JPH1110851A - インク組成物 - Google Patents

インク組成物

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JPH1110851A
JPH1110851A JP16623797A JP16623797A JPH1110851A JP H1110851 A JPH1110851 A JP H1110851A JP 16623797 A JP16623797 A JP 16623797A JP 16623797 A JP16623797 A JP 16623797A JP H1110851 A JPH1110851 A JP H1110851A
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ink
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jet recording
plastic
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JP16623797A
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Hiroko Hayashi
広 子 林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック材料を用いたインクジェット記
録装置にあってプラスチック材料を劣化させないインク
組成物の提供。 【解決手段】 インクジェット記録装置におけるプラス
チックの材料劣化の原因の1つがインク組成物中の遊離
のアンモニア濃度にあることが見出された。よって、イ
ンク供給系および/またはインクジェット記録ヘッド中
においてインク組成物がプラスチックと接触するインク
ジェット記録装置において、遊離のアンモニア濃度が2
000ppm以下のインク組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、プラスチックが用いられたインク流路または
インクジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録
装置に用いられるインク組成物に関する。
【0002】背景技術 インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔
させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法
である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高
品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有す
る。通常インクジェット記録に使用されるインク組成物
は、水を主成分とし、これに着色成分である染料または
顔料と、目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤
とを含有したものが一般的である。
【0003】インクジェット記録の要求特性として、普
通紙にきれいに印刷でき速く乾燥すること、さらにカラ
ー印刷の際には相互の色がにじみ出さないこと(カラー
ブリードが良好なこと)、また印刷物が乾燥後、水に触
れても容易に再溶解しないものであること、さらには室
内外に放置しておいても変退色しないものであることな
どが挙げられる。
【0004】上記の要求特性うちの印刷画像の耐水性を
得るために、着色成分である染料または顔料をアンモニ
ウム塩にすることが行われている。一般的に着色剤のア
ンモニウム塩は、たとえば染料の場合、酸析した染料の
ウェットケーキにアンモニアを加えて溶解させ、適当な
染料濃度の水溶液として製造される。その際アンモニア
は弱アルカリであるためpHを指標にしても中和点が十
分管理できず、また当量を算出してアンモニアを添加し
ても染料の製造時の品質のばらつきにより精確な当量と
はならない場合がある。さらにアンモニアは揮発性のア
ルカリであるため、実際のアンモニア添加量は当量より
もある程度多めにされる場合が多く、その超過量を定め
る指標も明確ではないのが実状である。ここで、加剰な
アンモニアは、アンモニウム塩にはならず遊離のアンモ
ニアとして存在することとなる。また、アンモニアは弱
アルカリであるため、インク組成物とされた後も、その
添加量のバラツキがインク物性に大きな変化を与えない
と考えられていた。よって、インク組成物中のアンモニ
ア量は、従来、管理された状態で使用されているとは言
い難いといえる。
【0005】一方、インクジェット記録装置において、
インクタンクおよびインク流路を含むインク供給系なら
びにインクジェット記録ヘッドにはプラスチック材料が
広く用いられている。また、インクジェット記録ヘッド
を構成するにあたり、接着剤が用いられることがある。
【0006】このようなプラスチック材料を用いたイン
クジェット記録装置にあっては、インク組成物によると
思われる材料劣化が観察されることがある。このような
材料劣化は、装置の信頼性を損ない、耐用期間を縮めて
しまう。
【0007】
【発明の概要】本発明者らは、今般、インクジェット記
録装置におけるプラスチックの材料劣化の原因の1つが
インク組成物中の遊離のアンモニア濃度にあるとの知見
を得た。具体的には、遊離のアンモニア濃度が2000
ppm以下とすることで、プラスチックの材料劣化が顕
著に抑制されるとの知見を得た。本発明はかかる知見に
基づくものである。
【0008】よって、本発明はプラスチック材料を用い
たインクジェット記録装置にあってプラスチック材料を
劣化させないインク組成物の提供をその目的としてい
る。
【0009】そして、本発明によるインク組成物は、イ
ンク供給系および/またはインクジェット記録ヘッド中
においてインク組成物がプラスチックと接触するインク
ジェット記録装置に用いられるインク組成物であって、
遊離のアンモニア濃度が2000ppm以下であるもの
である。
【0010】
【発明の具体的説明】インク組成物 本発明によるインク組成物は、その遊離のアンモニア濃
度が2000ppm以下のものであり、好ましくは10
00ppm以下であり、より好ましくは500ppm以
下である。
【0011】遊離のアンモニア濃度は、インク中におい
てアンモニウムイオンとの平衡状態にあり、その平衡の
偏りによって、すなわちインク組成物のpHによって変
化するものである。本発明において、上記遊離のアンモ
ニア濃度は、そのインク組成物が利用される際、すなわ
ちインクジェット記録装置内にある時の濃度を意味す
る。一般に、インクジェット記録用インク組成物はその
pHが8.5〜10.5範囲で利用されることが多いこ
とから、本発明によるインク組成物はpHは8.5〜1
0.5の範囲で、遊離のアンモニア濃度が上記値である
ことが好ましい。より好ましくはpH8.5〜9.5の
範囲である。
【0012】本発明によるインク組成物においてアンモ
ニアの供給源は、インク組成物を構成する成分のいずれ
かであってアンモニウム塩の形態であるものであるのが
一般的である。そして、さらに具体的には、アンモニウ
ム塩の形態にある成分は、着色剤としての染料または顔
料である。
【0013】遊離のアンモニア量の制御は、着色剤のア
ンモニウム塩の調製の際、過剰量のアンモニアが存在し
ないようにアンモニア添加量を制御することで効率よく
実施できる。また、着色剤のアンモニア塩以外に由来す
るアンモニアについては、インク組成物を製造する際
に、環流管をつけた加熱攪拌を行い、アンモニアを揮発
させる方法や、減圧脱気することにより、制御すること
ができる。
【0014】本発明によるインク組成物は、インク供給
系および/またはインクジェット記録ヘッド中における
プラスチックを劣化させない。ここで、インク供給系と
は、インクタンクおよびこのインクタンクから記録ヘッ
ドにインクを供給するインク流路を含む意味に用いるこ
ととする。また、インクジェット記録ヘッド中のプラス
チックとは、記録ヘッドを構成する部材を接着させる接
着剤をも含む意味に用いることとする。また、プラスチ
ック材料の劣化とは、プラスチック材料の強度低下のみ
ならず、その表面からのプラスチックの溶出による質量
減少をも含む意味に用いることとする。
【0015】本発明によるインク組成物がその劣化を生
じさせないプラスチックの例としては、例えば比重が
1.4以下のものが挙げられる。そのようなプラスチッ
クの具体例としては、ポリエチレン(比重0.91〜
0.965)、ポリプロピレン(比重0.90〜0.9
1)、ポリスチレン(比重1.04〜1.09)、ナイ
ロン(比重1.12〜1.14)、ポリカーボネート
(比重1.2)、ポリエチレンテレフタレート(PET
P)、(比重1.37〜1.38)、ブチルゴム(比重
0.91〜0.93)、ウレタンゴム(比重1.00〜
1.30)、シリコーンゴム(比重0.95〜0.9
8)、エチレンプロピレンゴム(比重0.86〜0.8
7)などが挙げられる。
【0016】さらに、本発明によるインク組成物がその
劣化を生じさせない接着剤の例としては、乾燥後の比重
が1.4以下のものが挙げられ、その具体例としてはウ
レタン系接着剤、オレフィン系接着剤、エポキシ系接着
剤、およびシリコン系接着剤からなる群から選択される
ものが挙げられる。
【0017】本発明においてインク組成物とは、モノク
ロ印字を行う場合にはブラックインク組成物を意味し、
さらにカラー印字を行う場合にはカラーインク組成物、
具体的にはイエローインク組成物、マゼンタインク組成
物、およびシアンインク組成物、更に場合によってブラ
ックインク組成物を意味するものとする。
【0018】本発明において用いられるインク組成物
は、少なくとも着色剤と水とを含んでなる。
【0019】本発明において用いられるインク組成物に
含まれる着色剤としては、染料、顔料のいずれであって
もよいが、インク組成物の不溶化あるいは増粘等の作用
によって、インク中の着色成分の浸透を抑制する場合
は、水性媒体中に溶解している染料よりも分散している
顔料の方が有利である。
【0020】染料としては、直接染料、酸性染料、食用
染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、
可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェッ
ト記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0021】顔料としては、特別な制限なしに無機顔
料、有機顔料を使用することができる。無機顔料として
は、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、フ
ァーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造
されたカーボンブラックを使用することができる。ま
た、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性
アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含
む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリ
レン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナク
リドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イ
ソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キ
レート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キ
レートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブ
ラックなどを使用できる。
【0022】本発明の好ましい態様によれば、これらの
顔料は、分散剤または界面活性剤で水性媒体中に分散さ
せて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが
好ましい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製
するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を
使用することができる。
【0023】分散剤または界面活性剤の好ましい例とし
ては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸
−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸
エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエ
ステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチ
レン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−
アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタ
クリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチ
レン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチ
レン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合
体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニ
ル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチ
レン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合
体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−ア
クリル酸共重合体が挙げられる。
【0024】分散剤の添加量は、顔料を安定に分散さ
せ、本発明による他の効果を失わない範囲で適宜添加さ
れて良い。本発明の好ましい態様によれば、その使用量
は顔料:分散剤として1:0.06〜1:3程度の範囲
が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3程
度の範囲である。
【0025】インクへの染料の添加量は、0.5〜15
重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜10重量%
程度であり、また顔料の添加量は、0.5〜15重量%
程度が好ましく、より好ましくは1.5〜8重量%程度
である。
【0026】本発明によるインク組成物は主溶媒として
水を含んでなり、この水は、イオン交換水、限外濾過
水、逆浸透水、蒸留水などの純水や超純水が好ましい。
また、インクを長期間にわたって保存する場合には、カ
ビやバクテリアなどの発生を防ぐ目的で、紫外線照射処
理、過酸化水素処理などにより滅菌した水を用いること
が好ましい。
【0027】本発明によるインク組成物は、さらにノズ
ル孔の目詰まり性、保湿性、保存安定性を向上する目的
で、保湿剤を含むことができる。
【0028】保湿剤としては、水に可溶で高沸点・低揮
発性である水溶性有機溶剤が好ましく、具体的には、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブ
タンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5ーペン
タンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メ
チル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、1,
2,6−ヘキサントリオールなどのアルコール類、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n
−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−
ブチルエーテルなどのエーテル類、アセトニルアセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン類、γ−ブチロラ
クトン、ジアセチン、炭酸エチレン、リン酸トリエチル
などのエステル類、ホルムアミド、ジメチルホルムアミ
ド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2
−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどの窒素
化合物類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3
−プロパンスルトンなどの硫黄化合物類、乳酸アミド、
アセトアミド、N−メチルアセトアミド、カルバミン酸
メチル、カルバミン酸エチル、ε−カプロラクタム、γ
−バレロラクタム、α-ピリドン、イサチンなどのカル
ボン酸アミド類、グルコノラクトンなどのラクトン類の
カルボン酸誘導体、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル
−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル
−1−プロパノール、テレフタル酸ビス(ヒドロキシエ
チル)、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミ
ン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、没
食子酸エチル、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)
−1,3−プロパンジオール、無水グルタル酸、グリコ
ールアミド、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,
3−プロパンジオール、イミダゾール、2−イミダゾリ
ジノン、ニコチンアミド、1,1’,1’’−ニトロト
リ−2−プロパノール、コハク酸イミド、1,2,3,
6−テトラヒドロフタルイミド、N,N,N’,N’−
テトラキス(2ーヒドロキシエチル)エチレンジアミ
ン、N,N,N’,N’−テトラキス(2ーヒドロキシ
プロピル)エチレンジアミン、チオ尿素、2,2,4−
トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メトキシ
エタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシ
メトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノー
ル、2−ブトキシエタノール、2−イソペンチルオキシ
エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフル
フリルアルコール、ジエチレングリコール、エチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ト
リエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル、テトラエチレングリコール、プロピレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、モノエ
タノールアミン、チオジグリコール、モルホリン、N−
エチルモルホリン、2−メトキシエチルアセテート、ジ
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ヘ
キサメチルホスホルアミドなどの多官能基化合物類が挙
げられる。これら水溶性有機溶剤は、一種類または必要
に応じて二種類以上添加することができる。またインク
への添加量は、2〜40重量%程度が好ましい。
【0029】また、本発明の好ましい態様によれば、画
像形成速度を向上する目的で、インクの乾燥を速める作
用を持つ高揮発性の水溶性有機溶剤を添加することがで
きる。このような有機溶剤としては、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブ
タノール、イソブタノール、2−ブタノール、2−メチ
ル−2−プロパノールなどの一価アルコールが好まし
い。これら有機溶剤は、一種類または必要に応じて二種
類以上添加することができる。またインクへの添加量
は、0.5〜5重量%程度が好ましい。
【0030】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よるインク組成物は、金属水酸化物を含むことが好まし
い。この金属水酸化物の添加によって、ノズルにおいて
インク組成物が乾燥して目詰まりを生じてしまうことを
有効に防止することができる。金属水酸化物の好ましい
具体例としては、1価の金属水酸化物であり、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げ
られる。その添加量は0.05〜0.5重量%程度が好
ましく、より好ましくは0.1〜0.3重量%程度であ
る。
【0031】本発明の好ましい態様によれば、本発明に
よるインク組成物は、有機アミンを含むことが好まし
い。この有機アミンの添加によって、ノズルにおいてイ
ンク組成物が乾燥して目詰まりを生じてしまうことを有
効に防止することができる。有機アミンの好ましい具体
例としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。添加量は
0.1〜5重量%程度が好ましく、より好ましくは0.
5〜3重量%程度である。
【0032】さらに本発明の好ましい態様によれば、本
発明によるインク組成物は、多価アルコール誘導体を含
んでなるのが好ましい。この多価アルコール誘導体の添
加によって、モノクロ印刷における印字品質を速乾性の
改良、カラー印刷においてはカラーブリードの発生を抑
制できる利点が得られる。多価アルコール誘導体の好ま
しい具体例としては、ジエチレングリコールモノブチル
エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル
などが挙げられる。添加量は3〜15重量%程度が好ま
しく、より好ましくは5〜10重量%程度である。
【0033】さらに本発明の好ましい態様によれば、本
発明によるインク組成物は、アセチレングリコール系界
面活性剤をさらに含んでなるのが好ましい。このアセチ
レングリコールの添加によって、モノクロ印刷における
さらなる印字品質の向上、またカラー印刷においてはカ
ラーブリードの発生をさらに抑えるのような利点が得ら
れる。アセチレングリコール系界面活性剤の好ましい具
体例としては、アセチレングリコールおよびアセチレン
グリコールのエチレンオキサイド付加物が挙げられ、さ
らに具体的にはオルフィンE1010、オルフィンST
G(日信化学工業(株))などが挙げられる。添加量は
0.1〜3重量%程度が好ましく、より好ましくは0.
5〜2重量%程度である。
【0034】本発明によるインク組成物は、それに含ま
れる遊離のアンモニア量を制御する工程を含む以外は、
常法に従って実施することができる。具体的には、着色
剤が水溶性の染料である場合、インク組成物の成分を十
分混合し、その後、ノズル孔の目詰まりの原因となる粗
大粒子や異物を取り除くために、金属フィルターやメン
ブランフィルターなどを用いた濾過操作または遠心分離
操作を行い、製造することができる。また、着色剤が顔
料または非水溶性の染料である場合、顔料、分散剤、お
よび水、さらには場合によって他の成分との混合物を、
ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、
アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミ
ル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル
などの分散機を用いて混合分散し、さらに他の成分を適
宜添加し、その後、ノズル孔の目詰まりの原因となる粗
大粒子や異物を取り除くために、金属フィルターやメン
ブランフィルターなどを用いた濾過操作または遠心分離
操作を行い、製造することができる。
【0035】上記のように、遊離のアンモニア量の制御
は、着色剤のアンモニウム塩の調製の際、過剰量のアン
モニアが存在しないようにアンモニア添加量を制御する
ことで効率よく実施できる。また、着色剤のアンモニア
塩以外に由来するアンモニアについては、インク組成物
を製造する際に、環流管をつけた加熱攪拌を行い、アン
モニアを揮発させる方法や、減圧脱気することにより、
制御することができる。
【0036】
【実施例】インク組成物の調製 次の表に記載の組成を有する実施例1〜13ならびに比
較例1および2のインク組成物を常法に従って製造し
た。実施例に示すインクについては、加熱攪拌または減
圧脱気を行うことにより、そのアンモニア濃度を調整し
た。
【0037】遊離のアンモニア濃度の測定 インク組成物中の遊離のアンモニア濃度は、オリオン社
製、イオンメーターModel 290Aにより、アン
モニア電極を用いて測定した。具体的には、まず、既知
の濃度のアンモニア水(100ppm、1000pp
m、および5000ppm)を調製し、検量線を作成し
た。一方で、希釈しないインク組成物についてアンモニ
ア濃度を測定し、この検量線から、インク組成物中の遊
離のアンモニア濃度を得た。その結果は、下記の表に記
載の通りであった。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】 インク組成物の評価試験 以上のインク組成物の性能を次のように評価した。
【0040】評価1:耐材料性 接着剤として、オレフィン系接着剤としてA−1540
(クラボー株式会社)、エポキシ系接着剤としてエポソ
フトF(横浜ゴム株式会社)、およびシリコン系接着剤
としてTSE 3944(東芝シリコーン株式会社)を
用い、ステンレス板上に接着剤を各々の条件で硬化ある
いは固定して試験片を作成した。またインク系部材のシ
ール材として用いられているブチルゴムのOリング形状
の部品を試験片とした。これらの試験片をインク組成物
に浸漬し、70℃の環境で6日間放置した。その後の試
験片の変化の程度を次の基準で評価した。 A:重量変化、外観変化無し B:重量が5%程度の変化あり、 C:表面からの溶出あるが、重量変化無し NG:表面の溶出、重量変化あり使用できない。
【0041】評価2:インク保存信頼性 インク組成物をインクパック(ポリエチレン/アルミ/
ナイロンのラミネート構造:インク接触部ポリエチレ
ン)またはウレタンフォームのインク容器に充填し、7
0℃に放置した。その後のインク組成物の物性の変化、
インク中へのインクパックまたはインク容器からの溶
出、または異物の発生の有無を観察した。その結果を次
ぎの基準で評価した。 A:インク組成物の物性の変化、インク中へのインクパ
ックまたはインク容器からの溶出、または異物の発生の
いずれも観察されなかった。 NG:インク組成物の物性の変化、インク中へのインク
パックまたはインク容器からの溶出、または異物の発生
のいずれが観察された。 その結果は次の表に記載の通りであった。
【0042】
【表3】

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遊離のアンモニア濃度が2000ppm以
    下である、インク供給系および/またはインクジェット
    記録ヘッド中においてインク組成物がプラスチックと接
    触するインクジェット記録装置に用いられるインク組成
    物。
  2. 【請求項2】遊離のアンモニア濃度が1000ppm以
    下である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 【請求項3】遊離のアンモニア濃度が500ppm以下
    である、請求項1に記載のインク組成物。
  4. 【請求項4】インク組成物のpHが8.5〜10.5の
    範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のイン
    ク組成物。
  5. 【請求項5】前記プラスチックが、比重が1.4以下の
    ものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のイン
    ク組成物。
  6. 【請求項6】前記比重が1.4以下のプラスチックが、
    ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロ
    ン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、
    ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、またはエ
    チレンプロピレンゴムである、請求項5に記載のインク
    組成物。
  7. 【請求項7】前記プラスチックが、インクジェット記録
    ヘッドの接着剤である、請求項5に記載のインク組成
    物。
  8. 【請求項8】前記接着剤が、ウレタン系接着剤、オレフ
    ィン系接着剤、エポキシ系接着剤、およびシリコン系接
    着剤からなる群から選択されるものである、請求項7に
    記載のインク組成物。
  9. 【請求項9】インク組成物を構成する成分のいずれかが
    アンモニウム塩の形態である、請求項1〜8のいずれか
    一項に記載のインク組成物。
  10. 【請求項10】前記アンモニウム塩の形態にある成分
    が、染料または顔料である、請求項9に記載のインク組
    成物。
  11. 【請求項11】金属水酸化物をさらに含んでなる、請求
    項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
  12. 【請求項12】有機アミンをさらに含んでなる、請求項
    1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
  13. 【請求項13】多価アルコール誘導体および/またはア
    セチレングリコール系界面活性剤をさらに含んでなる、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物。
  14. 【請求項14】インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を
    記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方
    法であって、インク組成物として請求項1〜13のいず
    れか一項に記載のインク組成物を用いる、インクジェッ
    ト記録方法。
  15. 【請求項15】請求項14に記録方法によって記録が行
    われた、記録物。
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