JPH11104367A - 光ファイバの保護膜除去用ストリッパ - Google Patents

光ファイバの保護膜除去用ストリッパ

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JPH11104367A
JPH11104367A JP26828097A JP26828097A JPH11104367A JP H11104367 A JPH11104367 A JP H11104367A JP 26828097 A JP26828097 A JP 26828097A JP 26828097 A JP26828097 A JP 26828097A JP H11104367 A JPH11104367 A JP H11104367A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光ファイバの機械的強度が著しく低下させるこ
とない保護膜除去用ストリッパを提供する。 【解決手段】光ファイバの保護膜を挟持する把持部の先
端に該保護膜を押圧するための樹脂製の当接部材5を備
えたるとともに相対向する該当接部材5の押圧面の厚み
wを0.6〜1mmとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバの保護
膜を被覆除去するための膜除去用ストリッパに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】光通信に使用する光ファイバ30とし
て、従来から図5の断面図に示すように石英製のファイ
バの周囲に2つの保護膜を被せてなり、まずファイバの
周囲にUVアクリレートやシリコンなどの一次保護膜3
1を形成し、さらに、その周囲にナイロン、ハイトレ
ル、PVCなどからなる二次保護膜32を形成したもの
が使用されている。
【0003】このような光ファイバ30の複数個を部分
的に融合する場合には、予め所望位置のこれら保護膜3
1、32を剥ぎ取っておくことが必要である。
【0004】図6に従来用いられていた光ファイバ30
の保護膜除去用ストリッパ40を示す。同図に示すよう
に一端で蝶着されたフレーム部材21、22のそれぞれ
へ、これらフレーム部材21、22の閉時に光ファイバ
30の保護膜31、32を挟み込み切り込むべく円形エ
ッジ部23、23を有する金属製の切断刃24、24を
向かい合わせて配設するとともに、蝶着端側にフレーム
部材21、22を常に開く方向に与勢するバネ26を備
えている。また、他端部の向かい合った位置に一対の弾
性板25、25が張りつけてあり、この上記弾性板2
5、25はフレーム部材21、22の閉時に丁度面接触
するよう位置調整されている。
【0005】図7に示すように、前記切断刃により光フ
ァイバ30の保護膜31、32に切り込みを入れ、図8
に示すように、その被覆切断箇所33を弾性板25、2
5で押圧挟持し、次にフレーム部材21、22を閉じた
後矢印の方向に保護膜除去用ストリッパ40を動かすこ
とで被覆除去される。
【0006】なお、光ファイバ30の上記二重の保護膜
31、32を除去する場合には、2つの異なる保護膜除
去用ストリッパ(以下、ストリッパと略称する)40を
用いる。すなわち、2次保護膜32を被覆除去する場合
には、図9に示すように2次被覆内の一次保護膜31内
近傍まで切り込むことができるよう調整されたストリッ
パを用い、二次膜32を被覆除去した後には、図10に
示すように、一次保護膜31内の光ファイバ30近傍ま
で切り込むことができるよう調整されたストリッパ40
を別途用いる。
【0007】
【従来技術の課題】しかしながら、従来のストリッパ4
0には以下のような問題点があった。
【0008】すなわち、前記バネ26と弾性板25、2
5の他に前記ストリッパ40に備えた円形エッジ部2
3、23の内径を光ファイバの外径より若干大きくして
いても、切り込みを入れる時に上記円形エッジ部23、
23と光ファイバ30が偏心してしまうことがよくあ
り、そのような場合、切断刃24、24と光ファイバ3
0が接触してしまう。
【0009】切断刃24と光ファイバ30が接触した場
合、光ファイバ30に何らかのダメージが加わり、光フ
ァイバ30の機械的強度が著しく低下してしまい、製品
の信頼性上問題であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような従来技術を課
題を解決するため本発明は、光ファイバの保護膜を挟持
する把持部の先端に該保護膜を押圧するための樹脂製の
当接部材を備えるとともに相対向する該当接部材の押圧
面の厚みを0.6〜1mmとしてなるストリッパを提供
せんとするものである。
【0011】
【作用】光ファイバの2次保護膜を予め被覆除去した
後、ストリッパの上記当接部材で上記保護膜を押圧挟持
した状態で光ファイバの軸方向にストリッパを動かす。
この時、1次保護膜は切り込みを入れることなく、スト
リッパをスライドさせる引張力により挟持位置にて破断
し、その位置から被覆除去され、その結果、光ファイバ
を露出させることができる。
【0012】ストリッパの先端に備えた当接部材は曲げ
弾性率が金属材料よりも高い樹脂材料で構成したので光
ファイバに過度の力が加わらず、かつ、その押圧面が
0.6〜1mm厚み程度であって1次保護膜の挟持部分
を確実に保持できるので、膜の破断、被覆除去をスムー
ズに行う。
【0013】なお、2次保護膜は通常、ナイロン、ポリ
エステル、エラストマーなどの硬めの材料であり、従来
のような金属の切断刃によらなければ被覆除去が難しい
ので、2次保護膜については金属の切断刃を備えたスト
リッパを用いるのが良い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図によ
って説明する。図1に本実施形態のストリッパ1を示
し、このストリッパ1は一対の把持部2、2がそれらの
中央部位にてヒンジ3により結合しており、後端側には
上記把持部2、2の先端を常時閉める方向に付勢するべ
くバネ等の弾性体4を備え、把持部2、2の握締及び握
緩により先端が開閉自在である。また、上記把持部2、
2それぞれの先端には樹脂製の当接部材5、5を向かい
合わせて配設し、それら当接部材5、5の押圧面6、6
は把持部2、2の閉時に丁度面接触するよう位置調整さ
れている。したがって、上記ストリッパ1は前記ヒンジ
3よりも後方の把持部2、2の取っ手部分7、7を握締
めることにより先端の当接部材5、5が開き、これを緩
めると当接部材5、5が閉まる方向に付勢されるもので
ある。
【0015】図2は、上記ストリッパ1による光ファイ
バ30の被覆除去の態様を示す概略図であり、同図
(a)に示すように、ストリッパ1の取っ手部分7、7
を握り締めて、先端の当接部材5、5を開き、その間に
光ファイバ30を所望位置を配置した状態で、上記握り
締めを緩め、当接部材5、5の押圧面6、6を光ファイ
バの一次保護膜31に押圧するようにこれを保持する。
このようにしてから次に、同図(b)のようにストリッ
パをスライドさせることにより、一次保護膜31は切り
込みを入れることなく引張力により挟持位置にて破断
し、その位置から被覆除去され、その結果、光ファイバ
30を露出させることができる。
【0016】図3は、図2の領域Aの拡大図であり、同
図に示すように当接部材5、5に相対向する押圧面6、
6を備え、且つ、その厚みwは0.6〜1mmであるこ
とが好ましい。厚みwがこの範囲内の場合、光ファイバ
30に損傷をあまり与えずに且つ押圧面6、6からの押
圧力を効率よく破断位置に集中させることができ、また
被覆除去もスムーズに行うことができる。これに対し
て、上記厚みwが0.6mm未満の場合、応力が集中し
すぎて光ファイバ30に損傷を与える恐れがあり、他
方、1mmを越えると押圧力が分散して、一次保護膜3
1の破断および被覆除去のための一次保護膜31の定位
置保持が難しくなる恐れがある。
【0017】また、前記当接部材5、5を構成する樹脂
材料としては、曲げ弾性率が3×103 〜3×104
g/cm2 の範囲にある、ポリアセタールやフッ素樹
脂、ナイロンなどが好ましい。
【0018】上記弾性率が3×103 Kg/cm2 より
小さい場合、押圧時に刃の変形が大きく、一次被覆を引
きちぎることができない恐れがある。他方、3×104
Kg/cm2 より大きい場合には、刃の変形がないこと
により、直接の接触がなくても、ファイバに過大なスト
レスを与え、損傷を誘起してしまう恐れがある。
【0019】さらに上記樹脂材料としては、ロックウエ
ル硬度がM83〜M94の範囲にあるものが好ましい。
【0020】上記高度がM83より小さい場合、耐久性
が低くなる他、押圧時に刃の変形が大きく、一次被覆を
引きちぎることができない恐れがあり、さらに、使用す
る毎に凹凸が出来てしまい問題である。他方、M94よ
り大きい場合、刃の変形がないことにより、直接の接触
がなくても、ファイバに過大なストレスを与え、損傷を
誘起してしまう恐れがある。
【0021】なお、本実施形態のストリッパ1の他の作
用として、上記ストリッパ1は上記把持部の先端を常時
閉める方向に付勢するべく弾性体4を備えており、光フ
ァイバの把持力をこの弾性体4に依存するものである。
すなわち、作業者によって把持力に変わりがないので、
弾性体4の弾性力を適度に調整することにより、過度の
応力で光ファイバ30に損傷を与えたりすることを防止
することができる。
【0022】実験例1 上記実施形態によるストリッパにおいて、当接部材を曲
げ弾性率が10×104 Kg/cm2 で、ロックウエル
硬度がM80のフッ素樹脂で構成し、また、その押圧面
の厚みwを0.8mmとしたものを作製した。
【0023】また比較例として、図7に示すような金属
製の切断刃を備えた従来のストリッパを用意した。
【0024】これらを用いて被覆除去後の引張強度を測
定した。
【0025】なお、石英製の光ファイバの径は0.12
5mm、1次被覆の径は0.4mm、2次被覆の径は
0.9mmで、1次被覆をUVアクリレートで構成し、
2次被覆をナイロンで構成し、中央をストリップした光
ファイバを試験器で保持し、引張速度5mm/minで
の引張強度を測定した。
【0026】比較のため、被覆を一切施していない光フ
ァイバについて引っ張り強度を測定したところ、引っ張
り強度は6〜7kgであった。
【0027】図4に引っ張り強度の測定結果を示す。図
4に示すように、本発明のストリッパは比較例に比べて
極めて高い引っ張り強度を維持していた。
【0028】実験例2 実験例1のストリッパにおいて押圧面の厚みwの異なる
ものを用意し、実験例1と同様の測定を行った。
【0029】結果は、以下のとおりであった(平均値を
示す)。
【0030】 ・w=0.3mm: 1kg ・w=0.6mm:2.8kg ・w=1.0mm:2.9kg ・w=1.5mm: 2kg 以上から、押圧面の厚みwとしては、0.6〜1.0が
特に好ましいことが判った。
【0031】実験例3 実験例1のストリッパにおいて当接部材の材質(曲げ弾
性率及びロックウエル硬度)が異なるものを用意し、押
圧面の厚みw=1.0mmとし、実験例1と同様の測定
を行った。
【0032】結果は、以下のとおりであった(平均値を
示す)。
【0033】・弾性率=3×104 Kg/cm2 、硬度
=80Mの樹脂:2.9kg ・弾性率=10×104 Kg/cm2 、硬度=130 Mの樹
脂: 1kg その結果、硬度が大きい後者の例では引張強度が低い結
果であった。
【0034】
【発明の効果】叙上のように本発明によれば、光ファイ
バの保護膜を挟持する把持部の先端に該保護膜に押圧す
るための樹脂製の当接部材を備えたるとともに相対向す
る該当接部材の押圧面の厚みを0.6〜1mmとし、切
り込みを入れることなく、ストリッパをスライドさせる
引張力により一次保護膜を挟持位置にて破談する。ま
た、光ファイバに損傷をあまり与えずに且つ押圧面から
の押圧力を効率よく破断位置に集中させることができ、
また被覆除去もスムーズに行うことができ、光ファイバ
の信頼性を高く維持ができるという極めて優れた効果を
奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のストリッパの斜視図である。
【図2】(a)(b)は、図1のストリッパの作用を示
す概略説明図である。
【図3】図2の領域Aの拡大図である。
【図4】実験例1の引っ張り強度試験結果のグラフであ
る。
【図5】保護膜で被覆された光ファイバの断面図であ
る。
【図6】従来のストリッパの斜視図である。
【図7】図6のストリッパの作用を示す概略説明図であ
る。
【図8】従来のストリッパの斜視図である。
【図9】図6のストリッパの作用を示す概略説明図であ
る。
【図10】図6のストリッパの作用を示す概略説明図で
ある。
【符号の説明】
1 ストリッパ 2 把持部 3 ヒンジ 4 弾性体 5 当接部材 6 押圧面 A 領域 w 厚み

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光ファイバの保護膜を挟持する把持部の先
    端に該保護膜を押圧するための樹脂製の当接部材を備え
    るとともに相対向する該当接部材の押圧面の厚みを0.
    6〜1mmとしてなるストリッパであって、上記当接部
    材で上記保護膜を押圧挟持した状態で光ファイバの軸方
    向にストリッパを動かすことにより所望位置の保護膜を
    破断し且つ被覆除去して光ファイバを露出させ得ること
    を特徴とする光ファイバの保護膜除去用ストリッパ。
  2. 【請求項2】上記把持部の先端を常時閉める方向に付勢
    するべく弾性体を備えてなる請求項1の光ファイバの保
    護膜除去用ストリッパ。
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