JPH107588A - 粗免疫グロブリン含有画分の精製法およびその精製法を用いた静注用免疫グロブリン製剤の製造方法 - Google Patents

粗免疫グロブリン含有画分の精製法およびその精製法を用いた静注用免疫グロブリン製剤の製造方法

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JPH107588A
JPH107588A JP19382696A JP19382696A JPH107588A JP H107588 A JPH107588 A JP H107588A JP 19382696 A JP19382696 A JP 19382696A JP 19382696 A JP19382696 A JP 19382696A JP H107588 A JPH107588 A JP H107588A
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alcohol
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Masaji Suzuki
正司 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 血清または血漿から低温下でアルコールを用
いて分画された粗免疫グロブリン含有画分を精製し静注
用免疫グロブリンを得るに、精製の第1段階において、
pH6.0〜7.5、イオン強度0.001〜0.1、
温度10℃〜−1℃、アルコール濃度17〜25V/V
%の処理条件下で精製を行なう。当該精製法と共に加熱
処理により夾雑ウイルスを不活性化し、夾雑タンパク質
を除去して静注用免疫グロブリン製剤を得る。 【効果】 氷点(0℃)を超えるような処理条件下で
も、粗免疫グロブリン含有画分の精製を行なうことがで
き、安全性と有効性の高い静脈内投与が可能な免疫グロ
ブリン製剤を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粗免疫グロブリン
含有面分の精製法およびその精製法を用いた静注用免疫
グロブリン製剤の製造方法に関し、安全性と有効性の高
い静脈内投与が可能な免疫グロブリン製剤を得る技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】血漿タンパク質成分である免疫グロブリ
ンのうち、特に、免疫グロブリン抽出固分(以下、Ig
G画分という)を主成分とする免疫グロブリン製剤は、
これまで広く感染症の予防および治療に用いられてき
た。しかしながら、従来例において、当該免疫グロブリ
ン製剤を得るに、血漿等を冷アルコール分画法(Coh
n氏法、Nitschmann氏法等による)に付すこ
とが行なわれていたが、こうして得られた粗免疫グロブ
リン含有画分には、ダイマー(体)やポリマー(体)よ
りなる組成不明の免疫グロブリン重合体成分が混在して
おり、これでは実質的に静注用免疫グロブリン製剤とし
て適用できない。そこで、当該画分を、酵素を用いた酵
素処理法(特公昭64−5009号公報)により、また
は、スルホ化法(特公昭64−7051号公報)によ
り、さらには、例えば分子量2000以上のPEG(ポ
リエチレングリコール)を用いたPEG法(特公昭62
−21359号公報)等により、精製して静注用免疫グ
ロブリン製剤として適用できるようにするという試みが
なされているが、酵素を用いた酵素処理法では、使用酵
素を除去する必要があり、また、スルホ化法、PEG
(ポリエチレングリコール)法においても同様にスルホ
化剤、PEG等の除去が必要であり、その為に、目的と
するγ−グロブリンよりなる生成物の収率が良くないと
いう欠点があった。一方、上記したCohn氏法、Ni
tschmann氏法等による冷アルコール分画法を、
更に押し進めて、上記粗免疫グロブリン含有画分に適用
して精製を行なうという考え方もあるが、当該Cohn
氏法、Nitschmann氏法は、グロブリンの変性
の危険性の回避等から、−3℃〜−6℃というような極
低温下で実施するもので、これでは上記のように、混在
している免疫グロブリン重合体成分を除去することがで
きず、従って、臨床上適用できるような安全性と有効性
の高い静注用免疫グロブリン製剤を得ることができな
い。一方、当該免疫グロブリン製剤にあっては、当該製
剤中の肝炎ウイルス、HIV等の夾雑ウイルスの混在が
問題となり、また、夾雑タンパク質の混在も問題とな
り、上記精製法の確立と共にこれら問題点をも解消でき
るような安全性と有効性の高い静注用免疫グロブリン製
剤の製法の出現が要望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術に鑑み、上記精製法の確立と共に夾雑ウイルスが不
活性化され、夾雑タンパク質の混在が極めて少ない安全
性と有効性の高い静注用免疫グロブリン製剤を得るに有
効な技術を提供することを目的としたもので、免疫グロ
ブリン重合体成分を実質的に含まず、高収率で静注可能
な当該製剤を構成する免疫グロブリン組成物を得ること
ができる技術を提供することを目的としたものである。
また、本発明の他の目的並びに新規な特徴は、以下の記
述および添附図面からも明らかになるであろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、血清または血
漿から低温下でアルコールを用いて分画された粗免疫グ
ロブリン含有画分を精製し静注用免疫グロブリンを得る
に、精製の第1段階において、pH6.0〜7.5、イ
オン強度0.001〜0.1、温度10℃〜−1℃、ア
ルコール濃度17〜25V/V%の処理条件下で精製を
行なうことを特徴とする粗免疫グロブリン含有画分の精
製法、および、血清または血漿から低温下でアルコール
を用いて分画された粗免疫グロブリン含有画分を、加熱
処理して夾雑するウイルスを不活性化する工程と、pH
6.0〜7.5、イオン強度0.001〜0.1、温度
10℃〜−1℃、アルコール濃度17〜25V/V%の
処理条件下で精製を行なう工程と、夾雑するタンパク質
を除去する工程とを含有してなることを特徴とする静注
用免疫グロブリン製剤の製造方法に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明を、適宜図面を参照
しつつ説明する(図1)。
【0006】(出発原料)本発明に使用される出発原料
としては、ヒト血漿または血清に由来する粗免疫グロブ
リン画分を含むもので、当該血清または血漿(プラズ
マ)を冷アルコール分画法に付して得られた粗免疫グロ
ブリン含有画分が挙げられる。具体的には、図2および
図3に示すように、Cohn氏池の「J.Am.Che
m.Soc.」68、459以下(1946)による、
冷アルコール分画法に付して得られたフラクションII
+IIIと呼ばれるγ−グロブリンを含有するフラクシ
ョン(沈殿物II−3+II−1,2)が挙げられ、ま
た、Nitschmann氏池、[Kistner a
nd Nitschmann、Vox Sang.7.
414(1962)]によりフラクションAと呼ばれる
γ−グロブリンを含有するフラクション(沈殿物)が挙
げられる。かかるフラクションは、当該γ−グロブリン
のみならず、リポタンパク質、α−グロブリン、β−グ
ロブリン、少量のアルブミンを含有している。また、前
記のように、免疫グロブリン重合体成分が混在してい
る。
【0007】(溶解;免疫グロブリン抽出画分の調整)
本発明において粗免疫グロブリン含有画分を精製し、そ
の精製により静注用免疫グロブリン製剤を得るに、次い
で、上記出発物質であるIgG画分(ペースト)を水性
溶媒に懸濁させる。水性溶媒は、例えば、IgG画分1
部に対して5〜20部(容量基準)使用される。その系
(溶液)におけるpHは、例えば、6〜8好ましくは
7.2〜7.4、イオン強度は、0.0001〜0.5
である。
【0008】(夾雑ウイルス不活性化処理)上記粗免疫
グロブリン含有画分はその精製に先立ち夾雑するウイル
スを不活性化する処理を行なう。当該不活性化処理に際
し、安定化剤を添加するとよい。当該安定化剤の添加に
より、免疫グロブリン抗体活性を最小限に減少せしめこ
とができる。当該安定化剤としては、例えば、グリシン
(アミノ酢酸)、アラニン等のアミノ酸、サルコシンが
挙げられる。安定化剤の添加量は、系に対し10w/v
%以上好ましくは15〜22w/v%を用いることが好
ましい。夾雑ウイルスの不活性化処理は、上記安定化剤
の存在下で、加熱処理を行なうが、当該加熱処理は、夾
雑するウイルスが不活化するのに充分な条件下で、免疫
グロブリンに対する有害な作用を伴わないように処理す
る必要があり、当該系のpHを、6〜8、好ましくは、
7.2〜7.4に調整する。夾雑ウイルスの不活化処理
は、上記安定化剤の存在下で、液状で加熱処理を行な
う。即ち、溶液状態で、好ましくは、免疫グロブリンの
水溶液状態で行なう。加熱の対象となる免疫グロブリン
の量は、タンパク質量として0.5〜10w/v%好ま
しくは1〜8w/v%に調整することが望ましい。液状
加熱処理は、上記のように水溶液のpHを調整し、例え
ば50〜70℃(好ましくは60℃程度)、30分〜2
0時間(好ましくは10〜15時間)で行なわれる。加
熱処理後、溶液を冷却する。不活化処理に際して、溶液
に沈殿助剤を添加することが好ましい。当該沈殿助剤と
しては、ベントナイトなどの多孔質体が挙げられる。沈
殿助剤を添加して適宜時間撹拌後、遠心分離等により分
離させ、その上清を採取する。
【0009】(精製) (精製第1段階)上記で得た画分を、塩化ナトリウム溶
液等で、希釈し、精製を行なう。静脈内投与に適した免
疫グロブリンを得るに、その精製の第1段階として、p
H6.0〜7.5、イオン強度0.001〜0.1、温
度10℃〜−1℃、アルコール濃度17〜25V/V%
の処理条件下で精製を行なう。pHは、6.0〜7.5
好ましくは6.5〜7.0に調整する。当該pHが、
6.0未満では、免疫グロブリン重合体成分の除去に支
障を来し、一方、7.5を超えると、抗補体価が上昇
し、規定値を越えてしまう。イオン強度は、0.001
〜0.1好ましくは0.02〜0.04に調整する。当
該イオン強度が、0.001未満では、静脈内投与が可
能な免疫グロブリンを得難く、一方、0.1を超える
と、免疫グロブリン重合体成分の除去に支障を来す。温
度は、10℃〜−1℃好ましくは5℃〜0℃とする。温
度が、−1℃未満では、目的とする静脈内投与に適した
免疫グロブリンの収率が低下し、一方、10℃を超える
と、タンパク質の変性が起り、また、目的物の精製に支
障を来す。アルコール濃度は、17〜25V/V%であ
り、17V/V%未満では、免疫グロブリン重合体成分
の除去に支障を来し、一方、25V/V%を超えると、
抗補体価が上昇し、規定値を越えてしまう。アルコール
には、エタノールを使用することが好ましい。上記精製
に際して、タンパク質濃度を、0.1〜10w/v%好
ましくは2〜5w/v%とすることが望ましい。上記精
製は、上記処理条件下で、適宜時間撹拌後、冷却(上記
温度を保持する)し、遠心分離等により分離させ、その
上清を採取する。当該精製の第1段階は、このように上
清を採取(回収)する工程からなる。
【0010】(精製第2段階)次いで、得られた上清
を、さらに、処理し、沈殿を回収する。即ち、その上清
についてpHを調整し、冷却しつつ、アルコールを加
え、アルコールの終濃度を規定し、溶液を適宜時間撹拌
し、遠心分離等により分離させ、その沈殿を採取する。
精製の第1段階では、その温度を、10℃〜−1℃好ま
しくは5℃〜0℃とする必要があったが、当該精製の第
2段階では、温度は、−5〜−10℃好しくは−6〜−
7℃とすればよい。pHは、7.0〜8.0好ましくは
7.2〜7.4に調整すればよい。精製第1段階と同様
に、アルコールには、エタノールを使用することが好ま
しい。アルコール濃度は、20〜30V/V%、好まし
くは25V/V%とする。
【0011】(夾雑タンパク質の除去)上記で得られた
沈殿画分を、水性溶媒に溶解後、当該溶液を陰イオン交
換体に接触させ、非吸着成分を回収し、夾雑タンパク質
(例えば、アルブミン、IgM等)を除去する。当該陰
イオン交換体は、陰イオンを不溶性担体に結合(担持)
させたものであるが、ここに、陰イオン交換基として
は、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、四級アミノ
エチル(QAE)基が例示され、また、不溶性担体とし
ては、アガロース、セルロース、デキストラン、ポリス
チレン、シリカ等が挙げられる。当該処理は、上記沈殿
画分を水性溶媒に溶解させる。当該系は、pH5〜8好
ましくは6.5〜7.5に調整するとよい。また、イオ
ン強度は、0.0001〜0.1好ましくは0.005
〜0.05に調整するとよい。タンパク質濃度は、1〜
15w/v%好ましくは2〜10w/v%とすることが
望ましい。適当な水性溶媒、例えば0.01〜0.1M
酢酸緩衝液(pH7.0〜7.2)、あるいは0.01
〜0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0〜7.2)で陰イ
オン交換体と接触させ平衡化する。その処理に際して
は、バッチ法、カラム法のどちらかを用いてもよい。例
えば、バッチ法では、陰イオン交換体1mlに対して当
該溶液5〜50ml程度の割合で両者を混合し、0℃〜
10℃で30分間(好ましくは1〜5時間)撹拌した
後、陰イオン交換体と上清を分離して、上清を回収す
る。カラム法でも陰イオン交換体1mlに対して当該溶
液5〜50ml程度の割合で両者を0℃〜10℃で接触
させ非吸着画分を回収する。上記全工程終了後、公知の
方法、即ち、透析、除菌ろ過、分注等の操作により液状
製剤とすることができる。さらに、凍結乾燥等の操作に
よる乾燥製剤とすることができる。
【0012】(液状製剤の調整)得られた静注免疫グロ
ブリンを、濃度1〜15W/V%(好ましくは5〜10
W/V%)になるように水溶液を調整し、さらに、例え
ば糖(グルコース等)、糖アルコール(マンニトール
等)[濃度1〜20W/V%]およびアミノ酸(グリシ
ン等)[濃度0.5〜5W/V%]からなる群から選ば
れた物質を安定化剤として添加し、pHを、4.0〜
6.0に調整し、低電導度(好ましくは電導度1mmh
o以下)になるように調整した後、公知の製剤技術に基
づいて、透析、除菌ろ過、分注等の操作を行なう。この
ようにして静脈内投与が可能な免疫グロブリン液状組成
物が調整される。
【0013】
【実施例】次に、本発明の実施例を示す。
【0014】実施例1.出発原料として、Cohn氏法
により冷アルコール分画法に付して得られた沈殿物II
−3+II−1,2(以下、PIIと称する)を使用し
た。当該PII原料500gを、2.5リットルの蒸留
水に懸濁させ溶解させた。溶液1リットル当り195g
のグリシンを加え加温撹拌しながら該グリシンを溶かし
込んだ。そして、pH7.4に調整後、60℃で15時
間加熱処理を行なった。加熱処理後、約20℃に冷却し
た、溶液1リットル当りベントナイトからなる沈殿助剤
2gを添加し、撹拌約30分後、遠心分離により上清を
回収した。上清1リットル当り0.4%塩化ナトリウム
溶液3倍量(容量)を加えた後、1N塩酸でpH7.2
に調整した。溶液を冷却(0℃)しながら冷アルコール
を加えて濃度19v/v%とした。約60分間撹拌さ
せ、溶液温度を2℃とし遠心分離した。得られた上清を
1N水酸化ナトリウムでpH7.2〜7.4に調整後、
冷却しながら冷エタノールを加え、終濃度25v/v%
とした。溶液を−5〜−10℃で約2時間撹拌後、遠心
分離を行ない沈殿画分を得た。この画分を蒸留水1リッ
トルに溶解した後、この溶液に0.02Mリン酸緩衝液
で平衡化したDEAE−セルロース(セファロース)を
添加(溶液1ml当り0.05g)、5〜10℃の条件
下、約1時間接触処理し、ガラスフイルターでろ過し
て、ろ液(1gG溶液)を回収した。この1gG溶液を
1N塩酸でpH5.0±0.1に調整し、透析を行なっ
た。透析後、マルトース10W/V%、IgG 5W/
V%に調整した。この水溶液を除菌ろ過し、静注用グロ
ブリン組成物とした。
【0015】実施例2.実施例1で使用したPII原料
500gを、2.5リットルの蒸留水に懸濁させ溶解さ
せた。タンパク溶液1リットル当り0.2%塩化ナトリ
ウム溶液3倍量(容量)を加えた後、1N塩酸でpH
7.2に調整した。溶液を冷却(0℃)しながら冷アル
コールを加えて濃度19v/v%とした。約60分間撹
拌させ、溶液温度を2℃とし遠心分離した。得られた上
清を1N水酸化ナトリウムでpH7.2〜7.4に調整
後、冷却しながら冷エタノールを加え、終濃度25v/
v%とした。溶液を−5〜−10℃で約2時間撹拌後、
遠心分離を行ない沈殿画分を得た。この画分を蒸留水1
リットルに溶解した後、この溶液に0.02Mリン酸緩
衝液で平衡化したDEAE−セファロースを添加(溶液
1ml当り0.05g)、5〜10℃の条件下、約1時
間接触処理し、ガラスフイルターでろ過して、ろ液(1
gG溶液)を回収した。この1gG溶液を1N塩酸でp
H5.0±0.1に調整し、透析を行なった。透析後、
マルトース10W/V%、IgG 5W/V%に調整し
た。この水溶液を除菌ろ過し、静注用グロブリン組成物
とした。
【0016】実施例3.実施例1で使用したPII原料
に代えて、Nitschmann氏池によるフラクショ
ンAからの粗グロブリン画分を使用した以外は、実施例
1と同様の方法により、静注用グロブリン組成物を得
た。
【0017】上記で得られた静注用グロブリン組成物の
評価を次の各試験項目につき行なった。 (1)IgG収量および純度 IgG収量(%);分光光度計で波長280nm(E
280l%=14)にて測定。 純度(%);セルロースアセテート膜電気泳動法にて測
定[株式会社文光社発行1989年版平井秀松ら3名監
修「新版 電気泳動実験法」による]。結果を表1に示
す。 (2)HPLC分析 グロブリン重合体含有量(%);グロブリン重合体の定
量は、高速液体クロマトグラフィー(担体はTSK
3000SW)東ソー社製、溶離液は0.2Mリン酸緩
衝液。pH7.2)を用いて測定。結果を表2および図
4に示す。尚、図4には、出発原料の当該クロマトグラ
フィーによる測定結果を併記した。 (3)抗補体価(CH50) 当該抗補体価の測定は、カバットとマイヤーの方法(K
abat,A.andMayer,M.:Experi
mental I mmunochemistry 2
ed ed.)、および、西岡、岡田の方法(免疫の生
化学、103、(1971)共立出版)に準拠して行な
った。結果を表2に示す。 (4)カリクレイン含量 夾雑物としてのカリクレイン含量は、3095−V(P
RF社製)を発色性合成ペプチド基質として加え、遊離
する蛍光物質を405nmの吸光度を測定(血液凝固検
査ハンドブック、「発色性合成基質」(1994)宇宙
堂八木書店)。結果を表3に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】上記表1に示すように、本発明実施例によ
れば、IgGの純度が100%近くにまで高められ、ま
た、IgGが約70%を超えた収量(%)で得られるこ
とが分る。また、表2に示すように、本発明実施例によ
ればグロブリン重合体成分が除去され、特に、ポリマー
分は完全に除去できることが分る。この事は、図4に示
す結果にも示されており、当該図4(A)で表れている
当該重合体成分が、同図4(B)では、除去されている
ことが分る。さらに、表2に示すように、本発明実施例
によれば、抗補体価が基準値である20以下に抑えられ
ていることが分る。さらに又、表3に示すように、本発
明実施例によれば、カリクレイン含量が低く抑えられて
おり、夾雑物としてのカリクレインが充分除去されてい
ることが分る。前述のように、従来例では、Conn氏
法、Nitschmann氏法による冷アルコール分画
法では、グロブリンの変性等を回避する為には、−3℃
〜−6℃というような極低温下で実施することが必要と
され、氷点(0℃)を超えるような処理条件下では、粗
免疫グロブリン含有画分の精製は困難と考えられてきた
が、本発明によれば、Cohn氏法、Nitschma
nn氏法等に比較して高温度の10℃〜−1℃好ましく
は5℃〜0℃の温度条件下でも、イオン強度やpHやア
ルコール濃度を適切なものとすれば、上記のように、混
在している免疫グロブリン重合体成分を充分除去するこ
とができ、当該精製法と共に液状加熱処理による夾雑ウ
イルスの不活性処理および陰イオン交換体による夾雑タ
ンパク質除去処理を組み合わせることにより、臨床上適
用できるような安全性と有効性の高い静注用免疫グロブ
リン製剤を得ることができることが分る。さらに、粗免
疫グロブリン含有画分を精製するに、酵素を用いた酵素
処理法やスルホ化法やPEG法では、使用酵素やスルホ
化剤や高分子量のPEGなどの除去が必要であり、その
為に、目的とするγ−グロブリンよりなる生成物の収率
を低下させるが、本発明によれば、エタノール等の低級
アルコールを用い、冷アルコール分画により精製を行な
うので、上記のように収率も高く、生産性も向上させる
ことができる。
【0022】
【発明の効果】以上本発明によれば、混在している免疫
グロブリン重合体成分を除去することができ、夾雑ウイ
ルスや夾雑タンパク質が除去され、臨床上適用できるよ
うな安全性と有効性の高い静注用免疫グロブリン製剤を
収率良く得ることができる。
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す静注用免疫グロブリン製
剤製造工程およびその精製工程のフロー図。
【図2】出発物質のフロー図。
【図3】他の出発物質のフロー図。
【図4】(A)出発物質のクロマトグラフィー図、
(B)本発明の実施例を示す静注用免疫グロブリン製剤
のクロマトグラフィー図。尚、数値は、時間を示す。
【符号の説明】
1 出発物質のクロマトグラフィー 2 本発明のクロマトグラフィー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血清または血漿から低温下でアルコールを
    用いて分画された粗免疫グロブリン含有国分を精製し静
    注用免疫グロブリンを得るに、精製の第1段階におい
    て、pH6.0〜7.5、イオン強度0.001〜0.
    1、温度10℃〜−1℃、アルコール濃度17〜25V
    /V%の処理条件下で精製を行なうことを特徴とする粗
    免疫グロブリン含有固分の精製法。
  2. 【請求項2】血清または血漿から低温下でアルコールを
    用いて分固された粗免疫グロブリン含有画分を、加熱処
    理して夾雑するウイルスを不活性化する工程と、pH
    6.0〜7.5、イオン強度0.001〜0.1、温度
    10℃〜−1℃、アルコール濃度17〜25V/V%の
    処理条件下で精製を行なう工程と、夾雑するタンパク質
    を除去する工程とを含有してなることを特徴とする静注
    用免疫グロブリン製剤の製造方法。
JP19382696A 1996-06-19 1996-06-19 粗免疫グロブリン含有画分の精製法およびその精製法を用いた静注用免疫グロブリン製剤の製造方法 Pending JPH107588A (ja)

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JP19382696A Pending JPH107588A (ja) 1996-06-19 1996-06-19 粗免疫グロブリン含有画分の精製法およびその精製法を用いた静注用免疫グロブリン製剤の製造方法

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JP (1) JPH107588A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9556253B2 (en) 2014-12-02 2017-01-31 Hemarus Therapeutics Limited Process for increased yield of immunoglobulin from human plasma
DE102018209874A1 (de) 2017-06-28 2019-01-03 Fanuc Corporation Werkzeugwechsel-/Haltevorrichtung und Robotersystem

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