JPH1088303A - 合金の加工方法 - Google Patents
合金の加工方法Info
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- JPH1088303A JPH1088303A JP8247412A JP24741296A JPH1088303A JP H1088303 A JPH1088303 A JP H1088303A JP 8247412 A JP8247412 A JP 8247412A JP 24741296 A JP24741296 A JP 24741296A JP H1088303 A JPH1088303 A JP H1088303A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 溶融に伴い材料特性が変質しやすい合金の切
断加工や合金表面のコーティング層などの除去といった
加工を制度良く行い、従来熱エネルギー利用に伴う材料
の変質やミクロクラック発生のない加工が容易に行える
技術を提供することを目的とする。 【解決手段】強化合金1表面に形成された耐食コーティ
ング層2に、パルス幅100nsec以下、1パルス当
たりのピーク出力0.1〜10GW/cm2 波長700
nm以下のレーザービームを合金表面に照射すること
で、強化合金1に熱影響を及ぼすことなく耐食コーティ
ング層を除去することが可能となる。
断加工や合金表面のコーティング層などの除去といった
加工を制度良く行い、従来熱エネルギー利用に伴う材料
の変質やミクロクラック発生のない加工が容易に行える
技術を提供することを目的とする。 【解決手段】強化合金1表面に形成された耐食コーティ
ング層2に、パルス幅100nsec以下、1パルス当
たりのピーク出力0.1〜10GW/cm2 波長700
nm以下のレーザービームを合金表面に照射すること
で、強化合金1に熱影響を及ぼすことなく耐食コーティ
ング層を除去することが可能となる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合金の加工方法に
関する。
関する。
【0002】
【従来の技術】近年エネルギー機器システムの高温化、
高性能化に伴い、金属材料の使用環境も過酷になり金属
材料に求められる要求特性も厳しくなる傾向にある。そ
のためFe、NiまたはCoを主成分としAl、Cr、
耐火金属その他強化元素を多数含有する合金、さらには
Fe,NiまたはCoを主成分とし前記強化元素を含
み、微細酸化物を分散強化した分散強化型耐熱合金な
ど、高温で過酷な環境で使用可能な合金が開発されてき
た。これらの合金は、高温強度に富む優れた構造用材料
であるが、強化元素を極限近くまで含有するため、組成
の自由度が小さく加工性が悪いという問題がある。
高性能化に伴い、金属材料の使用環境も過酷になり金属
材料に求められる要求特性も厳しくなる傾向にある。そ
のためFe、NiまたはCoを主成分としAl、Cr、
耐火金属その他強化元素を多数含有する合金、さらには
Fe,NiまたはCoを主成分とし前記強化元素を含
み、微細酸化物を分散強化した分散強化型耐熱合金な
ど、高温で過酷な環境で使用可能な合金が開発されてき
た。これらの合金は、高温強度に富む優れた構造用材料
であるが、強化元素を極限近くまで含有するため、組成
の自由度が小さく加工性が悪いという問題がある。
【0003】一方、これらの強化元素を含有する合金の
用途として、ガスタービン高温翼などがある。ガスター
ビン翼は、高温強度と耐食性の両特性を高めるために、
高温強度の優れた超合金素材の表面に耐食性の優れた別
の合金をコーティングするといった工夫が為されてきて
おり、このような技術はすでに実用化され相当の実績が
あげられている。
用途として、ガスタービン高温翼などがある。ガスター
ビン翼は、高温強度と耐食性の両特性を高めるために、
高温強度の優れた超合金素材の表面に耐食性の優れた別
の合金をコーティングするといった工夫が為されてきて
おり、このような技術はすでに実用化され相当の実績が
あげられている。
【0004】これらの耐食コーティングにより、ガスタ
ービン高温翼などの使用時間の著しい長期化が可能とな
った。このような使用時間の長期化に伴い、超合金素材
の劣化にいたる前に定期的に劣化した耐食コーティング
を取り除き再度新しい耐食コーティングを施工し( リコ
ーティング) 、超合金素材を再利用することが行われて
いる。この方法により高価な素材をさらに長時間使用す
ることが可能となる。
ービン高温翼などの使用時間の著しい長期化が可能とな
った。このような使用時間の長期化に伴い、超合金素材
の劣化にいたる前に定期的に劣化した耐食コーティング
を取り除き再度新しい耐食コーティングを施工し( リコ
ーティング) 、超合金素材を再利用することが行われて
いる。この方法により高価な素材をさらに長時間使用す
ることが可能となる。
【0005】ところで耐食コーティングのリコーティン
グに際しては、残留する耐食コーティング層( 残留コー
ティング層) を除去する必要がある。リコーティング時
には耐食コーティングはかなりの部分で劣化して当初の
耐食性は失ったり、表面の損耗が進むものの完全に超合
金素材近傍まで劣化が進む前にリコーティングを行う必
要があるため、その時点で健全なコーティング層がまだ
多く残存している。この耐食性の富む層の除去に多くの
困難な点があった。
グに際しては、残留する耐食コーティング層( 残留コー
ティング層) を除去する必要がある。リコーティング時
には耐食コーティングはかなりの部分で劣化して当初の
耐食性は失ったり、表面の損耗が進むものの完全に超合
金素材近傍まで劣化が進む前にリコーティングを行う必
要があるため、その時点で健全なコーティング層がまだ
多く残存している。この耐食性の富む層の除去に多くの
困難な点があった。
【0006】具体的に説明すると、従来の除去方法とし
ては、例えばYAGやCO2 レーザを用いたレーザ加工
などがある。これらの方法は残存コーティング層を加熱
して、溶融・ 蒸発する加工方法であり、そのため超合金
素材表面に溶融層が生成し、変質して本来の材料強度が
低下したり、溶融後の再凝固に際してミクロクラックが
発生しやすいなどの問題があり実用化していない。
ては、例えばYAGやCO2 レーザを用いたレーザ加工
などがある。これらの方法は残存コーティング層を加熱
して、溶融・ 蒸発する加工方法であり、そのため超合金
素材表面に溶融層が生成し、変質して本来の材料強度が
低下したり、溶融後の再凝固に際してミクロクラックが
発生しやすいなどの問題があり実用化していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のリコーティング方法によれば、材料強度の低下、ミク
ロクラックの発生といった問題があった。本願発明はこ
のような問題に鑑みてなされたものであり、溶融層が形
成されることのないコーティング層の除去方法を提供す
ることを目的とする。
のリコーティング方法によれば、材料強度の低下、ミク
ロクラックの発生といった問題があった。本願発明はこ
のような問題に鑑みてなされたものであり、溶融層が形
成されることのないコーティング層の除去方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、パルス幅10
0nsec以下、1パルス当たりのピーク出力0.1〜
10GW/cm2 、波長700nm以下のレーザービー
ムを合金表面に照射することを特徴とする合金の加工方
法である。
0nsec以下、1パルス当たりのピーク出力0.1〜
10GW/cm2 、波長700nm以下のレーザービー
ムを合金表面に照射することを特徴とする合金の加工方
法である。
【0009】特に、強化金属上に耐食性金属を形成した
積層体に、パルス幅100nsec以下、1パルス当た
りのピーク出力0.1〜10GW/cm2 ,波長700
nm以下のレーザービームを照射し、前記耐食性金属を
除去するのに好適な合金の加工方法である。
積層体に、パルス幅100nsec以下、1パルス当た
りのピーク出力0.1〜10GW/cm2 ,波長700
nm以下のレーザービームを照射し、前記耐食性金属を
除去するのに好適な合金の加工方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用するレーザービーム
は、パルス幅100nsec以下、1パルス当たりのピ
ーク出力0.1〜10GW/cm2 、波長700nm以
下であり、このレーザービームを金属表面に照射する
と、材料表面の原子が瞬間的に溶融・ 蒸発しプラズマが
発生する。この現象はアブレージョンと呼ばれている。
発生したプラズマは大気あるいは水の慣性力により体積
膨張が抑制されるため極めて高圧になり、その結果金属
表面は塑性変形する。このレーザービームを繰り返し照
射することにより合金の切断、穿孔などの加工が容易に
為される。
は、パルス幅100nsec以下、1パルス当たりのピ
ーク出力0.1〜10GW/cm2 、波長700nm以
下であり、このレーザービームを金属表面に照射する
と、材料表面の原子が瞬間的に溶融・ 蒸発しプラズマが
発生する。この現象はアブレージョンと呼ばれている。
発生したプラズマは大気あるいは水の慣性力により体積
膨張が抑制されるため極めて高圧になり、その結果金属
表面は塑性変形する。このレーザービームを繰り返し照
射することにより合金の切断、穿孔などの加工が容易に
為される。
【0011】上述したように、本発明に係るレーザーを
使用した場合の加工エネルギーは主に塑性変形に因るも
のであり、溶融・蒸発ではないために、YAGやCO2
レーザーを使用した場合に生じるような金属表面に熱影
響部、溶融層は僅少でありほとんど生成されない。した
がって金属の特性を変質させることなく表面の残留コー
ティング層を除去することが可能となる。
使用した場合の加工エネルギーは主に塑性変形に因るも
のであり、溶融・蒸発ではないために、YAGやCO2
レーザーを使用した場合に生じるような金属表面に熱影
響部、溶融層は僅少でありほとんど生成されない。した
がって金属の特性を変質させることなく表面の残留コー
ティング層を除去することが可能となる。
【0012】また、主たる加工エネルギー源として熱を
使用しないため、熱衝撃や熱応力による破壊、剥離など
の加熱により生じるその他の問題も生じる恐れが少な
い。また、本発明のような強いパルスレーザーを用いた
アブレージョン加工により金属加工面に圧縮応力が残留
する。加工面に圧縮応力が残留していると、金属表面か
らの亀裂の発生を抑制できるため得られる金属材料自体
の信頼性を向上させることもできる。
使用しないため、熱衝撃や熱応力による破壊、剥離など
の加熱により生じるその他の問題も生じる恐れが少な
い。また、本発明のような強いパルスレーザーを用いた
アブレージョン加工により金属加工面に圧縮応力が残留
する。加工面に圧縮応力が残留していると、金属表面か
らの亀裂の発生を抑制できるため得られる金属材料自体
の信頼性を向上させることもできる。
【0013】本発明に係るレーザー波長は、700nm
以下であれば特に制限されずに使用することができる。
現状のレーザー技術では波長170nm以下で発進する
ことはできず、また、レーザー伝達等の手法で現在通常
使用されているものが光ファイバーであり、この光ファ
イバーを用いた伝達が不可能な波長として400nm以
上のレーザを用いればよい。レーザーの波長が700n
mを超える場合には加工物にエネルギーが吸収されるた
め、加工部でのエネルギーが低下するため加工効率が低
下するという問題が生じる恐れがある。特に可視波長の
レーザー光は水中での透過性が高いため水中加工に適し
ているという長所がある。
以下であれば特に制限されずに使用することができる。
現状のレーザー技術では波長170nm以下で発進する
ことはできず、また、レーザー伝達等の手法で現在通常
使用されているものが光ファイバーであり、この光ファ
イバーを用いた伝達が不可能な波長として400nm以
上のレーザを用いればよい。レーザーの波長が700n
mを超える場合には加工物にエネルギーが吸収されるた
め、加工部でのエネルギーが低下するため加工効率が低
下するという問題が生じる恐れがある。特に可視波長の
レーザー光は水中での透過性が高いため水中加工に適し
ているという長所がある。
【0014】またパルス幅を100nsec以下とした
理由は、これより大きいと合金材料に与える熱が大きく
なり、その結果材料の特性を変質させる恐れがあるため
である。ピーク出力を0.1GW/cm2 以上とする理
由は合金材料表面の原子を瞬間的に溶融・蒸発させるこ
とが困難になり、その結果、材料の切断、穿孔といった
加工ができなくなったり、加工に用いるエネルギーが主
に熱エネルギーとなり、材料特性を変質させる恐れがあ
るためである。また、前述のように金属加工面に圧縮応
力を残留させるためには、ピーク出力が大きい程よく、
例えば2GW/cm2 以上にすることが好ましいが、ピ
ーク出力が10GW/cm2 を超えると加工エネルギー
中の熱による割合が高くなり、合金材料を溶融しその特
性を低下させる恐れがある。また、水中で合金材料の加
工を施す場合においてピーク出力が10GW/cm2 を
超えると強い電界により水が電離しレーザービームの集
光が難しくなる恐れがあり、その結果加工効率や加工精
度が低下したり、さらには加工不可能となる恐れがあ
る。また、残留応力を高めるためには前述したようにレ
ーザー出力を高めることも有効であるが、さらにアブレ
ージョン加工で発生するプラズマの圧力を高めることが
有効である。具体的には水などの密度の高い媒体中に試
料を設置した状態で加工することでプラズマをより狭い
範囲内に閉じ込めることが可能になり、ひいては金属加
工部の局所に強い力をかけることが可能となる。
理由は、これより大きいと合金材料に与える熱が大きく
なり、その結果材料の特性を変質させる恐れがあるため
である。ピーク出力を0.1GW/cm2 以上とする理
由は合金材料表面の原子を瞬間的に溶融・蒸発させるこ
とが困難になり、その結果、材料の切断、穿孔といった
加工ができなくなったり、加工に用いるエネルギーが主
に熱エネルギーとなり、材料特性を変質させる恐れがあ
るためである。また、前述のように金属加工面に圧縮応
力を残留させるためには、ピーク出力が大きい程よく、
例えば2GW/cm2 以上にすることが好ましいが、ピ
ーク出力が10GW/cm2 を超えると加工エネルギー
中の熱による割合が高くなり、合金材料を溶融しその特
性を低下させる恐れがある。また、水中で合金材料の加
工を施す場合においてピーク出力が10GW/cm2 を
超えると強い電界により水が電離しレーザービームの集
光が難しくなる恐れがあり、その結果加工効率や加工精
度が低下したり、さらには加工不可能となる恐れがあ
る。また、残留応力を高めるためには前述したようにレ
ーザー出力を高めることも有効であるが、さらにアブレ
ージョン加工で発生するプラズマの圧力を高めることが
有効である。具体的には水などの密度の高い媒体中に試
料を設置した状態で加工することでプラズマをより狭い
範囲内に閉じ込めることが可能になり、ひいては金属加
工部の局所に強い力をかけることが可能となる。
【0015】金属材料の厚さによっても多少異なるが、
凝固層の厚さが100μmを超えると疲労寿命は約3割
低下すると考えられているが、本願発明に係るレーザー
を使用することでレーザ加工部の加工部位表面の溶融凝
固層は50μm以下に制御することが可能であり、また
残留応力によりクラックの発生のほとんどない加工材料
を得ることができる。
凝固層の厚さが100μmを超えると疲労寿命は約3割
低下すると考えられているが、本願発明に係るレーザー
を使用することでレーザ加工部の加工部位表面の溶融凝
固層は50μm以下に制御することが可能であり、また
残留応力によりクラックの発生のほとんどない加工材料
を得ることができる。
【0016】本発明に係る合金の種類は特に制限されな
いが、例えば高温強度を高めるために強化元素を多量に
含有するガスタービン翼等に使用される高音強化合金の
表面層の加工に適している。
いが、例えば高温強度を高めるために強化元素を多量に
含有するガスタービン翼等に使用される高音強化合金の
表面層の加工に適している。
【0017】すなわち、前記強化合金は一旦溶融すると
金属組成が変質したり、酸化物を均一に分散させた分散
型強化合金においては溶融により酸化物が凝集し、その
結果材料本来の強度を失うが、本願発明の加工方法では
極めて低い熱エネルギーで加工を行えるため、合金材料
の変質を防ぎ材料本来の機能を維持できる。
金属組成が変質したり、酸化物を均一に分散させた分散
型強化合金においては溶融により酸化物が凝集し、その
結果材料本来の強度を失うが、本願発明の加工方法では
極めて低い熱エネルギーで加工を行えるため、合金材料
の変質を防ぎ材料本来の機能を維持できる。
【0018】例えば、ガスタービン翼に使用される金属
材料は、強化合金表面に耐食コーティングが為されてお
り、このような積層体のコーティング層の除去に適して
いる。
材料は、強化合金表面に耐食コーティングが為されてお
り、このような積層体のコーティング層の除去に適して
いる。
【0019】通常、前記強化合金に使用される金属材料
としては、Fe,NiまたはCoを主成分とし、強化元
素としてAl、Cr、耐火金属等を含む多結晶合金、結
晶を制御した一方向凝固合金や単結晶合金が挙げられ
る。具体的にはハステロイ合金、またIN939合金、
IN738LC合金、MarM247合金などの普通鋳
造材及びCM247LC、CMSX2などの一方向凝固
合金及び単結晶合金など、またCoを主成分としたFS
X414合金などを、またNi基やFe基の酸化物( 酸
化アルミニウム、酸化イットリウムなど) 分散合金(O
DS)などが挙げられる。
としては、Fe,NiまたはCoを主成分とし、強化元
素としてAl、Cr、耐火金属等を含む多結晶合金、結
晶を制御した一方向凝固合金や単結晶合金が挙げられ
る。具体的にはハステロイ合金、またIN939合金、
IN738LC合金、MarM247合金などの普通鋳
造材及びCM247LC、CMSX2などの一方向凝固
合金及び単結晶合金など、またCoを主成分としたFS
X414合金などを、またNi基やFe基の酸化物( 酸
化アルミニウム、酸化イットリウムなど) 分散合金(O
DS)などが挙げられる。
【0020】前記コーティング層としては、Fe,Ni
またはCoを主成分とし、強化元素としてAl、Crや
希土類元素などを含む合金が使用される。ガスタービン
翼に使用される前述の積層体は、超高温下で長時間過酷
な条件で使用されるに耐えるほどの強度が必要である
が、前述のようにCO2 レーザー等を使用する場合と違
い、本願発明に係るレーザーで使用することで強化合金
表面近傍の溶融層やミクロクラックを発生させずにコー
ティング層を除去することが可能なため強化合金の強度
を維持したままリコーティングを行うことができる。
またはCoを主成分とし、強化元素としてAl、Crや
希土類元素などを含む合金が使用される。ガスタービン
翼に使用される前述の積層体は、超高温下で長時間過酷
な条件で使用されるに耐えるほどの強度が必要である
が、前述のようにCO2 レーザー等を使用する場合と違
い、本願発明に係るレーザーで使用することで強化合金
表面近傍の溶融層やミクロクラックを発生させずにコー
ティング層を除去することが可能なため強化合金の強度
を維持したままリコーティングを行うことができる。
【0021】また、前記コーティング層表面に耐熱性を
高めるためにセラミック層を形成した積層体をガスター
ビン翼の材料に使用することもあるが、このような3層
以上の積層体の表面層の除去にも、またセラミックのよ
うな金属材料以外の層の除去にも本発明の加工方法を使
用することもできる。
高めるためにセラミック層を形成した積層体をガスター
ビン翼の材料に使用することもあるが、このような3層
以上の積層体の表面層の除去にも、またセラミックのよ
うな金属材料以外の層の除去にも本発明の加工方法を使
用することもできる。
【0022】前述のように積層体の内1層、例えば強化
合金表面に形成されたコーティング層のみを除去するよ
うな場合、積層体の界面を挟んだ前後で、その材質の違
いにより、加工音などが変わるために、加工音の変化に
より除去工程を終了させることで、強化合金を変形(加
工)させることなくコーティング層のみを除去すること
が可能となる。
合金表面に形成されたコーティング層のみを除去するよ
うな場合、積層体の界面を挟んだ前後で、その材質の違
いにより、加工音などが変わるために、加工音の変化に
より除去工程を終了させることで、強化合金を変形(加
工)させることなくコーティング層のみを除去すること
が可能となる。
【0023】また、加工雰囲気は特に制限されないが、
例えば前述したように水中で加工を行えばプラズマの閉
じ込め効果による加工表面の残留応力が大きくなる点で
好ましい。
例えば前述したように水中で加工を行えばプラズマの閉
じ込め効果による加工表面の残留応力が大きくなる点で
好ましい。
【0024】しかしながら、水中で加工を行う場合、大
気中での加工時に比べレーザーの減衰が大きいためレー
ザー出力を高くしなければならない、あるいは加工時間
が長くなる等の特徴があるため、用途や材料に応じて大
気中、水中など適宜加工雰囲気を選択する、あるいは使
用するレーザーの波長を適宜調整することが好ましい。
気中での加工時に比べレーザーの減衰が大きいためレー
ザー出力を高くしなければならない、あるいは加工時間
が長くなる等の特徴があるため、用途や材料に応じて大
気中、水中など適宜加工雰囲気を選択する、あるいは使
用するレーザーの波長を適宜調整することが好ましい。
【0025】具体的に例示すれば、例えば波長511n
mの銅蒸気レーザーを用い、レーザー出力5〜80W程
度で加工する場合で、水中で加工する時にはパルス幅2
0〜50ns、空気中ではレーザー出力5〜30W程度
が好ましい。
mの銅蒸気レーザーを用い、レーザー出力5〜80W程
度で加工する場合で、水中で加工する時にはパルス幅2
0〜50ns、空気中ではレーザー出力5〜30W程度
が好ましい。
【0026】また加工材料によって大気に変えて、Ar
など不活性雰囲気中で加工することも可能である。この
ような不活性ガスは密度の高いものを使用することが望
ましい。
など不活性雰囲気中で加工することも可能である。この
ような不活性ガスは密度の高いものを使用することが望
ましい。
【0027】なお、ガスタービン高温部材および翼の加
工を行う場合、特に翼表面のコーティング層を除去する
場合、翼形状に合わせて周回して連続あるいは断続的に
加工する機能を有するレーザー加工装置を用いると効率
的で制度の高い良好な加工を行うことができる。
工を行う場合、特に翼表面のコーティング層を除去する
場合、翼形状に合わせて周回して連続あるいは断続的に
加工する機能を有するレーザー加工装置を用いると効率
的で制度の高い良好な加工を行うことができる。
【0028】以上述べたように、パルス幅が100ns
ec以下で波長170〜700nmのレーザービームを
1パルス当たりのピーク出力0.1〜10GW/cm2
の条件で照射して切断加工や穿孔加工などの合金の加工
やコーティング層の除去を行うことで溶融もほとんどな
く効率のよい合金加工が行えるものである。
ec以下で波長170〜700nmのレーザービームを
1パルス当たりのピーク出力0.1〜10GW/cm2
の条件で照射して切断加工や穿孔加工などの合金の加工
やコーティング層の除去を行うことで溶融もほとんどな
く効率のよい合金加工が行えるものである。
【0029】
実施例1 パルス幅が40nsec以下で波長511nmのレーザ
ービームを1パルス当たりのレーザ出力20W、ピーク
出力4GW/cm2 の移動速度0.01mm/secの
条件で、大気雰囲気下でそれぞれ厚さ3mmのNi基合
金(Co8.5 wt%、Cr16wt% 、Mo1.75wt% 、W2.
6wt%、Nb0.9wt%、Ti3.4wt%、Al3.4wt%、Fe0.5w
t%、Mn0.2wt%、Si0.3wt%、Ta1.75wt% 、残部N
i)、Ni基単結晶合金(Co4.6wt%、Cr8.1wt%、M
o0.6wt%、W8wt%、Ti1wt%、Al5.6wt%、Ta6wt%、
残部Ni)およびCo基合金(Ni10wt%、Cr29wt
% 、W7.5wt%、Fe1wt%、B0.01wt% 、残部Co)に照
射して一辺が3mm角のチップに切断実験を行った。切
断面の溶融層を測定すると、それぞれ5μm、3μm、
3μmであった。
ービームを1パルス当たりのレーザ出力20W、ピーク
出力4GW/cm2 の移動速度0.01mm/secの
条件で、大気雰囲気下でそれぞれ厚さ3mmのNi基合
金(Co8.5 wt%、Cr16wt% 、Mo1.75wt% 、W2.
6wt%、Nb0.9wt%、Ti3.4wt%、Al3.4wt%、Fe0.5w
t%、Mn0.2wt%、Si0.3wt%、Ta1.75wt% 、残部N
i)、Ni基単結晶合金(Co4.6wt%、Cr8.1wt%、M
o0.6wt%、W8wt%、Ti1wt%、Al5.6wt%、Ta6wt%、
残部Ni)およびCo基合金(Ni10wt%、Cr29wt
% 、W7.5wt%、Fe1wt%、B0.01wt% 、残部Co)に照
射して一辺が3mm角のチップに切断実験を行った。切
断面の溶融層を測定すると、それぞれ5μm、3μm、
3μmであった。
【0030】実施例2 次に加工雰囲気を水中に変え、パルス幅40ns、レー
ザー出力50W、ピーク出力10GW/cm2 としたこ
とを除けば実施例1と全く同様の実施例を行った。切断
面の溶融層を測定すると、それぞれ7、5、6であっ
た。
ザー出力50W、ピーク出力10GW/cm2 としたこ
とを除けば実施例1と全く同様の実施例を行った。切断
面の溶融層を測定すると、それぞれ7、5、6であっ
た。
【0031】比較例1 レーザービームをYAGレーザー( レーザー出力24J
/P、ピーク出力20kW、パルス幅1.2ms) に換
えたことを除けば実施例1と同様にして試料の切断を行
った。切断面を測定すると、それぞれ70μm、50μ
m、60μmであった。
/P、ピーク出力20kW、パルス幅1.2ms) に換
えたことを除けば実施例1と同様にして試料の切断を行
った。切断面を測定すると、それぞれ70μm、50μ
m、60μmであった。
【0032】次に、X線応力測定法を用いて実施例1、
2および比較例1のそれぞれの切断されたNi基合金試
料の残留応力を測定したところ、実施例1では約−10
0MPa、実施例2では約−500MPaであり、比較
例1では圧縮応力は全く観察されなかった。このことか
ら本発明の加工方法によれば、従来のCO2 レーザーを
使用した加工方法では圧縮応力が生じないのに対し、圧
縮応力の残存することが分かり、加工雰囲気を水中とし
た時にその現象が特に顕著であることが分かる。
2および比較例1のそれぞれの切断されたNi基合金試
料の残留応力を測定したところ、実施例1では約−10
0MPa、実施例2では約−500MPaであり、比較
例1では圧縮応力は全く観察されなかった。このことか
ら本発明の加工方法によれば、従来のCO2 レーザーを
使用した加工方法では圧縮応力が生じないのに対し、圧
縮応力の残存することが分かり、加工雰囲気を水中とし
た時にその現象が特に顕著であることが分かる。
【0033】さらに、それぞれの切断されたNi基合金
試料の強度を測定したが、実施例1および2の試料は加
工前の試料と比べ数%程度の低下に抑えることができた
が、比較例1の試料は30%程度低下しており、合金の
特性を著しく低下させていた。この原因は凝固層の厚さ
に起因するものと思われるが、この結果から、特に強度
が要求される合金材料の加工に本発明の加工方法が優れ
ていることが分かる。
試料の強度を測定したが、実施例1および2の試料は加
工前の試料と比べ数%程度の低下に抑えることができた
が、比較例1の試料は30%程度低下しており、合金の
特性を著しく低下させていた。この原因は凝固層の厚さ
に起因するものと思われるが、この結果から、特に強度
が要求される合金材料の加工に本発明の加工方法が優れ
ていることが分かる。
【0034】実施例3 本実施例では、強化合金表面にコーティング層を有する
積層体から、コーティング層の除去を行った。 図1は、この積層体の縦断面図である。
積層体から、コーティング層の除去を行った。 図1は、この積層体の縦断面図である。
【0035】強化合金1として厚さ3mmの実施例1と
同じNi基合金、別のNi基合金(Co9.9wt%、Cr8.
3wt%、Mo0.7wt%、W9.9wt%、Ti0.99wt% 、Al5.5w
t%、Hf1.5 、Ta3.1wt%、残部Ni)と、一方向凝固
合金であるさらに別のNi基合金( Co9.3wt% 、C
r8.1wt% 、Mo0.5wt% 、W9.5wt% 、Ti0.8wt%
、Al5.5wt%、Hf1.5 、Ta3wt%、残部Ni)を使
用し、各種の強化合金にそれぞれ厚さ100μmのNi
CoCrAlY合金およびCoNiCrAlY合金から
なる耐食コーティング層2をプラズマ溶射法で形成した
積層体を用意した。 その後実施例1と同様の条件でレーザー加工を行った。
なお、表面コーティングの除去に際してはレーザの移動
速度を1.0mmsecに上げた。
同じNi基合金、別のNi基合金(Co9.9wt%、Cr8.
3wt%、Mo0.7wt%、W9.9wt%、Ti0.99wt% 、Al5.5w
t%、Hf1.5 、Ta3.1wt%、残部Ni)と、一方向凝固
合金であるさらに別のNi基合金( Co9.3wt% 、C
r8.1wt% 、Mo0.5wt% 、W9.5wt% 、Ti0.8wt%
、Al5.5wt%、Hf1.5 、Ta3wt%、残部Ni)を使
用し、各種の強化合金にそれぞれ厚さ100μmのNi
CoCrAlY合金およびCoNiCrAlY合金から
なる耐食コーティング層2をプラズマ溶射法で形成した
積層体を用意した。 その後実施例1と同様の条件でレーザー加工を行った。
なお、表面コーティングの除去に際してはレーザの移動
速度を1.0mmsecに上げた。
【0036】本実施例では、いずれの試料にもレーザ照
射面に熱溶融層は観測されなかった。また基材のコーテ
ィング層との界面で、熱影響部(熱によって生じる組織
変化した部分)の表面層は10μm以下で僅少であっ
た。
射面に熱溶融層は観測されなかった。また基材のコーテ
ィング層との界面で、熱影響部(熱によって生じる組織
変化した部分)の表面層は10μm以下で僅少であっ
た。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、溶
融に伴い材料特性が変質しやすい合金の切断加工や合金
表面のコーティング層などの除去といった加工を制度良
く行い、従来熱エネルギー利用に伴う材料の変質やミク
ロクラック発生のない加工が容易に行える技術を提供す
ることができる。
融に伴い材料特性が変質しやすい合金の切断加工や合金
表面のコーティング層などの除去といった加工を制度良
く行い、従来熱エネルギー利用に伴う材料の変質やミク
ロクラック発生のない加工が容易に行える技術を提供す
ることができる。
【図1】 強化合金表面に耐食コーティング層を有する
積層体の縦断面図である。
積層体の縦断面図である。
1・・・強化合金 2・・・耐食コーティング層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹田 博光 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 近藤 浩一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内
Claims (2)
- 【請求項1】パルス幅100nsec以下、1パルス当
たりのピーク出力0.1〜10GW/cm2 、波長70
0nm以下のレーザービームを合金表面に照射すること
を特徴とする合金の加工方法。 - 【請求項2】強化金属上に耐食性金属を形成した積層体
に、パルス幅100nsec以下、1パルス当たりのピ
ーク出力0.1〜10GW/cm2 、波長700nm以
下のレーザービームを照射し、前記耐食性金属を除去す
ることを特徴とする合金の加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8247412A JPH1088303A (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 合金の加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8247412A JPH1088303A (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 合金の加工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1088303A true JPH1088303A (ja) | 1998-04-07 |
Family
ID=17163058
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8247412A Pending JPH1088303A (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 合金の加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1088303A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014119421A1 (ja) * | 2013-01-29 | 2014-08-07 | 株式会社日立製作所 | ナノピラー及びその形成方法並びに当該ナノピラーを用いた接合材料、電池、炭酸ガス回収・貯留装置及び電力変換機器用モジュール |
JP2014519569A (ja) * | 2011-05-02 | 2014-08-14 | スネクマ | パルスレーザを用いてターボシャフトエンジンブレードを洗浄し剥離するための方法 |
-
1996
- 1996-09-19 JP JP8247412A patent/JPH1088303A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014519569A (ja) * | 2011-05-02 | 2014-08-14 | スネクマ | パルスレーザを用いてターボシャフトエンジンブレードを洗浄し剥離するための方法 |
WO2014119421A1 (ja) * | 2013-01-29 | 2014-08-07 | 株式会社日立製作所 | ナノピラー及びその形成方法並びに当該ナノピラーを用いた接合材料、電池、炭酸ガス回収・貯留装置及び電力変換機器用モジュール |
JP2014145105A (ja) * | 2013-01-29 | 2014-08-14 | Hitachi Ltd | ナノピラー及びその形成方法並びに当該ナノピラーを用いた接合材料、電池、炭酸ガス回収・貯留装置及び電力変換機器用モジュール |
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