JPH07255474A - 新規微生物及び植物組織の崩壊方法 - Google Patents

新規微生物及び植物組織の崩壊方法

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JPH07255474A
JPH07255474A JP5772094A JP5772094A JPH07255474A JP H07255474 A JPH07255474 A JP H07255474A JP 5772094 A JP5772094 A JP 5772094A JP 5772094 A JP5772094 A JP 5772094A JP H07255474 A JPH07255474 A JP H07255474A
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JP
Japan
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plant tissue
enzyme
disintegrating
enterobacter
culture
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JP5772094A
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Inventor
Hidehisa Kawahara
秀久 河原
Hitoshi Obata
斉 小幡
Hideki Okamura
英喜 岡村
Hiroshi Takagi
博史 高木
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 植物組織を効率よく崩壊できる酵素群を産生
する微生物を取得し、かかる酵素群を用いて植物組織を
崩壊する方法を提供する 【構成】 エンテロバクター sp.BCRD−1(F
ERM P−14230)などのエンテロバクター属に
属する微生物を培養して得られる培養物またはこの培養
物から調製される植物組織崩壊酵素の粗酵素もしくは精
製酵素と、穀類、果実、根菜類、豆類またはこれらの植
物を原料として製造された食品もしくは食品原料などの
植物組織含有物とを接触させることにより、植物組織を
崩壊させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物組織の崩壊方法、
植物組織の崩壊に用いる酵素製剤、およびこれらの方法
ならびに酵素製剤の製造に用いる新規微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】植物組織を崩壊する技術は、食品工業、
発酵工業、飼料工業などの分野で広く利用されている技
術である。例えば、果汁の清澄化、果汁搾汁率が向上さ
れた調味料及び飲料などの液状食品の製造、消化性及び
保存性のよい粉末食品の製造、食品または発酵原料の高
度利用、または飼料価値の向上等、植物組織を崩壊する
技術の利用は非常に広範なものである。
【0003】高等植物の細胞は、かたい細胞壁に囲まれ
ており、個々の細胞は中葉を介して互いに接着して組織
を形成している。また、高等植物の細胞壁には、セルロ
ース、ヘミセルロース及びペクチン質などの多糖類のほ
かにヒドロキシプロリンに富んだ独特の糖蛋白質が含ま
れている。それ故、酵素的に植物組織を崩壊させるに
は、まず中葉を分解して単細胞を遊離させ、ついで遊離
された細胞の細胞壁を分解するという2段階の反応で行
われなければならない。そのため現在、マセレーション
活性を持つペクチナーゼ製剤とセルラーゼC1活性を持
つセルラーゼ製剤とを組み合わせて植物組織を崩壊させ
る方法(特公昭57−33031号公報)がとられてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したような高等植
物の中葉を分解する反応および細胞壁を分解する反応の
うち、中葉の分解、すなわちマセレーションはペクチナ
ーゼ単独の作用で達成されるが、細胞壁の分解には、セ
ルラーゼ製剤に含まれる酵素のうちセルラーゼC1のほ
かにいかなる酵素が関与するのか、現在のところ明白で
はなく、また、十分に精製された酵素の組合せによる細
胞壁の分解も試みられたことがない。そのため、従来よ
り植物組織の崩壊には、異なる微生物の培養物から得ら
れるペクチナーゼ製剤とセルラーゼ製剤とが組み合わせ
て用いられており、工程が煩雑であるばかりか、崩壊効
率においても今なお十分に満足できる酵素製剤は知られ
ていない。
【0005】本発明はかかる観点からなされたものであ
り、植物組織を効率よく崩壊できる酵素群を産生する微
生物を取得し、かかる酵素群を用いて植物組織を崩壊す
る方法を提供することを課題とする
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために植物組織崩壊能を有する微生物を広く自
然界よりスクリーニングした結果、高い崩壊活性を有す
る細菌株を土壌より分離することに成功し、本発明を完
成するに至った。
【0007】すなわち本願発明は、植物組織崩壊酵素を
産生するエンテロバクター sp.BCRD−1(FE
RM P−14230)、及びエンテロバクター属に属
する微生物の培養物から得られる植物組織崩壊酵素を有
効成分として含有する植物組織崩壊用酵素製剤である。
【0008】本願発明は、さらにエンテロバクター属に
属する微生物を培養して得られる培養物またはこの培養
物から調製される植物組織崩壊酵素の粗酵素もしくは精
製酵素と植物組織含有物とを接触させることを特徴とす
る植物組織の崩壊方法を提供する。
【0009】尚、本明細書においては、中葉分解活性
(単細胞遊離活性)及び細胞壁分解活性を有する有効成
分を、便宜上「植物組織崩壊酵素」と呼ぶが、これは必
ずしも単一の酵素を意味するものではなく、前記有効成
分が複数段階の反応を各々触媒する複数の酵素群である
場合も含まれることを意味する。
【0010】<1>本発明の微生物 本発明の微生物は、オカラを唯一の炭素源及び窒素源と
する培地にて生育する微生物として土壌より分離された
エンテロバクター(Enterobacter)属に属する新規微生
物であり、植物組織崩壊酵素を産生する性質を有する。
その菌学的性質は、後記実施例1に示したとおりであ
る。
【0011】本発明の微生物の菌学的性質をBerge
y’s Manual of Determinati
ve Bacteriologyの分類基準により検索
したところ、本発明の微生物はエンテロバクター アグ
ロメランス(Enterobacter agglomerans)に最も近い菌
であることが明かとなった。しかしながら、デンプンの
加水分解能の有無の点で完全に一致しなかったため、同
一種とは認め難く、本菌を新種と認めエンテロバクター
sp.BCRD−1(エンテロバクター sp. AJ
12973)と命名した。エンテロバクター sp.
BCRD−1は、工業技術院生命工学工業技術研究所
に、FERM P−14230の受託番号で寄託されて
いる。
【0012】以上のように、エンテロバクター sp.
BCRD−1は新規の種に属する微生物であり、本菌と
同様の性質を有し、植物組織崩壊酵素を産生するエンテ
ロバクター属細菌は、すべて本発明の微生物に包含され
るものであり、寄託菌株に限定されるものではない。
【0013】<2>植物組織崩壊用酵素製剤 本発明の植物組織崩壊用酵素製剤は、エンテロバクター
属に属する微生物を培養して得られる植物組織崩壊酵素
を有効成分として含有する。
【0014】エンテロバクター属に属する微生物を培養
して植物組織崩壊酵素を生産させるために用いる培地
は、エンテロバクター属細菌が生育できる培地であれば
特に制限されないが、植物組織崩壊酵素を誘導し、安定
して生産させるためには、オカラなど植物組織を含む材
料を唯一の窒素源及び炭素源として培地に含有させるこ
とが有効である。さらに、補助窒素源として硝酸ナトリ
ウム1%を培地に添加して培養すると、効率よく植物組
織崩壊酵素を生産させることができる。また、培地のp
Hは中性付近(pH6.5〜7.5)が好ましい。
【0015】具体的な培地としては、硫酸マグネシウム
7水和物0.5%、塩化カリウム0.5%、リン酸水素
二カリウム0.1%、リン酸二水素カリウム0.1%、
硝酸ナトリウム1.0%、グルコース0.5%、オカラ
1.0%を含有する培地(pH7.0)が挙げられる。
【0016】培養条件としては、培養温度は20〜40
℃が好ましく、最適温度は約30℃であり、培養時間
は、通常10〜30時間であり、好ましくは12〜24
時間である。また、培養は120rpm程度で振盪しなが
ら、好気的条件で行うことが好ましい。
【0017】上記のようにしてエンテロバクター属に属
する微生物を培養して得られる培養物または菌体を、機
械的または酵素的方法などにより破砕することにより、
植物組織崩壊酵素が粗酵素として得られる。例えば、上
記条件にて培養したエンテロバクター属細菌の培養液を
氷冷下で10〜50分間、好ましくは20〜40分間超
音波破砕することにより、粗酵素液が得られる。
【0018】培養物あるいは粗酵素のままでも、植物組
織を崩壊する活性を有するが、必要に応じて粗精製によ
り他の菌体成分を除いてもよく、さらに酵素蛋白まで精
製してもよい。また、粗酵素液を凍結乾燥して粉末酵素
としてして用いてもよい。酵素の精製は、通常蛋白質の
精製に用いられる方法、例えば塩析、ゲル濾過法、イオ
ン交換クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせ
て用いればよい。
【0019】本発明の酵素製剤は、植物組織崩壊酵素の
粗酵素、粗精製物または精製酵素の他に、通常酵素製剤
に用いられる他の成分、例えば安定化剤、賦形剤、pH
調製剤、増量剤、結合剤等を配合してもよい。また、剤
型も特に限定されず、用途に応じて散剤、顆粒剤、錠剤
等の剤型を選択すればよい。
【0020】<3>植物組織の崩壊方法 本発明の植物組織の崩壊方法は、エンテロバクター属に
属する微生物を培養して得られる培養物またはこの培養
物から調製される植物組織崩壊酵素の粗酵素もしくは精
製酵素と植物組織含有物とを接触させることを特徴とす
る。
【0021】植物組織の崩壊に用いる植物組織崩壊酵素
の粗酵素もしくは精製酵素は、エンテロバクター属に属
する微生物を培養して得られる培養液または菌体を、機
械的または酵素的方法などにより破砕することにより粗
酵素として、あるいはさらに精製することにより精製酵
素として得られる。
【0022】培養に用いる培地は、エンテロバクター属
細菌が生育できる培地であれば特に制限されないが、植
物組織崩壊酵素を誘導し、安定して生産させるために
は、オカラなど植物組織を含む材料を唯一の窒素源及び
炭素源として培地に含有させることが有効である。さら
に、補助窒素源として硝酸ナトリウム1%を培地に添加
して培養すると、効率よく植物組織崩壊酵素を生産させ
ることができる。また、培地のpHは中性付近(pH
6.5〜7.5)が好ましい。
【0023】具体的な培地としては、硫酸マグネシウム
7水和物0.5%、塩化カリウム0.5%、リン酸水素
二カリウム0.1%、リン酸二水素カリウム0.1%、
硝酸ナトリウム1.0%、グルコース0.5%、オカラ
1.0%を含有する培地(pH7.0)が挙げられる。
【0024】培養条件としては、培養温度は20〜40
℃が好ましく、最適温度は約30℃であり、培養時間
は、通常10〜30時間であり、好ましくは12〜24
時間である。また、培養は120rpm程度で振盪しなが
ら、好気的条件で行うことが好ましい。
【0025】上記のようにしてエンテロバクター属に属
する微生物を培養して得られる培養物から植物組織崩壊
酵素の粗酵素もしくは精製酵素を調製するには、培養物
または菌体を、機械的または酵素的方法などにより破砕
すればよい。例えば、エンテロバクター属細菌の培養液
を氷冷下で10〜50分間、好ましくは20〜40分間
超音波破砕することにより、粗酵素液が得られる。
【0026】培養物あるいは粗酵素のままでも、植物組
織を崩壊する活性を有するが、必要に応じて粗精製によ
り他の菌体成分を除いてもよく、さらに酵素蛋白まで精
製してもよい。また、粗酵素液を凍結乾燥して粉末酵素
としてして用いてもよい。酵素の精製は、通常蛋白質の
精製に用いられる方法、例えば塩析、ゲル濾過法、イオ
ン交換クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせ
て用いればよい。さらには、上記<2>に示したよう
に、植物組織崩壊酵素の粗酵素、粗精製物または精製酵
素と、通常酵素製剤に用いられる他の成分とともに酵素
製剤を調製し、これを植物組織の崩壊に用いてもよい。
【0027】本発明を適用することができる植物組織含
有物としては、穀類、果実、根菜類、豆類またはこれら
の植物を原料とする食品もしくは食品材料が挙げられ
る。本発明の方法により分解される植物組織は、中葉の
分解及び細胞壁の分解をともに必要とするものに限られ
ず、一方のみを目的とするものであってもよい。
【0028】このような植物組織含有物に含まれる植物
組織は、植物組織崩壊酵素の粗酵素もしくは精製酵素と
接触させ、酵素反応を行うことにより崩壊される。この
際、酵素反応を効率よく行うために、粗酵素もしくは精
製酵素と植物組織とを水溶液中で共存させることにより
これらを接触させることが好ましい。酵素反応は、酵素
濃度や植物組織によっても異なるが、例えば、10〜6
0℃にて12時間〜8日間、好ましくは1〜4日間行え
ばよい。また、植物組織崩壊酵素と植物組織との混合物
あるいはこれらを含む水溶液は、緩衝液等を用いてpH
5〜9に調整するのが望ましい。
【0029】本発明に用いる植物組織崩壊酵素は、エン
テロバクター属に属する微生物から調製される酵素に限
定されるわけではなく、発現ベクターに接続された該酵
素の遺伝子が導入された大腸菌、枯草菌、酵母などによ
り組換えDNA法によって生産された酵素を使用するこ
とも可能である。また、植物組織崩壊酵素が複数の遺伝
子に由来する場合には、各々の遺伝子を大腸菌、枯草
菌、酵母などに導入すればよい。いずれの方法を用いて
生産された酵素もエンテロバクター属細菌から得られる
酵素と同程度の効果が期待できる。
【0030】本発明の方法は、果汁の清澄化、果汁搾汁
率が向上された調味料及び飲料などの液状食品の製造、
消化性及び保存性のよい粉末食品の製造、食品または発
酵原料の高度利用、または飼料価値の向上等に利用でき
る。
【0031】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0032】
【実施例1】 <1>植物組織崩壊酵素を産生する微生物の取得 滅菌水10mLに土壌1gを懸濁し、その上澄み液(以
下「サンプル」とする)0.1mLを、オカラ1%、硫
酸マグネシウム7水和物0.5%、塩化カリウム0.5
%、リン酸水素二水素カリウム0.1%、リン酸二水素
カリウム0.1%を含有するスクリーニング用培地(p
H7.0)に植菌して培養した。
【0033】培養は30℃で48時間行い、細菌の生育
が認められたサンプルのみ肉エキス0.5%、ペプトン
1.0%、塩化ナトリウム0.5%、寒天1.5%を含
有する平板培地(pH7.0)に塗布し、集積培養し
た。平板培地に形成された各コロニーを再度スクリーニ
ング用培地に植菌し、30℃で24時間培養した。
【0034】培養液中の培養菌体を超音波破砕して得ら
れる破砕液を粗酵素液とし、酵素活性の測定を行った。
酵素活性の測定は、pH6.0,7.0,8.0の50
mMリン酸緩衝液にそれぞれオカラ0.1gを懸濁し、
これに粗酵素液1mLを加え、30℃で18時間反応
後、遊離した還元糖量を3,5−ジニトロサリチル酸法
(生物化学実験講座1、還元糖の定量法p.19、学会
出版センター)により測定することによって行った。
【0035】その結果、集積培養によりオカラを唯一の
炭素源、窒素源として生育できる菌株30株を分離する
ことができた。さらに、上記のようにして酵素活性を測
定した結果、全てのpHで平均的に最も多量の還元糖を
遊離させることができた株BCRD−1を選択した。B
CRD−1株の菌学的性質を以下に示す。
【0036】(a)形態的性質 1. 細胞の大きさ及び形:0.2〜0.3×1.2〜
1.3μmのかん菌 2. グラム染色性:グラム陰性 3. 運動性の有無:なし 4. 鞭毛の有無:なし 5. 胞子の有無:なし (b)生理学的性質 1. 硝酸塩の還元:陽性 2. MRテスト:陰性 3. VPテスト:陰性 4. インドールの生成:陰性 5. 嫌気条件下での生育:陽性 6. 好気条件下での生育:陽性 7. オキシダーゼ:陰性 8. カタラーゼ:陽性 9. ウレアーゼ:陰性 10. 生育の範囲 pH:pH5〜11で生育する。
【0037】温度:18〜37℃で生育する。 11. O−Fテスト:グルコースより好気的にも嫌気的に
も酸を生成する。 12. 糖類からの酸の生成:シュクロース、ラフィノー
ス、キシロース、マンニト ール、マルトース、ラク
トース、アラビノース、myo−イノシトール、α
−メチルグルコシドより酸を生成する。ソルビトールよ
り生成せず。
【0038】13. 色素の生成:黄色色素の生成あり。 14. ゼラチンの液化:陰性 15. デンプンの加水分解:陽性 16. カゼインの加水分解:陰性 17. エスクリンの加水分解:陽性 18. クエン酸の利用性:陰性 19. ONPGテスト:陽性 20. DNaseテスト:陰性 (c)DNA塩基組成:GC含量は56.9% (d)分離源:土壌
【0039】以上の菌学的性質をBergey’s M
anual of Determinative Ba
cteriologyの分類基準により検索したとこ
ろ、本菌は、エンテロバクター アグロメランスに最も
近い菌であることが明かとなった。しかしながら、デン
プンの加水分解能の有無などの点で完全に一致しなかっ
たため、同一種とは認め難く、発明者らは本菌を新種と
認めエンテロバクターsp.BCRD−1(エンテロバ
クター sp.AJ 12973)と命名した。本菌
は、工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P
−14230の受託番号で寄託されている。
【0040】<2>エンテロバクター sp.BCRD
−1の培養条件の検討 エンテロバクター sp.BCRD−1(FERM P−
14230)をトリプティケースソイブロス3.0%、
硝酸カリウム1.0%、ブドウ糖0.5%を含有するT
SB培地(pH7.0)で12時間、30℃で前培養し
た後、同培養液を滅菌水に懸濁し、660nmでの吸光
度(OD660)が0.1となるよう調整した菌懸濁液1
mLを、実施例1で示したスクリーニング培地(pH
7.0)100mLに植菌した。30℃で24時間培養
した後、OD660を測定して生育量とした。
【0041】その結果、最適培養温度は30℃、最適培
養pHは7.0であることが明かとなった。また、補助
窒素源として種々の無機窒素を添加したところ、硝酸ナ
トリウム1%で生育、酵素活性ともに最大となった。最
適培地を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【実施例2】 エンテロバクター sp.BCRD−1
の産生する植物組織崩壊酵素によるオカラの分解 エンテロバクター sp.BCRD−1の産生する植物
組織崩壊酵素活性を、オカラ分解活性を指標として評価
した。試験管中で10mLの50mMリン酸緩衝液(p
H7.0)にオカラを0.1g添加し、粗酵素液を0.
1mL添加して30℃で18時間反応させた。なお、粗
酵素液は、実施例1と同様にしてエンテロバクター s
p.BCRD−1(FERM P−14230)の培養
液中の培養菌体を氷中で約30分間超音波処理して調製
した。
【0044】反応後、反応液をNo.2の濾紙で濾過
し、残存したオカラ量から可溶化率を算出した。粗酵素
液中に存在するオカラを可溶化する酵素活性(以下「可
溶化活性」という)は、1分間に1mgのオカラを可溶
化する酵素活性を1unitとした。さらに、粗酵素液
中の還元糖を遊離する酵素活性(以下「還元糖遊離活
性」という)は、濾過後の濾液中の遊離還元糖量によっ
て表わした。尚、オカラの可溶化は中葉分解(単細胞遊
離)に、還元糖の遊離は細胞壁分解に相当する。
【0045】培養時間と酵素活性との関係について検討
を行なったところ、還元糖遊離活性は12時間で、オカ
ラ可溶化活性は20時間の培養で活性が最大となること
が明かとなった。
【0046】その後、培養12時間後と20時間後の菌
体を用いて反応条件の検討を行なった。まずはじめに、
反応液中のオカラ量についての検討を行なったところ、
可溶化活性及び還元糖遊離活性ともに0.2g/10m
Lで最大値を示した。そこで、この濃度でこれら酵素活
性に及ぼす粗酵素液量について検討したところ、可溶化
活性は粗酵素液の蛋白量が31.6μg/mLの時最大
値を示した。一方、還元糖遊離活性は粗酵素液量に比例
して増大することが明かとなった。この時のオカラ可溶
化率は49%に達した。
【0047】
【実施例3】 ブドウ果汁の搾汁 エンテロバクター sp.BCRD−1を実施例1に示
した最適条件で培養し、培養時間12時間の培養液及び
20時間の培養液の等量混合物から実施例1と同様にし
て調製した粗酵素液を用いて、ブドウ果汁の搾汁率向上
について検討を行なった。
【0048】ブドウ破砕物1kgに、粗酵素液10Lを
凍結乾燥して得られる粗酵素粉末を添加して反応させた
後、これを濾過して果汁を得た。その結果、酵素無添加
で破砕物を濾過した場合に比べて約2倍の果汁が得ら
れ、さらに粕を50%減少させることができた。結果を
表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【実施例4】 野菜の単細胞化 ジャガイモ、ニンジンを5mm×5mm×5mmの切片
としたもの各2gに、実施例3と同様にして得られた粗
酵素液100mLを添加して反応させることによりほぼ
100%の単細胞を得た。
【0051】
【実施例5】 脱脂大豆分解による窒素可溶化率の向上
及び粕量の減少 脱脂大豆100gに水200mLを加え、常法通り加熱
変性処理した後、実施例3と同様にして得られた粗酵素
液1Lを凍結乾燥して得られる酵素粉末を添加して反応
させた。その後、反応液を濾過し、濾液と粕とに分離し
た。
【0052】その結果、酵素添加区では無添加区に比べ
濾液量は9倍に、窒素可溶化率(原料に含まれる総窒素
÷濾液の総窒素×100)は約100倍に増加し、粕量
は約26%減少した。詳細を表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
【実施例6】 醤油製造における植物組織崩壊の応用
(1) 脱脂大豆100gに水150mLを加え常法通り加熱変
性処理した後、脱脂大豆1.5%、リン酸二水素カリウ
ム0.5%を含有する培地(pH5.7)にて30℃、
48時間液体培養したアスペルギルス・オリーゼの培養
液を400mL加え、さらに実施例3と同様にして得ら
れた粗酵素液1Lを凍結乾燥して得られる酵素粉末を添
加して分解させた。その後、反応液を濾過し、濾液と粕
とに分離した。その結果、酵素粉末無添加区に比べ窒素
可溶化率は約20%以上向上し、粕量は50%以上減少
した。詳細を表4に示した。
【0055】
【表4】
【0056】
【実施例7】 醤油製造における植物組織崩壊の応用
(2) 常法により得られた醤油麹100gに15%食塩水20
0mLを加え、実施例3と同様にして得られた粗酵素液
1Lを凍結乾燥して得られる酵素粉末を添加して分解さ
せた。その結果、酵素粉末無添加区に比べ窒素可溶化率
は20%以上向上し、粕量は約50%減少した。詳細を
表5に示した。
【0057】
【表5】
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、従来、効率が不十分
で、かつ各種酵素製剤を組み合わせて行なわねばならな
かった植物組織の崩壊を、各種植物組織崩壊能力に優れ
ている酵素を生産する新規微生物エンテロバクター s
p.BCRD−1(FERM P−14230)の単独
の培養物を用いることにより、良好に行なうことができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 博史 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1味の素 株式会社食品総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物組織崩壊酵素を産生するエンテロバ
    クター sp.BCRD−1(FERM P−1423
    0)。
  2. 【請求項2】 エンテロバクター属に属する微生物の培
    養物から得られる植物組織崩壊酵素を有効成分として含
    有する植物組織崩壊用酵素製剤。
  3. 【請求項3】 エンテロバクター属に属する微生物を培
    養して得られる培養物またはこの培養物から調製される
    植物組織崩壊酵素の粗酵素もしくは精製酵素と植物組織
    含有物とを接触させることを特徴とする植物組織の崩壊
    方法。
  4. 【請求項4】エンテロバクター属に属する微生物が、エ
    ンテロバクター sp.BCRD−1(FERM P−
    14230)である請求項3記載の植物組織の崩壊方
    法。
  5. 【請求項5】 植物組織含有物が、穀類、果実、根菜
    類、豆類またはこれらの植物を原料として製造された食
    品もしくは食品原料である請求項3または4記載の植物
    組織の崩壊方法。
JP5772094A 1994-03-28 1994-03-28 新規微生物及び植物組織の崩壊方法 Pending JPH07255474A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005099481A1 (ja) * 2004-04-14 2005-10-27 Yugengaisha Chima 加工大豆およびその製造方法

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