JPH1074005A - 定着装置 - Google Patents

定着装置

Info

Publication number
JPH1074005A
JPH1074005A JP23099796A JP23099796A JPH1074005A JP H1074005 A JPH1074005 A JP H1074005A JP 23099796 A JP23099796 A JP 23099796A JP 23099796 A JP23099796 A JP 23099796A JP H1074005 A JPH1074005 A JP H1074005A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing sleeve
rotating body
fixing
coil
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP23099796A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuro Ito
哲朗 伊藤
Yusuke Morigami
祐介 森上
Takeshi Kato
剛 加藤
Taizo Onishi
泰造 大西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP23099796A priority Critical patent/JPH1074005A/ja
Priority to US08/919,106 priority patent/US5870660A/en
Publication of JPH1074005A publication Critical patent/JPH1074005A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発熱効率が高くて昇温特性に優れ、中速・高
速の画像形成装置に用いた場合でも、定着不良が発生し
ない定着装置を提供する。 【解決手段】 誘導加熱定着装置のコイルアセンブリ1
3は、定着スリーブ12のニップ部16に誘導電流を生
じさせると共にニップ部16以外の領域にも誘導電流を
生じさせる磁束を発生する。さらに以下の3つの条件を
満たすように構成されている。 条件1; S1 +S2
≧0.3×S3 条件2; 0.2≦S2 /(S1 +S2 )≦0.8 条件3; 1mm≦Dmax ≦5mm ここに、S1 はホルダ14の軸直交面におけるコア18
の断面積、S2 はコイル20の断面積、S3 は定着スリ
ーブ12の内径断面積、Dmax はホルダ14外周面と定
着スリーブ12内周面との間に形成される間隙の最大距
離である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真式の複写
機、プリンタおよびファクシミリなどの画像形成装置に
用いられる定着装置に関し、より詳しくは、シート上に
保持されたトナーを加熱溶融して該シートに定着させる
誘導加熱方式の定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真式の複写機などには、記録媒体
である記録紙ないし転写材などのシート上に転写された
トナー像を熱によって溶解して当該シートに定着させる
定着装置が設けられている。この定着装置の加熱方式に
は、ヒートローラ定着装置で用いられるようなハロゲン
ランプ加熱方式や、フィルム定着装置で用いられるよう
な誘導加熱方式などがあるが、近年では、昇温速度が速
いという利点から、誘導加熱方式が注目されている。
【0003】誘導加熱方式を採用した従来の定着装置と
して、例えば特開平7−114276号公報および特開
平8−16007号公報に示されるような昇温特性に優
れたフィルム定着装置が提案されている。このフィルム
定着装置は、回転体であるフィルムと、フィルムの内方
に配置される励磁コイルと、加圧ローラとを有し、励磁
コイルで発生した磁束によってフィルムに渦電流を生じ
させて当該フィルムを誘導加熱する。そして、加熱され
たフィルムとともにシートを移動させつつ、シートに保
持されたトナーを加熱溶融して定着させている。上記公
報に示される定着装置では、フィルム全周のうち加圧ロ
ーラに接触するニップ部のみを局所的に加熱すること
で、定着装置の昇温速度を高めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の定着装
置はニップ部のみを局所的に加熱する構成であるので、
シートがニップ部を通過するごく僅かな時間において、
回転体であるフィルムの加熱と、当該フィルムからシー
トへの熱伝達との両方を行わなければならない。1枚の
シートがニップ部を通過する時間が比較的長い低速の複
写機やプリンターにあっては、ニップ部でフィルムを十
分に加熱できるため、所定の定着機能を発揮する。しか
しながら、シート1枚あたりの通過時間が比較的短い中
速・高速の複写機やプリンターにあっては、シートおよ
びフィルムの移動速度が速いのでニップ部でフィルムを
十分に加熱できず、定着不良、特にシートの搬送方向に
沿う後端側において定着不良が発生する虞がある。
【0005】本発明者らは、中速・高速の複写機やプリ
ンターに用いても定着不良が発生しない誘導加熱方式の
定着装置を提供すべく鋭意研究した結果、ニップ部を形
成する箇所のみならず回転体のほぼ全体を誘導加熱する
ように構成すれば、ニップ部でシートと接することによ
り低下した回転体の温度を、回転により再びニップ部に
到達するまでの間に加熱して高めることができ、シート
後端部における定着不良の発生を防止できることに着目
して、本発明を完成させるに至った。さらに、回転体の
ほぼ全体を誘導加熱するのに適し、定着スリーブの発熱
効率に優れ昇温速度の速い定着装置を実現する条件をも
見出だした。
【0006】そこで、本発明は、発熱効率が高くて昇温
特性に優れ、中速・高速の画像形成装置に用いた場合で
も、定着不良が発生しない定着装置を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1に記載の発明は、記録媒体上に保持されたト
ナーを加熱溶融して当該記録媒体に定着させる定着装置
であって、金属材料により形成された回転体と、前記回
転体に誘導電流を生じさせて前記回転体を誘導加熱する
磁束発生手段と、前記磁束発生手段を保持すると共に前
記回転体の内方に固定設置される絶縁性の保持部材と、
前記回転体を介して前記保持部材に圧接すると共に、未
定着トナーを保持した前記記録媒体を前記回転体との間
に挟持しつつ前記回転体とともに移動せしめる加圧部材
と、を有する定着装置において、前記磁束発生手段は、
芯材と、当該芯材の周囲に巻線を巻回して形成されたコ
イルとを備え、前記回転体における前記加圧部材との接
触部に誘導電流を生じさせると共に前記接触部以外の領
域にも誘導電流を生じさせる磁束を発生するように構成
され、さらに以下の3つの条件を満たすように構成され
ていることを特徴とする定着装置である。
【0008】条件1; S1 +S2 ≧0.3×S3 条件2; 0.2≦S2 /(S1 +S2 )≦0.8 条件3; 1mm≦Dmax ≦5mm ここに、 S1 ;保持部材の軸直交面における芯材の断面積 S2 ;保持部材の軸直交面におけるコイルの断面積 S3 ;保持部材の軸直交面における回転体の内径断面
積 Dmax ;保持部材外周面と回転体内周面との間に形成さ
れる間隙の最大距離である。
【0009】このように回転体における加圧部材との接
触部を形成する箇所のみならず回転体のほぼ全体を誘導
加熱するように構成したので、前記接触部で記録媒体と
接することにより低下した回転体の温度を、回転により
再び接触部に到達するまでの間に加熱して高めることが
できる。このため、中速・高速の画像形成装置に用いて
も、記録媒体の後端部において定着不良が発生すること
がない。
【0010】この際、3つの条件を満たすようにコイル
の断面積などを規定したことから、回転体のほぼ全体を
誘導加熱するのに適し、回転体の発熱効率が高くて昇温
速度も速い定着装置となる。
【0011】具体的には、条件1を満たすことにより、
回転体の内径断面積に占める芯材およびコイルの断面積
が十分に確保され、回転体全体を加熱するのに十分な磁
束が発生する。
【0012】条件2を満たすことにより、コイルの断面
積が十分に確保され、コイルの巻き数を十分に確保でき
る。このため、コイルを形成する巻線を並列的に束ねて
配置でき、巻線1本当たりの抵抗を小さくして流れる電
流を削減できる。この結果、コイルの温度上昇が抑制さ
れ、発熱に伴うエネルギ(印加電力)の損失が抑えられ
る。また、条件2を満たすことで、磁束発生手段のイン
ダクタンスが適正な領域に収まり、この点からも磁束が
十分に発生し、可聴音域以上での使用が可能で異音を感
じなくなる。さらに、芯材の鉄損も増加せず、回転体の
発熱効率が低下しない。
【0013】条件3を満たすことにより、前記接触部以
外の回転体と保持部材との間に適度な隙間が確保され、
回転体の熱が保持部材側に移動することが制限され、回
転体の昇温速度が低下しない。また、回転体の温度制御
も不安定にならない。
【0014】また、請求項2に記載の発明では、前記保
持部材は、繊維強化熱硬化性樹脂より形成され、かつ、
成形後に定着温度以上の温度で焼き入れ処理が施されて
いることを特徴とする。
【0015】このように構成すれば、高耐熱・高強度の
保持部材を得ることができ、保持部材の変形量が低減
し、定着装置は定着温度において安定して稼働する。
【0016】また、請求項3に記載の発明では、前記保
持部材は、前記焼き入れ処理により、前記加圧部材に向
けて凸となる弓形状に形成されていることを特徴とす
る。
【0017】このように構成すれば、定着装置稼動時に
保持部材に生じるベンディングが補正され、接触部にお
いて回転体と保持部材との間に隙間が生じることがな
く、回転体の回転不良や破損、あるいは記録媒体の搬送
不良がなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係
る定着装置を概略で示す断面図である。
【0019】本実施の形態に係る誘導加熱を利用した定
着装置は、コイルに高周波電流を流して生じた高周波磁
界により金属導体に誘導渦電流を誘起させ、金属導体自
体の表皮抵抗によって金属導体そのものをジュール発熱
させるようになっている。この種の誘導加熱定着装置
は、高周波誘導の利用により電気−熱変換効率が向上す
るので、定着装置の省エネルギ化(低消費電力化)と、
ユーザの操作性向上(クイックプリント)との両立を図
り得る。
【0020】詳述すると、図1に示すように、誘導加熱
定着装置は、記録媒体10上に保持されたトナーを加熱
溶融して当該記録媒体10に定着させるものであり、ト
ナーに対する離型性を有する離型層11を表面に備え、
金属材料により形成された定着スリーブ12(回転体に
相当する)と、定着スリーブ12に誘導電流を生じさせ
て定着スリーブ12を誘導加熱するコイルアセンブリ1
3(磁束発生手段に相当する)と、コイルアセンブリ1
3を保持すると共に定着スリーブ12の内方に固定設置
される絶縁性のホルダ14(保持部材に相当する)と、
定着スリーブ12を介してホルダ14に圧接すると共に
未定着トナーを保持した記録媒体10を定着スリーブ1
2との間に挟持しつつ定着スリーブ12とともに移動せ
しめる加圧ローラ15(加圧部材に相当する)と、を有
する。加圧ローラ15は図1中矢印a方向に回転可能に
設けられ、中空円筒形状をなす定着スリーブ12は、加
圧ローラ15とホルダ14との間に挟持され、加圧ロー
ラ15の回転に伴って従動回転する。
【0021】未定着のトナーを保持した記録媒体10つ
まりシートは、図1中矢印bで示すように左方向から搬
送され、定着スリーブ12と加圧ローラ15との接触部
であるニップ部16に向けて送り込まれる。シート10
は、誘導加熱された定着スリーブ12の熱と、加圧ロー
ラ15から作用する圧力とが加えられながら、ニップ部
16で挟持されつつ搬送される。これにより、未定着ト
ナーがシート10上に定着され、シート10上には定着
トナー像が形成される。トナーは、シート10の両面の
うち、定着スリーブ12と接触する側に保持されてい
る。ニップ部16を通過したシート10は、シート自体
のコシの強さで定着スリーブ12から自然に曲率分離
し、図1中右方向に搬送される。このシート10は、図
示しない排紙ローラによって搬送され、排紙トレイ上に
排出される。
【0022】前記定着スリーブ12は、可撓性を有する
薄肉の中空金属導体であり、例えばニッケル、鉄、SU
S430などの導電性を有する強磁性材を基材17とし
て形成するのが好ましい。定着スリーブ12を強磁性体
から形成すれば、多くの磁束がこの定着スリーブ12内
を通過するので、発熱効率が一層良くなる。定着スリー
ブの基材17の外周表面には、シート10を分離し易く
するために、フッ素樹脂をコーティングして、トナーに
対して良好な離型性と耐熱性とを有する離型層11が形
成されている。離型層11を形成するフッ素樹脂として
は、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)、ペルフルオロ
アルコキシフッ素樹脂(PFA)、4フッ化エチレン6
フッ化プロピレン共重合体(FEP)などが用いられ
る。
【0023】定着スリーブ12の金属製基材17の肉厚
は、例えば20μm〜60μm程度の厚さが好ましい。
定着スリーブは厚さが薄ければ薄いほど熱容量が小さく
なるので、当該定着スリーブを発熱させるのに要する消
費電力が少なくなるが、定着スリーブの厚さをあまりに
薄くすると、定着スリーブの強度が弱くなって破損しや
すくなり、耐久性の点で問題が生じる。また、定着スリ
ーブの製造の際に、厚みを均一にすることが困難で、製
造コストが高くなってしまう。逆に、定着スリーブの厚
さをあまりに厚くすると、曲げの力に対して弱くなり、
柔軟性がなくなる。このため、広いニップ部を形成しよ
うとして定着スリーブの曲率を部分的に変化させること
が困難になる。また、製造の際に材料を多く必要とする
ので、材料コストが高くなる。さらに、「クイック定
着」といわれる時間は、一般的に、給電を開始してから
10秒以内が望ましく、定着装置には、この10秒以内
に、定着可能な温度範囲(例えば、180〜200℃)
まで、定着スリーブを昇温することが要求される。そこ
で、前記肉厚が異なる定着スリーブを用いて昇温特性を
実験により調べたところ、定着スリーブの前記肉厚が2
0μmより薄い15μmの場合には、「クイック定着」
における許容限度時間(10秒)が経っても、定着スリ
ーブの温度は定着可能温度に達しなかった。ウォームア
ップ時間が長くなる理由は、定着スリーブが薄すぎる
と、定着スリーブにおける電力吸収が悪くなり、電気−
熱変換効率が悪くなるからである。また、定着スリーブ
の前記肉厚が60μmを越える65μmの場合にも、定
着スリーブの熱容量が増すため、許容限度時間以内に定
着スリーブを定着可能温度まで昇温することができなか
った。このような実験結果と前述した製造上などの問題
点を考慮すると、定着スリーブ12の金属製基材17
は、20μm〜60μm程度の厚さが好ましい。定着ス
リーブ12の金属製基材17の肉厚を20μm〜60μ
m内にすれば、耐久性、昇温特性およびコストの面で優
れた定着装置を実現できる。
【0024】定着スリーブ12の内方には、当該定着ス
リーブ12に誘導渦電流を誘起させてジュール発熱させ
るために、高周波磁界を生じるコイルアセンブリ13が
配置されている。このコイルアセンブリ13は、ホルダ
14の内部に保持され、ホルダ14は、図示しない定着
ユニットフレームに固定され非回転となっている。ま
た、ホルダ14の両端には、定着スリーブ12がホルダ
14の長手方向にずれないように規制するつば(不図
示)が設けられている。
【0025】コイルアセンブリ13は、磁性材からなり
I型形状を有するコア18(芯材に相当する)と、コア
18の周囲に巻線を巻回して形成された誘導コイル20
とを備え、定着スリーブ12におけるニップ部16に誘
導渦電流を生じさせると共にニップ部16以外の領域に
も誘導渦電流を生じさせる磁束を発生するように構成さ
れている。本実施の形態では、コイルアセンブリ13
は、中央部に通孔が形成されたボビン19をさらに有
し、このボビン19の周りに銅線を複数回巻き付けて前
記コイル20を形成してある。ボビン19の通孔には、
コイル20の銅線と直交するようにコア18が挿入され
ている。コイルアセンブリ13は、ボビン19とは別体
に形成した前記ホルダ14の中に、コア18がシート搬
送方向に対して平行となり、また外部に露呈しないよう
に収納保持されている。
【0026】コア18は、例えばフェライトコアまたは
積層コアからなる。コア18の形状は単純なI型形状で
あるため、コア18の製造コストは安く、ボビン19の
通孔に挿入する作業も簡単になる。さらに、コイルアセ
ンブリ13がホルダ14内に保持された状態では、コア
18の断面長手方向に位置する端面はホルダ14の内壁
に近接している。このようにコア18を配置すれば、定
着スリーブ12との間のエアギャップが狭くなり、定着
スリーブ12との磁気的結合が強くなることから、高い
電力伝達効率が得られる。なお、コア18の前記端面
を、ホルダ14の内面に沿うように、例えば弧状に形成
してもよい。
【0027】ボビン19は、誘導コイル20の熱や周囲
からの熱伝導により加熱されるため、少なくとも定着温
度すなわち定着スリーブ12の表面温度に耐え得る耐熱
性を必要とする。このため、ボビン19は、例えば、セ
ラミックや、耐熱性および絶縁性を有するエンジニアリ
ング・プラスチックから形成されている。エンジニアリ
ング・プラスチックとしては、PPS(ポリフェニレン
サルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケト
ン)、LCP(液晶ポリマー)、フェノールなどが挙げ
られる。
【0028】また、コイル20を構成する銅線として
は、表面に融着層と絶縁層とを持つ単一またはリッツ銅
線を用いることが好ましい。なお、ホルダ14は絶縁性
を有する材料から所定の形状に形成されているが、それ
らの詳細は後述する。
【0029】コイルアセンブリ13が銅線を巻き付ける
ボビン19を備えることにより、コイル巻き製造工程が
容易になるほか、安定した巻き付けが可能となる。ま
た、ボビン19がコア18と誘導コイル20とを電気的
に絶縁する絶縁部として機能しており、両者18,20
間の電気的絶縁が確実になるため、この定着装置は、故
障の発生が少なく、信頼性が高くなる。
【0030】加圧ローラ15は、軸芯21と、当該軸芯
21の周囲に形成されたシリコンゴム層22とから構成
されている。シリコンゴム層22は、表面からシート1
0が離れ易い離型性を有すると共に、耐熱性を有するゴ
ム層である。また、加圧ローラ15の両端には、図示し
ないスベリ軸受部が形成され、定着ユニットフレームに
回転自在に取り付けられている。加圧ローラ15は、図
示しないばね材により、定着スリーブ12を間に挟んで
ホルダ14に向かう方向に押圧される。さらに、加圧ロ
ーラ15は、その片端に図示しない駆動ギアが固定さ
れ、この駆動ギアに接続されたモータなどの図示しない
駆動源によって回転駆動される。
【0031】また、定着装置には、定着スリーブ12の
温度を検出するために、サーミスタなどからなる温度セ
ンサ(不図示)が定着スリーブ12の表面あるいは内周
面に圧接するように設けられている。この温度センサで
定着スリーブ12の温度を検出しつつ、定着スリーブ1
2の温度が最適温度となるように、誘導コイル20への
通電が制御されている。
【0032】図2は、誘導加熱定着装置における定着ス
リーブ12の加熱原理を説明する説明図である。コイル
20に高周波(数kHz〜数十kHz)の電流が流され
ると、「アンペアの右ネジの法則」に従って、図示する
ように、コア18から、定着スリーブ12の長手軸方向
に対し直交する磁束25aが発生する。この磁束25a
もまた高周波磁束である。
【0033】導電体の定着スリーブ12に到達した磁束
25bは、定着スリーブ12に沿って曲り、導電体の比
透磁率に依存した比率で定着スリーブ12の円周面内を
通る磁束25cとなる。定着スリーブ12の周面に集中
した磁束25cは、コイル20に対向する部分で密度が
最大となる。
【0034】この集中した磁束25cの作用により、定
着スリーブ12には、「レンツの法則」に従って、前記
磁束25cを妨げる前記磁束25cと逆方向の磁束を生
じるような渦状の誘導電流が内部で発生する。この誘導
渦電流は、定着スリーブ12の表皮抵抗によりジュール
熱に変換される。これにより定着スリーブ12が発熱す
る。なお、定着スリーブ12の内方にコイルアセンブリ
13が配置されているので、定着スリーブ12の内面側
の方が外面側に比べて、表皮効果によって一層発熱し易
い。
【0035】この構成にあっては、定着スリーブ12の
P,R点で円周面内の磁束密度が極大になり、逆に、
Q、S点で極小になる。よって、誘導電流密度も同様の
傾向になるので、定着スリーブ12の発熱は、円周面内
において均一ではなく、前記P,R点が発熱極大点にな
り、2点鎖線で囲んだ部分26a、26bが局所的に発
熱する。この局所的に発熱する部分26a、26bは、
図1において示せば、定着スリーブ12の上部領域と下
部領域に相当する。したがって、ニップ部16と一方の
発熱箇所(領域)とは、少なくとも一部で重複してい
る。図示する実施の形態では、コイル20が周囲に形成
されるコア18をシート10の搬送方向に対して平行に
配置したことで、上述したように、定着スリーブ12の
一方の発熱領域とニップ部16とが重複することにな
り、定着スリーブ12の熱が十分かつ無駄なくトナーに
伝わることになる。
【0036】図2に示したように、定着スリーブ12
は、周方向に沿う2か所に発熱極大点P,Rを有してい
る。このことをコイル側から見れば、コイル20は、定
着スリーブ12が2か所の発熱極大点P,Rを有するよ
うに、定着スリーブ12に誘導渦電流を生じさせてい
る。
【0037】本実施の形態の定着装置は、以下の3つの
条件を満たすように構成されている。図3は、各条件の
理解を容易にするための概念図である。なお、ボビン1
9は磁束発生手段としてのコイルアセンブリ13を構成
するための必須要素ではないため、図3ではボビン19
を図示省略してある。
【0038】条件1; S1 +S2 ≧0.3×S3 条件2; 0.2≦S2 /(S1 +S2 )≦0.8 条件3; 1mm≦Dmax ≦5mm ここに、 S1 ;ホルダ14の軸直交面におけるコア18の断面
積 S2 ;ホルダ14の軸直交面における誘導コイル20
の断面積 S3 ;ホルダ14の軸直交面における定着スリーブ1
2の内径断面積 Dmax ;ホルダ14の外周面と定着スリーブ12の内周
面との間に形成される間隙の最大距離 である。以下、各条件について順次説明する。
【0039】《条件1について》条件1は、ホルダ14
の軸直交面において、定着スリーブ12の内径断面積に
占めるコイル20およびコア18の断面積の比率を規定
したものである。なお、説明の便宜上、コイル20およ
びコア18を総称して、以下、「コイル・コア」とい
う。
【0040】図4は、条件1の説明に供するグラフであ
る。このグラフでは、横軸に前記比率(S1 +S2 )/
S3 を、縦軸にコイル・コアの温度上昇値[℃]をとっ
ている。コイル20への印加電力に対して定着スリーブ
12の発熱効率が悪いと、エネルギの損失分でコイル・
コアが発熱し、コイル・コアの温度が上昇する。したが
って、縦軸は損失エネルギの大きさを表すことになる。
【0041】損失エネルギを次ぎの実験条件で測定し
た。750W印加し、A4普通紙(64g/m2 )を3
0枚/分の速さで、横向きに連続通紙して、コイル・コ
アの温度上昇値ΔTを測定した。誘導コイル20を形成
する銅線としては、経済性の観点から、耐熱温度が22
0℃のAIW(アミドイミドワイヤ)を用いた。また、
定着温度は、一般的な150〜180℃に設定した。
【0042】上記実験条件で損失エネルギを測定したと
ころ、図4に示すように、定着スリーブ12の内径断面
積に占めるコイル・コアの断面積の比率(S1 +S2 )
/S3 が小さくなるにつれて、磁束の発生不足によって
損失エネルギが増加することが分かる。コイル・コアの
温度上昇値が40℃(220℃−180℃)を越える
と、AIWの耐熱温度を越えてしまう。
【0043】したがって、磁束を十分に発生させて損失
エネルギを低減すると共にAIWの耐熱温度を越えない
ようにするためには、定着スリーブ12の内径断面積に
占めるコイル・コアの断面積の比率(S1 +S2 )/S
3 は、0.3以上でなければならず、 条件1;S1 +S2 ≧0.3×S3 を満たす必要があることが分かった。
【0044】この条件1を満たすようにコイルアセンブ
リ13を構成することにより、定着スリーブ12の内径
断面積に占めるコア18およびコイル20の断面積が十
分に確保され、定着スリーブ12全体を加熱するのに十
分な磁束を発生させることができる。
【0045】《条件2について》条件2は、ホルダ14
の軸直交面において、コイル・コアの断面積に占めるコ
イル20の断面積の比率を規定したものである。
【0046】図5は、条件2の説明に供するグラフであ
る。このグラフでは、横軸に前記比率S2 /(S1 +S
2 )を、縦軸にコイル・コアの温度上昇値[℃]をとっ
ている。図4に示すグラフと同様に、縦軸は損失エネル
ギの大きさを表している。
【0047】条件1で示した実験条件で損失エネルギを
測定したところ、図5に示すように、コイル・コアの断
面積に占めるコイル20の断面積の比率S2 /(S1 +
S2)が約50%のときを最小に、ここから前記比率が
大きくなるにつれ、または、小さくなるにつれて、損失
エネルギが増加することが分かる。コイル・コアの温度
上昇値が40℃を越えると、AIWの耐熱温度を越えて
しまう。
【0048】コイル20の断面積が多すぎる(よって、
コア18の断面積が少なすぎる)場合は、自己インダク
タンスはコイルの巻数の二乗に比例するため、自己イン
ダクタンスが増加し、使用周波数帯が下がり、可聴音が
発生する。また、コイル20の断面積が多くコイルの抵
抗は下がるものの、使用周波数帯が下がってしまうの
で、コイルに流れる電流が一方向に流れている時間が長
くなる結果、実効電流が大きくなる。このため、コイル
20の銅損が増加する。
【0049】逆に、コイル20の断面積が少なすぎる
(よって、コア18の断面積が多すぎる)場合は、上記
理由により自己インダクタンスが減少し、使用周波数帯
が上がり、コイル20およびコア18の鉄損が増加し、
発振回路における回路損失が増加する。
【0050】なお、上記インダクタンスと使用周波数帯
との関係については、レンツの法則e=−L・(ΔI/
Δt)より、インダクタンスLが大きい場合には、起電
力eを目標の値にするために、ΔI/Δt(時間に対す
る電流の変化=発振周波数)が小さくなり、逆に、イン
ダクタンスLが大きい場合には、ΔI/Δtが大きくな
る関係がある。これより、上述のように、自己インダク
タンスが増加すると使用周波数帯が下がり、自己インダ
クタンスが減少すると使用周波数帯が上がることにな
る。
【0051】上記より、コイル・コアのインダクタンス
を適正な領域に収めて損失エネルギを低減すると共にA
IWの耐熱温度を越えないようにするためには、コイル
・コアの断面積に占めるコイル20の断面積の比率S2
/(S1 +S2 )は、0.2以上、0.8以下でなけれ
ばならず、 条件2;0.2≦S2 /(S1 +S2 )≦0.8 を満たす必要があることが分かった。
【0052】前記条件1を満たすことで発生する磁束が
増加し、電流が多く流れるためコイル20の温度が上昇
するが、条件2を満たすようにコイルアセンブリ13を
構成することにより、コイル20の断面積が十分に確保
され、コイルの巻き数を十分に確保できる。このため、
コイル20を形成する巻線を並列的に束ねて配置でき、
巻線1本当たりの抵抗を小さくして流れる電流を削減で
きる。この結果、コイル20の温度上昇を抑制して、発
熱に伴うエネルギ(印加電力)の損失を抑えることがで
きる。
【0053】また、条件2を満たすことで、コイルアセ
ンブリ13のインダクタンスが適正な領域に収まるの
で、この点からも磁束が十分に発生し、可聴音域以上で
の使用が可能で異音を感じなくなる。さらに、コア18
の鉄損も増加せず、定着スリーブ12の発熱効率の低下
も防止できる。
【0054】《条件3について》条件3は、ホルダ14
の外周面と定着スリーブ12の内周面との間に形成され
る間隙の最大距離を規定したものである。
【0055】図6は、条件3の説明に供するグラフであ
る。このグラフでは、横軸に前記最大距離Dmax を、縦
軸に定着スリーブ12の昇温速度をとっている。
【0056】前記最大距離を変化させながら定着スリー
ブ12の昇温速度を測定したところ、図6に示すよう
に、ホルダ14の外周面と定着スリーブ12の内周面と
の間に形成される間隙距離が5mmより大きくなると、
定着スリーブ12とコイル・コアとの間に形成される磁
気回路の結合が弱まって発熱効率が悪くなるため、定着
スリーブ12の昇温速度が急激に低下する。定着スリー
ブ12とコイル・コアとの間の磁気的結合を強くする観
点からみれば、両者12,14の間隙をできるだけ小さ
くすればよい。しかしながら、間隙距離が1mmより小
さくなると、定着スリーブ12は発熱し易いものの、ホ
ルダ14外周面に接触する面積が大きいので定着スリー
ブ12の熱の大部分がホルダ14側に移動してしまい、
結果として、定着スリーブ12の昇温速度が急激に低下
する。
【0057】したがって、定着スリーブ12の昇温速度
を好適に維持するためには、ホルダ14の外周面と定着
スリーブ12の内周面との間に形成される間隙距離Dma
x は、1mm以上、5mm以下でなければならず、 条件3;1mm≦Dmax ≦5mm を満たす必要があることが分かった。
【0058】この条件3を満たすように、ニップ部16
以外の定着スリーブ12とホルダ14との間に適度な隙
間を確保することで、定着スリーブ12の熱がホルダ1
4側に移動することを制限でき、定着スリーブ12の昇
温速度が低下することを防止できる。また、定着スリー
ブ12の温度制御が不安定になることもない。
【0059】《作用》次に作用を説明する。図7(A)
〜(D)は、作用の説明に供する図であり、(A)〜
(C)は、ニップ部直後位置、ニップ部とは反対側の上
方位置およびニップ部直前位置における定着スリーブの
温度変化を示し、同図(D)は、シートの温度変化を示
している。これらの温度変化は、条件1で示した実験条
件で測定したものである本実施の形態のコイルアセンブ
リ13は、周囲に誘導コイル20が形成されたコア18
の両端部が定着スリーブ12の近傍に配置され、定着ス
リーブ12のニップ部16に誘導電流を生じさせると共
にニップ部16以外の領域にも誘導電流を生じさせる磁
束を発生している。この磁束によって、定着スリーブ1
2は、そのほぼ全体が誘導加熱されて、所定の定着温度
に昇温している。
【0060】この状態からシート10の先端がニップ部
16に突入すると、定着スリーブ12とシート10とが
接し、定着スリーブ12の熱がシート10およびトナー
に奪われる。このため、図7(A)に示すように、ニッ
プ部16の直後位置では、定着スリーブ12の温度は大
きく下がる。
【0061】シート10の搬送に伴って回転する定着ス
リーブ12は、そのほぼ全体が誘導加熱されているの
で、ニップ部16で温度が低下してもすぐに昇温し始め
る。このため、同図(B)に示すように、ニップ部16
とは反対側の上方位置では、定着温度より低いものの、
ニップ部16の直後位置に比べて定着スリーブ12の温
度は上昇している。
【0062】定着スリーブ12は回転しつつさらに誘導
加熱されるため、同図(C)に示すように、ニップ部1
6に突入する直前の位置では、定着スリーブ12の温度
は所定の定着温度に復帰している。
【0063】このようにシート10の温度は、同図
(C)に示すように、30枚/分という比較的中高速の
通紙を行っても、ほぼ一定でムラがない。したがって、
この定着装置を中高速の画像形成装置に用いても、ニッ
プ部16における定着スリーブ12の加熱不足が生じる
ことはなく、シート10の搬送方向に沿う後端側におけ
る定着不良の発生を防止できる。
【0064】また、本実施の形態のコイルアセンブリ1
3では、コイル20が巻かれたコア18の両端部を定着
スリ−ブ12にできるだけ近接するように配置したの
で、定着スリ−ブ12とコイルアセンブリ13との間の
磁気的な結合が十分に確保され、磁気的結合力の低下に
よる発熱効率の低下が生じない。さらに、条件1および
条件2を満たすようにコイルアセンブリ13を構成した
ので、当該コイルアセンブリ13により十分な磁束が発
生し、かつ、定着スリーブ12において磁束を効率良く
熱に変換される。また、条件3を満たすように定着装置
を構成したので、定着スリーブ12からの熱の逃げが防
止される。これらより、定着装置の発熱効率が向上し、
定着スリーブ12の昇温速度が速くなる。
【0065】《ホルダの材質について》誘導加熱定着装
置を定着温度において安定して使用するためには、高耐
熱・高強度の薄肉パイプ状のホルダが必要である。そこ
で、本実施の形態では、ホルダ14は、繊維強化熱硬化
性樹脂より形成し、かつ、成形後に定着温度以上の温度
で焼き入れ処理を施してある。
【0066】熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および繊維強
化熱硬化性樹脂より形成した3種のホルダを用いて、連
続加熱した場合の当該ホルダのたわみ変形量(塑性変形
量)を測定した。測定条件は次の通りである。 定着スリーブの内径;φ40mm (厚さ 30μm) ホルダの外径 ;φ38mm (厚さ 3.5mm) 定着温度 ;150℃ 加圧力 ;10kgf/cm2 である。熱可塑性樹脂としてPEEKを、熱硬化性樹脂
としてフェノール樹脂(フィラーレス)を、繊維強化熱
硬化性樹脂としてフェノール樹脂(ガラスファイバー入
り)を用いた。測定結果を表1に示す。ここで、ホルダ
変形量が0.1mm以上の場合には定着スリーブの回転
およびシートの搬送に支障をきたすので「×(不可)」
で表し、0.1mm未満の場合には「○(可)」で表し
てある。また、熱硬化性樹脂製および繊維強化熱硬化性
樹脂製ホルダについては、a)焼き入れなし、b)定着
温度未満の温度で焼き入れを行う低温焼き入れ、c)定
着温度以上の温度で焼き入れを行う高温焼き入れ、の3
種について測定した。
【0067】
【表1】
【0068】ホルダは押出成形されるが、製造時の精度
出し等の観点から、成形時の樹脂温度は定着温度程は高
くされていない。そして、上記表1から明らかなよう
に、繊維強化熱硬化性樹脂製のホルダ14に使用温度
(定着温度)以上の高温焼き入れ処理を施すことで、当
該温度における熱硬化性樹脂の架橋未反応部分の反応が
促進され、使用温度に対する強度が増加することがわか
った。繊維強化熱硬化性樹脂製のホルダ14に高温焼き
入れ処理を施すと、焼き入れ処理をしないホルダに比べ
て、変形量は1/10に低減した。
【0069】なお、本実施の形態の定着装置は電磁誘導
加熱を行うため、磁束発生手段としてのコイルアセンブ
リ13を内部に収納するホルダ14は、定着スリーブ1
2とコイル20との短絡防止のため、絶縁体である必要
がある。このことから、成形時の精度に優れる樹脂製ホ
ルダを採用してある。樹脂製のほかガラス製ホルダも考
えられるが、ガラス製ホルダは、振れに対する強度や真
直度の精度が樹脂製のものに比べると悪い。
【0070】《ホルダの形状について》上記のように繊
維強化熱硬化性樹脂より形成され、かつ、成形後に定着
温度以上の温度で焼き入れ処理が施されたホルダ14で
あっても、図8(A)に示すように、定着装置稼動時の
加熱・加圧状態の下では、ベンディングが発生する虞が
ある。かかる場合、金属製の定着スリーブ12がストレ
ートパイプ形状をなしているため、ニップ部16におい
て、ベンディングしたホルダとの間に隙間が生じてしま
い、定着スリーブ12の回転不良や破損、あるいはシー
ト10の搬送不良を招く虞がある。
【0071】そこで、本実施の形態のホルダ14は、図
8(B)に示すように、前記焼き入れ処理により、加圧
ローラ15に向けて凸となる弓形状に形成してある。す
なわち、加圧時あるいは加圧加熱時に、ホルダ14にお
ける加圧ローラ15と対向する面が定着スリーブ12に
対して平行となるように、ホルダ14を予め弓形状に成
形してある。予め反らせる量の一例は、5〜15kgf
/cm2 程度の加圧力が作用する場合において、ホルダ
長L=33cm、反らせ量ΔL =0.05〜0.1mm
である。
【0072】ホルダ14をこのような形状に形成するこ
とで、定着装置稼動時にホルダ14に生じるベンディン
グが補正され、ニップ部16において定着スリーブ12
とホルダ14との間に隙間が生じることがなく、定着ス
リーブ12の回転不良や破損、あるいはシート10の搬
送不良を招くことがなくなった。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の
定着装置によれば、回転体をニップ部のみならず他の領
域においても誘導加熱するようにしたので、発熱効率が
高くて昇温特性に優れており、中速・高速の画像形成装
置に用いた場合であっても、記録媒体の搬送方向に沿う
後端側に定着不良が発生することを防止できる。この
際、3つの条件を満たすようにコイルの断面積などを規
定したことから、回転体のほぼ全体を誘導加熱するのに
適し、回転体の発熱効率に優れ昇温速度の速い定着装置
を実現できた。
【0074】また、請求項2に記載の定着装置によれ
ば、保持部材を、繊維強化熱硬化性樹脂より形成し、か
つ、成形後に定着温度以上の温度で焼き入れ処理を施し
たので、高耐熱・高強度の保持部材を得ることができ、
保持部材の変形量が低減し、定着装置を定着温度におい
て安定して使用することが可能となる。
【0075】また、請求項3に記載の定着装置によれ
ば、保持部材を、焼き入れ処理により加圧部材に向けて
凸となる弓形状に形成したので、定着装置稼動時に保持
部材に生じるベンディングが補正され、ニップ部におい
て回転体と保持部材との間に隙間が生じることがなく、
回転体の回転不良や破損、あるいは記録媒体の搬送不良
を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る定着装置を概略で
示す断面図である。
【図2】 誘導加熱定着装置における定着スリーブ12
の加熱原理を説明する説明図である。
【図3】 定着装置が備える3つの条件の理解を容易に
するための概念図である。
【図4】 条件1の説明に供するグラフである。
【図5】 条件2の説明に供するグラフである。
【図6】 条件3の説明に供するグラフである。
【図7】 図7(A)〜(D)は、実施の形態の作用の
説明に供するグラフである。
【図8】 図8(A)(B)は、ホルダ形状を示す概念
図である。
【符号の説明】
10…シート(記録媒体) 11…離型層 12…定着スリーブ(回転体) 13…コイルアセンブリ(磁束発生手段) 14…ホルダ(保持部材) 15…加圧ローラ(加圧部材) 16…ニップ部(回転体と加圧部材との接触部) 17…定着スリーブの金属製基材 18…コア(芯材) 19…ボビン 20…誘導コイル S1 …ホルダの軸直交面におけるコアの断面積 S2 …ホルダの軸直交面における誘導コイルの断面積 S3 …ホルダの軸直交面における定着スリーブの内径断
面積 Dmax …ホルダ外周面と定着スリーブ内周面との間に形
成される間隙の最大距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 剛 大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪 国際ビル ミノルタ株式会社内 (72)発明者 大西 泰造 大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪 国際ビル ミノルタ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体上に保持されたトナーを加熱溶
    融して当該記録媒体に定着させる定着装置であって、 金属材料により形成された回転体と、 前記回転体に誘導電流を生じさせて前記回転体を誘導加
    熱する磁束発生手段と、 前記磁束発生手段を保持すると共に前記回転体の内方に
    固定設置される絶縁性の保持部材と、 前記回転体を介して前記保持部材に圧接すると共に、未
    定着トナーを保持した前記記録媒体を前記回転体との間
    に挟持しつつ前記回転体とともに移動せしめる加圧部材
    と、を有する定着装置において、 前記磁束発生手段は、芯材と、当該芯材の周囲に巻線を
    巻回して形成されたコイルとを備え、前記回転体におけ
    る前記加圧部材との接触部に誘導電流を生じさせると共
    に前記接触部以外の領域にも誘導電流を生じさせる磁束
    を発生するように構成され、さらに以下の3つの条件を
    満たすように構成されていることを特徴とする定着装
    置。 条件1; S1 +S2 ≧0.3×S3 条件2; 0.2≦S2 /(S1 +S2 )≦0.8 条件3; 1mm≦Dmax ≦5mm ここに、 S1 ;保持部材の軸直交面における芯材の断面積 S2 ;保持部材の軸直交面におけるコイルの断面積 S3 ;保持部材の軸直交面における回転体の内径断面
    積 Dmax ;保持部材外周面と回転体内周面との間に形成さ
    れる間隙の最大距離である。
  2. 【請求項2】 前記保持部材は、繊維強化熱硬化性樹脂
    より形成され、かつ、成形後に定着温度以上の温度で焼
    き入れ処理が施されていることを特徴とする請求項1に
    記載の定着装置。
  3. 【請求項3】 前記保持部材は、前記焼き入れ処理によ
    り、前記加圧部材に向けて凸となる弓形状に形成されて
    いることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
JP23099796A 1996-08-30 1996-08-30 定着装置 Pending JPH1074005A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23099796A JPH1074005A (ja) 1996-08-30 1996-08-30 定着装置
US08/919,106 US5870660A (en) 1996-08-30 1997-08-28 Heating device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23099796A JPH1074005A (ja) 1996-08-30 1996-08-30 定着装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1074005A true JPH1074005A (ja) 1998-03-17

Family

ID=16916624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23099796A Pending JPH1074005A (ja) 1996-08-30 1996-08-30 定着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1074005A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6856783B2 (en) 2002-06-27 2005-02-15 Kabushiki Kaisha Toshiba Fixing apparatus
JP2007053267A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Totoku Electric Co Ltd コア一体型コイル

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6856783B2 (en) 2002-06-27 2005-02-15 Kabushiki Kaisha Toshiba Fixing apparatus
US7085527B2 (en) 2002-06-27 2006-08-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Fixing apparatus having fixing roller and induction heating device therein
JP2007053267A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Totoku Electric Co Ltd コア一体型コイル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6087641A (en) Fixing device with induction heating unit
JPH09127810A (ja) 誘導加熱定着装置
JP2002123106A (ja) 定着装置
JPH1074007A (ja) 定着装置
US5870660A (en) Heating device
JP2006133683A (ja) 定着装置
JPH09258586A (ja) 誘導加熱定着装置
JP4539407B2 (ja) 定着装置
JP2000081806A (ja) 定着装置
JP4052204B2 (ja) 定着装置
JP2004198969A (ja) 定着ベルト及びこれを用いた定着装置
JPH1031379A (ja) 誘導加熱定着装置
JP4123113B2 (ja) 定着装置
US20120057911A1 (en) Heating roller comprising induction heating coil made of nickel alloy, fixing unit and image forming apparatus having the same
JPH09197869A (ja) 定着装置
JP3317154B2 (ja) 定着装置
JPH1074005A (ja) 定着装置
JP2002236429A (ja) 定着装置
JPH10123861A (ja) 誘導加熱定着装置
JP3353572B2 (ja) 誘導加熱定着装置
JP3799186B2 (ja) 定着装置
JP2003084589A (ja) 定着装置
JPH0863022A (ja) 誘導加熱定着装置
JP3750718B2 (ja) 定着装置
JP2000019876A (ja) 加熱装置及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20050614

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712