JPH1090918A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH1090918A
JPH1090918A JP9195591A JP19559197A JPH1090918A JP H1090918 A JPH1090918 A JP H1090918A JP 9195591 A JP9195591 A JP 9195591A JP 19559197 A JP19559197 A JP 19559197A JP H1090918 A JPH1090918 A JP H1090918A
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JP
Japan
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carrier
work function
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carrier transport
layer
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JP9195591A
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English (en)
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Akira Kinoshita
昭 木下
Hirofumi Hayata
裕文 早田
Toyoko Shibata
豊子 芝田
友子 ▲崎▼村
Tomoko Sakimura
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子輸送性のキャリア輸送層を有し残留電位
が小さく、かつ繰り返し使用において電位上昇の問題の
ない電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 有機電子輸送性物質をバインダー中に含
んでなる電子輸送性のキャリア輸送層を有する電子写真
感光体であって、キャリア輸送層単独の仕事関数を接触
電位差測定で求めるにおいて、試料側導電極を変化させ
て得られるキャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導
電極の仕事関数φMとの関係を式(a)で直線近似した
とき、φMの特定範囲においてα≦0.2となるような
キャリア輸送層と、その特定範囲に属する仕事関数φM
の導電性支持体から構成される電子写真感光体。 φCTL=α・φM+β (a) (式中の
α、βは定数)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電潜像を形成さ
せるための電子写真感光体に関する。詳しくは、電子輸
送性の化合物を含有する層を有する電子写真感光体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子写真技術に基づく複写
機、プリンタ、ファックス等においては、高感度であっ
て、温湿度への依存性が小さく、半導体レーザー光に高
速応答するなどの優れた有機感光体が広く用いられるよ
うになってきている。
【0003】電子写真感光体においては、キャリア発生
機能とキャリア輸送機能とを異なる物質に分担させた機
能分離型構成にすることにより材料選択の幅が著しく広
がり、特に有機化合物では多岐にわたる化学構造群の設
計が可能であることから、キャリア発生物質とキャリア
輸送物質の双方において優れた素材の開発が行われてき
た。
【0004】キャリア発生物質としては種々の有機染料
や有機顔料が提案されている。例えば、ジブロムアンス
アンスロンに代表される多環キノン化合物、ピリリウム
化合物及びピリリウム化合物とポリカーボネートとの共
晶錯体、スクエアリウム化合物、フタロシアニン化合
物、アゾ化合物などが知られている。
【0005】キャリア輸送物質としては、オキサゾ−
ル、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、
イミダゾール等に代表される含窒素複素環核及びその縮
合環核を有する化合物、ポリアリールアルカン系の化合
物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリア
リールアミン系化合物、スチリル系化合物、スチリルト
リフエニルアミン系化合物、β−フエニルスチリルトリ
フエニルアミン系化合物、ブタジエン系化合物、ヘキサ
トリエン系化合物、カルバゾール系化合物等が知られて
いるが、これらのキャリア輸送物質はいずれも正孔輸送
性であった。
【0006】従来、キャリア発生物質とキャリア輸送物
質を組み合わせて感光体を作製する場合、電極上にキャ
リア発生物質を含むキャリア発生層を設け、その上にキ
ャリア輸送物質を含むキャリア輸送層を設けて積層構造
にした場合に最も耐久性に優れた感光体が得られる。現
在の有機感光体の大部分はこのような構成のものが用い
られている。
【0007】しかしながら、上記のキャリア輸送物質は
正孔輸送性であるため、このような電子写真感光体にお
いては感光体表面を負に帯電して動作が行われることに
なる。帯電には高速動作が可能で安定した帯電特性が得
られるコロナ放電方式が一般に用いられる。コロナ放電
時にはオゾンの発生を伴うが、近年、電子写真プロセス
の高速化にともなって単位時間あたりのオゾン発生量の
増加が懸念されるようになり、この問題に対処するため
に、オゾン発生量の少ない正のコロナ帯電プロセスに対
応した高耐久の感光体が望まれるようになってきた。
【0008】このような観点から電子輸送性のキャリア
輸送層を上層にした積層構造の有機感光体の開発が行わ
れており、電子輸送物質として、2,4,7−トリニト
ロフルオレノンや特開平1−206349号、特開平2
−214866号、特開平5−279582号、USP
5468583等に記載の化合物が提案されている。
【0009】しかしながら、これらの電子輸送物質を用
いても、従来のキャリア輸送層では、キャリア発生物質
からのキャリア注入特性に重大な障害が存在するため
に、電子写真感光体としての光応答動作において顕著な
残留電位が残ってしまい、画像形成に必要な電位コント
ラストを得ることができなかった。また実際の電子写真
プロセスでは帯電・露光を繰り返して使用されるが、こ
のような感光体においては繰り返し使用において残留電
位が蓄積されることによる著しい電位上昇が起こるた
め、実用に供し得ないものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は電子輸
送性のキャリア輸送層を有し残留電位が小さく、かつ繰
り返し使用において電位上昇の問題のない電子写真感光
体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記構
成を採ることによって達成される。
【0012】(1) 有機電子輸送性物質をバインダー
中に含んでなる電子輸送性のキャリア輸送層を有する電
子写真感光体であって、キャリア輸送層単独の仕事関数
を接触電位差測定で求めるにおいて、試料側導電極を変
化させて得られるキャリア輸送層の仕事関数φCTLと試
料側導電極の仕事関数φMとの関係を式(a)で直線近
似したとき、φMの特定範囲においてα≦0.2となる
領域が存在することを特徴とする電子写真感光体。
【0013】 φCTL=α・φM+β (a) (式中のα、βは定数) (2) 有機電子輸送性物質をバインダー中に含んでな
る電子輸送性のキャリア輸送層を有する電子写真感光体
であって、キャリア輸送層単独の仕事関数を接触電位差
測定で求めるにおいて、試料側導電極を変化させて得ら
れるキャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導電極の
仕事関数φMとの関係を式(a)で直線近似したとき、
φMの特定範囲においてα≦0.2となるようなキャリ
ア輸送層と、その特定範囲に属する仕事関数φMの導電
性支持体(電極)から構成されることを特徴とする電子
写真感光体。
【0014】 φCTL=α・φM+β (a) (式中のα、βは定数) (3) キャリア発生層とキャリア輸送層が積層されて
構成されたことを特徴とする上記(1)に記載の電子写
真感光体。
【0015】電子輸送性キャリア輸送層へのキャリア注
入特性を高めて本発明の目的を達成するために、発明者
らはキャリア輸送層の仕事関数が重要であることを見出
した。
【0016】本発明における電子輸送性のキャリア輸送
層とは、正孔輸送能力を有していても良いが、正孔輸送
能力に対して電子輸送能力の方が優るものをいう。
【0017】正孔及び電子の輸送能力は、電荷発生物質
と組み合わせて電子写真感光体を作製し、正孔輸送支配
の動作モードでの光感度と、電子輸送支配の動作モード
での光感度を、比較することによって決定することが出
来る。
【0018】例えば、導電性支持体の上にキャリア発生
層とキャリア輸送層をこの順に積層して感光体を作製し
た場合は、正帯電モードでの光感度(例えば半減露光
量)は電子輸送能力を表し、負帯電モードでの光感度は
正孔輸送能力を表すので、正帯電モードでの光感度の方
が高い場合を電子輸送支配というものとする。
【0019】キャリア輸送層単独の仕事関数を求めるた
めに接触電位差測定を用いた場合、試料側導電極を変化
させるとキャリア輸送層の仕事関数が変化する現象がみ
られる。発明者らはこのときの試料側導電極の仕事関数
に着目し、キャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導
電極の仕事関数φMとの関係を式(a)で直線近似した
ときに、φMの特定範囲においてα≦0.2となるよう
なキャリア輸送層を用い、かつその特定範囲に属する仕
事関数φMの導電性支持体(電極)を用いることによっ
て本発明の目的が達成されることを見出した(式中の
α、βは定数)。
【0020】φCTL= α・φM+ β (a) 電子輸送性キャリア輸送層を用いた感光体において著し
い残留電位が生じる原因について、発明者らは感光体の
光応答の際にキャリア発生層で発生した電子がキャリア
輸送層に注入される過程に障害があることを確認した。
【0021】キャリア発生層からキャリア輸送層への電
子の注入は、キャリア発生物質の電子伝導準位からキャ
リア輸送物質の電子伝導準位に向けて電子が移動するこ
とによって達成される。これらの有機化合物の電子伝導
準位は還元電位の測定によってそのエネルギー値を見積
もることが可能である。一般に有機感光体に用いられる
電子輸送物質の還元電位は、Ag/AgCl電極に対し
て−0.4〜−1(V)であり、このことから、電子輸
送物質の電子伝導準位は−3.9〜−4.3(eV)近
傍に位置するものと見積もることができる。これに対し
てキャリア発生物質の電子伝導準位はだいたい−3〜−
4(eV)の領域にあり、キャリア輸送物質の電子伝導
準位よりもエネルギー的に高い位置にあるといえる。即
ち両物質単独の電子準位を比較する限りにおいては、キ
ャリア発生物質からキャリア輸送物質への電子注入に対
してエネルギー的な障害は見い出されない。
【0022】一方で、電子写真感光体を構成する導電性
支持体(電極)、キャリア発生層、キャリア輸送層はそ
れぞれが単独で存在するときのフェルミ準位は異なって
いるが、これらが密着して接触し感光体を形成する際に
は、全体を通してフェルミ準位が一致する方向に各層の
ポテンシャル変化が起こることが知られている。即ち、
感光体中でのキャリア発生物質及びキャリア輸送物質の
電子伝導準位は各層単独の場合と異なり、接触によるポ
テンシャル変化を経て決定されると考えるべきである。
【0023】本発明者は、先にαを0.6以下にするこ
とによって残留電位を小さくすることができることを見
出したが、更に検討を加えることによって、αを0.2
以下にすることによって残留電位を小さくすることがで
きるばかりでなく、繰り返しの使用においても電位上昇
のない感光体が得られることがわかり、本発明を完成す
るに至った。
【0024】実際の感光体で、電極、キャリア発生層、
キャリア輸送層の接触においては、有機半導体に比べ
て、電極の電子容量の方が圧倒的に大きいために、全体
のフェルミ準位は電極のフェルミ準位に一致して平衡に
達する。また、電極、キャリア発生層、キャリア輸送層
をこの順に積層した感光体でも、例えば「JapanH
ardcopy’94 予稿集 P229〜232」に
記載されているように、キャリア輸送物質はキャリア発
生層中に深く浸透し、電極との界面において十分な濃度
で存在するので、感光体中ではキャリア発生層のみなら
ずキャリア輸送層の電子準位も電極とのポテンシャル平
衡によって決定されているといえる。
【0025】本発明者らは電子輸送性キャリア輸送層を
用いた感光体におけるキャリア注入過程の問題に対し
て、特に電極との接触平衡にあるキャリア輸送層の電子
準位に注目した。接触平衡を測定するための手段として
は接触電位差測定がある。接触電位差測定は特定の金属
(代表的には金が用いられる。)との接触において生じ
る電位差を測定して、測定対象層の仕事関数を決定する
ものである。測定には一般的にケルビン法と呼ばれる手
法が用いられる。ケルビン法及び仕事関数の決定方法に
ついては、「新実験化学講座18−界面とコロイド−」
(日本化学会編)P181〜192に詳細な記述があ
る。
【0026】キャリア輸送層の仕事関数を決定するとき
は、試料側導電極上にキャリア輸送層を設けてサンプル
とし、金電極を対抗極にしてキャリア輸送層表面と金電
極(対抗極)表面との間の電位差測定を行う。キャリア
輸送層は試料側電極を介して金電極と接しているが、本
来、接触界面を通してフェルミ準位の高い側から低い側
に向けて十分な電子移動が起こり平衡に達している場合
は、中間に介在する金属によらず、キャリア輸送層と金
電極との間の接触電位差は一定となり、従ってキャリア
輸送層の仕事関数も一定となるべきである。しかしなが
ら実際の測定結果では、試料側導電極の仕事関数に依存
してキャリア輸送層の仕事関数の値は変化する。このこ
とは例えば「Japan Hardcopy’90 F
allmeeting 予稿集 P80〜P83」等に
よっても知られている。これはキャリア輸送層と試料側
導電極との接触平衡のありかたが理想的な電子移動によ
るものとは異なっていることを示しており、キャリア輸
送層の電子的特性を反映した挙動として注目される。
【0027】このような接触電位差測定で得られるキャ
リア輸送層と試料側電極との関係は、まさに電子写真感
光体中でのキャリア輸送層と電極との関係を示唆してい
るといえる。従ってキャリア注入性との相関が予想さ
れ、その結果、感光体の残留電位特性と相関することが
予想される。
【0028】発明者らはこのような観点から電子輸送性
のキャリア輸送層を用いた感光体における残留電位の問
題に対して、キャリア輸送層単独の接触電位差測定を行
い、キャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側電極の仕
事関数φMとの関係を検討した。
【0029】その結果、従来の電子輸送性キャリア輸送
層の場合は、測定したφMの全範囲にわたって両者は直
線関係を示したが、今回、特定の電子輸送性物質と特定
のバインダーを組み合わせたときに、おそらくはキャリ
ア輸送層内部でなんらかの物理的変化が起きるものと推
測されるが、試料側電極の仕事関数φMの特定範囲にお
いて傾きα≦0.2となり、事実上電極の仕事関数に依
存しなくなる領域が出現することを見出した。そして驚
くべきことに、そのような電子輸送性キャリア輸送層と
α≦0.2となる領域内の仕事関数φMを有する導電性
支持体(電極)を組み合わせて作製した電子写真感光体
において、残留電位が殆ど無くなるばかりか、繰り返し
使用においても残留電位の上昇が起こらない優れた特性
が得られることを見出し、本発明の完成に至った次第で
ある。
【0030】αの値はα=0が下限であるが、測定上の
誤差等により値としてはα<0となることもあり得る。
従って実測値としてはα≧−0.1ということが出来
る。又、導電性支持体に用いることが出来る電極の仕事
関数φMは、3.6〜6eVの範囲にある。
【0031】本発明において電子輸送性キャリア輸送層
を形成するために用いることのできる電子輸送物質とし
ては特に限定されないが、代表的には一般式(A)〜
(D)で表されるものが有用であり、それらの具体的な
例を次に示す。
【0032】
【化1】
【0033】式中、Xは>SO2、>C=Q2を表し、Q
1、Q2は=O、=S、=N−R7、=C(Z1)(Z2
を表す。
【0034】ここにおいて、Z1,Z2は電子吸引基を表
す。又、R1とR2或いはR3とR4は、各々互いに結合し
て芳香族環もしくは脂肪族環を形成しても良く、R5
6は、=N−R7もしくは=C(R8)(R9)の構造を
有してもよい。R1〜R9は水素原子、ハロゲン、シア
ノ、置換ビニル基、各々置換或いは無置換のアルキル
基、アリール基、複素環基を表す。
【0035】置換ビニル基の好ましい置換基は、フェニ
ル、シアノ、アルコキシカルボニルの各基である。好ま
しいアルキル基は炭素原子数1〜20のものであり、好
ましいアリール基は、ベンゼン、ナフタレン、ピレンの
各基である。また、好ましい複素環基はピリジン、チオ
フェン、キノリン、オキサゾールの各基である。
【0036】アルキル基、アリール基及び複素環基の好
ましい置換基は、アルコキシ、ビニル、フェニル、アル
キル、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、アミ
ノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコ
キシカルボニル、アシール、スチリル、アルキルカルバ
ミド、アルキルスルホンアミド、カルバモイルの各基で
ある。
【0037】電子吸引性基の好ましいものは、シアノ、
ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、アルコキシカ
ルボニル、アシル、アリーロキシカルボニル、スルホン
及びこれらの基が置換しているフェニル基又はナフチル
基である。
【0038】
【化2】
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】
【化7】
【0044】
【化8】
【0045】
【化9】
【0046】
【化10】
【0047】
【化11】
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】
【0051】
【化15】
【0052】本発明における感光体の構成はキャリア発
生層を下にしキャリア輸送層を上にした積層型の感光体
とするのが望ましいが、本発明の効果はそのような構成
に限定されることなく種々の形態において発揮される。
図1(a)〜(f)に代表的な構成を示す。
【0053】図1(a)の場合、導電性支持体1上にキ
ャリア発生層2を形成し、これにキャリア輸送層3を積
層して感光層4を形成したものであり、(b)はこれら
のキャリア発生層2とキャリア輸送層3を逆にした感光
層4を形成したものである。(c)は(a)の層構成の
感光層4と導電性支持体1の間に中間層5を設けたもの
であり、(d)は(b)の層構成において感光層4と導
電性支持体1との間に中間層5を設けたものである。
(e)はキャリア発生物質とキャリア輸送物質を含有す
る感光層4′を形成したものであり、(f)はこのよう
な感光層4′と導電性支持体1との間に中間層5を設け
たものである。(a)〜(f)の構成において、最表層
には更に保護層を設けることができる。
【0054】導電性支持体(電極)としては、金属板、
金属ドラムが用いられる他、導電性ポリマーや酸化イン
ジウム等の導電性化合物、もしくはアルミニウム、パラ
ジウム等の金属の薄層を塗布、蒸着、ラミネート等の手
段により紙やプラスチックフイルムなどの基体の上に設
けてなるものを用いることができる。
【0055】感光層の形成には、予め調製された塗布液
をディップ塗布、スプレー塗布、バー塗布、ロール塗
布、ブレード塗布、アプリケーター塗布等によって塗布
し乾燥する方法、もしくは真空蒸着で形成する方法等が
用いられる。キャリア発生層用の塗布液はキャリア発生
物質を単独もしくはバインダや添加剤とともに超音波分
散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等の分散
装置を用いて適当な分散媒中に微粒子分散させた液を塗
布する方法で調製できる。キャリア輸送層用の塗布液は
キャリア輸送物質を適当なバインダとともに溶媒に溶解
し必要に応じて添加剤等を加えて調製するのが一般的で
ある。
【0056】塗布に用いられる溶媒としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチレング
リコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、アセ
トフエノン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロ
エタン、トリクロロエタン、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール等を挙げることができる。
【0057】キャリア発生層もしくはキャリア輸送層の
形成に用いることのできるバインダとしては例えば次の
ものを挙げることができる。
【0058】 ポリカーボネート ポリカーボネートZ樹脂 アクリル樹脂 メタクリル樹脂 ポリ塩化ビニル ポリ塩化ビニリデン ポリスチレン スチレン−ブタジエン共重合体 ポリ酢酸ビニル ポリビニルホルマール ポリビニルブチラール ポリビニルアセタール ポリビニルカルバゾール スチレン−アルキッド樹脂 シリコン樹脂 シリコン−アルキッド樹脂 ポリエステル フエノール樹脂 ポリウレタン エポキシ樹脂 塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体 バインダに対するキャリア発生物質の割合は1/9〜9
/1重量比が望ましく、更には1/2〜6/1重量比が
好ましい。
【0059】キャリア発生層の厚さは、0.01〜20
μmとされるが、更には0.05〜5μmが好ましい。
キャリア輸送層の厚みは1〜100μmであるが、更に
は5〜40μmが好ましい。
【0060】中間層、保護層等に用いられるバインダと
しては、上記のキャリア発生層及びキャリア輸送層用に
挙げたものを用いることができるが、その他にポリアミ
ド樹脂、ナイロン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、
エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体等のエチ
レン系樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体
等が有効である。また、メラミン、エポキシ、イソシア
ネート等の熱硬化或は化学的硬化を利用した硬化型のバ
インダを用いることができる。
【0061】また上記感光層中には電位特性、保存性、
耐久性、環境依存性を向上させる目的で種々の添加剤を
含有させることができる。
【0062】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、本文中
「部」とは「重量部」を表す。
【0063】接触電位差測定及び仕事関数プロット 接触電位差測定はキャリア輸送層塗布液をパラジウム
(Pd)、インジウムティンオキサイド(ITO)、ニ
ッケル−クロム合金(Ni−Cr)、チタン(Ti)、
アルミニウム(Al)、アルミニウム−クロム合金(A
l−Cr)等からなる電極上にスピンコートした後、乾
燥することによって測定サンプルを作製し、ケルビン法
を用いて大気中で行った。こうして求められたキャリア
輸送層の仕事関数は対応する電極金属の仕事関数(キャ
リア輸送層を塗布しない状態で測定)に対して仕事関数
プロットとして表した。
【0064】評価1 電子写真感光体の評価は、静電複写試験装置「EPA−
8100」(川口電機社製)を用いて行った。最初に+
6kVのコロナ帯電を行い5秒間暗放置して表面電位V
i(V)を求めた。次いで照度10(lux)の白色光
で10秒間露光し、更に200(lux)の光を2秒間
照射した後の表面電位を残留電位Vr(V)として求め
た。更に、この操作を連続して200回行った後の帯電
電位上昇ΔVi(V)、及び残留電位上昇ΔVr(V)
を求めた。
【0065】実施例1 電子輸送物質(A−21)1部とポリカーボネート樹脂
「ユーピロンZ−200」(三菱瓦斯化学社製)1.3
部をTHF7部に溶解してキャリア輸送層塗布液を得
た。これを用いてキャリア輸送層の接触電位差測定を行
い、得られた仕事関数プロットを図2に示した。電極の
仕事関数φMが4.44(eV)以上の領域においてα
=0.11であり、この領域ではキャリア輸送層の仕事
関数はφCTLは事実上電極の仕事関数に依存しないとい
える。
【0066】次に仕事関数がこの領域に属する金属であ
るパラジウム(Pd φM=5.0eV)及びインジュ
ウムティンオキサイド(ITO φM=4.8eV)と
この領域に属さない金属であるアルミニウム(Al φ
M=4.1eV)及びアルミニウム−クロム合金(Al
−Cr φM=3.8eV)をそれぞれ電極に用いて以
下の操作で電子写真感光体を作製した。
【0067】各金属を蒸着したポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルム上に、ポリアミド樹脂「CM8
000」(東レ社製)からなる厚さ0.4μmの中間層
を設けた。その上に、X線回折におけるブラッグ角2θ
の9.5°、24.1°、27.2°にピークを有する
チタニルフタロシアニン1部、シリコーン−ブチラール
樹脂0.5部、分散媒としてメチルイソプロピルケトン
50部をサンドミルを用いて分散した液をワイヤーバー
を用いて塗布し、膜厚0.3μmのキャリア発生層を形
成した。次いで、キャリア発生層上にドクターブレード
を用いて上記のキャリア輸送層塗布液を塗布し乾燥して
膜厚21μmのキャリア輸送層を形成した。電極がパラ
ジウムの感光体をサンプル1a、ITOの感光体をサン
プル1b、アルミニウムの感光体をサンプル1c、アル
ミニム−クロム合金の感光体をサンプル1dとする。
【0068】比較例1 電子輸送物質(A−21)の代わりに(A−17)を用
いた他は実施例1と同様にしてキャリア輸送層塗布液を
調製し接触電位差測定を行った。得られた仕事関数プロ
ットは図3に示した。この場合はαが0.2以下になる
領域が現れない。次いで(A−17)のキャリア輸送層
塗布液を用いた他は実施例1と同様にしてパラジウム、
ITO、アルミニウム、アルミニウム−クロム合金を電
極にした比較用の電子写真感光体を作製した。それぞれ
を比較サンプル1a〜1dとする。
【0069】実施例1及び比較例1の感光体を評価1に
従って評価した結果を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】仕事関数プロットにおいてα≦0.2の領
域にあるキャリア輸送層と電極の組み合わせにおいての
み残留電位がゼロになり、かつ繰り返しによる電位上昇
が殆ど無いことが確認される。α≦0.2の領域が出現
しない場合はそのような電極の効果が得られないため、
残留電位が高く、繰り返しによる残留電位の上昇が大き
い。
【0072】実施例2 電子輸送物質(A−7)1部、ポリスチレン樹脂「スタ
イロン679」(旭化成工業社製)1.3部、添加剤化
合物(Z−1)0.05部をTHF7部に溶解してキャ
リア輸送層塗布液を得た。これを用いてキャリア輸送層
の接触電位差測定を行い、得られた仕事関数プロットを
図4に示した。電極の仕事関数φMが4.20eV以上
の領域においてα=0.04であった。
【0073】次に仕事関数がこの領域に属する金属であ
るパラジウム(Pd φM=5.0eV)及びインジュ
ウムティンオキサイド(ITO φM=4.8eV)と
この領域に属さない金属であるアルミニウム(Al φ
M=4.1eV)及びアルミニウム−クロム合金(Al
−Cr φM=3.8eV)をそれぞれ電極に用い、キ
ャリア輸送層塗布液を代えた他は実施例1と同様にして
電子写真感光体を作製した。電極がパラジウムの感光体
をサンプル2a、ITOの感光体をサンプル2b、アル
ミニウムの感光体をサンプル2c、アルミニム−クロム
合金の感光体をサンプル2dとする。
【0074】
【化16】
【0075】比較例2 ポリスチレン樹脂「スタイロン679」の代わりにポリ
カーボネート樹脂「ユーピロンZ−200」を用いた他
は実施例2と同様にしてキャリア輸送層塗布液を調製し
接触電位差測定を行った。得られた仕事関数プロットは
図5に示した。
【0076】この場合はαが0.2以下になる領域が現
れない。次いでポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ−
200」のキャリア輸送層塗布液を用いた他は実施例2
と同様にしてパラジウム、ITO、アルミニウム、アル
ミニウム−クロム合金を電極にした比較用の電子写真感
光体を作製した。それぞれを比較サンプル2a〜2dと
する。
【0077】実施例2及び比較例2において得られた電
子写真感光体を評価1に従って評価した結果を表2に示
した。
【0078】
【表2】
【0079】仕事関数プロットにおいてα≦0.2の領
域にあるキャリア輸送層と電極の組み合わせにおいての
み残留電位が非常に小さくになり、かつ繰り返しによる
電位上昇が殆ど無いことが確認される。α≦0.2の領
域が出現しない場合はそのような電極の効果が得られな
いため、残留電位が高く、繰り返しによる残留電位の上
昇が大きい。
【0080】
【発明の効果】本発明により、電子輸送性のキャリア輸
送層を有し残留電位が小さく、かつ繰り返し使用におい
て電位上昇の問題のない電子写真感光体を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる感光体の構成を示す断面図。
【図2】キャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導電
極の仕事関数φMの関係を示すグラフ。
【図3】キャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導電
極の仕事関数φMの関係を示すグラフ。
【図4】キャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導電
極の仕事関数φMの関係を示すグラフ。
【図5】キャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導電
極の仕事関数φMの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 キャリア発生層 3 キャリア輸送層 4 感光層 4′ キャリア発生物質とキャリア輸送物質を含む感光
層 5 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ▲崎▼村 友子 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機電子輸送性物質をバインダー中に含
    んでなる電子輸送性のキャリア輸送層を有する電子写真
    感光体であって、キャリア輸送層単独の仕事関数を接触
    電位差測定で求めるにおいて、試料側導電極を変化させ
    て得られるキャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導
    電極の仕事関数φMとの関係を式(a)で直線近似した
    とき、φMの特定範囲においてα≦0.2となる領域が
    存在することを特徴とする電子写真感光体。 φCTL=α・φM+β (a) (式中のα、βは定数)
  2. 【請求項2】 有機電子輸送性物質をバインダー中に含
    んでなる電子輸送性のキャリア輸送層を有する電子写真
    感光体であって、キャリア輸送層単独の仕事関数を接触
    電位差測定で求めるにおいて、試料側導電極を変化させ
    て得られるキャリア輸送層の仕事関数φCTLと試料側導
    電極の仕事関数φMとの関係を式(a)で直線近似した
    とき、φMの特定範囲においてα≦0.2となるような
    キャリア輸送層と、その特定範囲に属する仕事関数φM
    の導電性支持体から構成されることを特徴とする電子写
    真感光体。 φCTL=α・φM+β (a) (式中のα、βは定数)
  3. 【請求項3】 キャリア発生層とキャリア輸送層が積層
    されて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電
    子写真感光体。
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