JP2002143650A - 中空糸膜モジュール - Google Patents

中空糸膜モジュール

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JP2002143650A
JP2002143650A JP2000344765A JP2000344765A JP2002143650A JP 2002143650 A JP2002143650 A JP 2002143650A JP 2000344765 A JP2000344765 A JP 2000344765A JP 2000344765 A JP2000344765 A JP 2000344765A JP 2002143650 A JP2002143650 A JP 2002143650A
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龍夫 秋本
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久昭 藤野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂からモジュールケースを構成する場合であ
っても、内分泌攪乱物質を溶出したり、焼却による環境
汚染を生じないようにした高耐候性の中空糸膜モジュー
ルを提供する。 【解決手段】ケース内に多数本の中空糸膜が束ねられた
中空糸膜束を収納し、該中空糸膜束の少なくとも片端部
を樹脂で接着固定すると共に、前記ケース内壁に固定し
た中空糸膜モジュールにおいて、前記ケースの少なくと
も一部をアクリロニトリル−X−スチレン共重合体(A
XS)樹脂、好ましくはXがエチレンプロピレンゴムで
あるアクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチ
レン共重合体(AES)樹脂、もしくはXがアクリルゴ
ムであるアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共
重合体(AAS)樹脂の成形材から構成したことを特徴
とする中空糸膜モジュール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は中空糸膜モジュール
に関し、さらに詳しくは、モジュールケースが耐候性を
有し、かつ環境汚染の原因とならないようにした中空糸
膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に中空糸膜モジュールは、ケース内
に多数本の中空糸膜が束ねられた中空糸膜束を収納し、
該中空糸膜束の端部を樹脂で接着固定するとともに、前
記ケース内壁に接着した構成になっている。
【0003】また、モジュール構造上は、中空糸膜モジ
ュールが濾過もしくは逆洗時にケース内部が大気圧以上
に加圧される加圧型と、加圧容器例えばタンク内に隔壁
を介して本モジュールを収納し、濾過もしくは逆洗時で
も当該モジュールケース内部には圧力のかからない常圧
型とがある。
【0004】上記モジュールケースには樹脂の成形材が
多く使用されており、そのケース成形材は大量生産が容
易な押出成形法や射出成形法によって成形されているの
が一般的である。
【0005】一方、塩化ビニル(PVC)樹脂は、耐水
性、耐酸性、耐アルカリ性、無毒、難燃性、良電気絶縁
性などのほか、多くの溶剤類にも耐える性質があり、し
かも廉価に供給されていることから、工業用基礎資材と
して幅広く利用されている。また、ポリカーボネート
(PC)樹脂は、透明性が高く、耐熱性、寸法安定性、
耐衝撃性等に優れた熱可塑性樹脂であることから、機械
部品等の工業用基礎資材として多用されている。さらに
また、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共
重合体(ABS)樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定
性、難燃性などに優れた高剛性の熱可塑性樹脂であり、
廉価に供給されていることから、塩化ビニル樹脂と同
様、工業用基礎資材として多用されている。
【0006】このような有利性から、塩化ビニル(PV
C)樹脂やポリカーボネート(PC)樹脂、あるいはア
クリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体
(ABS)樹脂は、中空糸膜モジールのケースに対して
も適用することができる。しかしながら、近年この塩化
ビニル(PVC)樹脂を焼却すると内分泌攪乱物質(い
わゆる環境ホルモン)であるダイオキシンを発生するた
め、使用後の廃棄物としての処理が難しくなってきてい
る。また、ポリカーボネート樹脂は内分泌攪乱物質であ
るビスフェノールAを原料とすることが知られており、
飲料水用途として用いる中空糸膜モジュールケースに適
用するには問題がある。
【0007】また、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
−スチレン共重合体(ABS)樹脂は、ブタジエンゴム
の架橋劣化に起因する低耐候性のため、屋外で用いる中
空糸膜モジール用ケースに適用するには、耐候性塗料を
塗装しなければならないという欠点を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の問題点を解消し、環境汚染を生じずかつ耐候
性塗料を塗装する必要のない樹脂からモジュールケース
を構成する中空糸膜モジュールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、ケース内に多数本の中空糸膜が束ねられた中空糸
膜束が収納され、該中空糸膜の少なくとも片端が樹脂で
接着固定された中空糸膜モジュールにおいて、前記ケー
スの少なくとも一部部材をアクリロニトリル−X−スチ
レン共重合体(AXS)樹脂から構成したことを特徴と
する中空糸膜モジュールである。また、前記Xが、エチ
レンプロピレンゴムもしくはアクリルゴムであることを
特徴とする上記記載の中空糸膜モジュールである。さら
にまた、前記中空糸膜モジュールが、濾過もしくは逆洗
時にケース内部が大気圧以上に加圧される加圧型である
ことを特徴とする上記記載の中空糸膜モジュールであ
る。
【0010】上記のように、ケース内壁に固定した中空
糸膜モジュールにおいて、前記ケースの少なくとも一部
部材をアクリロニトリル−X−スチレン共重合体(AX
S)樹脂、好ましくはXがエチレンプロピレンゴムであ
るアクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体(AES)樹脂、もしくはXがアクリルゴム
であるアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重
合体(AAS)樹脂から構成したことによって、飲料水
の処理用途としても問題なく使用可能であり、本モジュ
ールを焼却したとしてもダイオキシンによる環境汚染を
発生させず、かつ耐候性塗料を塗装する必要のないもの
となる。
【0011】なお、本発明において、中空糸膜束の少な
くとも片端部を樹脂で接着固定するとは、中空糸膜束の
途中をU字状に折り返すことにより両端部を一緒に纏め
て同時に接着固定する形態のほか、以下に図に例示する
ようにそれぞれ両端部を独立に接着固定する態様にした
ものであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1(A),(B)は、本発明の
実施形態からなる加圧型の中空糸膜モジュールを例示し
たものであり、(A)は縦断面図、(B)は(A)のX
−X矢視断面図である。
【0013】中空糸膜モジュール50のモジュールケー
ス1は、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−
スチレン共重合体(AES)樹脂もしくはアクリロニト
リル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS)樹脂
の押出成形、射出成形あるいはブロー成形などの成形法
により成形された複数のケース成形材から組み立てられ
ている。すなわち、モジュールケース1は、中央に長尺
の本体ケース1aを配置し、その両端部に、それぞれ中
空糸膜束3の端部3e(A)と3e' (B)を接着固定
した保持ケース1b,1b' が連結され、さらに保持ケ
ース1b,1b' の外側端に、それぞれキャップケース
1c,1c' が連結されて構成されている。
【0014】もちろん、上記全ての部材をAXS樹脂、
好ましくはAES樹脂もしくはAAS樹脂で構成する必
要はなく、当該ケースの一部の部材であっても良い。そ
の場合は、その他のケース部材は、塩化ビニール樹脂、
PC樹脂や特に屋外モジュール用においてはアクリロニ
トリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(ABS)
樹脂以外の部材、例えばステンレス鋼などの金属やその
他の樹脂を使用するのが好ましい。
【0015】中空糸膜束3は数百〜数万本の中空糸膜2
が集束されたもので、その束ねられた状態でモジュール
ケース1に収納され、その両端部3e,3e' がそれぞ
れ樹脂20によって液密に接着固定され、かつ保持ケー
ス1b,1b' の内壁に接着されている。さらに、この
ように中空糸膜束3の端部を接着固定した樹脂20の内
側面に、シリコーンなどの弾性樹脂21が積層されてい
る。この弾性樹脂21により、中空糸膜2と樹脂20と
の接着界面に集中する応力が緩和され、中空糸膜2の糸
切れが防止されるようになっている。
【0016】樹脂20により液密に接着固定された中空
糸膜束3の端部3e,3e' のうち、上方側の端部3e
は各中空糸膜2の端部が端部3eの外端面に開口してい
るが、下方側の端部3e' は各中空糸膜2の端部が樹脂
で封止されている。この両端部3e,3e' の間に挟ま
れたケース内領域は、本件中空糸膜モジュール50の濾
過域4になっている。
【0017】この濾過域4には、端部3e' に近い側の
ケース壁面に原水供給口5を設け、また端部3eに近い
側のケース壁面にエア排出口6を設けている。このエア
排出口6は、エアおよびそのエアに同伴するオーバーフ
ロー水を排出するためのものであるとともに、濃縮水排
出口を兼ねるようになっていても差し支えない。原水供
給口5が設けられた箇所のモジュールケース1(保持ケ
ース1b' )の内面には、その内周を1周に渡り覆うよ
うに整流筒15が設けられ、この整流筒15に多数分散
するように設けられた分散孔15aから、原水が均等に
濾過域4内へ供給されるようになっている。また、エア
排出口6の箇所にも、同様にモジュールケース1(保持
ケース1b)の内周面に1周に渡るように整流筒15が
設けられ、濾過処理後に懸濁物質で濃縮された濃縮水ま
たはエアレーションフラッンシング後のエアが、その整
流筒15を介して排出されるようになっている。
【0018】端部3eの外側(上方側)には、キャップ
ケース1cに囲まれた濾過水取出室7が設けられてい
る。この濾過水取出室7は、中空糸膜束3の端部3e上
面が底面となり、多数の中空糸膜2の端部が開口し、こ
の多数の開口から濾過水が濾過水取出室7内に流入する
ようになっている。また、キャップケース1cの壁面に
濾過水出口8が設けられ、濾過水取出室7内の濾過水
(精製水)をモジュールの外側へ送り出すようにしてい
る。
【0019】他方、端部3e' には、濾過域4から外側
に貫通する複数の貫通孔11が設けられ、その外側(下
方側)に空室9がキャップケース1c' に囲まれるよう
に設けられている。これら貫通孔11は端部3e' 内の
中空糸膜2と実質的に平行に設けられ、互いに干渉しな
いようになっている。複数の貫通孔11はエア分散孔兼
排水孔として設けられたもので、エアレーションフラッ
シングの際には、圧縮エアを濾過域4に吹き込むエア分
散孔になり、また原水供給時あるいは逆洗時には、濾過
域4から生ずるドレンを排出する排水孔になる。
【0020】空室9には、キャップケース1c' の側壁
に排水口10が設けられ、また下端の隔壁にエア供給口
12が設けられている。排水口10は、原水を濾過処理
するとき、あるいは逆洗操作するとき、空室9に流出し
たドレンを排水するためのものである。また、エア供給
口12は、エアレーションフラッシングの際に圧縮エア
を吹き込むための吹込口である。
【0021】上記エア供給口12には絞り孔13と逆止
弁14が設けられている。そのうち絞り孔13は、図3
に例示するように、大量の原水を濾過処理するため多数
の中空糸膜モジュール50を並列に連結して使用する場
合、エアレーションフラッシング時に、複数の各モジュ
ールにエアの量を均等に分配する作用を行う。絞り孔1
3の径は、ここで生ずる圧損が配管での圧損よりも高く
なるようにしてあればよく、例えば5kPa以上、特に
10〜30kPa程度高くなるようになっていることが
好ましい。
【0022】また、逆止弁14の方は、エア供給方向の
流れだけを許容し、排水が空室9側からエア供給口12
側へ逆流するのを阻止する作用をする。
【0023】上記中空糸膜モジュール50により原水の
濾過処理を行うときは、原水は原水供給口5から濾過域
4内へ加圧供給される。濾過域4に供給された原水は、
図2に示すように、中空糸膜束3の各中空糸膜2の表面
に多数存在する微細な径(0.01〜1μm程度)の濾
過孔2aを透過し、その時原水中の懸濁物質mを外側に
残し、水だけを通過させて精製される。多数本の中空糸
膜2によって精製された濾過水は、それぞれ中空糸膜束
3の端部eへ流れて濾過水取出室7に集められ、さらに
濾過水取出室7から濾過水出口8を経てモジュール外へ
送り出される。
【0024】原水の濾過処理を長時間続けていると、中
空糸膜2の表面に懸濁物質mが蓄積することにより濾過
機能が低下していく。そのため原水の濾過処理運転の途
中に一定のインターバルで逆洗やエアレーションフラッ
シングを行うことにより、中空糸膜2の表面から懸濁物
質mを除去し、濾過性を回復させることができる。
【0025】逆洗は、原水供給口5およびエア排出口6
を閉鎖して、濾過水出口8から精製水を逆方向に加圧供
給し、各中空糸膜2の濾過孔2aを内側から外側へ通過
させることにより、膜表面の懸濁物質mを剥離させ、そ
れを貫通孔11を通して排水口10から排出するように
する操作である。
【0026】また、エアレーションフラッシングは、逆
洗工程の前後において、原水供給口5は閉に、エア排水
口6は開の状態にして下部のエア供給口12から圧縮エ
アを供給し、複数の貫通孔11(エア分散孔兼排水孔)
から濾過域4に吹き込みエア排出口6から排出させるよ
うにして中空糸膜束3の各中空糸膜2を揺り動かし、そ
の表面の懸濁物質mを剥離させて、逆洗水と共にエア排
出口10から排出するようにする操作である。
【0027】本発明によれば、上述したようにモジュー
ルケース1を構成するケース成形材、具体的には本体ケ
ース1a、保持ケース1b,1b' 、キャップケース1
c,1c' の少なくとも一部部材がAXS樹脂、好まし
くはXがエチレンプロピレンゴムであるアクリロニトリ
ル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AE
S)樹脂、もしくはXがアクリルゴムであるアクリロニ
トリル−アクリルゴム−スチレン共重合体(AAS)樹
脂の押出成形、射出成形、ブロー成形あるいは熱成形な
どの成形法により成形されたケース部材や旋盤等の切削
加工により加工された複数のケース部材から構成したも
のであるため、他のケースの一部部材に塩化ビニル樹脂
やPC樹脂を使用しない限り、本モジュールを飲料水処
理用途に使用しても問題なく、かつ焼却したとしてもダ
イオキシンを発生することなく環境上問題なく処分可能
となる。また、他のケースの一部部材にABS樹脂を使
用しない限り、耐候性塗料の塗装が不要となる。
【0028】ここで、押出成形とは、押出機により加熱
流動化させたAES樹脂やAAS樹脂をダイを通して連
続的に押し出しすることにより成形する方法であり、棒
状やパイプ状の形状を得るのに適している。射出成形と
は、加熱流動化させたAES樹脂やAAS樹脂を高圧で
金型内に射出し、冷却固化後金型から成形品を取り出す
成形方法である。また、ブロー成形とは、押出機から樹
脂をチューブ状に押し出し(押し出されたチューブをパ
リソンと呼ぶ)、チューブが柔らかいうちに金型で挟
み、チューブ内に空気を吹き込んで膨らませて筒状の中
空品に成形する方法をいう。また、熱成形とは、いった
ん射出成形等により成形済みのAES樹脂やAAS樹脂
などの熱可塑性樹脂製のパイプに、熱を加えて軟化させ
た状態で外力を加えて賦形(二次加工)する方法であ
る。外力の加え方としては、自由吹込成形、真空成形、
圧空成形、プレス成形などがある。
【0029】本発明において、上記のようにAES樹脂
やAAS樹脂を押出成形、射出成形ブロー成形、または
二次加工の熱成形したケース成形材にするのは、モジュ
ールケースを構成する全てのケース部材である必要はな
く、一部のケース部材であっても良い。
【0030】上記成形に使用するアクリロニトリル−X
−スチレン共重合体(AXS)樹脂は、Xがブタジエン
ゴムであるアクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレ
ン共重合体(ABS)樹脂、Xがエチレンプロピレンゴ
ムであるアクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−
スチレン共重合体(AES)樹脂、又はXがアクリルゴ
ムであるアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共
重合体(AAS)樹脂等が該当する樹脂であるが、アク
リロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン共重合体(A
BS)樹脂は、ブタジエンゴムの架橋劣化に起因して耐
候性が劣っている。
【0031】Xとしてエチレンプロピレンゴム、あるい
はアクリルゴムを共重合したAES樹脂、AAS樹脂
は、上記ABS樹脂の低耐候性を改善したもので、塩化
ビニル樹脂と同等以上の耐候性を有しているため、中空
糸膜モジュール用のケース部材として好ましい。また、
耐水性、耐薬品性、成形性についても、ABS樹脂や塩
化ビニル樹脂とほぼ同等の特性を有し、価格もABS樹
脂や塩化ビニル樹脂と多少高価となる程度である。
【0032】一方、塩化ビニル樹脂は熱に対して安定性
を欠く性質があるため、一般に添加剤として熱安定剤が
配合されており、その熱安定剤として鉛化合物が使用さ
れることが多い。しかし、中空糸膜モジュールを水道水
用として使用する場合は、水路中に鉛を配合することが
規制されていて、日本水道協会規格によれば、0.00
5mg/リットル以下の浸出性にしなければならないこ
とになっている。しかしながら、塩化ビニル樹脂は焼却
することにより内分泌攪乱物質であるダイオキシンを発
生して、環境汚染の原因となる欠点を有している。
【0033】本発明では、このような塩化ビニル樹脂や
ABS樹脂を使用することなく、ケース部材の少なくと
も一部部材が、アクリロニトリル−X−スチレン共重合
体(AXS)樹脂、好ましくはXがエチレンプロピレン
ゴムであるアクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム
−スチレン共重合体(AES)樹脂、もしくはXがアク
リルゴムであるアクリロニトリル−アクリルゴム−スチ
レン共重合体(AAS)樹脂の押出成形、射出成形、ブ
ロー成形あるいは熱成形等の成形法や切削加工等により
形成した複数のケース部材から構成したものであるた
め、飲料水処理用途に使用可能で、かつ焼却したとして
もダイオキシンを発生することなく環境汚染上の問題な
く処分可能となる。また、耐候性も優れているので屋外
用途にも問題なく適用可能となる。また、本発明は、常
圧型とは異なりモジュールケースが外気に露出している
ため、より紫外線の影響を受けやすい加圧型モジュール
において特に好ましい。
【0034】本発明おいて、中空糸膜の素材としては、
ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリフッ化ビニ
リデンなどの中空糸膜用の重合体をいずれも使用するこ
とができる。中でもポリアクリロニトリルやポリフッ化
ビニリデンからなり、膜表面の微細孔の径を1μm以
下、特に0.005〜0.5μmにしたものが好まし
く、微粒子や懸濁物質を効率よく除去するほか、菌類や
ウィルスに対しても高い阻止性能を発揮することができ
る。
【0035】中空糸膜束の端部を接着固定するために使
用する樹脂としては、好ましくは低粘度のエポキシ樹脂
がよい。さらに具体的には、室温時の粘度が1〜50ポ
イズ、室温下の硬化時間(ポリマーの架橋に要する時
間)が48時間以内であるエポキシ樹脂がよい。このよ
うなエポキシ樹脂により、静置ポッティング法であって
も、中空糸膜束の接着固定にボイドを作ることなく、樹
脂を均一充填して接着固定することができる。もちろ
ん、遠心ポッティング法により樹脂を充填することを妨
げるものではない。
【0036】また、中空糸膜束の端部を接着固定した樹
脂部の内側には、図1に例示したように弾性樹脂層を積
層させることが好ましい。すなわち、中空糸膜と接着樹
脂との接着界面に弾性樹脂層を積層すると、その積層に
より中空糸膜の糸切れを低減することができるからであ
る。この弾性樹脂としてはシリコーンが好ましい。特
に、主剤と硬化剤とで硬化する二液硬化性のシリコーン
が好ましく、硬化触媒としてチタン系若しくは白金系
(要加熱)を使用し、粘度が室温で1〜50ポイズ、硬
化時間が1〜48時間であるものを使用するとよい。
【0037】本発明において、中空糸膜の充填率、すな
わち中空糸膜横断面の外輪郭面積の合計が、ケース内壁
の横断面積に占める割合として定義される中空糸膜の充
填率は、特に限定されないが、好ましくは40〜70%
の範囲にするのがよい。充填率が40%よりも低くて
は、濾過処理能率が十分に得られず、また70%よりも
高いと、中空糸膜が密になりすぎて懸濁物質が中空糸膜
相互相に溜まりやすくなり、濾過性が低下するようにな
る。
【0038】また、本発明において、中空糸膜束3の端
部3e(A)の外側に設けた濾過水取出室7は、濾過水
取出管を取り外すことなく開閉可能な構成にすることが
好ましい。濾過水取出室7を開閉可能にすると、原水の
濾過処理中に中空糸膜2の一部が糸切れした場合、その
補修作業を中空糸膜モジュールを基台に据え付け状態の
ままで実施することができ、操業性を向上することがで
きる。
【0039】図1の実施形態では、濾過水取出室7の隔
壁34を、キャップケース1cとは別体になるようにO
リング35でシールされた樹脂板36とステンレス鋼等
の金属板37とから構成し、これら樹脂板36と金属板
37を割リング38の係脱により着脱自在にしている。
すなわち、割リング37を外すと、樹脂板36と金属板
37からなる隔壁34を簡単に取り外すことができ、ま
た逆に装着することがきるようになっている。
【0040】したがって、原水の濾過処理中に中空糸膜
2のいずれかが糸切れしたとき、モジュールへの原水供
給を停止して隔壁34を外すと中空糸膜束3の端部3e
の外端面が露出するので、その外端面に開口している中
空糸膜2のうち、糸切れした中空糸膜2の開口端だけを
樹脂等で封止すれば、簡単に濾過水中に原水が混入しな
いように補修することができる。また、このような補修
作業を、濾過水取出管を取り外さずに、かつ中空糸膜モ
ジュール50を基台から取り外すことなく、据え付け状
態のままで簡単に作業することができる。
【0041】また、上記隔壁34には、必要により吊下
げフック39を固定するとよい。この吊下げフック39
を利用して重機で吊り下げるようにすれば搬送を容易に
するため、複数本の中空糸膜モジュール50を組み付け
るとき、あるいは運搬車への積卸しなどの作業を容易に
することができる。
【0042】このような着脱自在にした隔壁は、図1に
示すように、中空糸膜束3の端部3e' 側に設けた空室
9の隔壁34' にも設けることができる。隔壁34'
は、Oリング35' でシールされた樹脂板36' とステ
ンレス鋼等の金属板37' とから構成され、これら樹脂
板36' と金属板37' を割リング38' の係脱により
着脱されるようになっている。
【0043】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、塩化ビ
ニル樹脂やABS樹脂を使用することなく、ケース部材
の少なくとも一部が、アクリロニトリル−X−スチレン
共重合体(AXS)樹脂、好ましくはXがエチレンプロ
ピレンゴムであるアクリロニトリル−エチレンプロピレ
ンゴム−スチレン共重合体(AES)樹脂、もしくはX
がアクリルゴムであるアクリロニトリル−アクリルゴム
−スチレン共重合体(AAS)樹脂の押出成形、射出成
形、ブロー成形あるいは熱成形等の成形法や切削加工に
より形成された複数のケース部材から構成したものであ
るため、飲料水処理用途に適用可能で、かつ焼却したと
してもダイオキシンによる環境汚染を生ずることなく処
分可能となる。また、屋外用途の加圧型中空糸膜モジュ
ールケースとしても、耐候性塗料を塗装することなく適
用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空糸膜モジュールの実施形態を示
し、(A)は縦断面図、(B)はX−X矢視断面図であ
る。
【図2】中空糸膜による濾過作用を示す説明図である。
【図3】本発明の中空糸膜モジュールを複数本並列に組
み立てた場合を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:モジュールケース 1a:本体ケース(ケース成形材) 1b,1b' :保持ケース(ケース成形材) 1c ,1c' :キャップケース(ケース成形材) 2:中空糸膜 3:中空糸膜束 3e,3e' :(中空糸膜束の)端部 4:濾過域 5:原水供給口 6:エア排出口 7:濾過水取出室 8:濾過水出口 9:空室 10:排水口 11:貫通孔(エア分散孔兼排水孔) 12:エア供給口 13:絞り孔 14:逆止弁 20:樹脂

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケース内に多数本の中空糸膜が束ねられた
    中空糸膜束が収納され、該中空糸膜の少なくとも片端が
    樹脂で接着固定された中空糸膜モジュールにおいて、前
    記ケースの少なくとも一部部材をアクリロニトリル−X
    −スチレン共重合体(AXS)樹脂から構成したことを
    特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 【請求項2】前記Xが、エチレンプロピレンゴムもしく
    はアクリルゴムであることを特徴とする請求項1記載の
    中空糸膜モジュール。
  3. 【請求項3】前記中空糸膜モジュールが、濾過もしくは
    逆洗時にケース内部が大気圧以上に加圧される加圧型で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸
    膜モジュール。
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