JPH1081474A - エレベータのドア診断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドアの開閉診断とこれに伴う調整作業を迅速
かつ容易にできるエレベータのドア診断装置の提供。 【解決手段】 ドアに貼付た等間隔に２色に色分けした
帯状の反射体１１と、その色のコントラストを検出する
２つの非接触式光学センサ１２ａ及び１２ｂと、該パル
ス信号を記憶するデータ収集部１３と、該データ収集部
の出力信号からドア開閉方向及び開閉速度Ｖａを求める
開閉方向検出部１４及び開閉速度演算部１５と、理想開
閉速度データＶｂを記憶した理想開閉速度データ記憶部
１６と、前記開閉速度演算部で求めた開閉速度Ｖａと理
想開閉速度データＶｂを比較する比較部１７と、比較結
果から異常部位と異常の程度を診断すると共に、ドア開
閉特性の調整箇所と調整量を診断する診断部１８と、該
診断部の診断結果及び調整方法を表示する表示部１９か
ら構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はエレベータ保守点検
装置に係り、特に、ドア開閉特性の診断と、異常部位の
特定と改善を容易にするエレベータのドア診断装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来のエレベータのドア開閉速度の測定
は、作業者がローラ式の速度センサを直接ドアに接触
し、速度センサの出力信号を市販の記録装置に入力し、
速度波形を出力していた。また開閉特性の診断は、記録
装置から出力した速度波形をもとに行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法でド
ア速度を測定した場合、作業者自身がセンサを支持して
行うため、ローラの押付力が一定せず出力が不安定にな
ることや、接触式であるためドア自体の振動がセンサに
影響を及ぼし、ノイズなどとなって出力されるため正確
な速度検出が難しくなっている。

【０００４】更にドアの開閉特性診断は、診断に要する
時間、異常部位の特定、これを調整する時間等に作業者
の能力差が生じるといった問題点がある。

【０００５】本発明は上記問題点を鑑みてなされたもの
で、正確に測定したドア開閉速度から自動的にドア開閉
特性を診断すると共に、作業者の経験や知識に関わらず
ドア開閉特性の診断とこれに伴う調整作業を迅速かつ容
易にできるエレベータのドア診断装置を提供することに
ある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明では、長手方向に対して垂直でかつ等間隔に２
色に色分けした帯状の反射体と、自ら光を照射し、反射
光のコントラストをパルス状の信号として検知する非接
触式の光学センサと、該非接触式光学センサの出力信号
をドア開閉の全行程に亘って記憶できるデータ収集部
と、該データ収集部からの送信信号からドアの開閉方向
を検出する開閉方向検出部と、該開閉方向検出部の出力
信号から開閉速度を演算する開閉速度演算部と、ドアの
理想的な開閉特性を記憶した理想開閉速度データ記憶部
と、前記開閉速度演算部で演算して求めたドアの開閉速
度と理想開閉速度データ記憶部に記憶した理想開閉速度
データを比較する比較部と、該比較部で比較したドア開
閉速度と理想開閉速度データの特徴の違いから異常部位
を、また、両者の速度差から異常の程度を診断すると共
に、診断結果をもとにドア開閉特性を理想開閉速度デー
タに近づけるための調整個所と調整量を診断する診断
部、該診断部の診断結果及び調整方法を表示する表示部
から構成される。

【０００７】本発明たるエレベータのドア診断装置は、
エレベータのドアの移動で得られる反射体の色情報を２
つの非接触式光学センサでパルス状の信号として検出
し、データ収集部に記憶する。次に記憶したパルス信号
を開閉方向検出部及び開閉速度演算部で処理してドアの
開閉方向と開閉速度を求める。比較部は、演算して求め
たドア開閉速度と理想開閉速度データ記憶部に記憶した
理想開閉速度データを比較し、診断部では両者の特徴の
違いから異常部位を、両者の速度から異常の程度を診断
すると共に、ドアの開閉特性を理想開閉速度データに近
づけるための調整箇所と調整量を診断し、表示部に前記
診断結果及び調整方法を表示するので、作業者の経験や
知識に係らずドア開閉特性の診断とこれに伴う調整作業
を迅速かつ容易にできる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
から図８を用いて説明する。

【０００９】図１はエレベータのドア診断装置のブロッ
ク図を示すもので、１はエレベータのドア診断装置で、
１１は予め幅Ｌで等間隔に２色に色分けした帯状の物体
で、磁気若しくは粘着物質でエレベータのドアに貼付ら
れる反射体、１２ａ及び１２ｂは前記反射体１１の色情
報である色のコントラストに対して、１色についてはＨ
ｉ電圧を、もう１色に対してはＬｏ電圧をパルス信号Ｓ
ａ及びＳｂとして出力する２つの非接触式光学センサ、
１３は非接触式光学センサ１２ａ及び１２ｂがドア開閉
の全行程に亘って出力するパルス信号Ｓａ及びＳｂをサ
ンプリング周期△ｔでサンプリングし、この時のサンプ
リング数ｎを記憶するデータ収集部、１４はデータ収集
部１３から一括して読み出したパルス信号Ｓａ′及びＳ
ｂ′を、所定の方法でドアの開閉方向を検出する開閉方
向検出部、１５は開閉方向検出部１４で開閉方向の明ら
かになったパルス信号からドア開閉速度Ｖａを演算する
開閉速度演算部、１６はドア診断時の基準として、ドア
の間口寸法及び速度設定毎の理想的な開閉特性を表わす
理想開閉速度データＶｂを記憶した理想開閉速度データ
記憶部、１７は前記開閉速度演算部１５で算出したドア
開閉速度Ｖａと理想開閉速度データ記憶部に記憶した理
想開閉速度データを比較する比較部、１８は比較部によ
って明らかにされた理想開閉速度データＶｂとドア開閉
速度Ｖａの特徴の違いからドアの異常部位を、また、理
想開閉速度データＶｂとドア開閉速度Ｖａの速度差から
異常の程度を診断すると共に、ドア開閉速度Ｖａを理想
開閉速度データＶｂに近づけるためのドアの調整部位と
その調整量を診断する診断部、１９は診断部１８のドア
診断結果と調整方法を表示する表示部から構成される。

【００１０】尚、図２に反射体１１をエレベータドア２
への貼り付けた状態を示す。

【００１１】ここで図３を用いて開閉方向検出部１４で
のドア開閉方向検出方法を説明する。非接触式光学セン
サ１２ａ及び１２ｂは、反射体１１の帯幅に対して５０
％ずれて取り付けられているため、同一の帯を読んだと
きに開閉方向検出部１４に出力されるパルス信号Ｓａ′
及びＳｂ′は５０％位相のずれたものとなり、この出力
信号Ｓａ′およびＳｂ′の立上り時間の差からドアの開
閉方向を検出するものである。また図中ｃ部では出力信
号Ｓａ′及びＳｂ′の立上り順の反転が発生している。
これはｃ部でドア開閉方向の反転を表すものである。

【００１２】次に同図を用いて開閉速度演算部１５での
開閉速度演算方法を説明する。開閉速度演算部１５は、
非接触式光学センサ１２ａ及び１２ｂの出力信号がＨｉ
のとき、Ｌｏのときのサンプリング数ｎ１、ｎ２を計数
し、データ収集部１３のサンプリング周期△ｔと反射板
の帯幅Ｌを（１）式に代入し、この時のドア速度Ｖを求
めるものである。

【００１３】Ｖ＝Ｌ／△ｔ・ｎ・・・・・（１） エレベータのドア診断装置１では、以上のようにして求
めたドア開閉速度を、図４−ａのように開閉時間に対す
る開閉速度の関係と、図４−ｂのようにドア位置に対す
るドア開閉速度の関係の２種類の変換することが可能と
なる。

【００１４】ここまでドア診断装置１の構成とドア開閉
方向及び開閉速度の検出原理について述べてきたが、次
に開閉速度演算部１５で求めたドア開閉速度からドアを
診断する方法について説明する。

【００１５】ドア診断方法の説明に先立ち、図５を用い
て診断に使用するエレベータドア装置の構成を説明す
る。図５において２は交流電源、３はエレベータのドア
装置である。３１は交流電圧を所定の電圧指令に基づい
て可変直流電圧に変換する電力変換回路、３２は電力変
換回路３１の出力電圧に応じて回転数を変え、ドアを駆
動する直流モータ、３３は直流モータの出力軸に設けら
れた第１のプーリ、３４ａ及び３４ｂは前記第１のプー
リの回転力を水平方向に変換する第２及び第３のプー
リ、３５は前記第１のプーリと第２のプーリの間に掛け
られ、直流モータ３２の回転を伝達するための第１のベ
ルト、３６は第１のベルトの動きを水平方向の動きに変
換する第２のベルト、３７は前記第２のベルトの上側に
機械的に連結され、この動作により水平方向に移動する
第１の扉、３８は前記第２のベルトの下側に機械的に連
結され、第１の扉とは逆方向に移動する第２の扉、３１
０は第２の扉の上側に取り付けられたカム３９に因って
動作し、ドア閉じ動作時の減速開始信号を出力する閉用
減速開始接点、３１１は閉用減速開始接点３１０と同様
にドア開き動作時の減速開始信号を出力する開用減速開
始接点、３１２は前記直流モータの回転軸に取り付けら
れドアモータの回転速度を検出する速度検出器、３１３
は開用減速開始接点、閉用減速開始接点、速度検出機の
出力信号を取り込み、直流モータ３２を必要な回転数で
駆動するための電圧指令Ｖ＊を演算し、ドアを所定の速
度に制御するドアの制御装置である。

【００１６】ここで、エレベータのドア診断装置１で上
記ドア装置３の開動作時のドア診断の流れを図６を用い
て説明する。作業者はステップ１でエレベータドアに反
射体１１と非接触式光学センサ１２ａ及び１２ｂを取り
付け、ステップ２でこれを起動し、ステップ３としてド
ア開操作を実施する。これによりドアは開方向に動作
し、非接触式光学センサ１２ａ及び１２ｂよりＨｉ、Ｌ
ｏのパルス信号電圧が出力される。データ収集部１３は
該パルス信号の発生をトリガに、ステップ４に示すパル
ス信号Ｓａ及びＳｂの測定を開始する。データ収集部１
３はステップ４１に示すようにパルス信号Ｓａ及びＳｂ
をドアの全行程に亘って周期△ｔでサンプリング・記憶
する。

【００１７】非接触式光学センサ１２ａ及び１２ｂの出
力信号Ｓａ及びＳｂの測定終了後ステップ５に示すよう
に、データ収集部１３は開閉方向検出部１４に対し、信
号Ｓａ′及びＳｂ′を転送する。ステップ６において開
閉方向検出部１４は、図３を用いて説明したようにパル
ス信号Ｓａ′及びＳｂ′の立ち上がる順序からドアの移
動方向を検出し、ドアが開方向に移動したことを認識す
る。このあとステップ７に示すように、開閉速度演算部
１５で前述の（１）式を用いてドアの速度Ｖａを演算す
る。

【００１８】ここで開閉速度演算部で演算したドア速度
Ｖａを時間−ドア速度、ドア位置−ドア速度の関係で表
したものを図７にまとめる。図７において（ａ）はドア
正常時のドア速度を表すグラフで、この時のドア速度Ｖ
ａは理想開閉速度データ記憶部１６に記憶した理想開閉
速度データＶｂと一致するものとする。又（ｂ）は開用
減速開始接点３１１取付け位置異常時のドア速度、
（ｃ）は第２のベルト３３の張力低下時のドア速度の特
徴を示すグラフである。以下、図６と図７を併用して説
明を行う。

【００１９】図６のステップ８においてドア診断装置１
は、理想開閉速度データ記憶部から理想開閉速度データ
Ｖｂを読み出す。次にステップ９に示すように比較部１
７で算出したドア速度Ｖａと理想開閉速度データＶｂを
比較する。このときステップ９１及び９２において、演
算で求めたドア速度Ｖａのドア位置ｘ、ｙ点のドア速度
Ｖｘａ及びＶｙａを算出する。続いてステップ９３及び
９４で理想開閉速度データＶｂのドア位置ｘ、ｙ点のド
ア速度Ｖｘｂ及びＶｙｂを求める。このあとステップ９
５で演算で求めたドア位置ｘにおけるドア速度Ｖａと理
想開閉速度データＶｂの差△Ｖｘを算出する。同様にス
テップ９６で、演算で求めたドア位置ｙにおける速度差
△Ｖｙを求め、ドア速度Ｖａと理想開閉速度データＶｂ
の違いを明らかにする。

【００２０】ここで、ドア速度Ｖａと理想開閉速度デー
タＶｂの速度差△Ｖｘ及び△Ｖｙから、ドアの異常部位
を特定できる根拠を説明する。まず、開用減速開始接点
３１１の取付け位置の異常診断方法について説明する。
開用減速開始用接点３１１の取付け位置正常時のドア速
度は、図７−１−ｂ及び図７−２−ｂ中の実線となり、
理想開閉速度データＶｂと一致する。しかし、開用減速
開始接点３１１が正常よりも減速開始が遅くなる位置に
取付けられている場合のドア速度は、図７−１−ｂ及び
図７−２−ｂ中の矢印ａの方向に移行、即ちドア位置ｘ
点での速度差△Ｖｘが０よりも大きくなる傾向を示す。
逆に開用減速開始接点３１１が減速開始が速くなる位置
に取付けられている場合のドア速度は、矢印ｂの方向に
移行、即ちドア位置ｘ点での速度差△Ｖｘが０よりも小
さくなる傾向を示す。以上のことから開用減速開始接点
３１１の取付け位置異常は速度差△Ｖｘを求めることが
可能で、また、異常の程度は△Ｖｘの絶対値で評価でき
る。

【００２１】次に、第２のベルト１４の張力の診断方法
を説明する。第２のベルト１４の張力が正常の場合、ド
ア速度は図７−１−ｃ及び図７−２−ｃ中で実線の特性
を示し、理想開閉速度データＶａと一致する。しかし、
張力が低下すると第２のベルト１４に発生するたるみの
影響で、正常時よりも急激な速度変化が発生する。この
ため図７−２−ｃのように加減速中のドア速度が矢印の
方向に移動する傾向となる。ドア位置ｘ及びｙ点でのド
ア速度Ｖａは、理想開閉速度データＶｂと比べて高くな
り、速度差△Ｖｘ及び△Ｖｙは大きくなる。以上のこと
から△Ｖｘ及び△Ｖｙが同時に大きくなっていれば第２
のベルト１４の張力を診断できる。

【００２２】以上の説明のように正常時、異常時の速度
差△Ｖｘ及び△Ｖｙを求めた後、ドア診断装置１は、ス
テップ１０でドア診断を実施する。まずステップ１０１
に示すようにドア位置ｘにおけるドア速度Ｖａと理想開
閉速度データＶｂの速度差△Ｖｘが０であるかを判定す
る。速度差△Ｖｘが０の場合は、ステップ１０１１でド
アは正常と診断し、診断フラグに０をセットする。

【００２３】一方、速度差△Ｖｘが０以外の場合はステ
ップ１０１２に移り、速度差△Ｖｙが０か判定する。速
度差△Ｖｙが０の場合は、ステップ１０１３に移り、速
度差△Ｖｘのみ正常と異なることから開用減速開始用接
点３１１の取付け位置異常と判断し、診断フラグに１を
セットする。また速度差△Ｖｙが０以外の場合は、ステ
ップ１０１５で速度差△Ｖｘ及び△Ｖｙとも異常のため
第２のベルト１４の張力異常と診断し、診断フラグに２
をセットする。

【００２４】最後にドア診断装置１はステップ１１の診
断結果の表示に移る。ステップ１１１では、診断ステッ
プ１０でセットした診断フラグの内容に応じた診断結果
を選択すると共に、ステップ９５、９６で求めた速度差
△Ｖｘ及び△Ｖｙの正負を判定した値から、異常を改善
するための調整量を表示する。この時の表示部１９の表
示画面の一例を図８に示す。

【００２５】このように、測定したドア速度と理想開閉
速度データを比較し、ドア速度の特徴から異常部位を、
また同一位置での両者の速度差から異常の程度を診断す
るものである。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、ドア速度の特徴から異
常部位を、また、ドア速度と理想開閉速度データの速度
差から異常の程度を、作業者の経験や能力に関わらず、
自動的に診断することが可能である。更に診断結果に異
常があった場合には、これを改善するための調整箇所と
調整量を適切に表示するので、調整作業を迅速かつ容易
にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】エレベータのドア診断装置のブロック図であ
る。

【図２】反射体の取付け図である。

【図３】ドア開閉方向、開閉速度の検出原理説明図であ
る。

【図４】測定したドア速度の表示例を示す説明図であ
る。

【図５】エレベータドアのシステム構成図である。

【図６】ドア診断時の流れを示す流れ図である。

【図７】ドア診断方法の説明図である。

【図８】診断結果および調整案内画面を示す説明図であ
る。

【符号の説明】

１ エレベータのドア診断装置 １１ 反射体 １２ａ、１２ｂ 非接触式光学センサ １３ データ収集部 １４ 開閉方向検出部 １５ 開閉速度演算部 １６ 理想開閉速度データ記憶部 １７ 比較部 １８ 診断部 １９ 表示部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤沢 孝博 茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会 社日立製作所水戸工場内 (72)発明者 富士本 貴 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向に対して垂直でかつ等間隔に２
   色に色分けした帯状の反射体と、自ら光を照射し、反射
   光のコントラストをパルス状の信号として検知する非接
   触式の光学センサと、該非接触式光学センサの出力信号
   をドア開閉の全行程に亘って記憶できるデータ収集部
   と、該データ収集部からの送信信号からドアの開閉方向
   を検出する開閉方向検出部と、該開閉方向検出部の出力
   信号から開閉速度を演算する開閉速度演算部と、ドアの
   理想的な開閉特性を記憶した理想開閉速度データ記憶部
   と、前記開閉速度演算部で演算して求めたドアの開閉速
   度と理想開閉速度データ記憶部に記憶した理想開閉速度
   データを比較する比較部と、該比較部で比較したドア開
   閉速度と理想開閉速度データの特徴の違いから異常部位
   を、また、両者の速度差から異常の程度を診断すると共
   に、診断結果をもとにドア開閉特性を理想開閉速度デー
   タに近づけるための調整個所と調整量を診断する診断
   部、該診断部の診断結果及び調整方法を表示する表示部
   から構成したことを特徴とするエレベータのドア診断装
   置。