JPH1087673A - フッ素イオン定量試薬及びフッ素イオン定量分析方法 - Google Patents

フッ素イオン定量試薬及びフッ素イオン定量分析方法

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JPH1087673A
JPH1087673A JP8243728A JP24372896A JPH1087673A JP H1087673 A JPH1087673 A JP H1087673A JP 8243728 A JP8243728 A JP 8243728A JP 24372896 A JP24372896 A JP 24372896A JP H1087673 A JPH1087673 A JP H1087673A
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fluorine ion
compound
trans
reagent
cis
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Hirobumi Shiono
博文 塩野
Chika Utsuyama
千佳 宇津山
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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BUNSHI BIO PHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規フッ素イオンの定量試薬、及び定量方法
を提供する。 【解決手段】 本発明に係る新規フッ素イオン検出用化
合物はその分子中に、フッ素イオンとのみ選択的に反応
するSi−OR 結合を有し、分子内で適当な脱離基と
の置換閉環反応を経て、発蛍光性物質に変換される構造
を有する。変換された発蛍光性物質の蛍光を測定するこ
とにより、試料中のフッ素イオンの濃度を定量する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なフッ素イオン
定量試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素イオン(F-)の分析方法は、い
くつか知られている。例えば、ランタン-アリザリンコ
ンプレックス吸光光度法(日本規格協会編:JIS ハンド
ブック10、917〜921頁、日本規格協会、東京(1992))、
イオンクロマトグラフ法(日本薬学会編:衛生試験法・
注解、11〜15頁、金原出版株式会社、東京(1990))、イ
オン選択電極法(特公昭55-26417)等である。しかし、
大気環境、または水質環境試料中におけるフッ素イオン
の濃度は、水質汚濁防止法では、15ppm以下であり、
水道法施行令では0.8ppm以下と規定され、さらに高
感度の分析方法の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は上記の要望
に鑑み、より高感度のフッ素イオンの定量分析方法を開
発するべく鋭意研究し、試料中のフッ素イオンとのみ選
択的に反応し定量的に発蛍光性の化合物を与える新規な
フッ素イオン検出用化合物を見出すことに成功し、本発
明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係る
新規フッ素イオン検出用化合物はその分子中に、Si−
O結合を有するものである。すなわち、フッ素イオンと
本発明に係る新規フッ素イオン検出用化合物とは高選択
的に反応し、さらに分子内で適当な脱離基との置換閉環
反応を経て、発蛍光性物質に変換される構造を有するも
のである。
【0005】さらに、本発明に係る新規フッ素イオン検
出用化合物から変換される発蛍光性物質は、クマリン骨
格を有するものである。すなわち、本発明に係る新規フ
ッ素イオン検出用化合物は、試料中のフッ素イオンと高
選択的に反応し、クマリン骨格を有する発蛍光性物質に
変換されるものである。従って、フッ素イオンの存在で
生じるクマリン骨格を有する発蛍光性物質(以下「クマ
リン体」という。)の蛍光を測定することにより、試料
中のフッ素イオンの濃度を高感度で定量することができ
るものである。
【0006】すなわち、本発明は、次式で表される構造
を有する、新規フッ素イオン定量試薬を提供するもので
ある。
【0007】
【化1】 (ここで、R1は、H又はOCH3を表し、R2、R3は、
H又はCH3を表し、R4,R5,R6は、CH3、または
C(CH33を表し、Xは、H、OCH3、又はOC2
5を表す。)
【0008】さらに、本発明は、次式で表される、上記
の新規フッ素イオン定量試薬であって、R1、R2、R3
がHであり、R4、R5がCH3であり、R6がC(C
33であり、かつXがOC25である新規フッ素イオ
ン定量試薬を提供するものである。
【0009】また、本発明は、次式で表される構造を有
する、新規フッ素イオン定量試薬を用いることを特徴と
するフッ素イオン定量分析方法を提供するものである。
【0010】
【化1】 (ここで、R1は、H又はOCH3を表し、R2、R3は、
H又はCH3を表し、R4,R5,R6は、CH3、または
C(CH33を表し、Xは、H、OCH3、又はOC2
5を表す。)
【0011】
【発明の実施の形態】図1に示すように、本発明に係る
新規フッ素イオン検出用化合物の特徴は、分子中に、フ
ッ素イオンとのみ選択的に反応するSi−OR 結合を
有し、さらに前記反応に基づき分子内で適当な脱離基と
の閉環置換反応を経て、発蛍光性物質に変換される構造
を有するものである。
【0012】ここで、フッ素イオンとSi−O結合が反
応し反応中にフェノール性のO-(フェノレートイオ
ン)が生じると推定される(図1中では、トランス中間
体、シス中間体として表わされている)。さらに、生成
するフェノレートイオンが6員環を形成する位置にある
カルボニル炭素を攻撃し、脱離基(-X)と閉環置換反
応を起こし、結果として、クマリン骨格を形成する(ク
マリン体の形成)ものである。
【0013】本発明に係るフッ素イオン検出用化合物の
母体構造は上記反応性を有するものであれば特に制限は
ないが、蛍光波長の選択、保存安定性等の観点から、ナ
フタレン骨格等の芳香族性の母体骨格が好ましい。ま
た、ナフタレン骨格に導入される置換基(R1)も特に
制限されないが、電子供与性の置換基は、得られるクマ
リン誘導体の光吸収または蛍光特性を向上させることか
ら好ましい。例えば、アルキル基、アルコキシ基等であ
り、具体的にはCH3、またはOCH3が好ましい。
【0014】また、置換基R2についても特に制限はな
いが、合成の容易性や保存安定性等を考慮して種々の置
換基を導入することは可能である。具体的にはH,また
はCH3が好ましい。
【0015】さらには、置換基R3についても特に制限
はない。生成物の保存安定性、以下に説明するシス−ト
ランス異性の容易性等からHまたはアルキル基であるこ
とが好ましい。
【0016】さらには、脱離基Xについても、X-とし
て脱離反応が可能なものであればよい。例えば、OR
(Rはアルキル基)、又はOH(酸として)が好まし
い。
【0017】またシリル基の置換基R4、R5、R6につ
いても特に制限はないが、フッ素イオンとの反応性、溶
液中での安定性、保存安定性等からは、R4、R5、R6
がCH3基のもの、またはR4、R5、がCH3基でR6
C(CH33基のものが好ましい。
【0018】本発明において、特に好ましいものとし
て、R1、R2、R3がHであり、R4、R5がCH3であ
り、R6がC(CH33であり、かつXがOC25のも
のである。
【0019】図1で示されるように、本発明に係るフッ
素イオン検出用化合物はシス体(VIII)−トランス体(V)
の異性化が生じ得る。さらに、それぞれの異性体にフッ
素イオンが反応し、それぞれトランス中間体、シス中間
体を生成すると推定されるが、シス中間体のみクマリン
骨格((VI)を形成可能であり、トランス中間体はクマリ
ン骨格を形成できない。一方上記のシス、トランス中間
体についても光熱異性化平衡があり、トランス中間体は
シス中間体へ異性化するとさらにクマリン骨格を形成す
る分子内閉環置換反応が進行する。従って、すべてのト
ランス体もフッ素イオンと反応することとなる。
【0020】(合成方法)本発明に係るフッ素イオン検
出用試薬の合成方法については特に限定されない。通常
公知の有機合成法が使用可能である。本発明においては
特に、図2に1例として示されているがWittig反応に基
づく経路が好ましい。2−ナフトール誘導体(I)の1−
位のケトンまたはアルデヒド基に対しWittig反応により
2重結合基を導入する方法である。この反応で、Wittig
反応により、種々の置換基(R1、R2)を導入すること
が可能である。Wittig試薬として種々の試薬(II)を使用
することで種々の置換基R3及びXを導入することが可
能となる。Wittig反応の条件は特に制限はないが、通常
公知の条件(実験化学講座19有機合成I(第4版)炭
化水素・ハロゲン化物(日本化学会編・丸善、57ペー
ジ、1992年参照)を好ましく使用可能である。
【0021】反応生成物はトランス体(III)及びシス体
(IV)の混合物であるが、シス体は直ちに分子内閉環反応
してクマリン体(VI)を生じる。トランス体(III)のみ単
離するには、公知の分離方法が使用可能であるが、カラ
ムクロマトグラフ法(例えば、カラム担体としてアミノ
プロピル化シリカゲル、溶媒としてヘキサン/酢酸エチ
ルまたはクロロホルム/メタノール系)等でトランス体
を95%以上の純度で単離可能である。さらに、必要な
らば、再結晶法等で純度99.5%以上に精製すること
も可能である。トランス体の構造確認は、通常の手段、
吸収スペクトル法、赤外吸収スペクトル法(IR)、核
磁気共鳴吸収スペクトル法(NMR)、質量分析法(M
S)等を組合せて可能である。具体的には、ナフタリン
骨格の存在は、吸収スペクトルでナフタリンの特有吸収
帯(有機化合物のスペクトルによる同定法第4版298
ページ、シルバーシュタイン等著、東京化学同人、19
83年参照)で確認可能である。2重結合生成は、シン
ナメートグループ特有のIRスペクトル(例えば161
0、1680cmー1付近)、NMRスペクトル(例えば
2重結合性の炭素、カルボニル炭素等)により確認可能
である。さらに、MSにより、親ピークの存在、または
特徴的フラグメントピークの確認により行うことも可能
である。
【0022】クマリン体(VI)の構造確認についても上記
の一般的構造確認手法が使用できるが、クマリン骨格に
特有の強い蛍光の存在(本発明に係るナフチル骨格のも
のでは420nm付近)も確認手段となる。クマリン体
(VI)は、カラムクロマトグラフにて分離した後、さらに
エタノール(またはヘキサン/酢酸エチル)から再結晶
することにより、純度99.5%以上の精製品とするこ
とができる。クマリン体(VI)は、本発明に係るフッ素イ
オン定量試薬によるフッ素イオンの定量の際の標準物質
として、蛍光強度のキャリブレーション用に使用可能で
ある。
【0023】得られたトランス体(III)のフェノール性
OH基をトリアルキルシリル化する反応条件は特に制限
されない。通常のシリル化条件(Protective Group in
Organic Synyhesis 2nd ed., by T.W.Greene, P.G.M.Wu
ts, John Wiley&Sons,Inc.,1991, page 161参照)を使
用可能である。具体的には塩化シリル誘導体(VII)を反
応させることが好ましい。反応生成物の構造確認は、I
RでOH特性吸収が消失すること、NMRでトリアルキ
ル基の存在を確認する等で可能である。
【0024】得られたトランス体シリル化物(V)を、光
照射により対応するシス体のシリル化物(VIII)に異性化
する条件については特に制限はない。通常のシス−トラ
ンス光異性化反応の条件を使用可能である。具体的に
は、15W水銀放電管(365nm)を用いて、10分
間照射することで、定量的にシス体へ異性化させること
が可能である。シス体の構造確認は、上記構造確認手段
を用いて可能である。特に置換基R2,R3のNMRにお
いてそれぞれの特徴的なスペクトルを示し確認に用いる
ことが可能である。シス体は、無光条件下では安定であ
るが、通常の蛍光灯照明下で、室温(25〜30℃)で
徐々にシス体−トランス体の平衡混合物となる(図
1)。
【0025】(シス体−トランス体の平衡)本発明に係
るフッ素イオン定量試薬は、有する2重結合について、
光及び熱による異性化反応が進行する。通常の室内蛍光
灯の存在下で平衡に達する(図1参照)。この平衡は、
通常のHPLCによりそれぞれの保持時間において異な
り区別可能であり、さらに、混合物のNMRスペクトル
においても特徴的なシグナルが区別して観測される。
【0026】(フッ素イオン定量方法)本発明に係るフ
ッ素イオン定量試薬は、図1に示されるようにシス体と
フッ素イオンとの反応に基づくものであり、従って、ト
ランス体は不活性である。一方光照射条件下ではシス−
トランス異性化を伴うので、この条件下で行う場合に
は、トランス体もシス異性化を経てフッ素イオンと反応
し、最終的には、すべてのトランス体もフッ素イオンに
活性となる。
【0027】従って、本発明でフッ素イオン定量試薬と
しては、シス体、トランス体ともに使用可能であり、そ
れらの混合物も使用可能である。
【0028】本発明者の知見によれば、通常の蛍光灯照
明条件下で、シス体−トランス体混合物(約1:1)の
アルコール溶液(1.01×10-3mol/l)を用いて水溶性の
フッ素イオン含有試料の定量(2ppm程度の濃度)す
る場合、上記の光異性化は充分速く進行し、実質的にす
べてのシス体及びトランス体と定量的に反応する。
【0029】測定条件については、特に制限はないが以
下の手順で行うことが好ましい。
【0030】すなわち、フッ素イオン含有試料(水溶
液)中に過剰量の本発明に係るフッ素イオン定量試薬の
エタノール溶液を加え、撹拌しながら、蛍光灯の照明下
で、反応溶液の蛍光スペクトルの蛍光強度(クマリン体
に基づく)が一定になるまで反応させる。あらじめ、ク
マリン体標準品で作成した検量線に基づいて、試料溶液
中のクマリン体の濃度を計算し、1:1に反応したフッ
素イオン濃度を求める。
【0031】この際、反応時間を短縮するために、溶液
を加熱することが好ましく、具体的には約40〜80℃
の恒温水槽中で反応させることが好ましい。
【0032】
【実施例】以下実施例に基づき本発明を具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に
限定されるものではない。
【0033】また、各化合物の単離、精製、分析は次の
HPLC条件にて行った。
【0034】カラム:CAPCELL PAC C18
(資生堂社製)(TypeAG120Å5μm、siz
e;4.6mmφ×150mm) 移動相:0〜15分、アセトニトリル/H2O=50/
50から90/10へ直線濃度勾配 15〜22分、アセトニトリル/H2O=90/10 22分以後、アセトニトリル/H2O=50/50 検出器:UV(350nm)3−(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)−プロペン酸エ
チルの合成 2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド(東京化成工業
(株)製)29.27g(0.17mol)とカルボキ
シメチリデン−トリフェニルホスホラン(アルドリッチ
社製)60g(0.17mol)とをベンゼン(360
ml)、窒素雰囲気下、0℃にて18時間、暗室中で反
応させた。減圧濃縮にて溶媒を除き、シリカゲルカラム
クロマト(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)
にて粗生成物を40.7g得た。さらに、精製するため
に、アミノプロピオネート−シリカゲルを用いてカラム
クロマトグラフ(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2
/1、その後クロロホルム/メタノール=10/1)を
行い、目的化合物が33.8g得られた(収率82
%)。1H−NMR(図3参照、CDCl3、δpp
m):8.52〜6.57(m、8H、ナフチル芳香
族、2重結合)、4.35(q、2H、エチル基メチレ
ン)、1.40(t、3H、エチル基メチル)。TOF
−MS:256.1(M/C)。HPLC保持時間、
7.1分。
【0035】3−(2−t-ブチルジメチルシロキシ−
1−ナフチル)−プロペン酸エチルの合成トランス体 3−(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)−プロペン酸エ
チル20.0g(0.82.5mol)と、t−ブチル
ジメチルシリルクロリド(東京化成工業社製)13.5
g(0.90mol)とをトリエチルアミン(和光純薬
工業社製)15.0g(0.15mol)と4−ジメチ
ルアミノピリジン(和光純薬工業社製)0.5g共存
下、ジクロロメタン(200ml)中、室温にて4時間
反応させた。減圧濃縮にて溶媒を除去後、酢酸エチルに
て有機成分を抽出し、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液
にて酢酸エチル層を洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加
えて1夜放置した。酢酸エチルを減圧濃縮にて除いた
後、シリカゲルカラムクロマト(展開溶媒:ヘキサン/
酢酸エチル=10/1)にて目的物が28.2g得られ
た(収率95%)。この方法では主生成物はトランス体
となる。HPLC保持時間、19.8分。
【0036】1H−NMR(図4参照、CDCl3、δp
pm):8.26〜6.55(m、8H、ナフチル芳香
族、2重結合)、4.30(q、2H、エチル基メチレ
ン)、1.35(t、3H、エチル基メチル)、1.0
2(s、9H、Si−tブチル)、0.20(s、6
H、Si−メチル)。TOF−MS:356.1(M/
C)。
【0037】吸収スペクトル(図5参照):吸収極大、
320、350nm。
【0038】シス体 上記トランス体のアセトニトリル溶液を、蛍光灯下で保
持した後カラムクロマトグラフにて単離した。HPLC
保持時間18.5分。
【0039】1H−NMR(図6参照、CDCl3、δp
pm):7.76〜6.25(m、8H、ナフチル芳香
族、2重結合)、3.85(q、2H、エチル基メチレ
ン)、0.792(t、3H、エチル基メチル)、0.
992(s、9H、Si−tブチル)、0.19(s、
6H、Si−メチル)。TOF−MS:356.1(M
/C)。
【0040】トランス体の光照射による変化をNMRに
より測定したものを図7に示す。照射によりトランス体
に帰属されるピークがシス体に帰属されるピークへ変化
することが示される。
【0041】フッ素イオンとの反応 上で得られたトランス体とフッ素イオンとの反応を暗条
件下で行い、HPLCで分析した。トランス体が減少
し、トランス中間体(ナフトール誘導体)のピークが増
加した。クマリン体のピークは全く観測されなかった。
【0042】上で得られたシス体とフッ素イオンとの反
応を暗条件下で行い、HPLCで分析した。シス体が減
少し、クマリン体のピークが増加した。
【0043】クマリン体 実施例で生成するクマリン体のHPLCでの保持時間
は、5.8分である。吸収スペクトル、蛍光スペクトル
はそれぞれ図8と9に示されている。さらに、1H−N
MR(図10参照、CDCl3、δppm):8.39
〜6.48にクマリン環およびナフチル芳香族のシグナ
ルが観察された。TOF−MS:〜(M/C)。
【0044】フッ素イオンの定量 試薬;1.01×103 mol/l(エタノール) NaF水溶液;8.1×10-4mol/l 10mm×40mm×3mmの石英セル中で、以上の2
溶液と水を下記の割合で混合し、365nm(水銀ランプ、3
800μW/cm2、10分間)の光を(2280mJ/cm2)照射した
後、蛍光強度測定を行った。この結果を図示したものが
図11であり、良好な直線性を示す。
【0045】 =================================== M-63(μl) NaF(μl) 水(μl) NaF濃度(mol/l) 蛍光強度 500 500 0 4.05×10-4 2256.2 500 250 250 2.025×10-4 1126.1 500 125 375 1.0125×10-4 580.39 ブランク 79.993 =================================== さらに、クマリン体の蛍光強度による検量線を図12に
示す。得られた検量線から、本発明に係る定量方法で
は、μM程度までは充分測定可能であることを示すもの
である。これはアリザニンコンプレックス法に比較して
少なくとも10倍以上は高い感度であることを示す。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、より高
感度のフッ素イオンの定量分析方法を開発するべく鋭意
研究した結果、試料中のフッ素イオンとのみ選択的に反
応し定量的に発蛍光性の化合物を与える新規なフッ素イ
オン検出用化合物を見出すことに成功した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフッ素イオン検出試薬のシス−ト
ランス光熱異性化平衡と、シス体がフッ素イオンと反応
した、クマリン体を形成する機構を示す図である。
【図2】本発明に係るフッ素イオン検出試薬の好ましい
合成経路の1つを示す図である。
【図3】トランス中間体の1H−NMRを示す図であ
る。
【図4】トランス体の1H−NMRを示す図である。
【図5】トランス体の吸収スペクトル(濃度、1.01×10
-4mol/l)を示す図である。
【図6】シスの1H−NMRを示す図である。
【図7】トランス体の光照射によるシス体への変化を示
す1H−NMRの図である。
【図8】クマリン体の吸収スペクトル(濃度、1.25×10
-4mol/l)を示す図である。
【図9】クマリン体の蛍光スペクトル(濃度、1.25×10
-4mol/l、励起波長348nm)を示す図である。
【図10】クマリン体の1H−NMRを示す図である。
【図11】本発明に係るフッ素イオン検出試薬を使用し
た蛍光法によるフッ素イオンの定量分析結果を示す図で
ある。
【図12】本発明に係るフッ素イオン検出試薬を使用し
たフッ素イオンの定量分析に使用するクマリン体標準品
による検量線を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式で表される構造を有する、新規フッ
    素イオン定量試薬。 【化1】 (ここで、R1は、H又はOCH3を表し、R2、R3は、
    H又はCH3を表し、R4,R5,R6は、CH3、または
    C(CH33を表し、Xは、H、OCH3、又はOC2
    5を表す。)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の新規フッ素イオン定量
    試薬であって、R1、R2、R3がHであり、R4、R5
    CH3であり、R6がC(CH33であり、かつXがOC
    25である新規フッ素イオン定量試薬。
  3. 【請求項3】 次式で表される構造を有する、新規フッ
    素イオン定量試薬を用いることを特徴とするフッ素イオ
    ン定量分析方法。 【化1】 (ここで、R1は、H又はOCH3を表し、R2、R3は、
    H又はCH3を表し、R4,R5,R6は、CH3、または
    C(CH33を表し、Xは、H、OCH3、又はOC2
    5を表す。)
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020175442A1 (ja) * 2019-02-25 2020-09-03 国立大学法人信州大学 フッ素イオン濃度の測定方法、フッ素イオン濃度測定装置、フッ素イオン濃度検出材料の製造方法及びフッ素イオン濃度検出材料

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WO2020175442A1 (ja) * 2019-02-25 2020-09-03 国立大学法人信州大学 フッ素イオン濃度の測定方法、フッ素イオン濃度測定装置、フッ素イオン濃度検出材料の製造方法及びフッ素イオン濃度検出材料
JPWO2020175442A1 (ja) * 2019-02-25 2021-11-11 国立大学法人信州大学 フッ素イオン濃度の測定方法、フッ素イオン濃度測定装置、フッ素イオン濃度検出材料の製造方法及びフッ素イオン濃度検出材料

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