JPH108574A - 木造建築物の接合構造 - Google Patents

木造建築物の接合構造

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JPH108574A
JPH108574A JP15835996A JP15835996A JPH108574A JP H108574 A JPH108574 A JP H108574A JP 15835996 A JP15835996 A JP 15835996A JP 15835996 A JP15835996 A JP 15835996A JP H108574 A JPH108574 A JP H108574A
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JP15835996A
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Haruo Sakayori
晴夫 坂寄
Tsunehito Suda
常仁 須田
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M EE T KOUZOU SEKKEI KK
Original Assignee
M EE T KOUZOU SEKKEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スリットにて分割された柱頭部分又は柱脚部
分を構成する木材の割裂、変形又は剪断等を確実に防止
し得る木造建築物の接合構造を提供する。 【解決手段】 柱Cの柱頭部C1及び梁Bの端部B1を相互
接合する接合構造は、柱頭部C1の各側面に形成された複
数のスリット及びリブ挿入溝と、柱頭部C1の上端面に刻
設された円形の拘束部材挿入溝と、各スリット及びリブ
挿入溝に挿入される複数の継手金物10と、拘束部材挿
入溝22に挿入される円筒形の拘束部材30とを備え
る。支承ボルト7が梁端部のボルト孔4に挿入され、締
結される。支承ボルト7は、柱頭部C1に対する梁端部の
落込みにより、継手金物の顎掛け溝に係止される。ドリ
フトピン6がピン孔3内に打込まれ、梁端部は、継手金
物に固定される。拘束部材は、各継手金物同士を相互連
結し、各継手金物を拘束するとともに、柱頭部に対して
柱芯の径方向に生じ得る各継手金物の相対変位を禁止又
は制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木造建築物の接合
構造に関するものであり、より詳細には、木造建築物に
おける柱頭部又は柱脚部の継手部分、仕口部分又は横架
材接合部分の強度、耐力又は構造的安定性を改良し得る
比較的簡単な構成の木材接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】木構造建築物又は木構造工作物(以下、
単に「木造建築物」という)は一般に、柱、梁、筋交い
及び土台等の構造部材を相互連結又は相互係止してなる
骨組又は軸組構造体を備える。間柱、大引、根太、床板
及び野地板等の内外装下地構成要素が、上記軸組構造体
に固定又は係止され、内外装仕上部材等が、これらの下
地構成要素に取付けられる。この種の木造建築物におい
ては、木材同士の相互接合、相互連結又は相互係止(以
下、単に「相互接合」という)の型式、態様又は構法の
適否が、建築物全体の構造上の剛性、耐力、靱性、耐震
強度、或いは、耐圧強度等に大きく影響する。このた
め、軸組構成部材同士の相互接合構造における構造特性
を改良し得る新規且つ有用な接着法ないし接合法の研究
又は開発が、長年に亘って試みられている。殊に、集成
材等のエンジニアリングウッドの研究・開発、新素材の
研究・開発、更には、木造建築物の施工性、生産性、耐
震性又は構造耐力等の研究等に伴って、柱等の垂直材
と、梁又は土台等の横架材との接合に使用し得る仕口・
継手のジョイント金物又は補強金物等(以下、接合金物
という)の改良ないし研究・開発が、近年において更に
重視されつつあり、新規な形態又は構造特性を備えた各
種接合金物が提案され、また、或る種の接合金物にあっ
ては、既に実用に供されている。
【0003】例えば、或る形式の接合構造は、溶融亜鉛
メッキ鋼板等の成形品からなる方形の顎掛け金物、垂直
支受板又はガセットプレート(以下、単に「支受板」と
いう)と、支受板と横架材とを相互接合するドリフトピ
ン等の係止手段とから構成される。係止手段を介して横
架材を支持する支受板は、柱頭部等の垂直部材上端部に
予め刻設されたスリット又は溝に挿入ないし嵌入され、
該垂直部材にて支持される。横架材に作用する曲げ応
力、圧縮・引張応力又は剪断応力は、支受板を介して垂
直部材に伝達され、実質的に鉛直方向の圧縮応力として
垂直部材に作用する。また、柱の柱脚部を土台に固定す
る接合構造として、柱脚部の底面にスリットを刻設する
とともに、スリット内に挿入又は嵌入すべき垂直支受板
を土台上に固定した構成のものが知られている。柱脚部
のスリットは、支受板を受入れ、収容し、支受板は、柱
脚部を貫通するボルト又はピンにて柱脚部を一体的に支
持する。
【0004】
【発明が解決しよとうする課題】しかしながら、上記柱
頭部接合金物の取付構造によれば、支受板は、柱頭部に
形成されたスリット又は溝(以下、単に「スリット」と
いう)内に挿入又は嵌入されるにすぎない。従って、横
架材の曲げ応力、或いは、地震時の垂直荷重又は突き上
げ力等の作用により、支受板が柱頭部に対して変位し、
或いは、支受板が柱頭部から離脱ないし脱落し得る可能
性を完全に否定し難い。しかも、横架材が交差する部位
に配置される柱頭部に形成された上記スリットは、平面
視において、柱の軸芯にて交差する十字形状の交差溝を
構成する。これに対し、横架材の曲げ応力、引張応力又
は剪断応力は、交差溝によって分断された柱頭部分を拡
開する方向に作用し得るので、例えば、交差溝にて4分
割された各柱頭部分は、互いに分離又は分解する方向に
応力を受ける傾向を有する。従って、予期せぬ柱頭部分
の割裂、変形又は剪断等が、上記接合構造に起因して生
起する虞がある。更に、上記従来形式の柱頭部接合構造
は、実質的に均等な梁成(せい)を有する横架材が柱頭
部の両側に接続される接合形式、或いは、柱頭部の両側
に実質的に均等に作用する横架材荷重に対して、比較的
合理的に適応し得るが、柱頭部の両側に不均一な梁成の
横架材が接続される構造部位、或いは、柱頭部の両側に
不均等な荷重が作用する構造部位においては、接合部の
構成を安定的に保持し難い。例えば、梁成及び支持荷重
が全く異なる一対の横架材を単一の柱頭部にて支持する
建築部位(柱頭部)には、不均一な反力又は偏心応力が
作用し易く、他方、柱頭部の左右両側に介装された各接
合金物は、この種の不均一な反力又は偏心応力を許容し
難い。従って、上記柱頭部接合構造は、このような建築
部位の実施設計において事実上採用し得ない事情があ
る。
【0005】また、従来の柱脚部接合構造は、地震時の
短期鉛直荷重の如く垂直部材に上下方向に作用する荷
重、例えば、柱の引抜き力に対して、十分な柱脚部の拘
束力又は支持力を発揮し難く、しかも、柱脚部を貫通す
るボルト又はピンの支圧力は、柱脚部を拡開する方向に
作用する木材の内部応力を生起し、柱脚部の割れ、割裂
又は変形等を生じさせる原因となり得る。更に、上記柱
脚部接合構造を採用した軸組構造の建方作業は、支受板
に対する柱脚部の位置決め作業、整合/整列作業、合芯
作業及び仮止め作業等の各工程を要し、従って、建方作
業が煩雑化又は長期化してしまう難点を有する。
【0006】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、スリットにて分割さ
れた柱頭部分又は柱脚部分を構成する木材の割裂、変形
又は剪断等を確実に防止し得る木造建築物の接合構造を
提供することにある。本発明は又、短期荷重による横架
材支受部材の変位、離脱又は脱落等を回避するととも
に、不均一な梁成の横架材同士が相互連結される柱頭部
又は不均等な荷重が柱頭の両側に作用する柱頭部に好適
に使用し得る木造建築物の接合構造を提供することを目
的とする。本発明は更に、短期荷重に対する柱脚部の拘
束力又は支持力を発揮するとともに、柱の建方作業を簡
素化又は短期化することができる木造建築物の接合構造
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するために、本発明は、上下方向に延びる軸組構成要素
の柱頭部に形成されたスリットに挿入される支受部材を
介して、前記軸組構成要素と横架材とを相互接合する木
造建築物の接合構造において、前記柱頭部の上端面に刻
設された拘束部材挿入溝に挿入可能な拘束部材を備え、
該拘束部材は、複数の前記支受部材に係合し、各支受部
材同士を相互係止し、前記支受部材を前記柱頭部に拘束
することを特徴とする木造建築物の接合構造を提供す
る。かかる構成の接合構造によれば、上記拘束部材は、
各支受部材同士を相互連結し、各支受部材を力学的に拘
束し、柱頭部に対して柱芯の径方向に生じ得る各支受部
材の相対変位を禁止ないし制限する。従って、上記拘束
部材は、柱頭部に対する支受部材の変位、離脱又は脱落
を阻止するとともに、上記スリットにより分割された各
柱頭部分に生じ得る柱頭部拡開方向の応力を実質的に負
担し、柱頭部分の割裂、変形又は剪断等を防止し得る。
また、上記拘束部材を介して相互連結された各支受部材
は、柱頭部の各側面に接続された上記横架材の梁成の不
均一性及び梁荷重の不均等性を許容し、軸組構造要素の
接続部位又は接続位置の設計自由度を大幅に向上させ
る。
【0008】本発明は又、上下方向に延びる軸組構成要
素の柱頭部に形成されたスリットに挿入される支受部材
を介して、前記軸組構成要素と横架材とを相互接合する
木造建築物の接合構造において、前記柱頭部の上端面に
刻設された拘束部材挿入溝に挿入可能な拘束部材を備
え、該拘束部材は、前記支受部材に係合し、前記支受部
材を前記柱頭部に拘束し、前記拘束部材は、前記柱頭部
の上端面に一体的に植設され且つ上階軸組構成要素の柱
脚部と係合可能な柱脚支持部材を備え、該支持部材は、
前記拘束部材から上方に延び、前記上階軸組構成要素の
柱脚部に形成された支持部材挿入部に挿入されることを
特徴とする木造建築物の接合構造を提供する。本発明の
上記構成によれば、上記拘束部材は、支受部材を力学的
に拘束し、柱頭部に対して柱芯の径方向に生じ得る支受
部材の相対変位を禁止ないし制限するとともに、柱脚支
持部材を介して上階軸組構成要素、例えば、上階柱の柱
脚部を木材接合部に係止又は固定する。地震時等に上階
柱等に作用する鉛直荷重又は引抜き力等は、上記支持部
材及び拘束部材を介して軸力として下階柱に伝達され、
下階柱又は基礎の反力にて支持される。また、上記柱脚
支持部材は、該支持部材と係合する上階柱等の上階軸組
構成要素の位置決め手段、整合/整列手段、合芯手段又
は姿勢保持手段として使用し得るので、上階柱等の建方
作業を簡素化し、或いは、作業工期を短縮することが可
能となる。
【0009】本発明は更に、基礎又は土台に支持された
ベースプレートを介して、上下方向に延びる軸組構成要
素の柱脚部を前記基礎又は土台に固定する木造建築物の
接合構造において、前記ベースプレートは、軸組構成要
素の柱脚部に挿入可能な柱脚支持部材を備え、該支持部
材は、前記軸組構成要素の柱脚部と相互係止可能な頂部
開口形の中空体からなり、前記中空体の軸芯は、前記柱
脚部の軸芯と整列するように前記ベースプレート上に位
置決めされ、前記柱脚部は、該柱脚部の下端面に開口す
る中空体挿入溝を備え、該中空体挿入溝内に挿入された
前記中空体を前記柱脚部に係止する係止手段が更に設け
られることを特徴とする木造建築物の接合構造を提供す
る。本発明の上記接合構造によれば、基礎又は土台に固
定されたベースプレートは、上記支持部材及び係止手段
を介して、上記柱脚部の引抜き力に抗し、十分な柱脚部
の拘束力又は支持力を発揮する。また、上記支持部材の
中空体は、柱脚部に作用する木材の内部応力を分散し、
或いは、ベースプレートに伝達し、柱脚部の割れ、割裂
又は変形等を防止する。更に、上記支持部材は、上記中
空体と係合する柱脚部の位置決め手段、整合/整列手
段、合芯手段又は姿勢保持手段として使用し得るので、
柱等の軸組構成要素の建方作業を簡素化し、或いは、作
業工程を短縮することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態によれ
ば、上記支受部材は、全体的に方形の垂直板体と、該板
体の下端部から両側に突出する支圧板とから構成され、
垂直板体は、部分的に上記スリットに挿入され、支圧板
は、柱頭部に形成された支圧板挿入溝に挿入される。好
ましくは、上記スリット及び支圧板挿入溝は、相互連接
し、例えば、T形溝を柱頭部側面に画成し、上記支圧板
は、垂直板体に作用する曲げ応力又は剪断力を柱の軸力
として柱頭部に伝達するとともに、柱頭部に対する垂直
板体の相対変位又は傾倒を規制する。本発明の或る実施
形態において、柱頭部の側面から側方に突出する上記垂
直板体の露出部分は、下方延長部分を備え、該延長部分
は、付加的なドリフトピン等のピン孔又はボルト孔を備
える。好適には、上記拘束部材は、上記柱頭部に挿入可
能な円筒壁部分と、円筒壁部分に形成され且つ上記支受
部材を受入れ可能な下方開口部と、円筒壁部分の上縁に
一体的に固着した円形板部分又は円形蓋体部分とを備え
る。また、支受部材の柱頭埋入部分又は柱頭挿入部分
は、上記円筒壁部分の舌片部分に係合可能な長孔又は開
口と、上記円筒壁部分の下方開口部の上縁に係合可能な
凹部とを備える。拘束部材は、柱頭部の上端面に刻設さ
れた円形溝内に挿入され、上記下方開口部にて支受部材
を受入れ、他方、支受部材の凹部は、下方開口部の上縁
を受入れる。上記凹部の案内による拘束部材の回転によ
り、円筒壁部分の舌片部分は、支受部材の長孔又は開口
内に挿入され、支受部材に係止される。好ましくは、上
記円形板部分又は円形蓋体部分は、回転工具と係合可能
な工具係合手段を備える。
【0011】本発明の或る実施形態において、上記スリ
ットは、柱頭部の上端面に平面視十字形の溝を形成す
る。該十字溝の交差部は、柱頭部の軸芯に位置決めされ
る。また、上記拘束部材を挿入可能な柱頭部の円形溝の
中心は、柱頭部の軸芯に位置決めされる。本発明の好適
な実施形態によれば、上下方向に延びる所定幅の縦溝
が、横架材の端部に刻設され、該縦溝は、柱頭部と対向
する横架材端部の端面全高に亘って延在する。縦溝の溝
幅は、上記支受部材の垂直板体の板厚と実質的に同一に
設定される。横架材端部は更に、横架材の軸芯と直交す
る方向にドリフトピンを挿入可能なピン孔と、上記支受
部材に係止される支承ボルトを挿通可能なボルト孔とを
備える。横架材端部に挿通された支承ボルトは、上記支
受部材の顎掛け溝に係止され、上記ドリフトピンは、横
架材端部のピン孔及び支受部材のピン孔を貫通する。
【0012】本発明の他の好適な実施形態によれば、上
記拘束部材又はベースプレートは、上記蓋体部分から一
体的に上方に延びる円筒形の柱脚支持部材を備え、柱脚
支持部材の軸芯は、柱芯に一致するように位置決めされ
る。ドリフトピンを挿通可能なピン孔が柱脚支持部材の
円筒壁及び柱の柱脚部に夫々穿孔される。好ましくは、
複数のピン孔の中心軸線は、柱芯にて交差する。更に好
ましくは、上記蓋体部分の上面又はベースプレートの上
面は、水平且つ平坦な柱脚着座面を形成する。柱脚支持
部材にて支持すべき柱の柱脚部には、柱脚下端面に開口
する円形溝が刻設され、上記柱脚支持部材の円筒壁は、
柱芯に沿う柱部材又は柱脚部の垂直降下により、該円形
溝に挿入される。好適には、上記円筒壁のピン孔に挿通
可能なドラフトピンは、柱脚部の軸芯において直交する
ように配向される。更に好ましくは、中間階の柱脚部接
合構造において、上記着座面は、下階柱頭部の上端面と
面一又は同一レベルに位置決めされる。また、1階レベ
ル又は基礎レベルの柱脚接合構造において、上記ベース
プレートは、上記着座面を備えた水平プレートと、該水
平プレートから垂下する垂直プレートとの組立体からな
り、水平プレートの下面は、土台の天端面に支持され、
垂直プレートは、土台に刻設されたプレート挿入溝に挿
入される。或る実施形態において、上記水平プレート
は、部分的に基礎に埋入されたアンカーボルトの上端部
又は螺子部を挿通可能なボルト孔を備える。他の実施形
態において、上記垂直プレートは、土台を水平に貫通す
るドリフトピンを挿通し得るピン孔を備える。
【0013】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の実施例
に係る木造建築物の接合構造について、詳細に説明す
る。図1は、本発明の第1実施例に係る木造建築物の接
合構造を使用した木材接合部を概略的に示す分解斜視図
である。図1に示す木材接合部Jは、柱及び梁の接合部
として例示されており、木材接合部Jは、垂直な柱Cの
柱頭部C1と、水平な梁Bの端部B1と、各梁Bの端部B1及
び柱Cの柱頭部C1を相互接続する継手金物10と、各継
手金物10を柱頭部C1に拘束する拘束部材30とから略
構成される。なお、図1において、柱C及び梁Bは、木
材接合部J廻りの部分のみが図示されている。横架材を
構成する4本の水平な梁Bは、平面視において90度の
角度間隔を隔てて配向される。各梁Bは、垂直材を構成
する柱Cに対して直交し、各梁Bの軸芯は、柱Cの軸芯
において交差する。各梁Bの上面又は天端レベルは、柱
頭部C1の上端面のレベルと実質的に一致する所定高さに
設定され、各梁B及び柱頭部C1の上面又は上端面は、共
通ないし同一の水平平面に位置する。本例において、柱
Cは、平屋建物の柱又は複層階建築物の最上階又は最上
層の柱を構成し、柱頭部C1の上端面は、水平な方形端面
として形成される。上下方向に延びる所定幅の溝2が、
各梁Bの端部B1に刻設される。所定の深さを有する溝2
は、柱頭部C1と対向する端部B1の端面全高に亘って延在
し、端部B1の上面及び下面に開口する。上下一対の水平
なピン孔3及びボルト孔4が、梁Bの軸芯と直交する方
向に梁Bに穿設され、端部B1を貫通する。ドリフトピン
6及び支承ボルト7が夫々、ピン孔3及びボルト孔4に
挿入される。端部B1の溝2に挿入し得るとともに、ドリ
フトピン6及び支承ボルト7に係合可能な継手金物10
が、柱頭部C1に取付けられ、拘束部材30が、継手金物
10に係合する。
【0014】図2は、継手金物10及び拘束部材30を
取付けるために柱頭部C1に形成されたスリット及び円形
溝を示す柱頭部C1廻りの平面図及び側面図である。図2
(A)に示す如く、柱芯にて直交する4本のスリット2
0が、柱頭部C1の上端面に形成される。各スリット20
は、図2(B)に示す如く、柱頭部C1の上端面から垂直
に下方に延び、リブ挿入溝21にて終端する。リブ挿入
溝21は、所定の幅員Wに亘って水平に延在する。スリ
ット20及びリブ挿入溝21は、相互に連続又は連接
し、全体的にT形形状の溝を柱頭部C1の側面に画成す
る。各リブ挿入溝21は、所定の深さ(奥行)まで柱頭
部C1内に水平に延びる。図2(A)に示す如く、平面視
において全体的に円形の全体形状を有する拘束部材挿入
溝22が、柱頭部C1の上端面に形成される。拘束部材挿
入溝22は、図2(B)に示す如く、所定深さ(高さ)
に亘って柱頭部C1内に垂直に延びる円筒状の溝として柱
頭部C1に刻設される。挿入溝22の径方向内方の領域
は、全体的に僅かに切削され、柱頭部C1の上端面よりも
僅かに低いレベルに位置する円形水平平面、即ち、拘束
部材支持面23を形成し、挿入溝22の円形外縁部は、
拘束部材30の外縁を収容可能な円形段部24を備え
る。
【0015】図3及び図4は、継手金物10及び拘束部
材30の全体構成を示す側面図、平面図及び斜視図であ
る。図3に示す如く、継手金物10は、全体的に方形の
支受板11と、支受板11の下端縁から両側に突出する
方形リブ又は支圧板15とから略構成される。支圧板1
5は、支受板11の柱頭挿入側半部11bの下縁切欠部
に配置され、支受板11に対して水平に延びる。本例に
おいて、支受板11及び支圧板15は、所定板厚(例え
ば、6mm厚) を有する溶融亜鉛メッキ鋼板等の素材を所
定形状に加工又は成形してなる成形板からなり、継手金
物10は、支受板11及び支圧板15を溶接等の固着手
段にて一体的に組付けてなる鋼板組立体として形成され
る。なお、柱頭部C1に形成された上記スリット20及び
リブ挿入溝21の溝幅は夫々、支受板11及び支圧板1
5の板厚と実質的に同一に設定され、リブ挿入溝21の
全体幅W(図2)は、支圧板15の全体幅員Wと実質的
に同一に設定される。支受板11の柱頭挿入側半部11
bは更に、拘束部材30に係合可能な方形開口部16及
び凹部17を備え、開口部16及び凹部17は、支圧板
15の上方域に配置される。方形開口部16及び凹部1
7は、実質的に同一の開口幅又は溝幅を有し、上下方向
に整列する。他方、継手金物10の露出側半部又は梁端
挿入側半部11aは、梁Bの支承ボルト7(図1)を支
承可能な顎掛け溝12を備えるとともに、梁Bのドリフ
トピン6(図1)を挿入可能なピン孔13を有する。顎
掛け溝12は、梁Bの支承ボルト7の外周面と実質的に
同一の曲率を有する湾曲部を下端縁に備えるとともに、
上方に向かって拡拡し、幅広の支承ボルト受入れ開口を
支受板11の上縁に形成する。
【0016】かかる継手金物10と係合する拘束部材3
0は、図4に示す如く、円筒形本体部分31と、円形蓋
体部分32とから略構成される。本体部分31の直径
は、拘束部材挿入溝22(図2)の直径と実質的に同一
に設定され、蓋体部分32は、本体部分31の直径より
も僅かに大きい直径を有し、本体部分31に対して同心
且つ一体的に連結される。本体部分31及び蓋体部分3
2は、溶融亜鉛メッキ鋼板等の成形品又は加工品からな
り、本体部分31の円筒状壁の板厚(例えば、4mm)
は、継手金物10の方形開口部16及び凹部17(図
3)の溝幅又は開口幅(例えば、4mm) と実質的に同一
に設定される。また、蓋体部分32の板厚(例えば、6
mm) は、上記挿入溝22の円形段部24(図2)の高さ
(例えば、6mm) と実質的に同一に設定される。蓋体部
分32は、水平且つ平坦な上面を備えるとともに、ドラ
イバ等の回転工具に係合し得る溝又は長孔等の工具係合
手段39を径方向中央領域に備える。継手金物10を受
入れ可能な下方開口部33が、所定の角度間隔(本例で
は、90度の角度間隔)を隔てて本体部分31の円筒状
壁に配設される。各開口部33は、比較的幅狭の下位狭
小開口34と、比較的幅広の上位拡大開口35とを備え
る。開口部33の幅員の変化によって画成された段差に
より、方形舌片36が形成される。下位狭小開口34の
高さ、即ち、方形舌片36の高さは、上記継手金物10
の方形開口部16(図3)の全高と実質的に同一に設定
される。しかも、開口部33の全高hは、上記継手金物
10の凹部17(図3)の位置、即ち、方形開口部16
の下縁と凹部17の底面との間の距離h(図3(A))
と実質的に一致するように設定される。
【0017】施工において、各継手金物10の柱頭挿入
側半部11b(図3)は、図1に示す如く、柱頭部C1の
側面からスリット20及びリブ挿入溝21内に挿入さ
れ、支受板11の半部11b及び支圧板15は夫々、全
体的にスリット20及びリブ挿入溝21内に収容され
る。しかる後、拘束部材30は、柱頭部C1の上端面から
垂直下方に挿入される。円筒状の本体部分31は、円形
の拘束部材挿入溝22内に完全に収容され、蓋体部分3
2は、柱上端面の拘束部材支持面23に着座する。上述
の如く、蓋体部分32の板厚及び円形段部24の高さが
実質的に一致するので、蓋体部分32の上面は、柱上端
面と面一に整合し、従って、柱Cの上端面は、全体的に
平坦な方形端面を画成する。
【0018】図5(A)は、拘束部材30の取付け工程
を概略的に示す柱頭部C1の縦断面図であり、図5(B)
は、図5(A)のI−I線における拡大断面図である。
所定の回転角度位置にて柱頭部C1に挿入された拘束部材
30は、開口部33の下位狭小開口34にて継手金物1
0を受入れ、継手金物10の凹部17は、開口部33の
上縁37(図4(A))を受入れる。この結果、拘束部
材30の方形舌片36は、図5(B)に示すように、継
手金物10の方形開口部16と同一レベルにて対向す
る。後続する作業工程において、任意の回転工具を工具
係合手段39に係合せしめ、蓋体32を反時計廻り方向
に回転させる。これにより、拘束部材30の上縁37
は、凹部17内にて摺動し、拘束部材30は、全体的に
柱芯を中心に水平回転する。拘束部材30の回転によ
り、開口部33の側縁38(図4(A))が継手金物1
0の側面に衝合する結果、更なる拘束部材30の回転が
阻止されるとともに、方形舌片36が方形開口部16内
に完全に挿入される。かくて、開口部16及び舌片36
の相互係合により、拘束部材30は、継手金物10に対
して実質的に一体的に係止される。引き続く梁Bの取付
け工程において、図1に示す如く、支承ボルト7を端部
B1のボルト孔4に挿入し、ナット(図示せず)にて端部
B1に締結する。しかる後、梁Bの軸芯が柱芯と直交し且
つ溝2が継手金物10の支受板11の直上に位置するよ
うに端部B1を位置決めする。次いで、端部B1を柱頭部C1
に対して落し込み、溝2内に位置する支承ボルト7の部
分を顎掛け溝12内に係止する。更に、ドリフトピン6
をピン孔3内に打込み、ドリフトピン6を端部B1のピン
孔3及び支受板11のピン孔13に嵌入し、かくして、
梁Bの端部B1を継手金物10に固定する。
【0019】以上の如く、上記構成の接合構造によれ
ば、柱Cの柱頭部C1及び梁Bの端部B1を相互接合する
接合構造は、柱頭部C1に形成された複数のスリット2
0及びリブ挿入溝21と、柱頭部C1の上端面に刻設され
た拘束部材挿入溝22と、平面視にて全体的に十字形態
に配置されたスリット20及びリブ挿入溝21に夫々挿
入される複数の継手金物10と、拘束部材挿入溝22に
挿入される拘束部材30とを備え、拘束部材30は、各
継手金物10に係合し、各継手金物10を相互係止す
る。拘束部材30は、各継手金物10同士を相互連結
し、各継手金物10を拘束するとともに、柱頭部C1に対
して柱芯の径方向に生じ得る各継手金物10の相対変位
を禁止ないし制限する。従って、拘束部材30は、柱頭
部C1に対する継手金物10の変位、離脱又は脱落を阻止
するとともに、スリット20により分割された各柱頭部
分に生じ得る柱頭部拡開方向の応力を実質的に負担し、
柱頭部分の割裂、変形又は剪断等を防止する。また、拘
束部材30を介して相互連結された各継手金物10は、
柱頭部C1の各側に接続された梁B(端部B1)の梁成の不
均一性及び梁荷重の不均等性を許容し、軸組構造要素の
接続部位又は接続位置の設計自由度を大幅に向上させ
る。
【0020】図6は、本発明の第2実施例に係る木造建
築物の接合構造を使用した木材接合部の構成を概略的に
示す分解斜視図であり、図7は、図6に示す拘束部材3
0及び円筒状の柱脚嵌入部材40の全体構成を示す側面
図である。なお、図6及び図7において、図1乃至図5
に示す第1実施例の構成要素又は構成部材と実質的に同
一の構成要素又は構成部材については、同一の参照符号
が付されている。第2実施例に示す接合構造は、中層階
又は中間階の床部分(例えば、2階建木造建築物の2階
床部分等)における下層柱又は下階柱C、上層柱又は上
階柱Dおよび梁Bの相互連結構造に関するものであり、
木材接合部Jは、上記第1実施例と実質的に同じ構成を
有する継手金物10及び拘束部材30を備える。本例の
木材接合部Jは更に、拘束部材30から上方に延びる円
筒形の柱脚嵌入部材又は支持部材40(以下、支持部材
40という)を備える。支持部材40の下縁は、図7に
示す如く、溶接等の固着手段によって拘束部材30の蓋
体32の水平上面に一体的に固着される。支持部材40
の中心軸線は、拘束部材30の中心軸線に一致し、従っ
て、拘束部材30を下階の柱Cの柱頭部C1に取付けたと
き、支持部材40の中心軸線は、柱C、Dの中心軸線、
即ち、柱芯に一致する。また、例えば、16mm径のドリ
フトピン8、9(図6)を挿通可能な上位ピン孔41及
び下位ピン孔42が、支持部材40の円筒状壁に形成さ
れる。
【0021】図8は、上階柱Dの柱脚部D1に刻設された
支持部材挿入溝28を示す上階柱Dの底面図である。支
持部材40を嵌入可能な円形の支持部材挿入溝28が、
上階柱Dの柱脚部D1に形成される。挿入溝28は、適当
な回転式円形切削工具、円形切断工具、円形彫込工具又
は円形くり抜き工具等を使用し、柱脚部D1の底面D2に刻
設される。底面D2に開口した円形の挿入溝28の全体直
径d及び溝幅tは夫々、支持部材40の円筒壁の直径及
び板厚(例えば、60mm径及び4mm板厚)と実質的と同
一に設定される。また、図8に仮想線で示す如く、柱脚
部D1の軸芯にて直交するピン嵌入孔26、27が、柱脚
部D1に穿孔される。ピン嵌入孔26、27は、ドリフト
ピン8、9を嵌入可能な内径を有する。ピン嵌入孔2
6、27の穿孔レベル及び配向は、支持部材40のピン
孔41、42の穿孔レベル及び配向に相応するように設
定される。本実施例において、柱C及び梁Bは、上記第
1実施例と実質的に同一の施工工程、即ち、柱Cの柱頭
部C1に対する接合金物10の取付け工程、接合金物10
に対する拘束部材30の取付け・係止工程、更には、接
合金物10に対する梁Bの端部B1の係合・係止工程等の
各工程に従って、接合金物10及び拘束部材30を介し
て組付けられ、相互に一体的に連結される。拘束部材3
0を柱Cの柱頭部C1に取付ける際、拘束部材30の蓋体
部分32の回転作業は、蓋体部分32に配設された工具
係合手段39(図4)を使用し、適当な回転工具と工具
係合手段39との係合により、上記第1実施例と同様の
作業形態により実行し得る。しかしながら、適当な工具
を上記支持部材40のピン孔41、42に係合させ、支
持部材40の回転を介して蓋体部分32を回転させるこ
とにより回転作業を実行しても良い。かかる接合作業の
完了により、拘束部材30上の支持部材40は、柱Cの
軸芯にて上方に突出する。上階柱Dは、継手金物10及
び拘束部材30を介して組付けられた柱C及び梁Bに対
し、支持部材40を介して接合される。柱Dの接合作業
は、柱Dを柱頭部C1の上方域にて柱芯上に整列せしめ、
柱Dの柱脚部D1を垂直に降下させることにより実施され
る。即ち、柱脚部D1の円形挿入溝28を支持部材40の
円形上縁と整合させ、しかる後、柱Dを全体的に降下さ
せ、支持部材40の円筒壁を挿入溝28内に嵌入させ
る。柱Dの下端面は、蓋体部分32の上面に着座する。
次いで、ドリフトピン8、9を夫々、ピン嵌入孔26、
27内に打込み、ピン嵌入孔26、27を貫通させる。
この結果、ドリフトピン8、9は夫々、上記支持部材4
0のピン孔41、42を貫通し、支持部材40を介して
上階柱D及び拘束部材30を一体的に相互連結する。
【0022】支持部材40を備えた上記構成の接合構造
によれば、上階柱Dの柱脚部D1は、拘束部材30を介し
て木材接合部Jに拘束され、拘束部材30及び継手金物
10を介して木材接合部Jに支持される。地震時等に上
階柱Dに作用する引抜き力は、拘束部材30及び継手金
物10を介して軸力として下階柱Cに伝達され、下階柱
C又は基礎(図示ぜす)の反力にて支持される。かくし
て、支持部材40を備えた拘束部材30は、地震荷重等
の短期荷重が作用したときに、例えば、5tonの引抜き
耐力を発揮する。また、支持部材40の軸芯は、柱芯と
一致し、支持部材40を挿入した柱脚部D1の軸芯は、柱
芯と整合する。しかも、支持部材40の円筒壁は、上階
柱Dを直立に支持し、柱Dは、自立する。従って、上記
木材接合部Jに対して上階柱Dの柱脚部D1を取付け又は
嵌合させるすぎない上記建方作業により、上階柱Dの位
置決め作業、整合/整列作業、合芯作業及び仮止め作業
を実質的に完了し得るので、上階柱Dに関する建方作業
の簡素化、或いは、作業工期の短縮を実現することがで
き、実用的に極めて有利である。
【0023】図9は、本発明の第3実施例に係る木造建
築物の接合構造を使用した木材接合部を概略的に示す斜
視図であり、図10は、図9に示す各ベースプレートの
平面図及び側面図である。図9(A)及び図10(A)
に示す接合構造は、比較的高い引抜き耐力(例えば、5
ton 程度の引抜き耐力)を要する柱脚連結部に適用さ
れ、図9(B)及び図10(B)に示す接合構造は、中
位の引抜き耐力(例えば、2.5ton 程度の引抜き耐
力)を要する柱脚連結部に適用され、図9(C)及び図
10(C)に示す接合構造は、一般的な住宅において想
定される比較的低い引抜き耐力(例えば、1.5ton 程
度の引抜き耐力)を要する柱脚連結部に適用される。本
実施例において、木材接合部Jは、1階の柱Cの柱脚部
C2を土台Sに固定するためのものであり、部分的に土台
Sに埋入されるベースプレート組立体50を備える。各
接合構造におけるベースプレート組立体50は、図10
に示す如く、水平プレート51と、水平プレート51か
ら垂下する一対又は単一の垂直プレート52とから構成
される。プレート51、52は、所定板厚(例えば、6
mm厚)の鋼板からなり、溶接等の固着手段により相互に
一体的に連結される。また、アンカーボルト54を挿通
可能な一対又は単一のボルト孔58が、図9(A)
(B)及び図10(A)(B)に示す水平プレート51
に穿設される。図9に示す如く、柱脚部C2に挿入可能な
円筒状支持部材60が、ベースプレート組立体50の上
面に垂直に植設される。支持部材60は、溶接等の固着
手段により、水平プレート51の水平上面に一体的に固
定される。支持部材60の直径は、柱脚部C2の外径又は
断面寸法よりも小さく設定される。
【0024】本例において、基礎F(図9)は、壁芯等
に沿って連続的に延びる鉄筋コンクリート製の布基礎か
らなり、土台S(図9)は、基礎Fの上面に連続的に敷
設された所定の断面寸法の木製角材からなる。比較的高
い引抜き耐力を要する柱脚連結部(図9(A)(B))
では、アンカーボルト挿通孔(図示せず)が土台Sの所
定位置に穿孔される。所定径(例えば、16mm径) のア
ンカーボルト54が、所定位置において基礎Fのコンク
リート打設時に基礎Fに部分的に埋込まれ、アンカーボ
ルト54の上部は、基礎Fの上面から垂直に上方に突出
する。アンカーボルト54の上方突出部分は、土台Sの
アンカーボルト挿通孔58を貫通し、アンカーボルト5
4の上端に形成された螺子部は、土台Sの上面から上方
に突出する。ベースプレート組立体50の垂直プレート
52は、土台Sの上面に形成された溝又はスリット(図
示せず)に挿入ないし嵌入され、アンカーボルト54の
上端螺子部は、水平プレート51のボルト孔58(図1
0)を貫通する。ワッシャ及びナット55がアンカーボ
ルト54の螺子部に係合又は螺合し、この結果、ベース
プレート組立体50は、アンカーボルト54及び土台S
に締結される。他方、比較的引抜き耐力を低減可能な柱
脚連結部(図9(C))では、ピン貫通孔57(図10
(C))が、垂直プレート52に穿設されるとともに、
ドリフトピン53(図9(C))を嵌入可能なピン挿通
孔59が土台Sに水平に穿設される。垂直プレート52
は、土台Sに垂直に刻設された溝又はスリット(図示せ
ず)に挿入ないし嵌入され、ドリフトピン53は、ピン
挿通孔59に嵌入される。ドリフトピン53は、ピン挿
通孔59及びピン貫通孔57を貫通し、かくして、ベー
スプレート組立体50は、土台Sに一体的に固定され
る。水平プレート51上に垂直に植設された支持部材6
0の中心軸線は、柱芯に一致する。上記第2実施例と同
様に、支持部材60の板厚、直径及び全長(全高)に実
質的に一致する溝幅、直径及び深さを有する円形の支持
部材挿入溝29が、適当な回転式切削工具により、柱C
の軸芯を中心に柱脚部C2の下端面又は底面に刻設され
る。更に、柱Cの軸芯にて直交するピン嵌入孔71、7
2が、支持部材60のピン孔61、62と同一配向及び
同一レベルにおいて、柱脚部C2に水平に穿孔される。
【0025】柱脚部C2及び土台Sの接合作業において、
ベースプレート組立体50に植設された支持部材60
は、柱Cの軸芯(柱芯)にて上方に突出し、柱Cの柱脚
部C2は、支持部材60の上方域にて柱芯上に整列した状
態にて垂直に降下される。柱脚部C2の挿入溝29は、支
持部材60の上縁と整合し、支持部材60の円筒壁は、
挿入溝29内に嵌入し、柱Cの下端面は、水平プレート
51の上面に着座する。次いで、ドリフトピン73、7
4が夫々、ピン嵌入孔71、72内に打込まれ、ピン嵌
入孔71、72を貫通する。この結果、ドリフトピン7
3、74は、上記支持部材60のピン孔61、62を夫
々貫通し、土台S及び柱脚部C2は、支持部材60及びベ
ースプレート組立体50を介して一体的に相互連結され
る。上記構成の柱脚接合構造によれば、土台S上に固定
されたベースプレート組立体50は、柱Cの柱脚部C2に
挿入可能な支持部材60を備える。支持部材60は、垂
直な円筒壁を備え、支持部材60の軸芯は、柱芯と一致
するように土台S上の所定位置に位置決めされる。柱脚
部C2は、柱Cの下端面に開口する円形の支持部材挿入溝
29を備え、ドリフトピン73、74により支持部材6
0に一体的に係止される。かかる接合構造によれば、基
礎Fに固定されたベースプレート組立体50は、地震時
の短期鉛直荷重の如く柱Cに上下方向に作用する荷重、
例えば、柱Cの引抜き力に抗し、十分な柱脚部C2の拘束
力又は支持力を発揮する。しかも、円筒形の支持部材6
0は、柱脚部C2を拘束し且つ補強するとともに、柱脚部
C2を拡開する方向に作用する木材の内部応力を分散し、
或いは、ベースプレート組立体50に伝達し、柱脚部C2
の割れ、割裂又は変形等を防止する。更に、支持部材6
0の軸芯は、柱芯と一致し、支持部材60を挿入した柱
脚部C2の軸芯は、柱芯と一致し、しかも、支持部材60
は、柱Cの直立姿勢を保持し、建方作業の間、柱Cを自
立させる。従って、上記ベースプレート組立体50を使
用した柱Cの建方作業によれば、柱脚部C2を支持部材6
0に嵌合又は係合させるにすぎない極めて簡単な作業工
程により、柱Cの位置決め作業、整合/整列作業、合芯
作業及び仮止め作業を実質的に完了することができる。
かくして、本例の柱脚接合構造によれば、柱Cの建方作
業を簡素化するとともに、作業工期の短縮を図ることが
可能となる。
【0026】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲
内で種々の変形又は変更が可能であり、該変形例又は変
更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、いうまでもない。例えば、図11は、上記接合金物
10の変形例を示す接合金物の側面図及び斜視図であ
る。図11に示す接合金物10’は、柱C(図1)の側
面に隣接して下方に延びる下方延長部分18を備えてお
り、付加的なドリフトピンを挿通可能なピン孔19が、
延長部分18に穿設される。図3に示す上記接合金物1
0は、梁成(梁の全高)が180mm程度に設定された梁
B、即ち、比較的梁成が小さい梁Bの支受部において、
比較的小さい剪断耐力、例えば、1ton 以下の剪断耐力
を要する接合部位に好適に使用し得るのに対し、図11
に示す接合金物10’は、梁Bの梁成(全高)が比較的
大きく設定され、しかも、比較的高い剪断耐力を要する
部位、例えば、240乃至300mm程度の梁成を有する
梁Bの支受部において、1ton 程度を超える剪断耐力を
要する接合部位等に好適に使用される。また、図11に
示す接合金物10’に係合する柱頭部C1のスリット深さ
(高さ寸法)は、図1及び図3に示す接合金物10に係
合するスリット20の深さ寸法(高さ寸法)と実質的に
同一に設定し得るにもかかわらず、適合可能な梁の断面
寸法、使用可能なドリフトピンの本数及び所要の剪断耐
力等を下方延長部分18の延長寸法(高さ寸法)の設定
変更により適宜調整し得る。従って、かかる接合金物1
0’の構成によれば、柱頭部C1又は梁端部B1に対するス
リット又は溝の刻設作業等を実質的に共通化又は均一化
することができるので、実用的に極めて有利である。
【0027】また、上記実施例では、ドリフトピン6及
び支承ボルト7が夫々、梁Bの端部B1に配設されている
が、継手金物10及び端部B1に係止又は係合する部材と
して、ドリフトピン等のピンのみを使用し、或いは、外
螺子付きボルト等のボルトのみを使用しても良い。一般
に、作業性の向上又は作業工期の短縮等を重視した建設
現場においては、ドリフトピンのみを使用して継手金物
及び梁の端部を相互係止又は相互係合せしめることが、
望ましいであろう。
【0028】
【発明の効果】以上説明した如く、請求項1又は請求項
2に記載された本発明の構成によれば、短期荷重による
横架材支受部材の変位、離脱又は脱落等を回避するとと
もに、不均一な梁成の横架材同士が相互連結される柱頭
部又は不均等な荷重が柱頭の両側に作用する柱頭部に好
適に使用し得る木造建築物の接合構造を提供することが
可能となる。また、請求項2又は請求項3に記載された
本発明の構成によれば、短期荷重に対する柱脚部の拘束
力又は支持力を発揮するとともに、柱の建方作業を簡素
化又は短期化することができる木造建築物の接合構造を
提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施例に係る木造建築物
の接合構造を適用した木材接合部を概略的に示す分解斜
視図である。
【図2】図1に示す継手金物及び拘束部材を取付けるた
めに柱頭部に形成されたスリット及び円形溝の形態を示
す柱頭部廻りの平面図及び側面図である。
【図3】図1に示す継手金物の全体構成を示す側面図及
び斜視図である。
【図4】図1に示す拘束部材の全体構成を示す平面図及
び側面図である。
【図5】図1及び図4に示す拘束部材の取付け工程を概
略的に示す柱頭部の断面図である。図5(A)は、拘束
部材を柱頭部に挿入した状態を示す柱頭部の縦断面図で
あり、図5(B)は、図5(A)のI−I線における拡
大断面図である。
【図6】本発明の第2実施例に係る木造建築物の接合構
造を適用した木材接合部を概略的に示す分解斜視図であ
る。
【図7】図6に示す拘束部材及び円筒状嵌入部材の全体
側面図である。
【図8】上階柱の柱脚部に刻設された支持部材挿入溝を
示す上階柱の底面図である。
【図9】本発明の第3実施例に係る木造建築物の接合構
造を適用した木材接合部を概略的に示す接合構造の全体
斜視図である。
【図10】図9に示す各ベースプレートの全体平面図及
び全体側面図である。
【図11】図3に示す接合金物の変形例を示す接合金物
の全体側面図及び全体斜視図である。
【符号の説明】
J 木材接合部 C 柱(下階柱) C1 柱頭部 C2 柱脚部 D 柱(上階柱) D1 柱脚部 B 梁 B1 端部 S 土台 F 基礎 2 溝 3 ピン孔 4 ボルト孔 6 ドリフトピン 7 支承ボルト 8、9 ドリフトピン 10 継手金物 11 支受板 12 顎掛け溝 13 ピン孔 15 支圧板 16 方形開口部 17 凹部 20 スリット 21 リブ挿入溝 22 拘束部材挿入溝 23 拘束部材支持面 24 円形段部 26、27 ピン嵌入孔 28、29 支持部材挿入溝 30 拘束部材 31 円筒形本体部分 32 円形蓋体部分 33 下方開口部 34 下位狭小開口 35 上位拡大開口 36 方形舌片 37 上縁 38 側縁 39 工具係合手段 40 円筒形支持部材 41、42 ピン孔 50 ベースプレート組立体 51 水平プレート 52 垂直プレート 54 アンカーボルト 60 円筒状支持部材 61、62 ピン孔 71、72 ピン嵌入孔 73、74 ドリフトピン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下方向に延びる軸組構成要素の柱頭部
    に形成されたスリットに挿入される支受部材を介して、
    前記軸組構成要素と横架材とを相互接合する木造建築物
    の接合構造において、 前記柱頭部の上端面に刻設された拘束部材挿入溝に挿入
    可能な拘束部材を備え、該拘束部材は、複数の前記支受
    部材に係合し、各支受部材同士を相互係止し、前記支受
    部材を前記柱頭部に拘束することを特徴とする木造建築
    物の接合構造。
  2. 【請求項2】 上下方向に延びる軸組構成要素の柱頭部
    に形成されたスリットに挿入される支受部材を介して、
    前記軸組構成要素と横架材とを相互接合する木造建築物
    の接合構造において、 前記柱頭部の上端面に刻設された拘束部材挿入溝に挿入
    可能な拘束部材を備え、該拘束部材は、前記支受部材に
    係合し、前記支受部材を前記柱頭部に拘束し、 前記拘束部材は、前記柱頭部の上端面に一体的に植設さ
    れ且つ上階軸組構成要素の柱脚部と係合可能な柱脚支持
    部材を備え、該支持部材は、前記拘束部材から上方に延
    び、前記上階軸組構成要素の柱脚部に形成された支持部
    材挿入部に挿入されることを特徴とする木造建築物の接
    合構造。
  3. 【請求項3】 基礎又は土台に支持されたベースプレー
    トを介して、上下方向に延びる軸組構成要素の柱脚部を
    前記基礎又は土台に固定する木造建築物の接合構造にお
    いて、 前記ベースプレートは、軸組構成要素の柱脚部に挿入可
    能な柱脚支持部材を備え、該支持部材は、前記軸組構成
    要素の柱脚部と相互係止可能な頂部開口形の中空体から
    なり、 前記中空体の軸芯は、前記柱脚部の軸芯と整列するよう
    に前記ベースプレート上に位置決めされ、前記柱脚部
    は、該柱脚部の下端面に開口する中空体挿入溝を備え、 該中空体挿入溝内に挿入された前記中空体を前記柱脚部
    に係止する係止手段が更に設けられることを特徴とする
    木造建築物の接合構造。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002086250A1 (fr) * 2001-04-17 2002-10-31 Niiduma Yoshimi Architect & Associates Procede de construction d'un dome, et gabarit et dispositif d'attache utilises pour construire le dome
JP2012219560A (ja) * 2011-04-12 2012-11-12 Takenaka Komuten Co Ltd 柱梁接合構造、及び柱梁接合方法
CN105178448A (zh) * 2015-09-28 2015-12-23 沈阳建筑大学 木结构建筑梁柱连接节点结构
JP2020002646A (ja) * 2018-06-28 2020-01-09 株式会社熊谷組 柱梁接合部材及び柱梁接合構造

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