JPH1080131A - 長尺磁気ネジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価な長尺磁気ネジを提供すること。 【解決手段】 本発明の長尺磁気ネジ１は、回転軸２の
外周面に連設された複数の円筒磁石３ａ…に対し、Ｓ極
とＮ極とが交互に螺旋帯状に着磁された雄磁気ネジ３の
外周に非磁性体のパイプ１１を装着し、ホルダ４の貫通
孔４ａ内周面に設けられた円筒磁石５ａ…に対しＳ極と
Ｎ極とが交互に螺旋帯状に着磁された雌磁気ネジ５とを
有し、その雌磁気ネジ５の両端部に雄磁気ネジ３との間
に所定間隔ａの隙間をあけるパイプ１１と摺接するガイ
ドリング１２，１２を取り付けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動ドアやＯＡ機
器等に使用される雄磁気ネジが長尺に形成された長尺磁
気ネジに関する。

【０００２】

【従来の技術】磁気ネジは、雄磁気ネジと雌磁気ネジと
の間の磁極による磁力作用によって駆動伝達が行われ
る。そのため、摩耗による環境汚染や騒音など従来から
使用されているネジ部が直接接触するために生じる送り
ネジの問題を回避することが可能であり、近年ＯＡ機器
等での実施が期待されている。ところで、磁気ネジは、
雄磁気ネジと雌磁気ネジの磁力による吸引力を利用して
いるため、両者が常に同心状に配置し接触しないよう全
周にわたって隙間を確保する必要がある。局部的にしろ
両者が接触していると、接触部分の磁気力が弱くなった
り、雄磁気ネジの回転が雌磁気ネジに伝達されない状態
が起こり得るためである。しかし、所定の隙間を確保す
るため、特に機器の小型化が進んでいる現状では磁気ネ
ジ自体も小型化され隙間も微少となったため、磁気ネジ
の製造には非常に高い加工精度が要求され、コストアッ
プ等の弊害が生じている。

【０００３】かかる問題点を解消すべく特開平７−２８
００６１号公報に簡単な構造で雄磁気ネジと雌時期ネジ
との両者を微少間隔に保持できるよう、雄磁気ネジを有
する軸を雌磁気ネジを有する筒体に対して略同心状に保
持し、摺動自在に案内するガイドリングを筒体の両側に
設けた磁気ネジが開示されている。以下、当該公報の磁
気ネジについて具体的に説明する。図３は、磁気ネジを
示した一部切欠正面図であり、図４は、その一部拡大断
面図である。

【０００４】当該公報の磁気ネジは、筒体５１の左右両
側にガイドリング５２，５３がネジ等で脱着自在に装着
され、その筒体５１に磁性体による雌ネジ構造が形成さ
れるとともに、丸棒状の平滑な軸５４表面にＮ極５５と
Ｓ極５６の各磁極が着磁されて雄磁気ネジが形成された
ものである。具体的には、雄磁気ネジには、軸５４表面
に貼着された磁石材料にＮ極５５とＳ極５６との螺旋帯
状が着磁され、両側にガイドリング５２，５３が装着さ
れた筒体５１には、その内周に例えば図４に示すような
ネジ山６１とネジ溝６２が形成されている。ネジ山６１
は、各磁極５５，５６と同一リード角、同一ピッチであ
る。このような構成の磁気ネジは、軸５４のＳ極５６の
磁力が筒体５１のネジ山６１に作用し、軸５４が軸方向
に拘束された状態となるため、軸５４の回転運動を筒体
５１の直線運動に変換することができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の磁気ネジでは、筒体５１の両側にガイドリング５
２，５３を設けたことによって、ネジ山６１の形成され
た筒体５１の内周面と各磁極５５，５６が着磁された軸
５４の外周面との非接触状態が保たれるが、軸を長尺に
したいわゆる長尺磁気ネジに対応させてみた場合には次
の問題があった。即ち、軸５４の外周表面に貼着し、Ｎ
極５５及びＳ極５６の螺旋状の着磁帯を形成する磁石材
料は、現在では３００ｍｍ程度の長さまでで長尺なもの
しかできないのが実状である。従って、長尺な磁気ネジ
を作成しようとすると短尺な磁石材料を軸５４表面に継
ぎ足して作成する必要があるため、棒材に磁石材料を取
り付ける場合に棒材と磁石材料のクリアランス分の偏心
がおこり、その連結部に凹凸が生じることとなる。この
ような凹凸部分をガイドリングを摺動させることはスム
ーズな運動を不可能とするため非現実的である一方、凹
凸をなくした精度の高い加工を行うことはコストアップ
につながるため賢明な方法ではない。

【０００６】そこで、本発明は、長尺な磁気ネジにおい
ける上記問題を解決すべく、安価な長尺磁気ネジを提供
することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の長尺磁気ネジ
は、回転可能に保持された長尺な回転軸の外周面に連設
された複数の円筒磁石に対しＳ極とＮ極とが交互に螺旋
帯状に着磁された雄磁気ネジと、ホルダの貫通孔内周面
に設けられた円筒磁石に対しＳ極とＮ極とが交互に螺旋
帯状に着磁された雌磁気ネジとを有し、その雄磁気ネジ
と雌磁気ネジとが非接触状態となるよう所定間隔の隙間
を設けて構成されたものであって、前記雄磁気ネジの外
周に装着された非磁性体からなるパイプと、前記雌磁気
ネジの両端部に、前記雌磁気ネジと前記雄磁気ネジとの
間に所定間隔の隙間をあける前記パイプと摺接するガイ
ドリングが取り付けられたものであることを特徴とす
る。

【０００８】また、本発明の長尺磁気ネジは、前記ガイ
ドリングが、テフロン系の樹脂によって形成されたもの
であることが望ましい。また、本発明の長尺磁気ネジ
は、前記雄磁気ネジが形成された回転軸と前記パイプと
の間であって、前記回転軸に回転出力を与える駆動シャ
フトに対して前記パイプを同心状に装着するための心出
しカラーを雄磁気ネジ両端に設けたものであることが望
ましい。

【０００９】このような構成による本発明の長尺磁気ネ
ジは、雄磁気ネジに対して回転力が伝達されると、雄磁
気ネジと雌磁気ネジとの間で作用する磁力によって吸引
力が働き、雄磁気ネジの回転運動が雌磁気ネジの直進運
動に変換されることとなるが、その際雌磁気ネジの両端
部のガイドリングが雄磁気ネジの外周に装着された非磁
性体パイプに対し摺動するめ、雄磁気ネジ表面に生じる
凹凸を非磁性体パイプが吸収し、雄磁気ネジと雌磁気ネ
ジとの非接触状態を保ち、表面形状に影響されることな
いスムーズな運動が可能な長尺磁気ネジを安価に提供す
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の長尺磁気ネジの一
実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図１は、
本実施の形態の長尺磁気ネジを一部切り欠いた側部断面
図であり、図２は長尺磁気ネジの端部を示した拡大断面
図である。本実施の形態の長尺磁気ネジ１は、水平に配
設されたロッド２の外周面に形成された雄磁気ネジ３
と、このような雄磁気ネジ３からなる駆動軸に対してス
ライド可能に設けられたスライドホルダ４の貫通孔４ａ
内周面に形成された雌磁気ネジ５とから構成されてい
る。ロッド２は、その両端部が駆動用シャフト６，６に
よって軸支され、回転可能なようその駆動用シャフト
６，６にネジ止めされている。ロッド２には、強磁性材
料（例えば鉄、酸化鉄、ニッケル、コバルト若しくはこ
れらを主成分とする合金その他の化合物等）が使用され
る。これは、磁力線の発生密度を増加させるためであ
る。そして、このロッド２の外周面に複数の円筒磁石３
ａ…が軸方向に連接され、その複数の円筒磁石３ａ…間
を連続する帯状のＮ極着磁帯３N とＳ極着磁帯３S とが
着磁され雄磁気ネジ３が形成される。

【００１１】一方、スライドホルダ４には、ブロックに
貫通孔４ａが形成され、その内周面に複数の円筒磁石５
ａ…が軸方向に連設され、雄磁気ネジ３と同様に円筒磁
石５ａ…間を連続する帯状のＮ極着磁帯５N とＳ極着磁
帯５S とが交互に着磁されて雌磁気ネジ５が形成されて
いる。そして、スライドホルダ４は、ロッド２と平行な
回り止め用の不図示の案内軸に貫通され、回転すること
なく、常に水平な状態を維持しながら移動することとな
る。雄磁気ネジ３及び雌磁気ネジ５の極着磁帯３N ，３
S ，５N ，５S は、同一の傾斜角度及びリードピッチで
平行螺旋状に着磁されている。

【００１２】そして、雄磁気ネジ３が構成された駆動軸
が雌磁気ネジ５の構成されたスライドホルダ４を貫いて
配設された際、雄磁気ネジ３と雌磁気ネジ５とが互いに
接触しないよう、両者の間には微少な隙間ａが設けられ
ている。しかし、本実施の形態の長尺磁気ネジ１は、前
述したように円筒磁石３ａを連接して軸方向の寸法の長
い雄磁気ネジ３を構成しているため、ロッド２にたわみ
が生じてしまい局部的に雌磁気ネジ５が雄磁気ネジ３に
接触し得る。そのため、本実施の形態では、雄磁気ネジ
３を包むように一本の非磁性体のパイプ１１を覆装し、
常に隙間ａを一定に保つためにスライドホルダ４の両端
にパイプ１１を摺動するガイドリング１２，１２が固定
されている。この非磁性体のパイプ１１には、ステンレ
ス等で形成された０．１〜０．３ｍｍ程度の薄肉のパイ
プを使用し、ガイドリング１２には、摩擦係数の小さい
テフロン系の樹脂を使用するのが好ましい。

【００１３】ところで、磁気ネジを形成する円筒磁石
は、一般に成形されるものであって内径及び外径のバラ
ツキが大きい。そのため、連設した円筒磁石３ａ…に対
しパイプ１１をそのまま装着したのでは、ロッド２と円
筒磁石３ａ…との間のクリアランス分の偏心が生じ、パ
イプ１１も駆動用シャフト６，６に対して偏心すること
になる。そうした場合、パイプ１１の偏心に対してもス
ライドホルダ４がスムーズに移動できるようにするに
は、ガイドリング１２とパイプ１１との距離を大きくと
る必要がある。その一方、磁石間の磁力作用によって移
動する磁気ネジでは、雄磁気ネジ３と雌磁気ネジ５との
距離をできるだけ小さくすることが好ましい。そこで、
本実施の形態の長尺磁気ネジ１では、パイプ１１の偏心
を防止するため、図２に示すように雄磁気ネジ３の両端
に心出しカラー１３，１３を設けた。

【００１４】このような構成による本実施の形態の長尺
磁気ネジ１は、ロッド２の回転によって雄磁気ネジ３が
回転すれば、雌磁気ネジ５の着磁帯５S ，５N が、同一
のピッチで形成された雄磁気ネジ３の着磁帯３N ，３S
との間に働く磁力作用によって吸引されるため、スライ
ドホルダ４が軸方向に移動することとなる。

【００１５】そこで、スライドホルダ４に固定されたガ
イドリング１２，１２がパイプ１１を摺動するため、ロ
ッド２のたわみ部分の通過に際しても、雌磁気ネジ４が
雄磁気ネジ３に接することなく隙間ａを一定に保つこと
ができる。また、雄磁気ネジ３を構成する円筒磁石の連
設部分の通過に際しても、パイプ１１がその部分に生じ
る凹凸を吸収するため、ガイドリング１２，１２が抵抗
を受けずにスムーズに摺動することがき、スライドホル
ダ４の安定した移動及び耐摩耗性の向上を図ることがで
きた。また、複数の円筒磁石を連設して形成する必要の
ある長尺磁気ネジであっても、その雄磁気ネジ３にパイ
プ１１を覆装するという簡易な構成によって、隙間ａを
保つガイドリング１２，１２のスムーズな摺動を可能と
し、そのような長尺磁気ネジを非常に安価に提供するこ
とが可能となった。更に、パイプ１１を設けたことによ
り、雄磁気ネジ３を構成する円筒磁石３ａ…の錆が防止
できた。また、心出しカラー１３，１３によってパイプ
１１の偏心を少なくすることができた。

【００１６】なお、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な
変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、単一
のスライドホルダ、即ち一組の磁気ネジについて説明し
たが、雄磁気ネジを構成する螺旋着磁帯をクロスした二
重着磁によって形成し、この一本の雄磁気ネジに対して
二つのホルダにそれぞれ形成した雌磁気ネジを有するも
のなど、より長尺な雄磁気ネジが要求されるような磁気
ネジにも使用できる。

【００１７】

【発明の効果】本発明は、複数の円筒磁石に対しＳ極と
Ｎ極とが交互に螺旋帯状に着磁された雄磁気ネジの外周
に装着した非磁性体からなるパイプと、円筒磁石に対し
Ｓ極とＮ極とが交互に螺旋帯状に着磁された雌磁気ネジ
の両端部に、その雌磁気ネジと雄磁気ネジとの間に所定
間隔の隙間をあけるパイプと摺接するガイドリングを取
り付けたので、安価な長尺磁気ネジを提供することが可
能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる長尺磁気ネジの一実施の形態の
一部切り欠いた側面図である。

【図２】本発明にかかる長尺磁気ネジの一実施の形態の
端部を示した拡大断面図である。

【図３】従来の磁気ネジを示した一部切欠正面図であ
る。

【図４】従来の磁気ネジを示した一部拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 磁気ネジ ２ ロッド ３ 雄磁気ネジ ３ａ，５ａ 円筒磁石 ４ スライドホルダ ５ 雌磁気ネジ ６ 駆動シャフト １１ パイプ １２ ガイドリング １３ 心出しカラー

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転可能に保持された長尺な回転軸の外
   周面に連設された複数の円筒磁石に対しＳ極とＮ極とが
   交互に螺旋帯状に着磁された雄磁気ネジと、ホルダの貫
   通孔内周面に設けられた円筒磁石に対しＳ極とＮ極とが
   交互に螺旋帯状に着磁された雌磁気ネジとを有し、その
   雄磁気ネジと雌磁気ネジとが非接触状態となるよう所定
   間隔の隙間を設けて構成された長尺磁気ネジにおいて、 前記雄磁気ネジの外周に装着された非磁性体からなるパ
   イプと、 前記雌磁気ネジの両端部に、前記雌磁気ネジと前記雄磁
   気ネジとの間に所定間隔の隙間をあける前記パイプと摺
   接するガイドリングが取り付けられたものであることを
   特徴とする長尺磁気ネジ。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の長尺磁気ネジにおい
   て、 前記ガイドリングが、テフロン系の樹脂によって形成さ
   れたものであることを特徴とする長尺磁気ネジ。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２に記載の長尺磁気
   ネジにおいて、 前記雄磁気ネジが形成された回転軸と前記パイプとの間
   であって、前記回転軸に回転出力を与える駆動シャフト
   に対して前記パイプを同心状に装着するための心出しカ
   ラーを雄磁気ネジ両端に設けたことを特徴とする長尺磁
   気ネジ。