JPH107864A - 半導電性フッ素樹脂組成物および半導電性フッ素樹脂フィルム - Google Patents

半導電性フッ素樹脂組成物および半導電性フッ素樹脂フィルム

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JPH107864A
JPH107864A JP8162058A JP16205896A JPH107864A JP H107864 A JPH107864 A JP H107864A JP 8162058 A JP8162058 A JP 8162058A JP 16205896 A JP16205896 A JP 16205896A JP H107864 A JPH107864 A JP H107864A
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健二 立石
Toshiaki Shimizu
利明 清水
Tomoyasu Hiraba
智康 平場
Shigetoshi Takechi
重利 武智
Takanori Okamoto
孝則 岡本
Kazuki Okunaka
一樹 奥中
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】良好な物理的、機械的特性を有し、1×108
〜1×1012Ω・cmの範囲の所定の体積固有抵抗、お
よび1×108 〜1×1012Ω/□の範囲の所定の表面
固有抵抗を安定して精度良く発現し、環境依存性、ブリ
ードアウトが少なく、高温高湿下でも製品表面に曇りを
発生せず、表面接触角が大きく、加工性にも優れた電子
画像形成プロセスに適した半導電性フッ素樹脂組成物、
および半導電性フッ素樹脂フィルムを提供することを目
的とする。 【解決手段】融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂
98〜85重量部とポリアルキレンオキサイド2〜15
重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤
0.03〜3重量部、およびイオン電解質0.02〜3
重量部を含有する半導電性フッ素樹脂組成物、或はさら
に、シリコーン系樹脂0.3〜10重量部を含有する半
導電性フッ素樹脂組成物、およびそれらよりなる半導電
性フッ素樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、電子写真、ファクシミ
リ、レーザープリンター等の電子画像形成プロセスに適
した性質を有する組成物、及び該組成物から得られるフ
ィルムに関し、さらに詳しくは、高分子型帯電防止剤、
酸化防止剤、さらに好ましくはシリコーン系樹脂を含有
してなる半導電性フッ素樹脂組成物、および半導電性フ
ッ素樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、熱可塑性樹脂に帯電防止性や
導電性を付与する目的で有機系の帯電防止剤やカーボン
ブラック、金属粉末等の無機系導電性材料を添加するこ
とが行われている。ところが、これらのうち、カーボン
ブラックや金属粉末等の無機系導電性材料は、極めて高
い導電性を付与できる反面、それらの接触によって導電
性を発現しているため添加量の僅かな変化、或いは加工
条件等によって電気抵抗が大きく変化し、特に、体積固
有抵抗を1×105 〜1×1012Ω・cmの範囲にコン
トロールすることは極めて困難であった。さらに、この
ような無機系導電性材料を添加した場合、熱可塑性樹脂
の透明性は損なわれ、大量に配合すると製品の機械的強
度が低下したり、表面が粗面化するといった問題もあっ
た。
【0003】一方、有機系の帯電防止剤を用いた場合
は、透明性や機械的強度の低下という問題は少ないもの
の、通常の添加量では1×1011Ω・cm以下の体積固
有抵抗を発現するのは困難であった。また、一般に有機
系の帯電防止剤は低分子量で、帯電防止剤が熱可塑性樹
脂表面にブリードアウトしてくることによって帯電防止
性を発現するため、周囲を汚染したり、持続性に乏し
く、また水洗によって表面固有抵抗が変化するといった
問題もあった。
【0004】このような問題を解決するものとして、例
えば、特定の構造を有するポリエーテル−エステル−ア
ミド、側鎖に4級アンモニウム塩を有する重合体、側鎖
にスルホン酸塩を有する重合体、ポリアルキレンオキサ
イド鎖を含有する重合体等のような高分子型帯電防止剤
が提案されている。これらの高分子型帯電防止剤は従来
の有機系の低分子型帯電防止剤に比べると永久帯電防止
性を有し、ブリードアウトによる表面のベトツキが改善
され、また、多量配合も可能であることから、1010Ω
・cm前後の体積固有抵抗のレベルも達成できるように
なってきている。また、高分子型帯電防止剤は、無機系
導電性材料に比べ109 Ω・cm〜1012Ω・cmの半
導電性領域を精度良く再現できるという特徴を有してい
る。しかしながら、これらの高分子型帯電防止剤は、カ
ーボンブラック等の無機系導電性材料に比べ低温低湿下
における電気抵抗と高温高湿下における電気抵抗との
差、即ち電気抵抗の環境依存性が大きいという欠点、さ
らに通常の環境下ではフィルムの表面状態は良好である
が、高温高湿下ではフィルム表面がベトつくという欠点
があった。
【0005】また、これら高分子型帯電防止剤は汎用の
熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂やポリスチレ
ン、ABS樹脂等に適用できるように設計されているた
め、非汚染性、耐熱性、耐候性、耐オゾン性、難燃性等
の優れた特性を有している熱可塑性フッ素樹脂に適用し
た場合、相容性が悪く、多量配合すると加工性や物性が
低下し、薄いフィルムが得られ難いという問題があっ
た。また、高分子型帯電防止剤を添加することにより、
熱可塑性フッ素樹脂本来の特性である非汚染性の低下、
即ち表面接触角が小さくなるという欠点があった。
【0006】また、含ハロゲン樹脂に過塩素酸塩および
ポリエーテル系重合体を配合した安定化された導電性含
ハロゲン樹脂組成物(特開平3−39346)が開示さ
れているが、含ハロゲン樹脂のうち、ポリフッ化ビニル
に過塩素酸塩およびポリエーテル系重合体を配合した場
合、ポリフッ化ビニルの融点が227℃と高いため、そ
の加工には相当の高温が必要であり、配合したポリエー
テル系重合体が加工時の熱によって低分子量化し、この
ポリエーテル系重合体の熱分解生成物が成形品表面にブ
リードアウトするという問題があった。また、含ハロゲ
ン樹脂として塩素系合成樹脂、臭素系合成樹脂を用いた
場合にはこれらの樹脂の極性がフッ素系樹脂に比べ小さ
いため、半導電性を付与するためにはポリエーテル系重
合体、過塩素酸塩の配合量をかなり多くする必要があ
り、このため加工性が低下するという問題、および、ポ
リエーテル系重合体が成形品表面にブリードアウトする
という問題があった。
【0007】さらに、熱可塑性樹脂にアルキレンオキサ
イド共重合体、およびイオン解離性金属塩を配合した制
電性に優れた樹脂組成物(特開平6−200171)も
提案されている。しかしながら、ポリオレフィン樹脂、
ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸エス
テル系樹脂等の熱可塑性樹脂にポリアルキレンオキサイ
ド、およびイオン解離性金属塩を配合した組成物は、熱
可塑性樹脂の極性が小さいため半導電性を付与するため
にはポリアルキレンオキサイド、およびイオン解離性金
属塩の配合量をかなり多くする必要があり、ポリアルキ
レンオキサイドの配合量を多くすると成形加工時に生成
するポリアルキレンオキサイドの熱分解生成物が成形品
表面にブリードアウトするという問題があった。また、
ポリアルキレンオキサイド共重合体、およびイオン解離
性金属塩を熱可塑性フッ素樹脂へ配合すると、熱可塑性
フッ素樹脂の特性である非汚染性が失われるという問題
があった。
【0008】電子写真の原理を応用した複写機やファク
シミリ、レーザープリンター等のOA機器においては、
一般的に、帯電、露光、現像、転写、定着、除電の各プ
ロセスを有しており、各プロセスで静電気を精密にコン
トロールするために各種ロール、ベルト、ブレードが使
用されている。そして、これらを使用するにあたっては
前記した条件に加えて、帯電防止剤の添加量を厳密に制
御しなくても、1×105 〜1×1012Ω・cm、特に
1×105 〜1×1011Ω・cmの範囲の体積固有抵
抗、および1×105 〜1×1012Ω/□の範囲の表面
固有抵抗を安定して付与できることが要望されている。
また、電気抵抗の環境依存性や添加剤のブリードアウト
をさらに小さく、表面接触角を大きくすることが望まれ
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、良好な物理
的、機械的特性を有し、1×108 〜1×1012Ω・c
mの範囲の体積固有抵抗を安定して精度良く発現し、経
時変化、環境依存性、ブリードアウトが少なく、表面接
触角が大きく、加工性にも優れた電子画像形成プロセス
に適した半導電性樹脂組成物、及び該組成物から得られ
るフィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を達成するために、ポリマータイプの帯電防止剤と熱可
塑性樹脂の組み合わせについて詳細に検討し、まず熱可
塑性樹脂中でも分極の傾向が著しい熱可塑性フッ素樹脂
に注目した。そして鋭意研究の結果、融点が190℃未
満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部と高分子型帯
電防止剤であるポリアルキレンオキサイド2〜15重量
部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.
03〜3重量部および、イオン電解質0.02〜3重量
部を含有する熱可塑性フッ素樹脂組成物のみが、概ね体
積固有抵抗1×108 〜1×1012Ω・cmの安定した
イオン伝導性を示すばかりでなく、電気抵抗の環境依存
性が少なく、高温高湿下においてもフィルム表面のベト
ツキがなく、加工性にも優れており、さらに、融点が1
90℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部と高
分子型帯電防止剤であるポリアルキレンオキサイド2〜
15重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防
止剤0.03〜3重量部、シリコーン系樹脂0.3〜1
0重量部、およびイオン電解質0.02〜3重量部を含
有する熱可塑性フッ素樹脂組成物のみが、概ね体積固有
抵抗1×108 〜1×1012Ω・cmの安定したイオン
伝導性を示すばかりでなく、電気抵抗の環境依存性が少
なく、高温高湿下においてもフィルム表面のベトツキが
なく、加工性にも優れ、表面接触角が大きいことを見い
出し、さらに、上記した半導電性フッ素樹脂組成物は、
その構成物質である熱可塑性フッ素樹脂、ポリアルキレ
ンオキサイド、およびイオン電解質の配合比を調整する
ことによって、容易に、しかも正確に、目的とする電気
抵抗をコントロールすることができることを見い出し、
本発明を完成するに至ったのである。
【0011】即ち、本発明によれば、融点が190℃未
満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部とポリアルキ
レンオキサイド2〜15重量部よりなる混合物100重
量部に対し、酸化防止剤0.03〜3重量部、およびイ
オン電解質0.02〜3重量部を含有することを特徴と
する半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。さらに、
融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重
量部とポリアルキレンオキサイド2〜15重量部よりな
る混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.03〜3
重量部、シリコーン系樹脂0.3〜10重量部、および
イオン電解質0.02〜3重量部を含有することを特徴
とする半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。特に前
記融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂がポリフッ
化ビニリデン、またはその共重合体から選ばれる一種、
或いは、二種以上の混合物であることを特徴とする前記
半導電性フッ素樹脂組成物が提供され、好ましくは、前
記フッ化ビニリデン共重合体が、フッ化ビニリデン―六
フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ
化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、またはフッ
化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体とフッ化ビ
ニリデンとのグラフト共重合体から選ばれる一種、或い
は二種以上の混合物であることを特徴とする半導電性フ
ッ素樹脂組成物が提供される。また特に、前記ポリアル
キレンオキサイドが、ポリエチレンオキサイド、エチレ
ンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、お
よびポリアルキレンオキサイド同士を主鎖延長した熱可
塑性ポリアルキレンオキサイドから選ばれる一種、或い
は二種以上であることを特徴とする前記半導電性フッ素
樹脂組成物が提供され、また、好ましくは、前記ポリア
ルキレンオキサイドが、熱重量分析(TGA)による1
0%重量減少温度が240℃以上であることを特徴とす
る前記半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。特に、
前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であることを
特徴とする前記半導電性フッ素樹脂組成物が提供され、
また、前記シリコーン系樹脂が下式(1)で示されるも
のであり、且つ該シリコーン系樹脂に導入された置換基
の割合がシリコーン系樹脂全体の75重量%以下である
ことを特徴とする上記いずれかに記載の半導電性フッ素
樹脂組成物が提供され、また、
【化1】 (R1 〜R3 は、メチル基、炭素数8乃至30のアルキ
ル基、フェニル基、式(2)で示されるポリアルキレン
オキサイド鎖を有する置換基、式(3)で示されるポリ
カプロラクトン鎖を有する置換基のうちのいずれか)
【化2】 (R4 は、炭素数1乃至8のアルキレン基、R5 はHま
たはCH3 、O は2以上の整数 )
【化3】 (R6 は、炭素数1乃至8のアルキレン基、p は2以上
の整数) さらにまた特に前記イオン電解質が、アルカリ金属のチ
オシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、またはアルカリ金属
とハロゲン含有酸素酸塩のうちから選ばれる一種、或い
は二種以上の混合物であることを特徴とする前記半導電
性フッ素樹脂組成物が提供される。また本発明によれ
ば、前記した半導電性フッ素樹脂組成物を加工温度24
0℃未満で成形してなる半導電性フッ素樹脂フィルムが
提供される。
【発明の実施の形態】
【0012】以下、本発明をより具体的に説明する。本
発明に用いられる融点が190℃未満の熱可塑性フッ素
樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデ
ン―六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−
四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ
化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体とフッ化ビ
ニリデンとのグラフト共重合体等が挙げられ、特に、ポ
リフッ化ビニリデン、またはその共重合体が成形加工性
の点で好ましい。該熱可塑性フッ素樹脂の融点は、成形
加工時にポリアルキレンオキサイドの熱分解を防止する
ために190℃未満であることが必要であり、融点が1
90℃以上の熱可塑性フッ素樹脂は、加工温度をさらに
高温に上げる必要があるため、混練時、或いは、成形加
工時にポリアルキレンオキサイドが熱分解を起こして低
分子量化し、これらが成型品表面にブリードアウトする
ので好ましくない。
【0013】一方、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物
を構成するポリアルキレンオキサイドは、それを特に限
定するものではなく、ポリエチレンオキサイド、ポリプ
ロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、
或いはこれらの共重合体等が挙げられ、これらが一種、
或いは二種以上組み合わされて用いられる。また、これ
らのポリアルキレンオキサイドのうち、ポリエチレンオ
キサイド;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド
との共重合体;ポリエチレンオキサイドとポリプロピレ
ンオキサイド、或いは、ポリプロピレンオキサイド同士
を二塩基酸、二塩基酸塩化物、ジイソシアネート等で主
鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイド等に例え
られるようなポリアルキレンオキサイド同士を主鎖延長
した熱可塑性ポリアルキレンオキサイド(部分的に架橋
していても熱可塑性を有していれば同様に用いることが
できる。);が電気抵抗を下げる効果が大きい点で特に
好ましい。これらも一種、或いは二種以上組み合わせて
使用することができる。
【0014】さらに、これらのポリアルキレンオキサイ
ドは熱重量分析(TGA)による10%重量減少温度が
240℃以上であるものから選ばれることがより望まし
い。本発明においてポリアルキレンオキサイドの熱重量
分析(TGA)は、下記条件で行なったものであり、こ
こで言う10%重量減少温度とは、該熱重量分析(TG
A)において得られたチャートから読み取ったポリアル
キレンオキサイドの重量が初期の重量に比べ10%減少
する温度を意味するものである。 <熱重量分析(TGA)の条件> ・試料量 :10mg ・セル :アルミニウム製 ・キャリアガス:空気 ・初期温度 :23℃ ・昇温速度 :10℃/分 この温度が240℃以上であると成形加工時の熱による
ポリアルキレンオキサイドの低分子量化が抑えられ好ま
しい。
【0015】該熱重量分析による10%重量減少温度が
240℃以上のポリアルキレンオキサイドとしては、数
平均分子量が3000以上のポリエチレンオキサイド;
ポリプロピレンオキサイド;エチレンオキサイドとプロ
ピレンオキサイドとの共重合体;ポリエチレンオキサイ
ドとポリプロピレンオキサイド、或いは、ポリプロピレ
ンオキサイド同士を二塩基酸、二塩基酸塩化物、ジイソ
シアネート等で主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオ
キサイドに例えられるようなポリアルキレンオキサイド
同士を主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイ
ド;等が挙げられる。
【0016】これらのポリアルキレンオキサイドの配合
割合は、前記熱可塑性フッ素樹脂とポリアルキレンオキ
サイドとの混合物100重量部のうち2〜15重量部が
好ましく、より好ましくは2〜12重量部、また2〜1
0重量部がさらに好ましい。その配合割合が15重量部
を越える場合は、熱可塑性フッ素樹脂との相溶性が悪化
するため加工性が低下するばかりでなく、加工時の熱に
よって低分子量化した成分のブリードアウトが多くなり
好ましくない。一方、ポリアルキレンオキサイドの配合
割合が2重量部未満では目的とする体積固有抵抗を発現
することができないので好ましくない。
【0017】本発明に用いられる酸化防止剤としては、
フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系のものが単
独で或いは複数種組み合わされて用いられるが、フェノ
ール系酸化防止剤がその効果の点で最も好適に使用され
る。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6
−ジ−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリチル−テ
トラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、2−t−ブチル−6−(3’−t−
ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−
4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ブ
チル−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒド
ロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート等が挙
げられる。酸化防止剤の添加量は熱可塑性フッ素樹脂と
ポリアルキレンオキサイドとの混合物100重量部に対
し0.03〜3重量部が好ましく、さらに0.05〜2
重量部が好ましい。酸化防止剤の添加量が0.03重量
部未満では成形加工時にポリアルキレンオキサイドの一
部が分解し、分解生成物が表面にブリードアウトするの
で好ましくなく、一方、その添加量が3重量部を超える
と、配合量に見合った効果の向上が見られなくなり好ま
しくない。
【0018】本発明に用いられるシリコーン系樹脂とし
ては、ポリオルガノシロキサン中のアルキル基の一部を
含フッ素アルキル基、長鎖アルキル基、フェニル基、ポ
リアルキレンオキサイド鎖を有する置換基、ポリカプロ
ラクトン鎖を有する置換基等で置換したもの等が好適に
用いられるが、シリコーン系樹脂が下式(1)で示され
るものであり、且つ該シリコーン系樹脂に導入された置
換基の割合がシリコーン系樹脂全体の75重量%以下で
あるものを用いることが加工性、表面接触角の増大の効
果の観点からより好ましい。
【化1】 (R1 〜R3 は、メチル基、炭素数8乃至30のアルキ
ル基、フェニル基、式(2)で示されるポリアルキレン
オキサイド鎖を有する置換基、式(3)で示されるポリ
カプロラクトン鎖を有する置換基のうちのいずれか)
【化2】 (R4 は、炭素数1乃至8のアルキレン基、R5 はHま
たはCH3 、o は2以上の整数 )
【化3】 (R6 は、炭素数1乃至8のアルキレン基、p は2以上
の整数) そして、シリコーン系樹脂の添加量は、熱可塑性フッ素
樹脂とポリアルキレンオキサイドとの混合物100重量
部に対し0.3〜10重量部が好ましく、さらに0.5
〜7重量部が好ましい。その添加量が0.3重量部未満
であると得られる製品の表面接触角がほとんど大きくな
らず、また添加量が10重量部を超えると加工性が低下
するので好ましくない。
【0019】本発明に用いられるイオン電解質として
は、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸
塩、アルカリ金属とハロゲン含有酸素酸から得られる塩
を単独、或いは、複数種組み合わせて用いることがで
き、これらのうち特に、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナ
トリウム、過塩素酸リチウム、チオシアン酸カリウム、
チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウムが好ま
しい。その添加量は、熱可塑性フッ素樹脂とポリアルキ
レンオキサイドとの混合物100重量部に対し、0.0
2〜3重量部が好ましく、また0.05〜2重量部がよ
り好ましく、また0.08〜1.5重量部がさらに好ま
しい。イオン電解質の添加量が0.02重量部未満であ
ると十分な半導電性が発現せず好ましくなく、逆に、イ
オン電解質の添加量が3重量部を越えると加工時にポリ
アルキレンオキサイドの熱分解が促進されるだけでな
く、得られた組成物の電気特性の環境依存性が大きくな
り好ましくない。
【0020】また、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物
には必要に応じて、半導電性を損なわない範囲で滑剤、
相容化剤、顔料、補強剤等を添加することができる。
【0021】本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、上
述した融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂、ポリ
アルキレンオキサイド、酸化防止剤、およびイオン電解
質、さらに好ましくは、シリコーン系樹脂を通常のニー
ダー、ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機等で混
練することによって製造でき、その用途に応じて、フィ
ルム、シート、チューブ、成型品等の形状に成形して使
用される。なお、加工性の改良等、必要に応じて、熱可
塑性フッ素樹脂以外の合成樹脂を少量配合することもで
きる。
【0022】また、本発明の半導電性フッ素樹脂フィル
ムを得る方法としてはこれを特に限定するものではない
が、例えば、上記のようにして得られた半導電性フッ素
樹脂組成物をペレット化し、このペレットを環状ダイ、
或いはTダイを備えた押出機に供給し、フィルム化する
方法、カレンダー法によりフィルム化する方法、熱圧プ
レスする方法等が挙げられる。ここで、加工温度は24
0℃未満であることが必要であり、好ましくは、235
℃未満である。240℃以上であるとポリアルキレンキ
サイドが加工時の熱によって低分子量化し、この低分子
量化したポリアルキレンオキサイドが製品の表面にブリ
ードアウトし、好ましくない。
【0023】
【作用】本発明のフッ素樹脂組成物が半導電性領域に達
するまでの電気抵抗を発現できるのは、熱可塑性フッ素
樹脂中のC−F結合が全元素中で電気陰性度の最も大き
いフッ素原子により分極しているため、イオン電解質の
解離を促進し、さらにポリアルキレンオキサイド中のエ
ーテル結合を形成する酸素原子の孤立電子対が極性を有
するマトリックス樹脂中において解離した金属イオンと
錯体を形成し、その移動を著しく促進するためでないか
と考えられる。さらに、酸化防止剤を添加することで成
形加工時のポリアルキレンオキサイドの熱分解を抑制す
ることができるため特に高温高湿下での製品表面のベト
ツキがなく、さらにシリコーン系樹脂を併用することに
よりポリアルキレンオキサイドの添加により低下した表
面接触角を大幅に上昇させることができるものと考えら
れる。従って、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、
その構成物質である熱可塑性フッ素樹脂、ポリアルキレ
ンオキサイド、およびイオン電解質の配合比を調整する
ことによって、容易に1×108 〜1×1012Ω・cm
の範囲の所定の体積固有抵抗を精度良く安定して発現す
ることができる。さらに本発明のフッ素樹脂組成物は、
高温高湿下における電気抵抗と低温低湿下における電気
抵抗の差が少なく、使用環境が変化しても安定したイオ
ン伝導性を示し、高温高湿下における製品表面のベトツ
キもなく、さらにシリコーン系樹脂を添加することによ
って表面接触角を大きくできるという特徴を有してい
る。また、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、加工
温度を低く設定でき、酸化防止剤が添加されていること
により、加工時の熱によるポリアルキレンオキサイドの
低分子量化を最小限に抑えられるため、添加剤等のブリ
ードアウトがほとんどなく、さらにシリコーン系樹脂の
併用により表面接触角を大幅に上昇させることができ
る。さらに本発明の半導電性フッ素樹脂フィルムは熱可
塑性フッ素樹脂本来の非汚染性、防汚性、耐熱性、耐候
性、耐オゾン性、難燃性等の優れた物理的性質をも有し
ているので、電子画像形成プロセス用樹脂として好適に
使用されるものである。
【0024】
【実施例】次に、実施例によって、本発明を具体的に説
明する。実施例中の部は、重量部を、また配合比は重量
基準で示す。なお、実施例で用いた熱可塑性フッ素樹
脂、ポリアルキレンオキサイド、および酸化防止剤は、
次に示す通りである。
【0025】<熱可塑性フッ素樹脂> ・フッ素樹脂A:ポリフッ化ビニリデン(アトケム製:
KYNAR740 融点:170℃) ・フッ素樹脂B:フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレ
ン共重合体にフッ化ビニリデンをグラフトしたグラフト
共重合体(セントラル硝子製:セフラルソフトG180
融点:165℃) ・フッ素樹脂C:ポリフッ化ビニリデン(アトケム製:
KYNAR710 融点:170℃) ・フッ素樹脂D:ポリクロロトリフルオロエチレン(ダ
イキン(株)製:ネオフロンCTFE 融点:210〜
212℃)
【0026】<ポリアルキレンオキサイド> ・PAO−A:ポリエチレンオキサイド同士をジイソシ
アネートで主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサ
イド ・PAO−B:ポリエチレンオキサイドとポリプロピレ
ンオキサイドとをジイソシアネートで主鎖延長した熱可
塑性ポリアルキレンオキサイド(ポリプロピレン含量2
0重量%) なお、上記したポリアルキレンオキサイドを下記の条件
で熱重量分析(TGA)にかけ、得られたチャートから
ポリアルキレンオキサイドの重量が10%減少する温
度、即ち、10%重量減少温度を読み取った。その結果
を表1に示す。 《熱重量分析(TGA)条件》 ・測定器 :熱重量分析器(セイコー電子工業社製
SSC/5200シリーズTG/DTA220) ・試料量 :10mg ・セル :アルミニウム製 ・キャリアガス:空気 ・初期温度 :23℃ ・昇温速度 :10℃/分
【0027】
【表1】
【0028】<酸化防止剤 > ・酸化防止剤A:2−t−ブチル−6−(3’−t−ブ
チル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4
−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer
GM、住友化学工業(株)製) ・酸化防止剤B:ペンタエリスリチル−テトラキス[3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート](IRGANOX 1010、日
本チバガイギー(株)製) <シリコーン系樹脂> ・シリコーン系樹脂A:オルガノポリシロキサンの側鎖
にポリエチレンオキサイドをグラフトしたシリコーン樹
脂、ポリエチレンオキサイド含量10重量%(F1−0
24−01、日本ユニカー(株)製) ・シリコーン系樹脂B:オルガノポリシロキサンの側鎖
に長鎖のアルキル基をグラフトしたシリコーン樹脂、長
鎖のアルキル基含量50重量%(FZ−035−01、
日本ユニカー(株)製) ・シリコーン系樹脂C:オルガノポリシロキサンの側鎖
にポリカプロラクトンをグラフトしたシリコーン樹脂、
ポリカプロラクトン含量70重量%(F−201−0
1、日本ユニカー(株)製)
【0029】実施例における半導電性フッ素樹脂組成物
の評価方法は以下に示す通りである。 <体積固有抵抗、および表面固有抵抗>三菱油化(株)
製ハイレスタHRSプローブを用い、印加電圧500V
で測定した。なお、体積固有抵抗、および表面固有抵抗
の測定は、特に断りがない限り、23℃、50%RH条
件下で行った。 <環境依存性>低温低湿下(10℃ 30%RH:L
L)における体積固有抵抗と高温高湿下(30℃ 80
%RH:HH)における体積固有抵抗との比(LL/H
H)で評価した(この値が小さいほど、環境依存性が小
さいことを示す)。 <高温高湿下(HH)におけるフィルム表面の曇り>熱
圧プレスにより得られたフィルムを30℃、80%RH
中へ24時間放置し、 フィルム表面の曇りの有無を観
察した。 <表面接触角>コンタクトアングルメーター(協和界面
科学(株)製)を用い、液滴法により測定した。
【0030】〔実施例1〕フッ素樹脂A67重量部、フ
ッ素樹脂B29重量部、PAO−A4重量部、酸化防止
剤A0.4重量部、およびイオン電解質としてLiCl
4 0.4重量部を180℃のミキシングロールで均一
に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィ
ルムを製造した。得られたフィルムの諸性質を表2に示
す。
【0031】〔比較例1〕フッ素樹脂A67重量部、フ
ッ素樹脂B29重量部、PAO−A4重量部、およびL
iClO4 0.4重量部を180℃のミキシングロール
で均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μm
のフィルムを製造した。得られたフィルムの諸性質を同
じく表2に示す。
【0032】〔比較例2〕低密度ポリエチレン95重量
部、PAO−A5重量部、酸化防止剤A0.4重量部、
およびLiClO4 0.4重量部を180℃のミキシン
グロールで均一に混練した後プレス成形して厚さ120
μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの諸性質
を表2に併せて示す。
【0033】〔比較例3〕フッ素樹脂D95重量部、P
AO−A5重量部、酸化防止剤A0.4重量部、および
LiClO4 0.4重量部を245℃のミキシングロー
ルで均一に混練した後プレス成形して厚さ120μmの
フィルムを製造した。得られたフィルムの諸性質を表2
に併せて示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2から明らかなように、マトリックス樹
脂として熱可塑性フッ素樹脂を用いた実施例1のフィル
ムは、ポリアルキレンオキサイド、酸化防止剤、および
イオン電解質を配合することにより良好なイオン伝導性
を示すと共に高温高湿下においてもフィルム表面に曇り
を生じないが、酸化防止剤が配合されていない比較例1
のフィルムは良好なイオン伝導性を示すにも拘わらず高
温高湿下ではフィルム表面に曇りを生じた。一方、マト
リックス樹脂として熱可塑性フッ素樹脂の代わりに低密
度ポリエチレンを用いた比較例2のフィルムは体積固有
抵抗、および表面固有抵抗の低下が少なく、所望のイオ
ン伝導性を得ることができなかった。また、熱可塑性フ
ッ素樹脂として融点の高いポリクロロトリフルオロエチ
レン(フッ素樹脂D)を用いた比較例3のフィルムは、
ミキシングロールによる混練温度を245℃と高くしな
ければならなかったため混練時にポリエチレンオキサイ
ドが分解、揮散したためか体積固有抵抗、および、表面
固有抵抗の低下が少なかった。従って、少ない配合量で
良好なイオン伝導性を得るためには、マトリックス樹脂
として融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂を用い
ることが必須であることがわかる。
【0036】〔実施例2、3〕フッ素樹脂C95重量部
へPAO−AまたはPAO−B5重量部、酸化防止剤A
0.5重量部、およびイオン電解質としてLiClO4
0.5重量部を添加し、180℃のミキシングロールで
均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmの
フィルムを得た。表3にその配合組成を、表4に諸性質
を示す。
【0037】〔比較例4〕フッ素樹脂C95重量部へP
AO−A5重量部、およびイオン電解質としてLiCl
4 0.5重量部を添加し、180℃のミキシングロー
ルで均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μ
mのフィルムを得た。表3にその配合組成を、表4に諸
性質を併せて示す。
【0038】〔比較例5〕フッ素樹脂C95重量部へポ
リエーテルエステルアミド(PEEA)5重量部、およ
びイオン電解質としてLiClO4 0.5重量部を添加
し、180℃のミキシングロールで均一に混練した後プ
レス成形して、厚さ約120μmのフィルムを得た。表
3にその配合組成を、表4に諸性質を併せて示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】表4の結果から、本発明の半導電性フッ素
樹脂フィルムは、23℃ 50%RHにおいて、目的と
する体積固有抵抗を示すと共に、LL/HHの値が小さ
く、環境依存性が小さいばかりでなく、高温高湿下にお
いても製品表面に曇りを生じず高温高湿下でも良好に使
用可能であることがわかる。それに対し、比較例4のフ
ィルムはLL/HHの値がやや大きく、酸化防止剤を添
加していないため高温高湿下で製品表面に曇りを生じ
た。また、比較例5のフィルムは環境依存性が大きく、
また高温高湿下で製品表面に曇りを生じた。
【0042】〔実施例4〜7〕フッ素樹脂C95重量部
にPAO−A5重量部、酸化防止剤B0.5重量部、所
定量のシリコーン系樹脂、およびLiClO0.5
重量部を混合し、180℃のミキシングロールで均一に
混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィル
ムを得た。各フィルムの配合組成を表5に、その諸性質
を表6に示す。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】表6より明らかなように、本発明の半導電
性フッ素樹脂フィルムは、所定の電気抵抗を再現性良く
発現し、シリコーン系樹脂を添加することにより表面接
触角が大幅に上昇するばかりでなく、体積固有抵抗の環
境依存性も小さくなり、高温高湿下に放置しても製品表
面に曇りを発生しない。従って、本発明の半導電性フッ
素樹脂組成物を成形して得られる半導電性フッ素樹脂フ
ィルムは、様々な環境下で安定した機能を発揮すること
ができると共に、熱可塑性フッ素樹脂本来の特性である
非汚染性をも備えていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、
マトリックス樹脂として融点が190℃未満の熱可塑性
フッ素樹脂に、帯電防止剤としてのポリアルキレンオキ
サイド、酸化防止剤、およびイオン電解質、より好まし
くはシリコーン系樹脂を組み合わせて用いることによっ
て、これらの優れた相互作用により1×108 〜1×1
12Ω・cmの範囲内の所定の体積固有抵抗、および1
×108 〜1×1012Ω/□の範囲内の所定の表面固有
抵抗を精度良く発現できる。また本発明の半導電性フッ
素樹脂組成物は、イオン電解質を含有しているにもかか
わらず、酸化防止剤、およびシリコーン系樹脂を添加す
ることにより高温高湿下における電気抵抗と低温低湿下
における電気抵抗の差、即ち電気抵抗の環境依存性が少
なく安定したイオン伝導性を示し、高温高湿下でも製品
表面に曇りを発生しないという性質を有している。さら
に、ポリアルキレンオキサイドの添加によって低下した
表面接触角をシリコーン系樹脂の添加により大幅に上昇
させ、即ち非汚染性という熱可塑性フッ素樹脂本来の特
性を回復させている。また、加工時のポリアルキレンオ
キサイドに起因する熱分解生成物がほとんどないので、
添加物に基づくブリードアウトがなく、加工性も優れて
いるという特徴を有している。そして、本発明の半導電
性フッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂の特徴である非粘着
性、耐熱性、耐オゾン性、難燃性等の優れた物理的性質
を保持している。従って、本発明の半導電性フッ素樹脂
組成物は、正確な半導電性が要求される電子画像形成プ
ロセス用半導電性樹脂として、例えば電子写真材料等の
分野で好適に使用されるものである。さらに、本発明の
半導電性フッ素樹脂組成物はシート、チューブ、その他
成型品に容易に成形加工することができる。また、上記
半導電性フッ素樹脂組成物を成形して得られる本発明の
半導電性フッ素樹脂フィルムもまた上述した性能をその
まま有しており、電子画像形成プロセス用半導電性樹脂
として、例えば電子写真材料等の分野で好適に使用され
るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71:02) (72)発明者 武智 重利 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 岡本 孝則 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内 (72)発明者 奥中 一樹 香川県丸亀市中津町1515番地 大倉工業株 式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹
    脂98〜85重量部とポリアルキレンオキサイド2〜1
    5重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止
    剤0.03〜3重量部、およびイオン電解質0.02〜
    3重量部を含有することを特徴とする半導電性フッ素樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹
    脂98〜85重量部とポリアルキレンオキサイド2〜1
    5重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止
    剤0.03〜3重量部、シリコーン系樹脂0.3〜10
    重量部、およびイオン電解質0.02〜3重量部を含有
    することを特徴とする半導電性フッ素樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記融点が190℃未満の熱可塑性フッ
    素樹脂が、ポリフッ化ビニリデン、またはその共重合体
    から選ばれる一種、或いは二種以上の混合物であること
    を特徴とする請求項1または2記載の半導電性フッ素樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記フッ化ビニリデン共重合体が、フッ
    化ビニリデン―六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビ
    ニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重
    合体、またはフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共
    重合体とフッ化ビニリデンとのグラフト共重合体から選
    ばれる一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴
    とする請求項3記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記ポリアルキレンオキサイドが、ポリ
    エチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレン
    オキサイドとの共重合体、およびポリアルキレンオキサ
    イド同士を主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサ
    イドから選ばれる一種、或いは二種以上であることを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導電性フ
    ッ素樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記ポリアルキレンオキサイドが、熱重
    量分析(TGA)による10%重量減少温度が240℃
    以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    に記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止
    剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに
    記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記シリコーン系樹脂が下式(1)で示
    されるものであり、且つ該シリコーン系樹脂に導入され
    た置換基の割合がシリコーン系樹脂全体の75重量%以
    下であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに
    記載の半導電性フッ素樹脂組成物。 【化1】 (R1 〜R3 は、メチル基、炭素数8乃至30のアルキ
    ル基、フェニル基、式(2)で示されるポリアルキレン
    オキサイド鎖を有する置換基、式(3)で示されるポリ
    カプロラクトン鎖を有する置換基のうちのいずれか) 【化2】 (R4 は、炭素数1乃至8のアルキレン基、R5 はHま
    たはCH3 、o は2以上の整数 ) 【化3】 (R6 は、炭素数1乃至8のアルキレン基、p は2以上
    の整数)
  9. 【請求項9】 前記イオン電解質が、アルカリ金属のチ
    オシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、またはハロゲン含有
    酸素酸塩のうちから選ばれる一種、或いは二種以上であ
    ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の
    半導電性フッ素樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載の半
    導電性フッ素樹脂組成物を加工温度240℃未満で成形
    してなる半導電性フッ素樹脂フィルム。
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JP2013139578A (ja) * 2008-05-22 2013-07-18 Daikin Industries Ltd ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム及び太陽電池用裏面保護シート
CN103937131A (zh) * 2014-03-26 2014-07-23 上海同晋环保科技有限公司 氟碳膜及其制备方法

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