JPH109165A - ルーツ式流体機械 - Google Patents

ルーツ式流体機械

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JPH109165A
JPH109165A JP15846996A JP15846996A JPH109165A JP H109165 A JPH109165 A JP H109165A JP 15846996 A JP15846996 A JP 15846996A JP 15846996 A JP15846996 A JP 15846996A JP H109165 A JPH109165 A JP H109165A
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JP
Japan
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rotor
tooth
rotors
space
type fluid
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JP15846996A
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English (en)
Inventor
Masao Teraoka
正夫 寺岡
Akihiro Masuyama
昭浩 増山
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インボリュート形のロータを用いながら、確
実に閉じ込みを防止し騒音の低減が可能なルーツ式流体
機械の提供を目的とする。 【解決手段】 インボリュート曲線の歯すじ45、47
で互いに噛み合うロータ15、17と、これらを回転自
在に収容するロータ室29と流体の流入口31及び流出
口33を有するケーシング13と、ロータ15、17の
歯元に形成され相手側ロータの歯先との間で空間を形成
する逃げ部71、73と、歯すじ45、47に形成され
前記空間をロータ室29に開放する平面状の切り欠き部
79、81とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、車両用
スーパーチャージャのコンプレッサに用いられるルーツ
式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ルーツブロワのようなルーツ式
流体機械に用いられるロータの歯すじ曲線には、サイク
ロイド曲線やインボリュート曲線などがある。
【0003】サイクロイド曲線のロータは、回転中に互
いの歯面の一点が常時接触しているから、気体の洩れが
少なく効率がよいと共に、ロータ間に気体が閉じ込めら
れる空間が形成されないから、騒音が低い。
【0004】しかし、サイクロイド曲線のロータは、こ
のような利点があるが、先端部分が太い繭型になるから
慣性モーメントが大きく、高速回転させることが難しい
上に、エンジンとの連結を行うトルク伝動機構を大型に
する必要がある。
【0005】又、先端部分が太いことによってロータ断
面積が大きくなりロータ室が狭くなるから、ロータ1回
転当たりの吐き出し量が小さく、充分な吐出量が得られ
ない。
【0006】特開平4−72490号公報には図18〜
図20のようなロータ201、203が記載されてい
る。これらはインボリュート形の歯205、207を持
った例である。
【0007】サイクロイド曲線のロータと較べて、イン
ボリュート曲線のロータ201、203は、図18〜図
20のように、先端部分を細く形成することができるか
ら、慣性モーメントが小さくなって高速回転させること
が可能であると共に、先端部分が細くロータ断面積が小
さい分1回転当たりの吐き出し容量が大きくなり、充分
な吐出量が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この形式の
ロータ201、203の噛み合いにおいては、図18の
ようにロータ201の歯先205とロータ203の歯元
211との間に生じる閉じ込み部213の容積が、図1
9、図20に示すように回転が進むに伴い圧縮され、つ
いで膨張されるため騒音が発生する。そこで、この事例
では閉じ込みが発生しないように、歯元211側の形状
を追い込み加工して修正している。すなわち、図19の
ように、歯先205が両ロータ201,203の中心を
結ぶ線上にあるときの接触点A、Bに挟まれる歯元21
1側の輪郭をロータ203側へ後退させて修正してい
る。これにより両ロータ201,203の図19の回転
位置の直前、直後の噛み合いにおいて、それぞれ図1
8、図20の図示とは異なり、閉じ込み部に若干のすき
まが生じ、閉じ込みが避けられる。これにより騒音の発
生を防止している。こうして、効果的な閉じ込み防止手
段の採用が求められる。
【0009】そこで、この発明は、インボリュート形の
ロータを用いながら、確実に閉じ込みを防止し騒音の低
減が可能なルーツ式流体機械の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1のルーツ式流体
機械は、回転軸中心に対して平行に形成されたインボリ
ュート曲線の歯すじで互いに噛み合う一対のロータと、
各ロータを回転自在に収容するロータ室及びロータ室に
対する流体の流入口と流出口を有するケーシングとを備
えたルーツ式流体機械であって、各ロータの歯元に形成
され相手側ロータの歯先との間に空間を形成し切下げを
防止する逃げ部と、歯すじの少なくとも回転方向一側に
形成され前記空間をロータ室に開放する切り欠き部とを
有することを特徴とする。
【0011】このように、請求項1のルーツ式流体機械
では、逃げ部による歯元側の空間をロータ室に開放する
切り欠き部をロータの歯先に設けたから、歯元に流体の
閉じ込み空間が生じない。
【0012】従って、この空間で流体の圧縮と膨張が確
実に行われないから、圧縮された流体が開放されるとき
の騒音や、流体を無用に圧縮するための駆動力ロスなど
が確実に防止される。
【0013】これに加えて、本来歯先が細いインボリュ
ート曲線のロータに切り欠き部を設けたことによって歯
先が更に細くなるから、慣性モーメントと断面積が更に
小さくなり、ロータ室が広くなる。
【0014】従って、更に高速で回転させることが可能
になると共に、1回転当たりの吐き出し量が増加するか
ら、流体機械をそれだけ小型軽量にできる。又、慣性モ
ーメントの低下分だけ駆動力伝達機構を小型にできる。
【0015】請求項2の発明は、請求項1記載のルーツ
式流体機械であって、歯すじの中心線が両ロータの中心
線上にある状態で、切り欠き部を相手側ロータの基礎円
のほぼ内側に形成したことを特徴とし、請求項1の構成
と同等の効果を得る。
【0016】これに加えて、切り欠き部を相手側ロータ
の基礎円のほぼ内側に限定したことにより、歯元での余
分な圧縮と膨張とを防止しながら、基礎円の外側での噛
み合いによって、ルーツ式流体機械の正常な圧縮機能や
膨張機能が得られる。
【0017】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
記載のルーツ式流体機械であって、切り欠き部が、平面
であることを特徴とし、請求項1又は請求項2の構成と
同等の効果を得る。
【0018】これに加えて、平面状の切り欠き部は加工
し易いから、それだけ低コストに実施できる。
【0019】請求項4の発明は、請求項1又は請求項2
記載のルーツ式流体機械であって、切り欠き部が、凹面
であることを特徴とし、請求項1又は請求項2の構成と
同等の効果を得る。
【0020】これに加えて、切り欠き部を凹面にしたこ
とにより、歯先に幅の広いシール部を残すことができ、
圧洩れが充分に防止され、流体機械の性能が高く保たれ
る。
【0021】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4
のいずれか一項に記載のルーツ式流体機械であって、切
り欠き部が、相手側ロータ及びロータ室とのシール部以
外の箇所に形成されたことを特徴とし、請求項1乃至請
求項4の構成と同等の効果を得る。
【0022】これに加えて、切り欠き部をシール部以外
の箇所に形成したことによって圧洩れが防止され、流体
機械の性能を損なわずに、上記のように、歯元の空間を
開放し、騒音と駆動力ロスとを防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】図1乃至図11により本発明の第
1実施形態を説明する。この実施形態は請求項1、2、
3、5の特徴を備えている。図1はこの実施形態のスー
パーチャージャ1(ルーツ式流体機械)を示しており、
左右の方向は図1での左右の方向である。又、符号を与
えていない部材等は図示されていない。
【0024】スーパーチャージャ1は、入力プーリ3、
ルーツ式コンプレッサ5、タイミングギヤ組7などから
構成されている。
【0025】入力プーリ3は入力側のロータ軸9にスプ
ライン連結され、ナット11で固定されている。入力プ
ーリ3はベルトを介してクランクシャフト側のプーリに
連結されている。このクランクシャフト側プーリには電
磁クラッチが組み込まれており、エンジンとスーパーチ
ャージャ1との断続を行う。
【0026】このように、入力プーリ3はエンジンの駆
動力により、これらの電磁クラッチとベルト伝動機構と
を介して回転駆動される。
【0027】コンプレッサ5はコンプレッサケーシング
13(ケーシング)と、その中に配置されたロータ1
5、17などを備えている。
【0028】コンプレッサケーシング13は、ケーシン
グ本体19の左右にカバー21、23をボルト25、2
7で固定して構成されており、タイミングギヤ組7はケ
ーシング本体19と右のカバー23との間に収納されて
いる。
【0029】図2のように、コンプレッサケーシング1
3は、各ロータ15、17を回転自在に収容するロータ
室29と、吸気の吸入口31(流入口)及び吐出口33
(流出口)を備えている。
【0030】図1のように、一方のロータ15はロータ
本体35の軸孔37に前記の入力側ロータ軸9をスプラ
イン連結して構成され、他方のロータ17はロータ本体
39の軸孔41にロータ軸43をスプライン連結して構
成されている。
【0031】図2のように、各ロータ15、17は3葉
のロータであり、各ロータ本体35、39には互いに噛
み合う3枚の歯すじ45、47が形成されている。これ
らの歯すじ45、47はロータ15、17の回転中心線
に対して平行に形成されており、それぞれの歯形はイン
ボリュート曲線である。
【0032】各歯すじ45、47には軸方向に空洞部4
9、51が形成され、ロータ15、17の慣性モーメン
トを低減している。
【0033】又、各ロータ15、17とロータ室29と
の隙間は所定値に調整されている。
【0034】各ロータ軸9、43は、ロータ本体35、
39の左側でシール型のボールベアリング53、55に
よりコンプレッサケーシング13に支承され、ロータ本
体35、39の右側でボールベアリング57、57によ
りコンプレッサケーシング13に支承されている。又、
ロータ軸9、43の右端側ではコンプレッサケーシング
13との間にシール59、59が配置されている。
【0035】ケーシング本体19と右のカバー23との
間にはオイルが封入されており、ボールベアリング5
7、57とタイミングギヤ組7とを潤滑する。
【0036】シール型ボールベアリング53、55とシ
ール59、59とによってロータ室29から外部へのエ
ア洩れが防止され、シール59、59によってカバー2
3側からロータ室29へのオイル洩れが防止される。
【0037】タイミングギヤ組7は互いに噛み合った一
対のタイミングギヤ61、63からなり、タイミングギ
ヤ61はロック機構65によってロータ軸9の右端側に
固定されている。又、タイミングギヤ63はロータ軸4
3の右端部に圧入されている。
【0038】ロック機構65は、テーパリング67とロ
ータ軸9の右端に螺着されるナット69とからなり、テ
ーパリング67をタイミングギヤ61とロータ軸9との
間にナット69で押し込み、ロータ軸9に対してタイミ
ングギヤ61を回転方向に位置決めする。
【0039】各タイミングギヤ61、63の回転方向位
置決めは、各ロータ15、17の歯すじ45、47を噛
み合わせ、歯すじ45、47の間に形成される回転方向
側とその反対側の隙間が均一になるようにした状態で、
タイミングギヤ61、63を噛み合わせ、上記のよう
に、ロック機構65でタイミングギヤ61とロータ軸9
とを回転方向に位置決めする。
【0040】プーリ3から入力したエンジンの駆動力は
コンプレッサ5を駆動し、タイミングギヤ組7はロータ
15、17を互いに接触しないように回転させる。ロー
タ15、17はコンプレッサケーシング13の吸入口3
1から吸入した吸気を吐出口へ送り、吐出口33から吐
き出してエンジンに供給する。
【0041】図2乃至図11のように、各ロータ15、
17の歯元には相手側歯すじ47、45の歯先に対する
逃げ部71、73が設けられ、相手側歯すじ47、45
との間で空間75、77を形成している。これらの逃げ
部71、73を設けたことによって歯すじ47、45の
先端による各ロータ15、17の歯元部分の切下げが防
止されている。
【0042】更に、各歯すじ45、47の歯先には、回
転方向両側に、これらの空間77、75をロータ室29
に開放する切り欠き部79、81が形成されている。こ
れらの切り欠き部81、79は各歯すじ45、47の基
礎円83、85の内側に形成されている。
【0043】又、各切り欠き部81、79は平面であ
る。
【0044】図2に示すように、切り欠き部79、81
が形成されても、各歯すじ45、47の先端にはロータ
室29や逃げ部71、73に対するシール部87、89
が残されている。
【0045】図3乃至図11は、各ロータ15、17が
矢印91の方向に回転するときの空間75の変化を順に
示している。なお、これらの図面に記入された角度は各
ロータ15、17の中心線93に対する歯すじ47の中
心線95の角度である。
【0046】歯すじ47が−20度(図3)から−6度
(図6)まで回転する間に、従来のロータ201、20
3であれば上記のように閉じ込み空間213が生じる
が、空間75は切り欠き部81を介してロータ室29側
に開放されているから密閉状態にならない。
【0047】従って、この間、空間75で吸気の圧縮は
生じない。
【0048】次いで、歯すじ47が約−4度(図7)ま
で回転すると、歯すじ47の両側が歯すじ45の歯元側
と接触して空間75は密閉状態になり、歯すじ47の回
転角が0度(図9)を過ぎて約+4度になるまでこの状
態が続く。この間は、シール部89と逃げ部71との接
触によって空間75が分割され、一方が吸気の圧縮側に
なり他方が膨張側になる。
【0049】しかし、この密閉状態の間は、分割された
それぞれの空間75は容積変化が少ないから、各空間7
5での吸気の圧縮と膨張は極めて軽微である。
【0050】更に、歯すじ47の回転角が+5度以上
(図10、図11)になると、空間75は再び切り欠き
部81を介して開放状態になり、空間75での吸気の圧
縮や膨張を防止する。
【0051】空間77でも、空間75と全く同様の変化
が起きる。
【0052】このように、歯すじ45、47に切り欠き
部79、81を設けたことにより、一時的な密閉状態を
除いて空間77、75は開放されており、この密閉状態
でも容積変化が少ないから、空間77、75で吸気が無
用に圧縮され膨張することがない。
【0053】こうして、スーパーチャージャ1が構成さ
れている。
【0054】上記のように、スーパーチャージャ1で
は、歯すじ45、47に設けた切り欠き部79、81に
よって、空間77、75での吸気の圧縮と膨張とが確実
に防止されるから、圧縮された流体が開放されるときの
騒音が生じない。又、吸気を無駄に圧縮するための駆動
力ロスが防止され、エンジンの燃費が向上する。
【0055】又、本来歯先部が細いインボリュート曲線
の歯すじ45、47に切り欠き部79、81を形成した
ことによって、ロータ15、17の慣性モーメントと断
面積が更に小さくなり、ロータ室29が更に広くなる。
従って、それだけ高速回転が可能になり、1回転当たり
の吐き出し量が増加し、スーパーチャージャ1が小型軽
量になる。
【0056】更に、慣性モーメントが小さいから、エン
ジンとの間に配置したベルト伝動機構のベルトの滑りが
防止され、エンジンとの断続を行う電磁クラッチを小型
にできる。
【0057】又、切り欠き部79、81を相手側ロータ
の基礎円85、83のほぼ内側に限定したことにより、
空間77、75での無用な圧縮と膨張とを防止しなが
ら、基礎円85、83の外側での歯すじ47、45の噛
み合いによって、コンプレッサ5の正常な圧縮機能が得
られる。
【0058】又、平面状にした切り欠き部79、81は
加工性が良いから、低コストに実施できる。
【0059】更に、切り欠き部を79、81を歯すじ4
5、47の先端のシール部87、89以外の箇所に形成
したことによって圧洩れが防止され、コンプレッサ5の
性能を損なわずに、上記のように、騒音と駆動力ロスと
を防止している。
【0060】次に、図12乃至図17によって本発明の
第2実施形態と第3実施形態とを説明する。これらの実
施形態は請求項1、2、4、5の特徴を備えている。各
図は各実施形態のスーパーチャージャに用いられるロー
タ97とロータ99とを示している。又、符号を与えて
いない部材等は図示されていない。
【0061】このスーパーチャージャは、第1実施形態
のスーパーチャージャ1においてロータ15、17をロ
ータ97、99に置き換えたものである。従って、スー
パーチャージャ1と同一機能の部材には同一の符号を与
え、これら同一機能部材の重複説明は省く。
【0062】ロータ97、99は、コンプレッサケーシ
ング13のロータ室29に回転自在に収容されている。
【0063】一方のロータ97はロータ本体101の軸
孔103に入力側のロータ軸9をスプライン連結して構
成され、他方のロータ99はロータ本体105の軸孔1
07にロータ軸43をスプライン連結して構成されてい
る。
【0064】図12乃至図17のように、各ロータ9
7、99は3葉のロータであり、各ロータ本体101、
105には互いに噛み合う3枚の歯すじ109、111
が形成されている。これらの歯すじ109、111はロ
ータ97、99の回転中心線に対して平行に形成されて
おり、それぞれの歯形はインボリュート曲線である。
【0065】又、各歯すじ109、111には軸方向に
空洞部113、115が形成され、ロータ97、99の
慣性モーメントを低減している。
【0066】各ロータ97、99の歯元には相手側歯す
じ111、109の歯先に対する逃げ部117、119
が設けられている。逃げ部119と相手側歯すじ109
との間には空間121が形成されており、逃げ部117
と相手側歯すじ111との間には同様な空間が形成され
ている。これらの逃げ部117、119を設けたことに
よって歯すじ111、109の先端による各ロータ9
7、99の歯元部分の切下げが防止されている。
【0067】更に、各歯すじ109、111の歯先に
は、回転方向両側に、これらの空間をロータ室29に開
放する切り欠き部123、125が形成されている。こ
れらの切り欠き部125、123は各歯すじ109、1
11の基礎円127、129の内側に形成されている。
【0068】各切り欠き部123、125は凹面状に形
成されている。
【0069】又、各歯すじ109、111の先端には、
ロータ室29や逃げ部119、117に対するシール部
131、133が設けられている。
【0070】各シール部131、133は、上記のよう
に、切り欠き部123、125を凹面状にしたことによ
って、充分な広さとシール性とを得ている。これが第2
実施形態の特徴である。
【0071】更に、各逃げ部117、119はこれらシ
ール部131、133の先端の軌跡より深くしてあり、
従って、図15に表示したように、シール部131と逃
げ部119との間には隙間135が形成される。又、シ
ール部133と逃げ部117との間にも同様な隙間が形
成される。これが、第3実施形態の特徴である。
【0072】図12乃至図17は、各ロータ97、99
が矢印137の方向に回転するときの空間121の変化
を順に示している。
【0073】歯すじ109の回転角が、図17の状態よ
り大きい範囲では、切り欠き部123によって空間12
1がロータ室29に開放されるから、従来と異なって、
空間121は密閉状態にならず、吸気の圧縮は生じな
い。
【0074】又、歯すじ109の回転角が、図12乃至
図17に示す範囲では、歯すじ109の両側が歯すじ1
11の歯元側と接触して空間121は密閉状態になる。
【0075】しかし、上記のように、逃げ部119を深
くしシール部131との間に隙間135を開けているか
ら、密閉状態で空間121は分割されず、容積は殆ど変
動しない。
【0076】従って、この間、空間121では吸気の圧
縮や膨張は発生せず、圧縮と膨張との切り変わりによる
振動が防止される。
【0077】又、歯すじ111と逃げ部117との間の
空間でも、空間121と全く同様の変化が起きる。
【0078】このように、歯すじ109、111に切り
欠き部123、125を設けたことにより、一時的な密
閉状態を除いて歯元の空間は開放されており、この密閉
状態でも容積が殆ど変化しないから、これらの空間で吸
気が無用に圧縮され膨張されることがない。
【0079】この実施形態のスーパーチャージャは、上
記のように、歯すじ109、111に設けた切り欠き部
123、125によって、各空間での吸気の圧縮と膨張
とが確実に防止されるから、圧縮された流体が開放され
るときの騒音が生じない。又、吸気を無用に圧縮するた
めの駆動力ロスが防止され、エンジンの燃費が向上す
る。
【0080】又、上記のように、切り欠き部123、1
25を凹面状にしたことによって、歯すじ109、11
1の先端(シール部131、133)を狭くせずに歯元
の空間を必要なだけ広くすることができる。従って、各
シール部131、133は充分な広さとシール性とを
得、圧洩れによるスーパーチャージャの性能低下を防止
している。
【0081】又、本来歯先部が細いインボリュート曲線
の歯すじ109、111に切り欠き部123、125を
形成したことによって、ロータ97、99の慣性モーメ
ントと断面積が更に小さくなり、ロータ室29が更に広
くなる。従って、それだけ高速回転が可能になり、1回
転当たりの吐き出し量が増加し、スーパーチャージャが
小型軽量になる。
【0082】更に、慣性モーメントが小さいから、エン
ジンとの間に配置したベルト伝動機構のベルトの滑りが
防止され、エンジンとの断続を行う電磁クラッチを小型
にできる。
【0083】又、切り欠き部123、125を相手側ロ
ータの基礎円129、127のほぼ内側に限定したこと
により、歯元空間での無用な圧縮と膨張とを防止しなが
ら、基礎円129、127の外側での歯すじ111、1
09の噛み合いによって、スーパーチャージャは正常な
圧縮機能が得られる。
【0084】なお、本発明では、ロータ歯先の切り欠き
部を回転方向の一側にだけ設けてもよい。
【0085】又、本発明のルーツ式流体機械は、コンプ
レッサやブロワだけでなく、流体圧を与えて回転を取り
出すモータとして用いてもよい。
【0086】
【発明の効果】請求項1のルーツ式流体機械は、歯元側
の空間をロータ室に開放する切り欠き部をロータの歯先
に設けたことによって、この空間での流体の圧縮や膨張
が確実に防止されるから、圧縮された流体が開放される
ときの騒音や流体を無用に圧縮するための駆動力ロスな
どが生じない。
【0087】又、本来歯先が細いインボリュート曲線の
歯すじに切り欠き部を設けたことによって歯先が更に細
くなるから、ロータの慣性モーメントと断面積が更に小
さくなり、ロータ室が広くなる。
【0088】従って、更に高速回転させることが可能に
なると共に、1回転当たりの吐き出し量が増加するか
ら、流体機械をそれだけ小型軽量にできる。又、慣性モ
ーメントの低下分だけ駆動力伝達機構を小型にできる。
【0089】請求項2の発明は、請求項1の構成と同等
の効果を得ると共に、切り欠き部を相手側ロータの基礎
円のほぼ内側に限定したことにより、歯元空間での余分
な圧縮と膨張とを防止しながら、基礎円の外側での噛み
合いによって、ルーツ式流体機械の正常な圧縮機能や膨
張機能が得られる。
【0090】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
の構成と同等の効果を得ると共に、平面状の切り欠き部
は加工し易いから、それだけ低コストに実施できる。
【0091】請求項4の発明は、請求項1又は請求項2
の構成と同等の効果を得ると共に、切り欠き部を凹面に
したことにより、歯先に幅の充分に広いシール部を残す
ことができるから、流体機械の性能が高く保たれる。
【0092】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4
の構成と同等の効果を得ると共に、切り欠き部をシール
部以外の箇所に形成したことによって圧洩れが防止さ
れ、流体機械の性能を損なわずに、上記のように、騒音
と駆動力ロスとを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】第1実施形態においてロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が−2
0度の状態を示す。
【図4】第1実施形態においてロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が−1
5度の状態を示す。
【図5】第1実施形態においてロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が−8
度の状態を示す。
【図6】第1実施形態においてロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が−6
度の状態を示す。
【図7】第1実施形態においてロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が−4
度の状態を示す。
【図8】第1実施形態においてロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が−2
度の状態を示す。
【図9】第1実施形態においてロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が0度
の状態を示す。
【図10】第1実施形態においてロータの歯元に形成さ
れる空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が+
5度の状態を示す。
【図11】第1実施形態においてロータの歯元に形成さ
れる空間の変化を示す断面図であり、歯すじの角度が+
10度の状態を示す。
【図12】本発明の第2及び第3実施形態に用いられる
ロータの歯元に形成される空間の変化を示す断面図であ
る。
【図13】本発明の第2及び第3実施形態に用いられる
ロータの歯元に形成される空間の変化を示す断面図であ
り、図12より僅かに回転した状態を示す。
【図14】本発明の第2及び第3実施形態に用いられる
ロータの歯元に形成される空間の変化を示す断面図であ
り、図13より僅かに回転した状態を示す。
【図15】本発明の第2及び第3実施形態に用いられる
ロータの歯元に形成される空間の変化を示す断面図であ
り、図14より僅かに回転した状態を示す。
【図16】本発明の第2及び第3実施形態に用いられる
ロータの歯元に形成される空間の変化を示す断面図であ
り、図15より僅かに回転した状態を示す。
【図17】本発明の第2及び第3実施形態に用いられる
ロータの歯元に形成される空間の変化を示す断面図であ
り、図16より僅かに回転した状態を示す。
【図18】従来例に用いられるロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図である。
【図19】従来例に用いられるロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、図18より僅かに回
転した状態を示す。
【図20】従来例に用いられるロータの歯元に形成され
る空間の変化を示す断面図であり、図19より僅かに回
転した状態を示す。
【符号の説明】
1 スーパーチャージャ(ルーツ式流体機械) 13 コンプレッサケーシング(ケーシング) 15、17、97、99 ロータ 29 ロータ室 31 吸入口(流入口) 33 吐出口(流出口) 45、47、109、111 歯すじ 71、73、117、119 逃げ部 75、77、121 空間 79、81 切り欠き部(平面) 83、85、127、129 基礎円 87、89、131、133 シール部 123、125 切り欠き部(凹面)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸中心に対して平行に形成されたイ
    ンボリュート曲線の歯すじで互いに噛み合う一対のロー
    タと、各ロータを回転自在に収容するロータ室及びロー
    タ室に対する流体の流入口と流出口を有するケーシング
    とを備えたルーツ式流体機械であって、各ロータの歯元
    に形成され相手側ロータの歯先との間に空間を形成し切
    下げを防止する逃げ部と、歯すじの少なくとも回転方向
    一側に形成され前記空間をロータ室に開放する切り欠き
    部とを有することを特徴とするルーツ式流体機械。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発明であって、歯すじの
    中心線が両ロータの中心線上にある状態で、切り欠き部
    を相手側ロータの基礎円のほぼ内側に形成したことを特
    徴とするルーツ式流体機械。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、切り欠き部が、平面であることを特徴とするルーツ
    式流体機械。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の発明であっ
    て、切り欠き部が、凹面であることを特徴とするルーツ
    式流体機械。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれか一項に
    記載の発明であって、切り欠き部が、相手側ロータ及び
    ロータ室とのシール部以外の箇所に形成されたことを特
    徴とするルーツ式流体機械。
JP15846996A 1996-06-19 1996-06-19 ルーツ式流体機械 Pending JPH109165A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017223060A1 (en) * 2016-06-20 2017-12-28 Eaton Corporation Hollow rotor lobe and control of tip deflection
CN109779903A (zh) * 2018-12-26 2019-05-21 宿迁学院 一种具有八字顶和渐开线组合型线的泵用转子
JP2019127874A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 株式会社アンレット ルーツ式真空ポンプ

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