JPH108162A - 高温強度に優れたアルミニウム合金材の製造方法 - Google Patents

高温強度に優れたアルミニウム合金材の製造方法

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JPH108162A
JPH108162A JP8177065A JP17706596A JPH108162A JP H108162 A JPH108162 A JP H108162A JP 8177065 A JP8177065 A JP 8177065A JP 17706596 A JP17706596 A JP 17706596A JP H108162 A JPH108162 A JP H108162A
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JP
Japan
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aluminum alloy
temperature
strength
matrix
rapidly solidified
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JP8177065A
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English (en)
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Yoshimasa Okubo
喜正 大久保
Kazuhisa Shibue
和久 渋江
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度特性、とくに高温強度に優れ、高温環境
下で使用される自動車エンジン用部材、高速飛翔体の外
板などの構造材として好適なアルミニウム合金材の製造
方法を提供する。 【解決手段】 Fe:4〜10%、V:0.5〜4 %を含有し、
Mo、Zr、Tiのうちの1種以上を合計で0.5 〜5 %
含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミ
ニウム合金の急冷凝固体を熱間押出加工した後、200 ℃
未満の温度で断面減少率20%以上の組成加工を加え、マ
トリックスが加工組織で、マトリックス中に分散する金
属間化合物の平均粒径が3 μm 以下の組織性状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温強度に優れたアル
ミニウム合金材、とくに、エンジンの吸気バルブ、コン
ロッド、ガスタービンのインペラ、ファンブレード、航
空機など高速飛翔体の外板材など、熱負荷がかかる部
材、構造材として好適に使用できる高温強度に優れたア
ルミニウム合金材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジン部品、航空機などの超
音速飛翔体の外板などは、150 〜350℃の熱負荷がかか
るため高温強度が必要とされるから、従来、自動車用エ
ンジンの吸気バルブ、コンロッドには鋼材が使用され、
超音速飛翔体の外板のうち空気の摩擦で高温になる部分
はTi合金や鋼材が用いられていた。
【0003】近年、自動車などに対し、高性能化、燃費
低減、低コスト化などの要請に基づく軽量化の観点か
ら、アルミニウム合金材の使用も望まれているが、通常
のアルミニウム合金材は、高温での強度が高くなく、18
0 ℃以上の高温環境下で応力のかかる用途に適用された
例はみられなかった。
【0004】一方、アトマイズ法によるアルミニウム合
金の急冷凝固粉末を熱間押出、高温静水圧プレスなどの
高温圧縮加工を行って成形材を得る急冷凝固技術が開発
され、当該急冷凝固技術を利用する各種の耐熱性アルミ
ニウム合金材が提案されており、上記の熱負荷のかかる
部材、構造材としての使用が期待されている。
【0005】出願人は、急冷凝固を利用するアルミニウ
ム合金のうち、Al−Fe系合金に着目し、渋江らは、
150 ℃以上の高温環境で使用可能な合金材、例えば、F
e:4〜15%、Mo:0.5〜8 %、Zr:0.3〜8 %を含み、
残部Alおよび不可避的不純物からなり、金属間化合物
の平均粒径を0.1 〜1 μm に調整した急冷凝固成形材(
特公昭63-9576 号公報) 、これにさらにTi、Cr、M
nのうちの1種以上を含有する材料(特公昭63-10222号
公報) 、Fe:4〜15%、V:0.5〜8 %を含み、Mo:0.5
〜8 %、Zr:0.3〜8 %、Ti:0.5〜8 %のうちの1種
以上を含有し、残部実質的にAlからなり、金属間化合
物の平均粒径を0.1 〜1 μm に調整した急冷凝固成形材
(特公昭63-10221号公報) を提案し、さらに、これらの
材料の延性を改善するために、Fe:6〜12%、Si:1%
を越え4.0 %未満、Cu:1〜6 %、Mg:0.3〜3 %を含
み、V:0.5〜5 %、Mo:0.5〜5 %、Zr:0.4〜4 %の
うちの1種以上を合計で8 %以下含有し、残部Alおよ
び不可避的不純物からなる急冷凝固アルミニウム合金を
溶体化処理、焼入れしたのち、人工時効する方法を提案
した。(特公平6-89428 号公報)
【0006】しかしながら、上記の急冷凝固アルミニウ
ム合金材は、自動車用エンジン部材などとして適用し得
るかなりの強度特性をそなえてはいるが、高温環境にお
いて使用する上記の部材、構造材として広範囲に実用化
するためには、強度とくに高温強度が必ずしも十分では
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、急冷凝固技
術を利用した上記Al−Fe系合金材における強度特性
をさらに改善するために、先に開発された上記Al−F
e系合金材の組成範囲を見直すとともに、組成範囲と製
造工程との組合わせについて再検討した結果としてなさ
れたものであり、その目的は、さらに改良された強度、
とくに高温強度特性をそなえ、高温環境下で広範囲に使
用可能なアルミニウム合金材の製造方法を提供すること
ににある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による高温強度に優れたアルミニウム合金材
の製造方法は、Fe:4〜10%、V:0.5〜4 %を含有し、
Mo、ZrおよびTiのうちの1種以上を合計で0.5 〜
5 %含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるア
ルミニウム合金の急冷凝固体を熱間成形加工した後、20
0 ℃未満の温度で断面減少率20%以上の塑性加工を加
え、マトリックスが加工組織で、マトリックス中に分散
する金属間化合物の平均粒径が3 μm 以下の組織性状と
することを構成上の特徴とする。
【0009】本発明における合金成分の意義およびその
限定理由について説明すると、Feは、マトリックス中
に、Al3 Fe、Al6 Fe、その他のAl−Fe系金
属間化合物を形成し、これらの金属間化合物がマトリッ
クス中に分散して、常温と高温の強度、弾性率を高め、
また線膨張係数を低下させる機能を有する。上記Al−
Fe系化合物は、また、塑性加工により得られる加工組
織の回復あるいは再結晶を抑制するよう作用する。Fe
の好ましい含有量は4 〜10%の範囲であり、4%未満で
はその効果が十分でなく、10%を越えると、低温おける
加工性が低下して塑性加工が困難となる、Feのさらに
好ましい含有範囲は6 〜10%である。
【0010】Vは、一部はAl−V系金属間化合物とし
て分散し、常温強度および高温強度を高める。また一部
はAl−Fe系化合物のFeと置換して、Al−Fe系
化合物の熱的安定性を高めるとともに、Al−Fe系金
属間化合物を微細に晶出させて分散強化作用を生ぜし
め、高温強度の向上に寄与する。Vの好ましい含有量は
0.5 〜4 %の範囲であり、0.5 %未満ではその効果が小
さく、4 %を越えて含有すると材料の延性、靭性が低下
する。
【0011】Mo、Zr、Tiは、一部はAl−Fe系
金属間化合物のFeと置換して、金属間化合物の体積率
を高め且つ熱的安定性を高め、その結果として常温と高
温の強度を向上させる。また一部は、Al−Mo系、A
l−Zr系、Al−Ti系の金属間化合物としてマトリ
ックス中に分散し、分散強化作用を生ぜしめるととも
に、加工組織の回復あるいは再結晶を抑制する。好まし
くは、Mo、ZrおよびTiの少なくとも1種以上を合
計量で0.5 〜5 %の範囲で含有させる。0.5 %未満では
その効果が十分でなく、5 %を越えると微細な金属間化
合物が得難くなり強度向上の効果が飽和する。低温での
延性、靭性も低下し、塑性加工が困難となる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム合金材の製
造に際しては、まず前記の成分組成を有するアルミニウ
ム合金の溶湯を102 ℃/sec以上の冷却速度で凝固させる
アトマイズ法やロール法によって、粉末状またはリボン
状の急冷凝固アルミニウム合金を製造し、このアルミニ
ウム合金粉末またはリボンを缶に充填して、真空中で脱
ガス処理し、必要に応じてホットプレスなどにより予備
成形してなる急冷凝固体、または前記の組成を有するア
ルミニウム合金の溶湯をガスアトマイズし、生成した液
滴を半凝固状態で堆積させるスプレーフォミング法によ
りバルク状の急冷凝固体を得る。
【0013】ついで、得られた急冷凝固体を熱間成形加
工により固化する。粉末状またはリボン状の急冷凝固ア
ルミニウム合金から得られる急冷凝固体の熱間成形は、
熱間押出加工によるのが好ましく、スプレーフォーミン
グ法により得られる急冷凝固体の熱間成形は、熱間押出
によるのが好ましいが、熱間圧延で代用することもでき
る。
【0014】熱間押出の場合は、350 ℃以上の温度域で
押出比3 以上の条件で加工を行うのが好ましく、この条
件により、とくに粉末表面の酸化皮膜が破壊されて粉末
間に十分な結合が得られる。押出比が3 未満では粉末間
の結合が不十分となり易い。350 ℃未満の温度での押出
加工では、材料の延性が乏しく、押出割れが生じ易くな
り、押出も困難となる。
【0015】熱間成形後、200 ℃未満の低温域で断面減
少率が20%以上の塑性加工を行う。塑性加工は圧延加
工、押出加工、鍛造加工などを適用することができる。
当該塑性加工を施すことによって、熱間成形において、
動的回復あるいは動的再結晶を起こしたマトリックスの
組織を加工組織とする。加工組織は、マトリックス中へ
の微細な金属間化合物の分散により350 ℃程度の温度ま
で安定である。塑性加工の温度が200 ℃を越えると、マ
トリックスに動的回復が生じ易く、十分な強度特性が得
られない。塑性加工温度は低いほうが好ましいが200 ℃
未満であれば、実質的には温度に関係なく強度特性を得
ることができる。加工のし易さなどの観点から100 ℃以
上での加工が実用上好ましい。
【0016】本発明は、前記の特定の組成を有するアル
ミニウム合金の急冷凝固体を熱間成形加工し、特定条件
の塑性加工を行い、合金材のマトリックスを十分に加工
組織とし、マトリックス中に分散する金属間化合物の平
均粒径を3 μm 以下の組織性状とすることを特徴とし、
これらの組合わせによって優れた強度とくに高温強度特
性を得るものである。
【0017】とくに、マトリックス中に微細に分散する
金属間化合物の平均粒径は重要で、本発明においては、
アルミニウム合金溶湯を102 ℃/sec以上の冷却速度で凝
固させるアトマイズ法やロール法により微細な金属間化
合物を晶出させ、あるいはガスアトマイズされた液滴を
半凝固状態で堆積させるスプレーフォーミング法におい
て、堆積時の衝撃と振動により晶出粒子の粗大成長を抑
制し、さらに熱間成形、塑性加工を加えることにより、
最終的に3 μm 以下の平均粒径を有する金属間化合物の
分散した組織性状が得られる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により、本発明を比較例と対比
して説明する。 実施例1 Fe:8%、V:1%、Zr:1%を含有し、残部Alおよび
不可避的不純物からなるアルミニウム合金の溶湯をガス
アトマイズして急冷凝固粉末を製造し、200 μm 以下に
分級した。この粉末を径90mm、高さ200mm の缶に充填し
て、400 ℃の温度に1h真空保持する条件で脱ガス処理を
行った。ついで、430 ℃の温度で熱間押出( 押出比5.5)
を行い、直径40mmの丸棒を得た。
【0019】得られた丸棒から、直径35mm、長さ20mmの
小片を削り出し、表1に示す温度で直径15mmの丸棒に押
出加工した。得られた丸棒材について、常温および250
℃の温度での引張試験を行った。結果を表1に示す。表
1にみられるように、本発明に従う試験材No.1〜4 は、
とくに高温において耐力260MPa以上、引張強さ320MPa以
上の優れた強度を示した。
【0020】
【表1】
【0021】比較例1 実施例1において、直径35mmから直径15mmへの押出温度
を、表2に示すように変えて押出加工を行い、得られた
丸棒材について、常温および250 ℃の温度での引張試験
を行った。結果を表2に示す。表2にみられるように、
押出加工を本発明の範囲を越える250 ℃で行った場合
は、押出前の引張特性と大きな差がなく、とくに高温の
引張性能が劣っていた。
【0022】
【表2】
【0023】実施例2 Fe:8%、V:1%、Mo:1%、Zr:0.5%を含有し、残
部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金
の溶湯を、窒素ガスでアトマイズし、下部に位置する回
転コレクタ上に半凝固状態で堆積させるスプレーフォー
ミング法により、直径250mm 、長さ500mm の急冷凝固体
とした。ついで、この急冷凝固体を390℃の温度で熱間
押出( 押出比19.6) することにより, 縦100mm 、横25mm
の断面矩形状の帯材に成形した。
【0024】得られた帯材を、180 ℃の温度、表3に示
す断面減少率で圧延加工した。なお、一回の圧延の断面
減少率は8 〜12%とした。作製された圧延材について、
常温および250 ℃で引張試験を行った。結果を表3に示
す。表3にみられるように、本発明に従う試験材No.7〜
10は、いずれも高温において耐力260MPa以上、引張強さ
320MPa以上の優れた強度特性を有しており、常温の引張
性能も優れていた。
【0025】
【表3】
【0026】比較例2 実施例2において、熱間押出後、断面減少率10%の圧延
を行い、得られた圧延材について、実施例2と同様、引
張性能を評価した。結果を表4に示す。表4にみられる
ように、断面減少率が20未満の試験材No.11 は、引張性
能において圧延前の材料(試験材No.12)と大きな差がな
く、その値も劣っていた。
【0027】
【表4】
【0028】実施例3 実施例1と同じ方法で、表5に示す組成を有するアルミ
ニウム合金の急冷凝固体を製造し、これを実施例1と同
一条件で押出加工して、直径40mmの丸棒を作製した。こ
の丸棒から直径35mm、長さ20mmの小片を削り出し、100
℃の温度で直径15mmの丸棒材にさらに押出加工した。得
られた丸棒材について、常温および250℃での引張試験
を行った。結果を表5に示す。表5にみられるように、
本発明に従う試験材No.13 〜16は、いずれも耐力260MPa
以上、引張強さ320MPa以上の優れた高温強度をそなえ、
常温強度もきわめて良好であった。
【0029】
【表5】
【0030】比較例3 実施例3において、合金組成を表6に示すように変え
て、直径15mmの丸棒材を作製し、常温および250 ℃で引
張試験を行った。結果を表6に示す。なお、表6におい
て、本発明の条件を外れたものには下線を付した。表6
に示すように、試験材No.18 はVが含まれていないた
め、また試験材No.19 はFeの含有量が低いため、常
温、高温の引張性能がいずれも劣っている。試験材No.2
0 はFeの含有量が高いため、2度目の押出加工におい
て割れが生じ、また試験材No.21 はV量が多いため変形
抵抗が大きく、熱間押出で詰まりが生じ、いずれも試験
片を作製することができなかった。
【0031】
【表6】
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、強度特性、とくに高温
強度に優れ、高温環境下で使用される自動車エンジン用
部材、高速飛翔体の外板などの構造材として好適な、ア
ルミニウム合金材の製造方法が提供される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:4〜10%(重量%、以下同じ)、
    V:0.5〜4 %を含有し、Mo、ZrおよびTiのうちの
    1種以上を合計で0.5 〜5 %含有し、残部Alおよび不
    可避的不純物からなるアルミニウム合金の急冷凝固体を
    熱間成形加工した後、200 ℃未満の温度で断面減少率20
    %以上の塑性加工を加え、マトリックスが加工組織で、
    マトリックス中に分散する金属間化合物の平均粒径が3
    μm 以下の組織性状とすることを特徴とする高温強度に
    優れたアルミニウム合金材の製造方法。
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