JPH1081918A - 耐摩耗型強靱ロールの製造方法 - Google Patents

耐摩耗型強靱ロールの製造方法

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JPH1081918A
JPH1081918A JP23567996A JP23567996A JPH1081918A JP H1081918 A JPH1081918 A JP H1081918A JP 23567996 A JP23567996 A JP 23567996A JP 23567996 A JP23567996 A JP 23567996A JP H1081918 A JPH1081918 A JP H1081918A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 軸部及び内層が80kgf/mm2 以上の耐
摩耗型強靱ロール。 【解決手段】 芯材の周囲に外層金属を鋳造にて製造す
る圧延ロールにおいて、重量%で、外層成分が、C:
1.2〜2.5,Si:0.3〜1.5,Mn:0.3
〜1.5,P:≦0.030,S:≦0.030,N
i:0.1〜3.0,Cr:4.0〜10.0,Mo:
3.0〜10.0,V:2.0〜10.0,W:3.0
〜10.0,Co:0.1〜10.0,Nb:0.1〜
3.0、残部Feからなる外層材と内層成分が、C:
0.25〜1.2,Si:0.15〜1.5,Mn:
0.15〜1.5,P:≦0.030,S:≦0.03
0,Ni:0.1〜3.0,Cr:0.5〜2.0,M
o:0.1〜1.0残部Feの材質組合せで、オーステ
ナイト化温度:900〜1100℃3時間以上加熱後、
400℃まで1〜10時間で冷却時、300〜450℃
で3時間以上保定し、外層割れ防止の熱処理をし、内層
引張強度を80kgf/mm2 以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延用ロール
において、特に軸部及び内層の強度が80kgf/mm
2 以上を有する圧延用複合ロールの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の圧延ロールの軸材に関しては、特
公平7−61489号公報に示すように、連続肉盛鋳造
法により製造された圧延用複合ロールにおいて、その軸
材はC:0.3〜1.0重量%、及びNi3重量%以下
を含有する鋳鋼或いは鍛鋼からなり、ロール鋳造後に9
00〜1200℃の温度から、その半分の温度まで冷却
する時間が0.3〜7時間となるような冷却速度で焼入
れが施され、この焼入処理により、軸部にフェライト、
パーライト及びベーナイトが変態生成されたことを特徴
とする複合ロールが知られている。しかし、本発明のよ
うなロールの内層及び軸部の強度を80kgf/mm2
以上有する複合ロールで、熱処理時における発生応力を
軽減して外層の割れを防止する製造方法に係わるもので
はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】圧延ロールの内層或い
は軸部を強靱にする方法としては、Ni等の焼入性の優
れる合金元素を添加して強度を向上させる方法がある。
しかし、Ni等の焼入れ性の優れる合金元素を添加する
と、焼入れ熱処理時に外層が冷却収縮する時、内層の膨
張変態が低温域で起こり、外層に引張応力が働く。この
時の引張応力が外層の引張強度を超えたときに、外層が
割損するという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した問題を
解消したもので、その発明の要旨とするところは、芯材
の周囲に外層金属を鋳造にて製造する圧延ロールにおい
て、外層成分が重量で、C:1.2〜2.5%,Si:
0.3〜1.5%,Mn:0.3〜1.5%,P:≦
0.030%,S:≦0.030%,Ni:0.1〜
3.0%,Cr:4.0〜10.0%,Mo:3.0〜
10.0%,V:2.0〜10.0%,W:3.0〜1
0.0%,Co:0.1〜10.0%,Nb:0.1〜
3.0%,残部Feからなる外層材と、内層成分が重量
で、C:0.25〜1.2%,Si:0.15〜1.5
%,Mn:0.15〜1.5%,P:≦0.030%,
S:≦0.030%,Ni:0.1〜3.0%,Cr:
0.5〜2.0%,Mo:0.1〜1.0% 残部Fe
の材質組合せで、オーステナイト化温度:900〜11
00℃に3時間以上加熱した後、400℃まで1〜10
時間で冷却させる途中、300〜450℃の温度で3時
間以上保定して、外層の割れを防止する熱処理を施し、
かつ、内層の引張強さを80kgf/mm2 以上有する
ことを特徴とする耐摩耗型強靱ロールの製造方法にあ
る。
【0005】以下、本発明について詳細に説明する。一
般に圧延ロールの場合、外層は高硬度を要求されるた
め、焼入れ性の良くなる合金元素を多く含んだ成分とな
る。従って、γ→α+Fe3 Cの膨張変態温度が低温側
に移動する傾向にある。逆に内層は靱性を確保するた
め、極力合金元素を少なくするため、γ→α+Fe3
の膨張変態温度が高温側となる。また、複合ロールの焼
入れ時の発生応力は、内外層の材質の違いによる変態応
力と温度差による熱応力がある。従って、冷却過程での
熱膨張曲線は、材質すなわち、化学成分によって異な
る。
【0006】外・内層の収縮歪量の差△εが大きくなる
と、外・内層に発生する応力は大きくなる。すなわち、
焼入れ時の冷却過程で内層が膨張変態すると、外層は内
層の膨張によって収縮が制限されるため、外層に引張応
力、内層に圧縮応力が働く。逆に、外層が膨張変態する
時は、外層は内層によって拘束されるため、外層は圧縮
応力、内層に引張応力が働く。圧延複合ロールの場合、
外層の膨張変態が低温側で起こるため、常温において外
層は圧縮、内層は引張応力の残留応力となる。
【0007】内層の膨張変態が外層の塑性域、つまり高
温側で起こる場合は、内層が膨張する時に外層も塑性変
形して膨張するため、外層には大きな引張応力が発生す
ることはない。しかし、内層の強度を向上させるため
に、C,Ni等の焼入性を向上させる合金元素を増す
と、γ→α+Fe3 Cの膨張変態は低温側となる。従っ
て、焼入れすると、内層が膨張するとき、外層は塑性変
形せず、外層に過大な引張応力が働き、図1に示すよう
に、外層が割損するという問題が発生した。すなわち、
図1はロールの外層での割れ状況を示す図であり、ロー
ル1の外層2に割れ3が発生する状況を示している。符
号4は内層を示す。
【0008】この発生メカニズムとしては、図2のよう
に内層が膨張している時、外層は更に低温に冷却される
ため、内外層の温度差が大きくなることにより、熱応力
が増大し、変態応力に加算された合成応力が材性強度を
超え割損に至ると考えられる。すなわち、図2はロール
の焼入熱処理時の冷却過程での温度と歪量及び発生応力
との関係を示す図であって、この内層と外層との間に歪
量差が発生し、その結果、外層は引張応力が増大し、発
生応力が材料強度を超えた場合、外層が割損を起こす。
【0009】
【数1】
【0010】発明者らは、この問題を解決するために、
外層に発生する応力を抑える方法として、焼入れ冷却途
中で一定温度に保定することにより、外・内層の温度差
によって生じる熱応力を下げる実験・解析を行った。そ
の結果、図3に示すような熱処理パターンで1100℃
で加熱した後、冷却途中の一定温度に保定する実験を行
った。図4に実験結果を示す。実験により、冷却途中の
一定温度に保定すると、外・内層の発生応力が小さくな
り外層が割損しない範囲があることが判った。すなわ
ち、保定温度は300〜450℃の範囲、保定時間は3
時間以上で、また、冷却速度の影響については、110
0℃〜400℃までの冷却時間が10時間以上とする
と、外層の硬度が低く、圧延ロールの耐摩耗性を確保出
来ない。また、1時間以内では400℃まで冷却せず作
業的に限界があるため、冷却時間を1〜10時間とし
た。図5にそのメカニズムを示す。300〜450℃の
一定温度に保定すると、内層の膨張変態時に外層も内層
との温度差が小さくなる。従って、熱応力が軽減し、発
生応力が材料強度まで達しないため、外層が割損しな
い。
【0011】次に、外層の成分限定理由について説明す
る。 C:1.2〜2.5% Cは焼入性を向上させ、マトリックス硬度を高くし、C
r,Mo,V,Wと化合し硬い炭化物をつくり、耐摩耗
性を向上させる。1.2%未満では炭化物量も少なく、
硬度も低く耐摩耗性の向上は少ない。また、2.5%を
超えると炭化物が粗大になり、使用中に炭化物の欠落を
生じ、逆に耐摩耗性を悪くする。 Si:0.3〜1.5% Siは鋳造性に影響し、少な過ぎると湯流れ性が悪くな
り、鋳造欠陥等の原因となる。また、溶湯中の酸素と化
合し、脱酸効果もあり、ガス巣等の鋳造欠陥の発生を防
止するために添加する。1.5%を超えると、その効果
が変わらないため、上限を1.5%とした。
【0012】Mn:0.3〜1.5% MnはSiと同様、溶湯の酸素と化合し、ガス欠陥の発
生を防止する。また、MnSを生成し、溶湯中のSを固
定し、有害な欠陥の発生を防止する。0.3%未満では
その効果がなく、1.5%を超えても効果が変わらない
ため、上限を1.5%とした。 Ni:0.1〜3.0% Niはマトリックスの焼入性を向上させ、硬度を高くす
る効果がある。焼入性を向上させるためには、0.1%
以上必要である。また、3.0%を超えると残留オース
テナイトが増え、逆に硬度低下するため上限を3.0%
とした。
【0013】Cr:4.0〜10.0% Crは炭素と同様、マトリックスの焼入性を向上させ、
硬度を上げる。また、Cと炭化物をつくり全体硬度を上
げる。Crは4.0%以上加えないとその効果はなく、
10.0%を超えると炭化物が粗大化し、熱疲労特性が
悪くなり、圧延使用中、肌あれ等が発生し、耐摩耗性が
悪くなる。 Mo:3.0〜10.0% Moはマトリックスの焼入硬度を上昇させる効果的な元
素である。また、Moは焼戻し抵抗性の優れた元素であ
り、Cr,Wと共に高硬度の複合炭化物をつくり、高温
硬度を上げ耐摩耗性を向上させる。Moの量は3.0%
以上ないと効果がなく、3.0%以上とした。また、1
0.0%を超えても効果は変わらなく、コストも高くな
るため、10.0%以下とした。
【0014】V:2.0〜10.0% Vは炭素と結合し、MC系の硬い微細な炭化物を晶出
し、耐摩耗性向上に効果的な元素である。その量は最低
2.0%以上加えないと効果はない。10.0%を超え
ると炭化物量が増え過ぎ、マトリックスの固溶C量が減
少するためマトリックスを軟化させる。また、鋳造作業
性においてもVが10.0%を超えると溶湯の湯流れ性
を著しく悪くし、鋳造出来なくなる。 W:3.0〜10.0% WはMo同様、マトリックスの焼入性を上げ、硬い炭化
物をつくり、耐摩耗性向上に効果的な元素である。3.
0%以上ないと効果がなく、逆に10.0%を超えると
粗大な炭化物を生成し、使用中に肌荒れの原因となる。
【0015】Co:0.1〜10.0% CoはNiと同じ効果を有し、焼入性を向上させマトリ
ックス組織を緻密にし、マトリックス硬度を上げる効果
がある。Co量はNi同様、0.1%以上必要であり、
10.0%を超えると、残留オーステナイト量が増え、
硬度が低くなるため、10.0%以下とした。 Nb:0.1〜3.0% NbはVと同様、Cと硬いMC炭化物を生成させ、耐摩
耗性向上に効果的である。NbはVと一緒に添加するた
め0.1%以上ないとその効果はなく、3.0%を超え
て添加すると、MC炭化物が増えマトリックス硬度を下
げる。
【0016】さらに、内層の成分限定理由について説明
する。Cは鋼の焼入れ性に関して最も重要な元素であ
り、強度向上に効果がある。しかし、Cの含有量が0.
25%未満では強度を80kgf/mm2 以上確保する
のは困難であり、1.2%を超えると初析セメンタイト
が析出し、靱性が劣るため上限を1.2%とした。Si
及びMnは脱酸元素として使用される。また、Mnは焼
入れ性を向上させる元素である。しかし、0.15%未
満では効果が得られない。また、多過ぎると効果がな
く、逆に介在物等を生成するため上限を1.5%とし
た。
【0017】NiはCと共に焼入れ性を向上させる。し
かし、0.2%未満では効果が少なく、3%以上では、
逆に不安定な残留オーステナイトを生成するため、上限
を3%とした。Crも焼入れ性を向上させる元素であ
る。しかし、2.0%を超えると硬い炭化物を形成し、
靱性が劣化する。しかし、0.5%未満では効果がな
い。Moも焼入れ性を向上させる元素であるが効果なた
め、上限を1.0%とした。また、0.1%未満ではそ
の効果がない。
【0018】
【実施例】次に、本発明について実施例を掲げて詳細に
説明する。外径:450mm、外層厚:50t、胴長:
1750mm、全長:3500mmのロールで、外層成
分および内層成分組成を表1に示す。焼入れは1100
℃×10時間加熱後、350℃まで3時間で冷却した
後、350℃で5時間保定した後、再び常温まで冷却し
た後、500℃×10時間で焼戻しした。その時の硬度
は外層が86HsC、内層は43HsCで、外層に割れ
は発生しなかった。500℃×25Hrの焼戻し処理後
の内層の引張強度は95kg/mm2 であった。また、
比較例として、同サイズのロールで1100℃×10時
間加熱後、常温まで5時間で冷却させる焼入れ処理を行
った時、約200℃で外層に網目状の割れが発生した。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によって、近
年の熱間圧延用ワークロールの小径化により、高度な強
靱性を要求される耐摩耗型の強靱な複合ロールの製造が
可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロールの外層での割れ状況を示す図、
【図2】ロールの焼入熱処理時の冷却過程での温度と歪
量及び発生応力を示す図、
【図3】本発明に係る焼入れヒートサイクルを示す図、
【図4】本発明に係る保定温度と保定時間とを変えた実
験結果を示す図、
【図5】本発明に係るメカニズムを示す温度と歪量及び
発生応力の関係図である。
【符号の説明】
1 ロール 2 外層 3 割れ 4 内層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材の周囲に外層金属を鋳造にて製造す
    る圧延ロールにおいて、外層成分が重量%で、 C:1.2〜2.5%,Si:0.3〜1.5%,M
    n:0.3〜1.5%,P:≦0.030%,S:≦
    0.030%,Ni:0.1〜3.0%,Cr:4.0
    〜10.0%,Mo:3.0〜10.0%,V:2.0
    〜10.0%,W:3.0〜10.0%,Co:0.1
    〜10.0%,Nb:0.1〜3.0%,残部Feから
    なる外層材と、内層成分が重量で、 C:0.25〜1.2%,Si:0.15〜1.5%,
    Mn:0.15〜1.5%,P:≦0.030%,S:
    ≦0.030%,Ni:0.1〜3.0%,Cr:0.
    5〜2.0%,Mo:0.1〜1.0%残部Feの材質
    組合せで、オーステナイト化温度:900〜1100℃
    に3時間以上加熱した後、400℃まで1〜10時間で
    冷却させる途中、300〜450℃の温度で3時間以上
    保定して、外層の割れを防止する熱処理を施し、かつ、
    内層の引張強度を80kgf/mm2 以上有することを
    特徴とする耐摩耗型強靱ロールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103160757A (zh) * 2013-04-15 2013-06-19 平勇 一种轨梁矫直圈
CN104060188A (zh) * 2014-04-14 2014-09-24 莘县远大特钢有限公司 稀土高铬钨高温耐热耐磨钢

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