JPH11107086A - 仮撚加工機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 仮撚加工機に備えられる糸張力の監視装置
が、停電や瞬間電圧低下等の電源異常が発生したときに
も対応できるようにする。 【解決手段】 糸張力の監視装置は、張力センサーＳ、
張力コントローラー、張力モニター等より構成される。
張力コントローラーは所定の糸張力が得られるようツイ
スター３の動作を制御する。張力モニターは、張力セン
サーＳから得られる張力情報を集計する。監視装置に、
停電や瞬間電圧低下等の電源異常が発生した場合に即座
に電力を供給することのできる無停電電源装置ＵＰＳを
設ける。ＵＰＳは、張力コントローラーと張力モニター
のいずれか一方又は双方の電源をバックアップする。電
源異常の発生中にも、監視装置による糸張力の制御，糸
張力の検出及びデータの保存を継続することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、糸の仮撚加工機の
改良に関し、詳しくは、電源異常が発生した場合にも、
糸張力の監視を継続することが可能な手段を提供するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来の仮撚加工機は、監視装置で糸張力
を常時監視することにより、糸に撚りを与えるツイスタ
ーを制御して糸に対する接圧等を調整し、巻き上がりが
均一な錘を製造し得るように構成されている。また、監
視装置により糸の張力異常を検出して、不良な錘の選別
・格付けを行ったり、監視装置で得られたデータをコン
ピューターで集計することにより、原料及び製品等の品
質管理や機械の保全管理のための各種情報を提示できる
ようになされている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】停電や瞬間電圧低下等
の電源異常が発生した場合、それが短時間で回復したと
しても、糸の加撚状態や撚り数に異常をきたしたり、糸
に損傷を与えたりするおそれがある。また糸の品質に異
常がなくとも、張力異常が有ったときには、錘の形状に
影響を与える可能性がある。しかるに電源異常の間は、
前記監視装置が糸張力を監視することができなくなるた
め、糸張力の異常の有無を検出することができず、それ
故、異常の有る錘を特定することが困難になっている。
そこで従来は、電源異常が発生したときには、アラーム
を動作させて作業員に警告を与え、満巻き前であっても
全錘を玉揚げしており、生産効率を悪くしている。

【０００４】また、電源異常によって、それまで監視装
置が記憶していたデータが消去されてしまい、品質管理
ができなくなるという問題がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、電源異常が発
生しても、糸の品質管理を途切れることなく継続し得る
手段を提供するものであって、その特徴とするところ
は、糸張力の監視装置が設けられた仮撚加工機におい
て、電源異常時に電力を前記監視装置へ供給する手段を
備えたことにある。

【０００６】なお、前記仮撚加工機において、電源異常
が発生したならば、電源異常の回復後、満巻き前であっ
ても錘の玉揚げを強制実行するよう設定することができ
る。あるいは、電源異常時に張力異常が感知された錘が
あれば、電源異常の回復後、当該錘の玉揚げを可及的速
やかに強制実行するよう設定してもよい。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１は、本発明を適用した仮撚加
工機における糸張力の監視装置部分の概略構成を示す図
面である。仮撚加工機は、給糸パッケージから供給され
る糸を第１のローラー１でヒーター２を介しツイスター
３へ導き、当該ツイスターで撚りを与えたのち、第２の
ローラー４によりワインダー等へ送りだすように構成さ
れている。

【０００８】糸張力の監視装置は、ツイスター３と第２
ローラー４との間に設けられた糸張力を検出するための
張力センサーＳ、張力センサーＳから出力される張力信
号を受ける張力コントローラー、及び、糸張力に関する
データを集計し必要に応じて表示する張力モニターから
成る。張力コントローラーには、張力の目標値や制御
幅、張力異常が生じた場合にアラームを発する上限・下
限の値等を設定するための入力装置が付設される。張力
コントローラーはＣＰＵ等の演算手段を有し、入力装置
から入力された情報に基づき、所定の糸張力が得られる
ようツイスター３の動作を制御する。また、張力センサ
ーＳから送られてくる張力信号に従ってツイスター３を
フィードバック制御し、糸に対する接圧等を調節する。
張力モニターは、張力センサーＳから得られる張力情報
を記憶・蓄積する記憶手段及びこれを加工する演算手段
を有し、一定条件に基づいて情報を集計し適当な形態に
加工して表示するようになされている。

【０００９】本実施形態では、前記の如く構成される糸
張力の監視装置に、停電や瞬間電圧低下等の電源異常が
発生した場合に即座に電力を供給することのできる無停
電電源装置（以下、ＵＰＳと言う）を設けたところに特
色を有する。仮撚加工機自体の電源容量は大きいため、
電源異常時にこれをバックアップするのは困難である
が、監視装置の張力モニターや張力コントローラーは電
源容量がそれほど大きくないので、これらについてはＵ
ＰＳで電源異常時におけるバックアップが可能である。

【００１０】ＵＰＳは、電力を蓄えるバッテリーやコン
デンサと、電圧・周波数を一定に制御するインバーター
回路などから成っており、停電や瞬間電圧低下等の電源
異常が発生したならば、ただちに監視装置、特に演算手
段と記憶手段へ、所要の電力を供給するように構成され
ている。従って、電源異常の発生中にも、監視装置によ
る糸張力の制御，糸張力の検出及びデータの保存を継続
することができる。なお図１では、ＵＰＳが張力コント
ローラーと張力モニターの双方の電源をバックアップす
るように表示してあるが、条件によっては、いずれか一
方の電源だけをバックアップするように変更することも
可能である。

【００１１】ＵＰＳを設けて電源異常時における監視装
置の電源をバックアップすることにより得られる利点
は、下記のとおりである。

【００１２】張力モニターの電源をバックアップする
ことにより、電源異常時にも糸の張力異常を検出するこ
とが可能となる。特に、電源異常の継続時間の大小に応
じて糸張力の変動状況が異なるが、この張力変動データ
を採取することができる。従って、糸品質管理に有効な
情報が得られるから、玉揚げした錘の格付けを容易に行
える。従来は、加撚工程において電源異常が発生した場
合、糸品質に関する情報を得ることができなかった。

【００１３】電源異常の発生中にも張力モニターが動
作するから、糸張力の異常を生じた錘を容易に特定でき
る。従って、電源異常の回復後、糸の張力異常が有った
錘だけを満巻き前であっても強制的に玉揚げし、異常の
無かった錘については差し上げを継続するように設定す
ることができる。あるいは、張力異常の程度を識別でき
るから、張力データに基づいて、強制玉揚げの必要な錘
と不要な錘とを選別し、さらに強制玉揚げが不要な錘に
ついても、糸品質に応じた詳細な格付けが可能となる。

【００１４】張力モニターに備えられる記憶手段への
電力供給が保証されるので、保存中又は更新中のデータ
が消去されるおそれがなくなる。依って、糸の品質管理
を確実に行うことができる。

【００１５】張力コントローラーの電源をバックアッ
プすることにより、電源異常時でも、糸張力の制御が可
能となる。従って、電源異常の発生による糸品質の低下
を防ぐことができる。

【００１６】電源異常の継続中における監視装置の誤
動作が無くなる。また電源異常が回復した後の動作復旧
が迅速になるから、糸品質に与える影響を最小限に抑え
ることができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明に係る仮撚加工機は、電源異常が
発生した場合でも、糸張力の監視が可能であるから、糸
の品質管理が確実になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明を適用した仮撚加工機の要部を示す概
略図である。

【符号の説明】

１ 第１のローラー ２ ヒーター ３ ツイスター ４ 第２のローラー Ｓ 張力センサー ＵＰＳ 無停電電源装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 糸張力の監視装置が設けられた仮撚加工
   機において、電源異常時に電力を前記監視装置へ供給す
   る手段が備えられていることを特徴とする仮撚加工機。
2. 【請求項２】 電源異常が発生したならば、電源異常の
   回復後、満巻き前であっても錘の玉揚げを強制実行する
   よう設定されている請求項１に記載の仮撚加工機。
3. 【請求項３】 電源異常時に張力異常が感知された錘が
   あれば、電源異常の回復後、当該錘の玉揚げを可及的速
   やかに強制実行するよう設定されている請求項２に記載
   の仮撚加工機。