JPH11101768A - 測定容器及びそれが取り付けられた酸度測定装置 - Google Patents

測定容器及びそれが取り付けられた酸度測定装置

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JPH11101768A
JPH11101768A JP26312397A JP26312397A JPH11101768A JP H11101768 A JPH11101768 A JP H11101768A JP 26312397 A JP26312397 A JP 26312397A JP 26312397 A JP26312397 A JP 26312397A JP H11101768 A JPH11101768 A JP H11101768A
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measuring
measured
container
acidity
electrolytic solution
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Tetsuya Nishio
哲也 西尾
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被測定液を計り取ることなく、短時間で高精
度の酸度測定を行うことのできる酸度測定装置を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】 被測定液を注入する注入口13が計量体
摺動面と連通して形成された容器本体33aと、容器本
体33aに装着されたときには収容した電解液の一部が
容器本体33aにも放出される電解液収容部11と、容
器本体33aに取り付けられ、電解液収容部11を装着
したときには一方端が電解液に浸漬される作用電極8、
対極7および比較電極部9と、計量体摺動面に回動自在
に装着され、被測定液を計量する計量体14と、所定の
回動位置において注入口13に連通可能に計量体14の
外周に形成され、計量体14の回動により注入口13か
ら注入された被測定液を所定量だけ取り込み、さらなる
回動でこれを電解液に放出する計量くぼみ15とを有す
る測定容器33が取り付けられた酸度測定装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食用油に含まれる
遊離脂肪酸、果実飲料に含まれるリンゴ酸や酒石酸、ア
ルコール飲料に含まれる酸、あるいはコーヒーの中のコ
ーヒー酸等の酸度を測定する測定容器及びそれが取り付
けられた酸度測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、食品は健康や安全面から一定の水
準以上の品質が要求されるようになってきている。中で
も食品中に含有された酸は食品の品質に大きな影響を与
えるものである。また最近では酸度の低い食品が専ら嗜
好される傾向にある。
【0003】このように各種食品の酸度は食品の消費に
大きな影響を及ぼすが、その影響する程度や測定法は食
品によってそれぞれ異なるものである。そこで、以下、
こうした食品の代表例として食用油,ジュース等の
果実飲料,ウィスキーや酒、ワイン等のアルコール飲
料,コーヒーについて、それぞれの酸がどのようなも
ので従来どのようにして測定されていたのかを説明をす
る。
【0004】先ず、食用油に含まれる酸について、近年
増加の著しいフライ食品を例にとって説明する。
【0005】このフライ食品は、温度や光の影響を受け
る環境に長時間さらすと、空気中の酸素により油脂が自
動酸化して、変敗臭が生じたり、その他品質の劣化がも
たらされる。こうした油脂の傷み具合、特に加熱された
油脂の劣化度を知る方法としては、酸価、過酸化物価、
粘度、ヨウ素価などを測定するいくつかの分析方法があ
る。ここで、上記したように食品の劣化に大きな影響を
与えるのが温度や加湿、光であり、劣化の初期には酸度
の変化が大きいことを考慮すると、これらの中で酸度を
直接測る酸価の測定が熱劣化の判定を行うために適当で
あり、また通常これが多く用いられている。
【0006】次に、飲料水の酸について説明する。ジュ
ース等の果実飲料は原料果実を搾汁機にかけて得た汁液
であるが、果実飲料の多くは、新鮮な果実の搾汁をその
まま用いるよりも、濃縮果汁または冷凍果汁を原料とし
て製品を作る場合が多い。例えばオレンジジュースの場
合、みかんの病害果や未熟果を除去した後に、表皮を洗
浄し、これを圧搾して果肉と果汁を取り出し、さらに果
汁から果皮、じょうのう膜等を取り除いている。そして
この時点で日本農林規格に適合するように糖度や酸度な
どを調合し、その際に酸度を測定している。また、濃縮
果汁や冷凍果汁からオレンジジュースを作る場合は、濃
縮果汁や冷凍果汁に水を加えてオレンジジュースを作る
際に酸度を測定している。
【0007】続いて、アルコール飲料について説明す
る。ウィスキーや焼酎に代表される蒸留を何度も繰り返
してエタノールの収率を上げる蒸留酒、あるいは酒やワ
インに代表される素材そのものを発酵させて濾過するこ
とで得られる醸造酒、そしてその他果実酒やビール等の
発泡酒等、アルコール飲料には色々と種類があってその
製造過程もまちまちである。しかし、いずれのアルコー
ル飲料の製造においても、工程の中で製品の品質確保の
ために酸度の測定を行っている。
【0008】最後に、コーヒーの酸について説明する。
コーヒーの味を左右する酸味を与える物質は以下に述べ
るように多種類にわたるが、酸含有量がコーヒーの酸味
評価の指標として重要である。コーヒー中に含まれる酸
の代表としてはクロロゲン酸類が挙げられる。その含有
量はコーヒー豆の焙煎の過程でも変動する。その他に
も、コーヒーの酸味に関与する物質は、コーヒー酸、キ
ナ酸、更にはクエン酸など多くの化合物がある。そし
て、それぞれの酸の含有量は微量でありながら、微妙な
バランスとその総量が酸味の決め手になっていると考え
られる。
【0009】このように各種の食品において、その製造
工程上でそれぞれの酸度を測定することが行われている
が、その測定方法には様々なものがある。
【0010】従来の酸測定方法の一例としては、基準油
脂分析法,日本農林規格,JIS,日本薬局方油脂試験
法,衛生試験法飲食物試験法,上水試験方法などで定め
られた方法があるが、いずれも測定の基本はフェノール
フタレインを指示薬とした中和滴定法である。そこで、
この中和滴定方法を説明するため、上水試験方法と基準
油脂分析法で規定されている中和滴定法を以下説明す
る。
【0011】上水試験方法での酸度は、試料1リットル
中に含まれている炭酸カルシウムに酸を換算したときの
mg数として定義される。具体的には試験水100mL
を採り、これにフェノールフタレイン指示薬を約0.2
mL加え、さらに0.02モル/Lの水酸化ナトリウム
溶液を加える。そして、密栓して軽く揺り動かし、紅色
が消えたならば、さらに微紅色が消えずに残るまで滴定
を続けたときを中和の終点としその水酸化ナトリウムの
mL数aを求める。そのときの酸度は、 酸度(炭酸カルシウム換算mg/L)=10a で与えられる。
【0012】次に基準油脂分析法で規定されている中和
滴定法を説明する。基準油脂分析法での酸度の定義は、
試料1g中に含まれている遊離脂肪酸を中和するに要す
る水酸化カリウムのmg数をいう。液体試料の場合、試
料をその推定酸度(例えば酸度1以下は20gを採取、
酸度1を越えて4以下は10gを採取、酸度が4を越え
て15以下は2.5gを採取)に応じて採取して三角フ
ラスコに正しく計り取る。これに中性溶剤100mLを
加え、試料が完全に溶けるまで充分に振る。但し、ここ
でいう中性溶剤とはエチルエーテル、エタノール1:1
の混合溶剤100mLにフエノールフタレイン指示薬約
0.3mLを加え、使用直前に1/10規定(N)水酸
化カリウム−エタノール溶液で中和したものである。
【0013】一方、固体試料の場合は水浴上で加温溶融
したのち溶剤を加えて溶解する。これを、1/10規定
(N)水酸化カリウム−エタノール標準液で滴定し、指
示薬の色変化が30秒続いたときを中和の終点と定め
る。そしてこのときの水酸化カリウムのmg数を計算す
るものである。
【0014】ところで、脂肪酸の測定については、この
ような中和滴定法によらず、ボルタンメトリーによって
酸度を測定する方法がある。
【0015】これは特開平5−264503号公報で開
示されたもので、遊離脂肪酸とナフトキノン誘導体が共
存する測定電解液を電位規制法によるボルタンメトリー
によって測定するものである。ナフトキノン誘導体の還
元前置波の電流値の大きさが、蟻酸のような低級脂肪酸
からオレイン酸やリノール酸のような高級脂肪酸まで全
ての脂肪酸について、遊離脂肪酸の濃度に比例し、各脂
肪酸の電流値を重ね合わせた値が脂肪酸の総濃度に対応
することを利用している。すなわち、ナフトキノン誘導
体の還元前置波の電流値の大きさを測ることにより酸濃
度を測定するものである。
【0016】しかしこのボルタンメトリーを行うために
は、電解液と被測定液を所定の比率で混合する必要があ
り、測定者が電解液と被測定液とを高精度の計量器具で
計り取って混合するという面倒な準備を行っていた。し
かも、この混合した共存電解液に溶存酸素が残っている
と、溶存酸素の還元波形のためボルタンメトリー電流波
形の還元前置波が乱され、プレピークを示す電流値を測
定できない事態が生じる。
【0017】ここで、図14は従来のナフトキノン誘導
体が共存する測定電解液のボルタンメトリーによる酸度
測定の電流−電位特性を示すグラフである。
【0018】図14において、横軸は比較電極に銀−塩
化銀、作用電極にφ3のグラッシーカーボンを用いたと
きの比較電極に対する作用電極の電位を、縦軸はこのと
き対極に流れる電流値をそれぞれ示す。但し、電流値は
作用電極の表面積の大きさや酸の濃度といった条件によ
って変わるものである。これに対して横軸の電圧値は酸
の濃度によって若干の変動はあるものの、無視できる程
度のものである。
【0019】図14において、Aが酸濃度に比例した還
元前置波を示すプレピークであり、Cがナフトキノン誘
導体の本ピークである。ただし図14における実線のデ
ータは共存電解液中の溶存酸素を除いて得られたもので
ある。これは、もし溶存酸素の除去をしないと、溶存酸
素の還元のための電流が流れて、還元前置波の電流値の
大きさが判別しにくくなり、図14の破線で示すように
プレピークがほとんど判別できなくなるからである。
【0020】そして、特開平5−264503号公報で
開示された技術では、この溶存酸素を除くためにガスボ
ンベが必要で、大掛かりな装置となってしまう。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来の酸度測定装置は、上水試験方法では試験水100
mLを、基準油脂分析法では指定酸価に応じた重量の試
料を、特開平5−264503号公報で開示された技術
では電解液と被測定液を正確に計り取ならければならな
いため、正確な試料採取のための手間と時間または定量
採取用の高価な器具が必要であった。
【0022】しかも特開平5−264503号公報で開
示された技術では、精度の高い酸度を測定するためには
大掛かりな装置が必要であった。
【0023】そこで、本発明は、被測定液を計り取るこ
となく、短時間で高精度の酸度測定を行うことのできる
測定容器及びそれが取り付けられた酸度測定装置を提供
することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の測定容器は、酸含有の被測定液と電解液と
を混合するものであり、計量体摺動面が設けられるとと
もに、被測定液を注入する注入口が計量体摺動面と連通
して形成された容器本体と、電解液を収容し、容器本体
に装着されたときには電解液の一部が容器本体にも放出
される電解液収容部と、容器本体に取り付けられるとと
もに、電解液収容部を装着したときには一方端がそれぞ
れ電解液に浸漬される作用電極、対極および比較電極部
と、計量体摺動面に回動自在に装着され、被測定液を計
量できる計量体と、計量体摺動面内の所定の回動位置に
おいて注入口に連通可能に計量体の外周に形成され、計
量体の回動により注入口から注入された被測定液を所定
量だけ取り込むとともにさらなる回動でこれを電解液に
放出する計量くぼみとを有するものである。
【0025】これにより、計量体を回動させることによ
り計量くぼみによって被測定液が自動的に所定量計量さ
れて電解液内に放出されるので、あらためて被測定液を
計り取る必要がなく、短時間で高精度の酸度測定を行う
ことが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、酸含有の被測定液と電解液とを混合する測定容器で
あって、計量体摺動面が設けられるとともに、被測定液
を注入する注入口が計量体摺動面と連通して形成された
容器本体と、電解液を収容し、容器本体に装着されたと
きには電解液の一部が容器本体にも放出される電解液収
容部と、容器本体に取り付けられるとともに、電解液収
容部を装着したときには一方端がそれぞれ電解液に浸漬
される作用電極、対極および比較電極部と、計量体摺動
面に回動自在に装着され、被測定液を計量できる計量体
と、計量体摺動面内の所定の回動位置において注入口に
連通可能に計量体の外周に形成され、計量体の回動によ
り注入口から注入された被測定液を所定量だけ取り込む
とともにさらなる回動でこれを電解液に放出する計量く
ぼみとを有するものであり、あらためて被測定液を計り
取る必要がなく、短時間で高精度の酸度測定を行うこと
が可能になるという作用を有する。
【0027】本発明の請求項2に記載の発明は、請求項
1記載の発明において、計量体における計量くぼみと同
じ外周面上に、計量くぼみに取り込まれた後に注入口に
残った余剰の被測定液を回収する余剰液回収部が形成さ
れた測定容器であり、余剰の被測定液の飛散が防止され
るという作用を有する。
【0028】本発明の請求項3に記載の発明は、請求項
1または2記載の発明において、電解液は、除酸素され
た後、還元雰囲気で容器本体に封入されている測定容器
であり、電解液中の溶存酸素の影響がなくなるので、ナ
フトキノン誘導体を混合した電解液での酸度測定が可能
になるという作用を有する。
【0029】本発明の請求項4に記載の発明は、請求項
1、2または3記載の発明において、電解液収容部が、
電解液を収容してこれを容器本体に装着する際に破壊さ
れる膜部材により密封し、測定容器に対して着脱自在と
された電解セルである測定容器であり、電解セルのみを
交換することにより測定容器の再利用が可能になるとい
う作用を有する。
【0030】本発明の請求項5に記載の発明は、請求項
4記載の発明において、計量体が中空とされ、この中空
内に容器本体内の溶液を取り込み、これを注入口から排
出する排出口が計量くぼみと同じ外周面上に形成されて
いる測定容器であり、測定後、この排出口を利用して内
部の溶液を排出してから電解液収容部を取り外すように
すれば、取り外しの際の溶液飛散を防止することができ
るという作用を有する。
【0031】そして、請求項6に記載の発明は、請求項
1〜5の何れか一項に記載の測定容器が取り付けられた
酸度測定装置である。
【0032】以下、本発明の実施の形態について、図1
から図13を用いて説明する。なお、これらの図面にお
いて同一の部材には同一の符号を付しており、また、重
複した説明は省略されている。
【0033】図1は本発明の一実施の形態における酸度
測定装置を示す外観斜視図、図2は図1の酸度測定装置
において上蓋を開放した状態を示す外観斜視図、図3
(a)は図1の酸度測定装置における電解セル装着前の
測定容器の全体構成を示す断面図、図3(b)は図1の
酸度測定装置における電解セル装着後の測定容器の全体
構成を示す断面図、図4(a)は図3の測定容器におい
て計量くぼみが注入口に対して開放された状態を示す断
面図、図4(b)は図3の測定容器において計量くぼみ
が密封された後に余剰液回収部が注入口に対して開放さ
れた状態を示す断面図、図4(c)は図3の測定容器に
おいて計量くぼみが測定容器内部に対して開放された状
態を示す断面図、図4(d)は図3の測定容器において
計量くぼみと余剰液回収部がともに測定容器内部に対し
て開放された状態を示す断面図、図4(e)は図3の測
定容器において排出口が注入口を介して外部に開放され
た状態を示す断面図、図5は図3の測定容器におけるモ
ード表示部を示す外観図、図6は図1の酸度測定装置に
おける比較電極部を詳しく示す説明図、図7はオルトベ
ンゾキノン誘導体を混合した酸含有の共存電解液のボル
タンメトリーによる酸度測定の電流−電位の関係を示す
グラフ、図8はパラベンゾキノン誘導体を混合した酸含
有の共存電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電
流−電位の関係を示すグラフ、図9はナフトキノン誘導
体を混合した酸含有の共存電解液のボルタンメトリーに
よる酸度測定の電流−電位の関係を示すグラフ、図10
は本実施の形態における酸度測定装置の制御部を示すブ
ロック図、図11は本実施の形態における酸度測定装置
の制御回路のオペアンプからの出力電圧を示すグラフ、
図12は本実施の形態における酸度測定装置の制御回路
の積分回路からの出力電圧を示すグラフ、図13は本実
施の形態における酸度測定装置の酸度と還元電流との関
係を示すグラフである。
【0034】図1において、酸度測定装置Aの本体部2
1には、測定容器33(図2)のセットされる内部空間
を覆う上蓋1が取り付けられている。この上蓋1に隣接
して、上蓋1のロックを開放するための開放ボタン2が
設けられている。また、本体部21には、測定酸度を表
示する表示手段であるLCD3が設けられ、さらに、酸
度の大きさによって領域を切り替えるための切り替えボ
タン4、測定を開始するためのスタート・ストップボタ
ン5および本装置の電源をON,OFFする電源ボタン
6が配列されている。そして、図1に示す開放ボタン2
を押すと、図2に示すように上蓋1が開放され、セット
された測定容器33が露出される。なお、測定容器33
は着脱自在になっている。
【0035】図3に示すように、測定容器33の容器本
体33aには、対極7、作用電極8および比較電極部9
が取り付けられた電極カバーが取り付けられている。ま
た、容器本体33aには電解液収容部11が装着されて
おり、この電解液収容部11には、オルトベンゾキノン
誘導体,有機溶媒,電解質を混合した電解液10がたと
えば10mL収容されている。そして、前記した対極
7,作用電極8,比較電極部9の一方端は電解液10に
浸漬されいる。ここで、対極7の材料としては電解液1
0および被測定液中でも腐食せず化学的に安定な白金、
黒鉛、金が望ましいが、腐食しないステンレス、アルミ
ニウム及び白金含有合金等であってもよい。作用電極8
の材料としては、炭素もしくはグラッシーカーボンと呼
ばれるガラス状炭素や、PFCと呼ばれるプラスチック
フォームを1000℃〜2000℃で焼結した炭素が適
当である。
【0036】電解液収容部11の開口には、電解液収容
部11を密封する破損型の膜部材12が貼着されてい
る。この膜部材12は、たとえば薄いフィルム・ビニー
ル・ゴム・軟質プラスチック・金属箔等による構成され
ている。そして、電解液10、電解液収容部11および
膜部材12により、容器本体33aへの着脱が自在な電
解セルが形成されている。
【0037】容器本体33aには、装着される電解液収
容部11の開口に向かって突出した開放突起33bが形
成されている。これにより、電解液収容部11を測定容
器に装着する際に開放突起33bにより膜部材12が破
壊され、収容された電解液10が流出して対極7,作用
電極8,比較電極部9が浸漬されることになる。
【0038】また、容器本体33aには、このように対
極7,作用電極8,比較電極部9を浸漬する電解液10
に対して、被測定液を計量して供給する中空円柱状の計
量体14が周方向に回動自在にはめ込まれ、計量体14
との間に計量体摺動面が形成されている。この計量体1
4は一部の外周面が容器本体33a内の電解液10に面
するようにして取り付けられている。容器本体33aに
は、被測定液を注入する注入口13が計量体摺動面と連
通して形成されている。
【0039】図4に示すように、計量体14の外周に
は、計量体摺動面内の所定の回動位置において注入口1
3に連通する計量くぼみ15が形成されている。この計
量くぼみ15は、連通した注入口13から注入された被
測定液が一旦貯められるもので、計量体14を回動して
計量くぼみ15と注入口13との連通が解除され、容器
本体33aの内壁で密封されたときに、被測定液が重量
換算で0.5gとなる容積に設定されている。
【0040】計量体14の外周で且つ計量くぼみ15と
同じ外周面上には、余剰液回収部16が形成されてい
る。これにより、被測定液を計量する際に計量くぼみ1
5に貯められない余剰の被測定液は、計量体14をさら
に回動させることによりこの余剰液回収部16に回収さ
れるようになる。なお、この余剰液回収部16は必ずし
も設けられていなくてもよい。
【0041】さらに、計量くぼみ15および余剰液回収
部16と同じ計量体14の外周面上には、中空の内部に
開口して排出口17が形成されている。したがって、計
量体14を回動させて排出口17を注入口13に合わせ
ると、計量体14内の液体は外部へ排出される。
【0042】ここで、計量体14は回動位置により、注
入モード,混合モード,洗浄モード,排出モードにな
り、図5に示すように、これらのモードは計量体14の
端面に印字されたマークを測定容器外壁の各モードの位
置を示すマークに合わせることにより設定される。
【0043】すなわち、注入モードは、図4(a)に示
すように、計量くぼみ15が注入口13と連通されてい
る位置、混合モードは、図4(c)に示すように、計量
くぼみ15が容器本体33aの内部に対して開放され且
つ余剰液回収部16は開放されていない位置、つまり、
計量くぼみ15によって形容された重量換算0.5gの
被測定液が電解液10と混合可能になる位置である。こ
こで、混合モードで計量くぼみ15が電解液10に浸漬
されるようになっていれば、電解液10と被測定液との
混合がスムーズに行われて効果的である。なお、図4
(b)に示すように、注入モードから混合モードに移行
する途中で余剰液回収部16が注入口13に連通される
ので、計量くぼみ15に取り込まれずに注入口13に残
った余剰の被測定液は、この段階で余剰液回収部16に
回収される。
【0044】洗浄モードは、図4(d)に示すように、
計量くぼみ15と余剰液回収部16がともに測定容器3
3内部に対して開放され且つ排出口17が閉塞されてい
る位置、そして、排出モードは、図4(e)に示すよう
に、排出口17が注入口13を介して外部に開放されて
いる位置である。使用後の電解セルまたは測定容器洗浄
用の洗浄セルを測定容器33から取り外す前に、混合溶
液または洗浄溶液を排出口17から計量体14の内部に
導入した後に排出モードにセットして該溶液を排出して
おけば、取り外しの際の溶液飛散を防止できる。
【0045】なお、測定容器33が使い捨ての場合には
洗浄モードおよび排出モードは不要であるが、ユーザが
測定容器33を洗浄して使い回しする場合は必要とな
る。また、使用後の測定容器33を回収してリサイクル
する場合は、測定容器33の洗浄を効率よく行うために
洗浄モードが必要であるが、そうでない場合には洗浄モ
ードを利用することはないため、洗浄モードおよびその
表示は必要なく、さらに排出モードについても不要であ
る。
【0046】なお、本発明において被測定液の液量は
0.5gに限定されるものではなく、自由に設定するこ
とができる。
【0047】次に、比較電極部9について説明する。図
6に示すように、比較電極部9は、ガラス容器9a内に
突出された比較電極18と、ガラス容器9a内に収容さ
れた緩衝溶液19と、ガラス容器9aの端面を形成する
液絡部20から構成されている。
【0048】ここで、比較電極18の材料としては銀−
塩化銀が望ましいが、飽和カロメル、飽和塩化カロメ
ル、銀−銀イオン、水銀−飽和硫酸水銀、銅−飽和硫酸
銅でもよい。なお、例えば銀−塩化銀などの表示は、銀
からなる比較電極18の表面を塩化銀で被覆しているこ
とを示す。緩衝溶液19の材料としては、塩化銀、塩化
ナトリウム、塩化リチウム等の塩素化合物、アセトニト
リル、硫酸銅その他の比較電極18の酸化還元反応にお
いて緩衝作用を示す溶液が適当である。また、液絡部2
0は緩衝溶液19と電解液10との間に位置され、これ
らの溶液および被測定液は通過させないが電子もしくは
イオンは通過させる作用を有するものであり、多孔質の
セラミックスや多孔質のバイコールガラス等から構成さ
れている。
【0049】続いて、電解液収容部11に収容される電
解液10について説明する。本実施の形態では、電解質
として過塩素酸リチウムが使用されている。本実施の形
態の電解液10は、溶媒としてエタノール65%にイソ
オクタン35%を混合して10mLとし、オルトベンゾ
キノン10mモル/L、過塩素酸リチウム50mモル/
Lを溶融したもので、この溶媒に被測定液を0.5g混
合して測定を行う。エタノールは電解質を容易に溶融す
ることができ、同時に電極表面を洗浄する作用効果も合
わせもっている。また、イソオクタンは熱劣化した油で
あっても溶融させることができ、エタノールとの溶解性
も相性がよいものである。
【0050】ところで、本発明の実施の形態では、電解
液10にはオルトベンゾキノン誘導体が混合されている
が、パラベンゾキノン誘導体、または後述するような測
定容器33の構造にあってはナフトキノン誘導体が混合
されいてもよい。
【0051】先ず、オルトベンゾキノン誘導体を混合し
た電解液10を用いて酸度を測定した場合について説明
する。
【0052】図7において、横軸は比較電極18に銀−
塩化銀、作用電極8にφ2のプラスチックフォームカー
ボンを用いたときの比較電極18に対する作用電極8の
電位であり、縦軸はこのとき対極7に流れる電流値であ
る。但し、電流値は作用電極8の表面積の大きさや酸の
濃度といった条件によって変わるものである。これに対
して横軸の電圧値は酸の濃度によって若干変動はあるも
のの無視できる程度のものである。なお、実線がオルト
ベンゾキノン誘導体を混合した共存電解液のボルタンメ
トリー電流波形であり、破線が溶存酸素の還元波形を示
すものである。
【0053】図7に示すように、オルトベンゾキノン誘
導体のボルタンメトリー電流波形(以下、「ボルタモグ
ラム」という。)は、溶存酸素の還元波形が出現する領
域から大きくシフトして出現している。図7によれば、
プレピーク波形は0mV付近から正電位側にかけて存在
し、溶存酸素の還元波形が存在する負電位側から約40
0mVの幅でシフトされている。そして、本ピークの位
置でも溶存酸素の還元の影響はほとんどない。
【0054】このように溶存酸素の影響のない領域でプ
レピーク値を測定できるので、予め溶存酸素を除去しな
くても、溶存酸素の影響を受けることなく、従ってバラ
つきもなく酸度を正確に測ることができる。
【0055】次に、パラベンゾキノン誘導体を混合した
電解液10を用いて酸度を測定した場合の説明をする。
【0056】図8において、実線がパラベンゾキノン誘
導体のボルタモグラムであり、破線が溶存酸素の還元波
形を示す。
【0057】図8に示すように、パラベンゾキノン誘導
体のボルタモグラムのプレピークは、溶存酸素の還元波
形が出現する領域に若干掛かる程度にシフトして出現し
ている。
【0058】図8によれば、プレピーク波形は溶存酸素
の還元波形が存在する負電位側から約200mVの幅で
シフトされている。そして、本ピークの位置では溶存酸
素の還元の影響が若干認められるが、酸の測定には影響
はほとんどない。
【0059】このように溶存酸素の影響の少ない領域で
プレピーク値を測定できるので、予め溶存酸素を除去し
なくても、溶存酸素の影響は無視できるものであり、従
ってバラつきもなく酸度を正確に測ることができる。も
ちろん溶存酸素が除去されていれば一層正確に測ること
ができることは言うまでもない。
【0060】最後に、ナフトキノン誘導体を混合した電
解液を用いて酸度を測定した場合について説明する。
【0061】図9において、実線がナフトキノン誘導体
のボルタモグラムであり、破線が溶存酸素の還元波形を
示す。
【0062】図9に示すように、ナフトキノン誘導体の
ボルタモグラムのプレピークは、溶存酸素の還元波形が
出現する領域に掛かるように出現している。もし溶存酸
素の除去をしないと還元前置波の電流値の大きさが判別
しにくくなるため、ナフトキノン誘導体を混合した電解
液を用いた場合、溶存酸素の除去が前提となる。
【0063】さて、本実施の形態の酸度測定装置を操作
するときにおける装置の動作について説明する。
【0064】先ず、測定容器33が注入モードの状態で
あることと計量くぼみ15に残留溶液や異物等がはいっ
ていないことを確認して、電解液10と電解液収容部1
1と膜部材12により構成された電解セルを容器本体3
3aに装着する。このとき、膜部材12は容器本体33
aに形成された開放突起33bにより破壊され、電解液
収容部11より容器本体33aの内部へと電解液10が
流入する。そして、これにより、対極7,作用電極8,
比較電極部9が浸漬される。なお、容器本体33aと電
解液収容部11との間から液漏れが生じないように、電
解セルを容器本体33aに装着するときには、膜部材1
2と容器本体33a、または電解液収容部11と容器本
体33aとを相互に密着させる必要がある。また、開放
突起33bは膜部材12の一部に集中応力をかけてこれ
を容易に破損することができるように先端が尖った形状
とし、膜部材12は開放突起33bの先端形状に合わせ
て肉厚を変化させ、集中応力がかかりやすくしたり、残
留応力を残して電解液収容部11に固着される等、破損
しやすくしておくのが好ましい。
【0065】次に、注入口13を上にし、計量体14を
回動させて、図4(a)に示す注入モードに設定する。
この注入モードにより計量くぼみ15が注入口13と連
通されるので、注入口13より被測定液である劣化油を
計量くぼみ15に、少なくとも注入口13内に溜まるま
で注入し、計量くぼみ15内の空気を全て抜く。ここで
計量体14を混合モード方向へと回動させると、計量く
ぼみ15と容器本体33aの内壁とで形成されたスペー
スに取り込まれた被測定液が計量体14とともに回動さ
れ、一方、計量くぼみ15からはみ出した余剰の被測定
液は容器本体33aの内壁にはぎとられるようにして注
入口13内に残る。これにより、計量くぼみ15が密封
された時点で、この計量くぼみ15内の被測定液は0.
5gとなる。
【0066】計量体14が図4(b)に示す位置にくる
と、計量くぼみ15は密封されたままで余剰液回収部1
6が注入口13に対して開放され、注入口13に残留し
ていた余剰の被測定液が余剰液回収部16内に回収され
る。
【0067】さらに計量体14の回動が進むと、計量く
ぼみ15が密封されたまま余剰液回収部16内の余剰被
測定液および空気が余剰液回収部16と容器本体33a
の内壁とで密封された状態となる。そして、図4(c)
に示す混合モードまで計量体14を回動させると、余剰
液回収部16が密封されたまま計量くぼみ15が測定容
器内部に対して開放され、計量くぼみ15内の被測定液
が放出されて電解液10と混合される。
【0068】このように、本測定容器33によれば、計
量体14を回動させることにより計量くぼみ15によっ
て被測定液が自動的に0.5g計量されてこれが電解液
10内に放出されるようになっているので、あらためて
被測定液を計り取る必要がなく、短時間で高精度の酸度
測定を行うことが可能になる。
【0069】なお、このような動作によると、被測定液
との混合時において電解液10に外部の酸素が混じるこ
とがないので、電解セルを用いずに、電解液10を測定
容器33に入れて窒素ガス等により除酸素した後、窒素
ガス等の還元雰囲気で測定容器33を密封しておけば、
電解液10は溶存酸素の影響を受けることもなく、ナフ
トキノン誘導体を混合した電解液10の使用も可能とな
る。これにより、溶存酸素を除去するための大掛かりな
装置が不要になるので、測定容器33ひいては酸度測定
装置Aを小型化することができる。
【0070】上記動作終了後、測定容器33の全体を振
り、電解液10と被測定液とをなじませる。
【0071】このようにして測定容器33の準備が終わ
ったならば、測定容器33を酸度測定装置A内にセット
して上蓋1を閉じ、測定可能状態となる。
【0072】そして、電源ボタン6とスタート・ストッ
プボタン5とを押して測定開始すると、後記するコント
ローラ22が、作用電極8の電位を銀−塩化銀電極であ
る比較電極18の電位に対して+500mV〜−300
mV(好ましくは+200mV〜−200mV)の範囲
で3〜20mV/sの掃引速度で掃引するように、作用
電極8と対極7の間に電圧を印加する。この+500m
V〜−300mVの範囲というのは、上述した溶存酸素
の影響のほとんどない領域であってプレピーク値を正確
に測定できる領域である。また、掃引速度3〜20mV
/sで所定の電位差を掃引すると、後記するように、図
7に示すような安定したボルタンメトリー電流波形を得
ることができる。
【0073】このような掃引を行うことで、酸の還元電
流のピークが0mV付近の電位で出現する。これがプレ
ピークであり、この電位は酸の濃度が上がると負側へシ
フトしていく。しかしシフトがあっても+500mV〜
−300mVの範囲に設定しておけば、どのような濃度
の酸度であっても測定することができる。
【0074】次に、本実施の形態の酸度測定装置Aの制
御部について説明する。図10に示すように、スタート
・ストップボタン5によって動作するスタート・ストッ
プスイッチ5’および電源ボタン6を押すと動作する電
源スイッチ6’が接続され、マイクロコンピュータ等か
ら構成されるコントローラ22には、所定のデータをや
り取りして被測定液の酸度を算出する酸度算出手段3
2、および算出された酸度を表示するLCD3が接続さ
れている。また、所定の周期で発振する発振子23、こ
の発振子23の信号からクロックを生成する分周回路2
4、分周回路24のクロックで計時を行うタイマー(計
時手段)25が接続されている。さらに、コントローラ
22の出力側から入力側に向かって、D/Aコンバータ
26、オペアンプ27、モニタリング回路28、抵抗器
29、差動アンプ30、A/Dコンバータ31が順次電
気的に接続されている。
【0075】このような制御部によれば、図1の電源ボ
タン6を押すとLCD3が動作可能となる。次にスター
ト・ストップボタン5を押すと、コントローラ22は発
振子23により発生される信号を基に分周回路24によ
って内部でクロックを作り、そのクロックをカウントし
てタイマー25が計時を開始する。このタイマー25は
1秒単位で計時を行う。
【0076】タイマー25に同期してコントローラ22
はD/Aコンバータ26へ所定の電圧のデジタル信号
(パルス)を送る。D/Aコンバータ26ではそのデジ
タル信号をアナログ信号に変換し、オペアンプ27へ出
力する。
【0077】図11に示すように、横軸に時間、縦軸に
電圧をとった場合、時間が1秒,2秒,3秒,・・・と
計時される毎に、電圧が5mV,10mV,15mV,
・・・段階的に変化して行く。そしてオペアンプ27か
ら出力されるこのような信号はRC積分回路を通ること
により積分され、図12に示したアナログ信号となり、
モニタリング回路28に入力される。
【0078】モニタリング回路28においては、モニタ
リング回路を構成するオペアンプのイマジナリショート
を利用して、出力端側の対極7の電圧Cをアナログ信号
に従って制御し、マイナス入力端側の比較電極18の電
圧Rがアナログ信号と同じになるようにする。これによ
り比較電極18と作用電極8との間の電位差は所定の値
+500mV〜−300mVの範囲となる。一方、対極
7に流れる電流は、抵抗器29の両端の電圧を差動アン
プ30を通すことにより電圧へ変換され、A/Dコンバ
ータ31を介してアナログ信号からディジタル信号へ変
換されてコントローラ22へ入力される。
【0079】ここで、コントローラ22は、図12に示
すように、所定の掃引速度で掃引される電圧に対して入
力された電流をそれぞれ比較することにより、図7のA
で表したプレピークを与える電流値を検出する。ここ
で、本実施の形態においてはオルトベンゾキノンを混合
した電解液が用いられている。そこで、この電流のプレ
ピーク値を基に酸度算出手段32で被測定液の酸度を計
算し、その値をLCD3で表示する。
【0080】ここで、本実施の形態における酸度測定装
置Aの酸度と還元電流との関係を図13に示す。図7に
おいて、電圧Eは作用電極8と比較電極18の間の電位
差であり、電流Iは対極7に流れる電流である。この波
形においてAで示したプレピーク値を与える電流値Iと
被測定液に混入した酸の酸度θは、図13に示すように
比例の関係にある。すなわち、プレピークの電流値と劣
化度にはI=Kθ+Cの関係がある。そこでプレピーク
Aでの電流値Iを測定することで酸度θを測定すること
ができる。
【0081】コントローラ22は作用電極8と比較電極
18の間の電位差をモニタリングしながら、作用電極8
と対極7の間に電圧を印加する。そのとき作用電極8と
比較電極18との間の電位差を約20mV/s以上で掃
引すると、電極が反応する速度よりも電位を掃引する速
度の方が速いために、安定した電流波形が得られない。
また、逆に掃引速度を3mV/s未満にすると、電極表
面での反応が過剰に起こってしまい安定した電流波形が
得られない。従って、電位の掃引速度は3〜20mV/
sとなるようにする必要がある。
【0082】そして測定値を酸度に変換するためには、
予め酸度が分かっている標準試薬を作成し、例えば酸度
1,2,3に対する電流は何μAで、このとき比例常数
Kはいくらといった具合に酸度算出手段32中のメモリ
に比例常数Kを記憶設定しておけばよい。
【0083】このように比例常数Kを記憶しておけば、
任意の酸度を測定したい場合、マイクロコンピュータか
ら構成される酸度算出手段32によって測定電流値Iを
酸度θに変換することができる。
【0084】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、計量体
を回動させることにより計量くぼみによって被測定液が
自動的に所定量計量されて電解液内に放出されるので、
あらためて被測定液を計り取る必要がなく、短時間で高
精度の酸度測定を行うことが可能になるという有効な効
果が得られる。
【0085】計量体に余剰液回収部を形成すれば、余剰
の被測定液の飛散が防止されるという有効な効果が得ら
れる。
【0086】電解液を、除酸素後、還元雰囲気で容器本
体に封入すれば、電解液中の溶存酸素の影響がなくなる
ので、ナフトキノン誘導体を混合した電解液での酸度測
定が可能になるという有効な効果が得られる。
【0087】電解液収容部を測定容器に対して着脱自在
な電解セルとすれば、電解セルのみを交換することによ
り測定容器の再利用が可能になるという有効な効果が得
られる。
【0088】計量体に排出口を形成すれば、測定後、こ
の排出口を利用して内部の溶液を排出してから電解液収
容部を取り外すようにすることにより、取り外しの際の
溶液飛散を防止することができるという有効な効果が得
られる。
【0089】そして、このような測定容器を酸度測定装
置に取り付けることにより、小型で高精度の装置を得る
ことが可能になるという有効な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における酸度測定装置を
示す外観斜視図
【図2】図1の酸度測定装置において上蓋を開放した状
態を示す外観斜視図
【図3】(a)は図1の酸度測定装置における電解セル
装着前の測定容器の全体構成を示す断面図 (b)は図1の酸度測定装置における電解セル装着後の
測定容器の全体構成を示す断面図
【図4】(a)は図3の測定容器において計量くぼみが
注入口に対して開放された状態を示す断面図 (b)は図3の測定容器において計量くぼみが密封され
た後に余剰液回収部が注入口に対して開放された状態を
示す断面図 (c)は図3の測定容器において計量くぼみが測定容器
内部に対して開放された状態を示す断面図 (d)は図3の測定容器において計量くぼみと余剰液回
収部がともに測定容器内部に対して開放された状態を示
す断面図 (e)は図3の測定容器において排出口が注入口を介し
て外部に開放された状態を示す断面図
【図5】図3の測定容器におけるモード表示部を示す外
観図
【図6】図1の酸度測定装置における比較電極部を詳し
く示す説明図
【図7】オルトベンゾキノン誘導体を混合した酸含有の
共存電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−
電位の関係を示すグラフ
【図8】パラベンゾキノン誘導体を混合した酸含有の共
存電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電
位の関係を示すグラフ
【図9】ナフトキノン誘導体を混合した酸含有の共存電
解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電位の
関係を示すグラフ
【図10】本実施の形態における酸度測定装置の制御部
を示すブロック図
【図11】本実施の形態における酸度測定装置の制御回
路のオペアンプからの出力電圧を示すグラフ
【図12】本実施の形態における酸度測定装置の制御回
路の積分回路からの出力電圧を示すグラフ
【図13】本実施の形態における酸度測定装置の酸度と
還元電流との関係を示すグラフ
【図14】従来のナフトキノン誘導体が共存する測定電
解液のボルタンメトリーによる酸度測定における電流−
電位特性を示すグラフ
【符号の説明】
7 対極 8 作用電極 9 比較電極部 10 電解液 11 電解液収容部 12 膜部材 13 注入口 14 計量体 15 計量くぼみ 16 余剰液回収部 17 排出口 33 測定容器 33a 容器本体 A 酸度測定装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸含有の被測定液と電解液とを混合する測
    定容器であって、 計量体摺動面が設けられるとともに、前記被測定液を注
    入する注入口が前記計量体摺動面と連通して形成された
    容器本体と、 前記電解液を収容し、前記容器本体に装着されたときに
    は前記電解液の一部が前記容器本体にも放出される電解
    液収容部と、 前記容器本体に取り付けられるとともに、前記電解液収
    容部を装着したときには一方端がそれぞれ前記電解液に
    浸漬される作用電極、対極および比較電極部と、 前記計量体摺動面に回動自在に装着され、前記被測定液
    を計量できる計量体と、 前記計量体摺動面内の所定の回動位置において前記注入
    口に連通可能に前記計量体の外周に形成され、前記計量
    体の回動により前記注入口から注入された前記被測定液
    を所定量だけ取り込むとともにさらなる回動でこれを前
    記電解液に放出する計量くぼみとを有することを特徴と
    する測定容器。
  2. 【請求項2】前記計量体における前記計量くぼみと同じ
    外周面上には、前記計量くぼみに取り込まれた後に前記
    注入口に残った余剰の被測定液を回収する余剰液回収部
    が形成されていることを特徴とする請求項1記載の測定
    容器。
  3. 【請求項3】前記電解液は、除酸素された後、還元雰囲
    気で前記容器本体に封入されているとを特徴とする請求
    項1または2記載の測定容器。
  4. 【請求項4】前記電解液収容部は、前記電解液を収容し
    てこれを前記容器本体に装着する際に破壊される膜部材
    により密封し、前記測定容器に対して着脱自在とされた
    電解セルであることを特徴とする請求項1、2または3
    記載の測定容器。
  5. 【請求項5】前記計量体は中空とされ、この中空内に前
    記容器本体内の溶液を取り込み、これを前記注入口から
    排出する排出口が前記計量くぼみと同じ外周面上に形成
    されていることを特徴とする請求項4記載の測定容器。
  6. 【請求項6】請求項1〜5の何れか一項に記載の測定容
    器が取り付けられていることを特徴とする酸度測定装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5826982B1 (ja) * 2014-09-04 2015-12-02 オリンパス株式会社 電極式溶液測定装置、貯留容器、および内視鏡リプロセッサ
WO2016035377A1 (ja) * 2014-09-04 2016-03-10 オリンパス株式会社 電極式溶液測定装置、貯留容器、および内視鏡リプロセッサ

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