JPH107515A - うどん粉病防除剤 - Google Patents

うどん粉病防除剤

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JPH107515A
JPH107515A JP8158075A JP15807596A JPH107515A JP H107515 A JPH107515 A JP H107515A JP 8158075 A JP8158075 A JP 8158075A JP 15807596 A JP15807596 A JP 15807596A JP H107515 A JPH107515 A JP H107515A
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JP
Japan
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mildew
chitin
agent
powdery mildew
microorganisms
Prior art date
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Pending
Application number
JP8158075A
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English (en)
Inventor
Yoshitomo Matsumoto
悦知 松本
Kenichi Noda
健一 野田
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 うどん粉病菌の耐性獲得を阻止し、かつ人体
には安全に、うどん粉病の感染・蔓延を制御することを
目的とする。 【解決手段】 キチン分解能力を有するシュードモナス
(Pseudomonas)属に属する微生物を含むうどん粉病防
除剤を農作物表面に接種する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はうどん粉病の防除剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】うどん粉病は子嚢菌に属する菌類により
引き起こされる植物の病気であり、「粉状のかび」と呼
ばれるように葉や花、茎など全体にうどん粉をふりかけ
たような症状を呈する。これは植物体表面に蔓延した菌
糸上に形成された分生子によるもので、養分吸収のため
菌糸より吸器を植物細胞内に挿入し、植物の活力を著し
く低下させる。このうどん粉病は各種の樹木、花卉植
物、野菜、果実植物、穀物などに感染しうる。
【0003】このうどん粉病の防除のために、各種例え
ばノニルフェノールスルホン酸銅やトリホリン等の化学
合成殺菌剤が使用されているが、薬剤耐性菌の出現によ
り充分に抑制し得ていないのが実状である。また化学殺
菌剤は大量に、かつ継続的に使用しなければ効果を期待
できない。さらに大量に散布された殺菌剤により、人体
並びに環境への悪影響を生ずる等の問題点を有してい
る。さらにまた、化学殺菌剤はうどん粉病の代謝系の一
部に作用して効果を発揮するため、殺菌剤に対する抵抗
性を獲得されやすい。
【0004】さらに、微生物(アムペロミシス・キスカ
リスAQ10株)によりうどん粉病の蔓延・感染を制御
する方法もある(特開平02ー201125号)が、放
射性物質等により突然変異処理を施す必要があり、処理
に手間がかかると同時に、人体への影響も危惧される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、うどん粉病菌の耐性獲得を阻止
し、かつキチンを有しない人体には安全に、うどん粉病
の感染・蔓延を制御することを主眼とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記事情に
鑑みて鋭意研究した結果、うどん粉病菌の細胞壁がキチ
ン質で構成されていることを見いだし、うどん粉病菌の
細胞壁そのものを破壊するキチン分解性微生物を用いる
ことで、上記課題を解決できることを見いだした。すな
わち、本発明はキチン分解能力を有するシュードモナス
(Pseudomonas)属に属する微生物を含むうどん粉病防
除剤に関する。本発明のうどん粉病防除剤を農作物表面
に接種することにより、農作物のうどん粉病を長期間に
わたり防除することができる。
【0007】以下に本発明を詳述する。 1 微生物の創世手段 キチン分解能を有する微生物の探索を目的として、全国
各地から50ヶ所の土壌を集めた。これらの土壌から、
キチンまたはキトサン培地を用いて、約300株のキチ
ン分解能のある微生物を分離した。次いで、これらの微
生物をセントポーリア葉の表面に接種し、さらにこの葉
へうどん粉病菌の胞子を散布し、うどん粉病菌菌糸の生
育阻害の程度を調べた。次いで、この生育阻害程度の大
きかった微生物を接種した葉を水耕栽培し、1ヶ月後に
再度うどん粉病菌胞子を散布して、うどん粉病菌菌糸の
生育を阻害した微生物を選抜した。この微生物は菌学的
な同定の結果、シュードモナス属のグラム陰性菌である
ことが判明した。なお、本発明において使用するキチン
分解能力を有するシュードモナス属に属する微生物の好
ましい例としてはP68菌(寄託番号:FERM P-15669)
を挙げることができる。
【0008】P68菌の菌学的性質について、(財)日
本食品分析センターの分析により、表1のような結果が
得られた。なお、P68菌以外の3菌種の性質は、N.
R.Kriegand J.G.Holt:“Berg
ey´s Manualof Systematic
Bacteriology”Vol.1(1984)Will
iams & Wilkinsの記載を示した。この結
果からP68菌は資化性等が異なり、新菌であることが
確認された。
【0009】
【表1】
【0010】
【発明の実施の形態】
キチン分解能力を有するシュードモナス属に属する微生
物の培養及びその培養物によるうどん粉病菌の防除 培養には、限定されるものではないが、ブドウ糖を炭素
源とする無機塩培地が用いられるが、キチンを含む培地
が好ましく用いられる。これらを用いた代表的な培養法
を以下に説明する。
【0011】(1)液体培養法 キチンあるいはコロイド化したキチンを下限は0.1
%、好ましくは0.5%で、上限は20%、好ましくは
5%、の量になるように、例えば表2に示すような基本
無機塩培地に加える。pHを6.5〜7.5に調整後、
通常100〜150℃、好ましくは120〜125℃
で、通常1〜30分、好ましくは10〜20分加圧殺菌
を行う。好ましくは30℃前後に液温が低下したところ
に、別途培養しておいたキチン分解能力を有するシュー
ドモナス属に属する微生物の種菌(例えばP68の種
菌)を加えて、培養液に滅菌された空気を通気するか、
振とう法により空気を送りながら、15〜50℃、好ま
しくは20〜35℃で、通常2〜5日間培養する。
【0012】
【表2】
【0013】(2)固体培養法 キチンあるいはコロイド化したキチンを下限は0.1
%、好ましくは0.5%で、上限は20%、好ましくは
5%、の量になるように、例えば表2に示すような基本
無機塩培地に加える。これに0.8〜1.5%の量にな
るように寒天もしくはアガロースを加える。pHを6.
5〜7.5に調整後、通常100〜150℃、好ましく
は120〜125℃で、通常1〜30分、好ましくは1
0〜20分加圧殺菌を行う。冷却固化したところに、別
途培養しておいたキチン分解能力を有するシュードモナ
ス属に属する微生物の種菌(例えばP68の種菌)を塗
布して、15〜50℃、好ましくは20〜35℃にて通
常2〜5日間静置培養する。
【0014】本発明においては、キチン分解能力を有す
るシュードモナス属に属する微生物を含むうどん粉病防
除剤を農作物表面に接種することにより、うどん粉病の
感染・蔓延の制御を行うことができる。本発明でいうキ
チン分解能力を有するシュードモナス属に属する微生物
とは、該微生物の菌株、該微生物の培養物、該微生物の
培養液を含む概念である。本発明におけるキチン分解能
力を有するシュードモナス属に属する微生物は、キノン
系がQ−8でプロトカテキン酸の開裂がmeta型を示
し、また独立栄養的水素利用能を有していないという性
質を有する。
【0015】本発明の防除剤が適用される農作物は特に
制限はなく、花卉植物類としては、例えばバラ、セント
ポーリア、キク、かすみ草等、果菜類としては、例えば
イチゴ、メロン、キュウリ、カボチャ、スイカ、ピーマ
ン、なす、サヤエンドウ、トマト等、穀物類としては、
例えば、大麦、小麦、小豆、大豆等、果樹類としては、
例えばリンゴ、なし、桃、桜桃、ブドウ、キーウィフル
ーツ、柿等が挙げられる。
【0016】なお、本発明の防除剤をこれら農作物に
「接種」するとは、いわゆる植菌に限定されるものでは
なく、「散布」、「噴霧」、「塗布」、「混合」等の
他、「浸漬」等の施用手段も含むものである。これらの
接種方法に際して、本発明の防除剤を水で希釈して水性
組成物として用いることができる。希釈する割合は適宜
決定することができ、防除剤に対して通常1〜1000
重量倍の水にて希釈することができる。
【0017】また本発明においては、本発明のキチン分
解能力を有するシュードモナス属に属する微生物の他
に、必要に応じて該微生物と適合しうる植物薬理学上許
容し得る添加物を1種以上添加することもできる。この
ような添加物としては、界面活性剤、水溶性高分子化合
物、多糖類、蛋白質などが挙げられる。
【0018】本発明においてはキチン分解能力を有する
シュードモナス属に属する微生物を含むうどん粉病防除
剤に関する他、以下の態様を含む。 キチン分解能力を有するシュードモナス属に属する微
生物を用いてうどん粉病を防除する方法。 キチン分解能力を有するシュードモナス属に属する微
生物を含む水性組成物からなるうどん粉病防除剤組成
物。 キチン分解能力を有するシュードモナス属に属する微
生物を含む水性組成物を用いてうどん粉病を防除する方
法。 キチン分解能力を有するシュードモナス属に属する微
生物および該微生物と適合しうる植物薬理学上許容し得
る添加物を1種以上含む水性組成物。 キチン分解能力を有するシュードモナス属に属する微
生物および該微生物と適合しうる植物薬理学上許容し得
る添加物を1種以上含む水性組成物を用いてうどん粉病
を防除する方法。
【0019】本発明および前記〜の態様において、
シュードモナス属に属する微生物は、キノン系がQ−8
でプロトカテキン酸の開裂がmeta型を示し、また独
立栄養的水素利用能を有していないという性質を有す
る。前記〜の態様において、シュードモナス属に属
する微生物としてはP68が好ましく用いられる。
【0020】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】実施例1 (1)P68株の培養 コロイドキチンを最終濃度1%含む基本無機塩培地に、
別途培養しておいたP68株の種菌を植えて、振とう法
により30℃で72時間培養した。
【0022】(2)効果試験 このように調整したP68培養液を、滅菌水で10倍に
希釈して、肉眼及び実体顕微鏡により、葉面にうどん粉
病菌糸並びに胞子形成の認められた鉢植えのセントポー
リア(図1)へ噴霧器を用いて直接噴霧した。温室で4
8時間経過後、肉眼及び実体顕微鏡により葉表面を観察
した。その結果、噴霧したP68培養物の付着した領域
でうどん粉病菌の破壊が観察された。また、うどん粉病
菌の菌糸に沿うようにP68が増殖しているように観察
された(図2)。さらに30日後、肉眼及び実体顕微鏡
で観察した結果、うどん粉病菌の菌糸、並びに胞子は該
当植物の葉表面には観察されなかった。
【0023】実施例2 (1)P68の培養 キチン及び寒天をそれぞれ最終濃度1%含む基本無機寒
天培地に、別途培養しておいたP68株の種菌を加え、
30℃で96時間静置培養した。培養後、寒天表面上に
増殖したP68菌体を回収し、滅菌水1リットルに懸濁
した。これに最終濃度が0.05%となるようにコロイ
ドキチンを混合した。
【0024】(2)効果試験 このように調整したP68培養物に、セントポーリアの
定植直前で開花前の若植物体を浸漬し定植を行った。人
工気象器で1ヶ月経過後、うどん粉病菌の胞子を該植物
に接種した。接種1週間後、P68未処理の植物体の9
0%以上で葉面にうどん粉病菌の菌糸並びに胞子形成が
認められた(図3)。これに対して、P68処理した植
物体の葉面ではうどん粉病の菌糸並びに胞子の形成率は
10%以下であった(図4)。
【0025】
【発明の効果】本発明により、キチン分解性のシュード
モナス属に属する微生物を含む防除剤を植物体に接種す
ることで、人体への悪影響なく、うどん粉病の感染・蔓
延を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】うどん粉病に感染したセントポーリア葉の顕微
鏡写真(60倍)。
【図2】P68接種48時間経過後のセントポーリア葉
の顕微鏡写真(60倍)。
【図3】うどん粉病菌の胞子を再感染させたP68未処
理のセントポーリア葉の顕微鏡写真(30倍)。
【図4】うどん粉病菌の胞子を再感染させたP68処理
のセントポーリア葉の顕微鏡写真(30倍)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチン分解能力を有するシュードモナス
    (Pseudomonas)属に属する微生物を含むうどん粉病防
    除剤。
JP8158075A 1996-06-19 1996-06-19 うどん粉病防除剤 Pending JPH107515A (ja)

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