JPH1072632A - 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

Info

Publication number
JPH1072632A
JPH1072632A JP8249292A JP24929296A JPH1072632A JP H1072632 A JPH1072632 A JP H1072632A JP 8249292 A JP8249292 A JP 8249292A JP 24929296 A JP24929296 A JP 24929296A JP H1072632 A JPH1072632 A JP H1072632A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
sacrificial anode
clad
brazing
corrosion resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8249292A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3538507B2 (ja
Inventor
Hirokazu Tanaka
宏和 田中
Hiroshi Ikeda
洋 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Light Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority to JP24929296A priority Critical patent/JP3538507B2/ja
Publication of JPH1072632A publication Critical patent/JPH1072632A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3538507B2 publication Critical patent/JP3538507B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Prevention Of Electric Corrosion (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性、とくにクーラントなどのアルカリ性
溶液に対する耐食性に優れ、自動車用ラジエータ、ヒー
タコアなどのチューブ材、ヘッダープレート材などとし
て好適に使用できるアルミニウム合金クラッド材を提供
する。 【解決手段】 芯材、犠牲陽極材、ろう材の3層クラッ
ド材において、犠牲陽極材を、Fe:0.5%を越え3.0 %
以下、Zn:1.5〜4.0 %を含有し、必要に応じて少量の
Mg、Sn、Gaのうちの1種または2種以上を含み、
残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合
金で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐アルカリ腐食性
に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、詳し
くは、フッ化物系フラックスを用いる不活性ガス雰囲気
ろう付けあるいは真空ろう付けにより、自動車用のラジ
エータ、ヒータコアなどのアルミニウム製熱交換器を製
造する場合、その構成部材であるチューブ材、プレート
材などとして適用でき、とくに、当該熱交換器において
通常使用されるクーラントによるアルカリ腐食性環境に
対して優れた耐食性をそなえた熱交換器用アルミニウム
合金クラッド材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用のラジエータやヒータコアのチ
ューブ材、ヘッダープレート材としては、3003合金など
のAl−Mn系合金からなる芯材の片面にAl−Si系
ろう材をクラッドし、他の面に、犠牲陽極材として、A
l−Zn系合金をクラッドした3層のアルミニウム合金
クラッド材が使用されている。
【0003】当該アルミニウム合金クラッド材におい
て、Al−Si系ろう材は、フッ化物系フラックスを用
いる不活性ガス雰囲気ろう付けあるいは真空ろう付けに
より行われるチューブ材とフィン材との接合、チューブ
材とヘッダープレート材との接合のために設けられるも
のであり、犠牲陽極材は、ラジエータやヒータコアなど
のアルミニウム製熱交換器に組立てられた場合、作動流
体に対して犠牲陽極効果を発揮して芯材の孔食、隙間腐
食を防ぐために設けられるものである。
【0004】これらの熱交換器においては、作動流体と
して、一般に、クーラントとして市販されているエチレ
ングリコールを主成分とする不凍液を水で0 〜50vol %
濃度に希釈した中性〜弱アルカリ性の溶液が使用されて
いるが、作動流体によって、チューブなどを構成する前
記アルミニウム合金クラッド材に芯材を貫通する孔食が
生じ、熱交換機能を損なうことがしばしば経験されてい
る。
【0005】芯材の成分組成と犠牲陽極材の成分組成と
の組合わせを検討することにより、耐孔食性を高め、優
れた犠牲陽極効果を有する耐食性アルミニウム合金クラ
ッド材として、例えば、芯材を、Mn:0.3〜2.0 %、M
g:0.10 〜0.80%、Cu:0.05 〜0.50%を含有し、残部
Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で
構成し、芯材の一方側にクラッドされた皮材を、Zn:
0.3〜2.0 %、Mg:0.1〜2.5 %を含有し、残部Alお
よび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成
し、さらに、芯材の他方側にクラッドされた皮材を、S
i:7.0〜15.0%、Mg:0.3〜2.5 %を含有し、残部Al
および不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成
したクラッド材が提案されている。(特公昭62-45301号
公報)
【0006】また、アルミニウム合金芯材の少なくとも
片面に犠牲陽極材として、Zn:0.1〜2.0 %、Ti:0.0
01〜0.05%、B:0.0001 〜0.01%を含み、さらにFe:
0.01〜1.0 %、Si:0.01 〜1.0 %の範囲内においてS
iとFeを合計0.02〜1.5 %含み、残部Alおよび不可
避的不純物からなるアルミニウム合金を皮材として形成
したアルミニウム合金合せ材(特開昭63-114948 号公
報) 、芯材の片面または両面に、Fe:0.20 〜1.5 %を
含み、さらにZn:0.2〜2.0 %、Mg:0.1〜1.5%、M
n:0.3〜1.5 %などのうちの1種または2種以上を含む
アルミニウム合金を犠牲陽極材として被覆したアルミニ
ウム合金複合材(特開平1-195257号公報)が提案されて
いる。
【0007】これらのアルミニウム合金クラッド材は、
ラジエータ、ヒータコアなどのアルミニウム製熱交換器
のチューブ材などとして使用された場合、作動流体が、
比較的低温で且つ中性〜弱酸性でClイオンを含む溶液
の場合には優れた犠牲陽極効果を発揮するが、作動流体
がpH9 以上のアルカリ性の溶液の場合には、なお孔食
が生じ易いなど耐食性が十分でなく、防食効果を発揮で
きない場合も多い。
【0008】発明者らは、pH9 以上のアルカリ溶液中
において、犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金
クラッド材に生じる孔食発生の原因およびその対策を検
討する過程において、アルカリ環境の下では、犠牲陽極
層の表面に、褐色〜黒色を呈する多孔質の厚い皮膜が生
成し、皮膜の欠陥部に腐食が集中して優先腐食すること
により貫通孔が生じることを見出した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の知見
に基づいて、芯材と犠牲陽極材の電位差を利用して犠牲
陽極材を優先腐食させるが、その腐食形態を全面腐食と
するするような芯材と犠牲陽極材との組合わせについて
多角的な実験、検討を行った結果としてなされたもので
あり、その目的は、耐アルカリ腐食性に優れ、アルカリ
性を有する作動流体を使用した場合にも、孔食による貫
通孔の発生を防止できる熱交換器用アルミニウム合金ク
ラッド材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用
アルミニウム合金クラッド材は、アルミニウム合金より
なる芯材の片面にAl−Si系ろう材をクラッドし、他
の面に犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラ
ッド材において、犠牲陽極材が、Fe:0.5%を越え3.0
%以下、Zn:1.5〜4.0 %を含有し、残部Alおよび不
可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成されるこ
とを構成上の第1の特徴とする。
【0011】第2の特徴は、犠牲陽極材が、Fe:0.5%
を越え3.0 %以下、Zn:1.5〜4.0%を含有し、さらに
Mg:0.1〜2.5 %、Sn:0.01 〜0.2 %、Ga:0.01 〜
0.2%のうちの1種または2種以上を含み、残部Alお
よび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成さ
れることにあり、第3の特徴は、犠牲陽極材がさらにC
r:0.05 〜0.3 %、Zr:0.05 〜0.3 %、Ti:0.05 〜
0.3 %、B:0.01 〜0.1 %、Mn:0.1〜2.0 %、Si:
0.1〜1.0 %のうちの1種または2種以上を含むことに
ある。
【0012】また、芯材の片面にAl−Si系ろう材を
クラッドし、他の面に上記組成を有する犠牲陽極材をク
ラッドしたアルミニウム合金クラッド材において、芯材
が、Mn:0.3〜2.0 %、Cu:0.1〜0.8 %の1種または
2種を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる
アルミニウム合金で構成されること、芯材が、Mn:0.3
〜2.0 %、Cu:0.1〜0.8 %の1種または2種を含み、
さらにMg:0.1〜0.5%、Si:0.1〜1 %を含有し、残
部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金
で構成されること、および芯材がさらに0.05〜0.3 %の
Cr、0.05〜0.3 %のZr、0.05〜0.3 %のTi、0.01
〜0.1 %のBのうちの1種または2種以上を含むことを
第4、第5および第6の特徴とする。
【0013】本発明における合金成分の意義およびその
限定理由について説明すると、犠牲陽極材中のFeは、
マトリックス中にAl−Fe系化合物を微細に分散さ
せ、材料表面に存在する化合物の位置において、皮膜成
分である水酸化アルミニウムの沈着を妨げ皮膜の生成を
抑制する結果、その部分が皮膜欠陥となって孔食が生じ
るが、皮膜欠陥は微細に分散しているAl−Fe系化合
物の周辺に存在し、従って、その数は多く且つ均一に分
布するから、孔食も分散して腐食深さが浅くなり、貫通
孔は生じない。Feの好ましい含有範囲は0.5 %を越え
3.0 %以下であり、0.5 %以下ではその効果が小さく、
3.0 %を越えて含有すると犠牲陽極材の自己腐食性が増
大するとともに、圧延加工性が低下する。Feのさらに
好ましい含有範囲は0.5 %を越え1.2 %以下である。
【0014】Znは重要な役割を果たす元素である。F
eを含有させることにより耐アルカリ性は向上するが、
Feの添加によって犠牲陽極材の電位が貴となるため、
芯材との電位差が小さくなって陰極防食の効果が軽減す
る。Znの含有は上記の問題を解消するよう作用し、犠
牲陽極材の電位を卑にして芯材に対する犠牲陽極効果を
保持させるよう機能し、その結果として芯材における孔
食や隙間腐食の発生を防止する。Znの好ましい含有範
囲は1.5 〜4.0 %であり、1.5 %未満ではその効果が小
さく、4.0 %を越えて含有すると自己耐食性が低下す
る。Znのさらに好ましい範囲は2.0 %を越え3.0 %の
範囲である。
【0015】Mgは、ろう付け時に芯材中に拡散し、芯
材中のSiやCuとともに芯材の強度を向上させる。好
ましい含有範囲は0.1 〜2.5 %であり、0.1 %未満では
その効果が小さく、2.5 %を越えるとろう付け時に局部
溶融が生じ易くなる。Sn、Gaは、犠牲陽極材の電位
を卑にし、芯材に対する犠牲陽極効果を確実に発揮さ
せ、芯材における孔食の発生、隙間腐食の発生を防止す
るために機能する。好ましい含有量は、Sn:0.01 〜0.
2 %、Ga:0.01 〜0.2 %の範囲であり、含有量が下限
未満では効果が十分でなく、それぞれ上限を越えて含有
すると、自己腐食性が低下するとともに、圧延加工性が
害される。Sn、Gaのさらに好ましい含有量は、それ
ぞれ0.01〜0.05%の範囲である。なお、犠牲陽極材中
に、0.05〜0.3 %Cr、0.05〜0.3 %のZr、0.05〜
0.3%のTi、0.01〜0.1 %以下のB、0.1 〜2.0 %の
Mn、0.1 〜1.0 %のSiが含有させることにより、ア
ルミニウムとの金属間化合物を生成し易くしてFeを添
加した場合と同様の効果を与え、その特性に改善するこ
ともできる。
【0016】本発明においては、上記組成のアルミニウ
ム合金犠牲陽極材を使用することにより、芯材を構成す
るアルミニウム合金の成分組成に関係なく、耐アルカリ
腐食性が得られるが、芯材として、特定量のMn、C
u、Mg、Siを含有するアルミニウム合金を使用した
場合、さらに優れた効果を得ることができる。
【0017】芯材中のMnは、芯材の強度を向上させる
とともに、芯材の電位を貴にして犠牲陽極材との電位差
を大きくして耐食性を高めるよう機能する。好ましい含
有範囲は0.3 〜2.0 %であり、0.3 %未満ではその効果
が小さく、2.0 %を越えて含有すると、鋳造時に粗大な
化合物が生成し、圧延加工性が害される結果、健全な板
材が得難い。Mnのさらに好ましい含有量は0.5 〜1.5
%の範囲である。
【0018】Cuは、芯材の強度を向上させるととも
に、芯材の電位を貴にし、犠牲陽極材との電位差、ろう
材との電位差を大きくして、防食効果を向上させるよう
機能する。さらに、芯材中のCuは、加熱ろう付け時
に、犠牲陽極材中およびろう材中に拡散して、なだらか
な濃度勾配を形成させる結果、芯材側の電位は貴とな
り、犠牲陽極材の表面側およびろう材の表面側の電位は
卑となって、犠牲陽極材中およびろう材中になだらかな
電位分布が形成され、腐食形態を全面腐食型にする。C
uの好ましい含有量は0.1 〜0.8 %の範囲であり、0.1
%未満ではその効果が小さく、0.8 %を越えると、芯材
の耐食性が低下し、また融点が低下して、ろう付け時に
局部的な溶融が生じ易くなる。Cuのさらに好ましい含
有範囲は0.3 〜0.6 %である。
【0019】Mgは、芯材の強度を向上させる効果を有
するが、ろう付け性低下が懸念されることから、含有量
を0.1 〜0.5 %とする。フッ化物系のフラックスを使用
する不活性ガス雰囲気ろう付けの場合、Mg量が0.5 %
を越えると、Mgがフッ化物系フラックスと反応してろ
う付け性が阻害され、Mgのフッ化物が生成してろう付
け部の外観がわるくなる。真空ろう付けの場合には、心
材中のMgが0.5 %を越えると、溶融ろうが芯材を浸食
し易くなる。
【0020】Siは、芯材の強度を向上させる機能を有
する。とくに、ろう付け中に犠牲陽極材から拡散してく
るMgと共存することにより、ろう付け後、時効硬化を
生ぜしめ、強度をさらに高める。好ましい含有範囲は0.
1 〜1 %であり、0.1 %未満ではその効果が小さく、1
%を越えて含有すると、耐食性を低下させるとともに、
芯材の融点を下げ、ろう付け時に局部溶融が生じ易くな
る。MgおよびSiのさらに好ましい含有量は、それぞ
れ0.2 〜0.5 %および0.2 〜0.5 %の範囲である。
【0021】Cr、Zr、Bは、ろう付け加熱時に、ろ
うが芯材中に侵入するのを抑制するよう機能する。好ま
しい含有範囲は、Cr:0.05 〜0.3 %、Zr:0.05 〜0.
3 %、B:0.01 〜0.1 %であり、下限未満ではその効果
が小さく、上限を越えて含有すると、鋳造時に巨大な晶
出物が生じるため、健全な材料の製造が困難となる。T
iは、材料の厚さ方向に濃度の高い領域と低い領域とに
分かれ、それらが交互に分布する層状となり、Ti濃度
の低い領域が高い領域に比べて優先的に腐食することに
より腐食形態を層状にする効果を有し、それによって厚
さ方向への腐食の進行を妨げて材料の耐孔食性を向上さ
せる。Tiの好ましい含有量は0.05〜0.3 %の範囲で、
0.05%未満では効果が十分でなく、0.3 %を越えると、
鋳造時に巨大な晶出物が生成し易くなり、健全な材料の
製造が難しくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の熱交換器用アルミニウム
合金クラッド材は、芯材、犠牲陽極材およびろう材を構
成するアルミニウム合金を、半連続鋳造により造塊し、
芯材および犠牲陽極材については均質化処理したのち、
それぞれ所定厚さまで熱間圧延する。ついで、各材料を
組合わせ、常法に従って、熱間圧延によりクラッド材と
し、最終的に所定厚さまで冷間圧延する工程を経て製造
される。
【0023】本発明のアルミニウム合金クラッド材から
溶接管を製造して熱交換器用チューブ材とし、またヘッ
ダープレート材として、自動車用のラジエータやヒータ
コアなどのアルミニウム製熱交換器の組立てに使用する
場合には、アルミニウム合金のフィン材を組合わせ、ろ
う付け炉中において、フッ化物系フラックスを用いる不
活性ガス雰囲気ろう付け、あるいは真空ろう付けを行
う。
【0024】そのために、本発明のアルミニウム合金ク
ラッド材において、芯材の片面にはAl−Si系ろう材
がクラッドされる。この場合、不活性ガス雰囲気ろう付
け用としては、基本的にSi:6〜13%を含有するAl−
Si合金が適用され、真空ろう付け用としては、さら
に、例えばMg:0.5〜3.0 %を含むAl−Si−Mg合
金が適用される。これらのAl−Si系ろう材には、B
i:0.1%以下、Be:0.1%以下、Ca:1.0%以下、L
i:1.0%以下のうちの1種または2種以上を含有させる
こともできる。
【0025】
【実施例】
実施例1 連続鋳造により、表1に示す組成を有する芯材用アルミ
ニウム合金、表2に示す組成を有する犠牲陽極材用アル
ミニウム合金、およびろう材用合金(JIS BA4343、S
i:7.5%、残部Alおよび不可避的不純物)を造塊し
た。芯材用アルミニウム合金および犠牲陽極材用アルミ
ニウム合金の鋳塊については均質化処理を行い、犠牲陽
極材用アルミニウム合金およびろう材用合金の鋳塊を所
定の厚さまで熱間圧延し、これらの圧延材と芯材用合金
の鋳塊を組合わせて熱間圧延し、クラッド材とした。さ
らに冷間圧延、中間焼鈍を行い、最終冷間圧延により厚
さ0.25mmのクラッド板材(H14) を作製した。クラッド板
材のろう材クラッド率は10%、犠牲陽極材のクラッド厚
さは0.025 〜0.075mm(クラッド率10〜30%)とした。
【0026】
【表1】 《表注》Feは不可避的不純物 E のSiは不可避的不純物
【0027】
【表2】 《表注》Siは不可避的不純物
【0028】得られたクラッド板材のろう材側に、M
n:1.2%、Zn:1.5%を含有し、残部Alおよび不可避
的不純物からなるアルミニウム合金板(厚さ0.10mm) を
コルゲート加工してなるフィン材を配置し、フッ化物系
フラックスを使用して、窒素ガス雰囲気中で600 ℃( 材
料温度) の温度に加熱し、ろう付けを行ったのち、ろう
付け後の板材とフィンの接合状況を目視により観察し、
芯材および犠牲陽極材の溶融状況を断面組織観察により
調べた。
【0029】つぎに、クラッド板材にフィン材を配置す
ることなく、クラッド板材を、そのままの状態で、上記
フッ化物系フラックスを使用するろう付けと同じ条件で
加熱して試験材とし、以下に示すような腐食試験を行っ
た。 腐食試験1:ろう材側(外面側)について、CASS試
験(試験期間30日) を行った。
【0030】腐食試験2:犠牲陽極材側(内面側)につ
いて、市販の不凍液を、蒸留水により30vol %濃度に希
釈し、苛性ソーダを加えてpH10に調整した腐食液を使
用して、試験材を、88℃の温度に加熱した腐食液中に8h
浸漬したのち、冷却して25℃の温度に16h 保持するとい
うサイクルを3 カ月間繰り返した。
【0031】腐食試験3:犠牲陽極材側(内面側)につ
いて、Cl- :195ppm 、SO4 2 - :60ppm、Cu2+:1ppm
、Fe3+:30ppmを含む水溶液を腐食液とし、試験材
を、88℃の温度に加熱した腐食液中に8h浸漬したのち、
冷却して25℃の温度に16h 保持するというサイクルを3
カ月間繰り返した。
【0032】芯材と犠牲陽極材の組合わせ、その場合の
ろう付け性および腐食試験の結果を表3に示す。表3に
みられるように、本発明に従う試験材は、いずれも、圧
延加工性は良好で割れなどの欠陥を生じることがなく、
また、ろう付け部の接合状況も良好で、芯材、犠牲陽極
材に局部溶融も観察されず、腐食試験1による最大腐食
深さは、いずれも0.14mm以下で、クラッド板材の板厚の
半分程度にしか達しておらず、また腐食試験2、3によ
る最大腐食深さは0.11mm以下で、板厚の1/2に達しな
い優れた耐食性を示した。なお、犠牲陽極材のクラッド
率が5 〜30%の範囲で本発明の効果が十分に発揮され
た。
【0033】
【表3】 《表注》圧延加工性 ○:良好 ろう付け性 ○:良好
【0034】比較例1 連続鋳造により、表4に示す組成を有する芯材用アルミ
ニウム合金、表5に示す組成の犠牲陽極材用アルミニウ
ム合金、およびろう材用合金(JIS BA4343、Si:7.5
%、残部Alおよび不可避的不純物)を造塊し、実施例
1と同一の条件により、厚さ0.25mmのクラッド板材(ろ
う材クラッド率:10 %、犠牲陽極材クラッド率20%) を
作製した。得られたクラッド板材について、実施例1と
同じ方法でろう付けを行い、また実施例1と同じ条件で
腐食試験の試験材を作製し、ろう付け接合状況の目視観
察、断面組織観察、および腐食試験を行った。結果を表
6に示す。なお、表4、表5および表6において、本発
明の条件を外れたものには下線を付した。
【0035】
【表4】 《表注》Feは不可避的不純物
【0036】
【表5】 《表注》Siは不可避的不純物
【0037】
【表6】 《表注》圧延加工性 ○:良好 ×:割れ発生 ろう付け性 ○:良好 △:局部溶解有り ×:局部溶解が激しい
【0038】表6にみられるように、試験材No.17 は、
犠牲陽極材中のFe量が少ないため、腐食試験2におい
て孔食による貫通孔が生じた。試験材No.18 は犠牲陽極
材中のFe量が多過ぎ、試験材No.19 は犠牲陽極材中の
Zn量が少なく、試験材No.20 は犠牲陽極材中のZn量
が多いため、腐食試験3における腐食深さが大きい。試
験材No.21 は犠牲陽極材中のMg量が多過ぎるため、ろ
う付け時に局部融解が生じた。試験材No.22 および試験
材No.23 は、それぞれ犠牲陽極材中のSnおよびGaの
含有量が多過ぎるため、また試験材No.25 は芯材中のM
n量が多過ぎて鋳造時に粗大な化合物が生成されたた
め、いずれも圧延加工において割れが発生し、クラッド
板材を製造することができなかった。
【0039】試験材No.24 は芯材中のSi量が多過ぎて
芯材の融点が低下し、ろう付け時に局部溶解が生じたた
め、試験材No.26 は芯材中のCu含有量が多過ぎ、試験
材No.27 は芯材中のMg量が高過ぎて、ともに、ろう付
けにおいて局部融解が生じたため、いずれも腐食試験材
の製造ができなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、耐食性、とくに耐アル
カリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッ
ド材が提供される。このアルミニウム合金クラッド材
は、とくに自動車用ラジエータ、ヒータコアなどのチュ
ーブ材、ヘッダープレート材として好適に使用できる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F28F 19/06 F28F 19/06 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金よりなる芯材の片面に
    Al−Si系のろう材をクラッドし、他の面に犠牲陽極
    材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材におい
    て、犠牲陽極材が、Fe:0.5%を越え3.0 %以下(重量
    %、以下同じ)、Zn:1.5〜4.0 %を含有し、残部Al
    および不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成
    されることを特徴とする耐アルカリ腐食性に優れた熱交
    換器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 【請求項2】 芯材の片面にAl−Si系のろう材をク
    ラッドし、他の面に犠牲陽極材をクラッドしたアルミニ
    ウム合金クラッド材において、犠牲陽極材が、Fe:0.5
    %を越え3.0 %以下、Zn:1.5〜4.0 %を含有し、さら
    にMg:0.1〜2.5 %、Sn:0.01 〜 0.2%、Ga:0.01
    〜0.2 %のうちの1種または2種以上を含み、残部Al
    および不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成
    されることを特徴とする耐アルカリ腐食性に優れた熱交
    換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 【請求項3】 犠牲陽極材が、さらにCr:0.05 〜0.3
    %、Zr:0.05 〜0.3 %、Ti:0.05 〜0.3 %、B:0.0
    1 〜0.1 %、Mn:0.1〜2.0 %、Si:0.1〜1.0 %のう
    ちの1種または2種以上を含む請求項1〜2記載の耐ア
    ルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラ
    ッド材。
  4. 【請求項4】 芯材が、Mn:0.3〜2.0 %、Cu:0.10
    〜0.8 %の1種または2種を含有し、残部Alおよび不
    可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成されるこ
    とを特徴とする請求項1〜3記載の耐アルカリ腐食性に
    優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  5. 【請求項5】 芯材が、Mn:0.3〜2.0 %、Cu:0.10
    〜0.8 %の1種または2種を含み、さらにMg:0.1〜0.
    5 %、Si:0.1〜1 %を含有し、残部Alおよび不可避
    的不純物からなるアルミニウム合金で構成されることを
    特徴とする請求項1〜3記載の耐アルカリ腐食性に優れ
    た熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  6. 【請求項6】 芯材がさらにCr:0.05 〜0.3 %、Z
    r:0.05 〜0.3 %、Ti:0.05 〜0.3 %、B:0.01 〜0.
    1 %のうちの1種または2種以上を含有することを特徴
    とする請求項4〜5記載の耐アルカリ腐食性に優れた熱
    交換器用アルミニウム合金クラッド材。
JP24929296A 1996-08-30 1996-08-30 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 Expired - Lifetime JP3538507B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24929296A JP3538507B2 (ja) 1996-08-30 1996-08-30 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24929296A JP3538507B2 (ja) 1996-08-30 1996-08-30 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1072632A true JPH1072632A (ja) 1998-03-17
JP3538507B2 JP3538507B2 (ja) 2004-06-14

Family

ID=17190808

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24929296A Expired - Lifetime JP3538507B2 (ja) 1996-08-30 1996-08-30 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3538507B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6261706B1 (en) * 1999-10-04 2001-07-17 Denso Corporation Aluminum alloy clad material for heat exchangers exhibiting high strength and excellent corrosion resistance
JP2002028800A (ja) * 2000-07-13 2002-01-29 Mitsubishi Alum Co Ltd 強度および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6261706B1 (en) * 1999-10-04 2001-07-17 Denso Corporation Aluminum alloy clad material for heat exchangers exhibiting high strength and excellent corrosion resistance
JP2002028800A (ja) * 2000-07-13 2002-01-29 Mitsubishi Alum Co Ltd 強度および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート

Also Published As

Publication number Publication date
JP3538507B2 (ja) 2004-06-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4993440B2 (ja) ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材
JP4916334B2 (ja) 強度とろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP2011026681A (ja) アルミニウム合金クラッド材
JP3763498B2 (ja) 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP4023760B2 (ja) ろう付け性および耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP4916333B2 (ja) 強度とろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP3772017B2 (ja) 熱交換器用高強度高耐食アルミニウム合金クラッド材
JP4183150B2 (ja) 耐エロージョン・コロージョン性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP2004035966A (ja) アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法
JP3360026B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートのろう付け方法
JP3243188B2 (ja) 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP3243189B2 (ja) 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP3876180B2 (ja) アルミニウム合金三層クラッド材
JP3538507B2 (ja) 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP3876179B2 (ja) アルミニウム合金三層構造クラッド材
JP2990027B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートの製造方法
JP3529074B2 (ja) 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JP2933382B2 (ja) 熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材
JP2693181B2 (ja) アルミニウムブレージングシート
JPH09176768A (ja) 耐アルカリ腐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
JPH05230577A (ja) 熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材
JP2005015857A (ja) アルミニウム合金クラッド材
JPH07116544B2 (ja) 熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材
JPH05230575A (ja) 熱交換器用高強度高耐食性アルミニウム合金クラッド材
JPH07207394A (ja) ろう付け性に優れたAl合金フィン材

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080326

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090326

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100326

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100326

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110326

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110326

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120326

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140326

Year of fee payment: 10

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term