整するために使用する対物補助レンズを有することが好ましい。
(8) 前記(7)の眼科用顕微鏡においては、前記対物補助レンズが、マイナスのパワーを有するレンズであることが好ましい。
(9) 前記(7)又は(8)の眼科用顕微鏡においては、前記前置レンズの挿入又は離脱に連動して、前記対物補助レンズを挿入又は離脱する切り替え機構を有することが好ましい。
(10) 前記(7)〜(9)のいずれかの眼科用顕微鏡においては、前記前置レンズの数がn個(n≧2)である場合に、少なくともn個の対物補助レンズを有することが好ましい。
本発明の前置レンズ装置は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡に用いる前置レンズ装置に関するものであり、
前記観察光学系の光軸と略平行な回転軸を中心に回転する前置レンズ支持体と、前記前置レンズ支持体に取り付けた少なくとも2つの前置レンズとを有し、
前記前置レンズ支持体を回転させることにより、前記観察光学系の光路上に挿入される前置レンズを入れ替えることができることを特徴とする。
そして、本発明の前置レンズ装置は、前置レンズ支持体に少なくとも2つの前置レンズを取り付けることにより、2つ以上の前置レンズを入れ替え可能に配置することができる。
さらに、本発明の前置レンズ装置は、前置レンズ支持体の回転を、手動ではなく駆動部により行うため、観察光学系の光軸上に前置レンズを正確に配置することが容易となる。
本発明において、「回転軸」とは、回転軸となる軸状の部材が存在していてもよいが、実際には軸状の部材がなくとも、回転の中心となる観念的な軸が存在すればよい。
以下、本発明の実施形態の1つの例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び2は、本発明の第1の実施形態を模式的に示す図面である。
図1は、本発明の第1の実施形態の前置レンズ装置及び眼科用顕微鏡の斜視図を示す。
図2は、本発明の第1の実施形態の前置レンズ装置で使用される前置レンズ支持体の平面図を示す。
図1に示されるように、前置レンズ装置1は、回転アーム4と、回転アーム4を中心に回転する前置レンズ支持体5と、前置レンズ支持体5に回転対称となるように取り付けられた3つの前置レンズ601,602,603を有している。
第1の実施形態では、回転アーム4が、前置レンズ支持体5の回転軸と一致するものとなっている。
前置レンズ601は、屈折力が40D(ディオプター)の凸レンズであり、前置レンズ602は、屈折力が80Dの凸レンズであり、前置レンズ603は、屈折力が120Dの凸レンズである。
前置レンズ支持体5は、観察光学系の光軸O−300と略平行な回転アーム4を中心に回転する。すなわち、前置レンズ支持体5の回転軸は、観察光学系の光軸O−300と略平行になっている。このため、図1に示すように、使用していない前置レンズ602,603が、観察光学系の光軸O−300から十分に離れるため、眼科用顕微鏡の観察視野内に入る恐れがない。また、前置レンズ支持体5は、コンパクトな形状とすることができるため、被検眼の近くで作業する執刀医や助手等の手に接触してしまう恐れが小さいものである。
また、前置レンズ支持体5を駆動モータ1001により回転させるため、観察光学系の光軸O−300上に前置レンズ601,602,603を正確に配置することが容易である。
さらに、前置レンズ支持体5の回転軸は、観察光学系の光軸O−300と略平行になっているため、図1に示すように、回転軸となる回転アーム4を長くして、回転軸を回転させる駆動部となる駆動モータ1001を、作業空間から離れた鏡筒14の近くに配置することが可能となる。
支持ブラケット1004は、連結アーム1006を介して、前置レンズ位置調整装置1007と連結している。前置レンズ位置調整装置1007は、連結アーム1006を観察光学系の光軸方向に上下に駆動することにより、前置レンズの上下の位置を制御する。
前置レンズ装置1は、眼科用顕微鏡本体12に取り付けられている。前置レンズ装置1は、眼科用顕微鏡本体12に容易に着脱可能となるように、図示しないアタッチメント部を介して取り付けることもできる。
眼科用顕微鏡2は、眼科用顕微鏡本体12と前置レンズ装置1を含んで構成されている。
眼科用顕微鏡本体12には、観察光学系のレンズ等の光学素子を収納する鏡筒14があり、鏡筒14の最も被検眼11側には、対物レンズ13が設置されている。
前置レンズ位置調整装置1007は、観察光学系の光路上に挿入された前置レンズの焦点距離に応じて、前置レンズと対物レンズ13との間の距離を調整するために用いることができる。
図2(A)は、図1に示した前置レンズ支持体と同一の前置レンズ支持体の平面図を示す。
図2(A)に示されるように、前置レンズ支持体5は、回転軸4に対して回転対称(3回対称)となるように、3つの前置レンズ601,602,603を保持しており、前置レンズ支持体5と3つの前置レンズは一体化している。前置レンズ支持体5は、回転軸4の部分において、螺合等により回転アームと連結することが可能である。
前置レンズ支持体5を、回転軸4を中心に回転させることにより、観察光学系の光路を透過する前置レンズを入れ替えることができる。
前置レンズ支持枠511,512は、それぞれ前置レンズ601,602を保持する環状の枠体部分と、棒状の軸体部分とを有する。ジョイント部521は、前置レンズ支持枠の軸体部分を挿入できる仕口を2個有しており、2個の前置レンズ支持枠を、回転対称(2回対称)となるように連結することが可能である。したがって、屈折力がそれぞれ異なる任意の2つの前置レンズをジョイント部521に連結して、任意の前置レンズのセットを有する前置レンズ支持体を得ることができる。図2(B)において符号4で示す部分が、前置レンズ支持体の回転軸となる部分であり、この部分において、螺合等により回転アームと連結することが可能である。
前置レンズ支持体を、回転軸4を中心に回転させることにより、観察光学系の光路を透過する前置レンズを入れ替えることができる。また、観察光学系の光路が2つの前置レンズの間に位置するように回転することにより、前置レンズを観察光学系の光路から簡便に離脱させることも可能である。
前置レンズ支持枠511,512,513,514は、それぞれ前置レンズ601,602,603,604を保持する環状の枠体部分と、棒状の軸体部分とを有する。ジョイント部522は、前置レンズ支持枠の軸体部分を挿入できる仕口を4個有しており、4個の前置レンズ支持枠を連結することが可能である。
前置レンズ支持体を、回転軸4を中心に回転させることにより、観察光学系の光路を透過する前置レンズを入れ替えることができる。
前置レンズ支持枠は回転対称(4回対称)となるようにジョイント部に連結しているため、いずれの前置レンズが観察光学系の光路上にある場合でも、前置レンズの左右に作業空間を確保することができる。
前置レンズ支持体5を、回転軸4を中心に回転させることにより、観察光学系の光路を透過する前置レンズを入れ替えることができる。
前置レンズを回転対称となるように配置するためには、例えば、図2(D)に示す前置レンズ支持体のように、正n角形を前置レンズ支持体の形状のベースとし、各辺に前置レンズを保持する枠を設けることで、前置レンズを回転対称に配置することができる。この場合において、正n角形の全ての辺に前置レンズを保持する枠を設けた場合には、回転軸に対してn回対称となるように前置レンズを配置することができる。また、正n角形の一部の辺に前置レンズを保持する枠を設けることよっても回転対称とすることができ、例えば、正六角形の6つの辺のうち、1つおきに、3つの辺に前置レンズを保持する枠を設けることで、回転軸に対して3回対称となるように3つの前置レンズを配置することもできる。
各前置レンズは、それぞれ屈折力が異なり、その焦点距離も異なっている。焦点距離は屈折力(ディオプター)の逆数として求めることができ、例えば、屈折力が40Dの前置レンズの屈折力は、1/40=0.025mであり、屈折力が80Dの前置レンズの屈折力は、1/80=0.0125mであり、屈折力が大きくなるほど焦点距離が短くなる。
したがって、前置レンズの焦点距離に応じて、観察光学系の光路上に挿入された時における対物レンズとの距離が異なるように、前置レンズを配置することが好ましい。
特に、少なくとも2つの前置レンズについて、前置レンズの焦点距離の長さの違いの分だけ観察光学系の光軸方向の位置をずらして、前置レンズを配置することが好ましい。
以下、対物レンズとの距離がそれぞれ異なるように、各前置レンズを配置した実施形態の一つの例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態の前置レンズ装置及び眼科用顕微鏡を模式的に示す斜視図である。
図3に示されるように、前置レンズ装置1は、回転アーム4と、回転アーム4を中心に回転する前置レンズ支持体5と、回転軸に対して回転対称となるように前置レンズ支持体5に取り付けられた3つの前置レンズ601,602,603を有している。
3つの前置レンズ601,602,603は、対物レンズ13との距離がそれぞれ異なるように、前置レンズ支持体5によって保持されている。
これらの前置レンズのうち、前置レンズ601が最も屈折力が小さいことから焦点距離が最も長い。このため、前置レンズ601は、被検眼11との距離が前置レンズ601の焦点距離に近いものとなるように、最も対物レンズ13側に保持されている。一方、前置レンズ603は最も屈折力が大きいことから焦点距離が最も短い。このため、前置レンズ603は、被検眼11との距離が前置レンズ603の焦点距離に近いものとなるように、最も被検眼11側に保持されている。前置レンズ602は、前置レンズ601と前置レンズ603の間の位置に保持されている。
このため、前置レンズ支持体5を回転させて、前置レンズを入れ替えた場合でも、前置レンズと被検眼との距離は、前置レンズの焦点距離に近い状態を維持することができるため、前置レンズの位置調整は、微調整のみで済むこととなる。
前置レンズの位置の微調整は、前置レンズ位置調整装置1007によって行うことができる。
本発明の眼科用顕微鏡は、被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡であり、眼科用顕微鏡本体に加えて、前記1.に記載した前置レンズ装置を有することを特徴とする。
本発明において「眼科用顕微鏡」とは、被検眼を拡大して観察することを可能とする光学素子を含む観察光学系を有する医療用又は検査用の機器をいい、ヒト用のみならず動物用のものも含む。「眼科用顕微鏡」には、これらに限定されるわけではないが、例えば、眼底カメラ、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡等が含まれる。
本発明における「観察光学系」は、左眼用観察光学系と右眼用観察光学系とに分けて構成することができ、左右の観察光学系により得られる像に視差を生じさせた場合には、双眼視により立体的に観察することも可能となる。
本発明における「観察光学系」は、接眼レンズ等を通じて観察者が直接被検眼を観察できるものであってもよく、また、撮像素子等により受光して画像化することにより観察できるものであってもよく、あるいは、両方の機能を備えるものであってもよい。
眼科用顕微鏡本体と前置レンズ装置とは一体化していてもよく、また、眼科用顕微鏡本体に、アタッチメント部を介して、前置レンズ装置を容易に着脱可能とできるものであってもよい。
図4は、前置レンズを挿脱して前眼部観察と後眼部観察を切り替えた時の、対物レンズと被検眼との距離の関係を示す模式図である。
前眼部観察に際しては、図4(A)に示すように、観察光学系の対物レンズ13よりも被検眼11側にある焦点位置(前側焦点位置)U0に、被検眼11の前眼部が位置するように、対物レンズ13と被検眼11の間の距離H2を設定する。観察光学系の対物レンズ13からの焦点距離をF1とすると、H2=F1となる。
一方、後眼部観察に際しては図4(B)に示すように、対物レンズ13と被検眼11との間の距離H2´をより長く設定し、前側焦点位置U0と被検眼11との間に前置レンズ6を配置する。前置レンズ6は、観察光学系の光を平行光として被検眼の水晶体11bに導き、水晶体11bを介して網膜11aに焦点を結ぶように配置される。前置レンズ6の焦点距離をF2とすると、典型的には、H2´≒F1+2×F2である。
そこで、前眼部観察を行う際には、図4(C)に示すように、前置レンズを光路から離脱させるとともに、凹レンズからなる対物補助レンズ17を光路上に挿入することにより、焦点距離を長くしてH2´に一致させる。そして、後眼部観察を行う際には、図4(B)に示されるように、対物補助レンズ17を光路から離脱させるとともに、前置レンズ6を光路上に挿入する。このように対物補助レンズ17を用いることで、前眼部観察と後眼部観察のいずれを行う場合でも対物レンズ13と被検眼11との間の距離はH2´となり、眼科用顕微鏡本体を上下に移動させる必要がなくなる。
ここで、対物補助レンズは、焦点距離を長くすることができるマイナスのパワーを有するレンズであることが好ましい。マイナスのパワーを有するレンズは、通常、凹レンズとも呼ばれるレンズである。
また、本発明の眼科用顕微鏡においては、前置レンズの挿入又は離脱に連動して、対物補助レンズを自動的に挿入又は離脱させることができる切り替え機構を有することが好ましい。
図5(A)は、後眼部観察にあたり、前置レンズ6を光路上に挿入した状態を示す図であり、図4(B)と同じ位置関係となっている。図5(A)では、対物レンズ13と前置レンズ6との間の距離をH1´で示している。また、前置レンズ6の屈折力はDである。
一方、図5(B)は、同じ後眼部観察において、前置レンズ6を、屈折力のより大きな前置レンズ6´´に入れ替えた状態を示している。前置レンズ6´´の屈折力はD´´である。
したがって、前置レンズを入れ替えた場合には、対物レンズと前置レンズの間の距離を調整する必要があるのと同時に、眼科用顕微鏡本体を上下に移動させて、対物レンズと被検眼の間の距離も調整する必要がある。
ただし、対物レンズ13と前置レンズの間の距離は、前置レンズ6を用いる場合にはH1´とし、前置レンズ6´´を用いた場合にはH1´´´となるように調整する必要がある。ここで、前記のとおり、前置レンズを、それぞれ対物レンズとの距離が異なるように前置レンズ支持体に取り付けることにより、前置レンズの入れ替えに伴う前置レンズの位置の調整も不要とすることが可能である。
したがって、本発明の眼科用顕微鏡においては、少なくとも3つの前置レンズを入れ替えて使用するにあたり、焦点距離の調整を行うための対物補助レンズを少なくとも3つ有することが好ましい。また、前置レンズをn個(n≧3)有する場合には、n個以上の対物補助レンズを有することが好ましい。
そして、前置レンズ装置においては、前置レンズの焦点距離の長さの違いの分だけ、観察光学系の光軸方向の位置をずらして、各前置レンズを配置することが好ましい。
以下、前置レンズ装置と対物補助レンズを使用する本発明の眼科用顕微鏡の実施形態の1つの例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図6〜11は、本発明の第3の実施形態を模式的に示す図面である。
図6は、眼科用顕微鏡2の側面模式図であり、図7は同じく正面模式図であり、それぞれ被検眼11の前眼部(例えば角膜、前嚢、強膜等)を観察する様子を示している。また、図8(A)に、図6及び図7の眼科用顕微鏡の観察光学系300(対物補助レンズが対物レンズの被検眼側に設けられる観察光学系)の模式図を示す。
図6に示すように、眼科用顕微鏡2は、観察光学系300のほか照明光学系1800(図7には示していない)を備えている。
観察光学系300は、観察対象(図6及び図7では被検眼11)を観察することができる。図6に参照されるように、照明光学系1800は、被検眼11の観察すべき部分を照明することができる。
図6及び図7では、観察光学系は、被検眼11よりも手前に前側焦点位置U0を有している。
図7において、前置レンズ6は1つだけ図示しているが、実際には、前置レンズ装置により少なくとも3つの前置レンズが入れ替え可能に保持されている。
また、図7に明示されるように、右眼用観察光学系300Rの光軸O−300Rと左眼用観察光学系300Lの光軸O−300Lは、それぞれ対物レンズ13を通過している。
本実施形態では、照明光学系1800と、観察光学系300は、眼科用顕微鏡本体12に収納されている。図6及び図7においては、眼科用顕微鏡本体12を一点鎖線で示す。
図6に示されるように照明光源19は、本実施形態では眼科用顕微鏡本体12の外部に設けられている。照明光源19には光ファイバ1801の一端が接続されている。光ファイバ1801の他端は、眼科用顕微鏡本体12の出射光絞り1802に臨む位置に配置されている。照明光源19から出射された照明光は、光ファイバ1801により導光され、出射光絞り1802を介してコンデンサレンズ1803に入射する。
出射光絞り1802は、光ファイバ1801の出射口の一部領域を遮断するように作用する。出射光絞り1802による遮断領域が変更されると、照明光の出射領域が変更される。それにより、照明光による照射角度、つまり被検眼11に対する照明光の入射方向と対物レンズ13の光軸とがなす角度を変更することができる。
被検眼11に照射された照明光は、網膜の組織で反射・散乱される。その反射・散乱した戻り光(「観察光」とも呼ばれる)は、対物レンズ13を透過して、観察光学系300に入射する。
図6及び図7に示されるように、変倍レンズ系301(レンズ301a,301b,301c)、ビームスプリッタ302(テレビカメラ表示用の画像情報を取得するためのビームスプリッタ)、結像レンズ303、像正立プリズム304、眼幅調整プリズム305、視野絞り306、及び接眼レンズ307を含んで構成されている。観察光学系300の光軸を、O−300で示す。
右眼用観察光学系300R,左眼用観察光学系300Lは、光路から挿脱可能に構成されたステレオバリエータを含んで構成されてもよい。ステレオバリエータは、左右の変倍レンズ系301によってそれぞれ案内される左右の観察光学系の光軸O−300L,O−300Rの相対的位置を変更するための光軸位置変更素子である。ステレオバリエータは、例えば、観察光路に対して観察者側に設けられた退避位置に退避される。
対物補助レンズ17は、前側焦点位置U0と対物レンズ13との間の対物レンズ13寄りの位置にセットされ、又は当該位置からリリースできる。対物補助レンズ17は、セットしたときの合焦点が被検眼の前眼部位置である第1の焦点(U1)となるように選ばれている。
なお、図8(A)では、被検眼11の前眼部を観察する際の観察光学系において対物補助レンズ17が対物レンズ13の被検眼11側に設けられる場合を示している。本発明では、図8(B)に示すように、対物補助レンズ17を対物レンズ13の被検眼11側とは反対側に設け被検眼11の前眼部を観察することもできる。
図9及び図10において、前置レンズ6は、前側焦点位置U0よりも被検眼11側の位置にセットされており、セットされたときの被検眼11の水晶体を介した焦点(第2の焦点U2)は、被検眼11の網膜の位置(後眼部位置)に設定されている。また、対物補助レンズ17は、観察光学系の光路上からリリースされている。
なお、対物補助レンズ17を対物レンズ13の被検眼11側とは反対側に設けた場合にも(図8(B)参照)、被検眼11の後眼部を観察するときには、図11(B)に示すように対物補助レンズ17をリリースする必要がある。
2 :眼科用顕微鏡
300 :観察光学系
300R :右眼用観察光学系
300L :左眼用観察光学系
301 :変倍レンズ系
302 :ビームスプリッタ
303 :結像レンズ系
304 :像正立プリズム
305 :眼幅調整プリズム
306 :視野絞り
307 :接眼レンズ
4 :回転アーム,回転軸
5 :前置レンズ支持体
511〜514 :前置レンズ支持枠
521,522 :ジョイント部
601〜606 :前置レンズ
1001 :駆動モータ
1002 :支持アーム
1003 :旋回軸
1004 :支持ブラケット
1005 :旋回レバー
1006 :連結アーム
1007 :前置レンズ位置調整機構
11 :被検眼
11a :網膜
11b :水晶体
12 :眼科用顕微鏡本体
13 :対物レンズ
14 :鏡筒
15 :インバータ部
16 :切り替えレバー
17,17´´´:対物補助レンズ
1800 :照明光学系
1801 :光ファイバ
1802 :出射光絞り
1803 :コンデンサレンズ
1804 :照明野絞り
1805 :コリメートレンズ
1806 :反射ミラー
19 :照明光源
2000 :撮影光学系
2001 :結像レンズ
2002 :反射ミラー
2003 :テレビカメラ
F1,F1´,F1´´´ :対物レンズからの焦点距離
F2,F2´´ :前置レンズの焦点距離
H1´,H1´´,H1´´´ :対物レンズと前置レンズとの距離
H2,H2´,H2´´ :対物レンズと被検眼との距離
O−300 :観察光学系の光軸
O−300R :右眼用観察光学系の光軸
O−300L :左眼用観察光学系の光軸
O−1800 :照明光学系の光軸
U0 :前側焦点位置
U1 :第1の焦点
U2 :第2の焦点
Claims (10)
- 被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡に用いる前置レンズ装置において、
前記観察光学系の光軸と略平行な回転軸を中心に回転する前置レンズ支持体と、前記前置レンズ支持体を回転させる駆動部と、前記前置レンズ支持体に取り付けた少なくとも2つの前置レンズとを有し、
前記前置レンズ支持体を回転させることにより、前記観察光学系の光路上に挿入される前置レンズを入れ替えることができる
ことを特徴とする前置レンズ装置。 - 前記前置レンズ支持体上に、回転対称となるように、3又は4個の前記前置レンズが取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の前置レンズ装置。
- 前記前置レンズが、それぞれ前記眼科用顕微鏡の対物レンズとの距離が異なるように、前記レンズ支持体に取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の前置レンズ装置。
- 前記前置レンズが、焦点距離の短いものほど被検眼側に取り付けられていることを特徴とする、請求項3に記載の前置レンズ装置。
- 少なくとも2つの前記前置レンズについて、前記前置レンズの焦点距離の長さの違いの分だけ前記観察光学系の光軸方向の位置をずらして、前記前置レンズを配置することを特徴とする、請求項4に記載の前置レンズ装置。
- 被検眼を観察する観察光学系を有する眼科用顕微鏡において、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の前置レンズ装置を有することを特徴とする眼科用顕微鏡。 - 前記観察光学系の光軸上に挿脱可能で、前記観察光学系の対物レンズよりも被検眼側にある焦点位置を調整するために使用する対物補助レンズを有することを特徴とする、請求項6に記載の眼科用顕微鏡。
- 前記対物補助レンズが、マイナスのパワーを有するレンズであることを特徴とする、請求項7に記載の眼科用顕微鏡。
- 前記前置レンズの挿入又は離脱に連動して、前記対物補助レンズを挿入又は離脱する切り替え機構を有することを特徴とする、請求項7又は8に記載の眼科用顕微鏡。
- 前記前置レンズの数がn個(n≧2)である場合に、少なくともn個の対物補助レンズを有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
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