JPH107989A - シラン化合物被膜の形成方法 - Google Patents

シラン化合物被膜の形成方法

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JPH107989A
JPH107989A JP16992796A JP16992796A JPH107989A JP H107989 A JPH107989 A JP H107989A JP 16992796 A JP16992796 A JP 16992796A JP 16992796 A JP16992796 A JP 16992796A JP H107989 A JPH107989 A JP H107989A
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silane compound
group
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film
compound
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JP16992796A
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English (en)
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Shinsuke Ochiai
伸介 落合
Yukio Yasunori
幸雄 康乗
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂基材表面上にシラン化合物からなる被膜
を形成する方法を提供する。 【解決手段】 樹脂基材表面に、分子中に少なくとも2
個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合
物100重量部に対して無機化合物微粒子1〜100重
量部を含有する組成物を塗布、硬化して被膜を形成させ
た後に、その被膜表面に加水分解によりシラノール基を
生成する基を少なくとも1個有するシラン化合物を被覆
することを特徴とするシラン化合物被膜の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂基材表面にシ
ラン化合物被膜を形成する方法に関する。詳しくは樹脂
基材表面にシラン化合物被膜を耐久性よく形成する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスや樹脂の基材表面上に無機化合物
の蒸着皮膜を形成し、その上にシラン化合物で処理する
ことによって、基材表面とシラン化合物が化学結合を形
成し、シラン化合物の被膜を半永久的に付与することが
できることは従来より広く知られており、工業的にも広
く利用されている。シラン化合物による処理の例とし
て、OA機器等に使用される表示画面の前面板や眼鏡レ
ンズ等への処理が挙げられる。表示画面の前面板や眼鏡
レンズ等は、人が使用することによって、手垢、指紋、
汗、化粧料等が付着する。従ってその表面を特定のシラ
ン化合物で処理することにより、このような汚れに対し
て付着しにくく、あるいは汚れを拭き取りやすくする工
夫がなされている。
【0003】例えば、特開平2−248480号公報や
特開平6−184527号公報には、ガラス板表面にフ
ルオロアルキルシラン化合物からなる耐汚染性被膜を形
成した物品が提案されている。また、特開平6−256
756号公報には、ガラス板表面にフルオロアルキルシ
ラン化合物とポリシロキサン化合物からなる耐汚染性被
膜を形成した物品が提案されている。
【0004】一方、建築用の窓等では、雨や泥、排気ガ
ス等による汚れが付着し、基材の透明性が失われるなど
の問題を有しているため、防汚染処理が望まれている。
一般に、樹脂表面に耐汚染性を付与するにはポリテトラ
フルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系
の樹脂を表面に被覆する方法等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、直接シラン化合
物の被膜を形成できるのはガラス表面のみであり、一般
の樹脂表面上に直接シラン化合物の被膜を形成させて
も、基材と結合を有していないために簡単に剥離すると
いう欠点があった。また、樹脂基材上にシラン化合物の
被膜を形成させる方法として、予め樹脂表面に二酸化珪
素などの無機化合物からなる蒸着被膜を形成させた後、
その上にシラン化合物の被膜を形成させる方法が知られ
ているが、その工程が煩雑であり、またコストも高くな
るという問題があった。
【0006】一方、樹脂表面にフッ素系樹脂を被覆する
方法においては、フッ素系の樹脂が基材樹脂との接着性
に乏しいために、何らかの化学結合が必要である。シラ
ン化合物は基材と化学結合を形成するための官能基を有
しているが、一般の樹脂表面にはシラン化合物と反応す
るための官能基を有していないことが多い。そこで本発
明者は、一般の樹脂基材表面上にシラン化合物からなる
被膜を形成する方法について鋭意検討した結果、特定の
重合性化合物及び無機化合物微粒子を含有する組成物を
塗布して被膜を形成させ、該被膜表面に、加水分解によ
りシラノール基となる基を有するシラン化合物を被覆す
ることによって、樹脂表面に耐久性に優れたシラン化合
物被膜を形成できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、樹脂
基材表面に、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリ
ロイルオキシ基を有する重合性化合物100重量部に対
して無機化合物微粒子1〜100重量部を含有する組成
物を塗布、硬化して被膜を形成させた後に、その被膜表
面に加水分解によりシラノール基を生成する基を少なく
とも1個有するシラン化合物を被覆することを特徴とす
るシラン化合物被膜の形成方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系
樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタ
レート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロー
ス、ジアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、スチ
レン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これら
の樹脂中には、耐衝撃性向上のためのゴム、耐候性改良
のための紫外線吸収剤、その他の改質用に酸化防止剤、
着色剤、難燃剤等の各種添加剤が含まれていても構わな
い。
【0009】本発明で使用される樹脂基材の形状は特に
制限される物ではないが、フィルムまたはシート状が好
ましく用いられる。また、これらの樹脂として偏光特性
等を付与した光学フィルムまたはシートも同様に挙げら
れる。フィルムまたはシートは単層でも、複数の樹脂を
積層したものでもよい。その厚みは使途によって任意に
選択し得るが0.01〜10mm程度である。
【0010】分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリ
ロイルオキシ基を有する重合性化合物としては、多価ア
ルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化物や、末端
にイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する
(メタ)アクリル酸誘導体から得られるウレタン変性
(メタ)アクリルオリゴマー等が挙げられる。多価アル
コールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオ
ール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3
−ヘキサンジオール、2,2’−チオジエタノール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等の2価のアルコ
ール、その他トリメチロールプロパン、ペンタグリセロ
ール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセ
ロール、ジペンタグリセロール等の3価以上のアルコー
ルが挙げられる。
【0011】重合性化合物を硬化してなる被膜に可とう
性を持たせ、ひび割れしにくくするため、上記の多価ア
ルコールをエステル化する(メタ)アクリル酸に更に多
価不飽和カルボン酸を少量加えて混合エステルとしても
良い。多価不飽和カルボン酸としては、例えばコハク
酸、テトラヒドロフタル酸、フタル酸、マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0012】ウレタン変性(メタ)アクリルオリゴマー
は、ポリイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート等と複数の
水酸基を有するオリゴマー、例えば、ポリカプロラクト
ンジオール、ポリテトラメチレンジオール等との反応に
よって生成される末端イソシアネートポリウレタンに、
更に水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、例え
ば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルとのウレタン化
反応によって得ることができる。
【0013】無機化合物微粒子は、後述するシラン化合
物との反応性を高めるための物である。用いられる無機
化合物としては、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、酸化スズ、一酸化珪素、酸化ジ
ルコニウム、酸化チタンなどの無機酸化物などを挙げる
ことができる。なかでも主として二酸化珪素からなるシ
リカ微粒子が、価格、粒径の制御のし易さ、更にシラン
化合物層との密着性の点から好ましい。
【0014】無機化合物微粒子の粒径としては1〜10
0nmが好ましい。粒径が100nmより大きくなると
塗布表面に微細な凹凸を生じるようになり、外観上好ま
しくない。また無機化合物微粒子とシラン化合物被膜と
の結合性が低下し、シラン化合物被膜を形成させる前に
コロナ処理やプラズマ処理等の前処理が必要となり、工
程が煩雑になるため好ましくない。
【0015】好ましく用いられるシリカ微粒子の表面は
疎水化処理されていない物が好ましい。疎水化処理され
るとシラン化合物との反応性が低下する。シリカ微粒子
として、コロイダルシリカを用いることができる。コロ
イダルシリカを用いると重合性化合物中に容易に分散さ
せることが可能である。
【0016】無機化合物微粒子の添加量は、重合性化合
物100重量部に対して、1〜100重量部、好ましく
は1〜50重量部である。1重量部より少ない場合に
は、シラン化合物との十分な反応性が得られない。また
100重量部より多い場合には硬化被膜の強度が低下す
るだけでなく、基材との密着性も低下するため好ましく
ない。
【0017】本発明の重合性化合物および無機化合物微
粒子を含有する組成物には、後述の重合硬化の方法に適
合する公知の重合開始剤や重合促進剤、例えば、アゾ化
合物、有機過酸化物のラジカル発生剤;ベンゾイン、ベ
ンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、
ベンゾインプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、
ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン等のカル
ボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、
テトラメチルチウラムジスルフィド等の光増感剤を含ま
せるのが望ましい。これらの剤の添加量は、重合性化合
物100重量部に対し、0.1〜10重量部であること
が好ましい。
【0018】さらに硬化被膜の物性を損なわない程度
に、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加物が含まれていて
も構わない。紫外線吸収剤としては、市販のベンゾトリ
アゾール系、ベンゾフェノン系等が挙げられ、光安定剤
としてヒンダードアミン系等が挙げられる。
【0019】重合性化合物及び無機化合物微粒子を含有
する組成物を基材上に塗布する方法としては、通常のコ
ーティング作業で用いられる方法で、例えば、基材えお
回転させ、その上に組成物溶液を滴下することで、組成
物による被膜を均一に形成させるスピン塗装;基材を組
成物溶液中に浸漬させ、一定速度で引き上げることで被
膜を形成させる浸漬塗装;ロールに組成物被膜を形成さ
せ、ロール間を基材を移動させることによりロールの組
成物を基材上に転写させるロールコート塗装やグラビア
コート塗装;組成物溶液を滝状に流し落とし、その下を
基材が通り抜けることにより組成物の被膜を形成させる
カーテンフロー塗装等である。この際、塗布しやすくす
るために、あるいは被覆膜の膜厚を調整するために該原
料を種々の溶剤により希釈しても構わない。
【0020】被覆した組成物を硬化させるには、加熱昇
温する熱重合、紫外線や電子線などの活性エネルギー線
の照射による光重合させる方法がある。なかでも光重合
させる方法が簡便で好ましい。
【0021】無機化合物微粒子を含有する被膜の厚みは
特に限定されるものではないが、1〜20μmが好まし
い。1μmより小さくなるとシラン化合物との反応性を
高める効果が得難い。また20μmを超えると被膜にひ
びが入るなど膜の強度上好ましくない。
【0022】加水分解によりシラノール基となる基を有
するシラン化合物としては、例えば、クロロシラン化合
物、アルコキシシラン化合物、アシロキシシラン化合
物、シラザン化合物等が挙げられる。このような基を分
子中に少なくとも1個有するシラン化合物としては、例
えば、ジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルメチルジメトキシシラン、エチルトリア
セトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチ
ルトリメチルシリルアミン、N−トリメチルシリルアセ
トアミド、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
【0023】さらに特開平7−16940号公報で示さ
れているようなγ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシランのような重合性を有する化合物と他の重合性化
合物との共重合体等も例として挙げることができる。ま
た分子の末端をシラノール変成したポリジメチルシロキ
サンからなるシリコンオイルも同様に例として挙げられ
る。
【0024】また樹脂基材表面に撥水性、耐汚染性等を
付与するために下記の一般式 化4で示される含フッ素
シラン化合物が好ましく用いられる。
【0025】
【化4】 (式中、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パ
ーフルオロアルキル基、R1 は加水分解可能な基、R2
は水素原子または不活性な一価の有機基、R3 は二価の
有機基、nは0〜2の整数を表す。)
【0026】R1 は加水分解可能な基であり、ハロゲ
ン、−OR4 、−OCOR4 、−OC(R4)=C(R5)
2 、−ON=C(R4)2 、−ON=CR6 が好ましい。
(ここで、R4 は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水
素基、R5 は水素原子または低級脂肪族炭化水素基、R
6 は炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基である。) さらに好ましくは、塩素原子、−OCH3 、−OC2
5 である。R2 は水素原子または不活性な一価の有機基
であるが、好ましくは、炭素数1〜4の一価の炭化水素
基である。R3 は二価の有機基であるが、具体的には−
CH2 CH2 −、−CH2 OCH 2 CH2 CH2 −、−
CONHCH2 CH2 CH2 −、−CONHCH2 CH
2NHCH2 CH2 CH2 −、−SO2 NHCH2 CH
2 CH2 −、−CH2 CH 2 OCONHCH2 CH2
2 −等が挙げられる。nは0〜2の整数であるが、好
ましくは0である。
【0027】このような一般式 化4で示される含フッ
素シラン化合物として、例えば、CF3 CH2 CH2
i(OCH3 )3、C4 9 CH2 CH2 Si(CH3 )
(OCH3 )2、C8 17CH2 CH2 Si(OC
3 )3、C8 17CH2 CH2 Si(OC2 5 )3、C
8 17CH2 CH2 SiCl3 、(CF3 )2CF(CF
2 )8CH2 CH2 Si(OCH3 )3、C1021CH2
2 Si(OCH3 )3、C1021CH2 CH2 SiCl
3 等が挙げられる。
【0028】更により優れた防汚性被膜を形成するため
に、下記の一般式 化5で示される含フッ素シラン化合
物が用いられる。
【0029】
【化5】 (式中、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パ
ーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原
子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原
子またはトリフルオロメチル基、R1 は加水分解可能な
基、R2 は水素原子または不活性な一価の有機基、a、
b、c、dは0〜200の整数、eは0または1、mお
よびnは0〜2の整数、pは1〜10の整数を表す。)
【0030】式中のRf は炭素数1〜16の直鎖状また
は分岐状パーフルオロアルキル基であるが、好ましくは
CF3 −、C2 5 −、C3 7 −である。R1 は加水
分解可能な基であり、ハロゲン、−OR4 、−OCOR
4 、−OC(R4 )=C(R5 2 、−ON=C
(R4 2 、−ON=CR6 が好ましい。(ここで、R
4 は脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基、R5
水素原子または低級脂肪族炭化水素基、R6 は炭素数3
〜6の二価の脂肪族炭化水素基である。) さらに好ま
しくは、塩素、−OCH3 、−OC2 5 である。R2
は水素原子または不活性な一価の有機基であるが、好ま
しくは、炭素数1〜4の一価の炭化水素基である。a、
b、c、dは0〜200の整数であるが、好ましくは1
〜50である。mおよびnは0〜2の整数であるが、好
ましくは0である。
【0031】また数平均分子量は5×102 〜1×10
5 であるが、好ましくは5×102〜1×104 であ
る。
【0032】また、上記の一般式 化5で示されるシラ
ン化合物の好ましい例として、下記の一般式 化6で示
される含フッ素シラン化合物が挙げられる。
【0033】
【化6】 (式中、Yは水素原子または低級アルキル基、R1 は加
水分解可能な基、qは1〜50の整数、mは0〜2の整
数、pは1〜10の整数を表す。)
【0034】これらのフッ素化合物は市販のパーフルオ
ロポリエーテルをシラン処理することによって得ること
ができる。このことは、例えば、特開平1−29470
9号公報に開示されている。
【0035】上記のこれらシラン化合物は後述する溶媒
中や塗布後に空気中の水分で加水分解してシラノール基
を生成し、これが硬化被膜中の無機化合物微粒子と強固
に結合して耐久性のよい被膜が形成されるものと考えら
れる。
【0036】なお、シラン化合物を塗布する際には溶剤
で希釈しても構わない。溶剤としては、一般的には水が
用いられるが、シラン化合物の溶解性により、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル
類、塩化メチレン、トリクロロエチレン、クロロホルム
等の塩素化炭化水素、エタノール、1−プロパノール、
2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類の
ような一般的な有機溶剤を用いても良い。また前記の一
般式 化5及び化6で示される含フッ素シラン化合物に
ついては、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチル
シクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシク
ロヘキサン等を希釈溶剤として用いることができる。
【0037】樹脂基材表面とシラン化合物との反応を促
進するために、シラン化合物溶液中に希塩酸水溶液、希
硫酸水溶液、リン酸水溶液、脂肪酸金属塩、金属アルコ
キシド等の触媒が含まれていても構わない。
【0038】シラン化合物被膜を樹脂基材表面上に形成
させるに方法としては、先に述べた重合性化合物および
無機化合物微粒子を含有する組成物の塗布と同様な塗布
方法によればよい。すなわち、スピン塗装、浸漬塗装、
ロールコート塗装、グラビアコート塗装、カーテンフロ
ー塗装等が用いられる。また、必要に応じ塗布後に加熱
乾燥される場合がある。また上記の塗装法以外に、真空
蒸着法や、スパッタリング法により被膜を形成させるこ
とも可能である。その際には原料シラン化合物は高濃
度、又は溶剤で希釈せずに使用することができる。
【0039】シラン化合物の被覆膜の厚さは特に限定さ
れるものではないが、0.001〜20μmが好まし
い。0.001μm以下だと防汚効果が乏しくなり、2
0μm以上であると被膜の強度が低下して好ましくな
い。また前記の一般式 化5及び化6で示される含フッ
素シラン化合物の場合には、表面がべたつくので0.5
μm以下が好ましい。
【0040】
【発明の効果】本発明により、樹脂基材表面上に耐久性
に優れたシラン化合物被膜を容易に形成することができ
る。特に、防汚性に優れたシラン化合物被膜を樹脂基材
表面上に耐久性よく形成するのに適している。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は実施例に限定されるものではない。な
お、実施例において、各種の物性の評価試験方法は以下
の通りである。 (1)接触角:接触角計(CA−A型:協和界面化学
製)を使用し、室温下で直径1.0mmの水滴を針先に
つくり、これを基材の表面に触れさせて液滴をつくっ
た。このときに生ずる液滴と面との角度を測定し接触角
とした。 (2)耐久性:セルロース製不織布(ベンコット:旭化
成製)により、基材の表面を20往復拭き取った後に、
前述した方法で水に対する接触角を測定することで耐久
性試験を行った。 (3)指紋の付着性:表面に右手親指を三秒間押しつけ
て、指紋を付着させ、そのつき易さあるいは目立ち易さ
を目視判定した。判定基準は次の通りとした。 ○:指紋の付着が少なく、付いた指紋が目立たない。 ×:指紋の付着が明確に認識できる。 (4)指紋の拭き取り性:付着した指紋をセルロース製
不織布で拭き取り、指紋のとれ易さを目視判定した。判
定基準は以下の通りとした。 ○:指紋を完全に拭き取ることができる。 △:指紋の拭き取り跡が残る。 ×:指紋拭き取り跡が残り、除去することが困難であ
る。
【0042】参考例 (1)重合性組成物溶液の調製 固形分が40%となるようにキシレン、酢酸エチル、エ
チレングリコールモノブチルエーテルの混合溶媒(混合
比3:1:1)で希釈したウレタンアクリレート系ハー
ドコート剤(コーエイM101:広栄化学製)に固形分
30%のイソプロピルアルコールのコロイダルシリカ
(スノーテックスIPA−ST:日産化学製)をハード
コート固形分100重量部に対し50重量部(固形分で
15重量部)添加し、撹拌した。 (2)シラン化合物溶液(I)の調製 パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン(C8F
17CH2CH2Si(OCH3)3)をイソプロピルアルコールで希釈
し、2.0g/Lの溶液とした。この溶液100部に対
し、0.1規定の塩酸水溶液を3部添加し、1時間以上
撹拌した。 (3)シラン化合物溶液(II)の調製 下式 化7で示されるパーフルオロポリエ−テルシラン
化合物(数平均分子量:約5000、ダイキン工業
(株)製)をパーフルオロヘキサンで希釈し2.0g/
Lの溶液とした。
【0043】
【化7】
【0044】実施例1 200×300×0.25mmの耐衝撃アクリルフィル
ム(テクノロイ:住化学工業(株)製)を参考例で調整
した重合性組成物溶液中に浸漬し、30cm/分の引き
上げ速度で塗布した。溶剤を揮散させた後に、120W
のメタルハライドランプ(UB0451:アイグラフィ
ック社製)を20cmの距離から10秒間照射すること
により被膜を形成させた。得られたフィルムを参考例で
調整したシラン化合物溶液(I)中に浸漬し、15cm
/分の引き上げ速度で塗布した。塗布後は室温条件下で
一昼夜放置して溶剤を揮散させ、シラン化合物被膜を形
成したフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
【0045】実施例2 参考例で調整したシラン化合物溶液(II)を用いた以外
は、実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示し
た。
【0046】比較例1 コロイダルシリカを添加せずに重合組成物溶液と同様の
方法で重合性組成物溶液を調製して用いた以外は、実施
例1と同様に行った。評価結果を表1に示した。
【0047】比較例2 参考例で調整したシラン化合物溶液(II)を用いた以外
は、比較例1と同様に行った。評価結果を表1に示し
た。
【0048】比較例3 シラン化合物被膜を形成しなかった以外は実施例1と同
様に行った。評価結果を表1に示した。
【0049】
【表1】 * Si-I : シラン化合物溶液(I) Si-II : シラン化合物溶液(II)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂基材表面に、分子中に少なくとも2
    個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合
    物100重量部に対して無機化合物微粒子1〜100重
    量部を含有する組成物を塗布、硬化して被膜を形成させ
    た後に、その被膜表面に加水分解によりシラノール基を
    生成する基を少なくとも1個有するシラン化合物を被覆
    することを特徴とするシラン化合物被膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 重合性化合物が多価アルコールと(メ
    タ)アクリル酸のエステル化物またはウレタン変性(メ
    タ)アクリルオリゴマーである請求項1記載の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 無機化合物微粒子が粒子径1〜100n
    mのシリカ微粒子である請求項1記載の形成方法。
  4. 【請求項4】 シラン化合物が下記の一般式 化1で示
    される含フッ素シラン化合物である請求項1記載の形成
    方法。 【化1】 (式中、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パ
    ーフルオロアルキル基、R1 は加水分解可能な基、R2
    は水素原子または不活性な一価の有機基、R3 は二価の
    有機基、nは0〜2の整数を表す。)
  5. 【請求項5】 シラン化合物が下記の一般式 化2で示
    される含フッ素シラン化合物である請求項1記載の形成
    方法。 【化2】 (式中、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パ
    ーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原
    子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原
    子またはトリフルオロメチル基、R1 は加水分解可能な
    基、R2 は水素原子または不活性な一価の有機基、a、
    b、c、dは0〜200の整数、eは0または1、mお
    よびnは0〜2の整数、及びpは1〜10の整数を表
    す。)
  6. 【請求項6】 シラン化合物が下記の一般式 化3で示
    される含フッ素シラン化合物である請求項1記載のシラ
    ン化合物被膜の形成方法。 【化3】 (式中、Yは水素原子または低級アルキル基、R1 は加
    水分解可能な基、qは1〜50の整数を、mは0〜2の
    整数、pは1〜10の整数を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7119831B2 (en) 2002-01-17 2006-10-10 Sony Corporation Information providing apparatus, information providing method, storage medium, and computer program
JP2008075064A (ja) * 2006-08-21 2008-04-03 Kobe Steel Ltd 撥水性塗料および撥水金属板
JP2019085566A (ja) * 2017-11-07 2019-06-06 住友化学株式会社 組成物

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