JPH1076356A - チクソキャスティング用鋳造材料の加熱方法 - Google Patents

チクソキャスティング用鋳造材料の加熱方法

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JPH1076356A
JPH1076356A JP8250954A JP25095496A JPH1076356A JP H1076356 A JPH1076356 A JP H1076356A JP 8250954 A JP8250954 A JP 8250954A JP 25095496 A JP25095496 A JP 25095496A JP H1076356 A JPH1076356 A JP H1076356A
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heating
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毅巳 菅原
Haruo Shiina
治男 椎名
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雅之 土屋
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 デンドライトを有する鋳造材料を,固相と液
相とが共存する半溶融状態まで加熱するに当り,デンド
ライトの球状化を達成する。 【解決手段】 鋳造材料として,基質金属成分に対する
合金成分の最大固溶量をaとし,また最小固溶量をbと
したとき,それらの差a−bがa−b≧3.6原子%で
あり,且つ前記基質金属成分を主成分とするデンドライ
トを有するものを選定する。そして最小固溶量bを呈す
る温度および最大固溶量aを呈する温度間における鋳造
材料の加熱速度V(℃/min )を,デンドライトの平均
2次デンドライトアームスペーシング(平均DAS2)
がD(μm)であるとき,V≧63−0.8D+0.0
13D2 に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチクソキャスティン
グ用鋳造材料の加熱方法,特に,デンドライトを有する
鋳造材料を固相(略固相となっている相,以下同じ)と
液相とが共存する半溶融状態まで加熱する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】チクソキャスティング法の実施に当って
は,鋳造材料を加熱して固相と液相とが共存する半溶融
状態にし,次いでその半溶融鋳造材料を加圧下で鋳型の
キャビティに充填し,その後前記加圧下で半溶融鋳造材
料を凝固させる,といった方法が採用される。
【0003】この場合,鋳造材料として,一般的な連続
鋳造法の適用下で製造されたものを使用することができ
れば経済上有利であるが,前記連続鋳造法による鋳造材
料には多くのデンドライトが存在し,そのデンドライト
は,半溶融鋳造材料のキャビティへの充填圧力を上昇さ
せて,その半溶融鋳造材料のキャビティへの完全充填を
阻害する,といった問題を惹起するので,前記鋳造材料
をチクソキャスティングに使用することはできなかっ
た。
【0004】そこで,従来は前記鋳造材料として攪拌連
続鋳造法による比較的高価な鋳造材料が用いられてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら攪拌連続
鋳造法による鋳造材料にも多少ではあるがデンドライト
が存在するので,そのデンドライトを除去するための手
段は不可欠である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は,一般的な
連続鋳造法により製造された鋳造材料におけるデンドラ
イトの球状化処理について種々検討を加えた結果,基質
金属成分に対する合金成分の最大固溶量と最小固溶量と
の差が所定値以上である鋳造材料においては,その基質
金属成分を主成分とするデンドライトの球状化に関し,
平均2次デンドライトアームスペーシングDに対して,
前記最小固溶量を呈する温度および前記最大固溶量を呈
する温度間における鋳造材料の加熱速度Vが回帰関係に
あることを究明した。
【0007】本発明は前記究明結果に基づいてなされた
ものであり,鋳造材料を半溶融状態まで加熱する段階に
おいて,デンドライトを鋳造性の良い球状固相に変換
し,これにより一般的な連続鋳造法による鋳造材料をチ
クソキャスティング用鋳造材料として使用することを可
能にした前記加熱方法を提供することを目的とする。
【0008】前記目的を達成するため本発明によれば,
基質金属成分に対する合金成分の最大固溶量をaとし,
また最小固溶量をbとしたとき,それらの差a−bがa
−b≧3.6原子%であり,且つ前記基質金属成分を主
成分とするデンドライトを有する鋳造材料を選定し,そ
の鋳造材料を固相と液相とが共存する半溶融状態まで加
熱するに当り,前記最小固溶量bを呈する温度および前
記最大固溶量aを呈する温度間における前記鋳造材料の
加熱速度V(℃/min )を,前記デンドライトの平均2
次デンドライトアームスペーシングがD(μm)である
とき,V≧63−0.8D+0.013D2 に設定す
る,チクソキャスティング用鋳造材料の加熱方法が提供
される。
【0009】前記差a−bがa−b≧3.6原子%であ
る合金としてはFe−C系合金,Al−Mg合金,Mg
−Al合金等を挙げることができる。このような合金よ
りなる鋳造材料を前記両温度間において,前記加熱速度
Vにて昇温すると,その加熱速度が速いことに起因して
前記両温度間で生じる合金成分の各デンドライへの拡散
が抑制され,これにより各デンドライトには,合金成分
の濃度が低い複数の球状高融点相と,それらを囲むと共
に合金成分の濃度が高い低融点相とが現出する。
【0010】そして鋳造材料の温度が最大固溶量を呈す
る温度を超えると,低融点相が溶解して液相を生じ,ま
た球状高融点相はそのまま残置されて球状固相となる。
【0011】ただし,a−b<3.6原子%であるか,
またはV<63−0.8D+0.013D2 では前記の
ような球状化処理を行うことはできず,デンドライトが
残存する。また最小固溶量を呈する温度未満の温度領域
ではデンドライトの球状化は現出しない。
【0012】
【発明の実施の形態】図1〜4はFe−C合金,Fe−
C−1重量%Si合金,Fe−C−2重量%Si合金,
Fe−C−3重量%Si合金の状態図をそれぞれ示す。
【0013】表1は,各合金において,基質金属成分と
してのオーステナイト相(γ)に対する合金成分である
C(炭素)の最大固溶量aおよびそれを呈する温度,最
小固溶量bおよびそれを呈する温度ならびに差a−bを
示す。
【0014】
【表1】
【0015】表1より,各合金は,前記差a−b≧3.
6原子%の要件を満たしていることが判る。
【0016】図3に基づいて,組成がFe−2重量%C
−2重量%Si−0.002重量%P−0.006重量
%S(ただし,P,Sは不可避不純物である)である亜
共晶Fe系合金組成の溶湯を調製し,次いで,この溶湯
を用いて,攪拌を伴わない一般的な連続鋳造法の適用
下,鋳造条件を変えることにより各種Fe系鋳造材料を
製造した。
【0017】各Fe系鋳造材料は,図5に示すような多
数のデンドライトdを有し,且つ平均2次デンドライト
アームスペーシング(以下,平均DAS2と言う)Dを
異にする。この平均DAS2 Dは画像解析を行うこと
によって求められた。
【0018】次に,各Fe系鋳造材料を,最小固溶量b
を呈する温度である共析温度(790℃)および最大固
溶量aを呈する温度である共晶温度(1160℃)間に
おける加熱速度Vを変化させて誘導加熱し,次いで各F
e系鋳造材料の温度が,前記加熱速度Vで共晶温度を超
えて1200℃(固相線未満の温度)に達したとき,各
Fe系鋳造材料を水冷してその金属組織を固定した。
【0019】その後,各Fe系鋳造材料の金属組織を顕
微鏡観察して,デンドライトの有無を調べ,またデンド
ライトが消失したときの平均DAS2 Dと,加熱速度
Vの最低値Vmin との関係を求めたところ,表2の結果
を得た。
【0020】
【表2】
【0021】表2に基づいて,横軸に平均DAS2 D
を,縦軸に加熱速度Vをそれぞれとって,平均DAS2
Dと加熱速度Vの最低値Vmin との関係をプロット
し,各プロットを結んだところ,図6の結果を得た。
【0022】図6より,その線分はVmin =63−0.
8D+0.013D2 と表わすことができ,したがっ
て,各平均DAS2 Dに関し,加熱速度VをV≧Vmi
n に設定することによりデンドライトを消失してその球
状化を図ることができる,ということが判明した。
【0023】図7は加熱速度VをV≧63−0.8D+
0.013D2 に設定した場合におけるデンドライトの
球状化メカニズムを示す。
【0024】図7(a)に示すように,攪拌を伴わない
一般的な連続鋳造法により製造されたFe系鋳造材料に
おいて,その温度が共析温度以下である場合には,その
金属組織には多数のデンドライト(パーライト,α+F
3 C)dと,相隣る両デンドライト間に存する共晶部
(黒鉛,Fe3 C)eとが現出している。
【0025】図7(b)に示すように,誘導加熱により
Fe系鋳造材料の温度が共析温度を超えると,C濃度の
高い共晶部(黒鉛,Fe3 C)eから各デンドライト
(γ)dへのCの拡散が開始される。
【0026】この場合,加熱速度Vを前記のように設定
すると,その速度Vが速いことに起因してCのデンドラ
イト(γ)dへの拡散がその中心部まで殆ど及ばないた
め,共晶温度直下においては,各デンドライト(γ)d
には,複数の低C濃度の球状γ相γ1 と,それら球状γ
相γ1 を囲む中C濃度γ相γ2 と,その中C濃度γ相γ
2 を囲む高C濃度γ相γ3 が現出する。
【0027】図7(c)に示すように,Fe系鋳造材料
の温度が共晶温度を超えると,残留共晶部(黒鉛,Fe
3 C)e,高C濃度γ相γ3 ,中C濃度γ相γ2 の順に
それらが共晶溶解し,これにより複数の球状固相(球状
γ相γ1 )Sと,液相Lとよりなる半溶融Fe系鋳造材
料が得られる。
【0028】図8(a)は,温度が共析温度以下である
Fe系鋳造材料の金属組織を示す顕微鏡写真であって,
図7(a)に対応する。本図よりデンドライトが観察さ
れ,その平均DAS2 DはD=94μmであった。ま
たデンドライトを囲むように片状黒鉛が存在している。
これは,図9(a)のEPMAによる金属組織写真にお
いて黒鉛の存在を示す波形からも明らかである。
【0029】図8(b)は,共晶温度直下まで加熱され
たFe系鋳造材料の金属組織を示す顕微鏡写真であっ
て,図7(b)に対応する。これは,Fe系鋳造材料を
共析温度からの加熱速度VをV=103℃/min に設定
して誘導加熱し,1130℃にて水冷したものである。
本図より球状γ相とそれを囲む拡散Cが観察される。こ
れは,図9(b)のEPMAによる金属組織写真におい
て,黒鉛が分断されて幅が広くなり,拡散を生じている
ことからも明らかである。
【0030】図8(c)は,半溶融状態のFe系鋳造材
料における金属組織を示す顕微鏡写真であって,図7
(c)に対応する。これは,Fe系鋳造材料を共析温度
からの加熱速度Vを前記同様にV=103℃/min に設
定して誘導加熱し,1200℃にて水冷したものであ
る。本図より,球状固相と液相とが存在していたことが
判る。これは図9(c)のEPMAによる金属組織写真
において,球状固相に対応する球状マルテンサイトと,
液相に対応するレデブライトが現出していることから明
らかである。
【0031】図10は,前記Fe系鋳造材料を用い加熱
速度VをV<63−0.8D+0.013D2 に設定し
た場合におけるデンドライトの残存メカニズムを示す。
【0032】図10(a)に示すように,Fe系鋳造材
料の温度が共析温度を超えると,共晶部(C,Fe
3 C)eから各デンドライト(γ)dへのCの拡散が開
始される。この場合,加熱速度Vが遅いことに起因して
Cのデンドライト(γ)dへの拡散がその中心部まで十
分に及ぶため,共晶温度直下においては,各デンドライ
ト(γ)dのC濃度はその全体に亘って略均一で,且つ
低くなる。この場合の金属組織は,図7(a)の共析温
度以下のそれと殆ど変わらない。
【0033】図10(b)に示すように,Fe系鋳造材
料の温度が共晶温度を超えると,残留共晶部eおよびそ
れに接している各デンドライト(γ)dの表面が溶解す
るので,液相Lは生じるが,各デンドライト(γ)dは
そのままの形態で残り,その結果,各デンドライト
(γ),したがって固相Sの球状化は行われない。その
一方において,固相Sの粗大化が発生する。
【0034】図11(a)は,温度が共晶温度直下であ
るFe系鋳造材料の金属組織を示す顕微鏡写真であっ
て,図10(a)に対応する。これは,図8(a)に示
した平均DAS2 DがD=94μmのFe系鋳造材料
を共析温度からの加熱速度VをV=75℃/min (<1
03℃/min )に設定して誘導加熱し,1130℃にて
水冷したものである。この金属組織は,図8(a)の金
属組織と殆ど変わらないことが判る。
【0035】図11(b)は,半溶融状態のFe系鋳造
材料における金属組織を示す顕微鏡写真であって,図1
0(b)に対応する。これは,Fe系鋳造材料を共析温
度からの加熱速度Vを前記同様にV=75℃/min に設
定して誘導加熱し,1200℃にて水冷したものであ
る。本図より,固相の球状化は行われておらず,その一
方で固相が粗大化していることが判る。 〔実施例〕 (1) 前記組成を有し,且つ平均DAS2 Dが28
μm,60μmおよび76μmの3種類のFe系丸ビレ
ットを,攪拌を伴わない連続鋳造法の適用下で製造し,
次いで各丸ビレットよりFe系鋳造材料を切出した。各
Fe系鋳造材料の寸法は直径55mm,長さ65mmに設定
された。
【0036】各Fe系鋳造材料を,共析温度および共晶
温度間における加熱速度Vを変化させて誘導加熱し,次
いで各Fe系鋳造材料の温度が共晶温度を超えて122
0℃に達したとき,各Fe系鋳造材料を水冷して,その
半溶融状態の金属組織を固定した。その後,各Fe系鋳
造材料の金属組織を顕微鏡観察してデンドライトの有無
を調べた。
【0037】表3に,各Fe系鋳造材料の平均DAS2
D,表2,図6によるデンドライトを消失させるため
に必要な加熱速度Vの最低値Vmin ,加熱速度Vおよび
半溶融状態におけるデンドライトの有無を示す。
【0038】
【表3】
【0039】図12,14,16はそれぞれ実施例1〜
3によるFe系鋳造材料の金属組織を示す顕微鏡写真で
あり,また図13,15,17はそれぞれ比較例1〜3
によるFe系鋳造材料の金属組織を示す顕微鏡写真であ
る。各図において,エッチング処理は5%ナイタル液を
用いて行われた。
【0040】表3および図12,14,16から明らか
なように,実施例1〜3においては,それらの加熱速度
Vが,図6にも示すように,対応する最低値Vmin を超
えていることに起因して各固相が球状化され,したがっ
てデンドライトが消失している。
【0041】一方,表3および図13,15,17から
明らかなように,比較例1〜3においては,それらの加
熱速度Vが,図6にも示すように,対応する最低値Vmi
n 未満であることに起因してデンドライトが残存し,し
たがって固相の球状化は行われていない。
【0042】(2) 図18に示す加圧鋳造装置1はF
e系鋳造材料を用いてチクソキャスティング法の適用下
でFe系鋳物を鋳造するために用いられる。その加圧鋳
造装置1は,鉛直な合せ面2a,3aを有する固定金型
2および可動金型3を備え,両合せ面2a,3a間に鋳
物成形用キャビティ4が形成される。固定金型2に半溶
融Fe系鋳造材料5を設置するチャンバ6が形成され,
そのチャンバ6はゲート7を介してキャビティ4に連通
する。また固定金型2に,チャンバ6に連通するスリー
ブ8が水平に付設され,そのスリーブ8にチャンバ6に
挿脱される加圧プランジャ9が摺動自在に嵌合される。
スリーブ8は,その周壁上部に材料用挿入口10を有す
る。
【0043】前記(1)項における実施例3で用いた平
均DAS2 Dが76μmのFe系鋳造材料と同様のF
e系鋳造材料を用意し,これを共析温度および共晶温度
間における加熱速度VをV=103℃/min に設定して
1220℃まで誘導加熱し,これにより固相率R=70
%の半溶融Fe系鋳造材料を調製した。
【0044】次いで,加圧鋳造装置1において,固定お
よび可動金型2,3の温度を制御すると共にそのチャン
バ6内に半溶融Fe系鋳造材料5を設置し,加圧プラン
ジャ9を作動させてそのFe系鋳造材料5をキャビティ
4に充填した。この場合,半溶融Fe系鋳造材料5の充
填圧力は360MPaであった。そして,加圧プランジ
ャ9をストローク終端に保持することによってキャビテ
ィ4内に充填された半溶融Fe系鋳造材料5に加圧力を
付与し,その加圧下で半溶融Fe系鋳造材料5を凝固さ
せてFe系鋳物を得た。
【0045】図19はFe系鋳物の金属組織を示す顕微
鏡写真であり,本図より金属組織が均質で,且つ球状組
織であることが判る。
【0046】その後,Fe系鋳物に800℃,60分間
の加熱および空冷の条件で熱処理を施した。
【0047】表4はFe系鋳物およびその他の材料の機
械的特性を示す。
【0048】
【表4】
【0049】表4から明らかなように,Fe系鋳物に熱
処理を施すと,機械的特性が大幅に向上し,その熱処理
品の機械的特性は球状黒鉛鋳鉄(JIS FCD50
0)およびねずみ鋳鉄(JIS FC250)よりも優
れ,且つ構造用炭素鋼(JISS48C相当)に略匹敵
する。
【0050】Fe−C−Si系亜共晶合金において,C
およびSiは共晶量に関係し,その共晶量を50%以下
に制御すべく,C含有量は1.8重量%≦C≦2.5重
量%に,またSi含有量は1.0重量%≦Si≦3.0
重量%にそれぞれ設定される。これにより,前記のよう
な優秀な機械的特性を備えたFe系鋳物(熱処理品)を
得ることが可能である。
【0051】ただし,C含有量がC<1.8重量%で
は,Si含有量を多くして共晶量を増しても鋳造温度
(半溶融Fe系鋳造材料の温度,以下同じ)を高くしな
ければならないのでチクソキャスティングの利点が薄
れ,一方,C>2.5重量%では黒鉛量が多くなるため
Fe系鋳物の熱処理効果が少なく,したがってその機械
的特性を前記のように向上させることができない。
【0052】Si含有量がSi<1.0重量%では,C
<1.8重量%の場合と同様に,鋳造温度の上昇を来た
し,一方,Si>3.0重量%ではシリコフェライトが
生じるためFe系鋳物の機械的特性の向上を図ることが
できない。
【0053】半溶融Fe系鋳造材料の固相率RはR≧5
0%であることが望ましい。これにより鋳造温度を低温
側にシフトして加圧鋳造装置の延命を図ることができ
る。固相率RがR<50%では液相量が多くなるため,
短柱状半溶融Fe系鋳造材料を立てて搬送する場合,そ
の自立性が悪化し,また取扱い性も悪くなる。
【0054】図20はAl−Mg合金およびMg−Al
合金の状態図を,また図21はAl−Cu合金の状態図
を,さらに図22はAl−Si合金の状態図をそれぞれ
示す。また表5は,各合金の基質金属成分,合金成分,
基質金属成分に対する合金成分の最大固溶量aおよびそ
れを呈する温度,最小固溶量bおよびそれを呈する温度
ならびに差a−bを示す。
【0055】
【表5】
【0056】表5より,Al−Mg合金およびMg−A
l合金は前記差a−b≧3.6原子%の要件を満足して
いるが,Al−Cu合金およびAl−Si合金は前記要
件を満たしていないことが判る。
【0057】図23(a)は,Al−7重量%Si合金
よりなるAl−Si系鋳造材料の金属組織を示す顕微鏡
写真である。本図より,α−Alよりなるデンドライト
が観察され,その平均DAS2 DはD=16μmであ
った。したがってデンドライトを消失させるためには,
図6より,加熱速度VをV≧53℃/minに設定する
必要がある。
【0058】図23(b)は,共晶温度直下まで加熱さ
れたAl−Si系鋳造材料の金属組織を示す顕微鏡写真
である。これは,Al−Si系鋳造材料の加熱速度Vを
V=155℃/min に設定して誘導加熱し,530℃に
て水冷したものである。本図よりデンドライトが残存し
ていることが判る。これは,表5に示したように差a−
bがa−b<3.6原子%であることに起因する。
【0059】図23(c)は,半溶融状態のAl−Si
系鋳造材料における金属組織を示す顕微鏡写真である。
これは,Al−Si系鋳造材料を,加熱速度Vを前記同
様にV=155℃/min に設定して誘導加熱し,585
℃にて水冷したものである。本図より,デンドライト状
のα−Alが存在し,その球状化が行われていないこと
が判る。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば,前記のように特定され
た手段を採用することにより,鋳造材料に在るデンドラ
イトを容易に球状化することが可能な加熱方法を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Fe−C合金の状態図である。
【図2】Fe−C−1重量%Si合金の状態図である。
【図3】Fe−C−2重量%Si合金の状態図である。
【図4】Fe−C−3重量%Si合金の状態図である。
【図5】デンドライトの概略図である。
【図6】平均DAS2 Dと加熱速度Vとの関係を示す
グラフである。
【図7】デンドライトの球状化メカニズムの説明図であ
る。
【図8】図7に対応するFe系鋳造材料の金属組織を示
す顕微鏡写真である。
【図9】図8に対応するFe系鋳造材料のEPMAによ
る金属組織写真である。
【図10】デンドライトの残存メカニズムの説明図であ
る。
【図11】図10に対応するFe系鋳造材料の金属組織
を示す顕微鏡写真である。
【図12】実施例1によるFe系鋳造材料の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図13】比較例1によるFe系鋳造材料の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図14】実施例2によるFe系鋳造材料の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図15】比較例2によるFe系鋳造材料の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図16】実施例3によるFe系鋳造材料の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図17】比較例3によるFe系鋳造材料の金属組織を
示す顕微鏡写真である。
【図18】加圧鋳造装置の断面図である。
【図19】Fe系鋳物の金属組織を示す顕微鏡写真であ
る。
【図20】Al−Mg合金およびMg−Al合金の状態
図である。
【図21】Al−Cu合金の状態図である。
【図22】Al−Si合金の状態図である。
【図23】Al−Si系鋳造材料の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【符号の説明】
5 半溶融鋳造材料 d デンドライト
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】次いで,加圧鋳造装置1において,固定お
よび可動金型2,3の温度を制御すると共にそのチャン
バ6内に半溶融Fe系鋳造材料5を設置し,加圧プラン
ジャ9を作動させてそのFe系鋳造材料5をキャビティ
4に充填した。この場合,半溶融Fe系鋳造材料5の充
填圧力は36MPaであった。そして,加圧プランジャ
9をストローク終端に保持することによってキャビティ
4内に充填された半溶融Fe系鋳造材料5に加圧力を付
与し,その加圧下で半溶融Fe系鋳造材料5を凝固させ
てFe系鋳物を得た。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年11月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正内容】
【0047】表4は,熱処理を施されたFe系鋳物およ
びその鋳造に用いられたFe系鋳造材料ならびにその
の材料の機械的特性を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【表4】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】表4から明らかなように,Fe系鋳物
処理品は優れた機械的特性を有し,その機械的特性は球
状黒鉛鋳鉄(JIS FCD500)およびねずみ鋳鉄
(JIS FC250)よりも優れ,且つ構造用炭素鋼
(JIS S48C相当)に略匹敵する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基質金属成分に対する合金成分の最大固
    溶量をaとし,また最小固溶量をbとしたとき,それら
    の差a−bがa−b≧3.6原子%であり,且つ前記基
    質金属成分を主成分とするデンドライトを有する鋳造材
    料を選定し,その鋳造材料を固相と液相とが共存する半
    溶融状態まで加熱するに当り,前記最小固溶量bを呈す
    る温度および前記最大固溶量aを呈する温度間における
    前記鋳造材料の加熱速度V(℃/min )を,前記デンド
    ライトの平均2次デンドライトアームスペーシングがD
    (μm)であるとき,V≧63−0.8D+0.013
    2 に設定することを特徴とするチクソキャスティング
    用鋳造材料の加熱方法。
  2. 【請求項2】 前記チクソキャスティング用鋳造材料は
    亜共晶Fe系合金よりなり,その亜共晶Fe系合金の組
    成は,C含有量が1.8重量%≦C≦2.5重量%であ
    り,またSi含有量が1.0重量%≦Si≦3.0重量
    %であり,さらに残部が不可避不純物を含むFeであ
    る,請求項1記載のチクソキャスティング用鋳造材料の
    加熱方法。
  3. 【請求項3】 半溶融状態の前記鋳造材料の固相率Rが
    R≧50%である,請求項1または2記載のチクソキャ
    スティング用鋳造材料の加熱方法。
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