JPH1072391A - 新規なフェノール化合物およびその用途 - Google Patents

新規なフェノール化合物およびその用途

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JPH1072391A
JPH1072391A JP16465097A JP16465097A JPH1072391A JP H1072391 A JPH1072391 A JP H1072391A JP 16465097 A JP16465097 A JP 16465097A JP 16465097 A JP16465097 A JP 16465097A JP H1072391 A JPH1072391 A JP H1072391A
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JP
Japan
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compound
tert
weight
butyl
organic polymer
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Application number
JP16465097A
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English (en)
Inventor
Takeshi Inoue
健 井上
Matsuichi Horie
松一 堀江
Akiyoshi Onishi
章義 大西
Machiko Mekata
万智子 目加田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YOSHITOMI FINE CHEM KK
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
YOSHITOMI FINE CHEM KK
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 、R2 およびR3 はそれぞれ水素原子また
はアルキル基を示し、Xはそれぞれ同一または異なって
いてもよく、水素原子または一般式(2) 【化2】 (式中、R4 、R5 およびR6 はそれぞれ水素原子また
はアルキル基を示す。)により表される基を示し、Xの
うち少なくとも1つが水素原子であり、Xが3つとも同
時に水素原子であることはない。〕により表されるフェ
ノール化合物およびそれらを含む混合物。 【効果】 本発明の化合物または混合物を、有機高分子
用安定剤として用いた場合、従来の耐熱水性酸化防止剤
として使用されてきた化合物に比べて、優れた酸化劣化
防止効果を示し、特に長期間熱水と接触する環境での有
機高分子の劣化に対して優れた抵抗性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィンな
どの合成有機高分子をはじめ、天然有機高分子、化粧品
および油脂などの各種有機高分子の安定剤(酸化防止
剤)として有用であり、特に水もしくは熱水の存在する
環境中での使用において著しい効果を発揮するフェノー
ル化合物、当該化合物からなる組成物、およびその用途
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンなどの合成有機高分子や
合成ゴムなどの各種有機高分子は、成形加工時および製
品使用時に酸化を受け、機械的強度の低下や外観が劣化
するなどの品質が低下するという問題がある。このた
め、従来より酸化劣化を防止する目的で各種酸化防止剤
が開発され、当該材料中に配合されている。なかでも、
特公昭38−17164号、特公昭39−4620号、
特公昭42−9651号の各公報に記載のあるヒンダー
ドフェノール化合物は、特にポリオレフィンなどの合成
高分子材料の酸化劣化防止に有用であり、現在実用に供
されている。しかしながら、従来の各種酸化防止剤によ
り安定化された材料を、水や熱水の存在する環境中で使
用する場合、その酸化劣化防止効果が著しく低下すると
いう問題がある。この原因としては、従来、酸化防止剤
が水によって抽出されるため、または、酸化防止剤が加
水分解された後に水や熱水に抽出されるためであると考
えられており、水や熱水による抽出や加水分解を防ぐた
め、例えば、特開平2−265939号公報に記載の組
成物のようにエステル構造を含まず、高分子量で、剛直
な構造を持つ酸化防止剤を配合するのが一般的であっ
た。しかしながら、この公報に記載の組成物でも、要求
される耐久性を充分に充たすことができず、水や熱水の
存在する環境でも、酸化劣化防止効果を充分に発揮する
酸化防止剤や有機高分子材料が要求されていた。
【0003】ところで、一般式(1)
【0004】
【化5】
【0005】(式中、R1 は同一または異なっていても
よく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2
およびR3 は同一または異なっていてもよく、それぞれ
水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)の
Xが3つとも水素原子であり、R1 が第3級ブチル基で
あり、R2 が水素原子であり、R3 がメチル基である化
合物、すわわち1,1,3−トリス(2−メチル−4−
ヒドロキシ−5−第3級ブチルフェニル)ブタン
【0006】
【化6】
【0007】(以下、化合物Aと略称することもあ
る。)などの化合物は、酸化防止剤として汎用されてい
る化合物である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、汎用さ
れている酸化防止剤では、要求される耐酸化劣化性を十
分に満たすものではなく、水もしくは熱水の存在する環
境中での酸化劣化防止に対して特に有効である酸化防止
剤が必要とされてきた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水や熱水
の存在下にて、使用される有機高分子に配合されている
酸化防止剤の効果の低下機構について永年にわたり研究
を重ねてきた。本発明者らは、有機高分子中の酸化防止
剤が水によって抽出され、または加水分解されるという
従来の酸化防止機構に基づいた研究を行い、この研究過
程において本発明者らは、水の作用によって当該酸化防
止剤自体の酸化変質が促進されて、酸化防止効果を示さ
ない化合物となってしまうことを見いだした。水や熱水
の存在下にて使用される有機高分子において、水や熱水
の作用により酸化防止剤が酸化変質したとしても、その
酸化変質によって生成した化合物にも酸化防止能を有す
る化合物を設計することを着想し、鋭意検討を行った。
その結果、一般式(1)で表されるフェノール化合物が
それ自体の化学構造で有機高分子に対する優れた酸化劣
化防止能を有し、しかも、水または熱水の存在する環境
中にて使用して変質された場合でも、十分に満足できる
酸化劣化防止能を発揮することを見出し、本発明を完成
するに至った。本発明化合物は、たとえ水や熱水による
変質が生じたとしても、新たな酸化劣化防止能を有する
化合物が順次生成することから、その酸化劣化防止能の
持続効果も著しいものがある。すなわち、本発明は、
【0010】(1)一般式(1)
【0011】
【化7】
【0012】〔式中、R1 は同一または異なっていても
よく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2
およびR3 は同一または異なっていてもよく、それぞれ
水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xは
それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子また
は一般式(2)
【0013】
【化8】
【0014】(式中、R4 は炭素数1〜8のアルキル基
を示し、R5 およびR6 は同一または異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子または炭素数1〜8のアルキル基
を示す。)により表される基を示し、Xのうち少なくと
も1つが水素原子であり、Xが3つとも同時に水素原子
であることはない。〕により表されるフェノール化合
物、(2)一般式(1)
【0015】
【化9】
【0016】〔式中、R1 は同一または異なっていても
よく、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2
およびR3 は同一または異なっていてもよく、それぞれ
水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xは
それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子また
は一般式(2)
【0017】
【化10】
【0018】(式中、R4 は炭素数1〜8のアルキル基
を示し、R5 およびR6 は同一または異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子または炭素数1〜8のアルキル基
を示す。)〕により表されるフェノール化合物の混合物
であり、該混合物の全量に対して、一般式(1)のXが
3つとも一般式(2)であるフェノール化合物40〜9
9.9重量%、一般式(1)のXのうち2つまたは1つ
が一般式(2)であるフェノール化合物0.1〜60重
量%、および一般式(1)のXが3つとも水素原子であ
るフェノール化合物0〜39.9重量%であるフェノー
ル化合物の混合物、(3)上記 (1)記載の化合物または上
記 (2)記載の混合物からなる有機高分子用安定剤、(4)
有機高分子に対して、上記 (1)記載の化合物または上記
(2)記載の混合物を配合してなることを特徴とする有機
高分子材料、(5)オレフィン系樹脂に対して、上記 (1)
記載の化合物または上記 (2)記載の混合物を配合してな
ることを特徴とする樹脂組成物、(6)オレフィン系樹脂
が、α−オレフィン単独重合体またはα−オレフィン共
重合体より選ばれたものである上記 (5)記載の樹脂組成
物、(7)上記 (1)記載の化合物または上記 (2)記載の混
合物の配合量が、有機高分子材料100重量部に対し、
それぞれ0.01〜10重量部の範囲で選ばれてなる上
記 (4)記載の有機高分子材料、および(8)上記 (1)記載
の化合物または上記 (2)記載の混合物の配合量が、樹脂
100重量部に対し、それぞれ0.01〜10重量部の
範囲で選ばれてなる上記 (5)または (6)記載の樹脂組成
物に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】本明細書中に用いられている各記
号について、以下に説明する。R1 およびR4 として
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、イソブチル基、第2級ブチル基、
第3級ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、第
2級ペンチル基、第3級ペンチル基、2−メチルブチル
基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、第2級ヘキシル
基、第3級ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル
基、n−オクチル基、イソオクチル基、第2級オクチル
基、第3級オクチル基、2−エチルヘキシル基などの直
鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜8、好ましくは1〜5
のアルキル基であり、さらに好ましくは第3級ブチル基
である。
【0020】R2 、R3 、R5 およびR6 としては、そ
れぞれ水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第
2級ブチル基、第3級ブチル基、n−ペンチル基、イソ
ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、2
−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、
第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、シクロヘキシル
基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、第
2級オクチル基、第3級オクチル基、2−エチルヘキシ
ル基などの直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜8、好ま
しくは水素原子または1〜5のアルキル基であり、さら
に好ましくはR2 は水素原子、メチル基または第3級ブ
チル基であり、R3 は水素原子またはメチル基であり、
5 は水素原子、メチル基または第3級ブチル基であ
り、R6 は水素原子またはメチル基である。
【0021】一般式(1)で表される本発明化合物の製
造方法について、以下に説明する。
【0022】方法1:一般式(1’)
【0023】
【化11】
【0024】(式中、R1 、R2 およびR3 は前記と同
義。)により表されるフェノール化合物を、トリエチル
アミンなどの存在下、一般式(3)
【0025】
【化12】
【0026】(式中、Yはハロゲン原子を示し、R4
5 およびR6 は前記と同義。)により表される酸ハラ
イド化合物と反応させる。
【0027】方法2:一般式(1’)
【0028】
【化13】
【0029】(式中、R1 、R2 およびR3 は前記と同
義。)により表されるフェノール化合物、および一般式
(4)
【0030】
【化14】
【0031】(式中、R4 、R5 およびR6 は前記と同
義。)により表されるカルボン酸化合物とを、無水トリ
フルオロ酢酸などの酸無水物の存在下、−20〜100
℃、好ましくは−20〜30℃で、1〜48時間、好ま
しくは1〜24時間で反応させる。
【0032】方法3:一般式(1’)
【0033】
【化15】
【0034】(式中、R1 、R2 およびR3 は前記と同
義。)により表されるフェノール化合物、および一般式
(4)
【0035】
【化16】
【0036】(式中、R4 、R5 およびR6 は前記と同
義。)により表されるカルボン酸化合物とを、塩酸、硫
酸などの鉱酸あるいは三フッ化ホウ素エーテル錯体など
のルイス酸を用いて、Dean−Stark装置(水分
離器)などで生成する水を除去しながら反応させる。
【0037】方法4:一般式(1’)
【0038】
【化17】
【0039】(式中、R1 、R2 およびR3 は前記と同
義。)により表されるフェノール化合物、および一般式
(4)
【0040】
【化18】
【0041】(式中、R4 、R5 およびR6 は前記と同
義。)により表されるカルボン酸化合物とを、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、
アゾジカルボン酸ジエチルなどの縮合剤を用いて反応さ
せる。
【0042】このうち、本発明においては上記の方法1
または2の方法で製造することが好ましく、方法1で合
成することが工業的に特に有利であり特に好ましい。
【0043】本発明に関係する化合物としては、一般式
(1)
【0044】
【化19】
【0045】(式中、R1 、R2 およびR3 は前記と同
義。)に関して、Xが3つとも一般式(2)
【0046】
【化20】
【0047】(式中、R4 、R5 およびR6 は前記と同
義。)であるフェノール化合物(以下、「成分3化合
物」ともいう。)と、Xのうち2つが一般式(2)であ
り残り1つが水素原子であるフェノール化合物(以下、
「成分2化合物」ともいう。)と、Xのうち1つが一般
式(2)であり、残り2つが水素原子であるフェノール
化合物(以下、「成分1化合物」ともいう。)、および
Xの3つとも水素原子であるフェノール化合物(以下、
「成分M化合物」ともいう。)が挙げられる。
【0048】「成分3化合物」としては、1,1,3−
トリス(2−メチル−4−(3−(3,5−ジ第3級ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)
−5−第3級ブチルフェニル)ブタン(以下、化合物B
と略称することもある。)
【0049】
【化21】
【0050】1,1,3−トリス(3−メチル−4−
(3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニルオキシ)−5−第3級ブチルフェニ
ル)ブタン、1,1,3−トリス(3−メチル−4−
(3−(3−メチル−5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシ)−5−第3級ブチ
ルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル
−4−(3−(3−メチル−5−ジ第3級ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−5−第3
級ブチルフェニル)ブタンなどが挙げられる。
【0051】「成分2化合物」としては、1,1−ビス
(2−メチル−4−(3−(3,5−ジ第3級ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)−5−
第3級ブチルフェニル)−3−(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−第3級ブチルフェニル)ブタン、
【0052】
【化22】
【0053】1,3−ビス(2−メチル−4−(3−
(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ)−5−第3級ブチルフェニル)−
1−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3級ブチル
フェニル)ブタン
【0054】
【化23】
【0055】などが挙げられる。
【0056】「成分1化合物」としては、1,1−ビス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3級ブチルフェ
ニル)−3−(2−メチル−4−(3−(3,5−ジ第
3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオ
キシ)−5−第3級ブチルフェニル)ブタン、
【0057】
【化24】
【0058】1,3−ビス(2−メチル−4−ヒドロキ
シ−5−第3級ブチルフェニル)−1−(2−メチル−
4−(3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオニルオキシ)−5−第3級ブチルフ
ェニル)ブタン
【0059】
【化25】
【0060】などが挙げられる。
【0061】「成分M化合物」には、1,1,3−トリ
ス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3級ブチルフ
ェニル)ブタン(化合物A)
【0062】
【化26】
【0063】1,1,3−トリス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−第3級ブチルフェニル)ブタンなどが挙
げられる。
【0064】請求項1には、「成分2化合物」および
「成分1化合物」が記載されている。請求項2には、
「成分3化合物」と、「成分2化合物」、「成分1化合
物」および「成分M化合物」のうちのいずれか2種以上
を含有する混合物が記載されている。ただし、「成分2
化合物」および「成分1化合物」を含有せず、「成分3
化合物」および「成分M化合物」を含有する混合物は、
請求項2の範囲には含まれない。具体的には、請求項2
には、「成分3化合物」、「成分2化合物」、「成分1
化合物」、および「成分M化合物」の総量に対して、
「成分3化合物」40〜99.9重量%、「成分2化合
物」と「成分1化合物」の総量を0.1〜60重量%、
および「成分M化合物」を0〜39.9重量%含むフェ
ノール化合物の混合物が記載されている。これらの化合
物を含んだ反応混合物も優れた酸化防止剤、特に水もし
くは熱水の存在する環境中で使用しても著しい効果を発
揮する酸化防止剤として有用であり、しかもその酸化劣
化防止効果は著しい持続効果を示す。
【0065】本発明の実施の形態として以下のものも挙
げられるが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0066】例えば、「成分3化合物」、「成分2化合
物」、「成分1化合物」および「成分M化合物」の総量
に対して、「成分3化合物」を60〜98重量%、「成
分2化合物」と「成分1化合物」の総量を2〜40重量
%、および「成分M化合物」を0〜38重量%含む混合
物、「成分3化合物」、「成分2化合物」、「成分1化
合物」、および「成分M化合物」の総量に対して、「成
分3化合物」を80〜99.9重量%、「成分2化合
物」と「成分1化合物」の総量を0.1〜20重量%、
および「成分M化合物」を0〜19.9重量%含む混合
物、「成分2化合物」および「成分1化合物」の総量に
対して、「成分3化合物」を0.01〜100重量%お
よび/または「成分M化合物」を0.01〜100重量
%含む混合物;および「成分2化合物」および「成分1
化合物」の総量に対して、「成分3化合物」を0.02
〜50重量%および「成分M化合物」を0.02〜50
重量%含む混合物などが挙げられる。これらのフェノー
ル化合物の混合物は、上記に示した製法により各々の化
合物を単離し、それらを混合することにより製造できる
が、反応条件を適宜設定し、反応粗生成物そのものを用
いても製造できる。
【0067】一般式(1)で表される本発明化合物の特
徴は、ヒンダードフェニルエステル構造を有するヒンダ
ードフェノール化合物であるところにある。すなわち、
水または熱水の存在する環境中において、使用初期はヒ
ンダードフェノールが酸化防止効果を発揮し、使用中に
ヒンダードフェニルエステルが水または熱水の作用によ
って変質すると、新たにヒンダードフェノールが生成
し、引き続き酸化防止効果を発揮するので、従来の酸化
防止剤に比べて長期の酸化劣化防止効果を示すことがで
きる。
【0068】本発明のフェノール化合物またはフェノー
ル化合物の混合物は、種々の有機高分子の安定剤として
用いることができ、有機高分子の酸化劣化防止に有効で
あるが、特に水または熱水の存在する環境中で使用され
ることの多い合成高分子の酸化劣化防止に有効である。
【0069】本発明のフェノール化合物またはフェノー
ル化合物の混合物を有機高分子に配合することにより、
有機高分子材料が得られる。配合方法は特に限定され
ず、従来公知の方法などが挙げられ、本発明の化合物ま
たは混合物の配合割合は、有機高分子100重量部に対
して、0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜5
重量部、より好ましくは0.01〜1重量部である。
【0070】有機高分子としては、合成有機高分子、天
然有機高分子が挙げられる。合成有機高分子としては、
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂、含ハ
ロゲン系重合体、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、熱
可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリ
カーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン
オキシド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスル
ホン樹脂、ポリウレタン樹脂、石油樹脂、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂、ビニルアセタール樹脂、繊維素(セルロース)
系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンス
ルフィッド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテ
ルイミド樹脂、ポリオキシベンゾイル樹脂、ポリイミド
樹脂、ポリマレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポ
リアリレート樹脂、フッ素樹脂、アイオノマー、熱可塑
性エラストマーなどが挙げられ、これらの混合物を使用
することもできる。
【0071】前記オレフィン系樹脂としては、例えば、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密
度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペン
テン、ポリ−3−メチルブチレンなどの炭素数2〜8の
α−オレフィン単独重合体;エチレン・プロピレンラン
ダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合
体、エチレン・ブテン−1ランダム共重合体、プロピレ
ン・エチレン・ブテン−1ランダム共重合体などのα−
オレフィン共重合体;無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのα−オレフィ
ンと他の単量体との共重合体などが挙げられ、これらの
2種類以上または、これらと他の相溶性重合体との混合
物を使用することもできる。これらのオレフィン系樹脂
は重合後、触媒残渣を除去する工程を入れた僅かに精製
処理を行ったものや、比較的高度に精製したもののほか
に、高活性触媒を用い、触媒除去工程を経ていないか、
または簡略化して得られる触媒残渣を含有するオレフィ
ン系樹脂、特に、ハロゲン含有マグネシウム化合物を触
媒担体とするチーグラー型触媒やクロム系触媒を用いて
得られ、未だ触媒残留物除去工程を経ていない結晶性オ
レフィン系樹脂であってもよい(特公昭62−4418
号公報、特公平3−56245号公報、米国特許411
5639号明細書参照)。さらに、メタロセン系シング
ルサイト触媒によって得られる分子量分布の非常に狭い
オレフィン系樹脂であってもよい(ジャーナル・オブ・
ポリマー・サイエンス.ポリマー・ケミストリー・エデ
ィション(Journal of Polymer S
cience.Polymer Chemistry
Edition)第23巻,2151頁(1985
年))。
【0072】前記含ハロゲン系重合体としては、例え
ば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化
ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル・アクリル
酸アルキルエステル共重合体、塩素化ポリエチレンなど
が挙げられる。前記スチレン系樹脂としては、例えば、
ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン・アク
リロニトリル共重合体、スチレン・MMA共重合体、A
BS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、AAS樹脂、EE
S樹脂など、およびこれらの混合物などが挙げられる。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリレー
ト、ポリメタクリレートなどが挙げられる。前記熱可塑
性ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げ
られる。前記ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロ
ン4、ナイロン6、ナイロン4・6、ナイロン6・6、
ナイロン6・10、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン
12、ナイロン6・12、ナイロン11・12、アラミ
ドなど、およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0073】また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリ
エステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、
ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、フラン樹
脂などが挙げられる。
【0074】また、天然有機高分子としては、天然ゴ
ム、蛋白質、セルロースなどの誘導体、鉱油、動植物
油、ロウ、油脂などを挙げることができる。
【0075】本発明のフェノール化合物またはフェノー
ル化合物の混合物は、これらの有機高分子のうち、特に
オレフィン系樹脂、なかでもα−オレフィン単独重合体
またはα−オレフィン共重合体に配合した場合、優れた
酸化防止効果を示す。α−オレフィンとして最も好適で
あるのはプロピレンである。
【0076】さらに、本発明のフェノール化合物または
フェノール化合物の混合物は、特にフェノール系酸化防
止剤と組み合わせることにより、より優れた効果を発揮
する。すなわち、本発明のフェノール化合物またはフェ
ノール化合物の混合物、およびフェノール系酸化防止剤
を安定剤として用い、有機高分子に配合させると、より
安定性に優れた有機高分子材料を得ることができる。フ
ェノール系酸化防止剤として、2,6−ジ第3級ブチル
−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−第3
級ブチルフェノール、2,6−ジ第3級ブチル−4−ヒ
ドロキシメチルフェノール、2,6−ジ第3級ブチル−
4−エチルフェノール、2,4,6−トリ第3級ブチル
フェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、n−オク
タデシル・3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第3級ブ
チルフェニル)プロピオネート、イソオクチル・3−
(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第3級ブチルフェニル)
プロピオネート、ジステアリル・(4−ヒドロキシ−3
−メチル−5−第3級ブチル)ベンジルマロネート、没
食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシ
ル、トコフェロール(ビタミンE)、2,2’−メチレ
ンビス(4−メチル−6−第3級ブチルフェノール)、
2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第3級ブチ
ルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ
第3級ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス
(4−エチル−6−第3級ブチルフェノール)、4,
4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−第3級ブチル
フェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−
第3級ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−
メチル−6−第3級ブチルフェノール)、スチレン化フ
ェノール、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ
第3級ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、ビ
ス(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチル)カルシウム、1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3級ブチルフェ
ニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、テトラキス[3−(3,5−ジ第3級
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ
メチル]メタン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3
−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、2,2’−メチレンビス(4−
メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−
メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−4
−メチルフェノール]、1,3,5−トリス(4−第3
級ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジ
ル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(3,5−ジ
第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル
酸、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−第3級
ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピ
オネート]、エチレングリコール−ビス(3,3−ビス
(3−第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラ
ート)、2−第3級ブチル−6−(3−第3級ブチル−
5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフ
ェニルアクリラート、2,2’−オキザミド−ビス[エ
チル・3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、6−(4−ヒドロキシ−
3,5−ジ第3級ブチルアニリノ)−2,4−ジオクチ
ルチオ−1,3,5−トリアジン、ビス[2−第3級ブ
チル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3級
ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレー
ト、3,9−ビス[2−[3−(3−第3級ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−
テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビ
ス[2−[3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチ
ルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン、1,3,5−トリス[3−
(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、2,2−
チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ第3級ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−
[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第3級ペンチルフ
ェニル)エチル]−4,6−ジ第3級ペンチルフェニル
アクリレート、2,4−ジ−オクチルチオメチル−6−
メチルフェノールなどが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0077】好ましいフェノール系酸化防止剤として、
2,6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェノール、2,
6−ジ第3級ブチル−4−エチルフェノール、n−オク
タデシル・3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第3級ブ
チルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビ
ス(4−メチル−6−第3級ブチルフェノール)、2,
2’−メチレンビス(4−エチル−6−第3級ブチルフ
ェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−
6−第3級ブチルフェノール)、4,4’−チオビス
(3−メチル−6−第3級ブチルフェノール)、1,
1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第
3級ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル
−2,4,6−トリス(3,5−ジ第3級ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[3−
(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシメチル]メタン、1,3,5−トリ
ス(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)イソシアヌル酸、トリエチレングリコール−ビス
[3−(3−第3級ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−
[3−(3−第3級ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル
エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン、2,2−チオジエチレン−ビス
[3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、2−[1−(2−ヒドロキシ
−3,5−ジ第3級−ペンチルフェニル)エチル]−
4,6−ジ第3級−ペンチルフェニルアクリレート、
2,4−ジ−オクチルチオメチル−6−メチルフェノー
ルなどが挙げられる。この中でも、特に好ましいのは、
2,6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェノールであ
る。
【0078】本発明においてこれらフェノール系酸化防
止剤の1種または2種以上を組み合わせて有機高分子用
安定剤として使用することができる。フェノール系酸化
防止剤は、有機高分子100重量部に対し、好ましくは
それぞれ0.01〜10重量部、より好ましくは0.0
1〜5重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部の割
合で配合するのがよい。本発明化合物とフェノール系酸
化防止剤とを併用する場合には、別々に添加してもよ
く、または予め混合しておいた配合剤として添加しても
よい。使用時の配合割合は、本発明化合物に対し、0.
1〜10倍量の範囲が好ましい。また、添加作業が容易
にできるように、有機高分子100重量部に対して、本
発明化合物を1〜50重量部の範囲で含有する有機高分
子組成物(通常、マスターバッチという。)をあらかじ
め製造し、これを有機高分子に添加し、上記に示した好
ましい使用時の配合割合となる有機高分子材料を製造す
ることもできる。
【0079】さらに、本発明のフェノール化合物または
フェノール化合物の混合物は、特にリン系酸化防止剤と
組み合わせて用いることにより、より優れた効果を発揮
する。すなわち、本発明のフェノール化合物またはフェ
ノール化合物の混合物およびリン系酸化防止剤を安定剤
として用い、有機高分子に配合させると、より安定性に
優れた有機高分子材料を得ることができる。リン系酸化
防止剤として、トリス(2,4−ジ第3級ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第3級ブチル−
6−メチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,
4−ジ第3級ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレ
ンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ第3級ブチ
ル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、ビス(2,4−ジ第3級ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,
6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス
(4,6−ジ第3級ブチルフェニル)−2−エチルヘキ
シルホスファイト、(2,4,6−トリ第3級ブチルフ
ェニル)−2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパン
ジオールホスファイト、2,2’,2”−ニトリロ[ト
リエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−第3級
ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホ
スファイト]、ジステアリルペンタエリスリトールジホ
スファイト、ヘキサトリデシル1,1,3−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3級ブチルフェニ
ル)ブタントリホスファイトなどが挙げられる。
【0080】好ましいリン系酸化防止剤として、トリス
(2,4−ジ第3級ブチルフェニル)ホスファイト、テ
トラキス(2,4−ジ第3級ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
4−ジ第3級ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ第3
級ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト、ビス(2,6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げら
れる。
【0081】本発明において、これらリン系酸化防止剤
の1種または2種以上を組み合わせて有機高分子用安定
剤として使用することができる。リン系酸化防止剤は、
有機高分子100重量部に対し、好ましくはそれぞれ
0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重
量部、特に好ましくは0.01〜1重量部の割合で配合
するのがよい。本発明化合物とリン系酸化防止剤とを併
用する場合には、別々に添加してもよく、または予め混
合しておいた配合剤として添加してもよい。使用時の配
合割合は、本発明化合物に対し、0.1〜10倍量の範
囲が好ましい。また、添加作業が容易にできるように、
有機高分子100重量部に対して、本発明化合物を1〜
50重量部の範囲で含有する有機高分子組成物(通常、
マスターバッチという。)をあらかじめ製造し、これを
有機高分子に添加し、上記に示した好ましい使用時の配
合割合となる有機高分子材料を製造することもできる。
【0082】さらに、本発明のフェノール化合物および
フェノール化合物の混合物は、硫黄系酸化防止剤と組み
合わせて用いることもできる。硫黄系酸化防止剤とし
て、特に限定されないが、好ましくはジラウリルチオジ
プロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネ
ート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリ
ルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオ
ネート、テトラキス[(3−ラウリルチオプロピオニル
オキシ)メチル]メタン、テトラキス[(3−ステアリ
ルチオプロピオニルオキシ)メチル]メタン、ビス[2
−メチル−4−(3−n−アルキル(C12〜C14)
チオプロピオニルオキシ)−5−第3級ブチルフェニ
ル]スルフィドなどが挙げられる。
【0083】本発明において、これら硫黄系酸化防止剤
の1種または2種以上を組み合わせて有機高分子用安定
剤として使用することができる。硫黄系酸化防止剤は、
有機高分子100重量部に対し、好ましくはそれぞれ
0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重
量部、特に好ましくは0.01〜1重量部の割合で配合
するのがよい。本発明化合物と硫黄系酸化防止剤とを併
用する場合には、別々に添加してもよく、または予め混
合しておいた配合剤として添加してもよい。使用時の配
合割合は、本発明化合物に対し、0.1〜10倍量の範
囲が好ましい。また、添加作業が容易にできるように、
有機高分子100重量部に対して、本発明化合物を1〜
50重量部の範囲で含有する有機高分子組成物(通常、
マスターバッチという。)をあらかじめ製造し、これを
有機高分子に添加し、上記に示した好ましい使用時の配
合割合となる有機高分子材料を製造することもできる。
【0084】さらに、本発明のフェノール化合物および
フェノール化合物の混合物は、紫外線吸収剤や光安定剤
と組み合わせて用いることもできる。これら紫外線吸収
剤および光安定剤として、サリチル酸系化合物、ベンゾ
フェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベン
ゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッ
ケル系化合物、またはピペリジン系化合物などが挙げら
れる。
【0085】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができるサリチル酸系化合物としては、フェニルサ
リチレート、p−第3級ブチルフェニルサリチレート、
p−オクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
【0086】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができるベンゾフェノン系化合物として、2,4−
ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,
4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−イソオクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェ
ノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メ
トシキフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シ−5−スルホベンゾフェノン・トリハイドレート、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェ
ノンなどの化合物が挙げられる。
【0087】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができるベンゾトリアゾール系化合物として、2−
(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第3級ブチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキ
シ−3−第3級ブチル−5−メチルフェニル)−5−ク
ロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,
5−ジ第3級ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾー
ル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジ
メチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾー
ル、メチル・3−[3−第3級ブチル−5−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]プロピオネートと、ポリエチレングリコールとの縮
合物、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第3級−アミ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビ
ス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6
−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノー
ル]、2−(2−ヒドロキシ−5−第3級オクチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3
−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチ
ル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾールなどの
化合物が挙げられる。
【0088】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができるベンゾエート系化合物として、n−ヘキサ
デシル・3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベン
ゾエート、2,4−ジ第3級ブチルフェニル・3,5−
ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどの化
合物が挙げられる。
【0089】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができるシアノアクリレート系化合物として、エチ
ル・2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オ
クチル・2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート
などが挙げられる。
【0090】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができるニッケル系化合物として、2−エチルヘキ
シルアミン・ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニ
ッケル、[2,2’−チオビス[4−(1,1,3,3
−テトラメチルブチル)フェノラート]]−n−ブチル
アミン・ニッケル、[2,2’−チオビス[4−(1,
1,3,3−テトラメチルブチル)フェノラート]]ニ
ッケルなどの化合物が挙げられる。
【0091】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができるピペリジン系化合物として、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,
2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピぺリジル)−2
−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)−2−n−ブチルマロネート、テトラキス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)−1,
2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキ
ス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピぺリジ
ル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレー
ト、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)イミノ−s−トリアジン−2,4−ジイル]
[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピぺリジル)イミノ]]、ポリ[(6−モル
ホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピぺリジル)イミノ]
ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)イミノ]](塩化シアヌル/第3級オク
チルアミン/1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン縮合物)、1−
ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジノール/コハク酸縮合物、N,N’−ビス
(3−アミノプロピル)エチルジアミン/2,4−ビス
[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,
5−トリアジン縮合物などの化合物が挙げられる。
【0092】紫外線吸収剤および光安定剤として用いる
ことができる好ましい化合物として、2−ヒドロキシ−
4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−(2−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−3−第3級ブチル−5−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2
−ヒドロキシ−3,5−ジ第3級ブチルフェニル)−5
−クロロベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ
[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミ
ノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキ
サメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)イミノ]](塩化シアヌル/第3級オクチル
アミン/1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン縮合物)などが挙げ
られる。
【0093】本発明において、これら紫外線吸収剤およ
び光安定剤の1種または2種以上を組み合わせて有機高
分子用安定剤として使用することができる。紫外線吸収
剤および光安定剤は、有機高分子100重量部に対し、
好ましくはそれぞれ0.01〜10重量部、より好まし
くは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.01〜1
重量部の割合で配合するのがよい。本発明化合物と紫外
線吸収剤および光安定剤とを併用する場合には、別々に
添加してもよく、または予め混合しておいた配合剤とし
て添加してもよい。使用時の配合割合は、本発明化合物
に対し、0.1〜10倍量の範囲が好ましい。また、添
加作業が容易にできるように、有機高分子100重量部
に対して、本発明化合物を1〜50重量部の範囲で含有
する有機高分子組成物(通常、マスターバッチとい
う。)をあらかじめ製造し、これを有機高分子に添加
し、上記に示した好ましい使用時の配合割合となる有機
高分子材料を製造することもできる。
【0094】これらフェノール系酸化防止剤、リン系酸
化防止剤、硫黄系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤
のいずれか2種以上と、本発明のフェノール化合物また
はフェノール化合物の混合物とを、有機高分子に配合さ
せ、さらに効果を得ることもできる。
【0095】本発明のフェノール化合物およびフェノー
ル化合物の混合物は、安定剤として用いる場合、さらに
必要に応じて、本発明のフェノール化合物およびフェノ
ール化合物の混合物の効果を著しく損なわない程度の他
の添加物、たとえばハイドロタルサイト類、ステアリン
酸カルシウムなどの金属石鹸、ヒドラジン系化合物など
の重金属不活性化剤、モノアルキル錫トリス(チオグリ
コール酸オクチルエステル)、ジアルキル錫トリス(チ
オグリコール酸オクチルエステル)、モノアルキル錫ト
リス(マレイン酸モノアルキルエステル)またはジアル
キル錫トリス(マレイン酸モノアルキルエステル)など
の有機錫安定剤、エポキシ化大豆油またはエポキシオク
チルステアレートなどのエポキシ化合物、各種の有機顔
料、リン酸エステルなどの難燃剤、カチオン系またはア
ニオン系界面活性剤などの帯電防止剤、脂肪族アミドま
たは脂肪酸の低級アルコールエステル類などの滑剤、ア
クリル系高分子加工助剤、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レートまたはジ−2−エチルヘキシルアジペートなどの
可塑剤、酸化アルミニウムなどの充填剤、重炭酸ナトリ
ウムまたはアゾジカルボンアミドなどの発泡剤などの1
種以上と併用することもできる。
【0096】本発明のフェノール化合物およびフェノー
ル化合物の混合物は、必要に応じて、結晶核剤、透明化
剤などと併用することもできる。結晶核剤、透明化剤と
して、ビス(p−第3級ブチル安息香酸)ヒドロキシア
ルミニウム、ビス(4−第3級ブチルフェニル)ホスフ
ェートナトリウム、2,2’−メチレンビス(4,6−
ジ第3級ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩、
ジベンジリデンソルビトール、ビス(p−メチルベンジ
リデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデ
ン)ソルビトール、ビス(p−クロルベンジリデン)ソ
ルビトールなどが挙げられる。
【0097】当該安定剤を有機高分子に配合する方法
は、特に限定されず、従来公知の方法などが挙げられ、
たとえば、有機高分子と安定剤を混合した後、混練り、
押し出しなどの工程を経て処理する方法などが挙げられ
る。本発明に係る有機高分子材料を調製するには、本発
明のフェノール化合物またはその化合物を含む混合物
を、必要に応じてフェノール系酸化防止剤、リン系酸化
防止剤、硫黄系酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、
あるいはその他添加剤とを、それぞれ所定量秤量し、有
機高分子に混合すればよく、混合した後に混練してもよ
い。混合する際には、有機高分子に添加物を混合する際
に従来から使用されている混合機、例えば、ボールミ
ル、ペブルミル、タンブルミキサー、チェンジカンミキ
サー、スーパーミキサー(ヘンシェルミキサー)などが
挙げられ、混練する際には、有機高分子に添加物を混練
する際に従来から使用されている混練機、例えば、ミキ
シングロール、バンバリーミキサー、Σ羽根型混合機、
高速二軸連続ミキサー、押出機型混練機などが挙げられ
る。本発明に係る有機高分子材料は、従来から知られて
いる有機高分子材料の各種成形法、例えば、射出成形
法、押出成形法、カレンダー成形法、吹込み成形法、圧
縮成形法などによって、目的の製品に成形することがで
きる。製品は特に制限がなく、屋内で使用されるもの、
屋外で使用されるもののいずれでもよく、具体的には、
電気製品の部品、電子製品の部品、農業機械の部品、農
業用製品、水産機械の部品、水産用製品、自動車の部
品、日用品、雑貨品などが挙げられる。さらに具体的に
は、重質油高温輸送用鋼管の被覆層、温熱パイプ(給湯
用、床下暖房用など)、ジャー、ポット、洗濯機などの
家庭電器製品の部品などが挙げられる。
【0098】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもの
ではない。
【0099】実施例1(式(1)のXのうち1個が式
(2)であり、Xのうち残り2個が水素原子である化合
物(「成分1化合物」)の製造例) 1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−第3級ブチルフェニル)ブタン
【0100】
【化27】
【0101】16.3g、3−(3,5−ジ第3級ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸
【0102】
【化28】
【0103】8.4g、およびトルエン100mlの混
合液を、−10℃に冷却し、これに無水トリフルオロ酢
酸13.6gを滴下ロートで徐々に滴下した。滴下終了
後、氷浴を取り除き、室温にて26時間撹拌した。この
反応溶液を10%炭酸ナトリウム水溶液で数回分液洗浄
し、トルエン層を濾過し、トルエン層を濃縮した後、シ
リカゲルカラムにより精製すると、融点112〜116
℃の白色粉末の1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−第3級ブチルフェニル)−3−(2−メチル
−4−(3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオニルオキシ)−5−第3級ブチル
フェニル)ブタン
【0104】
【化29】
【0105】が得られた。
【0106】 2)赤外分光分析結果(KBr) νOH:3640cm-1、3540cm-1、νC=O :1740
cm-1
【0107】実施例2(式(1)のXのうち2個が式
(2)であり、Xのうち残り1個が水素原子である化合
物(「成分2化合物」)の製造例) 3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸
【0108】
【化30】
【0109】を16.7g、無水トリフルオロ酢酸を2
5.2g、攪拌時間を24時間とした以外、実施例1と
同様に反応させたところ、融点が111〜117℃の白
色粉末1,1−ビス(2−メチル−4−(3−(3,5
−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ニルオキシ)−5−第3級ブチルフェニル)−3−(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3級ブチルフェニ
ル)ブタン
【0110】
【化31】
【0111】が得られた。
【0112】 2)赤外分光分析結果(KBr) νOH:3640cm-1、3500cm-1、νC=O :1760
cm-1
【0113】実施例3(混合物の製造例) 1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5
−第3級ブチルフェニル)ブタン
【0114】
【化32】
【0115】16.3g、3−(3,5−ジ第3級ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸
【0116】
【化33】
【0117】25.1g、およびトルエン100mlの
混合液を、−10℃に冷却し、これに無水トリフルオロ
酢酸18.9gを滴下ロートで徐々に滴下した。滴下終
了後、氷浴を取り除き、室温にて3時間撹拌した。この
反応溶液を10%炭酸ナトリウム水溶液で数回分液洗浄
し、トルエン層を濾過し、トルエン層を濃縮した。その
トルエン濃縮残渣に、メタノールを加え、加熱溶解した
後、晶出させると、融点177〜180℃の白色結晶が
32.7gが得られた。
【0118】この結晶を液体クロマトグラフにより分析
すると、「成分3化合物」である、式(1)
【0119】
【化34】
【0120】のXが3個とも式(2)
【0121】
【化35】
【0122】で表される基である化合物(化合物B)が
89%、「成分2化合物」である式(1)のXのうち2
個が式(2)で表される基であり1個が水素原子である
化合物が7%、「成分1化合物」である式(1)のXの
うち1個が式(2)で表される基であり2個が水素原子
である化合物が1%、「成分M化合物」である式(1)
のXのうち3個ともが水素原子である化合物が3%から
なる混合物であった。
【0123】実験例1 チーグラー・ナッタ触媒を用いたスラリー法により重合
され、135℃のテトラリン中で測定した極限粘度が
1.9でアイソタクチック成分が98重量%のプロピレ
ン単独重合体の粉末100重量部に、実施例1〜3で得
られたフェノール化合物または混合物を配合し、ミキサ
ーにて充分混合した後、シリンダー温度230℃、L/
D=20、吐出直径20mmの押出機によって溶融混練
して造粒した。得られたペレットを、神藤金属工業製電
気プレスを用いて、230℃にて、厚さ0.5mmのプ
レスシートを作成し、そこから、縦50mm、横25m
m、厚さ0.5mmの試験片を切り出した。得られた試
験片について、耐熱水性試験を行った。すなわち、蓋付
きステンレス製円筒耐圧容器(内径38mm、深さ55
mm)に、試験片と蒸留水12mlを入れて密閉し、容
器ごと140℃のオーブン中に入れて劣化促進した。そ
して24時間毎に試験片を取り出し、蒸留水を入れ替え
ると共に、脆化の有無を目視観察および試験片に指で触
る試験法にて、試験片が脆化するまでに要した時間をそ
の試験片の寿命とし、同一配合試験片3片の寿命の平均
をとり、その配合材料の耐熱水性(時間)とした。尚、
脆化するまでに要した時間とは、試験片表面が褐色に変
色し、指で触った時に試験片が容易に崩壊する程度に脆
弱化する迄の時間を意味する。これらの試験結果を表
1、表2に示した。
【0124】
【表1】
【0125】表1において用いた記号は、以下の通りで
ある。 化合物C: 1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒ
ドロキシ−5−第3級ブチルフェニル)ブタン DMTP: ジミリスチルチオジプロピオネート Ca−St: ステアリン酸カルシウム
【0126】表1より次のことが明らかである。実施例
1および2により得られた化合物または実施例3により
得られた混合物を配合した有機高分子材料(実施例4〜
6)は、公知のフェノール系酸化防止剤である化合物C
を配合した有機高分子材料(比較例1)と比較して、優
れた耐熱水性を有する。
【0127】
【表2】
【0128】表2において用いた記号は、以下の通りで
ある。 化合物D: 1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン BHT: 2,6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェノ
ール
【0129】表2に示したフェノールモル濃度とは、酸
化防止剤を配合した有機高分子100gに対して添加し
た酸化防止剤のフェノール性水酸基のモル濃度を表して
いる。表2より次のことが明らかである。実施例2によ
り得られた化合物、および実施例3により得られた混合
物を配合した有機高分子材料(実施例7〜8)と、公知
のフェノール系酸化防止剤である化合物Dを、実施例7
〜8と同程度のフェノールモル濃度になるように配合し
た有機高分子材料(比較例3)を用いて比較すると、本
発明化合物または混合物は、優れた耐熱水性を有するこ
とが分かる。さらに、公知のフェノール系酸化防止剤で
ある化合物Dを、フェノールモル濃度が実施例7〜8の
有機高分子材料の2倍になるように添加した有機高分子
材料(比較例4)を用いて比較すると、2倍量を添加し
たといえども、本発明化合物または混合物よりも効果は
劣り、本発明化合物または混合物を含有する有機高分子
材料は、優れた耐熱水性を有することが分かる。
【0130】実験例2 チーグラー・ナッタ触媒を用いたスラリー法により重合
され、135℃のテトラリン中で測定した極限粘度が
1.9でアイソタクチック成分が98重量%のプロピレ
ン単独重合体の粉末100重量部に、実施例1〜3で得
られたフェノール化合物または混合物を配合し、ミキサ
ーにて充分混合した後、シリンダー温度260℃、L/
D=28、吐出直径20mmの押出機によって溶融混練
して造粒した。得られたペレットを200℃にて竪型ス
クリュウ式射出成型機により、厚さ3mm、縦90m
m、横50mmの試験片を作成した。得られた試験片に
ついて耐熱水性試験を行った。すなわち、試験片を沸騰
蒸留水に所定時間浸漬した後の着色変化を、JIS K
−7103(プラスチックの黄変度および黄変試験法)
に準じた方法でカラーメーターにより黄色度(YI)で
求めた。
【0131】
【表3】
【0132】表3において用いた記号は、以下の通りで
ある。 化合物E: テトラキス(3−(3,5−ジ第3級ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチ
ル)メタン DMTP: ジミリスチルチオジプロピオネート Ca−St: ステアリン酸カルシウム
【0133】表3より次のことが明らかである。実施例
1および2により得られた化合物または実施例3により
得られた混合物を含有する有機高分子材料(実施例9〜
13)は、公知のフェノール系酸化防止剤である化合物
を含有する有機高分子材料(比較例5〜6)と比較し
て、着色変化が少なく、長時間、熱水中に保持した場合
でも、耐久性が優れているものであることが分かる。
【0134】
【発明の効果】本発明化合物を、有機高分子用安定剤と
して用いた場合、従来の耐熱水性酸化防止剤として使用
されてきた化合物に比べて、優れた酸化劣化防止効果を
示し、特に長期間熱水と接触する環境での有機高分子の
劣化に対して優れた抵抗性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 15/08 C09K 15/08 (72)発明者 大西 章義 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 目加田 万智子 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市総合研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 〔式中、R1 は同一または異なっていてもよく、それぞ
    れ炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2 およびR3
    同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子また
    は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはそれぞれ同一
    または異なっていてもよく、水素原子または一般式
    (2) 【化2】 (式中、R4 は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R5
    およびR6 は同一または異なっていてもよく、それぞれ
    水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)に
    より表される基を示し、Xのうち少なくとも1つが水素
    原子であり、Xが3つとも同時に水素原子であることは
    ない。〕により表されるフェノール化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(1) 【化3】 〔式中、R1 は同一または異なっていてもよく、それぞ
    れ炭素数1〜8のアルキル基を示し、R2 およびR3
    同一または異なっていてもよく、それぞれ水素原子また
    は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xはそれぞれ同一
    または異なっていてもよく、水素原子または一般式
    (2) 【化4】 (式中、R4 は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R5
    およびR6 は同一または異なっていてもよく、それぞれ
    水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)〕
    により表されるフェノール化合物の混合物であり、該混
    合物の全量に対して、一般式(1)のXが3つとも一般
    式(2)であるフェノール化合物40〜99.9重量
    %、一般式(1)のXのうち2つまたは1つが一般式
    (2)であるフェノール化合物0.1〜60重量%、お
    よび一般式(1)のXが3つとも水素原子であるフェノ
    ール化合物0〜39.9重量%であるフェノール化合物
    の混合物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の化合物または請求項2記
    載の混合物からなる有機高分子用安定剤。
  4. 【請求項4】 有機高分子に対して、請求項1記載の化
    合物または請求項2記載の混合物を配合してなることを
    特徴とする有機高分子材料。
  5. 【請求項5】 オレフィン系樹脂に対して、請求項1記
    載の化合物または請求項2記載の混合物を配合してなる
    ことを特徴とする樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 オレフィン系樹脂が、α−オレフィン単
    独重合体またはα−オレフィン共重合体より選ばれたも
    のである請求項5記載の樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の化合物または請求項2記
    載の混合物の配合量が、有機高分子材料100重量部に
    対し、それぞれ0.01〜10重量部の範囲で選ばれて
    なる請求項4記載の有機高分子材料。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の化合物または請求項2記
    載の混合物の配合量が、樹脂100重量部に対し、それ
    ぞれ0.01〜10重量部の範囲で選ばれてなる請求項
    5または6記載の樹脂組成物。
JP16465097A 1996-06-21 1997-06-20 新規なフェノール化合物およびその用途 Pending JPH1072391A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012017359A (ja) * 2009-07-08 2012-01-26 Jsr Corp 樹脂組成物およびそれからなる光学部品

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