JP4360005B2

JP4360005B2 - 機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構

Info

Publication number: JP4360005B2
Application number: JP2000143074A
Authority: JP
Inventors: 康行渋井; 禎仁笠原
Original assignee: IHI Corp
Current assignee: IHI Corp
Priority date: 2000-05-16
Filing date: 2000-05-16
Publication date: 2009-11-11
Anticipated expiration: 2020-05-16
Also published as: JP2001323885A

Description

【０００１】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、ギヤ室の内部に潤滑オイルを封入した機械駆動式過給機に係り、特にオイル漏れを防止することができる機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
自動車等の内燃機関にはターボチャージャーが使用されている。内燃機関では、通常ピストンの加工行程に生じるシリンダー内の負圧によって混合気又は空気を吸入する。しかし、バルブを開いている短い時間内に十分な吸気を行うことは困難である。そこで、ポンプに混合気又は空気を積極的に押し込むことにより、シリンダーの容積効果があり、実効圧縮比、爆発圧力共に高めて、その出力を向上させたものがスーパーチャージャーである。
【０００３】
例えば、自動車エンジン過給用としては、容積式スーパーチャージャーのルーツブロワや、より高過給可能なスクリュー式過給機が提案されている。このスクリュー式過給機は、図３に示すように、ケーシング１に駆動軸２を挿入し、これらと一体的なギヤ３とギヤ４がギヤ室５内で噛合している。ギヤ４は雄スクリューロータ６と回転軸７で連結し、ギヤ３は雌スクリューロータ８と回転軸９で連結してある。雌雄のスクリューロータ６，８は、空気室１０内で互いに螺合回転するようになっている（特開平７−２７９６７８号参照）。
【０００４】
この捩じれた雌雄一対のスクリューロータ６，８を螺合駆動することにより、空気を吸い込みねじ螺合部の容積収縮にて圧縮させて吐出するものである。このスクリュー式の過給機は過給圧力の増加時のロスは少ないが、スクリューロータの端面（圧力上昇側）における圧力変動があるため、ギヤ室５に対する考慮対策が必要である。
【０００５】
更に、機械駆動式過給機における性能の確保及びオイルシールの長寿命化を狙い、クリアランスシール（又はラビリンスシール）を用いている。例えば、ギヤ室５において、回転軸７はスリーブを介してオイルシール１１と軸方向のラビリンスシール１２に接し、これらの間の空隙１３が通路１４及び逆止弁１５を介して大気へ連通するようになっている。
【０００６】
この従来の過給機は、吐出側がエンジン吸入系と接続連通しており、このためにエンジン吸入負圧時に、ギヤ室５における空隙１３が負圧になると、逆止弁１５から大気を吸入して圧力の変動をやわらげ、このギヤ室５からのオイル漏れを防止するものである。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
機械駆動式過給機の回転によって、ギヤ室５の温度が上昇していき、ギヤ室５内の圧力が上昇し、オイル漏れが発生することがあった。そこで、ギヤ室５をエンジンのオイルパンに連通させるように配管している。または、ギヤ室５自体を耐圧性の高いシール構造を用いるようにしている。
【０００８】
しかし、ギヤ室５をエンジンのオイルパンに連通配管したものは、そのエンジン側まで配管するためのスペースが余分にかかったり、このような配管の組立に手間がかかり、コスト高になりやすいという問題があった。
【０００９】
一方、耐圧性の高いシール構造を用いても、気密性が劣るために、潤滑オイルの漏れを完全に防止することはできないという問題があった。
【００１０】
更に、特開平５−３１２１６号に示すような圧力平衡室を機械駆動式過給機に設けて圧力差を低減させる手段も提案されているが、その装置が複雑になるという問題があった。
【００１１】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、密閉されたギヤ室から潤滑オイル等の液体を漏らすことなく、空気等の気体だけを外部へ逃がし、ギヤ室の内圧を緩和することができる機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構を提供することにある。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、駆動装置からギヤ室（５）内のギヤ（３，４）を介して駆動し、かつ前記ギヤ室（５）に隔壁（１６）を介して隣接する空気室（１０）内で相互に螺合する雌雄一対のスクリューロータ（６，８）をケーシング（１）に回転自在に支持し、該スクリューロータ（６，８）の駆動回転により空気を吸入し圧縮して吐出する機械駆動式過給機であって、前記スクリューロータ（６，８）の回転軸（７，９）に、該回転軸（７，９）の軸方向の中心線に沿って、ギヤ室（５）内外を連通する挿通孔（１８）と、該回転軸（９）のギヤ室（５）側の外周面から前記挿通孔（１８）に向けた通気孔（１９）と、からなる圧抜き通路（１７）を設け、前記通気孔（１９）から空気を逃がすと共に、高速で回転する前記回転軸（９）の遠心力により、該通気孔（１９）に液体の潤滑オイルが通過することを防止するように構成したこと、を特徴とする機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構が提供される。
【００１３】
上記発明の構成では、ギヤ室（５）内が高速回転の温度上昇によって圧力が上昇しても、空気等の気体を圧抜き通路（１７）、即ち通気孔（１９）から通気孔（１９）を通って外部へ排気するので、ギヤ室（５）内の圧力を低下させることができる。なお、ギヤ室（５）の内部に封入した潤滑オイルは、空気より比重が大きいので、高速で回転している回転軸（９）の遠心力により、通気孔（１９）部分で吹き飛ばされ、気体のみを圧抜き通路（１７）を通過させ、外部へ排出させることができる。従って、密閉されたギヤ室（５）等の内圧を、潤滑オイル等の液体を漏洩させることなく、気体だけを外部へ逃がすことができる。
【００１４】
前記通気孔（１９）は、前記回転軸（９）に対して複数本設けることが好ましい。また、圧抜き通路（１７）を有する回転軸（９）は、機械駆動式過給機における駆動装置の入力側の回転軸（９）に設けることができる。
【００１５】
このように、通気孔（１９）を複数本設けることにより、ギヤ室（５）からの通気効果が高くなる。また、圧抜き通路（１７）を駆動装置の入力側の回転軸（９）に設けたのは、十分な圧抜き通路（１７）を確保するためである。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、図において共通の部材には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
図１は本発明の機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構を示す側断面図である。本発明の機械駆動式過給機は、図３で示したものと同様に、駆動装置（図示しない）からギヤ室５内のギヤ３，４を介して駆動し、ギヤ室５に隔壁１６を介して隣接する空気室１０において相互に螺合する雌雄一対のスクリューロータ６，８をケーシング１に回転自在に支持したものである。
【００１７】
この捩じれた雌雄一対のスクリューロータ６，８は、螺合駆動することにより、空気を吸い込みねじ螺合部の容積収縮にて圧縮させて吐出する。この機械駆動式過給機は過給圧力の増加時のロスは少ないが、スクリューロータ６，８の端面（圧力上昇側）における圧力変動がある。ギヤ室５には、密閉され潤滑オイル等の液体が充填してある。しかし、スクリューロータ６，８の回転により高温になったギヤ室５の内圧を緩和するために、潤滑オイル等の液体を漏らさず、空気等の気体だけを外部へ逃がす必要がある。
【００１８】
図２は回転軸部分を示す拡大断面図である。
本発明の雌スクリューロータ８の回転軸９には、ギヤ室５内の空気を機械駆動式過給機の外部へ排出する圧抜き通路１７を設けてある。この圧抜き通路１７は、回転軸９の軸方向の中心線に沿って挿通孔１８を設けたものである。更に、この回転軸９のギヤ室５側の外周面に、挿通孔１８に向けて通気孔１９を開け、かつ連通させてある。なお、図示例では、入力側の雌スクリューロータ８の回転軸９に圧抜き通路１７を設けた例を示してあるが、圧抜き通路１７はこのように雌スクリューロータ８の回転軸９に限定されず、圧抜き通路１７を設けるスペースがあれば、雄スクリューロータ６の回転軸７であってもよい。
【００１９】
この圧抜き通路１７は、ギヤ室５内がスクリューロータ６，８の高速回転の温度上昇によって圧力が上昇した際に、空気等の気体を機械駆動式過給機の外部へ排気させ、ギヤ室５内の圧力を低下させるものである。しかし、この圧抜き通路１７では、ギヤ室５の内部に封入した潤滑オイルが、高速で回転している回転軸９の遠心力により、空気より比重が大きい液体の潤滑オイルを通気孔１９から吹き飛ばし、気体のみを圧抜き通路１７を通過させ、外部へ排出させることができるので、ギヤ室５内の圧力を低下させることができる。
【００２０】
本発明の圧抜き通路１７を構成する挿通孔１８と通気孔１９の内径は、共に回転軸９の直径に比して細い外径寸法で形成してある。このような圧抜き通路１７の挿通孔１８を通って外部へ空気を排出するが、潤滑オイルが排出しづらくするするためである。また、通気孔１９においては回転軸９の遠心力により比重の大きい液体の潤滑オイルを気体から分離しやすくするためである。従って、潤滑オイルと分離した空気だけを外部へ排出させ、更に潤滑オイルが外部へ漏れることを防止することができる。
【００２１】
図２の拡大断面図に示すように、本発明の圧抜き通路１７には、通気孔１９は、回転軸９に対して１本に限定されず、複数本連通することができる。通気孔１９の本数は、潤滑オイルが外部へ漏れることなく、潤滑オイルと分離することができる状態であればよいので、回転軸９の外径寸法等の要因によって決定されるものである。
【００２２】
なお、本発明は上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、ギヤ室５から潤滑オイル等の液体を漏らすことなく、気体だけを外部へ逃がすために、雌スクリューロータ８の回転軸９に圧抜き通路１７を軸方向に設けた実施の形態について説明してあるが、この回転軸にギヤ室５から外部に通じる圧抜き通路１７を設けることによりギヤ室の内圧を緩和するものであれば、スクリュー式過給機に限定されず、そのため本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【００２３】
【発明の効果】
上述したように、本発明の機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構は、ギヤ室内が高速回転の温度上昇によって圧力が上昇しても、ギヤ室内部に封入した潤滑オイルは、この圧抜き通路において、高速で回転している回転軸の遠心力により液体の潤滑オイルを通気孔から吹き飛ばし、気体のみを圧抜き通路を通過させ、機械駆動式過給機の外部へ排出させることができる。
【００２４】
本発明では、ギヤ室内の圧力を低下させることができ、密閉されたギヤ室等の内圧を、潤滑オイル等の液体を漏洩させることなく、気体だけを外部へ逃がすことにより、潤滑オイルの減少が大幅に改善され、メンテナンスフリーを可能にすることができる、等の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構を示す側断面図である。
【図２】回転軸の部分拡大断面図である。
【図３】従来の機械駆動式過給機におけるギヤ室を示す側断面図である。
【符号の説明】
１ケーシング
３ギヤ
４ギヤ
５ギヤ室
６雄スクリューロータ
７回転軸
８雌スクリューロータ
９回転軸
１０空気室
１６隔壁
１７圧抜き通路
１８挿通孔
１９通気孔

Claims

駆動装置からギヤ室（５）内のギヤ（３，４）を介して駆動し、かつ前記ギヤ室（５）に隔壁（１６）を介して隣接する空気室（１０）内で相互に螺合する雌雄一対のスクリューロータ（６，８）をケーシング（１）に回転自在に支持し、該スクリューロータ（６，８）の駆動回転により空気を吸入し圧縮して吐出する機械駆動式過給機であって、
前記スクリューロータ（６，８）の回転軸（７，９）に、該回転軸（７，９）の軸方向の中心線に沿って、ギヤ室（５）内外を連通する挿通孔（１８）と、該回転軸（９）のギヤ室（５）側の外周面から前記挿通孔（１８）に向けた通気孔（１９）と、からなる圧抜き通路（１７）を設け、
前記通気孔（１９）から空気を逃がすと共に、高速で回転する前記回転軸（９）の遠心力により該通気孔（１９）に液体の潤滑オイルが通過することを防止するように構成したこと、
を特徴とする機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構。
前記通気孔（１９）を、前記回転軸（９）に複数本設けたこと、を特徴とする請求項１の機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構。
前記回転軸（９）が、機械駆動式過給機における前記駆動装置の入力側の回転軸（９）であること、
を特徴とする請求項１又は２の機械駆動式過給機のギヤ室圧抜き機構。