JPH11103891A - 病理検査方法 - Google Patents

病理検査方法

Info

Publication number
JPH11103891A
JPH11103891A JP26986197A JP26986197A JPH11103891A JP H11103891 A JPH11103891 A JP H11103891A JP 26986197 A JP26986197 A JP 26986197A JP 26986197 A JP26986197 A JP 26986197A JP H11103891 A JPH11103891 A JP H11103891A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
solution
metal compound
protease
enzyme
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26986197A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Tamura
裕 田村
Junji Nishigaki
純爾 西垣
Tsutomu Hamaoka
勤 浜岡
Tetsuhiko Tachikawa
哲彦 立川
Ikuo Hasegawa
郁夫 長谷川
Koji Hasegawa
紘司 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP26986197A priority Critical patent/JPH11103891A/ja
Publication of JPH11103891A publication Critical patent/JPH11103891A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 例えばプロテアーゼなどの酵素測定を目
的とする病理検査方法であって、(1) 平均粒径が0.001
μm 〜0.5 μm 程度の例えばコロイド状態の金属及び/
又は金属化合物を含む溶液に対して癌組織切片や歯肉溝
滲出液などの生体試料を接触させる工程;及び(2) 試料
と金属及び/又は金属化合物との相互作用により生じた
溶液の変化を例えば色調の変化として検出する工程を含
む方法。 【効果】 組織中のプロテアーゼなどの酵素を測定対象
とすることにより、正確かつ簡便に病理検査結果を得る
ことができ、従来の方法に比べて短時間に判定できると
いう特徴がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素などの生体物
質の測定に基づいて病理検査を行なう方法に関するもの
である。より具体的には、本発明は、例えばプロテアー
ゼなどの存在を簡便に証明することができ、プロテアー
ゼなどの酵素が関与する各種の疾患の診断、例えば、癌
細胞の浸潤活性や転移活性などの癌の悪性度、歯周炎な
どの歯周病の進行度、リウマチ性関節炎などにおける破
壊性病態などの診断を可能にする方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】腫瘍の良性、悪性の相違を規定する因子
の一つとして、間質結合組織への浸潤の有無を挙げるこ
とができる。この病態を明らかにするためには、腫瘍細
胞自体の増殖動態の変化を観察すると同時に、腫瘍細胞
と間質結合組織との相互作用に影響を及ぼす要因を検索
することが必要である。特に、腫瘍細胞の浸潤や転移に
はプロテアーゼが関与することが明らかにされており、
プロテアーゼを制御することによって悪性腫瘍細胞の浸
潤や転移を抑制できる可能性がある。このようなプロテ
アーゼ(細胞外マトリックス分解酵素)のうち、特にマ
トリックス・メタロプロテアーゼ(MMP) が癌細胞の増
殖、浸潤、血管新生に重要な役割をはたすことが明らか
にされている(鶴尾隆編「癌転移の分子機構」、第8
章、宮崎香著「マトリックス・プロテアーゼと癌の浸潤
・転移」、pp.92-107 、メジカルビュー社、1993年発行
を参照)。
【0003】一方、歯周病では歯肉溝上皮の破壊及びコ
ラーゲンを主体とした結合組織の破壊が初期病変として
進行するが、この組織の破壊にもマトリックス・メタロ
プロテアーゼが関与していることが知られている(歯周
組織破壊におけるプロテアーゼの関与、及び病態とプロ
テアーゼとの相関については、青野正男監修「歯周治療
の科学」、白川正治著、第VII 章「歯周組織の病理」、
pp.99 〜109 、医歯薬出版、並びに、長谷川ら、「歯周
病患者における歯肉溝滲出液(GCF) 中のゲラチナーゼ活
性」、演題A-44、日本歯周病学会第37回秋期学術大会な
どを参照)。
【0004】マトリックス・メタロプロテアーゼはコラ
ーゲン、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチ
ン、及びゼラチンなどの細胞外基質を分解する酵素であ
り、MMP-1, 2, 3, 7, 9 及び10など8種類の存在が明ら
かにされている。間質型コラーゲナーゼ(MMP-1) は最も
古くから知られているマトリックス・メタロプロテアー
ゼであり、繊維芽細胞や軟骨などに分布しており、間質
型のコラーゲンを1/4及び1/3 に切断する。歯周病にお
いては、主として MMP-2(ゼラチナーゼ A)及び MMP-9
(ゼラチナーゼ B) が歯周組織の構成成分であるIV型コ
ラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、及びプロテオ
グリカンなどを破壊する。なお、マトリックス・メタロ
プロテアーゼの分泌は、細胞増殖因子であるEGF やTGF-
βによって強く促進されており、他方、組織内の内在性
インヒビターによって分泌や活性発現が制御されてい
る。もっとも、増殖因子が関与した場合にその発現がど
のように抑制されるのかは必ずしも明らかではない。
【0005】また、腫瘍細胞の浸潤や転移に関与する他
のプロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼであるプ
ラスミノーゲン・アクティベーター(PA)を挙げることが
できる。このプラスミノーゲン・アクティベーターはプ
ラスミノーゲンをプラスミンに変換する酵素であり、プ
ラスミノーゲン・アクティベーターの作用により生成し
たプラスミンがプロメタロプロテアーゼを活性型メタロ
プロテアーゼに変換する。従って、マトリックス・メタ
ロプロテアーゼとプラスミノーゲン・アクティベーター
との間で形成されるカスケードによって、癌細胞の浸潤
や転移が進行ないしは加速されると考えられる。
【0006】プロテアーゼは、上記の癌細胞の浸潤及び
転移、並びに歯周病の進行のほか、歯槽膿漏による骨組
織や歯根膜の破壊、リウマチ性関節炎による骨膜や骨組
織の破壊などの破壊性病変に関与している可能性がある
(リウマチにおけるプロテアーゼの関与に関しては、日
本臨床、50(3), pp.463-467, 1992 を参照)。従って、
細胞や組織中のプロテアーゼを定量することによって、
浸潤活性及び転移活性などからみた癌細胞の悪性度や歯
周病の病態、及びリウマチなどの破壊性病変の進行程度
を正確に診断することが可能である(癌細胞の浸潤度と
プロテアーゼ活性との相関については、例えば、Yamaga
ta, et al., Cancer Lett., 59, 51, 1991; Azzam, et
al., J. Natl., Cancer Inst., 85, 1758, 1993; Brow
n, et al., Clin. Exp. Metastasis, 11, 183, 1993; D
avies, et al., Br. J. Cancer, 67, 1126, 1993 など
を参照)。
【0007】従来、プロテアーゼの測定方法としては、
基質の分解の程度から酵素活性を測定するザイモグラフ
ィー法や各々のプロテアーゼに特異的な抗体を用いたイ
ムノブロティング法などが利用されている。例えば、癌
細胞や歯周病化細胞を粉砕した後、抽出液をゼラチン含
有SDS-ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動に付
し、電気泳動後のゲルをアミドブラックで染色して、染
色されずに白く透明なバンドを与える試料をプロテアー
ゼ陽性と判定する方法が知られている。しかしながら、
この方法では測定毎にSDS-ポリアクリルアミドゲルを作
成する必要があり、検出までに約30時間を要するという
問題がある。
【0008】また、SDS-PAGEによる電気泳動後にゲルを
メンブレンに密着させ、ブロッティング後の酵素をモノ
クローナル抗体で検出する方法もあるが、電気泳動を利
用する点で上記の方法と同様の欠点を有しており、それ
に加えて、操作に熟練を要することと高価なモノクロー
ナル抗体を用いることも問題である。さらに、これらの
方法は個々の細胞のプロテアーゼを測定したものではな
く、組織全体のプロテアーゼ総量を検出するものであ
り、個々の癌細胞の浸潤・転移活性の情報を得ることは
できないという問題がある。
【0009】最近、血管組織中のプロテアーゼ活性をザ
イモグラフィーの原理により測定する方法が提案された
(The FASEB Journal, Vol.9, July, pp.974-980, 199
5) 。この方法では、蛍光性化合物が結合したカゼイン
又はゼラチンをプロテアーゼの基質として用い、この基
質を含むアガロースの薄膜をスライドグラス上に形成さ
せた後、その薄膜の表面に固定化されていない組織切片
(6-10μm)をのせて37℃で培養し、基質の消化を蛍光顕
微鏡下に観察する工程を含んでいる(第975 頁、右欄第
6〜18行のプロトコールを参照)。この方法は、組織中
のプロテアーゼを直接測定できる点では優れているもの
の、プロテアーゼの基質をスライドグラス上に固定化す
るためにアガロースを必須成分として用いる必要があ
り、プロテアーゼによる基質の消化にばらつきが生じて
しまい、再現性に乏しいという問題があった。
【0010】本発明者らはこれらの問題を研究するう
ち、ゼラチンなどのプロテアーゼ基質と硬膜剤とを含む
薄膜の表面に癌組織などの組織切片を密着させるか、あ
るいは歯周病などの病変組織などから採取した滲出液を
該薄膜上に滴下すると、試料中に含まれるプロテアーゼ
が薄膜を消化し薄膜表面に消化痕が形成されることを見
いだした。また、連続した組織切片を用いてそれぞれ組
織標本と上記の薄膜標本を作成して比較・比較すること
により、組織中の個々の細胞内に発現しているプロテア
ーゼを測定することができることを見いだし、これらの
発明について特許出願した(PCT/JP97/0588, 国際公開 W
O97/32035)。これらの方法は、アガロースを含む薄膜を
用いる方法 (The FASEB Journal, Vol.9, July, pp.974
-980, 1995) に比べて非常に再現性に優れており、試料
中のプロテアーゼ活性を正確に測定できるという特徴を
有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、プロ
テアーゼなどの酵素に代表される生体物質を簡便かつ正
確に測定することができ、正確な病理検査結果を得るこ
とができる方法を提供することにある。より具体的に
は、例えば酵素などの測定に基づいて、該酵素が関与す
る各種の疾患の診断に有用な病理検査結果を簡便かつ正
確に入手することができる方法を提供することが本発明
の課題である。本発明の具体的課題は、例えば、浸潤や
転移活性などの癌細胞の悪性度、歯周病などの病態、及
びリウマチなどの破壊性病変の進行度を正確かつ簡便に
短時間で判定でき、癌の予後や破壊性病変の進行程度な
どを正確に予測することができる病理検査方法を提供す
ることにある。さらに本発明の別の課題は、上記の病理
検査方法に用いる溶液を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべくさらに研究を行った結果、金属及び/又は
金属化合物を含む溶液に癌組織などの組織切片を接触さ
せるか、あるいは例えば歯周病等の病変組織から採取し
た滲出液を滴下すると、組織切片や滲出液に含まれるプ
ロテアーゼなどの酵素に代表される生体物質と金属及び
/又は金属化合物との間で相互作用が生じ、その結果と
して溶液の色調の変化や着色などが生じること、並び
に、この変化を例えば分光学的な手段によって検出する
ことにより、試料中の酵素などの生体物質を簡便かつ正
確に測定できることを見出した。本発明はこれらの知見
を基にして完成されたものである。
【0013】すなわち本発明は、病理検査方法であっ
て、下記の工程: (1) 金属及び/又は金属化合物を含む溶液に試料を接触
させる工程;及び(2) 試料と金属及び/又は金属化合物
との相互作用により生じた変化を検出する工程を含む方
法を提供するものである。
【0014】これらの各発明の好ましい態様として、試
料がヒトを含む哺乳類から分離・採取された生体試料ま
たは培養された細胞である上記方法;生体試料が癌組織
切片、歯肉溝滲出液、破壊性病変組織切片、又は破壊性
病変組織抽出液(例えば、リウマチ性病変組織抽出液又
は歯槽膿漏組織抽出液)である上記方法;金属及び/又
は金属化合物がコロイド状態である上記方法;金属及び
/又は金属化合物のコロイドが元素周期表の第VIII族、
第Ib族、及び第IIb 族からなる群から選ばれる金属を含
む上記方法;金属及び/又は金属化合物のコロイドの平
均粒径が0.001μm 〜0.5 μm である上記方法;金属及
び/又は金属化合物のコロイドが金、白金、銀、銅の中
から選ばれる金属を含む上記方法;溶液の変化として色
の変化を検出する上記方法;酵素の測定を含む病理検査
を行うための上記方法;酵素がマトリックス・メタロプ
ロテアーゼである上記方法;並びに、プロテアーゼが関
与する疾患の診断に用いる上記方法が提供される。
【0015】別の観点からは、病理検査用の溶液であっ
て、金属及び/又は金属化合物のコロイドを含み、試料
と金属及び/又は金属化合物との相互作用により変化を
生じることを特徴とする溶液;並びに、上記の各方法に
使用するための溶液が本発明により提供される。本発明
のさらに別の態様によれば、上記の各方法において定義
された工程に従って酵素などの生体物質、好ましくはプ
ロテアーゼ、さらに好ましくはマトリックス・メタロプ
ロテアーゼが関与する疾患を診断する方法が提供され
る。この発明の好ましい態様として、該疾患が癌、リウ
マチ性疾患、歯周病、及び歯槽膿漏からなる群から選ば
れる疾患である上記方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の病理検査方法は、基本的
には、生体外に分離又は排泄された生体試料を金属及び
/又は金属化合物を含む溶液と接触させる工程(第一工
程)と、試料中に含まれるプロテアーゼなどの酵素に代
表される生体物質と金属及び/又は金属化合物との相互
作用により溶液中に現れる変化を検出する工程(第二工
程)を含んでいる。本発明の方法では、酵素などの生体
物質を分子レベルで検出するために、通常の分光学的手
段によっても高感度に酵素を測定でき、病理検査法とし
て極めて検出精度が高いという特徴がある。
【0017】本明細書において用いられる「病理検査」
という用語は、病気の原因を特定ないし推定するために
生体試料を用いて行われるあらゆる検査方法を包含して
いるが、好ましくは、生体外に分離・採取された生体試
料又は生体外に排泄された生体試料(例えば、癌組織切
片、歯肉溝滲出液、破壊性病変組織切片、又は破壊性病
変組織抽出液など)を用いて、生体試料中に含まれる酵
素などの生体物質の測定を行うことを意味している。こ
こで、「測定」という用語は、定性及び定量を含めて、
酵素などの生体物質の存在に関する情報を提供できるも
のをすべて包含するように最も広義に解釈されるべきで
ある。以下、本発明の測定対象となる生体物質として酵
素について具体的に説明するが、本発明の方法の測定対
象は酵素に限定されることはなく、脂質、糖類、核酸な
どの生体物質も測定対象となりうる。
【0018】本発明の方法に従って測定を行うと、試料
中にプロテアーゼなどの酵素が含まれている場合には、
該酵素と溶液中の金属及び/又は金属化合物との間に相
互作用が生じ、溶液中に検出可能な変化が惹起される。
本明細書において用いられる「相互作用」という用語
は、例えば、酵素全体若しくはその部分構造、又は酵素
に由来する1又は2以上の官能基( 例えば、チオール
基、チオエーテル基、ジスルフィド基、脂肪族又は芳香
族アミノ基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基な
ど、好ましくは、チオール基、チオエーテル基、ジスル
フィド基、脂肪族又は芳香族アミノ基など)と、金属及
び/又は金属化合物との間で生じる種々の物理化学的及
び/又は生化学的な相互作用を包含しており、例えば、
錯体や塩の形成、酵素の変性、凝集若しくは沈殿、吸
着、酵素反応などを含めて最も広義に解釈する必要があ
る。また、上記の相互作用には、酵素作用により生じる
物質、例えばプロテアーゼの作用により生じる基質分解
物と金属及び/又は金属化合物との間の相互作用も含ま
れる。
【0019】溶液中に起こる変化はいかなる種類のもの
でもよく、例えば、着色、脱色、色調変化などのほか、
電気伝導度の変化、磁力の変化などを挙げることができ
るが、これらに限定されることはない。このような変化
は1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。例え
ば、紫外光、可視光、蛍光の透過濃度測定、吸光度測
定、電気伝導度の測定、磁力の測定、音波の測定など、
当業者に利用可能な種々の測定方法のいずれか、または
これらの測定方法の2種以上の組み合わせによって検出
可能な変化であればよい。例えば、蛍光測定及び/又は
吸光度測定などの手段により検出可能な変化であること
が好ましい。
【0020】本発明の病理検査方法では、好ましくは酵
素を測定対象とすることができる。測定の対象となる酵
素は特に限定されないが、例えば、プロテアーゼは本発
明の方法の好適な測定対象である。プロテアーゼとして
は、例えば、マトリックス・メタロプロテアーゼ (MMP)
及びマトリックス・セリンプロテアーゼ (MSP)を挙げる
ことができ、これらの酵素については、鶴尾隆編「癌転
移の分子機構」、pp.92-107 、メジカルビュー社、1993
年発行に詳細に説明されている。測定対象として特に好
適なプロテアーゼとしては、例えば、間質型コラーゲナ
ーゼ(MMP-1) 、ゼラチナーゼ A (MMP-2)、及びゼラチナ
ーゼ B (MMP-9)などのマトリックス・メタロプロテアー
ゼ;及びプラスミノーゲン・アクティベーター(PA)など
のマトリックスセリンプロテアーゼを挙げることができ
る。もっとも、本発明の病理検査方法の対象は酵素(例
えばプロテアーゼ又は上記の特定のプロテアーゼなど)
に限定されることはない。
【0021】本発明の方法で用いられる金属及び/又は
金属化合物は特に限定されず、いかなるものを用いても
よい。金属化合物としては、無機金属化合物又は有機金
属化合物のいずれを用いてもよく、例えば、酸化物、塩
化物,臭化物、有機化合物を配位子とする錯体などを挙
げることができるが、これらに限定されることはない。
例えば、金属及び/又は金属化合物が、元素周期表の第
3周期、第4周期、第5周期、第6周期、及び第7周期
からなる群から選ばれる金属を含むことが好ましく、元
素周期表の第IIIb族、第IVb 族、第Vb族、第VIb 族、第
VIIb族、第VIII族、第Ib族、第IIb 族、第IIIa族、第IV
a 族、第Va族、第VIa 族、及び第VIIa族からなる群から
選ばれる金属を含むことがより好ましい。これらのう
ち、第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であっ
て、第VIII族、第Ib族、または第IIb族のものがさらに
好ましく、金、銀、銅、白金、パラジウム、水銀、カド
ミウムが最も好ましい。その中でも金、銀、銅が好まし
く、とりわけ銀が好ましい。さらに銀でもコロイド銀が
最も好ましい。金属及び/又は金属化合物を2種以上組
み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能
である。
【0022】より具体的には、亜鉛、コロイド亜鉛、酸
化亜鉛、塩化亜鉛;アルミニウム、酸化アルミニウム、
塩化アルミニウム;アンチモン、酸化アンチモン、塩化
アンチモン;イッテルビウム、酸化イッテルビウム、塩
化イッテルビウム;イットリウム、酸化イットリウム、
塩化イットリリウム;イリジウム、酸化イリジウム、塩
化イリジウム;インジウム、酸化インジウム、塩化イン
ジウム;エルビウム、酸化エルビウム、塩化エルビウ
ム;オスミウム、酸化オスミウム;カドミウム、コロイ
ドカドミウム、酸化カドミウム、塩化カドミウム;ガド
リニウム、酸化ガドリニウム、塩化ガドリニウム;ガリ
ウム、酸化ガリウム、塩化ガリウム;カルシウム、酸化
カルシウム、塩化カルシウム;銀、コロイド銀(平均粒
径 0.01 μm 、 0.03 μm 、 0.05 μm )、酸化銀、塩
化銀、臭化銀、ヨウ化銀、酢酸銀、アルギン酸銀、ベヘ
ン酸銀;金、コロイド金、塩化金;クロム、酸化クロ
ム、塩化クロム;ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、塩
化ゲルマニウム;コバルト、酸化コバルト、塩化コバル
ト;サマリウム、酸化サマリウム、塩化サマリウム;ジ
スプロシウム、酸化ジスプロシウム、塩化ジスプロシウ
ム;ジルコニウム、酸化ジルコニウム、塩化酸化ジルコ
ニウム;水銀、コロイド水銀、酸化水銀、塩化水銀;ス
カンジウム、酸化スカンジウム;錫、酸化錫、塩化錫;
ストロンチウム、塩化ストロンチウム;セリウム、酸化
セリウム、塩化セリウム;タリウム、酸化タリウム、塩
化タリウム;タングステン、酸化タングステン、塩化タ
ングステン;タンタル、酸化タンタル、塩化タンタル;
チタン、酸化チタン、塩化チタン;ツリウム、酸化ツリ
ウム;鉄、酸化鉄、塩化鉄;テルビウム、酸化テルビウ
ム、塩化テルビウム;テルル、塩化テルル;銅、コロイ
ド銅、酸化銅、塩化銅;トリウム、酸化トリウム;鉛、
酸化鉛、塩化鉛;ニオブ、酸化ニオブ;ニッケル、コロ
イドニッケル、酸化ニッケル、塩化ニッケル;ネオジ
ム、酸化ネオジム、塩化ネオジム;白金、コロイド白
金、酸化白金、塩化白金;バナジウム、酸化バナジウ
ム、塩化バナジウム;ハフニウム、酸化ハフニウム、塩
化ハフニウム;パラジウム、酸化パラジウム、塩化パラ
ジウム;バリウム、酸化バリウム、塩化バリウム;ビス
マス、酸化ビスマス、塩化ビスマス;プラセオジム、酸
化プラセオジム;ホルミウム、酸化ホルミウム、塩化ホ
ルミウム;マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグ
ネシウム;マンガン、酸化マンガン、塩化マンガン;モ
リブデン、酸化モリブデン、塩化モリブデン;ユウロピ
ウム、酸化ユウロピウム、塩化ユウロピウム;ランタ
ン、酸化ランタン、塩化ランタン;ルテニウム、酸化ル
テニウム、塩化ルテニウム;及び、ロジウム、酸化ロジ
ウム、塩化ロジウムからなる群から選ばれる1種又は2
種以上の金属及び/又は金属化合物を挙げることができ
る。
【0023】金属及び/又は金属化合物は溶液中に存在
していればよく、存在状態は特に限定されないが、コロ
イド状態であることが好ましい。コロイド状態の場合に
は、例えば実質的に球形の微粒子状態で分散されている
ことが好ましい。微粒子の粒径は特に限定されないが、
例えば、平均粒径0.001 μm 以上、0.1 μm 以下、より
好ましくは平均粒径0.05μm 以下、特に好ましくは0.03
μm 以下である。
【0024】本発明の方法で用いられる溶液には、金属
及び/又は金属化合物以外の成分として、親水性高分
子、酵素インヒビター、酵素基質などを適宜配合しても
よい。親水性高分子としては、水に溶解でき、希薄状態
において実質的に溶液状態を維持できるものであればい
かなるものを用いてもよい。例えば、ゼラチン、コラー
ゲン、カゼイン、フィブロネクチン、ラミニン、エラス
チンなどのタンパク質及びタンパク質由来の物質;セル
ロース、デンプン、アガロース、カラギーナン、デキス
トラン、デキストリン、キチン、キトサン、ペクチン、
マンナンなどの多糖類及び多糖類由来の物質などの天然
高分子;ポバール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル
酸ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポ
リスチレンスルホン酸、ポリアリルアミンなどの合成高
分子;またはこれらに由来するゲルなどを用いることが
できる。
【0025】また、酵素インヒビター、例えば、プロテ
アーゼ・インヒビターを用いることにより、インヒビタ
ーに関連する酵素の同定や、プロテアーゼなどの酵素の
特性の判定が容易になり、病理検査の制度を高めること
ができる場合がある。例えば、本発明の病理検査方法に
おいてプロテアーゼを測定対象とする場合には、プロテ
アーゼ・インヒビターとして、例えば、ティッシュ・イ
ンヒビター・オブ・メタプロテアーゼ1 (TIMP1)、ティ
ッシュ・インヒビター・オブ・メタプロテアーゼ2 (TI
MP2)、ラージ・インヒビター・オブ・メタロプロテアー
ゼ (LIMP) 、チッキン・インヒビター・オブ・メタロプ
ロテアーゼ (ChIMP)、オポスタチン、血小板第IV因子
(PF-4) 、α2 マクログロブリン、EDTA、1,10- フェナ
ントロリン、BB94、ミノサイクリン、マトリスタチン、
SC-44463、又は、ジチオスレイトール (DTT)などを用い
ることができる。
【0026】例えば、生体試料から抽出した液のうちの
一つを酵素インヒビターを含有しない溶液に接触させ、
残りの切片を酵素インヒビターを含む溶液に接触させた
後、それぞれの溶液に形成された変化を対比する方法を
採用することができる。2種以上の酵素インヒビターを
適宜組み合わせて溶液に配合して用いてもよい。また、
測定の対象となる酵素により分解される物質(酵素基
質)を含有する溶液を製造して、生体試料中の抽出液の
うちの一つを酵素基質を含む溶液に接触させ、残りの液
を金属及び/又は金属化合物を含む本発明の溶液に接触
させてもよい。本発明の溶液には変化が惹起されるので
酵素の存在を証明することができ、一方、酵素基質を含
む溶液では酵素反応の結果物が蓄積されるので、酵素活
性の存在を証明することができる。従って、それぞれの
結果を対比することによって測定対象の酵素の存在を確
実に証明することできる。このような酵素基質を用いる
方法を酵素インヒビターを用いる上記の方法を組み合わ
せてもよい。
【0027】酵素としてプロテアーゼを測定対象とする
場合には、酵素基質としてプロテアーゼにより分解され
る高分子化合物(プロテアーゼ基質)を用いることがで
きる。プロテアーゼ基質は特に限定されないが、例え
ば、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、フィブ
ロネクチン、ラミニン、エラスチン、又はカゼインなど
を用いることができる。好ましくは、コラーゲン、ゼラ
チン、フィブロネクチン、エラスチン、又はカゼインを
用いることができ、より好ましくはゼラチン、フィブロ
ネクチン、又はカゼインを用いることができる。ゼラチ
ンを用いる場合には、ゼラチンの種類は特に限定され
ず、例えば、牛骨アルカリ処理ゼラチン、豚皮膚アルカ
リ処理ゼラチン、牛骨酸処理ゼラチン、牛骨フタル化処
理ゼラチン、豚皮膚酸処理ゼラチンなどを用いることが
できる。なお、プロテアーゼ基質は上記の物質の1種を
用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0028】本発明の方法に用いる試料は特に限定され
ないが、例えば、ヒトを含む哺乳類動物から分離・採取
した生体試料、又はヒトを含む哺乳類動物から排泄され
た生体試料などを用いることができる。例えば、組織又
は組織滲出液などを用いることができる。より具体的に
は、肺癌、胃癌、食道癌、乳癌、脳腫瘍などの固形癌組
織から手術や組織検査などにより分離・採取した癌組
織、リウマチ性関節炎の滑膜や骨組織、及び歯槽膿漏の
歯根膜や骨組織などの破壊性病変組織や滲出液、並びに
歯周病の歯肉溝滲出液などを用いることができる。ま
た、培養した細胞や組織などを用いてもよい。
【0029】試料が組織の場合には、例えば、液体窒素
で急速凍結した試料から凍結切片作成装置を用いて厚さ
1〜10μm 、好ましくは 5μm 程度の切片を調製し、こ
の切片を溶液に浸漬することによって試料と溶液とを接
触させることができる。また、リウマチ性関節炎の患者
から採取した滑膜液を試料として用いる場合には、滑膜
液約 5〜50μl 、好ましくは20μl 程度を溶液(約 1 m
l)に滴下すればよい。歯周病の歯肉溝滲出液を試料とし
て用いる場合には、歯肉溝内に濾紙を挿入して約 5〜10
μl 程度の歯肉溝滲出液を採取し、該濾紙を溶液に浸漬
する方法を採用することができる。歯肉溝滲出液の採取
後、必要に応じて蒸留水や適宜の緩衝液(例えば、50 m
M Tris-HCl, pH 7.5, 10 mM CaCl2, 0.2 M NaCl など)
を用いて濾紙から歯肉溝滲出液を抽出し、抽出液を溶液
内に滴下してもよい。
【0030】本発明の溶液の溶媒は特に限定されない
が、例えば、水、アセトン、メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、ジオキサン、N-メチルピロリ
ドン、ジメチルスホキシド、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド若しくはそれらの混合溶媒などを用
いることができる。また、金属及び/又は金属化合物を
コロイド状態で使用するときの調製方法は特に限定はな
いが、例えば写真用フイルムの技術分野などにおいて汎
用されている分散方法などを適宜採用することが可能で
ある。
【0031】金属及び/又は金属化合物としてコロイド
銀を用いる場合について説明すると、例えば、ハロゲン
化銀カラー写真感光材料の分野において、コロイド銀は
通常イエローフィルター用としての黄色コロイド銀とア
ンチハレーション用の黒色コロイド銀が一般的に用いら
れているので、本発明にはこれらのコロイド銀を用いる
ことができる。また、これらに加えて、橙褐色や褐灰色
のコロイド銀であってもよい。これらのうち、最大吸収
波長が400nm から500nm の黄色のコロイド銀を用いるこ
とが特に好ましい。
【0032】その調製方法としては、従来から知られて
いる方法、例えば、米国特許第2,688,601 号明細書に開
示されたゼラチン溶液中で可溶性銀塩をハイドロキノン
によって還元する方法、ドイツ特許第1,096,193 号明細
書に記載されている難溶性銀塩をヒドラジンによって還
元する方法、米国特許第2,921,914 号明細書に記載され
ているようにタンニン酸により銀に還元する方法、特開
平5-134358号公報に記載されているように無電解メッキ
によって銀粒子を形成する方法などを用いることができ
る。また、Wiley & Sons, New York, 1933年発行、Weis
er著の Colloidal Elements に記載されたCarey Leのデ
キストリン還元法による黄色コロイド銀の調製方法を用
いてもよい。
【0033】本発明の溶液を製造する際に、上記に説明
した成分に加えて、染料、顔料、防腐剤、安定化剤など
の成分を適宜配合してもよい。このような成分は、生体
試料中に含まれる酵素などの測定対象と金属及び/又は
金属化合物との相互作用に実質的に影響を与えないもの
であれば特に限定されず、適宜のものを選択して用いる
ことが可能である。染料としては、例えば、特開平6-10
2624号公報に記載された染料(第9頁 I-1より第47頁63
までの化学構造式により具体的に示された染料)を用い
ることができ、染料の添加方法は、例えば、特開平5-31
3307号公報に記載された方法(第11頁段落番号[0037]か
ら第12頁段落番号[0044]までに具体的に説明された方
法)を採用することができる。
【0034】また、本発明の溶液の保存については特に
限定はないが、5 〜15℃で保存されることが好ましい。
保存容器についても特に限定はなく、試料検査試薬用の
密封容器又は密閉容器、あるいは写真用乳剤及び処理剤
用の容器、遮光容器などを好ましく使用できる。
【0035】本発明の方法の実施の形態は特に限定され
ないが、例えば、本発明の溶液と試料とを接触させた
後、好ましくは37℃の湿潤箱内で、組織切片については
例えば1分間〜24時間、好ましくは 5分間〜3 時間、さ
らに好ましくは 10 分間〜1 時間程度インキュベートす
ればよい。試料中にプロテアーゼなどの測定対象物質が
含まれる場合には、溶液の金属及び/又は金属化合物と
測定対象物質との間で相互作用が生じ、溶液内に着色、
脱色、色調変化、電気伝導度の変化、磁力の変化などの
変化が惹起される。また、酵素基質を含む溶液を用いる
場合には、酵素作用による消化分解物が同時に検出され
る場合もある。必要に応じて消化分解物の量を測定し本
発明の方法と比較してして評価を行ってもよい。
【0036】本発明の方法をプロテアーゼの測定方法と
して用いる場合、組織中に存在する個々の癌細胞の悪性
度(浸潤活性及び転移活性など)を正確に判定すること
が可能であり、癌疾患の予後についての的確な判定が可
能になる。また、リウマチ性関節炎の関節液や歯肉溝滲
出液などの試料中のプロテアーゼを定量することによ
り、これらの疾患の病態や進行程度を正確に判定するこ
とができるが、試料中のプロテアーゼ定量のためには、
予め作成した標準溶液を用いて検量線を作成することが
好ましい。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
ることはない。 例1:病理検査用溶液の製造 (a) コロイド銀乳剤の作成 pHを11.0に調整したデキストリンを18 g含む水溶液 700
ml に硝酸銀 17 g を含む水溶液を添加し、ゼラチンを
添加して30℃で公知のフローキュレーション法により水
洗し、さらにゼラチンを加えて60℃に加熱することによ
り作成した。得られたコロイド銀乳剤は溶液状態で黄色
であった。乳剤は冷蔵保存した。 (b) 検査用溶液:試料101 の作成 コロイド銀乳剤 1 gを純水 1 lに40℃で溶解し溶液を得
た。この溶液の銀濃度は 0.19 mmol/lであった。なお、
必要に応じて界面活性剤を使用した。
【0038】(c) 検査用溶液:試料 102〜130 の作成 金属及び/または金属化合物、添加剤を表1のように変
更および追加して、試料 101と同様にして試料 102〜13
0 を作成した。
【0039】
【表1】
【0040】例2:検査用溶液を用いたプロテアーゼ活
性測定 (a) 溶液試料の測定(測定方法A) プロテアーゼ液体試料として、マトリックス・メタロプ
ロテアーゼ (MMP)-1、MMP-2 及び MMP-9(ヤガイ社製)
をそれぞれ 2 pg/mlから 200 ng/mlの濃度で含む溶液を
用いた。また、生体試料としては、歯周病患者から採取
した歯肉、歯肉溝滲出液(GCF: Gingival Crevicular Fl
uid)、及び歯周病原菌 (P. gingivalis#381株; A. acti
nomycetemcomitans Y4 株;及び P. intermedia ATCC 2
5611 株)を培養した上清を用いた。例1で得たそれぞ
れの溶液 1mlに液体試料約10μlを滴下した。この混合
物を湿潤箱内に入れて37℃で 10 〜60分インキュベート
した後、それぞれの試料に対して目視による判定、
分光光度計による微小部分各々の最大吸収波長に応じた
分光吸収の測定による判定を行い、プロテアーゼの活性
を評価した。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】いずれのサンプルについても着色変化が現
れた。特に、コロイド銀含有溶液は、液体試料及び組織
切片に対して強い赤色の着色を与えた。MMP-1 、MMP-2
及びMMP-9 について、10分後に 200 ng/ml、30分後に20
ng/ml、60分後に 20-200 pg/ml の濃度範囲でプロテア
ーゼ活性が認められた。歯肉溝滲出液の多くはプロテア
ーゼ活性を認めるまでに約30〜60分を要し、プロテアー
ゼの量が 2 pg/mlから20 ng/mlの範囲であることが示唆
された。また、いずれの溶液についても1ヶ月経時して
も変色状態に変化はなかった。
【0043】(b) 検量線を用いた溶液試料の測定(測定
方法B) プロテアーゼ液体試料として、マトリックス・メタロプ
ロテアーゼ(MMP)-1をそれぞれ 2 pg/mlから200 ng/ml
の濃度で含む溶液を用いて、試料 101 1mlに対して上記
方法Aと同様にして測定を行って検量線を作成した。生
体試料としては上記の測定方法Aで用いたものと同じ試
料(歯周病患者から採取した歯肉、歯肉溝滲出液、及び
歯周病原菌を培養した上清)を用いた。結果を表3に示
す。検量線より、生体試料に含まれるMMP-1 の量は40 p
g/mlであることが推察された。
【0044】
【表3】 ──────────────── MMP 添加量 変色 吸光度 ──────────────── 10-7 (g/ml) あり 0.20 10-8 あり 0.20 10-9 あり 0.20 10-10 あり 0.20 10-11 あり 0.05 10-12 微かにあり 0.02 無添加 なし 0.00 ────────────────
【0045】(c) 口腔上顎歯肉癌のプロテアーゼ活性測
定 標本中の癌細胞は胞巣構造を形成する低分化型扁平上皮
癌で、骨組織を破壊して強い浸潤を示していた。この癌
細胞を含む組織を切除して本発明の試料 101 1mlに直接
投入したところ赤色変化が認められた。赤色変化の程度
は癌の進行度と対応していた。一方、周辺の正常な部位
の組織を同様に処置したところ溶液の変化は認められな
かった。また、この赤色変化は免疫染色で現れた変化の
程度に対応した。
【0046】(d) リウマチ患者の滑膜液のプロテアーゼ
活性測定 リウマチ患者の滑膜液約20μl を溶液 1mlに滴下し、37
℃の湿潤箱内で 10 〜60分インキュベートしたところ、
溶液に着色が認められた。特に、コロイド銀溶液を用い
た場合にはプロテアーゼによる顕著な着色が観察でき
た。
【0047】
【発明の効果】本発明の方法は、組織中のプロテアーゼ
などの酵素を測定対象とすることにより、正確かつ簡便
に病理検査結果を得ることができ、従来の方法に比べて
短時間に判定できるという特徴がある。例えば、本発明
の方法をプロテアーゼの測定に用いると、浸潤や転移活
性などの癌細胞の悪性度、歯周炎などの歯周病の進行
度、リウマチや歯槽膿漏などの破壊性病態などを正確に
把握できるので、疾患の診断が容易になる。また、本発
明の方法に従えば、極めて微量の試料からプロテアーゼ
などの酵素活性を測定することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立川 哲彦 東京都品川区荏原2−17−9−105 (72)発明者 長谷川 郁夫 東京都新宿区舟町2 (72)発明者 長谷川 紘司 東京都新宿区舟町2

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 病理検査方法であって、下記の工程: (1) 金属及び/又は金属化合物を含む溶液に試料を接触
    させる工程;及び(2) 試料と金属及び/又は金属化合物
    との相互作用により生じた溶液の変化を検出する工程を
    含む方法。
  2. 【請求項2】 試料がヒトを含む哺乳類から分離・採取
    された生体試料または培養された細胞である請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 生体試料が癌組織切片、歯肉溝滲出液、
    破壊性病変組織切片、又は破壊性病変組織抽出液である
    請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 金属及び/又は金属化合物がコロイド状
    態である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 金属及び/又は金属化合物のコロイドが
    元素周期表の第VIII族、第Ib族、及び第IIb 族からなる
    群から選ばれる金属を含む請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 金属及び/又は金属化合物のコロイドの
    平均粒径が0.001 μm 〜0.5 μm である請求項5に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 金属及び/又は金属化合物のコロイドが
    金、白金、銀、銅の中から選ばれる金属を含む請求項6
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】 溶液の変化として色の変化を検出する請
    求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 酵素の測定を含む病理検査を行うための
    請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 酵素がマトリックス・メタロプロテア
    ーゼである請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 プロテアーゼが関与する疾患の診断に
    用いる請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 病理検査用の溶液であって、金属及び
    /又は金属化合物のコロイドを含み、試料と金属及び/
    又は金属化合物との相互作用により変化を生じることを
    特徴とする溶液。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし10のいずれか1項に記
    載の方法に使用するための溶液。
JP26986197A 1997-10-02 1997-10-02 病理検査方法 Pending JPH11103891A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26986197A JPH11103891A (ja) 1997-10-02 1997-10-02 病理検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26986197A JPH11103891A (ja) 1997-10-02 1997-10-02 病理検査方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11103891A true JPH11103891A (ja) 1999-04-20

Family

ID=17478234

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26986197A Pending JPH11103891A (ja) 1997-10-02 1997-10-02 病理検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11103891A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006275668A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Iwate Univ 生体用金属材料の生体適合性評価方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006275668A (ja) * 2005-03-28 2006-10-12 Iwate Univ 生体用金属材料の生体適合性評価方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Feng et al. Salivary protease spectrum biomarkers of oral cancer
Vandooren et al. Zymography methods for visualizing hydrolytic enzymes
Kos et al. Cysteine proteinases and their endogenous inhibitors: target proteins for prognosis, diagnosis and therapy in cancer
CN1650170A (zh) 用于测定复合生物介质中瞬时蛋白水解活性浓度的诊断测试
Deng et al. Fluorescent gold nanocluster-based sensor for detection of alkaline phosphatase in human osteosarcoma cells
KR20160052536A (ko) 대상체에서 암 위험을 동정하는 조성물 및 방법
US9938563B2 (en) Method for determining the spatiotemporal distribution of activity of a proteolytic enzyme in a heterogeneous system (variations), a device for realizing same and a method for diagnosing the defects in the hemostatic system on the basis of a change in the spatiotemporal distribution of activity of a proteolytic enzyme in a heterogeneous system
Oliveira-Silva et al. Monitoring proteolytic activity in real time: A new world of opportunities for biosensors
JP3302020B2 (ja) プロテアーゼの測定方法及び該方法に用いる薄膜
JPH11103891A (ja) 病理検査方法
JP4246799B2 (ja) 酵素の測定方法
EP1120648B1 (en) Method of detecting thiol-containing compound
JPH11103890A (ja) 病理検査方法
JP2001000197A (ja) プロテアーゼ活性の測定方法
JP4070409B2 (ja) マトリックスメタロプロテアーゼ阻害活性の評価方法
US5310647A (en) Detection and measurement of destructive and polymer forming enzymes by colloidal flocculation
WO1999023245A1 (fr) Methode d'analyse d'enzymes
El-Mezayen et al. Development of a novel metastatic breast cancer score based on hyaluronic acid metabolism
JP3598292B2 (ja) プロテアーゼの測定方法及び該方法に用いる薄膜
US20020086399A1 (en) Method of measurement of protease and thin membranes used for said method
JP4505630B2 (ja) ポリマー膜を用いるプロテアーゼ活性測定法
EP1085097B1 (en) Method for judging effectiveness of protease inhibitors
JP2002223796A (ja) プロテアーゼの測定方法及び該方法に用いる薄膜
CN113324933A (zh) 一种检测血管紧张素转换酶的方法及其应用
JP2000325096A (ja) プロテアーゼの測定方法