JPH1095801A - 高成形性セルロース粉末 - Google Patents

高成形性セルロース粉末

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JPH1095801A
JPH1095801A JP8271311A JP27131196A JPH1095801A JP H1095801 A JPH1095801 A JP H1095801A JP 8271311 A JP8271311 A JP 8271311A JP 27131196 A JP27131196 A JP 27131196A JP H1095801 A JPH1095801 A JP H1095801A
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JP
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cellulose powder
optimization
magnetization
tablet
weight
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JP8271311A
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English (en)
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Yoshihito Yaginuma
義仁 柳沼
Hirobumi Ono
博文 小野
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低摩損性で、かつ、分割バラツキの少ない割
線錠を、低い打錠圧で製造し得る高成形性セルロース粉
末を提供する。 【解決手段】 特定量の吸着水分に関する30℃での 1
H−NMRの縦緩和時間を測定する場合において、反転
回復法における待ち時間tに対応する磁化をMt、縦緩
和がほぼ収量した際の磁化をMo としたとき、ln
{(1−Mt /Mo )/2}=ln [{1/(1+
K)}exp(−t/T1,A )+{K/(1+K)}e
xp(−t/T1,B )}] +Cという関係式によって表
されるtと磁化関数ln{(1−Mt /Mo )/2}の
相関を最適化計算して得られる最適化係数Kが0.28
0以上である高成形性セルロース粉末、及びそれを含有
する組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、食品、工
業用途に使用される賦形剤とそれを含有する医薬品およ
び食品組成物に関する。特に摩損性が少なく、分割性に
優れた割線錠を製造するための圧縮成形助剤、および割
線錠に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品等の錠剤には、分割投与を容易に
するために、一面の中央に割線を有したものがある。こ
のような錠剤、いわゆる割線錠は患者の服用性を向上さ
せるために比較的低い力で容易に分割し得るような錠剤
が必要であった。その一方、輸送時や使用時に摩損や破
壊が生じない強度をもつことも必要な性質であった。こ
のような割線錠の製造法については特開昭55−162
714号公報、特開昭61−289027号公報に開示
がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術は分割操作性
や取り扱いしやすさを向上させる目的のために、その形
状を変えることに注力されてきた。しかしながら本来、
割線錠が具備しなければならない高分割性および低摩損
性の問題が等閑にされていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、割
線錠の配合組成物に着目し、圧縮成形助剤の一つである
セルロース粉末の吸着水分と成形性との関係を詳細に検
討し、そしてそれを制御することによって錠剤の分割性
と摩損性のバランスをとることを鋭意検討した結果、本
発明をなすに至った。
【0005】すなわち本発明は、3重量%以上6重量%
以下に水分を調整し、次いでその吸着水分に関する30
℃での 1H−NMRの縦緩和時間を測定する場合におい
て、反転回復法における待ち時間tに対応する磁化をM
t 、縦緩和がほぼ終了した際の磁化をM0 としたとき、
下記(1)式によって表されるtと磁化関数ln{(1
−Mt /M0 )/2}の相関を最適化計算して得られる
最適化係数Kが0.280以上であることを特徴とする
高成形性セルロース粉末、および、それを含有する医薬
品および食品組成物に関する。
【0006】
【数2】 (但し、T1,A 、T1,B 、K、Cは最適化計算によって
得られる最適化係数であり、かつ、T1,A >T1,B であ
る。) 以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】本発明の高成形性セルロース粉末とは、実
質的にセルロースからなる。「実質的」とは、セルロー
ス本来の機能を失わない程度にヘミセルロース、リグニ
ン、油脂などの成分を含んでいても良いことを意味す
る。その含有量は水分を除いた本発明物質のおおよそ1
0%以下である。
【0008】本発明のセルロース粉末は、まず、各種パ
ルプ、コットンリンター、ラミーなどのセルロース質物
質を酸加水分解、またはアルカリ酸化分解を行い、必要
に応じてその前後に機械的粉砕を施すか、あるいは、こ
れらのセルロース質物質をいったんビスコース溶液やキ
ュプラアンモニウム溶液とした後、凝固、再生させる
か、さらにはそれらを酸加水分解、またはアルカリ酸化
分解を行い、必要に応じてその前後に機械的粉砕を施す
ことによって、セルロース粒子の分散スラリー、あるい
はウェットケークを得る。酸加水分解、あるいはアルカ
リ酸化分解の前、あるいは後にセルラーゼ等の酵素を用
いて酵素分解処理を行っても良い。
【0009】次いで、これらをセルロース粒子内、ある
いは粒子間の乾燥収縮を起こさない乾燥方法、例えば、
凍結乾燥法、臨界点乾燥法、有機溶媒乾燥法などによっ
て乾燥することにより、製品を得ることが出来る。乾燥
法の具体例としては、有機溶媒に分散したセルロース粒
子スラリーをガラス板などの支持体に薄く伸展し、乾燥
する方法を上げることができる。
【0010】このようにして得られた粉体は必要に応じ
て粉砕、篩分などを行い、粒度分布を調整して使用に供
する。粒度分布は、平均粒径が20〜200μm程度
で、かつ、350μm以上の粒子は5重量%以下である
ことが好ましい。通常、粒度分布は篩振盪法で測定さ
れ、平均粒径は累積50重量%に相当する篩の目開きで
求められる。平均粒径が20μmよりも小さいと、粉体
の流動性が損なわれ、取り扱い性、および、打錠等の機
械適性が悪化し、好ましくない。また、そのような粉体
の圧縮成型品は、水に浸漬した際の崩壊性に劣るので好
ましくない。350μm以上の粒子が5重量%以上存在
すると、他の原料粉体と混合する際に分離しやすく、製
品の組成変動が生じるので好ましくない。特に好ましく
は、平均粒径が35〜75μmで、かつ、300μm以
上の粒子が5重量%以下の場合である。
【0011】本発明の高成形性セルロース粉末は、サン
プルの重量Ws と、これを120℃、2時間真空乾燥さ
せた際の重量W0 とにより下記(2)式で定義される水
分率fの範囲が3重量%≦f≦6重量%の条件におい
て、 1H−NMRスペクトルに現れる水のピークを対象
に縦緩和時間の測定を行い、次に示す手法で得られる定
数Kが0.280以上の値をもつことを特徴とする。
【数3】
【0012】Kを求める際には、無回転、ロックをかけ
ない条件下で30℃で 1H−NMRスペクトルを測定し
て得られる水のピークについて反転回復法(日本化学会
編“第4版実験化学講座5:NMR”丸善,p26,1
991)によって磁化関数ln{(1−Mt /M0 )/
2}とtの相関を、10-3秒≦t≦1秒の範囲に20点
以上の測定点を幅広く含むようにtを設定して測定し、
下記(1)式によって最適化計算を行う。これによって
得られる最適化係数の一つがKである。
【数4】 (但し、T1,A 、T1,B 、K、Cは最適化計算によって
得られる最適化係数であり、かつ、T1,A >T1,B であ
る。)
【0013】但し、最適化計算では、各々のtに対応す
る磁化関数ln{(1−Mt /M0)/2}の実測値
[ln{(1−Mt /M0 )/2}] obs と(1)式か
ら求めた、各々のtに対応する磁化関数の計算値 [ln
{(1−Mt /M0 )/2}] calcの間の相関係数R
(例えば、吉沢康和,“新しい誤差論:実験データ解析
法”,p87,共立出版,1989)を評価関数として
用い、R≧0.9999となるまで最適化計算を繰り返
して得られた4つの変数の値を最適値とする。最適化の
数学的手法は何であっても構わないが、例えばSimp
lex法(P.K.MacKeown and D.
J.Newman,“Computational T
echniques in Physics”,p12
4,IOP,Bristol,1987)を用いる。
【0014】ここで磁化Mt とは反転回復法における待
ち時間tでの水のピーク強度を、また、M0 とは縦緩和
がほぼ終了した際(t≧5T1 )の水のピーク強度を意
味する。ただし、T1 は期待されるおよその縦緩和時間
であるが、この値はtを変化させてMt の測定を行い、
t =0となるt(=t* )を求め、その値を1.44
倍して算出される。この値は反転回復法において磁化t
の回復速度式はMt =M0 {1−2exp(−t/
1 )}で与えられ、これにt=t* およびMt =0を
代入することよって、T1 =t* /ln2≒1.44×
* が導き出されることに基礎をおくものである。セル
ロース粒子においてKの値が大きいほど高い成形性を示
す傾向があるが、本発明においては、Kの値は0.28
0以上、望ましくは0.320以上であることが必要で
ある。
【0015】また、本発明において、より好ましくは次
の条件も満足していることが望ましい。すなわち、 1
−NMRの共鳴周波数として400MHzの装置を用い
て、上記(2)式で定義されるfの範囲が5重量%≦f
≦6重量%の場合の粉体について、上述と同じ手法で3
0℃における水−プロトンの磁化関数ln{(1−Mt
/M0 )/2}とtの相関から上記(1)式を用いた最
適化計算によって4つの最適係数T1,A 、T1,B 、K、
C(但し、T1,A >T1,B )を求めることができるが、
これらのうち縦緩和時間T1,A の値が2.10秒以下で
あれば、高い成形性をもつセルロース粉末としてより好
ましい。
【0016】セルロース粉末においては、T1,A の値が
小さいほど、含有している水はより微視的なレベルでセ
ルロース分子と相互作用しており、粒子表面におけるセ
ルロースの分子運動性を高め、分子鎖どうしの絡み合い
を促進することによって、より強いセルロース粒子同士
の接着を可能にしていると推定される。
【0017】上記手法により観測されるKやT1,A の値
はいずれもセルロース粒子内部に存在する水の状態を規
定する物性値であるが、セルロース固体におけるセルロ
ース分子の運動性が水の存在によって大きな影響を受け
ることは既に知られており(S.Manabe,M.I
wata,and K.Kamide,Polym.
J.,18,1(1986))、粒子同士の接着性が表
面近傍のセルロース分子の運動性に大きく左右されるこ
とから、間接的に水の状態を規定することにより、成形
剤として用いるセルロース粒子に要求される基本物性の
一つである錠剤成形性を天然セルロースと再生セルロー
スの区別無く、しかも定義や区別が困難な形状等の構造
因子を用いないで一義的に表すことができた。そこで、
既述の評価法によって定義されるKという指標で種々の
条件により調製されたセルロース粉末を分類したとこ
ろ、従来法で得られたセルロース粉末が一定の条件、す
なわち、K値が0.280未満であるのに対し、セルロ
ース粒子内、あるいは粒子間の乾燥収縮を起こさない方
法で調製したセルロース粉末が0.280以上のKの値
を有し、かつ、これらの粉末がいずれも高い成形性を有
していることを見出し、本発明なすに到った。
【0018】本発明の医薬品組成物は、上記の高成形性
セルロース粉末を含有することを特徴とする医薬品組成
物であって、具体的には医薬品薬効成分を含有する散
剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの固形製剤
のことである。加えて、フィルムコーティングを施した
散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、有核錠、多層錠、フィル
ムコーティングやワックスコーティングを施した顆粒を
含有する錠剤もまた、本発明の実施態様の一部である。
本発明で使用の医薬品薬効成分とは、人および動物の疾
病の治療、予防、診断に使用されるものであって、器具
機械ではないもののことである。
【0019】その例としては、抗癲癇剤(例、フェニト
イン、アセチルフェネトライド、トリメタジオン、フェ
ノバルビタール、プリミドン、ニトラゼパム、バルプロ
酸ナトリウム、スルチアム、等)、解熱鎮痛消炎剤
(例、アセトアミノフェン、フェニルアセチルグリシン
メチルアミド、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウ
ム、フロクタフェニン、アスピリン、アスピリンアルミ
ニウム、エテンザミド、オキシフェンブタゾン、スルピ
リン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、アルクロフ
ェナク、ナプロキセン、ケトプロフェン、塩酸チノリジ
ン、塩酸ベンジダミン、塩酸チアラミド、インドメタシ
ン、ピロキシカム、サリチルアミド、等)、鎮暈剤
(例、ジメンヒドリナート、塩酸メクリジン、塩酸ジフ
ェニドール、等)、麻薬(例、塩酸アヘンアルカロイ
ド、塩酸エチルモルヒネ、リン酸コデイン、リン酸ジヒ
ドロコデイン、オキシメテバノール、等)、
【0020】精神神経用剤(例、塩酸クロルプロマジ
ン、マレイン酸レボメプロマジン、マレイン酸ペラジ
ン、プロペリシアジン、ペルフェナジン、クロルプロチ
キセン、ハロペリドール、ジアゼパム、オキサゼパム、
オキサゾラム、メキサゾラム、アルプラゾラム、ゾテピ
ン、等)、骨格筋弛緩剤(例、クロルゾキサゾン、カル
バミン酸クロルフェネシン、クロルメザノン、メシル酸
プリジノール、塩酸エペリゾン、等)、自律神経用剤
(例、塩化ベタネコール、臭化ネオスチグミン、臭化ピ
リドスチグミン、等)、鎮痙剤(例、硫酸アトロピン、
臭化ブトロピウム、臭化ブチルスポコラミン、臭化プロ
パンテリン、塩酸パパベリン、等)、抗パーキンソン剤
(例、塩酸ビペリデン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩
酸アマンタジン、レボドパ、等)、眼科用剤(例、ジク
ロルフェナミド、メタゾラミド、等)、
【0021】抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミ
ン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、d−マレイ
ン酸クロルフェニラミン、プロメタジン、メキタジン、
フマル酸クレマスチン、等)、強心剤(例、アミノフィ
リン、カフェイン、dl−塩酸イソイソプロテレノー
ル、塩酸エチレフリン、塩酸ノルフェネリン、ユビデカ
レノン、等)、不整脈用剤(例、塩酸プロカインアミ
ド、ピンドロール、酒石酸メトプロロール、ジソビラミ
ド、等)、利尿剤(例、塩化カリウム、シクロペンチア
ジド、ヒドロクロロチアジド、トリアムテレン、アセタ
ゾラミド、フロセミド、等)、血圧降下剤(例、臭化ヘ
キサメトニウム、塩酸ヒドララジン、シロシンゴピン、
レセルピン、塩酸プロプラノール、カプトプリル、メチ
ルドパ、等)、血管収縮剤(例、メシル酸ジヒドロエル
ゴタミン、等)、
【0022】血管拡張剤(例、塩酸エタフェノン、塩酸
ジルチアゼム、塩酸カルボクロメン、四硝酸ペンタエリ
スリトール、ジピリダモール、硝酸イソソルビド、ニフ
ェジピン、クエン酸ニカメタート、シクランデレート、
シンナリジン、等)、動脈硬化用剤(例、リノール酸エ
チル、レシチン、クロフィブラート、等)、循環器官用
剤(例、塩酸ニカルジピン、塩酸メクロフェノキサー
ト、チトクロームC、ピリジノールカルバメート、ピン
ボセチン、ホパンテン酸カルシウム、ペントキシフィリ
ン、イデベノン、等)、呼吸促進剤(例、塩酸ジメフリ
ン、等)、鎮咳去痰剤(例、リン酸コデイン、リン酸ジ
ヒドロコデイン、臭化水素酸デキストロメトルファン、
ノスカピン、塩酸L−メチルシステイン、塩酸ブロムヘ
キシン、テオフィリン、塩酸エフェドリン、アンレキサ
ノクス、等)、利胆剤(例、オサルミド、フェニルプロ
パノール、ヒメクロモン、等)、
【0023】整腸剤(例、塩化ベルベリン、塩酸ロペラ
ミド、等)、消化器官用剤(例、メトクロプラミド、フ
ェニペントール、ドンペリドン、等)、ビタミン剤
(例、酢酸レチノール、ジヒドロタキステロール、エト
レチナート、塩酸チアミン、硝酸チアミン、フルスルチ
アミン、オクトチアミン、シコチアミン、リボフラビ
ン、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、ニコチ
ン酸、パンテチン、シアノコバラミン、ビオチン、アス
コルビン酸、フィトナジオン、メナテトレノン、等)、
抗生物質(例、ベンジルペニシリンベンザチン、アモキ
シシリン、アンピシリン、シクラシリン、セファクロ
ル、セファレキシン、エリスロマイシン、キタサマイシ
ン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、テトラサ
イクリン、グリセオフルビン、セフゾナムナトリウム、
等)、化学療法剤(例、スルファメトキサゾール、イソ
ニアジド、エチオナミド、チアゾスルホン、ニトロフラ
ントイン、エノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキ
サシン、等)などを挙げることができる。
【0024】特に好ましい実施態様としては医薬品薬効
成分を含有する割線錠である。割線錠を製造するための
処方に5%以上配合すると、従来処方を用いた場合の9
0〜40%程度圧縮圧力で必要な錠剤硬度を得ることが
出来る。これは破損しやすい形状を有する割線錠用打錠
杵にとって著しい負担軽減となる。また、分割しやすく
するために低打圧で打錠し、低めの錠剤硬度に設定した
場合でも、本発明の場合は摩損度の低い割線錠ができ、
しかも分割のバラツキが少ない極めて商品価値の高い割
線錠を製造することができる。また、フィルムコーティ
ング錠を製造する場合も同様に破損しやすい形状の杵が
使用されるので、本発明品の打錠杵の負担軽減や錠剤の
摩損性を減少させる効果は極めて有効である。
【0025】本発明の高成形性セルロース粉末は医薬品
分野において既存の賦形剤と同様に使用される。例えば
錠剤を製造する場合には、直接粉末圧縮法や乾式顆粒圧
縮法、湿打後末法の結合剤として使用することができ
る。また、保水性が高いので湿式造粒用の賦形剤として
使用すると、より多孔性の顆粒、あるいは細粒を製造す
ることができるので、結果としてこれらの造粒物も成形
性が高くなる。
【0026】その他に高い圧縮成形性を必要とするも
の、例えば食品分野における錠剤タイプの菓子や健康食
品(ビタミン剤、クロレラ製剤、カルシウム含有製剤、
等)など、化粧品分野における固形ファンデーションな
ど、工業用途における触媒の製造助剤などに使用するこ
とができる。さらには食物繊維や食感改良剤として食品
に使用することも可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明を実施例等を用いて
詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するも
のではない。なお、実施例、比較例、使用例、比較使用
例におけるセルロース粉末試料および錠剤の物性の測定
方法は下記の通りである。 ・粉末試料の平均粒径[μm] ロータップ式篩振盪機(平工製作所製シープシェーカー
A型)によりJIS標準篩(Z8801−1987)を
用いて試料30gを10分間篩分することにより粒度分
布を測定し、その累積50重量%の粒度を平均粒径とし
て表す。
【0028】・ 1H−NMRによる縦緩和時間
(T1,A 、T1,B )およびK値の測定 溶液測定用NMRサンプル管(5mm直径)の中に試料
を導入した後、サンプルの重量Ws と、これを120
℃、2時間真空乾燥させた際の重量W0 とにより下記
(2)式で定義される水分率fの範囲として6重量%以
下にサンプルの含水量を調節した。
【数5】
【0029】ここで、fの調整は、まずサンプルの入っ
たNMRサンプル管を閉管しない状態で120℃で2時
間、1mmHgの減圧状態で真空乾燥処理を行った。次
にこのサンプルの入ったNMRサンプル管をやはり閉管
しない状態で30℃、相対湿度40RH%に保った調湿
ボックスに5日間保存した。このようにな処理により得
られたサンプルのf値はいずれの場合にも5.2〜5.
5重量%の範囲にあった。
【0030】得られたNMR測定用サンプルを30℃で
無回転、ロックをかけない状態で、化学シフトの範囲と
して100ppmに相当する幅広い周波数範囲で水の 1
H−NMRスペクトルを測定した。 1H−NMRの測定
は、日本電子(株)製GSX−400スペクトロメータ
を用い、 1H−液体測定用のプローブを用いた。
【0031】図1に得られた典型的なスペクトルを示
す。図1の斜線で示した水のピークについて、反転回復
法により待ち時間tに対応する磁化Mt を、広範なtの
範囲(0.2×10-3秒≦t≦1.47秒のtの範囲で
30点)で順次測定した。5T1 以上に相当する十分に
長い待ち時間を経た後のMt の値をM0 とし、下記
(1)式で表される磁化関数ln{(1−Mt /M0
/2}とtの関係式によって4つの変数、T1,A 、T
1,B 、K、Cを変化させながら最適化計算を行った。
【0032】
【数6】 (但し、T1,A 、T1,B 、K、Cは最適化計算によって
得られる最適化係数であり、かつ、T1,A >T1,B であ
る。)
【0033】最適化は各々のtに対応する磁化関数ln
{(1−Mt /M0 )/2}の実測値 [ln{(1−M
t /M0 )/2}] obs と、(1)式から求めた各々の
tに対応する磁化関数の計算値 [ln{(1−Mt /M
0 )/2}] calcの間の相関係数R(吉沢康和," 新し
い誤差論:実験データ解析法”,p87,共立出版,1
989)がR≧0.9999となるまで最適化計算を繰
り返した。これによって得られた4つの変数の値を最適
値とした。最適化はSimplex法によって行った。
【0034】・分割前後の錠剤の重量[mg]および重
量CV[%] 分割前後で錠剤10個を精秤し、その数平均値を錠剤重
量、その変動係数を重量CVとする。但し、「分割後の
錠剤10個」というのは、錠剤10個を「硬度計による
分割」および「手による分割」で分割したときの片側の
分割片(ほぼ半円形の形状)10個のことである。「硬
度計による分割」とはシュロインゲル錠剤硬度計(フロ
イント産業(株)製、6D型)に分割用治具を取り付
け、割線の裏側から割線と平行に荷重を加え、分割する
方法(図3参照)である。また、「手による分割」と
は、調剤薬局で行われる現実的な分割方法を模して実施
したもので、割線のある面を両手の人差し指で押さえ
(人差し指は割線に触れない位置に当てる)、割線のな
い面を親指で押して分割する方法(図4参照)である。
【0035】・分割前の錠剤の硬度[kgf] 図3に示す如き錠剤硬度計で錠剤の直径方向で、かつ、
割線と平行方向に荷重を加え、破壊したときの荷重で表
す。繰り返し数は10個で、その数平均値をとる。 ・錠剤の分割強度[kgf] 「硬度計による分割」を行い、錠剤が破壊(分割)した
時の荷重で表す。繰り返し数は10個で、その数平均値
をとる。
【0036】・分割前の錠剤の崩壊時間[秒] 第十三改正日本薬局方、一般試験法、錠剤の崩壊試験法
に準じて崩壊試験を行う。崩壊試験は富山産業(株)製
NT−2HS型を用い、試料6個の数平均値をとる。 ・分割前の錠剤の摩損度[%] 錠剤20個の重量(Wa )を測定し、これを摩損度試験
器(ジャパンマシナリー(株)製PTF−3RA型)に
入れ、25rpmで4分間回転した後、錠剤に付着して
いる微粉を取り除き、再び重量(Wb )を測定し、次式
より摩損度を計算する。摩損度=100×(Wa
b )/Wa
【0037】(実施例1)市販DPパルプを細断し、9
%塩酸水溶液中で、105℃で20分間加水分解して得
られた酸不溶解残渣をろ過、洗浄、脱水後、エチルアル
コールを加えて攪拌し、セルロース分16%、水21
%、エチルアルコール63%のスラリーを得た。このス
ラリーをガラス板上に伸展し(厚み約1mm)、室温で
乾燥し、さらに棚段熱風乾燥機を用いて40℃×16時
間乾燥した。ガラス板から乾燥物を剥離した後、ハンマ
ーミルで粉砕し、目開き500μmの篩で粗大粒子を除
き、試料Aを得た。試料Aの基礎物性を表1に示す。
【0038】(実施例2)実施例1と同様にして得た酸
不溶解残渣をろ過、洗浄、脱水後、イソプロピルアルコ
ールを加えて攪拌し、セルロース分15%、水18%、
イソプロピルアルコール67%のスラリーを得た。この
スラリーを実施例1同様に操作して試料Bを得た。試料
Bの基礎物性を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】(実施例3、4)試料A、B600g、フ
ェナセチン800g(山本化学工業(株)製)、とうも
ろこしでんぷん200g(日澱化学(株)製)、乳糖4
00g(ファーマトース100M、DMV社製)をポリ
袋中で3分間混合し、ついでステアリン酸マグネシウム
(太平科学産業(株)製)を10g加え更に30秒間混
合したものを、ロータリー打錠機((株)菊水製作所
製、CLEANPRESS CORRECT 12HU
K)で、8. 5mmφ、隅角平杵(割線付き)の杵を用
いてターンテーブル回転速度24rpmで打錠し、片面
に割線のある錠剤を得た。錠剤の基本物性を表2に、ま
た、分割特性を表3に示す。
【0041】(比較例1)市販DPパルプを細断し、9
%塩酸水溶液中で、105℃で20分間加水分解して得
られた酸不溶解残渣をろ過、洗浄し、棚段熱風乾燥機に
て80℃で乾燥し、ハンマーミルで粉砕し、試料Cを得
た。試料Cの基礎物性を表1に示す。 (比較例2)市販の結晶セルロース(アビセル<登録商
標>PH−101、旭化成工業(株)製)試料Dとし
た。試料Dの基礎物性を表1に示す。
【0042】(比較例3、4)試料A、Bの代わりに試
料C、Dを用いて、実施例3と同様に打錠を行った。基
本錠剤物性を表2に、また、分割特性を表3に示す。但
し、試料Cを用いて打錠圧500kgfで製造した錠剤
は、分割すると細かい破片が発生し、著しく重量が減少
するので錠剤重量および重量CVを求めなかった。表2
の結果より、本発明の高成形性セルロース粉末である試
料Aおよび試料Bを用いて製造した割線錠は、比較例に
比べ、同じ打錠圧ではより高い硬度となり、また、同じ
硬度ではより低い摩損度となることがわかる。また、表
3の結果より、分割による重量バラツキ(重量CV)も
また少ないことがわかる。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明の高成形セルロース粉末は、割線
付き錠剤に応用すると、低打錠圧で成形が可能であり、
しかも製造された錠剤は摩損性が少なく、かつ、分割性
に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重量%の水分率を有する試料Aの、上述の条件
で測定を行って得られた 1H−NMRスペクトルであ
る。斜線で示した部分は、試料Aに含有する水のスペク
トルに対応する。
【図2】試料Aに関して、水分率f=5.4重量%に調
製した際に反転回復法によって得られた30℃における
水の磁化関数ln{(1−Mt /M0 )/2}とtの関
係と、これを(1)式によって最適化して得られたフィ
ッティング曲線(実線)である。a図は測定を行ったす
べてのtの範囲での両者の関係、b図はtの短い領域で
の両者の関係を示したものである。最適化の係数は、T
1,A =1.992秒、T1,B =5.43×10-3秒、K
=0.318,C=−0.0331であり、測定点とフ
ィッティング曲線との間の相関係数Rは0.99993
である。
【図3】硬度計による分割の状態の模式図である。
【図4】手による分割の状態の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 47/38 A61K 47/38 B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3重量%以上6重量%以下に水分を調整
    し、次いでその吸着水分に関する30℃での 1H−NM
    Rの縦緩和時間を測定する場合において、反転回復法に
    おける待ち時間tに対応する磁化をMt 、縦緩和がほぼ
    終了した際の磁化をM0 としたとき、下記(1)式によ
    って表されるtと磁化関数ln{(1−Mt /M0 )/
    2}の相関を最適化計算して得られる最適化係数Kが
    0.280以上であることを特徴とする高成形性セルロ
    ース粉末。 【数1】 (但し、T1,A 、T1,B 、K、Cは最適化計算によって
    得られる最適化係数であり、かつ、T1,A >T1,B であ
    る。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高成形性セルロース粉末
    を含有することを特徴とする医薬品および食品組成物。
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