JPH11106619A - 難燃性ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents
難燃性ポリエステルおよびその製造方法Info
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- JPH11106619A JPH11106619A JP27121797A JP27121797A JPH11106619A JP H11106619 A JPH11106619 A JP H11106619A JP 27121797 A JP27121797 A JP 27121797A JP 27121797 A JP27121797 A JP 27121797A JP H11106619 A JPH11106619 A JP H11106619A
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Abstract
加が可能で、ポリエステルに対して全く不活性で、しか
も不揮発であり、得られる製品の融点が高く、加熱処理
によっても縮みを生ずることの少ない難燃性ポリエステ
ルを提供する。 【解決手段】 一般式(1)で表わされる有機りん化合
物をポリエステルの製造過程において添加して、難燃性
ポリエステルまたはその成型品を得る。 【化1】 (Rはアルキレン基、主鎖中にエーテル酸素を持ってい
るアルキレン基、α,α′−キシリレン基またはベンゼ
ン核に置換基を持っていてもよいα,α′−メタキシリ
レン基を示す)。
Description
およびその製造方法に関する。さらに詳細には、一般式
1で表される有機りん化合物を含有している事を特徴と
する難燃性ポリエステルまたは一般式1で表される有機
りん化合物をポリエステルの製造過程で添加する事を特
徴とする難燃性ポリエステルの製造方法に関する。
るアルキレン基、α,α′−キシリレン基またはベンゼ
ン核に置換基を持っていてもよいα,α′−メタキシリ
レン基を示し、ここでアルキレン基の炭素数は1〜1
2、好ましくは2〜9である)。
てはポリエチレンテレフタレート及びその改質体、ポリ
−1,4−ブチレンテレフタレート(PBT)やポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PE
N)などが例示されるが、一般にはポリエチレンテレフ
タレート(PET)がよく知られ、合成繊維または種々
の成形品の材料として広く利用されている。この合成繊
維は大きな強度、高い耐熱性、高いヤング率、優れた染
色性、優れた風合いまたは優れた耐久性などの繊維とし
ての数々の良い特性を備えているので、衣料はもとよ
り、寝具、インテリアまたはタイヤコードなどの用途に
も利用されている。また、成形品としては、ポリエチレ
ンテレフタレートの優れた透明性、優れた耐熱性、無毒
性または優れた機械的強度などの特性を活かして、写真
フィルム、磁気テープ、農業用フィルム、食品用ボトル
または機械部品などの用途に応用されている。そして、
このような幅広い用途の拡大に伴って、ポリエステルの
製造コストも次第に引き下げられて、今では、大規模な
生産量を誇る化成品の一つにまで成長している。
方法で製造されている。
れている旧来の方法であり、まずエステル交換機と称さ
れる反応機にジメチルテレフタレート(DMT)および
過剰量のエチレングリコールを仕込み、触媒の存在下に
メタノールを除去しながら、反応を進行させ、テレフタ
ル酸のエチレングリコールエステルを生成させる。続い
てこれをオートクレーブと称されている重縮合機に移し
て、加熱、減圧下に重縮合反応を進行させてから、オー
トクレーブを窒素圧で加圧して、高粘度の生成物を排出
すると同時に生成物をペレット化する。最後にこのペレ
ットを押し出し機で繊維または成形品に加工する。
に新しい方法であり、まずエステル化機と称される反応
機にテレフタル酸および過剰量のエチレングリコールを
仕込み、触媒の存在下で大気圧ないしは加圧下に加熱反
応させてから、これをオートクレーブに移して、以下、
エステル交換法と同様にして製造する方法である。
タル酸のエチレングリコールエステルを製造するエステ
ル化過程、この生成物を重縮合させる重合過程および重
縮合物を目的形状に加工する成形過程の三段階の過程か
ら構成されている。
0年)頃から始まった合成繊維の難燃化の要求に応じる
ため広く検討され、幾多の変遷の末に現在の共重合型の
りん含有難燃性ポリエステルが完成されたものである。
現在、難燃性ポリエステルの共重合に使用されている有
機りん化合物は次の構造式2および構造式3で表される
二つが代表的である。
同52−91878号公報、同52−97981号公報
および同52−98089号公報などに詳しい。
常、りんが0.3ないし1.0重量%の範囲で含有され
るように上記有機りん化合物が共重合されている。
としては、有機りん化合物が最も適していると言われて
いる。しかしながら、目下、難燃性ポリエステルの製造
に適したエステル化ないしはエステル交換反応に対して
不活性であり、充分に分子量が大きくて非揮発性である
有機りん化合物は見出だされていない。従って有機りん
化合物によるポリエステルの難燃化には逆に、有機りん
化合物を前の二つの例のように、エステル化可能な官能
基を二個持った構造にしてポリエステルに共重合させる
方法がとられているのが現状である。
らの有機りん化合物を共重合させた共重合型のポリエス
テルは純粋なポリエステルに比べて、その融点が低く、
加熱処理によって縮みを生じる傾向のある事が知られ、
これが最も大きな改良を望まれる点となっている。本発
明の第一の課題はこの問題を解決する事である。
化またはエステル交換反応に対して全く不活性で、しか
も非揮発性の有機りん化合物を使用する事によって、ポ
リエステルの何れの製造過程でも添加が可能であるとと
もに、融点が高く、加熱処理によっても縮みの生じる事
が少ない耐縮性の難燃性ポリエステルを提供する事であ
る。
りん化合物は一般式1で表される。この有機りん化合物
は分子量が充分に大きく、非揮発性であるから高温、高
真空であるポリエステルの製造過程でも蒸発によるロス
が少ない事、一旦ポリエステルに混合された有機りん化
合物はドライクリーニングなどによっても脱落しないな
どの利点となっている。また、この有機りん化合物は高
温下でも充分に安定であって、しかも、エステル化反応
またはエステル交換反応にも全く不活性であるから、エ
ステル化過程または重合過程で添加してもポリエチレン
テレフタレートのセグメントとして組み込まれてその融
点を低下させる事も少ないし、成形過程でポリエチレン
テレフタレートに混合してもその分子量を低下させる事
もない。
物はポリエステルの製造過程でりん含量が0.3ないし
1.0重量%程度になるように添加される。
式4で表される有機りん化合物(9,10−ジヒドロ−
9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−
オキサイド)と式中のRを形成させるのに適したハロゲ
ン化合物またはスルホン酸エステルとをアルカリの存在
下に反応させて製造される。また、Rが置換基をもって
いてもよいα,α′−メタキシリレン基の場合には、
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフ
ェナンスレン−10−オキサイドと式中のRを形成させ
るのに適したベンゼン環に二つのアルコキシメチル基を
持った化合物、ベンゼン環に二つのアミノメチル基を持
った化合物またはベンゼン環に二つのN,N−ジアルキ
ルアミノメチル基を持った化合物とを縮合反応させて製
造する事が出来る。
またはスルホン酸エステルとしては、1,2−ジクロロ
エタン、1−クロロ−3−ブロモプロパン、1,4−ジ
クロロブタン、1,6−ジクロロヘキサン、2,2′−
ジクロロエチルエーテル、1,2−ビス−(2′−クロ
ロエトキシ)エタン、α,α′−ジクロロオルソキシレ
ン、α,α′−ジクロロメタキシレン、α,α′−ジク
ロロパラキシレンまたはネオペンチルグリコールのベン
ゼンスルホン酸ジエステルなどが挙げられる。また、ア
ルコキシメチル化合物、アミノメチル化合物またはN,
N−ジアルキルアミノメチル化合物としては1,3−ジ
メトキシメチル−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、
1,3−キシリレンジアミン、1,3−ジ(ジメチルア
ミノメチル)−2−メトキシ−5−メチルベンゼン、
1,3−ジ(ジメチルアミノメチル)−4−ヒドロキシ
−5−ターシャリブチルベンゼンまたは1,3−ジ(ジ
メチルアミノメチル)−4−メトキシ−5−ターシャリ
ブチルベンゼンなどを挙げる事が出来る。
しては1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、
1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、3−オキ
サ−1,5−ペンチレン基、3,6−ジオキサ−1,8
−オクチレン基、α,α′−オルソキシリレン基、α,
α′−メタキシリレン基、α,α′−パラキシリレン
基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、2−メ
トキシ−5−メチル−α,α′−メタキシリレン基、4
−ヒドロキシ−5−ターシャリブチル−α,α′−メタ
キシリレン基または4−メトキシ−5−ターシャリブチ
ル−α,α′−メタキシリレン基などである。
フォスファフェナンスレン−10−オキサイドと一般式
1中のRを形成させるのに適したハロゲン化合物または
スルホン酸エステルとの縮合反応は通常、有機溶媒と有
機塩基の存在下に行なわれる。また9,10−ジヒドロ
−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10
−オキサイドとメトキシメチル化合物、アミノメチル化
合物またはN,N−ジアルキルアミノメチル化合物との
縮合反応は塩化亜鉛などの触媒の存在下に加熱下に行な
われる。これらの縮合反応によって得られた一般式1で
表される有機りん化合物は通常、若干の精製を施して、
ポリエステルの製造過程で添加される。
程、重合過程そして成形過程の三つの過程から構成され
ていて、そのいずれの過程において本発明に係る一般式
1で表される有機りん化合物を添加しても同じ難燃性ポ
リエステルが得られる。しかしながら、製造上の便利さ
からは成形過程で添加されるのが最もこのましい。
係る有機りん化合物の製造例、本発明の実施例および比
較例を挙げて説明する。なお、例中の%はことわらない
かぎり重量%を表すものとする。 製造例1 かきまぜ機、温度計、還流冷却器およびガス吹き込み口
の付いた内容積3,000ミリリットルの硬質ガラス製
四つ口フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−1
0−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド(構造
式4)843グラム(1.5×2×1.3モル=3.9
モル)、トリエチルアミン333グラム(1.5×2×
1.1モル=3.3モル)およびジメチルアセトアミド
600グラムを仕込み加熱した。内容物が溶解したら、
かきまぜ始め、フラスコを冷却して内容物の温度を60
℃にした。この温度でパラキシリレンジクロライド26
2.5グラム(1.5モル)のうちの半量を加えた。反
応がただちに、進行して内容物の温度が上昇する傾向に
あったので、フラスコを冷却して、内容物の温度が60
℃をこえないようにした。3時間後に残りの半量を加え
て、内容物の温度を60℃に保って、3時間反応させた
後、フラスコを加熱し2時間かけて内容物の温度を90
℃にした。90℃に2時間保ったところ、液体クロマト
グラフィーにより反応の完結が確認された。反応混合物
にあらかじめ準備していた目的物の結晶を結晶核として
少量加えて、60℃に一夜放置した。60℃の温度で、
この反応混合物を濾過し、結晶を採取した。結晶は目的
化合物とトリエチルアミンの塩酸塩であった。結晶を水
2,000ミリリットルを仕込んである内容積3,00
0ミリリットルのフラスコに移して、内容物を1時間沸
騰させた。これを40℃まで冷却してから濾過し結晶を
採取した。結晶を濾過して採取し、トリクロルベンゼン
で再結晶法によって精製して、目的物約350グラムが
得られた。
いた内容積5,000ミリリットルの三つ口フラスコに
水2,500グラム、トルエン600グラムおよび35
%塩酸30グラムを仕込み、かきまぜながら、フラスコ
を加熱して内容物の温度を80℃にした。これに最初に
得られた濾液を加えた。充分かきまぜた後、フラスコを
30℃まで冷却して、静置してから、水相を除去した。
フラスコに炭酸ナトリウム30グラムを含有した水2,
000グラムを加えて、かきまぜながら内容物を沸騰さ
せた。ふたたび内容物を30℃まで冷却してから静置し
水相を除去した。トルエン相は目的化合物の非結晶性の
立体異性体を含有していた。この異性体を結晶性の目的
物に異性化して、さらに結晶性粉末約420グラムが得
られた。一回目の結晶と合わせて770グラムであり、
これは理論収量にたいしては96%であった。りんの分
析によれば、りん含有量が11.6%、マススペクトル
分析によれば、分子量が534、熱分析によれば、融点
が279.3℃であった。ゆえに、この有機りん化合物
は構造式5である。
フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フ
ォスファフェナンスレン−10−オキサイド843グラ
ム、2,2′−ジクロロエチルエーテル215グラム
(1.5モル)およびN,N−ジメチルアセトアミド6
00グラムを仕込んだ。フラスコを加熱して内容物の温
度が130℃に達したので滴下ロートからトリエチルア
ミン333グラムを滴下した。トリエチルアミンの滴下
はフラスコ内が還流状態を保ち、しかも内容物の温度が
130℃以下にならないように調節した。滴下におよそ
4時間を要した。その後、内容物の温度を150℃まで
上昇させ、この温度に10時間保った。この間液体クロ
マトグラフィーによって内容物の変化を追跡して反応の
終点を見極めた。反応の終了を確認してから、反応混合
物を製造例1と同様に処理して、目的物の白色結晶性粉
末830グラムが得られた。分析によれば、生成物はり
ん含量が12.3%、マススペクトルによる分析によれ
ば、分子量が502であった。ゆえに、生成物は構造式
6である。
2.5グラムをネオペンチルグリコールのベンゼンスル
フォン酸ジエステル576グラムに代えた以外は製造例
1と全く同様にして、87%の収率で、約650グラム
の有機りん化合物が得られた。これは分析によって、り
ん含量が12.4%、マススペクトルの分析によって、
分子量が500である事が確認された。従って、これは
構造式7である。
いた内容積3,000ミリリットルの硬質ガラス製の四
つ口フラスコに9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10
−ファスファフェナンスレン−10−オキサイド864
グラム(4モル)を仕込み、フラスコを加熱した。12
0℃で内容物が融解したのでかきまぜ始めた。ここで、
滴下ロートから1,3−ジ(ジメチルアミノメチル)−
2−メトキシ−5−メチルベンゼン401グラム(1.
7モル)を2時間にわたって滴下した。この間、ガス状
のジメチルアミンが発生したので還流冷却器の頂部から
除去した。滴下終了後、次第に温度を上昇させて200
℃で約8時間この温度を保った。反応の進行を液体クロ
マトグラフィーによって追跡して反応の終点を見極め
た。反応混合物にジメチルアセトアミド1,000グラ
ムを加えてから温度を80℃に保って一夜放置した。フ
ラスコ内容物は白色の結晶を含有した懸濁状態に変化し
た。以降、製造例1と同様にして、約855グラムの有
機りん化合物が得られ、収率は87%であった。分析に
よれば、りん含量が10.7%であり、マススペクトル
の分析によって分子量が578である事が確認された。
ゆえに、生成物は構造式8である。
填した精留塔およびガス吹き込み口の付いた内容積3,
000ミリリットルの四つ口フラスコにジメチルテレフ
タレート1,746グラム(9モル)、エチレングリコ
ール1,426グラム(23モル)、三酸化アンチモン
0.15グラム、酢酸亜鉛0.5グラム、トリメチルホ
スフェート0.4グラムおよび製造例1で得られた構造
式5で表される有機りん化合物100グラムを仕込んで
フラスコを加熱した。内容物が130℃で溶解したので
かきまぜ始めた。さらにフラスコを加熱して、内容物の
温度を上昇させたら精留塔頂から反応によって生成した
メタノールが留出したのでこれを除去した。精留塔頂か
らはメタノールだけが留出してエチレングリコールが留
出しないように加熱を調節しながら徐々に内容物の温度
を上昇させた。内容物の温度が約230℃に達してメタ
ノールの留出がほとんど停止した。液体クロマトグラフ
ィーによって構造式5は全く変化のない事が確認され
た。これを内容積3,000ミリリットルのステンレス
スチール製のポリエステル重合用オートクレーブに移
し、オートクレーブを加熱してエチレングリコールを除
去した。次に、オートクレーブ内の圧力を次第に減じ
て、最後には、0.1Torr、275℃の条件で重合
過程を終了した。オートクレーブを窒素で加圧して、常
法によって反応物を排出すると同時にペレット化した。
ペレットは固有粘度が0.63であり、りん含量は0.
61%であった。続いて、このペレットを紡糸機で紡糸
延伸してフィラメントにした。この固有粘度は0.6
2、融点は272℃、そしてりん含量はペレットと同じ
く0.61%であった。 実施例2 実施例1で使用した内容積3,000ミリリットルのフ
ラスコにジメチルテレフタレート1,746グラム、エ
チレングリコール1,426グラム、三酸化アンチモン
0.15グラム、酢酸亜鉛0.5およびトリメチルホス
フェート0.4グラムを仕込んで、実施例1と同様にエ
ステル交換反応を行なわせた。これに構造式5で表され
るりん化合物100グラムを加えて、内容積3,000
ミリリットルのオートクレーブに移した。以後、実施例
1と同様にして、フィラメントにした。フィラメントの
固有粘度は0.62、融点は270℃、そしてりん含量
は0.61%であった。 実施例3 固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラー
ポリエステル1,728グラムに構造式5で表される有
機りん化合物100グラムを混合して、実施例1と同様
にしてフィラメントを作成した。このフィラメントの固
有粘度は0.61、融点は272℃、そしてりん含量は
0.62%であった。 実施例4 固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラー
ポリエステル1,728グラムに製造例2で得られた構
造式6で表される有機りん化合物92グラムを混合し
て、実施例1と同様にしてフィラメントを作成した。こ
のフィラメントの固有粘度は0.60、融点は270
℃、そしてりん含量は0.61%であった。 実施例5 固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラー
ポリエステル1,728グラムに製造例3で得られた構
造式7で表される有機りん化合物92グラムを混合し
て、実施例1と同様にしてフィラメントを作成した。こ
のフィラメントの固有粘度は0.60、融点は269
℃、そしてりん含量は0.62%であった。 実施例6 固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラー
ポリエステル1,728グラムに製造例4で得られた構
造式8で表される有機りん化合物110グラムを混合
し、実施例1と同様にして、フィラメントを作成した。
このフィラメントの固有粘度は0.60、融点は272
℃、そしてりん含量は0.63%であった。 比較例1 実施例1で使用した内容積3,000ミリリットルの四
つ口フラスコにジメチルテレフタレート1,746グラ
ム、エチレングリコール1,426グラム、三酸化アン
チモン0.15グラム、酢酸亜鉛0.5グラム、トリメ
チルホスフェート0.4グラムおよび構造式2で表され
る有機りん化合物130グラムを仕込み、実施例1と全
く同様にして難燃性ポリエステルのフィラメントが得ら
れた。このフィラメントは固有粘度が0.61、融点あ
264℃、そしてりん含量が0.62%であった。 比較例2 固有粘度が0.62、融点が275℃であるレギュラー
ポリエステル1,728グラムにトリフェニルホスフェ
ート120グラムを混合し、実施例1と同様にして、フ
ィラメントを作成しようとしたが、固有粘度の低下が著
しくフェラメントは得られなかった。これは、ポリエス
テルとトリフェニルホスフェートが成形時の高温でエス
テル交換反応を起こして分子量の低下を来したためであ
ると理解される。従って、以下の難燃性ポリエステルと
しての評価は不可能であった。 実施例7 実施例1ないし実施例6、比較例1で得られたフィラメ
ントおよびレギュラーポリエステルから作成したフィラ
メントをメリヤス編みにして、その1グラムを長さ10
センチメートルの針金のコイルに入れた。これを45度
の角度に保持して、下端から点火した。炎を外して、試
料が消火した場合には再度点火を繰り返して、試料の全
部を燃焼するに要した点火の回数を測定した。一つのサ
ンプルについて、同じ測定を5回ずつ行なって難燃性の
評価とした。その結果を表1に示す。
ントおよびレギュラーポリエステルを紡糸延伸して作成
したフィラメントをそれぞれ水中で100℃、24時間
の条件で耐縮性の評価をした。レギュラーポリエステル
の耐縮性を5とし比較例1の耐縮合性を3として評価採
点した。その結果を表2に示す。
ん化合物はエステル化反応またはエステル交換反応に対
して不活性(無官能性)である事、分子量が大きく非揮
発性ないしは非抽出性である事および熱に対して安定で
ある事などの諸特性を備えているために、ポリエステル
のどの製造過程で添加しても、難燃性ポリエステルを製
造し得る利点を有している。特に、ポリエステルの成形
過程で添加し得る事は他に類を見ない長所となってい
る。
性ポリエステルは従来の難燃性ポリエステルに比較し
て、難燃効果およびドライクリーニングなどによる非抽
出性は同一であるが、融点の高い事および加熱時の縮み
の少ない事などの繊維としての優れた特徴を有してい
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式1で表される有機りん化合物を含
有している事を特徴とする難燃性ポリエステル: 【化1】 (Rはアルキレン基、主鎖中にエーテル酸素を持ってい
るアルキレン基、α,α′−キシリレン基またはベンゼ
ン核に置換基を持っていてもよいα,α′−メタキシリ
レン基を示し、ここでアルキレン基は炭素数1〜12で
ある)。 - 【請求項2】 一般式1で表される有機りん化合物をポ
リエステルの製造過程で添加する事を特徴とする難燃性
ポリエステルの製造方法。 - 【請求項3】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
ートである請求項1記載の難燃性ポリエステル。 - 【請求項4】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
ートである請求項2記載の難燃性ポリエステルの製造方
法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP27121797A JP3897138B2 (ja) | 1997-10-03 | 1997-10-03 | 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法 |
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---|---|---|---|
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