JPH1099072A - アスペルギルス・アワモリの変異株及び植物組織の崩壊方法 - Google Patents

アスペルギルス・アワモリの変異株及び植物組織の崩壊方法

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JPH1099072A
JPH1099072A JP8276929A JP27692996A JPH1099072A JP H1099072 A JPH1099072 A JP H1099072A JP 8276929 A JP8276929 A JP 8276929A JP 27692996 A JP27692996 A JP 27692996A JP H1099072 A JPH1099072 A JP H1099072A
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plant tissue
enzyme
aspergillus awamori
disintegrating
soy sauce
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Hidehisa Kawahara
秀久 河原
Hitoshi Obata
斉 小幡
Tadaaki Nanatane
忠明 七種
Jiro Kataoka
二郎 片岡
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Ajinomoto Co Inc
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比活性の高い植物組織崩壊酵素群を工業的規
模で生産し得るアスペルギルス・アワモリ変異株の樹立
及び当該微生物由来の酵素を用いる植物組織崩壊方法を
提供すること。 【解決手段】 改良された植物組織崩壊酵素活性を有す
るアスペルギルス・アワモリの変異株AJ−11731
7及びその培養物又はこの培養物から調製される植物組
織崩壊用酵素と、植物組織含有物とを接触させることを
特徴とする植物組織の崩壊方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアスペルギルス・ア
ワモリの変異株及び当該変異株由来の酵素を用いる植物
組織の崩壊方法に関する。更に詳細には、改良された植
物組織崩壊酵素活性を有するアスペルギルス・アワモリ
の変異株及び当該変異株由来の酵素を用いる植物組織の
崩壊方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物組織を崩壊する方法は、食品工業、
発酵工業、飼料工業などの分野で広く利用されている技
術である。例えば、1)果汁の清澄化、2)果汁搾汁率
の向上した調味料及び飲料などの液状食品の製造、3)
消化性及び保存性のよい粉末食品の製造、4)食品又は
発酵原料の高度利用、5)飼料価値の向上等、植物組織
を崩壊する技術の利用は非常に広範である。
【0003】高等植物の細胞は、堅い細胞壁に囲まれて
おり、個々の細胞は中葉を介して互いに接着して組織を
形成している。また、高等植物の細胞壁には、セルロー
ス、ヘミセルロース及びペクチン質などの多糖類の他に
ヒドロキシプロリンに富んだ独特の糖蛋白質が含まれて
いる。それ故、酵素的に植物組織を崩壊させるには、ま
ず中葉を分解して単細胞を遊離させ、次いで遊離された
細胞の細胞壁を分解するという2段階の反応で行われな
ければならない。そのため、これまではマセレーション
活性を持つペクチナーゼ製剤とセルラーゼC1活性を持
つセルラーゼ製剤とを組み合わせて植物組織を崩壊させ
る方法(特公昭57-33031号公報)が採られている。
【0004】植物組織を崩壊させるにあたり、このよう
に2種類の酵素製剤を併用するのは以下の理由による。
即ち、高等植物の中葉を分解する反応及び細胞壁を分解
する反応のうち、中葉の分解(マセレーション)はペク
チナーゼ単独の作用で達成されるが、細胞壁の分解には
セルラーゼ製剤に含まれる酵素のうちセルラーゼC1の
他にいかなる酵素が関与するのか、現在のところ明白で
はなく、また十分に精製された酵素の組み合わせによる
細胞壁の分解も試みられたことがない。それ故、従来よ
り植物組織の崩壊には異なる微生物の培養物から得られ
るペクチナーゼ製剤とセルラーゼ製剤とが組み合わせて
用いられているのである。
【0005】しかし、現在行われている2種類の酵素製
剤を用いる植物組織崩壊方法は、工程が煩雑であるばか
りでなく、崩壊効率においても十分に満足できるもので
はなかった。
【0006】また、上記酵素剤を生産する微生物として
は、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・オリ
ゼー、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガ
ー等が知られているが、単独で植物組織を効率よく崩壊
させる酵素群を有する微生物はほとんど知られていなか
った。最近、アスペルギルス・アワモリ野生株が単独で
植物組織を崩壊する酵素群を生産していることが本発明
者等により確認されたが、その比活性や生産量が十分で
ない。そのため、比活性の高い植物組織崩壊酵素群を工
業的規模で生産し得るアスペルギルス・アワモリ変異株
の樹立が待望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比活
性の高い植物組織崩壊酵素群を工業的規模で生産し得る
アスペルギルス・アワモリ変異株の樹立及び当該微生物
由来の酵素を用いる植物組織崩壊方法の提供である。
【0008】本発明者は、上記課題を解決するために、
アスペルギルス・アワモリ野生株の酵素の比活性並びに
該酵素の生産性を高めるべく鋭意研究を行ったところ、
該野生株から各種植物組織崩壊能の高い変異株を分離す
ることに成功し、これにより上記課題を解決して本発明
を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1記載
の発明は、改良された植物組織崩壊酵素活性を有するア
スペルギルス・アワモリの変異株AJ−117317
(FERM P−15877)である。請求項2記載の
発明は、上記アスペルギルス・アワモリの変異株AJ−
117317(FERM P−15877)を培養して
得られる植物組織崩壊酵素を有効成分として含有する植
物組織崩壊用酵素剤である。また、請求項3記載の発明
は、上記アスペルギルス・アワモリの変異株AJ−11
7317(FERM P−15877)を培養して得ら
れる培養物又はこの培養物から調製される植物組織崩壊
用粗酵素もしくは精製酵素と、植物組織含有物とを接触
させることを特徴とする植物組織の崩壊方法である。
【0010】本明細書においては、中葉分解活性(単細
胞遊離活性)及び細胞壁分解活性を有する有効成分を、
便宜上「植物組織崩壊酵素」と呼ぶが、これは必ずしも
単一の酵素を意味するものではなく、前記有効成分が複
数段階の反応を各々触媒する複数の酵素群である場合も
含まれることを意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳しく説明する。 <1>新規微生物 本発明の新規微生物、アスペルギルス・アワモリ変異株
は、具体的には従来からよく用いられている変異剤であ
るエチルメタンスルホン酸(以下、EMSと略記するこ
とがある。)でアスペルギルス・アワモリ野性株を変異
処理して取得した。しかし、変異の誘発に関しては以下
の実施例で記載されているようなEMS処理だけでな
く、ニトロソグアニジン、メチルメタンスルホン酸など
の他の化学物質処理、紫外線照射、或いは変異剤処理な
しで得られる、いわゆる自然突然変異によって取得する
ことも可能である。
【0012】<2>植物組織崩壊用酵素製剤 本発明の植物組織崩壊用酵素製剤は、アスペルギルス・
アワモリ変異株を培養して得られる植物組織崩壊酵素を
有効成分として含有する。アスペルギルス・アワモリ変
異株を培養して植物組織崩壊酵素を生産させるために用
いる培地は、アスペルギルス・アワモリが生育できる培
地であれば特に制限されないが、植物組織崩壊酵素を誘
導し、安定して生産させるためには、醤油粕など植物組
織を含む材料を唯一の窒素源及び炭素源として培地に含
有させることが有効である。さらに、補助窒素源として
硝酸カリウムを0.05%(w/v)を培地に添加して培養
すると、効率よく植物組織崩壊酵素を生産させることが
できる。また、培地のpHは弱酸性付近(pH5.0〜
6.0)が好ましい。具体的な培地としては、醤油粕1
0%、硝酸カリウム0.05%を含有する培地(pH
5.5)が挙げられる。培養条件としては、培養温度は
20〜40℃であり、好ましくは25〜35℃であり、
最適温度は約30℃である。培養時間は6〜10日であ
り、好ましくは7〜8日である。また、培養は120r
pm程度で振とうしながら、好気的条件で行うことが好
ましい。
【0013】上記のようにしてアスペルギルス・アワモ
リ変異株を培養して得られる培養物そのものも粗酵素と
して植物組織を崩壊する活性を有しているが、必要に応
じて粗精製、さらには酵素蛋白まで精製してもよい。ま
た、粗酵素液を凍結乾燥して粉末酵素として用いてもよ
い。なお、酵素の精製は、通常蛋白質の精製に用いられ
る方法、例えば塩析、ゲルろ過法、イオン交換クロマト
グラフィーなどの方法を適宜組み合わせて用いればよ
い。本発明の酵素製剤は、植物組織崩壊酵素の粗酵素、
粗精製物または精製酵素の他に、通常酵素製剤に用いら
れる他の成分、例えば安定化剤、賦形剤、pH調整剤、
増量剤、結合剤等を適宜配合してもよい。また、剤型も
特に限定されず、用途に応じて散財、顆粒剤、錠剤等の
剤型を選択すればよい。
【0014】本発明に用いる植物組織崩壊酵素は、アス
ペルギルス・アワモリ変異株から調製される酵素群に限
定されるわけではなく、組換えDNA技術によって創製
された微生物、例えば発現ベクターに接続された該酵素
の遺伝子が導入された大腸菌、枯草菌、酵母、麹菌等に
より生産された酵素を使用することも可能である。ま
た、植物組織崩壊酵素が複数の遺伝子に由来する場合に
は、各々の遺伝子を大腸菌、枯草菌、酵母、麹菌等に導
入すればよい。
【0015】<3>植物組織の崩壊方法 本発明の植物組織の崩壊方法は、アスペルギルス・アワ
モリ変異株を培養して得られる培養物あるいはこの培養
物から調製される植物組織崩壊酵素の粗酵素もしくは精
製酵素(以下、これらを単に本酵素と略記することがあ
る。)と、植物組織含有物とを接触させることを特徴と
する。本酵素、すなわち上記培養物又はこの培養物から
調製される植物組織崩壊用粗酵素もしくは精製酵素は、
前記した培養条件でアスペルギルス・アワモリ変異株を
培養して得られる培養物自体、もしくは該培養物を必要
に応じて粗精製、さらには酵素蛋白まで精製することに
よって得ることができる。なお、上記<2>に示したよ
うに、植物組織崩壊酵素の粗酵素、粗精製物または精製
酵素と、通常酵素製剤に用いられる他の成分とともに酵
素製剤を調製し、これを植物組織の崩壊に用いてもよ
い。
【0016】本発明の方法を適用することができる植物
組織含有物としては、穀類、果実、根菜類、豆類又はこ
れらの植物を原料とする食品もしくは食品材料が挙げら
れる。本発明の方法により分解される植物組織は、中葉
の分解及び細胞壁の分解を共に必要とするものに限られ
ず、一方のみを目的とするものであってもよい。このよ
うな植物組織含有物に含まれる植物組織は、前記本酵素
と接触させ、酵素反応を行うことにより崩壊される。こ
の際、酵素反応を効率よく行うために、本酵素と植物組
織とを水溶液中で共存させることにより、これらを接触
させることが好ましい。酵素反応は、酵素濃度や植物組
織によっても異なるが、例えば10〜60℃、好ましく
は30〜50℃にて0.5時間〜2日間、好ましくは2
時間〜18時間行えばよい。また、植物組織崩壊酵素と
植物組織との混合物あるいはこれらを含む水溶液は、緩
衝液等を用いてpH4〜8に調整するのが望ましい。こ
の際に用いる緩衝液としてはリン酸緩衝液、クエン酸緩
衝液等が挙げられる。
【0017】本発明の方法は、果汁の清澄化、果汁
搾汁率が向上された調味料及び飲料などの液状食品の製
造、消化性及び保存性のよい粉末食品の製造、食品
又は発酵原料の高度利用、更には飼料価値の向上等に
利用できる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明のアスペルギルス
・アワモリ変異株の分離、該微生物由来の酵素について
の酵素化学的性質、更には各種植物組織の崩壊方法につ
いて示すが、本発明はこれらにより制限されるものでは
ない。 実施例1(植物組織崩壊酵素を産生するアスペルギルス
属微生物からのスクリーニング) カビ用菌株保存のCzapeck寒天培地(硝酸ナトリ
ウム0.2%、リン酸水素二カリウム0.1%、硫酸マ
グネシウム7水和物0.05%、塩化カリウム0.05
%、硫酸第一鉄7水和物0.001%、ショ糖3%、寒
天1.5%、pH5.0)からアスペルギルス属微生物
の胞子をとり、滅菌した50mMリン酸カリウム緩衝液
(pH5.5)10mlに懸濁し、得られた上澄みの胞
子懸濁液をOD660 =0.1に調整したものを、醤油粕
10%(w/v)を含有するスクリーニング用培地(pH
5.5)に1%植菌して30℃で7日間培養した。
【0019】培養液から濾過等の固−液分離操作により
分離して得た培養上清を粗酵素液とし、酵素活性の測定
を行った。酵素活性の測定は、培地の醤油粕可溶化活性
として、培養上清の粗酵素液中に可溶化された全有機炭
素量をTotal Organic Analyzer
TOC−500 SIMADZUにより測定すること
(醤油粕可溶化率は培地醤油粕中の全有機炭素量に対す
る培養上澄み液中の全有機炭素量の割合(%)で算
出)、もしくは遊離された還元糖量を3,5−ジニトロ
サリチル酸法により測定することによって行った。上記
のように醤油粕可溶化活性を測定した結果、培養上清中
に最も多量の全有機炭素量あるいは還元糖量を可溶化さ
せることができた菌株、アスペルギルス・アワモリ (As
pergillus awamori)野生株を選択した。
【0020】実施例2(アスペルギルス・アワモリの培
養条件検討) まず、アスペルギルス・アワモリ野生株の植物組織崩壊
酵素群(醤油粕可溶化活性で検出)の生産培地及び培養
条件を、実施例1で示した胞子懸濁液を調製し(OD
660 =0.1)、スクリーニング培地(醤油粕10%、
pH5.5)に植菌して検討した。培養後の培養上清の
醤油粕可溶化活性を全有機炭素量で測定した。その結
果、培地中の最適醤油粕濃度10%(W/V)、最適培養温
度30℃、最適培養日数7日間であることが明らかとな
った。また、補助窒素源として種々の無機窒素を添加し
たところ、硝酸カリウム0.05%(W/V)で、醤油粕可
溶化活性が最大となった。よって、以下の実施例におい
て変異株評価の培地として醤油粕10%、硝酸カリウム
0.05%(W/V)(pH5.5)、培養条件として30
℃、7日間で実施した(以下、最適培地と略記すること
がある。)。
【0021】実施例3(培地の醤油粕成分の分画方法) 培地の醤油粕中の成分の植物組織崩壊酵素生産への影響
を調べるために、以下の方法にて醤油粕を分画し、培地
成分とした。醤油粕の分画は、醤油粕100gを1%シ
ュウ酸アンモニウム1000mlにより100℃で1時
間、3回抽出した。得られた抽出液に3倍量のエタノー
ルを添加して沈殿させた画分は粗酸性多糖画分とした。
上記抽出後の残査を1N NaOH500mlにより室
温、1時間、3回抽出した。得られた残査は粗セルロー
ス画分とした。1N NaOHで抽出した溶液をpH
4.5に調整後の沈殿物は粗タンパク質−炭水化物混合
物とした。最後まで残った抽出液に3倍量のエタノール
を添加して得られた沈殿物は粗中性多糖画分とした。得
られた各画分の割合は粗酸性多糖画分は25.8%、粗
セルロース画分は48.3%、粗中性多糖画分は1.6
%及びその他(蛋白質や炭水化物)は24.3%であ
る。得られた各画分は十分に乾燥(90℃、12時間)
させた後、醤油粕可溶化最適培地の醤油粕の代わりに1
0%添加して、アスペルギルス・アワモリ野性株を30
℃で7日間培養した。
【0022】実施例4(アスペルギルス・アワモリの産
生する植物組織崩壊酵素群による醤油粕の分解反応) 最適培養条件で得られたアスペルギルス・アワモリ野性
株の培養液を8000×g、10分間遠心分離すること
により培地中に残存している醤油粕及び菌糸体を沈殿さ
せ除去した。得られた上澄みをNo.2の濾紙で浮遊物
を完全に除去した。この溶液を透析チューブ(分子量1
0000カット)に入れて、ポリエチレングリコール6
000を添加して脱水濃縮した(4℃、24時間)。次
に、濃縮液を80%飽和硫酸アンモニウムにより硫安分
画(0〜80%)し、50mM リン酸カリウム緩衝液
(pH5.5)に対して、2日間透析した。透析後、得
られた溶液を粗酵素溶液とした。
【0023】また、予め基質となる醤油粕20%(w/v)
を50mM リン酸カリウム緩衝液(pH5.5)中に
て4℃で2時間振とうを行い、No.2の濾紙を用いて
選別した。この操作を3回行い、得られた不溶性醤油粕
を乾燥させ、基質とした。上述した粗酵素溶液と基質で
ある不溶性醤油粕とをpH5.0、37℃で18時間反
応させた。反応後、反応液をNo.2の濾紙で濾過し、
基質である醤油粕の可溶化活性の評価は、反応液中に可
溶化された有機炭素量を測定する方法(全有機炭素法)
によって行った。この全有機炭素法は、予め醤油粕中の
炭素量を原子分析器で測定し、酵素反応後の上澄み液中
の全炭素量を全有機炭素計で測定して実施した。醤油粕
可溶化率は、反応に用いた基質の醤油粕中の全炭素量に
対する反応上澄み液中の全炭素量の割合(%)で算出し
た。また、粗酵素液中に存在する醤油粕を可溶化する酵
素活性は、1分間に1mgの醤油粕中の全有機炭素量を
可溶化できる酵素活性を1単位(unit)とした。次
に、粗酵素量と醤油粕可溶化率との関係について検討を
行ったところ、可溶化率は、上記反応条件下では、粗酵
素液の蛋白質濃度が0.4mg/mlで最大値を示し、
約60%に達した。
【0024】その後、醤油粕可溶化における最適酵素反
応条件の検討を行った。上記粗酵素液を反応液1ml当
たり0.1mg添加し反応させて検討したところ、最適
pHは5.0、最適温度は37℃、最適基質醤油粕濃度
は2%が最大値で、そのときの可溶化率は35%であっ
た。次に、使用する粗酵素液の蛋白質濃度について検討
したところ、反応液1mlあたり0.4mgで最大値と
なり、反応時間は2時間で平衡状態となり、可溶化率は
70%であった。また、実施例3記載の醤油粕から分画
した成分で培養した結果、醤油粕中のセルロース画分
(10%)で、醤油粕を代替して培養することにより、
醤油粕可溶化率はは約1.9倍(反応液1ml当たり粗
酵素液0.1mg)に増加し、醤油粕可溶化活性が誘導
された。
【0025】実施例5(アスペルギルス・アワモリ変異
株の分離及び該微生物由来の酵素の性質) 上記微生物の胞子を100mM リン酸緩衝液(pH
5.5)にOD660 値が0.1になるように懸濁した溶
液1mlに、EMSを3.0%(V/V)になるように添加
し、30℃で60分間振とう処理を行った。その結果、
EMS処理後の胞子の生存率は0.2〜1.0%となっ
た。この変異処理後、反応液0.2mlを分取し、6%
ハイドロサルファイトナトリウム溶液9.8mlを添加
し、EMS処理を停止した。10分間放置後、100m
Mリン酸緩衝液(pH5.5)で胞子を2回洗浄した。
この変異処理した胞子懸濁液をカビ用培地であるCza
pek寒天培地の平板に適度に希釈して(102 〜10
6)塗布した。30℃で菌糸及び胞子が生育するまで培養
を行った。EMS処理後のスクリーニングにより得られ
た変異株数種を上記最適培地にて培養した後、得られた
培養上澄み液の醤油粕可溶化能を上記酵素反応最適条件
にて反応した結果、野生株に比して反応上澄み液中に最
も多量の全有機炭素量を可溶化した変異株AJ−117
317を取得することができた。なお、本菌は、工業技
術院生命工学工業技術研究所にFERM P−1587
7の受託番号で寄託されている。
【0026】次に、得られた変異株と野生株を上記最適
培地にて培養し、得られた培養上澄み液を濃縮後、硫安
分画(0〜80%)し、50mMリン酸緩衝液(pH
5.5)に懸濁、透析後、粗酵素溶液として蛋白濃度
0.1mg/mlとして、上記酵素反応最適条件にて醤
油粕の可溶化反応をさせた。その結果、反応上澄み液中
の全有機炭素量の測定から、醤油粕可溶化率は約1.8
倍増加した。また、この変異株を培養して得られた粗酵
素溶液中には、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ペ
クチナーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ活性の存在が確
認され、特にキシラナーゼ活性の増加が顕著である。
【0027】実施例6(アスペルギルス・アワモリの産
生する植物組織崩壊酵素群の反応特性) 上記実施例において最適培養条件により得られたアスペ
ルギルス・アワモリの産生する植物組織崩壊酵素群(醤
油粕可溶化酵素)を、市販の植物細胞可溶化酵素である
「セルロシンME」(阪急バイオインダストリー)及び
「ビスコザイムL」(ノボノルディスクバイオインダス
トリー)と、醤油粕可溶化能について蛋白質量0.1m
g/mlで上記最適反応条件下(基質醤油粕濃度2%、
反応時間2時間)にて検討したところ、表1に示すよう
に、アスペルギルス・アワモリの産生する植物組織崩壊
酵素は、市販されている酵素製剤に比し、基質としての
醤油粕に対して野生株で2.4倍、変異株で4.1倍の
可溶化活性を有する。なお、醤油粕可溶化活性(1単
位)は、1分間に1mgの醤油粕中の全有機炭素量を可
溶化できる酵素量とした。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】本発明により、工業的規模で使用し得る
比活性の高い植物組織崩壊酵素群を効率よく量産するこ
とができるアスペルギルス・アワモリ変異株並びに当該
微生物に由来する酵素を用いる植物組織崩壊方法が提供
される。この方法は、食品工業、発酵工業、飼料工業な
どの分野で広く利用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:665) (C12P 1/02 C12R 1:665) (72)発明者 片岡 二郎 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社食品総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 改良された植物組織崩壊酵素活性を有す
    るアスペルギルス・アワモリ (Aspergillus awamori)の
    変異株AJ−117317(FERM P−1587
    7)。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のアスペルギルス・アワモ
    リの変異株AJ−117317(FERM P−158
    77)を培養して得られる植物組織崩壊酵素を有効成分
    として含有する植物組織崩壊用酵素剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のアスペルギルス・アワモ
    リの変異株AJ−117317(FERM P−158
    77)を培養して得られる培養物又はこの培養物から調
    製される植物組織崩壊用粗酵素もしくは精製酵素と、植
    物組織含有物とを接触させることを特徴とする植物組織
    の崩壊方法。
JP8276929A 1996-09-30 1996-09-30 アスペルギルス・アワモリの変異株及び植物組織の崩壊方法 Withdrawn JPH1099072A (ja)

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JP8276929A Withdrawn JPH1099072A (ja) 1996-09-30 1996-09-30 アスペルギルス・アワモリの変異株及び植物組織の崩壊方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022028947A (ja) * 2018-02-02 2022-02-16 キッコーマン株式会社 豆ボディ構造体の可溶化物を含有する食品組成物及びその製造方法

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