JPH11107287A - 法面の緑化工法 - Google Patents

法面の緑化工法

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JPH11107287A
JPH11107287A JP9284474A JP28447497A JPH11107287A JP H11107287 A JPH11107287 A JP H11107287A JP 9284474 A JP9284474 A JP 9284474A JP 28447497 A JP28447497 A JP 28447497A JP H11107287 A JPH11107287 A JP H11107287A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 草本植物による被圧を受けず、従って、樹木
種が特定されることのない樹木と、草本植物との共存に
よって、法面をバランスよく自然の景観に戻すことがで
きる法面の緑化工法を提供する。 【解決手段】 客土吹き付け用の網状体4を法面N上に
張設し、樹木苗7の植生ポット6と、除草剤を含浸させ
た植物繊維製のマット2とを、マット2がポット6の底
部まわりを覆うように、法面N上に分散させた状態と成
し、草本種子aを含む客土を植生ポット周域Aの法面上
に吹き付けて、草本種子aを植生ポット周域で生育させ
ないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば崩壊した法
面や、道路造成等により形成された法面などを、樹木苗
の植栽によって樹林化し、かつ、樹木まわりを草本植物
によって緑化させて、法面の安定保持を図るための法面
の緑化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】法面に樹木を導入し、草本植物と共存さ
せて、法面をバランスのとれた自然の景観に戻すこと
は、法面の安定保持を図る上で極めて好適あり、そのた
めの緑化工法として、法面に樹木苗を植栽し、草本種子
を含む客土を法面上に吹き付ける工法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
緑化工法では、初期生育の遅い樹木苗が、生育の早い草
本植物によって被圧されることで、樹木苗を確実に、か
つ、健全に生育させることは難しく、一部ヤマハギやイ
タチハギ、コマツナギ等については、条件によっては定
着することはあったが、その他の特に自然環境に合った
郷土に存在する樹木種については、草本植物による被圧
に加えて、根の伸長が遅いことから夏の乾燥期に耐えら
れず、夏枯れするなど、未だ計画的に導入することは困
難であった。
【0004】本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたも
のであって、その目的は、樹林化の樹木種が特定され
ず、かつ、草本植物による被圧を受け難くして、草本植
物との共存によって、法面をバランスよく自然の景観に
戻すことができる法面の緑化工法を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。
即ち、本発明による法面の緑化工法は、客土吹き付け用
の網状体を法面上に張設し、樹木苗の植生ポットと、除
草剤を含浸させた植物繊維製のマットとを、マットがポ
ットの底部まわりを覆うように、法面上に分散させた状
態となし、草本種子を含む客土を、植生ポット周域の法
面上に吹き付ける点に特徴がある。
【0006】植物繊維製のマットに対する除草剤の含浸
に際しては、マットを法面上に配置して後に、このマッ
トに除草剤を散布する除草剤含浸の形態や、マットを法
面上に配置する前に、現場にてマットを液状の除草剤に
浸漬させる除草剤含浸の形態を選択することができる。
【0007】この他に、例えばマットの製造工場におい
て、予めマットに除草剤を含浸させる形態をとってもよ
いのであり、この場合、マットを合成樹脂製のシートな
どで密封して現場に搬入し、かつ、マットを取り出し
て、これを法面上に配置するのである。
【0008】上記の緑化工法によれば、植物繊維製のマ
ットが、降雨等の水分を吸収して保水し、植生ポットの
底部まわりの保水性を高めることから、樹木苗は、生育
初期の周囲の乾燥に耐えて、夏枯れすることなく健全に
生育する。
【0009】一方、植生ポットの周域に吹き付けられた
客土中の草本種子は、植物繊維製のマットに含浸させた
除草剤のために、発芽したとしても生育することが抑止
されるので、樹木苗は草本植物によって被圧されること
なく生育し、かつ、客土が含む草本種子も、ポット周域
を除いて生育するのであって、樹木苗が草本植物による
被圧を受けなくなることから、導入する樹木苗の樹木種
は問われなくなる。
【0010】しかも、植物繊維製のマットは、年月を経
て腐食し肥料になることから、樹木は確実に且つ健全に
生育するのであって、従って、樹木苗として、樹木種が
問われないことから、例えば郷土種の樹木苗を選択する
ことで、この郷土種の樹木と草本植物との共存によっ
て、その地域に合った優れた法面の緑化が達成されるの
である。
【0011】ここで、樹木の根には、地肌に沿って根ざ
す横根系の支持根と、地中に根ざす直根系の支持根と、
その中間の縦根系の支持根とがあって、樹木苗を法面に
導入させた際には、土壌面の多くから養分や水分を吸収
しようとして、先ずは横根系の支持根が根張りをする性
質がある。
【0012】この横根系の支持根は、これがしっかりと
根ざすことが、樹木本体を支える上で重要であることは
言うまでもなく、この点を踏まえて、好ましくは、植生
ポットの周域に客土を吹き付ける前に、植物繊維製の紐
状体を、ポット底部に交差させるように法面上に張設さ
せることであって、このようにすると、紐状体は保水性
を有する上に、年月を経て腐食し肥料になることから、
地肌に沿って根ざす横根系の支持根の伸長面で頗る好適
である。
【0013】一方、植生ポットの底部に植物繊維製のマ
ットが存する場合、直根系の支持根ならびに縦根系の支
持根は、このマットを通して地中に根張りするのである
が、この際、植物繊維製のマットに、植生ポットの底部
に臨む穴を開設しておけば、直根系の支持根ならびに縦
根系の支持根の地中への根張りを楽にする利点がある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1および図2は草本植物と共存
して法面を樹林化させる緑化工法の一実施の形態を示
し、図中の1は紐状体で、保水性ならびに腐食性を有す
る植物繊維製の例えば藁縄から成り、例えば上下方向で
0.5m〜1.0mの間隔を隔てて且つ左右方向で0.
3m〜0.5mの間隔を隔てて、法面N上に縦横に張設
されている。
【0015】2は保水性ならびに腐食性を有する植物繊
維製のマットで、例えばジュートやココヤシなどから成
り、その厚みは1cm程度であって、中央部には穴3が
開設されており、かつ、上記の穴3に紐状体1を臨ませ
るように、前記紐状体1の交差部と、その上下左右の中
間部とに、それぞれ分散させて法面N上に配置されてい
る。
【0016】そして、このマット2を法面N上に配置し
て後に、禾本系植生を含む草本種子の生育を困難にする
例えば脂肪酸系の除草剤(例えばフレノック;三共株式
会社の商品名)を散布して、この除草剤をマット2に含
浸させている。
【0017】尚、マット2を法面N上に配置する前に、
現場にてマット2を液状の除草剤に浸漬させて、除草剤
をマット2に含浸させ、このマット2を法面N上に配置
してもよいのであり、或いは、例えばマットの製造工場
において、予めマットに除草剤を含浸させて、このマッ
トを合成樹脂製のシートなどで密封して現場に搬入し、
かつ、マットを取り出して、これを法面上に配置する形
態をとってもよいのである。
【0018】4は客土吹き付け用の網状体で、例えば目
合いが50mm×50mm程度の植物繊維製の腐食性ネ
ットや、金属製や合成樹脂製のネット、金属製のラス金
網などから成り、例えば止め串5によって紐状体1とマ
ット2とを押さえ付けるように、法面N上に張設されて
いる。
【0019】6は樹木苗7の生育空間を形成する植生ポ
ットで、法面Nの傾斜に合わせるように、下部側を斜め
に切断した例えば竹製の容器8を、その容器底部をマッ
ト2の穴3に位置合わせするように、即ち、紐状体1に
交差させるように、マット2の中央部に配置し、かつ、
ビニール製などの植栽ポット6aから取り出したポット
苗(樹木苗)7を、土9を補充しつつ容器8に入れ込ん
で成る。
【0020】上記マット2の穴3は、植生ポット6の容
器8底部の直径程度に形成されているが、これよりも小
さくても、或いは、やゝ大きくてもよいのであり、或い
は後述するように、穴3を開設しなくてもよいのであ
る。
【0021】植生ポット6として、容器8内に樹木苗7
を備えさせてユニット化し、即ち、例えば容器8の底部
に、樹木苗7の生育にとって問題がなく、かつ、補充土
9が溢れ難い目合いの腐食性ネット(または短期に腐食
して土壌と同質化するシートなど)9を設け、これに樹
木苗7と補充土9とを入れ込んで、植生ポット6をユニ
ット化し、この植生ポット6を紐状体1に交差させるよ
うに、マット2の中央部に配置するようにしてもよい。
【0022】樹木苗7としては、カシ、ウツギ、ネズミ
モチ、コナラ、あかまつ、やしゃぶし、ナエシログミ、
ヤマモミジ、ナナカマドなどが任意に選択されるが、こ
れらの樹木苗7に加えて、地被植物であれば、樹木苗7
は被圧を受けないことから、ツタやヘデラ等の地被植物
の苗を入れてもよい。
【0023】容器8を竹製にしたのは、一定期間を経過
して腐食し、かつ、分解して土壌と同質化することに加
えて、周辺の環境に良くマッチするからであるが、紙製
やパルプ系の腐食性素材や、塩化ビニル樹脂等の耐腐食
性素材によって構成してもよいのである。
【0024】10は草本種子aを含む客土で、有機堆
肥、化学肥料、植物性繊維、保水剤、土壌改良材などを
配合して成り、モルタルガン機やエアロシーダ等の吹付
機を用いて、植生ポット6の周域の法面N上に吹き付け
られる。
【0025】草本種子aは、稲科の禾本系植生を含め
て、牧草種子や野草種子、花の種子などであり、牧草種
子としては、ケンタッキー31フェスク、ウイーピング
ラブグラス、ホワイトクローバー、クリーピングレッド
フェスク、レッドトップ、バミューダーグラス、ケンタ
ッキーブルーグラス等が選択される。
【0026】野草種子としては、よもぎ、めどはぎ、す
すき、いたどり等が選択され、花の種子としては、カス
ミソウ、コスモス、ヤグルマソウ、カワラナデシコ、セ
キチク、オオキンゲイソウ、黄デージー、フランス菊、
のこぎり草、カリフォルニアポピー、ムラサキハナナ、
ケイトウ、テンニンギク等が選択される。
【0027】草本植物と共存しての樹林化による法面N
の緑化に際しては、先ず法面Nを適宜整形して、この法
面N上に紐状体1を縦横に配置し、かつ、この紐状体1
に交差させるように、除草剤を含浸させた植物繊維製の
マット2を法面N上に分散させて配置し、これらを押し
付けるように網状体4を法面N上に張設する。
【0028】そして、容器8の底部をマット2の穴3に
位置合わせするように、植生ポット6を網状体4上に配
置し、この植生ポット6周域の法面N上に、モルタルガ
ン機やエアロシーダ等の吹付機を用いて、草本種子aを
含む客土10を吹き付けるのである。
【0029】この際、マット2を法面N上に分散配置し
て後に、このマット2を押し付けるように、紐状体1を
法面N上に状態に配置してもよく、また、網状体4を張
設して後に、この網状体4上にマット2を分散配置して
もよいのであり、この場合、マット2の位置ずれ防止の
ために、適宜アンカーなどによってマット2を固定する
ことが好ましい。
【0030】上記の工法によれば、植物繊維製のマット
2が、降雨等の水分を吸収して保水し、植生ポット6の
底部まわりの保水性を高めることから、かつ、紐状体1
も降雨等の水分を吸収して保水し、このまわりの土壌の
保水性を高めることから、樹木苗7は、生育初期の周囲
の乾燥に耐えて夏枯れすることなく、直根系の支持根と
縦根系の支持根とがマット2の穴3を通して伸長し、横
根系の支持根も、紐状体1まわりの土壌面の水分を求め
て伸長する(図4を参照)。
【0031】そして、紐状体1ならびにマット2が年月
を経て腐食し肥料になることから、樹木根の伸長が高ま
り、特に樹木本体を支える上で重要な横根系の支持根が
しっかりと根ざし、樹木は確実かつ健全に生育するもの
で、厳しい自然環境に晒されても十分に耐えることがで
きる。
【0032】一方、植生ポット6の周域Aに吹き付けら
れた客土10中の草本種子aは、ここに飛来する雑草の
種子をも含めて、植物繊維製のマット2に含浸させた除
草剤のために、発芽したとしても生育することが抑止さ
れる(図3及び図4を参照)ので、樹木苗7は草本植物
bによって被圧されることなく生育し、かつ、客土10
が含む草本種子aも、ポット周域Aを除いて生育するの
であって、樹木苗7が草本植物bによる被圧を受けなく
なることから、導入する樹木苗7の樹木種は問われなく
なる。
【0033】従って、樹木苗7として、樹木種が問われ
ないことから、例えば郷土種の樹木苗7を選択すれば、
この郷土種の樹木と草本植物との共存によって、その地
域に合った優れた法面Nの緑化が達成されるのである。
【0034】尚、植物繊維製のマット2に穴3を開設し
ているが、これは直根系の支持根ならびに縦根系の支持
根の地中への根張りを楽にすることを考慮してのことで
あって、穴3を開設しなくても、直根系の支持根ならび
に縦根系の支持根は、マット2を通過して無理なく地中
に根張りするのであり、穴3を開設することは必須の要
件ではない。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による法面
の緑化工法によれば、法面の植生ポット配置部分に、土
壌の保水性が高く、従って、樹木苗を乾燥に晒すことが
ない上に、やがては土壌が肥沃になる環境が現出される
のであり、しかも、そのポットまわりには、草本種子の
生育を困難にする環境が現出されることから、法面に樹
木苗を導入しても、これが草本植物の被圧を受けずに、
かつ、夏枯れすることなく健全に生育する。
【0036】一方、客土が含む草本種子は、ポット周域
を除いて生育することになり、これによって法面は、樹
木苗によって樹林化され、かつ、その樹木まわりが草本
植物によって緑化されるのであって、樹木と草本植物と
の共存によって、法面は短期にバランスのとれた自然の
景観に戻り、法面の安定保持が達成されるのであって、
特に、樹木苗が草本植物による被圧を受けなくなって、
導入する樹木苗の樹木種が問われないことから、樹木苗
として郷土種を選択すれば、その地域に合った優れた法
面の緑化が達成されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】法面の緑化初期状態を示す構成説明図である。
【図2】法面の緑化初期状態を示す断面図である。
【図3】草本植物と共存した樹林化による法面の緑化状
態を示す説明図である。
【図4】法面の緑化状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…紐状体、2…植物繊維製のマット、3…穴、4…網
状体、6…植生ポット、7…樹木苗、10…客土、a…
草本種子、A…植生ポットの周域、N…法面。
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 法面の緑化工法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば崩壊した法
面や、道路造成等により形成された法面などを、樹木苗
の植栽によって樹林化し、かつ、樹木まわりを草本植物
によって緑化させて、法面の安定保持を図るための法面
の緑化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】法面に樹木を導入し、草本植物と共存さ
せて、法面をバランスのとれた自然の景観に戻すこと
は、法面の安定保持を図る上で極めて好適あり、その
ための緑化工法として、法面に樹木苗を植栽し、草本種
子を含む客土を法面上に吹き付ける工法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
緑化工法では、初期生育の遅い樹木苗が、生育の早い草
本植物によって被圧されることで、樹木苗を確実に、か
つ、健全に生育させることは難しく、一部ヤマハギやイ
タチハギ、コマツナギ等については、条件によっては定
着することはあったが、その他の特に自然環境に合った
郷土に存在する樹木種については、草本植物による被圧
に加えて、根の伸長が遅いことから夏の乾燥期に耐えら
れず、夏枯れするなど、未だ計画的に導入することは困
難であった。
【0004】本発明は、かゝる実情に鑑みて成されたも
のであって、その目的は、樹林化の樹木種が特定され
ず、かつ、草本植物による被圧を受け難くして、草本植
物との共存によって、法面をバランスよく自然の景観に
戻すことができる法面の緑化工法を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。
即ち、本発明による法面の緑化工法は、客土吹き付け用
の網状体を法面上に張設し、樹木苗の植生ポットと、
ットとを、マットがポットの底部まわりを覆うように、
法面上に分散させた状態となし、草本種子を含む客土
を、植生ポット周域の法面上に吹き付ける点に特徴があ
る。
【0006】植物繊維製のマットに対する除草剤の含浸
に際しては、マットを法面上に配置して後に、このマッ
トに除草剤を散布する除草剤含浸の形態や、マットを法
面上に配置する前に、現場にてマットを液状の除草剤に
浸漬させる除草剤含浸の形態を選択することができる。
【0007】この他に、例えばマットの製造工場におい
て、予めマットに除草剤を含浸させる形態をとってもよ
いのであり、この場合、マットを合成樹脂製のシートな
どで密封して現場に搬入し、かつ、マットを取り出し
て、これを法面上に配置するのである。
【0008】上記の緑化工法によれば、植物繊維製のマ
ットが、降雨等の水分を吸収して保水し、植生ポットの
底部まわりの保水性を高めることから、樹木苗は、生育
初期の周囲の乾燥に耐えて、夏枯れすることなく健全に
生育する。
【0009】一方、植生ポットの周域に吹き付けられた
客土中の草本種子は、植物繊維製のマットに含浸させた
除草剤のために、発芽したとしても生育することが抑止
されるので、樹木苗は草本植物によって被圧されること
なく生育し、かつ、客土が含む草本種子も、ポット周域
を除いて生育するのであって、樹木苗が草本植物による
被圧を受けなくなることから、導入する樹木苗の樹木種
は問われなくなる。
【0010】しかも、植物繊維製のマットは、年月を経
て腐食し肥料になることから、樹木は確実に且つ健全に
生育するのであって、従って、樹木苗として、樹木種が
問われないことから、例えば郷土種の樹木苗を選択する
ことで、この郷土種の樹木と草本植物との共存によっ
て、その地域に合った優れた法面の緑化が達成されるの
である。
【0011】ここで、樹木の根には、地肌に沿って根ざ
す横根系の支持根と、地中に根ざす直根系の支持根と、
その中間の縦根系の支持根とがあって、樹木苗を法面に
導入させた際には、土壌面の多くから養分や水分を吸収
しようとして、先ずは横根系の支持根が根張りをする性
質がある。
【0012】この横根系の支持根は、これがしっかりと
根ざすことが、樹木本体を支える上で重要であることは
言うまでもなく、この点を踏まえて、好ましくは、植生
ポットの周域に客土を吹き付ける前に、植物繊維製の紐
状体を、ポット底部に交差させるように法面上に張設さ
せることであって、このようにすると、紐状体は保水性
を有する上に、年月を経て腐食し肥料になることから、
地肌に沿って根ざす横根系の支持根の伸長面で頗る好適
である。
【0013】一方、植生ポットの底部に植物繊維製のマ
ットが存する場合、直根系の支持根ならびに縦根系の支
持根は、このマットを通して地中に根張りするのである
が、この際、植物繊維製のマットに、植生ポットの底部
に臨む穴を開設しておけば、直根系の支持根ならびに縦
根系の支持根の地中への根張りを楽にする利点がある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1および図2は草本植物と共存
して法面を樹林化させる緑化工法の一実施の形態を示
し、図中の1は紐状体で、保水性ならびに腐食性を有す
る植物繊維製の例えば藁縄から成り、例えば上下方向で
0.5m〜1.0mの間隔を隔てて且つ左右方向で0.
3m〜0.5mの間隔を隔てて、法面N上に縦横に張設
されている。
【0015】2は保水性ならびに腐食性を有する植物繊
維製のマットで、例えばジュートやココヤシなどから成
り、その厚みは1cm程度であって、中央部には穴3が
開設されており、かつ、上記の穴3に紐状体1を臨ませ
るように、前記紐状体1の交差部と、その上下左右の中
間部とに、それぞれ分散させて法面N上に配置されてい
る。
【0016】そして、このマット2を法面N上に配置し
て後に、禾本系植生を含む草本種子の生育を困難にする
例えば脂肪酸系の除草剤(例えばフレノック;三共株式
会社の商品名)を散布して、この除草剤をマット2に含
浸させている。
【0017】尚、マット2を法面N上に配置する前に、
現場にてマット2を液状の除草剤に浸漬させて、除草剤
をマット2に含浸させ、このマット2を法面N上に配置
してもよいのであり、或いは、例えばマットの製造工場
において、予めマットに除草剤を含浸させて、このマッ
トを合成樹脂製のシートなどで密封して現場に搬入し、
かつ、マットを取り出して、これを法面上に配置する形
態をとってもよいのである。
【0018】4は客土吹き付け用の網状体で、例えば目
合いが50mm×50mm程度の植物繊維製の腐食性ネ
ットや、金属製や合成樹脂製のネット、金属製のラス金
網などから成り、例えば止め串5によって紐状体1とマ
ット2とを押さえ付けるように、法面N上に張設されて
いる。
【0019】6は樹木苗7の生育空間を形成する植生ポ
ットで、法面Nの傾斜に合わせるように、下部側を斜め
に切断した例えば竹製の容器8を、その容器底部をマッ
ト2の穴3に位置合わせするように、即ち、紐状体1に
交差させるように、マット2の中央部に配置し、かつ、
ビニール製などの植栽ポット6aから取り出したポット
苗(樹木苗)7を、土9を補充しつつ容器8に入れ込ん
で成る。
【0020】上記マット2の穴3は、植生ポット6の容
器8底部の直径程度に形成されているが、これよりも小
さくても、或いは、やゝ大きくてもよいのであり、或い
は後述するように、穴3を開設しなくてもよいのであ
る。
【0021】植生ポット6として、容器8内に樹木苗7
を備えさせてユニット化し、即ち、例えば容器8の底部
に、樹木苗7の生育にとって問題がなく、かつ、補充土
9が溢れ難い目合いの腐食性ネット(または短期に腐食
して土壌と同質化するシートなど)9を設け、これに樹
木苗7と補充土9とを入れ込んで、植生ポット6をユニ
ット化し、この植生ポット6を紐状体1に交差させるよ
うに、マット2の中央部に配置するようにしてもよい。
【0022】樹木苗7としては、カシ、ウツギ、ネズミ
モチ、コナラ、あかまつ、やしゃぶし、ナエシログミ、
ヤマモミジ、ナナカマドなどが任意に選択されるが、こ
れらの樹木苗7に加えて、地被植物であれば、樹木苗7
は被圧を受けないことから、ツタやヘデラ等の地被植物
の苗を入れてもよい。
【0023】容器8を竹製にしたのは、一定期間を経過
して腐食し、かつ、分解して土壌と同質化することに加
えて、周辺の環境に良くマッチするからであるが、紙製
やパルプ系の腐食性素材や、塩化ビニル樹脂等の耐腐食
性素材によって構成してもよいのである。
【0024】10は草本種子aを含む客土で、有機堆
肥、化学肥料、植物性繊維、保水剤、土壌改良材などを
配合して成り、モルタルガン機やエアロシーダ等の吹付
機を用いて、植生ポット6の周域の法面N上に吹き付け
られる。
【0025】草本種子aは、稲科の禾本系植生を含め
て、牧草種子や野草種子、花の種子などであり、牧草種
子としては、ケンタッキー31フェスク、ウイーピング
ラブグラス、ホワイトクローバー、クリーピングレッド
フェスク、レッドトップ、バミューダーグラス、ケンタ
ッキーブルーグラス等が選択される。
【0026】野草種子としては、よもぎ、めどはぎ、す
すき、いたどり等が選択され、花の種子としては、カス
ミソウ、コスモス、ヤグルマソウ、カワラナデシコ、セ
キチク、オオキンゲイソウ、黄デージー、フランス菊、
のこぎり草、カリフォルニアポピー、ムラサキハナナ、
ケイトウ、テンニンギク等が選択される。
【0027】草本植物と共存しての樹林化による法面N
の緑化に際しては、先ず法面Nを適宜整形して、この法
面N上に紐状体1を縦横に配置し、かつ、この紐状体1
に交差させるように、除草剤を含浸させた植物繊維製の
マット2を法面N上に分散させて配置し、これらを押し
付けるように網状体4を法面N上に張設する。
【0028】そして、容器8の底部をマット2の穴3に
位置合わせするように、植生ポット6を網状体4上に配
置し、この植生ポット6周域の法面N上に、モルタルガ
ン機やエアロシーダ等の吹付機を用いて、草本種子aを
含む客土10を吹き付けるのである。
【0029】この際、マット2を法面N上に分散配置し
て後に、このマット2を押し付けるように、紐状体1を
法面N上に状態に配置してもよく、また、網状体4を張
設して後に、この網状体4上にマット2を分散配置して
もよいのであり、この場合、マット2の位置ずれ防止の
ために、適宜アンカーなどによってマット2を固定する
ことが好ましい。
【0030】上記の工法によれば、植物繊維製のマット
2が、降雨等の水分を吸収して保水し、植生ポット6の
底部まわりの保水性を高めることから、かつ、紐状体1
も降雨等の水分を吸収して保水し、このまわりの土壌の
保水性を高めることから、樹木苗7は、生育初期の周囲
の乾燥に耐えて夏枯れすることなく、直根系の支持根と
縦根系の支持根とがマット2の穴3を通して伸長し、横
根系の支持根も、紐状体1まわりの土壌面の水分を求め
て伸長する(図4を参照)。
【0031】そして、紐状体1ならびにマット2が年月
を経て腐食し肥料になることから、樹木根の伸長が高ま
り、特に樹木本体を支える上で重要な横根系の支持根が
しっかりと根ざし、樹木は確実かつ健全に生育するもの
で、厳しい自然環境に晒されても十分に耐えることがで
きる。
【0032】一方、植生ポット6の周域Aに吹き付けら
れた客土10中の草本種子aは、ここに飛来する雑草の
種子をも含めて、植物繊維製のマット2に含浸させた除
草剤のために、発芽したとしても生育することが抑止さ
れる(図3及び図4を参照)ので、樹木苗7は草本植物
bによって被圧されることなく生育し、かつ、客土10
が含む草本種子aも、ポット周域Aを除いて生育するの
であって、樹木苗7が草本植物bによる被圧を受けなく
なることから、導入する樹木苗7の樹木種は問われなく
なる。
【0033】従って、樹木苗7として、樹木種が問われ
ないことから、例えば郷土種の樹木苗7を選択すれば、
この郷土種の樹木と草本植物との共存によって、その地
域に合った優れた法面Nの緑化が達成されるのである。
【0034】尚、植物繊維製のマット2に穴3を開設し
ているが、これは直根系の支持根ならびに縦根系の支持
根の地中への根張りを楽にすることを考慮してのことで
あって、穴3を開設しなくても、直根系の支持根ならび
に縦根系の支持根は、マット2を通過して無理なく地中
に根張りするのであり、穴3を開設することは必須の要
件ではない。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による法面
の緑化工法によれば、法面の植生ポット配置部分に、土
壌の保水性が高く、従って、樹木苗を乾燥に晒すことが
ない上に、やがては土壌が肥沃になる環境が現出される
のであり、しかも、そのポットまわりには、草本種子の
生育を困難にする環境が現出されることから、法面に樹
木苗を導入しても、これが草本植物の被圧を受けずに、
かつ、夏枯れすることなく健全に生育する。
【0036】一方、客土が含む草本種子は、ポット周域
を除いて生育することになり、これによって法面は、樹
木苗によって樹林化され、かつ、その樹木まわりが草本
植物によって緑化されるのであって、樹木と草本植物と
の共存によって、法面は短期にバランスのとれた自然の
景観に戻り、法面の安定保持が達成されるのであって、
特に、樹木苗が草本植物による被圧を受けなくなって、
導入する樹木苗の樹木種が問われないことから、樹木苗
として郷土種を選択すれば、その地域に合った優れた法
面の緑化が達成されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】法面の緑化初期状態を示す構成説明図である。
【図2】法面の緑化初期状態を示す断面図である。
【図3】草本植物と共存した樹林化による法面の緑化状
態を示す説明図である。
【図4】法面の緑化状態を示す断面図である。
【符号の説明】 1…紐状体、2…植物繊維製のマット、3…穴、4…網
状体、6…植生ポット、7…樹木苗、10…客土、a…
草本種子、A…植生ポットの周域、N…法面。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 客土吹き付け用の網状体を法面上に張
    設し、樹木苗の植生ポットと、除草剤を含浸させた植物
    繊維製のマットとを、マットがポットの底部まわりを覆
    うように、法面上に分散させた状態と成し、草本種子を
    含む客土を、植生ポット周域の法面上に吹き付けること
    を特徴とする法面の緑化工法。
  2. 【請求項2】 前記マットを法面上に配置して後に、
    現場にて除草剤を散布して、除草剤をマットに含浸させ
    ることを特徴とする請求項1に記載された法面の緑化工
    法。
  3. 【請求項3】 植生ポットの周域に客土を吹き付ける
    前に、植物繊維製の紐状体を、ポット底部に交差させる
    ように、法面上に張設することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載された法面の緑化工法。
  4. 【請求項4】 前記マットに、植生ポットの底部に臨
    む穴を開設して成ることを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載された法面の緑化工法。
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