JPH1077228A - 炭酸水素塩含有注入または透析溶液の製法 - Google Patents
炭酸水素塩含有注入または透析溶液の製法Info
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Abstract
注入または透析溶液の製法を提供すること。 【解決手段】 溶液に少なくとも1種のカルボン酸エス
テルを最低2mmol/l加える。その溶液を100℃以上
の加熱処理にかけると、カルボン酸エステルはほとんど
完全にカルボン酸とアルコールに分解する。本発明はさ
らに本発明による方法を腹膜透析溶液、及び医学的注入
または透析溶液の製造のために使用することにも関す
る。
Description
値をもつ炭酸水素塩含有注入または透析溶液の製法、及
びこの方法の腹膜透析溶液製造への使用、及び注入また
は透析溶液、特に腹膜透析溶液に関する。
は、代替療法によって低下した腎機能を代償しなければ
ならない。このような代替療法とは血液透析及び腹膜透
析である。いわゆる連続外来腹膜透析(CAPD)では
腎臓病患者の腹腔に1日に何回も新鮮腹膜透析液を満た
さなければならない。この種の透析では腹膜全体の内側
に張りめぐらされた腹膜で解毒及び脱水が行われる。腹
膜は物質交換においては半透膜となり、溶解した物質が
それを介して拡散して入る。2ないし3時間以内に拡散
によって、作りたての、充填された腹膜透析溶液中に尿
として排泄されるべき物質の濃度が増加する。同時に、
浸透圧平衡にしたがい、限外濾過による液体の除去がお
こなわれる。腹膜透析溶液は4ないし8時間腹腔にとど
まり、その後カテーテルによって外に流し出される。そ
の操作は通例1日4回行われる、すなわち流入及び流出
時を除いて腹腔は常に溶液で満たされている。
液に、患者の酸塩基収支を調節する緩衝物質、特にアシ
ドーシスを阻止または除去する緩衝液を含む。これまで
は緩衝のためにはほとんど酢酸ナトリウムが使われてき
た。しかしCAPD溶液の生体親和性に関する研究にお
いて、ラクテート含有溶液がヒトの細胞の生命機能に不
都合に作用することがわかった(参照例:Bronswijk,Ve
rbrugh,Bos,Heezius,Oe,van der Meulen,Verhoef,市販
連続外来腹膜透析(CAPD)液の細胞障害作用(Cyto
toxic effects of commercial continuous ambulatory
peritoneal dialysis (CAPD) fluids)、 Peritoneal Dia
lysis International 9 巻(1989)197−202
ぺージ;または Witowski Topley, Jorres, ラクテート
緩衝腹膜透析液の、ヒト腹膜中皮細胞インターロイキン
・6及びプロスタグランジン合成に対する影響(Effect
of Iactate-buffered peritoneal dialysis fluids on
human peritoneal mesothelial cell interleukin-6 an
d prostaglandin synthesis)、 Kidney International 4
6 巻(1994);282−293ページ)。生理的pH値
を有する炭酸水素塩含有CAPD溶液がより良い耐溶性
をもつことは証明されている(参照例:Schambye, Pede
rson, Christensen, Berthelsen, Wang,種々のバイカー
ボネート/ラクテート比をもつCAPD溶液の細胞傷害
性(The cytotoxicity of CAPD eolutions with differ
ent bicarbonate/lactate ratios)、Peritoneal Dislysi
s International 13 巻、付録2(1993):116
−118ページ)。
メントの混合によって作られた炭酸水素塩イオン含有C
APD溶液が記載されている。生成混合溶液は7.2から
7.4までの範囲の生理的pHを有し、20ないし40 mmo
l /l炭酸水素塩イオンを含む。炭酸水素塩含有溶液の
調製はむずかしい、なぜならばこの塩の溶解後には次式
による平衡によって常に二酸化炭素が形成されるからで
ある。
され、従って、pH値の上昇を導く。pH値を目標のpH領域
に保つためには、充填前にその溶液に二酸化炭素または
その他の酸を加えなければならない。しかし後者の場合
炭酸水素塩含量が低下する;これは含量表示の点で、ひ
いてはこの溶液のCAPDへの使用の点で問題である。
CAPD溶液は先ず最初にフレキシブルな合成樹脂容器
に満たし、その後加熱蒸気滅菌にさらす。CO2 に対す
る遮断作用をもった箔があるとはいえ、このプロセスで
CO2 損失及びpH上昇がおきるのは不可避である。CA
PD溶液におけるその他の困難は、高すぎるpH値では炭
酸塩が生じ、それは溶液中にある電解質、特にカルシウ
ムイオンと共に、例えば炭酸カルシウム沈殿の形で難溶
性の沈殿物を形成する。したがって溶液の安定のために
は、pH値の調節が非常に重要である。
が改良された、pH値の観点で生理的組成をもつ腹膜透析
液が公知である。この腹膜透析液は、使用直前に2つの
個々の溶液から作られる;その際第1の単一溶液は浸透
活性物質を含み、第2の単一溶液は炭酸水素塩イオンを
含む。第1の単一溶液はモノ及び/またはジカルボン酸
のアニオンを含み、pH値4.5ないし5.8を有し、第2の
単一溶液はアミノ酸成分またはペプチド成分を含み、7.
2ないし10.0のpH値を有する。使用するばかりになっ
た溶液は23ないし26mmol/lの炭酸水素塩イオンを
含む。この前から公知の腹膜透析液でも、別々に準備し
た個々の溶液を一緒に混ぜ、それから短時間内に使用す
ることが依然として必要である。前に腹膜透析に関して
行われた考察は一般的に炭酸水素塩含有注入または透析
溶液に当てはまる。すべての方法で共通なのは、予定し
た加熱蒸気滅菌或いは加熱滅菌の範囲でCO2 は逃げ去
り、それによってpH値は上昇する。
的は、生理的に耐え得るpH値をもち、それぞれに調節し
たpH値の変動ができるだけ小さい、炭酸水素塩含有注入
または透析溶液の製法を開発することである。
は、種類ごとの方法から始まり請求項1の特徴的指標に
よって解決する。それによると、溶液にカルボン酸エス
テルを入れ、その溶液を100℃以上に加熱処理する;
その結果カルボン酸エステルはほとんど完全にカルボン
酸とアルコールに分解する。加えるカルボン酸エステル
はカルボン酸の中性誘導体である。水溶性カルボン酸エ
ステルは溶液のpH値と温度にしたがって等式2により種
々の速度で加水分解する。
つ定量的に進行する。溶液を加熱蒸気滅菌の場合のよう
に、100℃以下の温度で加熱滅菌すると、カルボン酸
エステルのほぼ定量的な加水分解がおきる。カルボン酸
エステルの加水分解が塩基の存在下でおきると、等式2
から発生したカルボン酸は対応する塩を形成する。その
塩基が例えば炭酸水素ナトリウムである場合、等式
(3)にしたがい、カルボン酸のナトリウム塩と二酸化
炭素が生成する。エステルの加水分解の際には溶液の酸
性化もおきる。
のpH値は確実に調節される。本発明の方法の好適形は、
主たる請求に続く副請求から明らかになる。本発明はさ
らに本発明による上記の方法を腹膜透析溶液に使用する
ことに関係する。この際その溶液は技術的現状から公知
のように、付加的に浸透活性物質、例えばグルコースを
含む。最後に、本発明は医学的注入または透析溶液、特
に、少なくとも下記の諸成分を含む腹膜透析溶液に関係
する;炭酸水素塩、特に炭酸水素ナトリウム、生理的に
許容されるカルボン酸及び生理的に許容されるアルコー
ル;この際pH値は6.9から7.8までの範囲に調節され
る。請求項12にしたがうこの医学的注入または透析溶
液の好適実施態様は請求項13ないし17から明らかで
ある。本発明のその他の詳細及び利点は次に詳しく記載
される例から明らかである:比較例では、10mmol/l
エチルラクテートを60mmol/l炭酸水素ナトリウム溶
液中で、室温で24時間、下記の等式(等式4)による
エステル加水分解にかける;
加水分解された。これに対して、上記の溶液を121℃
で加熱した。これは加熱蒸気滅菌の条件に相当する。結
果を表1に示す。
量的に加水分解されることがわかる。ここに挙げた例で
は乳酸の他に、炭酸水素ナトリウムの存在下で、カルボ
ン酸の対応する塩−乳酸ナトリウム−も生成する。等式
5でこれをあらわすと次のようになる。
酸水素塩含有溶液に加えた場合にあらわれるpH値が例と
して記載される。これらの例は或るカルボン酸エステル
またはこれらエステルの或る濃度の使用に制限するもの
ではない。カルボン酸に代わるものとして炭酸エステル
も使用できる。それは分解してH 2 CO3 になり、或い
は水と二酸化炭素になる。
包含され、或いは炭酸はカルボン酸に包含されるものと
する。表2に示した実験結果に基づく溶液を1リットル
合成樹脂溶液に満たした。充填容器を温度121℃のオ
ートクレーブに入れた。このオートクレーブ温度に達し
た後この温度を30分間保持した。滅菌後あらわれるpH
値を表2に示す。
Claims (18)
- 【請求項1】 炭酸水素塩及び生理的に許容されるカル
ボン酸を含み、生理的に耐え得るpH値に調節した注入ま
たは透析溶液の製法であって、 溶液に最低1種類のカルボン酸エステルを最低2mmol/
l濃度で加え、その溶液を100℃以上の加熱処理にか
け、カルボン酸エステルをほとんど完全にカルボン酸と
アルコールに分解することを特徴とする製法。 - 【請求項2】 溶液に最低2mmol/l、好適には2ない
し5mmol/l、特に好適には3mmol/lのカルボン酸エ
ステルを加えることを特徴とする請求項1記載の製法。 - 【請求項3】 溶液を121℃に加熱することを特徴と
する請求項1または2記載の製法。 - 【請求項4】 加熱処理が加熱蒸気滅菌の方法で行われ
ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項記
載の製法。 - 【請求項5】 カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、乳
酸、ピルビン酸、4−ヒドロキシ酪酸、酒石酸、マレイ
ン酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサル酢酸、グルタル
酸、2−オキソグルタル酸、シトロネン酸、イソシトロ
ネン酸、及びグルコン酸の群から選択されることを特徴
とする請求項1項ないし4のいずれかの項記載の製法。 - 【請求項6】 カルボン酸エステルが1価または多価ア
ルコールのエステルであることを特徴とする請求項1な
いし5記載の製法。 - 【請求項7】 カルボン酸エステルがエタノール類、プ
ロパノール類、イソプロパノール類またはグリセリン類
のエステル、または環状エステル(ラクトン)または炭
酸エステルであることを特徴とする請求項6記載の製
法。 - 【請求項8】 カルボン酸エステルがエチルラクテート
であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの
項記載の製法。 - 【請求項9】 炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムである
ことを特徴とする先行請求項のいずれかの項記載の製
法。 - 【請求項10】 浸透活性物質をさらに含む腹膜透析の
ための溶液の製造に請求項1ないし9のいずれかの項記
載の方法の使用。 - 【請求項11】 浸透活性物質としてグルコースが溶液
中に含まれることを特徴とする請求項10記載の使用。 - 【請求項12】 少なくとも次の成分、すなわち炭酸水
素塩、特に炭酸水素ナトリウム、生理的に許容されるカ
ルボン酸及び生理的に許容されるアルコールを含む、pH
6.9ないし7.8をもつ医学的注入または透析溶液、特
に、腹膜透析溶液。 - 【請求項13】 最低2mmol/l、好適には2ないし1
0mmol/lのカルボン酸エステルが加えられることを特
徴とする請求項12記載の溶液。 - 【請求項14】 カルボン酸が、酢酸、プロピオン酸、
乳酸、ピルビン酸、4−ヒドロキシ酪酸、酒石酸、マレ
イン酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサル酢酸、グルタル
酸、2−オキソグルタル酸、シトロネン酸、イソシトロ
ネン酸及びグルコン酸の群から選択されることを特徴と
する請求項12または13のいずれかの項記載の溶液。 - 【請求項15】 カルボン酸エステルがエチルラクテー
トであることを特徴とする請求項12ないし14のいず
れかの項記載の溶液。 - 【請求項16】 付加的に浸透活性物質、好適にはグル
コースが含まれることを特徴とする請求項12ないし1
5のいずれかの項記載の溶液。 - 【請求項17】 溶液が使用直前に第2溶液との混合に
よって得られ、それら溶液の1つはカルシウムイオンを
含み、他の1つは炭酸水素ナトリウムを含むことを特徴
とする請求項12ないし16のいずれかの項記載の溶
液。 - 【請求項18】 溶液が2つの溶液の混合によって得ら
れ、その少なくとも1つは浸透活性物質、好適にはグル
コースを含み、他は炭酸水素塩を含むことを特徴とする
先行請求項のいずれかの項記載の溶液。
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