JP2005325661A - 法面雑草防止器具および法面緑化工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 道路造成などにより形成される法面は、雑草の被圧を受けずに樹木苗の植栽を確実に行うことができ、自然環境にもやさしい法面緑化の施工を実現するものとして提供する。
【解決手段】 本植栽容器は、法面上に穴を掘らないで二層構造の木質系発泡基板体8に三角形容器1を一体化した植栽容器9を法面上に設置し、その基体に開口部3を設け植生基材20を充填しながらポット苗4を植え付ける法面緑化工法を活用する。
【選択図】図1
【解決手段】 本植栽容器は、法面上に穴を掘らないで二層構造の木質系発泡基板体8に三角形容器1を一体化した植栽容器9を法面上に設置し、その基体に開口部3を設け植生基材20を充填しながらポット苗4を植え付ける法面緑化工法を活用する。
【選択図】図1
Description
この発明は、道路造成などで形成された法面に苗木を植栽して緑化を図る法面緑化工法に関するものであり、特に人工芝または生芝からの被圧や周辺の雑草からの被圧の防止を図りながら目的の樹木や地被植物などの植物苗(ポット苗という)を植栽することにより法面に樹木を確実に定着させ、法面表面の安定ならびに樹木による樹林化を行うことのできる新規法面緑化工法である。
法面上に不織布(あるいは紙片)に芝生種子を貼着した張芝体や高麗芝の張り付け、種子吹き付けなどを行ってから樹木を生育させる方法としては、一般的に芝生種子や樹木種子を播種した後に樹木の苗木を植栽する方法が採用されているが、初期の成長の遅い樹木苗が成長の早い草本類によって被圧され、樹木苗を確実に植栽することは難しい。
この発明は、以上のような問題に鑑みてなしたもので、その目的は道路造成などによって形成される法面に樹木苗の植栽を確実に行うことができる法面緑化工法を提供する。
上記目的を達成するため、この発明の法面緑化工法は、法面上に穴を掘らず二層からなる木質系発泡基板体に三角形容器を一体化した植栽容器に開口部を設け、その中に植生基材を充填しながらポット苗を植え付けることを特徴とする。
この植栽容器は、生育基盤となる土壌の流亡や崩れを防止する土留部を法面上に形成すると共に、その植栽容器は二層の木質系発泡基板体から構成されている。第一層の表面部は軽量で硬い発泡体から成っているため雑草の侵入と地下面からの強力な茎葉の侵入をストップさせる機能をもっており、第二層は柔らかい弾力を持ったスポンジ状の発泡基体から成っているため地表面の水分をスポンジの保水層で維持して樹木苗の初期活着を促進するなどの効果を発揮する。
例えば、ポット苗を植栽するにあたり、植付穴を掘削する必要はなくビニールポットから取り出したポット苗を前記の三角形開口部に植栽用の植生基材を充填しながら植え付けていくだけの簡単な作業であり、容易にしかも確実に植栽することができる。そして、植栽されたポット苗は前記二層から成る木質系発泡基板体の効果で外部から侵入してくる雑草や地下部からの茎葉の侵入をストップさせると共に、保水層スポンジ体により植え付け初期の根の伸長をさらに促進させることができる。また、前記一体化された植栽容器を法面に設置すると、植え付け部の周辺部は安定し、ひいては法面表面の流亡防止を図ることになる。
また、法面に穴を掘るだけで植栽する場合は、降雨や凍土によりその部分が崩壊し易く生育基盤となる土壌が流失し易いという問題が生じる。また容量の大きな穴を掘ることはできないため生育基盤となる土壌が少なくなることは、根の生育不良をきたし強風による倒木の発生につながる。しかし、この発明では、前記三角形ベース付植栽容器を設置するだけで安全でかつ確実に樹木を生育させることができ、さらにこの発明は、大規模な設備を必要とせず前記の三角形のベース付植栽容器を設置するだけで法面保護ができる。
以下、この発明の実施例について図面によって説明する。
なお、この発明はそれによって限定を受けるものではない。
図1は、法面上に適宜の間隔でベース付三角形容器1をアンカーで打設し固定する。その容器内の開口部3に植生基材を充填しながらポット苗4を植え付けることは、この発明の第1実施例である。
なお、この発明はそれによって限定を受けるものではない。
図1は、法面上に適宜の間隔でベース付三角形容器1をアンカーで打設し固定する。その容器内の開口部3に植生基材を充填しながらポット苗4を植え付けることは、この発明の第1実施例である。
そして、樹木苗5としては、例えばアラカシ、シラカシ、ネズミモチ、イヌツゲ、コナラ、クヌギ、ナワシログミ、イロハモミジ、ヤマモミジなどがあげられ、また樹木苗でなく地被類などの植物苗も適宜植栽してもよい。この地被植物としては、ツタ、ヘデラ類が用いられる。
次に、ベース付植栽容器9は、図1に示すように樹木苗の支持体の機能をもちその開口部は底なしで法面土壌に直接接するような構造となってる。また、その素材は木質系発泡基板体8で形成されている。
この三角形容器1の筒は、10mm〜15mmの厚みと正三角形一辺150mm〜250mmで最大高さ250mmを有するが、三角形筒は二等辺三角形や円筒形の筒であってもよい。そして植栽容器は、5年以上の生育必要期間後に腐食して分解され、最終的には肥料となって土壌化する。
さらに、植栽容器9に一体化されたベース体6は、二層の構造を持つ木質系発泡基板体10からなっており、上部の層は発泡密度が緻密でしかも硬質で水を通さない基板体から成り、下部の層は発泡密度が粗目で弾力のある柔軟なスポンジ状基板体11から成っている。上部の層の発泡基板体は、周辺から雑草などが侵入してきても根を下ろすことができず、また土壌地下部より茎葉が伸びてきてもそれをストップさせる。また下部の層の発泡基板体は、断熱効果、保水効果に優れ、苗の植え付け初期に起こりやすい高温乾燥による枯死を防止する。したがってこの二層の性質を活用することは植物の生育促進には必要である。
なお、植栽容器9のベース発泡基体について、下部層のスポンジ状発泡体11の中に肥料14を含浸することのほかに粒状のもので長期間肥効を有するものを包含させてもよい。
また、この植栽容器のベース発泡基体の下部層が弾力のあるスポンジ状の形態をとるのは、通常小石15などによる凹凸面が存在すると法面とベース発泡基体との密着が困難になるのに対し、前記の弾力性を有するスポンジ層を設置すると、法面の凹凸面の間隙を埋めることができ、保水効果や土壌の流失防止をする機能が発揮されるからである。
さらにこの実施例では、図1にあるように三角ポットの内部は二重構造となっており、ポット開口部全体は内側にあるスポンジ状の保水層と一体化している。そのため植生基材は一度水を吸収すると内張されたスポンジ状の保水層に水をたくわえ、下部の根はそれによって適度な水分を得て長時間水分を維持することができる。
そして、この植栽容器9による法面植栽の方法は、図4のように市松張に設置することができ、また図5のように等高線上に適宜の間隔で水平に設置したり、図6のようにちどり状に適宜の間隔で設置することもでき、いづれも安定した植栽方法がとれる。
図1の植栽容器を設置する場合、予めアンカー打ち込み用の耳部18を先端突起部一ヶ所と両側の二ヶ所に設けておき、適宜の長さのアンカー釘17を打設して止めるが、法面の状況によってはベース部の四ヶ所のみにアンカーを打設する場合もある。
樹木苗5としては、カシ、ウツギ、ネズミモチ、コナラ、ナワシログミ、ヤマモミジ、ナナカマドなど任意に選択されるが、これらの樹木苗5のほかに地被植物であっても樹木類と同様に被圧を受けないことから、ツタやヘデラなどの地被植物の苗も選択することができる。
また、植栽容器を木質系発泡基板体8としたのは、一定期間経過すれば腐食し、かつ分解されて土壌化され、周辺の自然環境によく適合するからである。この木質系発泡基板体の素材としては、木材のほかトウモロコシ、アシ、樹木の剪定カスなどがあり、これらはリグノセルロースの溶液に変えることが可能であるため、これに発泡促進剤を投与して発泡基板体10をつくり使用することもできる。
また、植栽容器9は法面の裸地に直接施工でき、植生の吹き付け直後や植生吹き付け完了数ヶ月後において植栽する場合も予め植生を除去してから施工してもよい。それによって樹木苗5が特に支障をきたすことはなく安全に生育し理想的な樹林化が図られる。
上記の工法の植栽容器9には、ベース状のスポンジ基体11と三角形容器の内張スポンジ基体11が一体化されており、そのため降雨の水分を吸水しやすくすることから充填された植生基材の水分保持能力が高められ、生育初期期間中の樹木苗の乾燥や夏枯れを防止する機能を備えている。
植生基材20は、腐葉土、塵沼土、ゼオライト、土壌改良材、粉炭などの混合物などからなり、さらにこれに固形の遅効性肥料も加えるため樹木根21の伸長は旺盛となり、特に樹木本体を支える上で重要な根系群の根張をよくさせる。またこの樹木の根系は、生育初期の段階で三角形容器部のアンカー支持体22で支えられていることにより厳しい環境にも十分に耐えることができる。
また、硬質な木質系発泡基板体は、草種などからの被圧を防止すると共に、たとえ樹木の周辺部に雑草の種子が飛来したりつる状のものが侵入したりしてもその植物の発芽や根の生育を抑制することができ、また地下からの茎葉の侵入に対してもこの基板体が貫通を阻止し雑草類の繁殖を防止することができる。
木質系発泡基板体とは、木材、紙、トウモロコシ、籾殻などのリグノセルロース物質を液化し活性基保有化合物を加えて反応させポレポリマー化した液とイソシアネートを反応させた発泡体である。この発泡体は加熱の温度によって硬軟を調整することができる。さらに、肥料を加えて成形することもできる。また、土中に埋められると生分解して土壌に戻るなど自然にやさしいもので、腐食しても有害物質の発生や流失が起こることはない。
そして、前記発泡体の三角形容器1に内張したスポンジ層と、発泡体ベース部のスポンジ層の厚さは前者のほうがやや薄い。前者はポット内に充填された植生基材が雨水などによって吸水した水分を長時間保持してポット内が乾燥しないようにする。また後者のベース部のスポンジ発泡体は、その層を厚くすることにより法面の小石や礫石による凹凸部をスポンジ層で包含することができ、法面土壌とスポンジベースとの密着化が促進されるのである。
また、その結果、法面に降った雨水や土壌中からしみ出る水分を長時間保持することで植栽された初期樹木苗の根の伸長を助け、生育を促進することができる。さらに、このスポンジ部に肥料を含ませておけば、樹木苗の生育はいっそう強化され、夏枯れを防止するのである。
以上説明したように、本発明による法面の緑化工法によって法面の植栽容器配置部分の土壌は、水分を維持する能力が高められ樹木苗が乾燥にさらされないことから植物の安定した生育環境が得られる。しかも、ポット周辺からの侵入雑草がきても被圧を受けず、かつ夏枯れすることもなく健全に生育する。例え地下からの根の侵入があってベース基体を貫通しようとしてもやがてそれは困難となり枯死することになる。
一方、法面に厚層基材や種子吹き付け工法によって播種される場合、種子はできるだけ短草で播種量を減らすことが必要である。また、既に緑化工で草種が生えている場合は、設置する植栽容器の部分のみ草を除去しておけば植栽容器の部分は侵入草を防止することができ、樹木苗は被圧の影響を受けることがなくなる。また、導入された樹木苗は郷土種を選択することが望ましく、その地域に合った樹木の樹林化が達成されるのである。
1…三角形容器、3…開口部、4…ポット苗、5…樹木苗、6…ベース体、7…枠体、8…木質系発泡基板体、9…植栽容器、11…スポンジ状発泡基体、12…雑草、13…茎葉、14…肥料、15…小石、16…突起部、17…アンカー釘、18…耳部、19…法面N、20…植生基材、21…樹木根、22…アンカー支持体
Claims (4)
- 木質系発泡基板体に三角形容器を一体化させた植栽容器に植物の生育開口部を形成すると共に、その中に植生基材を充填してなることを特徴とする法面緑化工法。
- 前記三角形容器は、木質系発泡基板体と一体化させ草種や雑草の侵入と被圧を防止する基体を配置してなる請求項1に記載の法面緑化工法。
- 前記木質系発泡基板体の開口部のある容器内部と土壌面部発泡基体にスポンジ状発泡体を張設して一体化させた植栽容器を配置してなる請求項1に記載の法面緑化工法。
- 前記植生基材および苗がポット苗である請求項1から請求項3のいづれかに記載の法面緑化工法。
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