JPH1073152A - トロイダル型無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機の変速制御装置

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Publication number
JPH1073152A
JPH1073152A JP27074596A JP27074596A JPH1073152A JP H1073152 A JPH1073152 A JP H1073152A JP 27074596 A JP27074596 A JP 27074596A JP 27074596 A JP27074596 A JP 27074596A JP H1073152 A JPH1073152 A JP H1073152A
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JP
Japan
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piston
toroidal
continuously variable
type continuously
control device
Prior art date
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Application number
JP27074596A
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English (en)
Inventor
Katsuya Kobayashi
克也 小林
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のピストン間を連絡する回路を介し、或
るピストンへの外乱が他のピストンに影響するのを防止
し、変速同期くずれが発生するのを回避する。 【解決手段】 アップシフト時、弁53は圧力PU を高
くすると同時に、圧力P D を低下させることで、ピスト
ン51L ,51R ,52L ,52R を、対応するパワー
ローラと共に実線矢印方向にストロークさせ、アップシ
フト変速を惹起する。ダウンシフト変速時、弁53は圧
力PD を高くすると同時に、圧力PU を低下させること
で、ピストンを逆の点線矢印方向にストロークさせ、ダ
ウンシフト変速を惹起する。ピストン52R にアップシ
フト方向の外乱Fが作用すると、該ピストンの両側室間
に差圧が生ずるが、ダンピングオリフィス74,78
は、この差圧が他のピストンに達するのを阻止し、変速
の同期くずれを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トロイダル型無段
変速機の、特に同期くずれを防止可能な変速制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】トロイダル型無段変速機は、同軸配置し
た入出力コーンディスクと、これら入出力コーンディス
ク間で摩擦係合により動力伝達を行うパワーローラとよ
りなるトロイダル伝動ユニットを主たる構成要素とす
る。
【0003】そしてトロイダル型無段変速機は、パワー
ローラを個々のピストンによりパワーローラ回転軸線と
直交する首振り軸線方向へストロークさせることで、上
記首振り軸線周りにおける傾転を生起させ、これにより
入出力コーンディスクに対するパワーローラの接触軌跡
円弧径を連続的に変化させて、無段変速を行うよう構成
するのが通常である。
【0004】かかるトロイダル型無段変速機の変速制御
装置としては従来、例えば特開平2−283949号公
報に記載のごとく、上記トロイダル伝動ユニットを2個
1組として並列的に配置した、所謂ダブルキャビティー
型トロイダル型無段変速機の変速制御装置について述べ
ると、図23に示すような変速制御装置が知られてい
る。
【0005】図23において、FRはエンジンに近い前
側のトロイダル伝動ユニットに係わる一対のパワーロー
ラのうち、車両上方から見て右側のパワーローラをスト
ロークさせるための前右側ピストン、FLは同じく前側
のトロイダル伝動ユニットに係わる、上から見て左側の
パワーローラをストロークさせるための前左側ピスト
ン、RRはエンジンに遠い後側のトロイダル伝動ユニッ
トに係わる一対のパワーローラのうち、上から見て右側
のパワーローラをストロークさせるための後右側ピスト
ン、RLは同じく後側のトロイダル伝動ユニットに係わ
る、上から見て左側のパワーローラをストロークさせる
ための後左側ピストンである。
【0006】例えば、これらピストンがそれぞれ、実線
矢印方向にストロークするとき、対応するパワーローラ
のアップシフト(高速側変速比に向かう)方向の傾転を
生じさせ、点線矢印方向にストロークするとき、対応す
るパワーローラのダウンシフト(低速側変速比に向か
う)方向の傾転を生じさせるものとし、これらピストン
の両側室に対し、共通な変速制御弁S/Vのアップシフ
ト変速圧PU を出力するポートおよびダウンシフト変速
圧PD を出力するポートを、図示の回路により接続す
る。
【0007】アップシフト変速に当たっては、変速制御
弁S/Vがアップシフト変速圧PUを高くし、ダウンシ
フト変速圧PD を低下させて、両者間に差圧を生じさせ
る。この差圧は、全てのピストンFR,FL,RR,R
Lをして実線矢印方向にストロークさせ、パワーローラ
のアップシフト方向の傾転を惹起せしめる。逆のダウン
シフト変速に当たっては、変速制御弁S/Vがダウンシ
フト変速圧PD を高くし、アップシフト変速圧PU を低
下させて、両者間に差圧を生じさせる。この差圧は、全
てのピストンFR,FL,RR,RLをして点線矢印方
向にストロークさせ、パワーローラのダウンシフト方向
の傾転を惹起せしめる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の変速制御装置においては、或るピストンへのストロ
ーク方向における外乱が他のピストンにそのまま影響
し、4個のピストン間に位相のずれを生じさせ、変速の
同期くずれが発生するという問題を生ずる。
【0009】つまり、例えば図23に2点鎖線で示す方
向の外乱Fが後右側ピストンRRに入力された場合につ
いて説明すると、当該外乱Fに起因してピストンRRは
同方向にストロークしようとし、対応するパワーローラ
のアップシフト方向への傾転を惹起しようとする。他方
で、外乱Fに起因したピストンRRの同方向へのストロ
ーク傾向によってピストンRRの両側室間に発生した差
圧は、油圧回路内の作動流体を介して他の3個のピスト
ンFR,FL,RLの両側室に達し、これらピストンを
それぞれ点線矢印方向へ押圧する。ところで、これらの
押圧方向は全てダウンシフト方向であって、外乱Fによ
るピストンRRのストローク方向と逆位相となり、変速
の同期くずれが発生するのを免れない。
【0010】本発明は、かかる変速の同期くずれを生じ
にくいトロイダル型無段変速機の変速制御装置を提供す
ることを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的のため、第1発
明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、請
求項1に記載のごとく、同軸配置した入出力コーンディ
スクと、これら入出力コーンディスク間で摩擦係合によ
り動力伝達を行う複数のパワーローラとよりなるトロイ
ダル伝動ユニットを具え、前記パワーローラを個々のピ
ストンによりパワーローラ回転軸線と直交する首振り軸
線方向へストロークさせることで、該首振り軸線周りに
おけるパワーローラの傾転を生起させて変速を行うよう
にし、前記パワーローラのストロークを行うピストン両
側差圧を共通な1個の変速制御弁により発生させるよう
にしたトロイダル型無段変速機において、外乱による前
記ピストンのストロークに対して抵抗を与えるダンピン
グ要素を付加して設けたことを特徴とするものである。
【0012】第2発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項2に記載のごとく、上記第1発
明において、前記ダンピング要素を、前記各ピストンの
両側室間を連通するピストン連通絞りで構成したことを
特徴とするものである。
【0013】第3発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項3に記載のごとく、上記第1発
明において、前記ダンピング要素を、前記各ピストンの
両側室それぞれに接続した、内容積を増大可能な容積増
大室で構成したことを特徴とするものである。
【0014】第4発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項4に記載のごとく、上記第1発
明において、前記ダンピング要素を、外乱によるピスト
ンストロークに伴い発生した液流方向へ移動可能に弾支
したことを特徴とするものである。
【0015】第5発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項5に記載のごとく、上記第1発
明または第4発明において、前記ダンピング要素を、外
乱によるピストンストロークに伴う液流に対して流動抵
抗を付与するダンピング絞りで構成したことを特徴とす
るものである。
【0016】第6発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項6に記載のごとく、上記第5発
明において、前記各ピストンの両側室のみに係わるピス
トン両側差圧供給回路のうち、少なくとも一方の回路中
に前記ダンピング絞りを挿置したことを特徴とするもの
である。
【0017】第7発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項7に記載のごとく、第5発明ま
たは第6発明において、前記各ピストンと共にストロー
クして、ピストンから遠い側に容積変化するダンパ室を
画成するダンパピストンを設け、該ダンパピストンに貫
通させて前記ダンピング絞りを設けたことを特徴とする
ものである。
【0018】第8発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項8に記載のごとく、第5発明乃
至第7発明のいずれか一発明において、前記各ピストン
の両側室間を連通するピストン連通絞りを付加して設け
たことを特徴とするものである。
【0019】第9発明によるトロイダル型無段変速機の
変速制御装置は、請求項9に記載のごとく、第5発明乃
至第8発明のいずれか一発明において、前記各ピストン
の両側室にそれぞれ、内容積を増大可能な容積増大室を
接続したことを特徴とするものである。
【0020】第10発明によるトロイダル型無段変速機
の変速制御装置は、請求項10に記載のごとく、第3発
明または第9発明において、前記容積増大室をアキュム
レータで構成したことを特徴とするものである。
【0021】第11発明によるトロイダル型無段変速機
の変速制御装置は、請求項11に記載のごとく、上記第
10発明において、前記アキュムレータをピストン両側
室の差圧に応動するよう構成したことを特徴とするもの
である。
【0022】第12発明によるトロイダル型無段変速機
の変速制御装置は、請求項12に記載のごとく、上記第
4発明乃至第11発明のいずれか一発明において、前記
弾支をコイルばねで行う構成としたことを特徴とするも
のである。
【0023】第13発明によるトロイダル型無段変速機
の変速制御装置は、請求項13に記載のごとく、上記第
4発明乃至第11発明のいずれか一発明において、前記
弾支を皿ばねで行う構成としたことを特徴とするもので
ある。
【0024】
【発明の効果】第1発明において、トロイダル伝動ユニ
ットの入力コーンディスクに達した回転はパワーローラ
を介して出力コーンディスクに伝達される。この伝動
中、共通な1個の変速制御弁が、パワーローラの個々の
ピストンの両側に差圧を作用させると、各ピストンは対
応するパワーローラを、その回転軸線と直交する首振り
軸線方向へストロークさせ、該首振り軸線周りにおける
パワーローラの傾転を惹起して無段変速を可能ならしめ
る。
【0025】ここで、或るピストンに外乱が作用する
と、当該ピストンは外乱方向にストロークしようとす
る。しかしてダンピング要素が、外乱によるピストンの
ストロークに対して抵抗を与えることから、このストロ
ーク自身を阻止し得るのに加えて、外乱に起因した上記
ピストンのストロークに伴って当該ピストンの両側室間
に発生する差圧が、他のピストンの両側室に達するのも
阻止する。よって当該他のピストンが、外乱を入力され
たピストンと逆位相方向にストロークされることがな
く、変速の同期くずれが発生するのを防止することがで
きる。
【0026】第2発明においては、前記ダンピング要素
を、前記各ピストンの両側室間を連通するピストン連通
絞りで構成したことから、簡単な構成で上記第1発明に
よる作用効果を達成することができる。
【0027】第3発明においては、前記ダンピング要素
を、前記各ピストンの両側室それぞれに接続した、内容
積を増大可能な容積増大室で構成したことから、上記第
2発明と同様な作用効果を得ることができる。
【0028】第4発明においては、前記ダンピング要素
を、外乱によるピストンストロークに伴い発生した液流
方向へ移動可能に弾支したから、外乱によりピストンが
ストロークした場合、当該ピストンのストローク速度に
対する抵抗と、ストローク量に応じた反力が発生する。
この抵抗および反力がストローク自身を阻止し得るのに
加えて、外乱に起因した上記ピストンのストロークに伴
って当該ピストンの両側室間に発生する差圧が、他のピ
ストンの両側室に達するのも阻止する。よって第1発明
の効果を一層顕著なものにできる。
【0029】第5発明においては、上記のダンピング要
素を、外乱によるピストンストロークに伴う液流に対し
て流動抵抗を付与するダンピング絞りで構成したことか
ら、簡単な構成で前記第1発明による作用効果を達成す
ることができる。
【0030】第6発明においては、上記各ピストンの両
側室のみに係わるピストン両側差圧供給回路のうち、少
なくとも一方の回路中に前記ダンピング絞りを挿置した
から、変速制御回路に対する処置のみで、安価に第1発
明による作用効果を達成することができる。
【0031】第7発明においては、上記各ピストンと共
にストロークして、ピストンから遠い側に容積変化する
ダンパ室を画成するダンパピストンを設け、該ダンパピ
ストンに貫通させて前記のダンピング絞りを設けたこと
から、ピストン自身の機構的な改造によって第1発明に
よる作用効果を達成することができる。
【0032】第8発明においては、前記各ピストンの両
側室間を連通するピストン連通絞りを付加して設けたこ
とから、前記ダンピング絞りの内径を左程小さくしなく
ても、第1発明による作用効果を達成することができ、
絞りの目詰まり防止上絞り径を小さくできない場合で
も、第1発明の作用効果を達成し得るほか、ダンピング
絞り径を小さくした場合の弊害、つまり変速応答性の悪
化や、ピストン両側差圧の増大による作動油漏れの問題
や、目詰まりし易い問題を回避することができる。
【0033】第9発明においては、前記各ピストンの両
側室にそれぞれ、内容積を増大可能な容積増大室を接続
したことから、ダンピング絞りの内径を左程小さくしな
くても、第1発明による作用効果を達成することがで
き、この場合も、第8発明と同様の目的を実現すること
ができる。
【0034】第10発明においては、前記容積増大室を
アキュムレータで構成したことから、第9発明よりも小
さなスペースで、同様の効果を達成することができる。
【0035】第11発明においては、上記アキュムレー
タをピストン両側室の差圧に応動するよう構成したか
ら、第10発明よりも更に小さなスペースで、第8発明
と同様の効果を達成することができる。
【0036】第12発明においては、前記弾支をコイル
ばねで行うこととしたから、安価に第4発明による作用
効果を達成することができる。
【0037】第13発明においては、前記弾支を皿ばね
で行うこととしたから、第12発明と同様な作用効果を
得ることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1および図2は、本発明に
よる一実施の形態になる変速制御装置を具えたトロイダ
ル型無段変速機を示し、図3は同変速制御装置の油圧回
路図である。
【0039】トロイダル型無段変速機は、車両用として
伝動容量を倍化するために、変速機ケース1内に2個の
トロイダル伝動ユニット、つまり、フロント側トロイダ
ル伝動ユニット2、およびリヤ側トロイダル伝動ユニッ
ト3をタンデムに収納した構成にする。これらトロイダ
ル伝動ユニット2,3はそれぞれ、入力コーンディスク
4,5と、出力コーンディスク6,7と、2個1組の左
右パワーローラ8L ,8R および9L ,9R とを主たる
要素とする同様な構成にするが、出力コーンディスク
6,7が背中合わせになるよう同軸に配置する。
【0040】この配置に当たっては、変速機ケース1内
に主軸10を回転自在に支持し、この主軸10上に両ト
ロイダル伝動ユニット2,3の入出力コーンディスク4
〜7を支持する。フロント側入力コーンディスク4およ
びリヤ側入力コーンディスク5はそれぞれ、ボールスプ
ライン11により主軸10に回転係合させるも、軸線方
向にスライド可能とし、リヤ側入力コーンディスク5は
主軸10に螺合させたナット12により抜け止めする。
また出力コーンディスク6,7は中空出力軸13を介し
て相互に一体結合し、この中空出力軸13を主軸10上
に回転自在に支持する。そして、一対1組の左右パワー
ローラ8L ,8R および9L ,9R はそれぞれ、対応す
る入出力コーンディスク4,6間、および5,7間で、
摩擦係合により動力の受渡しを行うよう、コーンディス
ク回転軸線の両側に対向配置して、個々のトラニオン1
4,15上に回転自在に支持する。
【0041】フロント側トロイダル伝動ユニット2の両
トラニオン14は、上端をそれぞれ図2に明示するごと
くアッパリンク16の両端に連節し、アッパリンク16
の両端間中央部をピン17により上下方向揺動可能にし
て変速機ケース1に支持する。また、両トラニオン14
の下端はそれぞれロアリンク18の両端に連節し、ロア
リンク18の両端間中央部をピン19により上下方向揺
動可能にして変速機ケース1に支持する。これによりト
ロイダル伝動ユニット2の両トラニオン14およびパワ
ーローラ8L ,8R は、パワーローラ回転軸線O1 と直
交するパワーローラ首振り軸線O2 方向へ同期して相互
逆方向(同位相)にストローク可能となる。
【0042】リヤ側トロイダル伝動ユニット3の両トラ
ニオン15も同様に、上端をそれぞれアッパリンク20
の両端に連節し、下端をそれぞれロアリンク21の両端
に連節する。そして、これらアッパリンク20の両端間
中央部およびロアリンク21の両端間中央部をそれぞれ
ピン22,23により上下方向揺動可能にして変速機ケ
ース1に支持し、これによりトロイダル伝動ユニット3
の両トラニオン15およびパワーローラ9L ,9R を、
パワーローラ回転軸線O1 と直交するパワーローラ首振
り軸線O2 方向へ同期して相互逆方向(同位相)にスト
ローク可能とする。
【0043】そして、フロント側アッパリンク16およ
びリヤ側アッパリンク20を、橋絡部材24により相互
に結合し、フロント側ロアリンク18およびリヤ側ロア
リンク21を、橋絡部材25により相互に結合し、これ
らによりトロイダル伝動ユニット2,3間においても、
トラニオン14,15およびパワーローラ8L ,8R
よび9L ,9R のストロークが同期して同位相で行われ
るのを補償するようになす。
【0044】相互に背中合わせに配置した出力コーンデ
ィスク6,7間には、中間壁としての出力ギヤハウジン
グ26を配置し、これをハウジング半部26a,26b
の相互結合体により構成すると共に、変速機ケース1に
ボルト27で取着する。そしてギヤハウジング26内
に、中空出力軸13の外周に一体成形した出力ギヤ28
を収納し、ギヤハウジング26は同時に、ボールベアリ
ング29により中空出力軸13を介して、主軸10の中
央部を変速機ケース1に対して回転自在に支持する。
【0045】出力ギヤ28にはカウンタギヤ30を噛合
させ、このギヤをカウンタシャフト31に結合すること
により、トロイダル型無段変速機からの変速動力をカウ
ンタシャフト31から取り出すようにする。
【0046】主軸10に同軸突き合わせ関係に設けた変
速機入力軸32からの回転は、前後進切換え機構33に
より可逆転下に、ローディングカム34を介して、両ト
ロイダル伝動ユニット2,3の入力コーンディスク4,
5へ入力するようになす。
【0047】前後進切り換え機構33は単純遊星歯車組
35と、前進クラッチ36と、後退ブレーキ37とで構
成し、前進クラッチ36の締結時、遊星歯車組35を直
結状態にして変速機入力軸32の回転をそのままローデ
ィングカム34のカムフランジ39に入力し、前進走行
を可能にし、また、後退ブレーキ37の締結時、遊星歯
車組35を逆転伝動状態にして変速機入力軸32の回転
を逆転してローディングカム34のカムフランジ39に
伝達し、後退走行を可能にするものとする。
【0048】ローディングカム34を説明するに、カム
フランジ39はフロント側トロイダル伝動ユニット2の
入力コーンディスク4に同軸に対設して、主軸10上に
ラジアル兼スラスト軸受41で回転自在に支持し、入力
コーンディスク4およびカムフランジ39間にカムロー
ラ40を介在させる。ローディングカム34は周知のも
ので、入力軸32から前後進切り換え機構33を経てカ
ムフランジ39に至る回転をフロント側入力コーンディ
スク4に、また主軸10を介してリヤ側入力コーンディ
スク5に伝達すると共に、伝達トルクに応じたカムフラ
ンジ39とコーンディスク4との相対回転により入力コ
ーンディスク4に出力コーンディスク6へ向かう方向の
スラストを付与するものとする。
【0049】なお上記スラストの反力は、カムフランジ
39から、これを主軸10上に回転自在に支持するラジ
アル兼スラスト軸受41、主軸10、ナット12を順次
経てリヤ側入力コーンディスク5に至り、このリヤ側入
力コーンディスク5を出力コーンディスク7に向け付勢
する。従って、パワーローラ8L ,8R および9L ,9
R はそれぞれ、対応する入出力コーンディスク間に、伝
達トルクに応じた力で挟圧され、対応する入出力コーン
ディスク間での動力伝達を可能にする。
【0050】上記実施の形態になるトロイダル型無段変
速機の伝動作用は次の通りである。入力軸32から前後
進切り換え機構33を経てカムフランジ39に達した可
逆回転は、ローディングカム34を介してフロント側入
力コーンディスク4へ伝達される。この入力コーンディ
スク4への回転は同時に、ボールスプライン11、主軸
10を経てリヤ側入力コーンディスク5にも同様に伝達
される。
【0051】そして入力コーンディスク4,5の回転
は、これらに摩擦係合するパワーローラ8L ,8R およ
び9L ,9R に伝達され、これらパワーローラを軸線O
1 の周りに回転させる。そしてパワーローラ8L ,8R
および9L ,9R は、これらに摩擦係合する出力コーン
ディスク6,7に回転を伝達し、この回転が共通な出力
ギヤ28からカウンターギヤ30を経てカウンターシャ
フト31に至り、このカウンターシャフトから動力を取
り出すことができる。
【0052】ここで、パワーローラ8L ,8R および9
L ,9R をトラニオン14,15を介しアッパリンク1
6,20およびロアリンク18,21により同期させつ
つ、パワーローラ回転軸線O1 と直交する首振り軸線O
2 の方向に同位相で、コーンディスク回転軸線からオフ
セットするようストロークさせると、パワーローラ
L ,8R および9L ,9R が入出力コーンディスクか
らの分力により当該首振り軸線O2 の周りに同期して同
位相で傾転される。これにより、入出力コーンディスク
に対するパワーローラ8L ,8R および9L ,9R の接
触軌跡円半径が連続的に変化し、入出力コーンディスク
4,6間の伝動比、および入出力コーンディスク5,7
間の伝動比を同じに保って無段階に変化させることがで
きる。
【0053】なお、伝動比が所定の伝動比になったとこ
ろで、パワーローラ8L ,8R および9L ,9R をオフ
セット0の初期ストローク位置に戻すことにより、当該
伝動比を維持することができる。以上により、入力軸3
2と出力軸13との間の伝動比、つまりトロイダル型無
段変速機の変速比を無段階に変化させて所定値に持ち来
すことができる。
【0054】上記のようにパワーローラ8L ,8R およ
び9L ,9R を相互に同期させて、且つ、同位相で首振
り軸線O2 方向へストロークさせることにより変速を行
う変速制御装置を、図2および図3に基づき次に説明す
る。但し、本実施形態において前後進切り換え機構33
からの入力回転は、動力が入力される方向(図2の図
面)からみて時計回りであるものとする。
【0055】図2では全てが見えてはないが、フロント
側左右のパワーローラ8L ,8R およびリヤ側左右のパ
ワーローラ9L ,9R に対応するトラニオン14,15
の下端にそれぞれ、フロント側左右のピストン51L
51R およびリヤ側左右のピストン52L ,52R (図
3参照)を設ける。これらピストンは、図3の実線矢印
方向にストロークするとき、対応するパワーローラのア
ップシフト(高速側変速比に向かう)方向の傾転を生じ
させ、同図の点線矢印方向にストロークするとき、対応
するパワーローラのダウンシフト(低速側変速比に向か
う)方向の傾転を生じさせるもので、これらピストン5
L ,51R および52L ,52R のストローク制御を
司る、共通な1個の変速制御弁53を図2に示すように
変速機ケース1の下方に設ける。
【0056】変速制御弁53は図3にも示したが、前記
文献などにおいて周知のもので、スプール型の内弁体5
3aとスリーブ型の外弁体53bとを相互に摺動自在に
嵌合して具え、外弁体53bを弁外筐53cに摺動自在
に嵌合して構成する。そして変速制御弁53は、内弁体
53aにステップモータ54から変速比指令を入力され
てこの内弁体53aを指令変速比に対応したストローク
位置にされ、外弁体53bを、図2に示すごとく前右側
のパワーローラ8R に係わるトラニオン14の下端に固
着したプリセスカム55のカム面に、ベルクランク型の
変速レバー56を介して共働させる。
【0057】変速制御弁53は、内弁体53aを変速比
指令に対応したストローク位置に変位されると、内弁体
53aと外弁体53bの相対位置が中立位置からずれる
ことによって、アップシフト変速ならアップシフト変速
圧PU を高くすると同時に、ダウンシフト変速圧PD
低下させて、両者間に差圧を生じさせ、逆にダウンシフ
ト変速なら、ダウンシフト変速圧PD を高くすると同時
にアップシフト変速圧PU を低下させて、両者間に差圧
を生じさせるよう機能するものとする。
【0058】図3に示すように、アップシフト変速圧P
U の出力回路61を分岐回路62,63によりピストン
51L ,52L の下方室に、また、分岐回路64,65
によりピストン51R ,52R の上方室にそれぞれ接続
し、ダウンシフト変速圧PDの出力回路66を分岐回路
67,68によりピストン51L ,52L の上方室に、
また、分岐回路69,70によりピストン51R ,52
R の下方室にそれぞれ接続する。
【0059】そして、本実施の形態においては特に、各
分岐回路62〜65および67〜70中にそれぞれ、ダ
ンピング要素としてのダンピングオリフィス71〜74
および75〜78を挿置する。なお、ダンピングオリフ
ィス71〜74および75〜78は、チョーク絞りでも
良いことは言うまでもない。
【0060】上記の構成において変速は、以下のごとく
に行われる。アップシフト変速に当たっては、変速制御
弁53がアップシフト変速圧PU を高くすると同時に、
ダウンシフト変速圧PD を低下させて、両者間に差圧を
生じさせる。この差圧は、全てのピストン51L ,51
R ,52L ,52R を、対応するパワーローラと共に図
3の実線矢印方向にストロークさせ、これらパワーロー
ラのアップシフト方向の傾転を惹起せしめる。逆のダウ
ンシフト変速に当たっては、変速制御弁53がダウンシ
フト変速圧PD を高くすると同時に、アップシフト変速
圧PU を低下させて、両者間に差圧を生じさせる。この
差圧は、全てのピストン51L ,51R ,52L ,52
R を、対応するパワーローラと共に図3の点線矢印方向
にストロークさせ、これらパワーローラのダウンシフト
方向の傾転を惹起せしめる。
【0061】かかる変速中、前右側トラニオン14の下
端に結合したプリセスカム55は、変速リンク56を介
して、当該トラニオン14およびパワーローラ8R の上
記ストローク量および傾転角を変速制御弁53の外弁体
53bに機械的にフィードバックされる。そして上記の
無段変速により、ステップモータ54から内弁体53a
への変速比指令が達成される時、上記のプリセスカム5
5を介した機械的フィードバックが変速制御弁53の外
弁体53bをして、内弁体53aに対し相対的に初期の
中立位置に復帰させ、同時に、全てのパワーローラ
L ,8R ,9L ,9R を、回転軸線O1 が入出力コー
ンディスク4〜7の回転軸線と交差する図2の非変速位
置に戻すことで、上記変速比指令の達成状態を維持する
ことができる。
【0062】ここで、例えば図3に2点鎖線の矢印で示
すように後右側のピストン52R にアップシフト方向の
外乱Fが作用すると、当該ピストン52R は外乱方向に
ストロークしようとする。しかして、分岐回路65,7
0に挿置したダンピングオリフィス74,78が、外乱
Fによるピストン52R のストロークに対して抵抗を与
えることから、このストローク自身を阻止し得るのに加
えて、外乱Fに起因した上記ピストン52R のストロー
クに伴って当該ピストンの両側室間に発生する差圧が、
他のピストン51L ,51R ,52L の両側室に達する
のを阻止する。よって当該他のピストン51L ,5
R ,52L が、アップシフト方向の外乱Fを入力され
たピストン52R と逆位相方向(破線で示すダウンシフ
ト方向)にストロークされることがなく、変速の同期く
ずれが発生するのを防止することができる。
【0063】なお本実施の形態においては、各ピストン
51L ,51R ,52L ,52R に関して、両側室の双
方にダンピングオリフィスが存在することとなり、これ
ら2個のダンピングオリフィスが上記の通りに変速の同
期くずれを防止するよう機能することから、当該作用効
果を確実に達成することができる。
【0064】しかして、図4または図5に示すようにダ
ンピングオリフィスは、各ピストン51L ,51R ,5
L ,52R に関して、両側室の一方に係わるダンピン
グオリフィスのみとしても、一定の作用効果を達成し得
ることは言うまでもない。
【0065】図4は、アップシフト圧回路61に係わる
分岐路62〜65にダンピングオリフィス71〜74を
設け、ダウンシフト圧回路66に係わる分岐回路67〜
70中にダンピングオリフィスを設けない実施形態を示
し、図5はダウンシフト圧回路66に係わる分岐回路6
7〜70中にダンピングオリフィスを75〜78を設
け、アップシフト圧回路61に係わる分岐路62〜65
にダンピングオリフィスを設けない実施形態を示す。
【0066】これらの実施形態によれば、ダンピングオ
リフィスの数が少ないことから、変速応答性の低下を最
小にすることができ、また、変速制御の安定化を図るこ
とができる。
【0067】図6(a),(b)は、本発明の他の実施
形態を示し、本実施形態においては、前左側のピストン
51L に関して説明すると、該ピストン51L の両側に
ダンパピストン81,82を一体に設け、これらダンパ
ピストン81,82によりピストン51L から遠い側に
室83,84を画成する。ここでダンパピストン81,
82はピストン51L と共にストロークし、該ストロー
クによって室83,84の内容積を変化させるものとす
る。しかして、ピストン51L とダンパピストン81,
82との間における室85,86は、ピストンストロー
クによっても容積変化せず、これらの容積変化しない室
85,86を対応する分岐回路62,67に接続する。
そして、ダンパピストン81,82に貫通させてダンピ
ングオリフィス87,88を穿設する。
【0068】本実施の形態においては、分岐路62から
室85を経て室83に達するアップシフト圧PU と、分
岐路67から室86を経て室84に達するダウンシフト
圧P D との差圧で、ピストン51L を所定通りにストロ
ークさせることができる。また、ピストン51L に外乱
Fが入力されたときは、当該ピストン51L が外乱方向
にストロークしようとする。しかして、ダンパピストン
81,82に設けたダンピングオリフィス87,88
が、図3におけるダンピングオリフィス71,75と同
様に機能して、外乱Fによるピストン51L のストロー
クに対し抵抗を与えることから、このストローク自身を
阻止し得るのに加え、外乱Fに起因して室83,84間
に発生した差圧が、他のピストン51R ,52L ,52
R に達するのも阻止する。よって本実施の形態において
も、前記したと同様に、変速の同期くずれが発生するの
を防止することができる。なお、ここでは、分岐路6
2、67に、ダンピングオリフィス71、75を設けな
い場合で説明したが、ダンピングオリフィス71、75
を設けた場合でもよい。
【0069】また図7または図8に示すように、ピスト
ン51L に設けるダンパピストン81,82は一方のみ
でも、ある程度は所定の機能を果たすことができる。こ
の場合、ダンピングオリフィスの数が少ないことから、
変速応答性の低下を最小にすることができ、また、変速
制御の安定化を図ることができる。さらに、分岐路6
2、67には上記同様、ダンピングオリフィス71、7
5を設けてもよい。
【0070】ところで、前記各実施の形態においてはダ
ンピングオリフィス径を小さくしないと、変速の同期く
ずれが防止するという作用効果を狙い通りに達成するこ
とができない。しかし、ダンピングオリフィス径を小さ
くすると、目詰まりし易くなるだけでなく、低温時で作
動油の粘度が高いときには図9に例示するごとくオリフ
ィス通過流量に対するオリフィス両側差圧の増大が急激
となり、更にピストン両側の作動油漏れ量が温度により
大きく異なることとも相俟って、ダンピングオリフィス
によるオリフィス効果が大きく変動し、変速制御への悪
影響を無視できなくなる。
【0071】この問題解決のため、図10に示す実施形
態では、前左側のピストン51L について説明すると、
該ピストン51L にピストン連通オリフィス91を穿設
し、これにより、ピストン51L の両側に差圧がある場
合において、高圧側から低圧側に向け作動油が流動する
ようになす。
【0072】かかる構成によれば、ピストン51L が矢
印方向にストロークすると、ピストン51L で仕切られ
た一方の室Aでの圧力が高くなるが、ピストン連通オリ
フィス91によって、他方の室Bへオイルが流れるた
め、室Aの圧力上昇は緩和される。つまり、ダンピング
オリフィス71,75のオリフィス径をそれほど小さく
しなくとも、他のピストンへの影響を抑えることができ
る。
【0073】従って、ダンピングオリフィス71,75
の目詰まりを生じなくすることができると共に、低温時
で作動油の粘度が高いときでも、変速応答遅れを生じに
くくし、且つ、ダンピングオリフィス71,75による
オリフィス効果の変動を小さく保ち得て、変速制御への
悪影響を少なくすることができる。なお、かかる構成に
よれば、分岐路62、67にダンピングオリフィス7
1,75を設けていない場合でも、一定の作用効果を得
ることができる。
【0074】ピストン51L の両側に差圧がある場合に
おいて、高圧側から低圧側に向け作動油が流動するよう
になすに当たっては、図10の構成に代え、図11のご
とくピストン51L の両側室に通じた分岐路62,67
間を連通するようピストン連通オリフィス92を設ける
ことでも同様の作用効果を奏し得ることとなるのは勿論
であり、上記同様、ダンピングオリフィス71,75を
設けていない場合でも一定の効果が得られる。
【0075】図12は、ピストン51L について代表的
に説明するが、ピストン51L の下面に突起93を設
け、該ピストンの下降位置において突起93が係合する
凹部94をシリンダ95に設けたものである。この構成
によれば、変速制御圧を発生し得なくなった故障でピス
トン51L が下降位置のままにされる時に、突起93と
凹部94との係合によりピストン51L を、例えば発進
可能で、且つ、支障のない走行が可能な変速比に対応し
た回転位置に固定することができる。
【0076】図13は、ダンピングオリフィスの内径
を、変速制御に悪影響が出たり、目詰まりするなどの問
題が生ずるほどに小さくしなくても、変速の同期くずれ
を防止するという作用効果を確実に達成し得るようにな
す対策の別の実施形態を示し、この対策は、図10また
は図11の対策に代えて、若しくは、これと併用してこ
れら図10または図11に示すものと同様の作用効果を
達成したり、若しくは、当該作用効果を更に顕著にする
ものである。
【0077】図13は、前記フロント側トロイダル伝動
ユニット2と同様の1個のトロイダル伝動ユニット(同
符号で示す)のみを有するシングルキャビティー型トロ
イダル型無段変速機を入力軸側から見て示す概略図で
(図中、図1〜図3におけると同様の部分を同一符号に
て示し、重複説明を省略した)、本実施の形態において
は、各ピストン51L ,51R の上下室にそれぞれ、容
積増大室101〜104を接続して設ける。なお、これ
ら容積増大室101〜104の配置に関しては、図13
のようにピストン51L ,51R の上下室に直接接続す
る代わりに、図14のごとく関連する油圧回路に接続す
るなど、自由である。
【0078】ここで、オリフィス開口面積Sと、オリフ
ィス両側差圧ΔPとの関係は、流体の密度をρとし、オ
リフィス通過流量をQとすると、
【数1】 但し、E0 :定数 で表されることが知られており、また、ピストン片面に
発生する圧力Pa は、ピストン室への作動油流入量を
Q、ピストン面積をA、ピストン室容積をV、ピストン
変位速度をVX 、ピストン変位量をx、作動油の弾性係
数をkとした場合、
【数2】 Pa =∫〔k(Q−A・VX )/(V+A・x)〕dt・・・(2) で表されることも知られている。
【0079】ここで上記(1)式を(2)式に代入する
と、
【数3】 が得られるが、この(3)式においてxは微小変位であ
るため無視できることから、x=0として、
【数4】 が得られる。この(4)式から明かな通り、ピストン室
容積Vを大きくすると、ピストンに作用する圧力Pa
小さくなり、オリフィス開口面積Sを小さくしたとほぼ
同等の効果が得られる。従って、同じピストンに作用圧
a を発生させるのであれば、ピストン室容積Vを大き
くすると、それだけオリフィス開口面積Sが大きくても
よいことになり、図13や図14の実施形態によれば、
容積増大室101〜104を付加したことで、ダンピン
グオリフィス71,73,75,77の内径を小さくし
なくても、前記変速の同期くずれを防止するという作用
効果を確実に達成することができる。
【0080】なお、ピストン51L ,51R に接続する
配管には固有の管路抵抗があって、それ自身がオリフィ
スであると見做すことができ、この意味合いにおいて図
13や図14の実施形態によれば、容積増大室101〜
104の容積設定によっては、ダンピングオリフィス7
1,73,75,77を省略することも可能である。
【0081】なお容積増大室101〜104は、図15
にピストン51L の容積増大室101,102の場合の
みについて示すが、アキュムレータ105,106によ
り提供するようにするのが良い。アキュムレータ10
5,106はそれぞれ、ピストン105p ,106
p と、これらピストンを弾支するスプリング105S
106S とで構成し、スプリング105S ,106S
ら遠いピストン105p ,106p の側における室をピ
ストン51L の上下室に接続して容積増大室101,1
02とする。
【0082】かように容積増大室101〜104をアキ
ュムレータで構成する場合、圧力特性が、前記(2)式
における作動油の弾性係数kをスプリング105S ,1
06 S のバネ定数に置換した式に依存することとなり、
当該バネ定数の設定次第で任意の圧力特性にすることが
でき、小さなスペースで図13または図14によると同
様の作用効果を達成し得る。
【0083】なお、アキュムレータ105,106は図
16に示すように、スプリング105S ,106S を共
通化した構成にすることができ、この場合、スペースの
更なる節約と、低廉化を図ることができる。
【0084】また、アキュムレータ105,106は図
17に示すように、ピストン105 p ,106p を共通
化した構成にすることもでき、この場合、スペースの更
なる節約と、低廉化を図ることができる。加えて本実施
の形態によれば、アキュムレータがピストン両側室の差
圧に応動することから、アキュムレータの無効な変位を
皆無にすることができ、一層小さなスペースで図13ま
たは図14によると同様の作用効果を達成し得る。
【0085】図18は、図3のダンピングオリフィスを
弾支した、さらに別の実施形態であって、各分岐回路6
2〜65および67〜70中それぞれに挿置したダンピ
ングオリフィス71〜74及び75〜78をそれぞれ、
コイルばね71S 〜78S で弾支する。この回路図にお
いて、図3と同一部分は同一符号を以て説明を省略し、
上記の構成においての変速も同様な作用で行われる。
【0086】ここで、例えば図18に2点鎖線矢印で示
すように後右側のピストン52R にアップシフト方向の
外乱Fが作用すると、分岐回路65,70に挿置したダ
ンピングオリフィス74,78の両端をコイルばね74
S ,78S で弾支したため、ピストン52R が外乱方向
にストロークする場合、ピストン52R のストローク量
に応じた反力とストローク速度に応じた抵抗が発生す
る。この反力および抵抗が、ピストン52R のストロー
ク自身を阻止し得るのに加えて、外乱Fに起因した上記
ピストン52R のストロークに伴って当該ピストンの両
側室間に発生する差圧が、他のピストン51L ,5
R ,52L の両側室に達するのを阻止する。よって、
他のピストン51L ,51R ,52L が、アップシフト
方向の外乱Fを入力されたピストン52R と逆位相方向
(破線で示すダウンシフト方向)にストロークされるこ
とがなく、変速の同期くずれが発生するのを防止する。
【0087】従って本実施の形態においては、各ピスト
ン51L ,51R ,52L ,52Rに関して、ピストン
両側室の双方でダンピングオリフィスをコイルばねで弾
支したから、これら2個のダンピングオリフィスによる
抵抗に加え、ピストンストローク量に応じた反力が上記
の通りに変速の同期くずれを防止するよう機能して、当
該作用効果を一層確実に達成することができる。
【0088】しかして、図19または図20に示すよう
に、各ピストン51L ,51R ,52L ,52R に関し
て、ピストン両側室の一方に係わるダンピングオリフィ
スのみを弾支しても、一定の作用効果を達成し得ること
は言うまでもない。
【0089】図19は、アップシフト圧回路61に係わ
る分岐路62〜65中において、ダンピングオリフィス
71〜74をそれぞれ、コイルばね71S 〜74S で弾
支し、ダウンシフト圧回路66に係わる分岐回路67〜
70中にはダンピングオリフィス及びコイルばねを設け
ない実施形態を示し、図20はダウンシフト圧回路66
に係わる分岐回路67〜70中において、ダンピングオ
リフィス75〜78をそれぞれ、コイルばね75S 〜7
S で弾支し、アップシフト圧回路61に係わる分岐路
62〜65中にはダンピングオリフィス及びコイルばね
を設けない実施形態を示す。
【0090】これらの実施形態によれば、ダンピングオ
リフィス及びコイルばねの数が少ないことから、変速応
答性の低下を最小にすることができ、また、変速制御の
安定化を図ることができる。
【0091】また、上述した各分岐路中のダンピングオ
リフィス71〜78を弾支する構成を、先の図6〜8、
図10,11または、図13〜17の説明にあった実施
形態に組み合わせることも可能である。
【0092】なお、これらの実施形態でも、コイルばね
で弾支したダンピングオリフィス71〜78を、チョー
ク絞りにしても良いことは言うまでもない。図21は一
例として、ダンピングオリフィス71をダンピングチョ
ーク71Cに置き換えて、当該ダンピングチョーク71
C の両端をコイルばね71S で弾支したものを示す。
【0093】さらに、ダンピング素子を弾支する部材
は、安価で、しかも取り付けスペースが小さくて済むコ
イルばねが好ましいが、皿ばねでもコイルばねと同様な
効果が得られる。このとき、皿ばねの配列は、図22
(a)に示すように、ダンピングオリフィス71を例に
とると、ダンピングオリフィス71の両端において、4
枚の皿ばね71Sdの内の2枚を重ね合わせて複合皿ばね
とし、この複合皿ばねを2組対向して配列した構成で
も、図(b)のように、ダンピングオリフィス71の両
端において、4枚の皿ばね71Sdを相互に互い違いに配
列した構成でもよい。
【0094】以上、本発明によるトロイダル型無段変速
機の変速制御装置について上述したところは、本発明の
好適な実施形態を示したにすぎず、変速の同期くずれが
発生するのを防止するという目的を達成できる範囲内で
は、各実施形態を単独で使用するだけでなく、それぞれ
の要素を組み合わせて使用してもよいことは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になる変速制御装置を具
えたトロイダル型無段変速機の要部縦断側面図である。
【図2】同トロイダル型無段変速機を図1のA−A線上
で断面とし、矢の方向にみた縦断面正面図である。
【図3】同トロイダル型無段変速機の変速制御装置を示
す油圧回路図である。
【図4】本発明の他の実施形態になる変速制御装置を示
す、図3と同様な変速制御油圧回路図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態になる変速制御装置
を示す、図3と同様な変速制御油圧回路図である。
【図6】(a)は、本発明の更に別の実施形態になる変
速制御装置を示す、サーボピストンの断面図、(b)
は、同サーボピストンに設けたダンパピストンの平面図
である。
【図7】本発明の更に他の実施形態になる変速制御装置
を示す、サーボピストンの断面図である。
【図8】本発明の更に別の実施形態になる変速制御装置
を示す、サーボピストンの断面図である。
【図9】オリフィス通過流量とオリフィス両側差圧との
関係線図である。
【図10】図3に示す変速制御装置の変形例に係わるサ
ーボピストンの断面図である。
【図11】図3に示す変速制御装置の他の変形例に係わ
るサーボピストンの断面図である。
【図12】変速制御油圧回路の故障時における対策をし
たサーボピストンの斜視図である。
【図13】本発明の他の実施形態になる変速制御装置を
具えたトロイダル型無段変速機の線図的縦断正面図であ
る。
【図14】本発明の他に別の実施形態になる変速制御装
置を具えたトロイダル型無段変速機の線図的縦断正面図
である。
【図15】図13の変形例を示すサーボピストンの線図
的断面図である。
【図16】図13の他の変形例を示すサーボピストンの
線図的断面図である。
【図17】図13の別の変形例を示すサーボピストンの
線図的断面図である。
【図18】図3の実施形態においてダンピングオリフィ
スを弾支した他の油圧回路図である。
【図19】本発明の他の実施形態になる変速制御装置を
示す、図18と同様な変速制御油圧回路図である。
【図20】本発明の更に他の実施形態になる変速制御装
置を示す、図18と同様な変速制御油圧回路図である。
【図21】ダンピング絞りの他の実施形態としてのダン
ピングチョークをコイルばねで弾支した状態を示す要部
断面図である。
【図22】(a)は、図18の他の変形例を示す、皿ば
ねで弾支されたダンピングオリフィスの断面図、(b)
は、図18の他の変形例を示す、皿ばねで弾支されたダ
ンピングオリフィスの他の断面図である。
【図23】従来のトロイダル型無段変速機における変速
制御装置を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
1 変速機ケース 2 フロント側トロイダル伝動ユニット 3 リヤ側トロイダル伝動ユニット 4 入力コーンディスク 5 入力コーンディスク 6 出力コーンディスク 7 出力コーンディスク 8L パワーローラ 8R パワーローラ 9L パワーローラ 9R パワーローラ 10 主軸 13 中空出力軸 14 トラニオン 15 トラニオン 16 アッパリンク 18 ロアリンク 20 アッパリンク 21 ロアリンク 28 出力ギヤ 30 カウンタギヤ 31 カウンタシャフト 32 変速機入力軸 33 前後進切換え機構(回転方向切換え機構) 34 ローディングカム 35 遊星歯車組 36 前進クラッチ 37 後退ブレーキ 51L サーボピストン 51R サーボピストン 52L サーボピストン 52R サーボピストン 53 変速制御弁 54 ステップモータ 55 プリセスカム 56 変速レバー 61 アップシフト圧回路 66 ダウンシフト圧回路 71 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 72 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 73 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 74 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 75 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 76 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 77 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 78 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 71C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 72C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 73C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 74C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 75C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 76C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 77C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 78C ダンピングチョーク(ダンピング要素) 71S コイルばね 72S コイルばね 73S コイルばね 74S コイルばね 75S コイルばね 76S コイルばね 77S コイルばね 78S コイルばね 71Sd 皿ばね 72Sd 皿ばね 73Sd 皿ばね 74Sd 皿ばね 75Sd 皿ばね 76Sd 皿ばね 77Sd 皿ばね 78Sd 皿ばね 81 ダンパピストン 82 ダンパピストン 87 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 88 ダンピングオリフィス(ダンピング要素) 91 ピストン連通オリフィス 92 ピストン連通オリフィス 101 容積増大室 102 容積増大室 103 容積増大室 104 容積増大室 105 アキュムレータ 106 アキュムレータ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同軸配置した入出力コーンディスクと、
    これら入出力コーンディスク間で摩擦係合により動力伝
    達を行う複数のパワーローラとよりなるトロイダル伝動
    ユニットを具え、 前記パワーローラを個々のピストンによりパワーローラ
    回転軸線と直交する首振り軸線方向へストロークさせる
    ことで、該首振り軸線周りにおけるパワーローラの傾転
    を生起させて変速を行うようにし、 前記パワーローラのストロークを行うピストン両側差圧
    を共通な1個の変速制御弁により発生させるようにした
    トロイダル型無段変速機において、 外乱による前記ピストンのストロークに対して抵抗を与
    えるダンピング要素を付加して設けたことを特徴とする
    トロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ダンピング要素
    を、前記各ピストンの両側室間を連通するピストン連通
    絞りで構成したことを特徴とするトロイダル型無段変速
    機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記ダンピング要素
    を、前記各ピストンの両側室それぞれに接続した、内容
    積を増大可能な容積増大室で構成したことを特徴とする
    トロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記ダンピング要素
    を、外乱によるピストンストロークに伴い発生した液流
    方向へ移動可能に弾支したことを特徴とするトロイダル
    型無段変速機の変速制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または4において、前記ダンピ
    ング要素を、外乱によるピストンストロークに伴う液流
    に対して流動抵抗を付与するダンピング絞りで構成した
    ことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記各ピストンの両
    側室のみに係わるピストン両側差圧供給回路のうち、少
    なくとも一方の回路中に前記ダンピング絞りを挿置した
    ことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6において、前記各ピス
    トンと共にストロークして、ピストンから遠い側に容積
    変化するダンパ室を画成するダンパピストンを設け、該
    ダンパピストンに貫通させて前記ダンピング絞りを設け
    たことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項5乃至7のいずれか一項におい
    て、前記各ピストンの両側室間を連通するピストン連通
    絞りを付加して設けたことを特徴とするトロイダル型無
    段変速機の変速制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項5乃至8のいずれか一項におい
    て、前記各ピストンの両側室にそれぞれ、内容積を増大
    可能な容積増大室を接続したことを特徴とするトロイダ
    ル型無段変速機の変速制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項3または9において、前記容積
    増大室をアキュムレータで構成したことを特徴とするト
    ロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記アキュムレ
    ータをピストン両側室の差圧に応動するよう構成したこ
    とを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装
    置。
  12. 【請求項12】 請求項4乃至11のいずれか一項にお
    いて、前記弾支をコイルばねで行う構成としたことを特
    徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
  13. 【請求項13】 請求項4乃至11のいずれか一項にお
    いて、前記弾支を皿ばねで行う構成としたことを特徴と
    するトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
JP27074596A 1996-06-24 1996-10-14 トロイダル型無段変速機の変速制御装置 Pending JPH1073152A (ja)

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KR1019970052648A KR100304497B1 (ko) 1996-10-14 1997-10-14 토로이달형무단변속기의변속제어장치
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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