JPH108138A - 超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法

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JPH108138A
JPH108138A JP15453496A JP15453496A JPH108138A JP H108138 A JPH108138 A JP H108138A JP 15453496 A JP15453496 A JP 15453496A JP 15453496 A JP15453496 A JP 15453496A JP H108138 A JPH108138 A JP H108138A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、一般のホット・ストリップ・ミルを
使用して容易に実施することが可能で、かつ機械的性質
の異方性が少なく、しかも従来技術よりもフェライト粒
径の微細化をさらに高めることが可能であり、そのため
に延性、靭性、疲労強度、特に伸びフランジ性を格段に
高めることができる高張力熱延鋼板の製造方法を提供す
ることを目的とする。 【解決手段】特定成分の連続鋳造スラブを950℃以
上、1100℃以下の温度に加熱した後、1回あたりの
圧下率が20%以上となる圧下を少なくとも2回以上行
い、仕上圧延温度がAr3 変態点以上となるように熱間
圧延した後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却し、35
0℃から550℃の温度範囲で巻き取ることにより、超
微細組織を有する高張力熱延鋼板を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱延鋼板の製造方
法に関し、詳しくは、熱延したままで超微細組織を有す
る延性、靭性、疲労強度、耐衝突強度に優れた熱延鋼
板、特に引張強度が450MPa以上の高強度範囲にお
いて上記材質に対する優位性を発揮する自動車用材、構
造材、パイプ材向けの高張力熱延鋼板の製造方法に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用材、構造材、パイプ材などに用
いられる鋼材の機械的性質を高める手段として、その鋼
材の結晶組織(以下、組織)を超微細化することが有効
と考えられ、超微細組織を得る技術の開発が従来より数
多く模索されてきた。特に、近年は、板厚を薄くして低
コスト化を図るために高張力鋼板が多く使用されるよう
になり、その高張力化に伴う加工性、靭性などの劣化を
抑える目的で高張力鋼における組織の微細化が重要な課
題となっている。また、この組織微細化は、特に伸びフ
ランジ性(例えば、円錐ポンチによる穴拡げ性で評価)
の向上に有効な手段と考えられている。
【0003】ところで、この組織微細化の方法として
は、制御圧延法、制御冷却法、大圧下圧延法などが従来
より知られている。これらのうち、高張力化と組織微細
化とを同時に達成する方法として広く用いられてきたの
は、素材にNbもしくはTiを含ませ制御圧延する方法
であり、得られる鋼板は、所謂析出強化型高張力熱延鋼
板であった。該方法が広く用いられてきた理由は、含有
するNbもしくはTiの析出強化作用により鋼材の高張
力化が容易に図れること、及び、Nb、Tiのオーステ
ナイト粒の再結晶抑制作用により、該鋼板に低温圧延を
施した時のγ→αへの歪み誘起変態を促進させ、フェラ
イト粒を微細化する効果を得ることにある。しかしなが
ら、上記方法で製造された高張力鋼板の難点は、機械的
性質の異方性が大きいことであり、例えば、プレス成形
用の自動車用鋼板等では、成形限界は最も延性や伸びフ
ランジ性が劣る方向での水準によって決まるが、異方性
が大き過ぎて高いプレス成形性の確保が難しくなる。ま
た、構造材、あるいはパイプ材に重要な靭性や疲労強度
等に関しても、この異方性が大きいという難点は同様の
問題につながる。
【0004】一方、前記大圧下圧延法による組織微細化
方法としては、例えば特開昭58−123823号公
報、特開昭59−229413号公報等に代表される提
案がある。これらの方法における超微細化の要点は、オ
ーステナイト粒に大圧下を加えることでγ→αへの歪み
誘起変態を促進することにあり、上記のNb、Tiを含
有する析出強化鋼の場合と基本的には同じ機構を利用す
るものである。ただし、両者の違いは、析出強化鋼の制
御圧延では、Nb、Tiのオーステナイト粒の再結晶抑
制効果を利用するのに対して、大圧下圧延法では、N
b、Tiを含有させなくとも結晶粒の微細化が可能であ
るという点である。そのため、大圧下圧延法で得た鋼材
は、機械的性質の異方性が析出強化鋼に比べて改善され
るという利点があるが、1パスあたりの圧下率を40%
以上にする必要がある等、一般的なホット・ストリップ
・ミルで実施し難い圧延条件にすることが最大の難点で
ある。
【0005】また、高張力鋼板の強度と加工性の両方を
満足させたものとして、残留オーステナイトの所謂TR
IP効果(Transformation Induc
edPlasticiry:変態誘起塑性)を利用した
鋼板が最近提案されている。例えば、特開昭60−43
425号公報は、熱間圧延後に鋼板を450〜650℃
の温度範囲で4〜20秒保持し、次いで350℃以下で
巻き取り、残留オーステナイトを有する鋼板を製造する
方法を開示している。しかしながら、この方法では、上
記した特殊な冷却制御を必要とするため、安定し、かつ
均一な材質を得ることができないという難点があった。
また、延性は格段に向上するが、伸びフランジ性に劣る
という欠点もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に鑑みてなされたもので、一般のホット・ストリップ・
ミルを使用して容易に実施することが可能で、かつ機械
的性質の異方性が少なく、しかも従来技術よりもフェラ
イト粒径の微細化をさらに高めることが可能であり、そ
のために延性、靭性、疲労強度、特に伸びフランジ性を
格段に高めることができる高張力熱延鋼板の製造方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】従来のフェライト結晶粒
径の微細化手段は、上述したように、いずれの方法にお
いてもγ→αへの歪み誘起変態を利用したものである。
本発明者は、該歪み誘起変態を利用するかぎり、上記の
ような問題点を回避することはできないと考え、新たな
る結晶粒の微細化方法を探究した。その結果、以下に述
べる新しい手段を見いだし、本発明をなすに至ったので
ある。
【0008】まず、オーステナイト粒が熱間圧延におい
て微細化するには、圧延−再結晶過程を経させることが
古くから知られている。しかし、かかる再結晶による微
細化では、到達し得るフェライト結晶粒径はせいぜい2
0μmが限度であり、これに対して、上記の制御圧延法
や大圧下圧延法によると、10μm程度の微細粒を得る
ことができるので、従来、再結晶過程を利用する微細化
方法は、超微細組織を得る方法としては不適当であると
考えられてきた。そこで、本発明者は、鋭意研究を行
い、熱間圧延開始前、すなわち、スラブの加熱時点で、
素材のオーステナイト粒径を極度に微細化させてから圧
延を行うと、その後の圧延−再結晶が極めて加速的に生
じるようになり、しかも圧延後の再結晶粒の微細化が大
幅に進展することを発見したのである。この微細化理由
は、必ずしも明確ではないが、以下に述べる機構による
と考えられる。
【0009】圧延によるオーステナイト粒の再結晶に
は、動的再結晶と静的再結晶があり、前者は、圧延温度
が高く、歪み速度が遅く、かつ大圧下が加えられた時、
すなわち、ホット・ストリップ・ミルでの圧延で言え
ば、粗圧延の初期−中期の段階に該当するような圧延条
件においてのみ生じる可能性のある再結晶であり、圧延
温度が低下し、かつ歪み速度の速くなる仕上圧延の段階
になると、この動的再結晶は起き難くなり、代わりに静
的再結晶が起きるようになると考えられてきた。
【0010】しかしながら、動的再結晶は極めて速い速
度で粒界移動あるいは新粒界を生成することによって歪
を開放する現象であり、また、結晶粒の微細化は、粒界
移動を容易化するので、動的再結晶を生じ易くする方向
に作用する。さらに、動的再結晶の各生成は旧粒界で起
こるので、旧結晶粒が微細であるほど、動的再結晶粒の
各生成頻度が高まり、再結晶後の新結晶粒の微細化が進
行することになる。
【0011】かくして、本発明者は、初期オーステナイ
ト粒径を極度に微細化すれば、動的再結晶は、より低温
域、より高歪み速度域、より低歪み領域においても生じ
るようになり、従来の熱延では生じ得なかった仕上圧延
段階においても、動的再結晶が起き、圧下数の増加と共
に動的再結晶による微細化が進行していくものと推測
し、本発明を完成させた。
【0012】すなわち、本発明は、C:0.05〜0.
10重量%、SiO2 :0.30〜2.0重量%、M
n:1.0重量%以下、Al:0.003〜0.100
重量%、Ti:0.05〜0.30重量%を含有し、残
部Fe及び不可避不純物よりなる連続鋳造スラブを95
0℃以上、1100℃以下の温度に加熱した後、1回あ
たりの圧下率が20%以上となる圧下を少なくとも2回
以上行い、仕上圧延温度がAr3 変態点以上となるよう
に熱間圧延した後、20℃/秒以上の冷却速度で冷却
し、350℃から550℃の温度範囲で巻き取ることを
特徴とする超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方
法である。
【0013】また、本発明は、上記Tiの全部又は一部
に代え、その2倍量のNbを含有することを特徴とする
超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法でもあ
る。本発明では、特定された組成を有する連続鋳造スラ
ブを上記の条件で熱延、冷却するようにしたので、一般
のホット・ストリップ・ミルで容易に実施可能で、かつ
機械的性質の異方性が少なく、しかも従来技術よりもフ
ェライト粒径の微細化をさらに高め、延性、靭性、疲労
強度、特に伸びフランジ性の格段に高い高張力熱延鋼板
が製造できるようになる。
【0014】なお、超微細化機構において最も重要な点
は、いうまでもなくスラブ加熱段階における初期オース
テナイト粒を極度に微細化させることである。本発明で
は、多量のTiCを存在せしめることでそれを達成した
のである。但し、前記した析出強化鋼においても、Ti
を超微細化元素として利用している。しかしながら、本
発明でのTiの作用と該析出強化鋼でのそれとは明白に
異なっている。すなわち、Ti系析出強化鋼でのTi
は、スラブ加熱段階ではオーステナイト粒に溶体化さ
せ、固溶Tiとしての再結晶抑制効果を利用して微細化
効果を発現させ、あわせて変態した後のフェライト粒
に、微細なTiCとして再析出させて析出強化を引き出
す働きをさせる。また、Nb系析出強化鋼では、Nbが
この役割を果たす。したがって、前記した従来の析出強
化鋼においては、スラブ加熱段階でTiC、もしくはN
bCを溶解させることが必要であり、加熱温度としては
比較的高温であることが必須の要件となる。これに対し
て、本発明では、Tiをスラブ加熱段階でオーステナイ
トに溶解させずTiCの状態として存在させることが重
要な要素となる。この理由は、第1に固溶Tiは、再結
晶を阻害し、本発明の微細化過程である動的再結晶を起
こし難くするためであり、第2は初期オーステナイトの
成長を抑制するTiCの量がその溶解によって減ずるか
らである。そのため、本発明では、スラブ加熱温度をT
iCの溶解が生じない低温度域に設定することが必要の
要件となるのである。
【0015】さらに加えて、本発明者は、素材へのC及
びMnの添加量を制限すると、パーライト相、ベイナイ
ト相、マルテンサイト相などの伸びフランジ性を阻害す
る組織の生成が抑制され、超微細なフェライト層と残留
オーステナイト相からなる組織が形成されることを新た
に見出すと共に、かかる組織は、パーライト、ベイナイ
ト、マルテンサイトの合計体積率が5%以下で平均粒径
が10μmのフェライトと、5〜20%の残留オーステ
ナイトとを含有することになり、延性及び伸びフランジ
性に優れることを確認している。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、前項で説
明した通りであるので、以下に素材の化学組成の限定理
由、及び熱延と冷却の条件を限定した理由について述べ
る。 C:まず、Cは、残留オーステナイトを生成させて必要
な強度を得るためと、組織微細化に重要な加熱段階での
TiCを十分な量確保するためとに、0.05重量%以
上が必要である。しかし、その量が0.10重量%を越
えると、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト等の
第2相の比率が多くなり、伸びフランジ性が劣化する。
したがって、Cは0.05〜0.10重量%の範囲とし
た。
【0017】Si:Siは、固溶強化により強度−伸び
バランスを改善しつつ強度を高める上で有効な元素であ
ると共に、フェライト変態を促進して本発明の目的とす
る組織を得る上で有効な元素であり、その効果を発現さ
せるためには、0.3重量%以上の添加が必要である。
一方、SiO2 の多量添加は、熱延時に脱スケール性の
悪いスケールが生じて製品での表面性状に悪影響を起こ
し易い。本発明では、超微細組織化のために加熱温度を
低温域に設定するので、上記表面性状が圧下するSi量
の上限は通常の鋼に比べて高くできるものの、それが
2.0%を越えると、悪影響が顕在化するので、2.0
重量%とした。
【0018】Mn:Mnは、強度の向上に有効な元素で
あるが、1.0重量%を越えると、フェライト変態が著
しく遅延し、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト
の変態層が生成しやすくなり、伸びフランジ性が劣化す
る。したがって、Mnは1.0重量%以下とした。 Al:Alは、溶鋼段階で脱酸に極めて有効な元素であ
るが、0.01重量%以下では、その効果は得られず、
一方、0.10重量%を越えると、結晶粒の粗大化及び
介在物による内部欠陥をもたらす。したがって、Alは
0.003〜0.10重量%の範囲とした。
【0019】Ti:Tiは、初めに述べたように、Ti
Cとして存在せしめてスラブ加熱段階での初期オーステ
ナイト粒を微細化させ、以降の圧延過程での動的再結晶
を生じさせるために必須の元素である。この作用を発揮
させるためには、少なくとも0.05重量%以上必要で
あり、TiCの増加とともに微細化効果は大きくなって
いくが、0.3重量%を越えると飽和する。従って、T
iは0.05〜0.30重量%の範囲とした。
【0020】上記限定組成を、本発明に係る製造方法で
用いる鋼素材の基本組成とするが、Tiと同様の作用を
示す元素としてNbがある。これをTiに代替させる
か、もしくはTi添加と重畳させて添加することによっ
ても良好な結果が得られる。Nbの効果は、Cに対する
原子比当量あたりでみると、Tiの作用とほぼ等価であ
るから、重量比でみるとTiよりもおよそ2倍の添加が
必要となり、経済的メリットはない。しかし、ERW溶
接、あるいはフラッシュバット溶接などを行う用途に使
用される場合には、溶接接合界面での酸化物の残存が問
題となる場合もある。このような用途、目的に対しては
Nbを添加しても良い。
【0021】次に、本発明での熱延条件について説明す
る。本発明では、まず、TiCによる初期オーステナイ
ト粒の微細化効果を最大限に発揮させることが技術上の
重要なポイントであり、この条件として、加熱温度の下
限を950℃、上限を1100℃に限定する。下限温度
は、それが950℃未満となると、仕上圧延をオーステ
ナイト領域で越えることが難しくなり、目的とするミク
ロ組織と機械的性質を確保し難くなるためである。上限
温度は、1100℃を越えると、TiCのオーステナイ
トへの溶解量が増加し、オーステナイト粒を微細化する
効果が失われると共に、固溶Tiの増加によって圧延時
の動的再結晶が生じ難くなり、目的とする高いフェライ
ト体積率、超微細なフェライト粒、かつ残留オーステナ
イト組織が得がたくなり、従来技術なみの機械的性質し
か得られなくなるためである。なお、本発明者は、最も
好ましい加熱温度範囲は、TiとCの溶解度積から求ま
ると考え、実験的に調査した結果、(1)式で示される
圧延開始温度(SRT)を基準として、−100〜+2
0℃の範囲とした。
【0022】次に、本発明では、圧延によってオーステ
ナイト粒に動的再結晶を繰り返し生じさせ、微細化して
いくことを目的としているが、動的再結晶を生じさせる
初期条件は、上記スラブ加熱温度要件を満たすことで補
償されているので、圧延に際しての要件は、1回あたり
の圧下率が重要な要素となる。すなわち、この圧下率が
20%に満たない場合には、目的とする動的再結晶によ
る微細化が生じなくなるので、各圧延スタンド毎の圧下
率の下限を20%とする。上限は、微細化効果の観点か
ら特に限定する必要はないが、現実的には圧延機の圧下
能力によって限界が生じ、圧延温度、鋼の化学成分及び
圧延寸法などによって異なるものの、20〜40%の圧
下を施すことが可能な圧延機が一般的であるので、本発
明をその範囲で実施することが好ましい。
【0023】また、本発明では、仕上圧延を終えた段階
でオーステナイト粒はほぼ等軸粒で微細化しており、そ
のままγ→α変態させれば微細なフェライト粒が生成し
はじめる。ただし、20℃/秒以下の冷却速度では、高
温域で生じるフェライト粒の粒成長によってフェライト
変態が進行し、フェライト変態促進効果及び微細化効果
が減ずるので、冷却速度の下限を20℃/秒とする。な
お、冶金学的観点からは、この冷却速度の上限を規定し
ないが、鋼板の平坦度を良好に保つため100℃/秒以
下が好ましい。また、巻取温度が550℃を越えると、
残留オーステナイト生成が小量となって延性の向上効果
が無くなること、及び高張力化が図れないことと、さら
に巻取り後の自己焼鈍効果が大きくなって超微細化させ
たフェライト粒が粒成長を起こす等、好ましくない結果
を招く。加えて、巻取温度350℃未満では、マルテン
サイト層が生成し、残留オーステナイト量が減じる。さ
らに、鋼板の平坦度の圧下も招くので、巻取温度の範囲
は、350℃から550℃に限定する。 以下に、本発
明の実施例を説明する。
【0024】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼素材を溶製し、表2
に示す熱間圧延条件で3.2mm厚さの熱延鋼板を製造
した。そして、これら熱延鋼板から試料を採取し、ポリ
ゴナル(多角形状)・フェライトの体積率、該フェライ
トの結晶粒径を測定すると共に、引張特性、円錐ポンチ
による穴拡げ比(伸びフランジ性)、両振り平面曲げ試
験法による疲労特性、2mmVノッチ・シャルピー試験
片による延性−脆性遷移温度(vTrs)を調査した。
これらの結果を一括して表3に示す。
【0025】これらの実施例及び比較例の結果から明ら
かなように、本発明に係る製造方法を適用して得た鋼板
は、強度−伸びバランスに優れ、且つ伸びフランジ性、
靭性、疲労強度にも優れているることがわかる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、一般
的なホット・ストリップ・ミルを用いて、容易に残留オ
ーステナイトを含む超微細フェライト組織が得られ、延
性、伸びフランジ性、疲労強度、靭性に優れた高張力鋼
板の製造が可能になった。また、この鋼板を用いて製品
を製造する際の作業性や歩留りが著しく向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法と比較例で製造した鋼板
の(TS×EL)値、穴拡げ比(λ)、(vTrs)値
と、ポリゴナル・フェライト体積率との関係を示す図で
ある。
【図2】本発明に係る製造方法と比較例で製造した鋼板
の(TS×EL)値、穴拡げ比(λ)、(vTrs)値
と、残留オーステナイト率との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.05〜0.10重量%、 Si:0.30〜2.0重量%、 Mn:1.0重量%以下、 Al:0.003〜0.100重量%、 Ti:0.05〜0.30重量% を含有し、残部Fe及び不可避不純物よりなる連続鋳造
    スラブを950℃以上、1100℃以下の温度に加熱し
    た後、1回あたりの圧下率が20%以上となる圧下を少
    なくとも2回以上行い、仕上圧延温度がAr3 変態点以
    上となるように熱間圧延した後、20℃/秒以上の冷却
    速度で冷却し、350℃から550℃の温度範囲で巻き
    取ることを特徴とする超微細組織を有する高張力熱延鋼
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記Tiの全部又は一部に代え、その2
    倍量のNbを含有することを特徴とする請求項1記載の
    超微細組織を有する高張力熱延鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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