JPH11105056A - 薄肉成形品の射出成形方法 - Google Patents

薄肉成形品の射出成形方法

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JPH11105056A
JPH11105056A JP27230497A JP27230497A JPH11105056A JP H11105056 A JPH11105056 A JP H11105056A JP 27230497 A JP27230497 A JP 27230497A JP 27230497 A JP27230497 A JP 27230497A JP H11105056 A JPH11105056 A JP H11105056A
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JP
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resin
shear rate
viscosity
molding
thin
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JP27230497A
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Kazuto Asahina
和人 朝比奈
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄肉成形品の射出成形を、一般の成形機を用
い、製品形状に大きな制約を受けたり、配向による変形
及び製品強度の低下をきたすことなく容易に行う。 【解決手段】 樹脂温度220℃、剪断速度10000
-1での樹脂粘度が5〜20Pa・sで、220℃の樹
脂温度における剪断速度100秒-1の樹脂粘度と剪断速
度10000秒-1の樹脂粘度の二乗の比が1.7〜3.
5のポリスチレン系樹脂を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂の射出成形の
分野で薄肉成形品の射出成形を容易にする射出成形方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄肉成形品の射出成形技術として
は、高速高圧射出成形法やインジェクションコンプレッ
ション成形法等の特殊な専用成形機を用いる成形技術が
知られている。また、粘度を極限まで低下させた超良流
動樹脂を用い、剛性や衝撃強度等の物性を犠牲にするこ
とで薄肉成形品の射出成形を可能にする成形方法も知ら
れている。
【0003】一方、一般的な射出成形の分野における薄
肉成形品の射出成形とは、良流動樹脂と一般的な成形機
とを用い、これによって成形可能なぎりぎりの製品肉厚
まで薄肉化する成形方法をいう場合が多い。この方法で
は当然薄肉化できるレベルには大きな制約がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特殊な専用
成形機を用いる方法では、この成形機購入にかかるコス
トが大きな負担となる。また、金型構造や製品形状に大
きな制約を受けたり、製品に樹脂配向が強くかかり、反
りや強度低下を生じることがあるという問題もある。
【0005】超良流動樹脂を用いる場合には、製品が必
要とする強度や剛性が十分に得にくい問題がある。
【0006】本発明は、上記従来の問題点にかんがみて
なされたもので、薄肉成形品の射出成形を、一般の成形
機を用い、製品形状に大きな制約を受けたり、配向によ
る製品強度の低下をきたすことなく容易に行えるように
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このために本発明では、
肉厚0.5mm〜1.7mmの薄肉成形品の射出成形に
おいて、樹脂温度220℃、剪断速度10000秒-1
の樹脂粘度が5〜20Pa・sで、更に220℃の樹脂
温度における剪断速度100秒-1の樹脂粘度と剪断速度
10000秒-1の樹脂粘度の二乗の比が1.7〜3.5
であるポリスチレン系樹脂を用いて射出成形することを
特徴とする薄肉成形品の射出成形方法としているもので
ある。
【0008】また、本発明は、肉厚1.0mm〜1.7
mmの薄肉成形品の射出成形において、樹脂温度220
℃、剪断速度10000秒-1での樹脂粘度が7〜17P
a・sで、更に220℃の樹脂温度における剪断速度1
00秒-1の樹脂粘度と剪断速度10000秒-1の樹脂粘
度の二乗の比が2.0〜2.7であるポリスチレン系樹
脂を用いて射出成形することを特徴とする薄肉成形品の
射出成形方法を提供するものでもある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、薄肉成形品の射出成形
において、キャビティ内を流れる樹脂流動の挙動を注意
深く観察した結果、キャビティ内での樹脂の流動はキャ
ビティ全体に均等に生じるのではなく、樹脂の流れる道
(これを「湯道」と称する。)を自ら形成しながら進展
することが見出されたことに基づいてなされたものであ
る。
【0010】図1〜図4は、テスト製品の射出成形にお
いて、湯道が形成する状況を示すCAE解析図を模式的
に示す図である。各図に一点鎖線で示されるのがテスト
製品の外形で、図1のテスト製品は肉厚1.2mm、図
2のテスト製品は肉厚1.5mm、図3のテスト製品は
肉厚2.0mm、図4のテスト製品は肉厚3.0mmで
ある。
【0011】湯道が形成される状況は、湯道上の樹脂が
その流動に伴って大きな剪断速度を受けることになるこ
とから、樹脂流動時の剪断速度分布図により確認するこ
とができる。図1及び図2から分かるように、肉厚1.
5mm以下の場合、湯道の形成は明確に確認できる。し
かし、図3から分かるように、肉厚2mmでは湯道形成
は僅かで、図4から分かるように、肉厚3mmでは殆ど
湯道が形成されていない。
【0012】即ち、湯道の形成は、少なくとも肉厚2m
m以下の薄肉という状況で生じている。この湯道上を流
れる樹脂の剪断速度は、図1及び図2に示されるよう
に、湯道以外より遥かに大きく、そのために湯道上を流
れる樹脂には大きな剪断発熱が生じる。この高剪断速度
と高剪断発熱により、湯道上を流れる樹脂の粘度は著し
く低下する。そして、この傾向は製品の肉厚が薄くなる
ほど顕著となる。
【0013】上述の発見を更に発展させると次のような
結論に達する。即ち、樹脂はこの湯道を介してキャビテ
ィ内に広がって充填されることから、薄肉成形品の射出
成形における成形性に大きな影響を与える樹脂粘度と
は、この湯道上を流れる高剪断速度領域の樹脂粘度であ
る。そして、製品の肉厚が薄くなるほど高剪断速度領域
(湯道)が顕著に発生することから、製品の肉厚が薄く
なるほど高剪断速度領域の樹脂粘度がキャビティ内の樹
脂流動における支配的要因となる。
【0014】上記湯道の形成という、新たに見出された
樹脂流動現象からすれば、薄肉成形品の射出成形に関す
る理想的な樹脂粘度特性を得るためには、低剪断速度領
域から高剪断速度領域までの全ての領域において樹脂粘
度を均等に下げる必要はない。つまり、高剪断速度領域
の樹脂粘度を選択的に下げればよく、低剪断速度領域の
樹脂粘度をあえて下げる必要はない。このことは、樹脂
の衝撃強度や剛性等の物性をあまり低下させることな
く、種々の用途の薄肉成形品を容易に射出成形できる樹
脂の開発が可能であることを意味している。
【0015】薄肉成形品の射出成形において、キャビテ
ィ内を流れる樹脂が、上記のような湯道を自ら形成する
理由は、そのような樹脂の流れが最も少ないエネルギー
で樹脂を金型内に充填させることができるためと考えら
れる。しかし、今まで射出成形において多くの研究がな
されてきたにも拘らず、ここに示した湯道を自ら形成す
るという樹脂の流動挙動は必ずしも理解されていなかっ
た。そして、そのことが薄肉成形品の射出成形に関する
技術的な発展を阻害してきたものと思われる。本発明
は、薄肉成形品の射出成形に関する正しい樹脂流動挙動
を発見し、そして応用したものである。
【0016】本発明は、このような湯道の形成という、
新たに見出された樹脂流動現象に基づくもので、特に肉
厚0.5mm〜1.7mmの薄肉成形品の射出成形に対
して有効なものである。肉厚が0.5mm未満では、キ
ャビティの厚みが小さ過ぎ、本発明における樹脂の調製
を行っても、良好な成形品を得るのが困難である。ま
た、肉厚が1.7mmを超えると、上記湯道の形成が不
十分で、本発明における樹脂の調製が有効に機能しにく
くなり、やはり良好な成形品が得にくくなる。
【0017】本発明で用いる樹脂は、高剪断速度領域の
樹脂粘度が低いポリスチレン系樹脂である。具体的に
は、樹脂温度220℃、剪断速度10000秒-1での樹
脂粘度が5〜20Pa・sであることが必要で、好まし
くは7〜17Pa・sである。この高剪断速度領域での
樹脂粘度が5Pa・s未満では樹脂充填途中の射出圧力
は低減するが、湯道の形成が不安定となり、ショートシ
ョットが発生しやすくなる。20Pa・sを超えると薄
肉成形における本発明の特徴がでにくくなる。また、本
発明が特にポリスチレン系樹脂を対象としている理由
は、本発明の特徴が非晶性樹脂に特有の性質であり、更
に工業的に最も利用価値の高い樹脂のためである。
【0018】本発明におけるポリスチレン系樹脂とは、
ポリスチレン又はポリスチレンを50重量%以上含む共
重合体、或いは複合体である。具体的には、例えば共重
合体では耐衝撃性ポリスチレン(スチレン−ブタジエン
共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共
重合体)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メチルメタクリレ
ート−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS樹脂
(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合
体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピ
レンゴム−スチレン共重合体)、等を挙げることができ
る。また上記共重合体と複合する樹脂としてはPMMA
(アクリル樹脂)、PC(ポリカーボネート)、PPE
(変性ポリフェニレンエーテル)等を挙げることができ
る。
【0019】ところで、高剪断速度領域の樹脂粘度のみ
を低下させたポリスチレン系樹脂を用いた実験では、肉
厚1.7mm以下の薄肉射出成形において、剪断速度1
0000秒-1以上の樹脂粘度が射出圧力に大きな影響を
及ぼした。逆に剪断速度100秒-1以下の樹脂粘度を下
げても射出圧力を低減する効果は小さく、しかもこの剪
断速度100秒-1以下の樹脂粘度を下げた場合、衝撃強
度や剛性等の物性を低下させる原因となる可能性もあ
る。従って、本発明で用いるポリスチレン系樹脂は、高
剪断速度領域での樹脂粘度が小さいだけでなく、低剪断
速度領域の樹脂粘度がある程度高く保たれていることが
必要となる。
【0020】そこで、薄肉成形に適したポリスチレン系
樹脂の粘度特性を規定する条件について探索した結果、
樹脂温度220℃の条件下で剪断速度100秒-1での樹
脂粘度と剪断速度10000秒-1での樹脂粘度の二乗の
比が薄肉成形品の射出成形性をうまく表現できる樹脂粘
度評価基準となることを発見した。この値が薄肉成形品
の射出成形性をうまく表現できる樹脂粘度評価基準とな
る理由は、本発明の特徴は低剪断速度の樹脂粘度よりも
高剪断速度の樹脂粘度に大きな影響を受けるため、低剪
断速度と高剪断速度の樹脂粘度比だけでは成形性をうま
く表現することができず、高剪断速度の粘度を二乗する
ことにより高剪断速度における粘度に重みを加えること
ができ、本発明の特徴がうまく表現できることにある。
以下、この値をV値と称する。V値は、樹脂温度220
℃の条件下で剪断速度100秒-1での樹脂粘度をρ1
し、樹脂温度220℃の条件下で剪断速度10000秒
-1での樹脂粘度をρ2 とすると、以下の式により定義で
きる。
【0021】V値=ρ1 /ρ2 2 本発明におけるV値は、1.7〜3.5であることが必
要で、2.0〜2.7であることが好ましい。V値が
1.7未満では本発明の特徴が十分でず、3.5を超え
ると湯道の形成が不安定となり、樹脂充填途中の射出圧
力は低くなるが、ショートショットが発生しやすくな
る。
【0022】上記V値は、測定する樹脂温度が異なれば
異なるものとなる。しかし、ポリスチレン系樹脂の薄肉
成形性に関する粘度評価基準としては、代表的な温度一
つをとれば十分である。
【0023】図5は、一般流動性を有するポリスチレン
系樹脂と、これと同程度の低剪断速度領域の樹脂粘度を
有し、V値の異なる複数のポリスチレン系樹脂とを用い
て行った実験結果をグラフ化したものである。この図で
は、製品肉厚2mm以上で射出圧力はV値の影響を殆ど
受けていない。しかし、製品肉厚2mm以下になると射
出圧力はV値の影響を受け始める。製品肉厚1.5mm
以下になると射出圧力はV値の影響を大きく受けてい
る。即ち、この図では、製品肉厚が薄く且つV値の大き
い樹脂を用いるほど射出圧力は相対的に低くなる傾向と
なっている。肉厚1.7mm以下の薄肉射出成形におい
て明らかに射出圧力を低減する効果のあるV値は1.7
以上(実施例1のV値=1.73)であり、更に望まし
くは2.0以上(実施例2のV値=2.02)であるこ
とが分かる。
【0024】図6は、良流動ポリスチレン系樹脂と、こ
れと同程度の低剪断速度領域の樹脂粘度を有し、V値の
異なる複数のポリスチレン系樹脂とを用いて行った実験
結果をグラフ化したもの、図7は、低流動ポリスチレン
系樹脂と、これと同程度の低剪断速度領域の樹脂粘度を
有し、V値の異なる複数のポリスチレン系樹脂とを用い
て行った実験結果をグラフ化したものであるが、いずれ
も図5と同様の傾向を示している。
【0025】本発明で用いるポリスチレン系樹脂は、既
存のポリスチレン系樹脂に数%の高分子量非相溶成分を
混ぜることにより、低剪断速度領域の樹脂粘度は殆ど低
下させることなく、高剪断速度領域の粘度のみを低下さ
せることで容易に得ることができる。この調製方法で
は、ベース樹脂であるポリスチレンの分子量及び高分子
量非相溶成分の添加量を変化させることで粘度特性を変
化させることができる。
【0026】低剪断速度領域の樹脂粘度は殆ど低下させ
ることなく、高剪断速度領域の粘度のみを低下させるに
は他の方法も利用できる。例えばベース樹脂に対し分子
量や性質の異なる二種以上の樹脂のブレンド、一種類以
上の無機及び/又は有機フィラー材のブレンド、一種類
以上の低分子量非相溶成分のブレンド、及びそれらの複
合処方である。その他に、重合ベースによる方法も利用
できる。例えば多官能性触媒を用い、重合段階で分岐ポ
リマーを合成して、分子鎖の絡み合い効果により粘度特
性を変化させる方法がある。また、ベース樹脂に対し一
種類以上の異なるポリマーを共重合、ブロック重合、或
いはグラフト重合させる方法も利用できる。
【0027】いずれの方法を用いる場合でも、重要な点
は薄肉成形に適した樹脂粘度特性を得ることである。こ
こでいう粘度特性とは、剪断速度に対する粘度変化のこ
とであり、また樹脂温度に対する粘度変化のことでもあ
る。しかし、薄肉成形品の射出成形では剪断速度に対す
る樹脂粘度変化の方が成形性に大きな影響を与えるため
重要である。
【0028】本発明によって得られる薄肉成形品の用途
としては、例えばビデオカセットシェル及びハブ、レー
ザープリンター用トナーカートリッジ、ビデオカメラハ
ウジング、ノートパソコンハウジング、ミニディスク
(MD)シェル、オーディオカセットシェル、フロッピ
ーディスク(FD)シェル、携帯電話機(PHS等)ハ
ウジング等、OA並びに家電分野の用途が多数ある。ま
た、プラスチックコップ(使い捨てコップ)、ヨーグル
ト容器等の食品用途もある。
【0029】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を更に
詳細に説明する。但し、以下に述べる実施例及び比較例
はいかなる意味においても本発明を制限するものではな
い。
【0030】実施例1〜6、比較例1〜3 実施例及び比較例に用いたテスト用金型のキャビティ寸
法は、縦50mm、横280mm、奥行き123mm程
の箱形形状で、キャビティ厚みは3.0mm、2.0m
m、1.5mm、1.2mmの4種類の交換キャビティ
金型を用いて肉厚を変更した。尚、各キャビティの肉厚
は一定である。
【0031】本実施例及び比較例に用いた樹脂の粘度測
定に用いた粘度測定器は、ROSAND社製の「キャピ
ラリーレオメーター(RH−7)」である。成形に用い
た成型機は東芝機械社製の「IS−100G」である。
成形時の樹脂圧力測定に用いたシステムはニレコ社製の
「モバックシステム220」である。ノズル先端部の樹
脂圧力を測定した圧力センサーはニレコ社製の「ストレ
ンゲージ式ノズル圧センサー」である。本実施例及び比
較例のコンピューターシミュレーションに用いたCAE
ソフトウェアはMoldflow社製の「MF/FLO
W」である。また、メルトフローレイト(g/10mi
n)はISO・R1133に基づいて測定した。
【0032】実施例及び比較例には9種類のポリスチレ
ン系樹脂を用いた。そのうち比較例に用いた3種類の樹
脂は、旭化成工業社製のハイインパクトポリスチレン
で、グレード名「408」(一般流動性)が樹脂
(X)、グレード名「470A」(良流動性)が樹脂
(Y)、グレード名「400」(低流動性)が樹脂
(Z)である。また、実施例に用いた6種類の樹脂は、
今回新たに薄肉成形品成形用樹脂として調製したポリス
チレン系樹脂であり、樹脂(A)〜樹脂(F)とした。
【0033】湯道形成の確認方法はCAE流動解析によ
り行った。成形過程で生じる湯道上の剪断速度は他の部
分より大きく、図1〜図4に示す通り、CAE解析図上
で湯道は高剪断領域として確認することができる。
【0034】射出成形は、成形機ノズル先端部からパー
ジした樹脂温度が220±5℃となるようにシリンダー
温度をセットして行った。具体的なシリンダー温度の設
定は180℃〜220℃の範囲内でコントロールした。
金型温度は循環水により40±5℃となるようにコント
ロールした。但し、この温度は成形前の状態での温度で
ある。樹脂の射出時間は1.5±0.2秒とした。これ
は実質的にスクリュウが前進し、樹脂がキャビティ内に
流入している時間である。樹脂がキャビティ内部に満た
された後の保圧時間は射出時間に含まれない。ゲート・
ランナーの構造はホットランナー・バルブゲートで、ゲ
ート径は2.0φmmとした。
【0035】成形機ノズル部の樹脂圧力測定にはノズル
部にストレーンゲージ式圧力計を設置し、充填保圧過程
の樹脂圧力変化を直接モバックシステムで記録コンピュ
ーターに保存した。後で専用のソフトにより最大樹脂圧
力求め、これを成形射出圧力とした。射出成形過程の一
般的な剪断速度測定技術は現在殆ど知られていない。そ
のためCAE流動解析による手法を用いた。実施例及び
比較例と同じ形状データ、成形条件及び樹脂の粘度デー
タ等をインプットし、流動解析を行った。そして、最大
剪断速度分布図から湯道及び湯道以外の部分でのおおよ
その平均的な最大剪断速度を示す位置を選択し、数値デ
ータを出力した。最大剪断速度とは、その部分での樹脂
充填過程中の最大の剪断速度のことである。また、平均
的な剪断速度の位置をここでは代表的な位置と表現する
ことにした。
【0036】表1は、一般流動ポリスチレン系樹脂に関
する比較例1と、実施例1〜3の結果である。表1に記
した項目は比較例1、実施例1〜3に用いた樹脂名、メ
ルトフローレイト(ISO・R1133)、樹脂温度2
20℃での各剪断速度に対する樹脂粘度、V値、各製品
肉厚での成形射出圧力、CAE解析から求めた代表的な
湯道上での最大剪断速度及び代表的な湯道以外の最大剪
断速度である。この最大剪断速度は、前記の通り、おお
よその平均値ではあるが、変化の傾向を評価するには十
分である。その評価とは、湯道の方が湯道以外の部分よ
り遥かに最大剪断速度が大きいこと、また樹脂のV値が
大きいほど湯道上の最大剪断速度が大きいことである。
【0037】比較例1の樹脂(X)のV値は1.39で
あり、薄肉射出成形に適した粘度特性は有していない。
また、実施例1は薄肉成形品射出成形用として調整した
樹脂(A)に関するものである。この樹脂(A)のV値
は1.73であり、薄肉成形品の射出成形に適した粘度
特性をぎりぎり有している。実施例2、実施例3も、同
じく薄肉成形品射出成形用として調整した樹脂(B)、
樹脂(C)に関するものである。これらの樹脂のV値は
2.02と2.41であり薄肉成形品射出成形に適した
樹脂としての粘度特性を有している。これらの実験デー
タをグラフ化したものが図5である。製品肉厚1.7m
m以下、V値が1.7以上で、射出圧力は明らかに比較
例1より低下している。
【0038】表2は、良流動ポリスチレン系樹脂に関す
る比較例2と、実施例4の結果であり、項目の内容は表
1と同様である。比較例2の樹脂(Y)のV値は1.1
3であり、薄肉成形品射出成形に適した粘度特性を有し
ていない。また、実施例4は薄肉成形用として調整した
樹脂(D)に関するものである。この樹脂(D)のV値
は2.23であり、薄肉成形品射出成形に適した樹脂と
しての粘度特性を有している。これらの実験データをグ
ラフ化したのもが図6である。V値に対する射出圧力の
関係は前記図5の場合と同様である。
【0039】表3は、低流動ポリスチレン系樹脂に関す
る比較例3と、実施例5及び6の結果である。項目の内
容は表1と同様である。比較例3の樹脂(Z)のV値は
1.04であり、薄肉射出成形に適した粘度特性を有し
ていない。実施例5、実施例6は薄肉成形用として調整
した樹脂(E)、樹脂(F)に関するものである。これ
らの樹脂のV値は2.09と2.46であり、薄肉射出
成形に適した樹脂としての粘度特性を有している。これ
らの実験データをグラフ化したのもが図7である。V値
に対する射出圧力の関係は前記図5の場合と同様であ
る。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明は、従来の射出成形では成形が困
難か或いは特殊な専用成形機を用いなければ成形できな
かった薄肉成形品を一般の射出成形機で成形可能とし、
更に強度及び剛性等の物性の低下、フローマークの発
生、配向による反り等の成形不良の発生が生じにくく、
良好な薄肉射出成形品を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】製品肉厚1.2mmのテスト製品を射出成形し
たときの最大剪断速度分布・CAE解析図を模式的に示
す図である。
【図2】製品肉厚1.5mmのテスト製品を射出成形し
たときの最大剪断速度分布・CAE解析図を模式的に示
す図である。
【図3】製品肉厚2.0mmのテスト製品を射出成形し
たときの最大剪断速度分布・CAE解析図を模式的に示
す図である。
【図4】製品肉厚3.0mmのテスト製品を射出成形し
たときの最大剪断速度分布・CAE解析図を模式的に示
す図である。
【図5】実施例1〜3と比較例1の製品肉厚と射出圧力
の関係グラフである。
【図6】実施例4と比較例2の製品肉厚と射出圧力の関
係グラフである。
【図7】実施例5及び6と比較例3の製品肉厚と射出圧
力の関係グラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 肉厚0.5mm〜1.7mmの薄肉成形
    品の射出成形において、樹脂温度220℃、剪断速度1
    0000秒-1での樹脂粘度が5〜20Pa・sで、更に
    220℃の樹脂温度における剪断速度100秒-1の樹脂
    粘度と剪断速度10000秒-1の樹脂粘度の二乗の比が
    1.7〜3.5であるポリスチレン系樹脂を用いて射出
    成形することを特徴とする薄肉成形品の射出成形方法。
  2. 【請求項2】 ポリスチレン系樹脂が、樹脂温度220
    ℃、剪断速度10000秒-1での樹脂粘度が7〜17P
    a・sで、更に220℃の樹脂温度における剪断速度1
    00秒-1の樹脂粘度と剪断速度10000秒-1の樹脂粘
    度の二乗の比が2.0〜2.7であることを特徴とする
    請求項1の薄肉成形品の射出成形方法。
JP27230497A 1997-10-06 1997-10-06 薄肉成形品の射出成形方法 Pending JPH11105056A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002143650A (ja) * 2000-11-13 2002-05-21 Toray Ind Inc 中空糸膜モジュール
JP2005283539A (ja) * 2004-03-31 2005-10-13 Mahle Tennex Corp フィラー樹脂組成物の解析方法,解析プログラム,解析プログラムを記録した記録媒体
JP2016215649A (ja) * 2016-06-20 2016-12-22 株式会社吉野工業所 合成樹脂製ボトルとその成形方法

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