JPH11100266A - マルテンサイト変態するセラミック化合物とその製造方法および高靱性複合材料 - Google Patents

マルテンサイト変態するセラミック化合物とその製造方法および高靱性複合材料

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JPH11100266A
JPH11100266A JP9266002A JP26600297A JPH11100266A JP H11100266 A JPH11100266 A JP H11100266A JP 9266002 A JP9266002 A JP 9266002A JP 26600297 A JP26600297 A JP 26600297A JP H11100266 A JPH11100266 A JP H11100266A
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alo
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martensitic
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Mamoru Omori
守 大森
Toshio Hirai
敏雄 平井
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Seiko Instruments Inc
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B35/01Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics
    • C04B35/44Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products based on oxide ceramics based on aluminates

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Abstract

(57)【要約】 【課題】硬度、強度および靱性に優れ、かつ安定℃の高
いセラミック化合物およびその複合材料を得ること。 【解決手段】示性式がLn1-X SiX AlO3+0.5X ( Lnは、S
n, Y, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu,Gd, Tb, Dy, Ho, E
r, Tm およびYbのうちから選ばれるいずれか少なくとも
一種を示す。x=0.01〜0.3)で表されるマルテンサイト
変態するセラミック化合物およびこの化合物を含む複合
材料であって、例えば、LnAlO3系化合物中のLnO1.5の一
部をSiO2で置換して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルテンサイト変
態するセラミック化合物およびその製造方法ならびにそ
の化合物を主成分として含む高靱性複合材料に関し、特
に熱弾性型マルテンサイト変態に伴う現象によって高靱
性を示すようになるセラミック化合物と無機複合材料に
ついての提案である。
【0002】本発明にかかるセラミック化合物および複
合材料は、人工骨, 人工歯, エンジン部品, ガスタービ
ン翼, ガスタービン用部品, 耐腐食性装置部品, 坩堝,
ボールミル用部品, 絶縁材料, 工具, 熱遮蔽材料, 電子
回路用基板, シール材, 継手やバルブ用部品, ポンプ,
ノズル, ローラガイド, フェルール, 軸受その他の広い
分野で有効に用いられるものである。
【0003】
【従来の技術】セラミックスは、一般的に、金属や高分
子材料と比べると、硬度が高く耐熱性や耐食性に優れる
他、優れた電気的, 磁気的性質を具える特徴がある。こ
うしたセラミックスは、一方で、金属や高分子に比べて
靱性が著しく劣るため、使途が限られるという欠点があ
った。
【0004】このセラミックスの欠点 (低靱性) を改善
するために、従来、幾つかの提案がある。なかでも、材
料のマルテンサイト変態を利用した高靱化技術は、製造
方法が簡単で効果が大きいために最も注目されている。
例えば、高靱性ジルコニアは、非熱弾性型のマルテンサ
イト変態の非可逆的応力誘起相変態機構を利用した技術
である。すなわち、この技術は、ジルコニアの高温相の
母相である正方晶を室温以下まで安定化させ、クラック
が進展するときに、マルテンサイト相である単斜晶に相
変態させ、その時におこる体積膨張により、クラックの
進展を阻止する手法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マルテ
ンサイト変態を利用した従来の高靱性セラミックスは、
非可逆的応力誘起相変態を利用しているため、単斜晶に
相変態したクラックの周辺部分の靱性は却って低くなる
傾向がある。しかも、長年にわたって多くのダメージを
受け続けると、靱性が全体的に低下してゆき、高靱性と
はいえなくなる課題があった。
【0006】また、従来の高靱性セラミックスは、高温
相である正方晶を、室温以下の温度でも安定化するよう
にした準安定相から、安定相であるマルテンサイト相へ
の相変態を利用している。しかし、このような相変態は
水との反応でも起こり、特に200〜300 ℃の温度で著し
くなるので、化合物が不安定となる課題があった。
【0007】さらに、従来の高靱性ジルコニアとの複合
化による高靱化が有効なのは、現在のところアルミナが
中心で、その他のセラミックスについても高靱化するこ
とはできないという課題があった。
【0008】本発明の主たる目的は、硬度、強度のみな
らず靱性に優れたセラミック化合物を得ることにある。
本発明の他の目的は、室温以下の温度でも安定なセラミ
ック化合物を得ることにある。本発明の他の目的は、複
合化によってどのようなセラミックでも高靱化できるセ
ラミック原料を提供することにある。本発明の他の目的
は、熱弾性マルテンサイト変態する靱性に優れたセラミ
ック化合物を容易に製造する技術を提案するところにあ
る。本発明のさらに他の目的は、構造材料として好適に
用いられる強度と靱性に優れる無機複合材料を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現するべ
く鋭意研究した結果、発明者らは、マルテンサイト変態
する新規なセラミック化合物を開発した。即ち、本発明
は、示性式がLn1-X SiX AlO3+0.5X ( Lnは、Sn, Y, La,
Ce, Pr,Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm お
よびYbのうちから選ばれるいずれか少なくとも一種を示
す。x=0.01〜0.3)で表されるマルテンサイト変態する
セラミック化合物である。
【0010】本発明において、上記Ln1-X SiX AlO
3+0.5X ( Lnは、Sn, Y, La, Ce, Pr, Nd,Pm, Sm, Eu, G
d, Tb, Dy, Ho, Er, Tm およびYbのうちから選ばれるい
ずれか少なくとも一種を示す。x=0.01〜0.3)化合物
は、LnAlO3系化合物中のLnO1.5の一部をSiO2で置換して
得られたものであることが好ましい。
【0011】また、本発明は、Ln2O3 を0.99〜0.7 モ
ル、SiO2を0.02〜0.6 モル、Al2O3 を1モルの割合で混
合し、その混合原料を酸化性あるいは非酸化性雰囲気中
で1200〜1600℃の温度で 0.1〜3時間反応させて、Ln
1-X SiX AlO3+0.5X ( Lnは、Sn,Y, La, Ce, Pr, Nd, P
m, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm およびYbのうちか
ら選ばれるいずれか少なくとも一種を示す。x=0.01〜
0.3)を合成することを特徴とするマルテンサイト変態す
るセラミック化合物の製造方法である。
【0012】本発明製造方法においては、LnAlO3系化合
物 (Lnは、Sn, Y, La, Ce, Pr, Nd,Pm, Sm, Eu, Gd, T
b, Dy, Ho, Er, Tm およびYbのうちから選ばれるいずれ
か少なくとも一種を示す) を酸化性あるいは非酸化性雰
囲気中で1200〜1600℃の温度で 0.1〜3時間反応させる
ことにより、前記化合物中のLnO1.5の一部をSiO2で置換
することにより、Ln1-X SiX AlO3+0.5X (x=0.01〜0.
3)置換体を得ることが好ましい。また、本発明製造方法
においては、Ln2O3 :0.99〜0.7 モル, SiO2:0.02〜0.
6 モル, Al2O3 :1モルからなる混合原料もしくはLnAl
O3系化合物を黒鉛型内に充填し、真空中あるいは不活性
ガス中で、1200〜1600℃の温度で0.01〜0.5 時間、放電
プラズマ処理を施すことにより、Ln1-X SiX AlO3+0.5X
(x=0.01〜0.3)置換体を得ることが好ましい。
【0013】さらに、本発明は、前記セラミック化合物
と、Al2O3 , ウォラステナイト, スポジュメン, スピネ
ル, ムライト, ガラス, 石英, 水酸化アパタイト, ABO3
型複合酸化物, ゲルマン酸塩, リン酸塩, チタン酸塩,
窒化物, 炭化物, ホウ化物,およびケイ化物のうちから
選ばれるいずれか少なくとも1種との混合物の、複合焼
成体からなることを特徴とする高靱性複合材料である。
【0014】
【発明の実施の形態】一般に、形状記憶合金は、熱弾性
型マルテンサイト変態する物質である。この熱弾性型マ
ルテンサイト変態については擬弾性効果が期待できる。
この擬弾性の中には超弾性とゴム状弾性の2つの現象が
含まれることが知られている。超弾性は、応力によりマ
ルテンサイト変態が起き、応力を除くと母相に戻る応力
誘起相変態に基づく現象である。この現象により形状記
憶合金は、通常の金属よりは大きく変形することが可能
になる。一方、ゴム状弾性は、マルテンサイト変態温度
以下のマルテンサイト相に変態双晶が存在すると、応力
が作用した時、この双晶界面で変形し、応力がなくなる
と元に戻る現象のことである。これら2つの現象によっ
て、原理的にはセラミックスの高靱化を達成することが
できるのである。
【0015】こうした知見によれば、熱弾性型マルテン
サイト変態する化合物を合成できれば、その化合物のマ
ルテンサイト変態温度近傍あるいは以下で高靱性となる
セラミック化合物あるいは複合材料 (セラミックス) を
合成できるはずである。
【0016】そこで発明者らは、マルテンサイト変態し
て擬弾性効果をもつ新しい化合物を開発するために、ま
ず多くの酸化物についての先行技術について調査した。
その結果、まずLnAlO3系化合物が相変態することを突き
止めた [S. Celler and P.M.Raccah, Phys. Rev.B, 2
(4),1167-72(1970)] 。しかしながら、この文献の記載
からは、このLnAlO3系化合物がマルテンサイト変態する
かどうかについてまでは知り得なかった。とりわけ、こ
のLnAlO3系化合物自身の靱性については全く報告されて
おらず、また、他のセラミックスと複合化した場合にそ
の複合材料の靱性が向上するというような報告も全く見
当たらなかった。
【0017】そこで、発明者らは、従来のLnAlO3系化合
物で見られる相変態もマルテンサイト変態との推定の下
で、それの靱性を大きくするにはどうしたらよいかにつ
いて研究を開始した。こうした研究過程において、発明
者らは、LnAlO3系化合物の靱性が大きくないのは、相変
態に伴う擬弾性効果が少ないためではないかと考えた。
そこで、該LnAlO3系化合物の前記擬弾性効果を大きくす
るにはどうしたらよいかについてさらに研究を続けた結
果、LnAlO3のLnO1.5の一部を、SiO2で置換することが有
効であるとの結論に達した。
【0018】そこで、発明者らは、新らたにLn1-X SiX
AlO3+0.5X ( x=0.01〜0.3)の示性式で示されるSiO2
換化合物を合成し、この化合物の構造をX線回折により
解析した。とくに、この置換化合物の熱膨張を測定し、
LnO1.5の一部をSiO2で置換することによる相変態への影
響を調べた。その結果、この置換化合物がセラミックス
の高靱化に対して大きな効果を発揮することを確認し
た。
【0019】我々の研究によれば、Ln1-X SiX AlO
3+0.5X の示性式で示される化合物において、xは0.01
〜0.3 に限定しなければならないことがわかった。その
理由は、x=0.01未満では高靱化の効果がほとんどな
く、一方、x=0.3 を超えると置換量のわりに不純物が
多くなり、しかもSiO2の置換量に限度があり単相にはな
らないためである。
【0020】なお、この示性式において、Lnは、Sc, Y,
La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd,Tb, Dy, Ho, Er, Tm
およびYbのうちから選ばれる少なくとも一種の希土類
元素を示している。
【0021】次に、上述した示性式で示される構造のセ
ラミック化合物がマルテンサイト変態しているかどうか
について確かめる実験を行った。この実験に用いた化合
物は、Nd1-X SiX AlO3+0.5X である。この化合物につい
て、x=0の置換しない化合物と、x=0.05, x=0.1,
x=0.2 の置換化合物との熱膨張曲線 (体積変化)を
図1から図4に示す。
【0022】図1のNdAlO3については、昇温過程におい
ては1590℃の温度で熱膨張が収縮側に変化する変曲点が
現れている。一方、冷却過程では連続的に収縮し変曲点
は存在しないことがわかった。
【0023】図2は、Nd0.95Si0.05AlO3.025( x=0.0
5) 置換体の熱膨張を示すものであるが、昇温過程の134
0℃から一旦収縮し、そして1370℃において急激に膨張
した後、1400℃からはまた収縮するという変化を示し
た。ただし、冷却過程では連続的に収縮が見られるだけ
である。このような複雑な体積変化は、マルテンサイト
変態によるものと考えられる。
【0024】以上の実験結果を総括すると、NdAlO3化合
物では明確でなかった体積変化がそれのSiO2置換体にな
ると明瞭になり、マルテンサイト変態に伴う擬弾性効果
が大きくなることの可能性が確かめられた。
【0025】次に、図3と図4は、Nd0.9Si0.1AlO
3.05(x=0.1)とNd0.8Si0.2AlO3.1 (x=0.2)各置換体
の熱膨張曲線を示すものであるが、これらは上記図2に
示した置換体とほぼ類似した熱膨張特性を示している。
以上のことから、NdAlO3化合物のNdサイトをSiで置換す
ると、この化合物のマルテンサイト変態が明確になるこ
とがわかる。
【0026】さて、本発明にかかる前記Ln1-X SiX AlO
3+0.5X 化合物 (SiO2置換体) がゴム状弾性によって高
靱性を示すようになるためには、変態温度以下でマルテ
ンサイト相に双晶が生成し、クラックの進展に伴う応力
によってこの双晶が界面で動かなければならない。とい
うのは、LnAlO3の結晶構造は、六方晶であることから、
結晶の方位によって異方性がある。即ち、多結晶体であ
るために結晶粒間に双晶が動くための空間的余裕が生
じ、その結果として高靱性体となるものと考えられるか
らである。
【0027】本発明にかかるLnO1.5の置換体であるLn
1-X SiX AlO3+0.5X 化合物において、Lnは、Sc, Y, La,
Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm お
よびYbのうちから選ばれるいずれか少なくとも一種の希
土類の元素を示す。
【0028】また、本発明にかかるLnAlO3のSiO2置換型
セラミック化合物は、それ自身が高靱性を示すものであ
る。しかも、さらに他の化合物, 例えばAl2O3 , ウォラ
ステナイト:CaSiO2(CaO・SiO2) , スポジュメン (LiAl
Si2O6), C-ZrO2, t-ZrO2, スピネル, ムライト, ガラ
ス, 石英, 水酸化アパタイト, ABO2型複合酸化物, ゲル
マン酸塩, リン酸塩, チタン酸塩, 窒化物, 炭化物, ホ
ウ化物, ケイ化物のうち、とくに熱膨張係数が上記Ln
1-X SiX AlO3+0.5X 化合物よりも小さい化合物をマトリ
ックスとする複合材料 (セラミック) にしても、同様に
高靱性を示すものである。即ち、このSiO2置換型セラミ
ック化合物が複合材料の形をとった場合、上記各化合物
単体, それらの複合材料に比べると、著しい高靱化が得
られる。
【0029】即ち、こうして得られた複合材料では、ガ
ラスやウォラステナイト等のマトリックス粒子より上記
SiO2置換体粒子の方が収縮率が大きいため、双晶が生成
しやすくなる。しかも、生成したその双晶のまわりに
は、それの動きを容易にする空間が生成する。つまり、
この空間が生成する結果、該複合材料は、マルテンサイ
ト変態温度以下で、ゴム状弾性によるクラックの進展の
エネルギーが吸収され、靱性の大きい化合物となるので
ある。
【0030】次に、Ln1-X SiX AlO3+0.5X の示性式で示
される本発明にかかるセラミック化合物の製造方法につ
いて述べる。原料としては、Ln2O3 , SiO2, Al2O3 を用
いる方法がある。即ち、これらの原料を目的の組成にな
るように秤量し混合する。混合は、ボールミル, ロット
ミル, ダブルコートブレンダー, V型混合機等を使用す
る。
【0031】次に、上記混合原料を高温炉を用いて焼成
する。炉の雰囲気は、CeO2を原料とするときを除き、酸
化性雰囲気で焼成するのが経済的である。しかし、非酸
化性雰囲気中での焼成によっても本発明にかかる上記化
合物は合成できる。ただし、CeO2を原料とするときに
は、CeAlO3化合物はCe3+でしか生成しなてため、Ce4+
Ce3+に還元する必要があるため、雰囲気は真空中あるい
は炭素や水素のような還元性としなければならない。
【0032】炉による焼成の温度は、1200℃以上とす
る。その理由は、1200℃以下ではSiO2置換体を効率よく
得ることができないからである。一方、かかるSiO2置換
体は、2000℃近傍で溶解するが、生成反応そのものは生
じるので、2000℃を上限とする。好適には、1350〜1600
℃の範囲がよい。
【0033】焼成の方法は、炉内において温度を順次高
温にし、上記の温度範囲に 0.1〜3時間保持して反応さ
せる。保持する時間を 0.1〜3時間に限定した理由は、
0.1時間未満では置換体の生成反応が十分に進行しな
い。一方、3時間でSiO2置換体の生成反応が終了するの
で、それ以上の時間を保持する必要はない。好適には
0.2〜2時間の範囲で良い結果が得られる。なお、昇温
の速度は1℃/min 〜1000℃/min の範囲内とする。
【0034】本発明において、焼成に用いる高温炉とし
ては、1000℃以上の高温を発生できる炉を言う。例え
ば、タングステン, モリブデン, 白金あるいは黒鉛を発
熱体とする雰囲気炉, ケイ化モリブデンを発熱体とする
酸化雰囲気炉, ホットプレス,熱間静水圧プレス, 放電
プラズマシステムなどが利用できる。
【0035】特に、放電プラズマシステムを用いると、
急速昇温が可能でかつ高温での保持時間を短くすること
ができ、発明者らの実験では、0.01〜0.5 時間の保持時
間でも反応を十分に完了させることができる。
【0036】
【実施例】 実施例1 CeO2 327.03 g (1.9モル) , Al2O3 101.96g ( 1モ
ル) とSiO2 6.01g (0.1モル) を黒鉛製ルツボに入れ、
真空中で1600℃まで温度を上げ、その温度に1時間保持
して、SiO2置換体であるNd0.95Si0.05AlO3.025化合物を
合成した。 また、CeO2 344.24g (2モル) とAl2O3 101.963g
(1モル) とを同じ条件で焼成し、CeAlO3化合物を得
た。 上記の化合物を粉砕し、ホットプレスにより、真空中
で、1500℃で焼結して緻密な焼結体を得た。この2つの
焼結体の性質を表1に示す。表1に示すように、硬さ,
曲げ強度および靱性は、SiO2を置換体である化合物の
ほうがいずれも大きくなっており、特に靱性の増加が顕
著である。これは、マルテンサイト変態のゴム状弾性の
効果によるものである。
【0037】
【表1】
【0038】実施例2 本発明に適合するSiO2置換体であるNd1-X SiX AlO
3+0.5X 化合物について、x=(0.05, 0.10, 0.15, 0.2
0)の4種類の置換体とNdAlO3とを、表2に示す原料を混
合し、同表に示す焼成温度に1時間保持して合成物を得
た。この合成物を微細に粉砕し、放電プラズマシステム
を用いて1300〜1400℃の温度に約10分で昇温し、収縮が
止まった温度に5分間保持して緻密な焼結体を得た。こ
の焼結体の性質を測定した。その結果を表2に示す。表
2に示すように、SiO2置換量が多くなると、かさ密度は
小さくなるが、逆に硬度は大きくなり、曲げ強度と靱性
も大きくなっている。靱性が大きくなっているのは、マ
ルテンサイト変態に付随するゴム状弾性による効果であ
る。
【0039】
【表2】
【0040】実施例3 La−Ce−Gd−SiO2−Al2O3 を表3に示す示性式になるよ
うに配合して混合し、黒鉛ルツボに入れて真空中で1500
℃まで1.5 時間で昇温し、この温度に1時間保持して
(La0.6,Ce0.2,Gd0.2)0.9Si0.1AlO3.05 置換 (固溶) 体
を合成した。この置換体を粉砕し、放電プラズマシステ
ムを用い、真空中で1400℃まで10分で昇温し、この温度
に3分間保持して緻密な焼結体を得た。また、 (La0.6,
Ce0.2,Gd0. 2)AlO3化合物の緻密な焼結体についても合成
した。上記2つの焼結体の諸性質を測定し、表3に示し
た。表に示すように、 (La0. 6,Ce0.2,Gd0.2)0.9Si0.1Al
O3.05 置換体の曲げ強度と靱性値は、SiO2を置換しない
ものに比べて大きく、マルテンサイト変態のゴム状弾性
の効果が顕著に現れている。
【0041】
【表3】
【0042】実施例4 ウォラステナイト (β−CaSiO3) 75wt%とスポジュ
メン (β−LiAlSi2O6)25wt%の混合粉体を60gと、Nd
0.9 Si0.1 AlO3.05 を40gとを混合し、静水圧プレス
(CIP) 成形した後、空気中で1100℃まで2時間で昇
温し、1100℃に2時間保持し、複合材料を得た。この複
合材料の曲げ強度は550 MPa であり、靱性値は9 MPa・
m1/2であった。Nd0.9 Si0.1 AlO3.05 を含まないウォラ
ステナイトとスポジュメンの混合粉体の焼結体について
も同じ試験を行ったところ、曲げ強度は 200MPa であ
り、靱性値は 2.2 MPa・m1/2であった。 なお、Nd0.9 Si0.1 AlO3.05 化合物の焼結体の熱膨
張係数は 9.5×10-6/℃であり、一方、ウォラステナイ
トとスポジュメンのみの混合粉体の焼結体の場合は 4.7
×10-6/℃と小さい。従って、本発明に適合するセラミ
ック化合物の場合、マトリックス (ウォラステナイトお
よびスポジュメン) の熱膨張係数が分散粒子 (SiO2置換
体化合物) のそれより小さいため、ゴム状弾性による高
靱性化の効果が一層顕著となり、そのために本発明に適
合する組成の複合材料は強度と靱性が大きくなったもの
と考えられる。
【0043】実施例5 ムライト (3Al2O3 ・2SiO2, 熱膨張係数 4.5×10-6
℃) 75gと、Nd0.8 Si 0.2 AlO3.1 25 gとを混合し、黒
鉛型につめ、放電プラズマシステムを用い、1300℃まで
9分で昇温し、この温度に3分間保持して緻密な複合材
料を作製合成し、その性質を測定した。ムライトの曲げ
強度は350 MPa であり、靱性値は 2.4 MPa・m1/2である
が、ここで合成した複合材料の曲げ強度は600 MPa であ
り、靱性値は7 MPa・m1/2と大きくなっている。特に靱
性の増大が著しいのは、マルテンサイト変態に由来する
ゴム状弾性効果によるものである。
【0044】実施例6 パイレックスガラスのコード番号7740と1723のガラスを
用い、Nd0.9 Si0.1 AlO3.05 置換体との複合材料を合成
した。ガラスと置換体の粉体を混合し、黒鉛型につめ、
放電プラズマシステムを用い、真空中で所定の温度まで
昇温し、その温度に5分間保持して複合材料を合成し
た。この複合材料の組成は置換体30vol.%で、ガラスは
70vol.%である。複合材料の合成に使用したガラスの組
成, 合成温度, 曲げ強度, 靱性値を表4に示した。表に
示すとおり、ガラスのみの曲げ強度は50 MPaであり、靱
性値は 1.1 MPa・m1/2と小さく、構造材料としては使え
ないが、複合材料とすることで、強度と靱性は大幅に向
上し、構造材料として使えるようになる。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、室温以下
で安定で、硬度が高くかつ強度が大きく、しかも靱性に
優れたセラミック化合物を提供することができる。ま
た、本発明は、他の材料との複合化によって各種セラミ
ック等の高靱化が図れるので、セラミックスの使途が大
幅に拡大できる。しかも、本発明の上記化合物は、SiO2
置換体を合成する方法によって得られるから、安価で製
造自体も容易であり、産業上の利用価値の高いセラミッ
ク化合物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】NdAlO3の熱膨張曲線を示すグラフである。
【図2】Nd0.95Si0.05AlO3.025の熱膨張曲線を示すグラ
フである。
【図3】Nd0.9 Si0.1 AlO3.05 の熱膨張曲線を示すグラ
フである。
【図4】Nd0.8 Si0.2 AlO3.1の熱膨張曲線を示すグラフ
である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 示性式がLn1-X SiX AlO3+0.5X ( Lnは、
    Sn, Y, La, Ce, Pr,Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho,
    Er, TmおよびYbのうちから選ばれるいずれか少なくと
    も一種を示す。x=0.01〜0.3)で表されるマルテンサイ
    ト変態するセラミック化合物。
  2. 【請求項2】 上記Ln1-X SiX AlO3+0.5X 化合物が、Ln
    AlO3系化合物中のLnO1.5の一部をSiO2で置換して得られ
    たものである請求項1に記載のセラミック化合物。
  3. 【請求項3】 Ln2O3 を0.99〜0.7 モル、SiO2を0.02〜
    0.6 モル、Al2O3 を1モルの割合で混合し、その混合原
    料を酸化性あるいは非酸化性雰囲気中で1200〜1600℃の
    温度で 0.1〜3時間反応させて、Ln1-X SiX AlO3+0.5X
    ( Lnは、Sn,Y, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb,
    Dy, Ho, Er, Tm およびYbのうちから選ばれるいずれか
    少なくとも一種を示す。x=0.01〜0.3)を合成すること
    を特徴とするマルテンサイト変態するセラミック化合物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 LnAlO3系化合物 (Lnは、Sn, Y, La, Ce,
    Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm および
    Ybのうちから選ばれるいずれか少なくとも一種を示す)
    を酸化性あるいは非酸化性雰囲気中で1200〜1600℃の温
    度で 0.1〜3時間反応させることにより、前記化合物中
    のLnO1.5の一部をSiO2で置換することにより、Ln1-X Si
    X AlO3+0.5X (x=0.01〜0.3)置換体を得ることを特徴
    とするマルテンサイト変態するセラミック化合物の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 Ln2O3 :0.99〜0.7 モル, SiO2:0.02〜
    0.6 モル, Al2O3 :1モルからなる混合原料もしくはLn
    AlO3系化合物を黒鉛型内に充填し、真空中あるいは不活
    性ガス中で、1200〜1600℃の温度で0.01〜0.5 時間、放
    電プラズマ処理を施すことにより、Ln1-X SiX AlO
    3+0.5X (x=0.01〜0.3)置換体を得ることを特徴とす
    るマルテンサイト変態するセラミック化合物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1または2に記載されたセラミッ
    ク化合物と、Al2O3, ウォラステナイト, スポジュメン,
    スピネル, ムライト, ガラス, 石英, 水酸化アパタイ
    ト, ABO3型複合酸化物, ゲルマン酸塩, リン酸塩, チタ
    ン酸塩, 窒化物, 炭化物, ホウ化物およびケイ化物のう
    ちから選ばれるいずれか少なくとも1種との混合物の、
    複合焼成体からなることを特徴とする高靱性複合材料。
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