JPH1069543A - 被写体の曲面再構成方法及び被写体の曲面再構成装置 - Google Patents

被写体の曲面再構成方法及び被写体の曲面再構成装置

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JPH1069543A
JPH1069543A JP8228196A JP22819696A JPH1069543A JP H1069543 A JPH1069543 A JP H1069543A JP 8228196 A JP8228196 A JP 8228196A JP 22819696 A JP22819696 A JP 22819696A JP H1069543 A JPH1069543 A JP H1069543A
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image
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JP8228196A
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Inventor
Mitsuo Oshima
光雄 大島
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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    • G06T7/00Image analysis
    • G06T7/50Depth or shape recovery
    • G06T7/55Depth or shape recovery from multiple images
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被写体の曲面形状を良好な精度で検出して再
構成する。 【解決手段】 被写体を2つの異なる位置から撮像して
それぞれの位置から見た濃淡画像を検出するための画像
検出部10と、異なる濃淡画像における画素同士の輝度
比を算出し、この輝度比に基づいて被写体の面の傾きを
算出し被写体の曲面を再構成する曲面再構成部12とを
具えている。被写体における第1着目部分の面の傾き
を、第1着目部分に隣接する第2および第3着目部分の
面の傾きを第1および第2傾きとしてそれぞれ求め、こ
れら第1および第2傾きの平均を取ることにより求め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、被写体のステレ
オ画像からその被写体の各部の面の傾きを算出し、その
傾きに基づき被写体の曲面を再構成する方法とその装置
とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、被写体の各部の面の傾きを検出す
る方法として、例えば文献1「電子情報通信学会論文誌
D−II Vol.J77−D−II No.9 pp.
1797−1805 1994年9月」に開示されてい
る“照度差ステレオ法”と呼ばれる方法がある。この照
度差ステレオ法によれば、輝度の変化から物体の面の傾
きを算出する3次元形状の再現手法であって、同一シー
ンで光源の方向のみを変化させて同一位置より写した複
数枚の画像からその物体各点の面素の方向を得ることが
できる。そして、その面素の傾きを積分することにより
物体の3次元形状を再構成することができる。
【0003】また、被写体を少なくとも2つの異なる位
置から撮像してそれぞれの位置から見た濃淡画像いわゆ
るステレオ画像を検出し、被写体の着目部分に対応する
それぞれの濃淡画像中の画素を検出することにより被写
体上の位置を検出して物体の3次元形状を再構成する方
法がある(文献2「電子情報通信学会論文誌 D−IIV
ol.J77−D−II No.9 pp.1673−1
679 1994年9月」)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
傾き検出方法である照度差ステレオ法では、光源と物体
の材質を限定した上で反射率マップを用意する必要があ
るし、また照明方向をいくつか変えて照明する必要があ
る(例えば文献1)。これらは、検出対象物を制限する
ことになったり、検出装置の構成を複雑化する等の原因
になると考えられている。
【0005】従って、従来より、被写体の色や明るさに
制限されないで、広い使用環境で動作可能で、然も、光
源配置に依らないで被写体の傾きが検出できる方法及び
装置の出現が望まれていた。
【0006】そこで、この出願に係る発明は、上述した
課題を解決するとともに、さらに、測定精度を向上さ
せ、従来検出することが出来なかった被写体の細かい凹
凸をも検出可能な方法及び装置を提案することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】この出願に係る
第1発明の被写体の曲面再構成方法によれば、被写体を
少なくとも2つの異なる位置から撮像してそれぞれの位
置から見た各々1つずつの濃淡画像を検出し、前記異な
る濃淡画像における画素同士の輝度比を算出し、この輝
度比に基づいて前記被写体の面の傾きを算出し前記被写
体の曲面を再構成するに当たり、前記被写体における第
1着目部分の面の傾きを、この第1着目部分に隣接す
る、互いに異なる第2および第3着目部分の面の傾きを
それぞれ第1および第2傾きとして求めて、これら第1
および第2傾きの平均を取ることにより求めることを特
徴とする。
【0008】このように、被写体の1部分に着目してそ
の着目部分の面の傾きを求めるのではなく、その着目部
分に隣接する他の部分の面の傾きを求めこれらの平均を
取ることにより前述した着目部分の面の傾きを得る。こ
のため、この方法により求めた傾きに基づき再構成され
た曲面には、被写体の曲面形状の連続性が取り入れられ
ており、より正確な曲面を再構成することができる。ま
た、この方法によれば、輝度の絶対値を使用することな
く被写体の傾き検出ができるから、被写体の色や明るさ
に制限されず、また、光源配置にも依らない広い使用環
境で被写体の傾き検出ができる。
【0009】次に、この出願に係る第2発明の被写体の
曲面再構成方法によれば、(a)被写体を少なくとも2
つの異なる位置から撮像してそれぞれの位置から見た各
々1つずつの濃淡画像を検出し、(b)異なる前記濃淡
画像における画素同士の輝度比を算出し、(c)この輝
度比に基づいて前記被写体の面の傾きを算出し前記被写
体の曲面を再構成するに当たり、前記(b)工程は、
(b−1)前記濃淡画像の1つを基準画像として設定し
てこの基準画像を構成するマトリックス配列された多数
の画素のうち前記被写体の着目部分に対応した1つの画
素を第1画素としてこの第1画素の第1輝度を検出する
ステップと、(b−2)前記基準画像とは異なる前記1
つの濃淡画像を構成するマトリックス配列された多数の
画素のうち前記着目部分に対応した1つの画素を原点画
素とし、この原点画素から第1オフセットだけ離れた画
素を第2画素としてこの第2画素の第2輝度を検出する
ステップと、(b−3)前記原点画素と前記第2画素と
を結ぶ直線上であって、前記第2画素とは反対側に前記
原点画素から第2オフセットだけ離れた画素を第3画素
としてこの第3画素の第3輝度を検出するステップと、
(b−4)前記第1輝度と前記第2輝度との第1輝度比
を求めるステップと、及び(b−5)前記第1輝度と前
記第3輝度との第2輝度比を求めるステップとを含み、
及び前記(c)工程は、(c−1)前記第1および第2
輝度比に基づいて前記被写体の面の傾きを算出し前記被
写体の曲面を再構成するステップを含むことを特徴とす
る。
【0010】このように、着目部分に隣接する2つの被
写体部分について面の傾きを求めこれらの平均傾きを前
述した着目部分の面の傾きとすることにより、1つの着
目部分について輝度比を求め傾きを算出する場合にその
着目部分の位置やその着目部分に相当する画素の輝度値
の検出精度が不充分であったために生じていた、細かい
凹凸の見逃しを抑制することができる。従って、測定精
度を向上させることができる。また、この方法によれ
ば、輝度の絶対値を使用することなく被写体の傾き検出
ができるから、被写体の色や明るさに制限されず、ま
た、光源配置にも依らない広い使用環境で被写体の傾き
検出ができる。
【0011】また、この第2発明の被写体の曲面再構成
方法において、好ましくは、前記(c−1)ステップ
は、(h1)前記第1輝度比から第1傾きを算出するサ
ブステップと、(h2)前記第2輝度比から第2傾きを
算出するサブステップと、(h3)前記着目部分を変え
て前記第1傾きを求めこれら第1傾きに基づいて第1曲
面を構成するサブステップと、(h4)前記着目部分を
変えて前記第2傾きを求めこれら第2傾きに基づいて第
2曲面を構成するサブステップと、(h5)前記第1お
よび第2曲面の平均曲面を前記被写体の曲面として再構
成するサブステップとを含むのが良い。
【0012】また、この第2発明の被写体の曲面再構成
方法において、好ましくは、前記(c−1)ステップ
は、(i1)前記第1および第2輝度比の平均輝度比を
求めるサブステップと、(i2)前記平均輝度比から平
均傾きを算出するサブステップと、(i3)前記着目部
分を変えて前記平均傾きを求めこれら平均傾きに基づい
て求めた平均曲面を前記被写体の曲面として再構成する
サブステップとを含むのが良い。
【0013】また、この第2発明の被写体の曲面再構成
方法の好適例によれば、前記(a)ステップで検出され
た前記濃淡画像の全てに対して前記(b−1)ステップ
で順次に前記基準画像を設定して前記(b−1)〜(b
−5)ステップを実行した後、前記基準画像に関してそ
れぞれ得られた第1および第2輝度比の組に基づいて前
記被写体の予備曲面をそれぞれ求め、これら予備曲面の
重み付け平均曲面を前記被写体の曲面として再構成する
ことを特徴とする。
【0014】このように、複数の濃淡画像の各々を基準
画像とした場合にそれぞれ予備奥行を求めこれら予備奥
行を重み付け平均することにより、被写体の曲面を、見
る位置を変えて再構成することができるようになる。
【0015】次に、この出願に係る第3発明の被写体の
曲面再構成装置によれば、被写体を少なくとも2つの異
なる位置から撮像して複数の濃淡画像を検出する画像検
出部と、検出された互いに異なる濃淡画像における画素
同士の輝度比を算出し、この輝度比に基づいて前記被写
体の面の傾きを算出して前記被写体の曲面を再構成する
曲面再構成部とを具える曲面再構成装置において、前記
曲面再構成部は、前記複数の濃淡画像の1つを基準画像
として設定して該基準画像を構成するマトリックス配列
された多数の画素のうち前記被写体の着目部分に対応し
た1つの画素を第1画素としてこの第1画素の第1輝度
を検出する第1輝度検出部と、前記基準画像とは異なる
前記1つの濃淡画像を構成するマトリックス配列された
多数の画素のうち前記第1画素に対応する1つの画素を
原点画素として対応付けを行う原点画素設定部と、前記
原点画素から第1オフセットだけ離れた画素を第2画素
としてこの第2画素の第2輝度を検出する第2輝度検出
部と、前記原点画素と前記第2画素とを結ぶ直線上であ
って、前記第2画素とは反対側に前記原点画素から第2
オフセットだけ離れた画素を第3画素としてこの第3画
素の第3輝度を検出する第3輝度検出部と、前記第1輝
度と前記第2輝度との第1輝度比を求める第1輝度比算
出部と、前記第1輝度と前記第3輝度との第2輝度比を
求める第2輝度比算出部と、前記第1および第2輝度比
に基づいて前記被写体の曲面を再構成する奥行検出部と
を具える手段であることを特徴とする。
【0016】このように、着目部分に隣接する2つの被
写体部分について面の傾きを求めこれらの平均傾きを前
述した着目部分の面の傾きとすることにより、1つの着
目部分について輝度比を求め傾きを算出する場合にその
着目部分の位置やその着目部分に相当する画素の輝度値
の検出精度が不充分であったために生じていた、細かい
凹凸の見逃しを抑制することができる。従って、測定精
度を向上させることができる。また、この装置によれ
ば、輝度の絶対値を使用することなく被写体の傾き検出
ができるから、被写体の色や明るさに制限されず、ま
た、光源配置にも依らない広い使用環境で被写体の傾き
検出ができる。
【0017】また、第3発明の被写体の曲面再構成装置
において、好ましくは、前記画像検出部は、2眼ステレ
オ検出装置と、この2眼ステレオ検出装置が検出した左
右の濃淡画像をそれぞれ格納する濃淡画像格納部と、格
納された左右の濃淡画像における、前記被写体の同一箇
所に対応するそれぞれの画素間の関係を記す左右画像対
応情報を格納する位相差画像格納部とを具えるのが良
い。
【0018】また、第3発明の被写体の曲面再構成装置
において、好ましくは、前記奥行検出部は、前記第1輝
度比から第1傾きを算出する第1傾き算出部と、前記第
2輝度比から第2傾きを算出する第2傾き算出部と、前
記第1傾きに基づいて第1奥行を算出する第1奥行算出
部と、前記第2傾きに基づいて第2奥行を算出する第2
奥行算出部と、前記第1および第2奥行の平均奥行きを
求めこの平均奥行きに基づき前記被写体の曲面を再構成
する平均奥行算出部とを具えるのが良い。
【0019】また、第3発明の被写体の曲面再構成装置
において、好ましくは、前記奥行検出部は、前記第1お
よび第2輝度比の平均輝度比を求める平均輝度比算出部
と、前記平均輝度比から平均傾きを算出する平均傾き算
出部と、前記平均傾きに基づいて平均奥行を算出しこの
平均奥行に基づき前記被写体の曲面を再構成する第3奥
行算出部とを具えるのが良い。
【0020】また、第3発明の被写体の曲面再構成装置
の好適な構成例によれば、前記曲面再構成部を複数段具
え、これら各曲面再構成部ごとに異なる前記濃淡画像を
前記基準画像として設定してあり、これら各曲面再構成
部が出力する予備奥行を統合することにより前記被写体
の奥行とする奥行統合部を具えることを特徴とする。
【0021】このように、複数の濃淡画像の各々を基準
画像とした場合にそれぞれ求めた予備奥行きを統合する
ことにより、被写体の曲面を、見る位置を変えて再構成
することができる装置である。
【0022】また、第3発明の被写体の曲面再構成装置
において、好ましくは、前記統合は、重み付け平均によ
り行うのが良い。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して、この発明の
実施の形態につき説明する。尚、図は、この発明の構
成、大きさ及び配置関係が理解出来る程度に概略的に示
してあり、また、以下に記載する数値条件等は単なる一
例に過ぎないから、従って、この発明は、この実施の形
態に何ら限定されることがない。
【0024】[第1の実施の形態]図1は、第1の実施
の形態の被写体の曲面再構成装置の構成を示すブロック
図である。この構成例の被写体の曲面再構成装置は、被
写体を少なくとも2つの異なる位置から撮像して複数の
濃淡画像を検出する画像検出部10と、検出された互い
に異なる濃淡画像における画素同士の輝度比を算出し、
この輝度比に基づいて被写体の面の傾きを算出して被写
体の曲面を再構成する曲面再構成部12とを具えてい
る。
【0025】上述した画像検出部10は、主として、2
眼ステレオ検出装置14および画像記憶部16を具えて
いる。この2眼ステレオ検出装置14は、2台のカメラ
22aおよび22bと対応画素探索手段とを具えてい
る。図2は、これら2台のカメラ22aおよび22bと
被写体24との光学的配置例を示す線図である。また、
この図2は、被写体24の着目部分26から2台のカメ
ラ22aおよび22bへの入射光等を含めた光学配置の
説明図である。尚、図2では被写体24を平板のごとく
示しているがこれは一例に過ぎない。
【0026】図2において、2眼ステレオ検出装置14
は、左カメラ22a、右カメラ22bおよび対応画素探
索手段(図示せず)を具えた構成である。2台のカメラ
22aおよび22bは、距離Wをもってそれぞれの光軸
o1およびo2が平行になるように被写体24に対し配
置してある。また、カメラ22aおよび22bと被写体
24の着目部分26との間の、光軸o1およびo2に沿
った方向の距離を記号Dで示してある。これらカメラ2
2aおよび22bは、例えばCCD(Charge Coupled D
evice )カメラで構成できる。それぞれのカメラ22a
および22bは被写体の像を濃淡画像として検出する。
この濃淡画像は、マトリックス状に配列された多数の画
素での輝度情報でそれぞれ表されている。尚、濃淡画像
は、典型的には、被写体の濃度分布を多値ディジタル信
号で表した情報である。さらに濃淡画像は、R(赤)、
G(緑)およびB(青)の各色ごとの濃度分布を多値デ
ィジタル信号でそれぞれ表した情報とできる。
【0027】また、図示しない対応画素探索手段は、左
カメラ22aで得られるマトリックス画素配列中のある
画素での濃淡画像(以下、左濃淡画像と称する。)にお
ける被写体24の位置が、右カメラ22bで得られる濃
淡画像(以下、右濃淡画像と称する。)中のどの画素位
置に対応しているかを探索する手段である。この探索結
果は、後述するように位相差画像(左右画像対応情報)
と呼ばれる情報で表される。この2眼ステレオ検出装置
14の構成は、例えば、文献2に開示の技術で構成でき
る。
【0028】さらに、図1において、画像検出部10
は、2眼ステレオ検出装置14で検出・生成した濃淡画
像および位相差画像を格納しておくための画像記憶部1
6を具えている。この画像記憶部16は、2眼ステレオ
検出装置14が検出した左右の濃淡画像をそれぞれ格納
する濃淡画像格納部18と、格納された左右の濃淡画像
における、被写体24の同一箇所(着目部分26)に対
応するそれぞれの画素間の関係を記す左右画像対応情報
を格納する位相差画像格納部20とを具えている。上述
の濃淡画像格納部18は、左カメラ22aで撮像した左
濃淡画像を対応する画素配列中の各画素と対応させて格
納しておくための左濃淡画像格納部18aと、右カメラ
22bで撮像した右濃淡画像を対応する画素配列中の各
画素と対応させて格納しておくための右濃淡画像格納部
18bとを具えている。また、上述した位相差画像格納
部20は、対応画素探索手段により生成された位相差画
像(左右画像対応情報)を格納しておくための手段であ
る。
【0029】次に、曲面再構成部12は、第1輝度検出
部27、原点画素設定部28、第2輝度検出部29、第
3輝度検出部30、第1輝度比算出部32、第2輝度比
算出部34および奥行検出部36を具えている。
【0030】上述の第1輝度検出部27は、画像検出部
10で検出された複数の濃淡画像の1つを基準画像とし
て設定して、この基準画像を構成するマトリックス配列
された多数の画素のうち被写体24の着目部分26に対
応した1つの画素を第1画素としてこの第1画素の第1
輝度を検出する手段である。この実施の形態では、第1
輝度検出部27は、上述の右濃淡画像をこの基準画像と
して設定して右濃淡画像格納部18bから右濃淡画像を
呼び出し、呼び出した画素情報の中から着目部分26に
対応する画素を第1画素として選択し、その第1画素の
輝度を第1輝度として検出する。
【0031】また、原点画素設定部28は、基準画像と
は異なる1つの濃淡画像を構成するマトリックス配列さ
れた多数の画素のうち第1画素に対応する1つの画素を
原点画素として対応付けを行う手段である。すなわち、
この実施の形態では、左濃淡画像格納部18aから左濃
淡画像を呼び出し、その画素情報の中から右濃淡画像の
第1画素に対応する画素を原点画像として選択する。
【0032】また、第2輝度検出部29は、原点画素か
ら第1オフセットだけ離れた画素を第2画素としてこの
第2画素の第2輝度を検出する手段である。この実施の
形態の第2輝度検出部29は、原点画素設定部28で原
点画素として選択された画素から第1オフセットだけ離
間した画素を第2画素として選択するオフセット付加部
62aと、そして、そのオフセット付加部62aで選択
した第2画素の輝度を第2輝度として検出する輝度検出
部64aとを具えている。
【0033】また、第3輝度検出部30は、原点画素と
第2画素とを結ぶ直線上であって、第2画素とは反対側
に原点画素から第2オフセットだけ離れた画素を第3画
素としてこの第3画素の第3輝度を検出する手段であ
る。この第3輝度検出部30は、原点画素設定部28で
原点画素として選択された画素から第2オフセットだけ
離間した画素を第3画素として選択するオフセット付加
部62bと、このオフセット付加部62bで選択した第
3画素の輝度を第3輝度として検出する輝度検出部64
bとを具えている。
【0034】第1輝度比算出部32は、第1輝度と第2
輝度との第1輝度比を求める手段である。第1輝度検出
部27で検出した第1輝度と、第2輝度検出部29で検
出した第2輝度とを読み込み、これらの比(第2輝度/
第1輝度)を第1輝度比として算出する。
【0035】また、第2輝度比算出部34は、第1輝度
と第3輝度との第2輝度比を求める手段である。第1輝
度検出部27で検出した第1輝度と、第3輝度検出部3
0で検出した第3輝度とを読み込み、これらの比(第3
輝度/第1輝度)を第2輝度比として算出する。
【0036】また、奥行検出部36は、第1および第2
輝度比に基づいて被写体の曲面を再構成する手段であ
る。この奥行検出部36は、第1傾き算出部44、第2
傾き算出部46、第1奥行算出部48、第2奥行算出部
50および平均奥行算出部52を具えている。
【0037】次に、この発明の被写体の曲面再構成方法
における処理について説明する。尚、曲面再構成部12
の動作についても、この曲面再構成方法と併せて説明す
る。
【0038】先ず、被写体を少なくとも2つの異なる位
置から撮像して複数の濃淡画像を検出する。この実施の
形態では、被写体24を左カメラ22aおよび右カメラ
22bで撮像する。これにより、2台のカメラ22aお
よび22bそれぞれの位置から見た濃淡画像を得る。撮
像は時間的に連続的に行うことが可能であるがここでは
ステレオ画像が1対あればこの発明の主旨を説明できる
ので、1対についてのみ説明する。
【0039】撮像されたステレオ画像(左濃淡画像およ
び右濃淡画像)はそのまま左濃淡画像格納部18a、右
濃淡画像格納部18bに出力され格納されるが、同時に
2眼ステレオ検出装置14による左右濃淡画像の対応画
素探索が行われて、左右画像対応情報(上述した位相差
画像に相当する。)が抽出される。左右画像対応情報の
抽出について図3(A)〜(C)を参照し、具体的に説
明する。図3(A)は左濃淡画像格納部18a内の様子
を模式的に示した図、図3(B)は右濃淡画像格納部1
8b内の様子を模式的に示した図、図3(C)は位相差
画像格納部20内の様子を模式的に示した図である。対
応点画素検索手段は、左濃淡画像格納部18aおよび右
濃淡画像格納部18b内をそれぞれ走査する。この際、
例えば濃淡の変化具合が同様な画像部分が出現したか否
か等を検出し、左右濃淡画像における対応画素を探索す
る。図3(A)および(B)には、左濃淡画像における
基準から(d1,y1)の位置の画素「A」と、右濃淡
画像における基準から(d2,y1)の位置の画素
「B」とが対応する例を示している。これに応じ、位相
差画像格納部20の(d1,y1)の位置には、d=d
2−d1で与えられる情報d(dを位相差と称する。)
が格納される。左右濃淡画像の全画素について上記同様
に対応画素探索をすることで、右濃淡画像を基準とする
左右画像対応情報が得られる。もちろん、左濃淡画像を
基準として左右画像対応情報を抽出しても良い。
【0040】このように、左濃淡画像および右濃淡画像
の一方を基準画像として設定する。そして、この基準画
像を構成するマトリックス配列された多数の画素のう
ち、被写体24の着目部分26に対応した1つの画素を
第1画素として、この第1画素の輝度を第1輝度として
検出する。これらの処理は、前述した第1輝度検出部2
7において行われる。この処理の結果、図3(B)にお
いて、列位置d2における画素「B」を被写体24の着
目部分26に対応した第1画素として設定し、この第1
画素「B」の輝度すなわち第1輝度Lr(d2)が検出
される。
【0041】次に、左濃淡画像を構成するマトリックス
配列された多数の画素のうち着目部分26に対応した1
つの画素を原点画素として設定する。この処理は、前述
した原点画素設定部28において行われる。左右濃淡画
像における対応画素は、上述した左右画像対応情報によ
り判明しているから、右濃淡画像中の第1画素「B」に
対応する左濃淡画像中の画素を検出することができる。
図3(A)において、列位置d1における画素「A」を
着目部分26に対応した原点画素とする。この原点画素
「A」の輝度を記号Ll(d1)で表す。
【0042】そして、この原点画素から第1オフセット
だけ離れた画素を第2画素として、この第2画素の第2
輝度を検出する。この実施の形態では、第1オフセット
は図3(A)の列方向(図3(A)の矢印Dで示す方
向)の1画素分の変移量であり、原点画素「A」から列
方向に1画素だけ右側に離れた位置(d1+1,y1)
の画素「A1」を第2画素として設定する。そして、こ
の第2画素「A1」の輝度すなわち第2輝度Ll(d1
+1)を検出する。この処理は、画像記憶部16に格納
されている情報に基づき、前述した第2輝度検出部29
において行われる。尚、第1オフセットとしては上述し
た1画素分の変移量に限らず、被写体24の凹凸を反映
できる範囲の変移量であればよい。
【0043】次に、原点画素「A」と第2画素「A1」
とを結ぶ直線上であって、第2画素「A1」とは反対側
に原点画素「A」から第2オフセットだけ離れた画素を
第3画素として設定し、この第3画素の第3輝度を検出
する。第2オフセットは、図3(A)において、原点画
素「A」から左側向きの列方向の1画素分の変移量であ
り、原点画素「A」から列方向に1画素だけ左側に離れ
た位置(d1−1,y1)の画素「A2」を第3画素と
して設定する。そして、この第3画素「A2」の輝度す
なわち第3輝度Ll(d1−1)を検出する。この処理
は、画像記憶部16に格納されている情報に基づき、前
述の第3輝度検出部30において行われる。尚、第2オ
フセットとしては上述した1画素分の変移量に限らず、
被写体24の凹凸を反映できる範囲の変移量であればよ
い。また、第1および第2オフセットの大きさが同じで
なくともよい。
【0044】次に、第1輝度Lr(d2)と第2輝度L
l(d1+1)との第1輝度比H1を求める。すなわち
第1輝度比H1=Ll(d1+1)/Lr(d2)を算
出する。この処理は、第1オフセット付加部28の出力
を受けて、前述の第1輝度比算出部32において行われ
る。
【0045】また、第1輝度Lr(d2)と第3輝度L
l(d1−1)との第2輝度比H2を求める。すなわち
第2輝度比H2=Ll(d1−1)/Lr(d2)を算
出する。この処理は、第2オフセット付加部30の出力
を受けて、前述の第2輝度比算出部34において行われ
る。尚、輝度比の計算は走査ラインの右側からでも左側
からでもどちら側からでもよい。
【0046】そして、第1および第2輝度比H1および
H2に基づいて被写体24の面の傾きを算出し、被写体
24の曲面を再構成する。この処理は、第1および第2
輝度比算出部32および34の出力を受けて、奥行検出
部36において行われる。
【0047】ここで、輝度比から面の傾きを算出する方
法につき、図2、図4(A)および(B)を参照して具
体的に説明する。尚、図4(A)は左カメラ22aで得
た左濃淡画像上の着目部分26に対応する画素の位置の
説明図である。また、図4(B)は、右カメラ22bで
得た右濃淡画像上での着目部分26に対応する画素の位
置の説明図である。
【0048】被写体24の着目部分26に対してはラン
バートの余弦法則を適用する。着目部分26における面
の傾きは、この部分26から2台のカメラ22aおよび
22bに入射する輝度の強さが変わることを利用して検
出することができる。この着目部分26から左カメラ2
2aに入射される入射光強度Llと、この着目部分26
から右カメラ22bに入射される入射光強度Lrとは、
下記の(1)、(2)式でそれぞれ表せる。
【0049】 Ll=L0・cos(β+θl)cosψ ・・・(1) Lr=L0・cos(β+θr)cosψ ・・・(2) ただし、βは被写体24における着目部分26の面の傾
きを表す。この場合この傾き角βは、被写体24の着目
部分26における面の法線がカメラの光軸o1およびo
2に対しなす角度である(図2)。また、ψはカメラの
視線(すなわち光軸)が被写体24に対しなす角度であ
る(よってβと同じ)。また、θlは左カメラ22aの
光軸と、左カメラ22aおよび着目部分26を結ぶ線分
とがなす角度、θrは右カメラ22bの光軸と、右カメ
ラ22bおよび着目部分26を結ぶ線分とがなす角度で
ある。また、L0は着目部分26からこの着目部分26
における面の法線方向の光強度成分を表している。
【0050】左右濃淡画像の対応画素の輝度比Hは、上
記(1)、(2)式を用いて下記の(3)式で表せる。
【0051】 H=Ll/Lr=cos(β+θl)/cos(β+θr) ・・・(3) この(3)式中のθlは左濃淡画像における着目部分2
6に対応する画素の位置から求められ、θrは右濃淡画
像における着目部分26に対応する画素の位置から求め
られる。すなわち、図4(A)に示したように、カメラ
22aから角度θlの視線上にある着目部分26は、画
角αでNの画素数から成る画像上においては画素位置P
l上に現れる。よって、画素位置Plを与える角度θl
は θl=tan-1[{2(Pl−P0)/N}・tan(α/2)] ・・・・ (4) で求められる。ただし、記号P0は画像の中心画素位置
を表す。同様に、図4(B)に示したように、カメラ2
2bから角度θrの視線上にある着目部分26は、画角
αでNの画素数から成る画像上においては画素位置Pr
に現れる。よって、画素位置Prを与える角度θrは θr=tan-1[{2(Pr−P0)/N}・tan(α/2)] ・・・・ (5) で求められる。
【0052】これら(3)式、(4)式および(5)式
から明らかなように、被写体24の着目部分26の傾き
角βは、左右画像の輝度比に基づいて、具体的には、左
濃淡画像および右濃淡画像における対応画素どうしの輝
度比と、用いたカメラ22a、22bの画角αと、左濃
淡画像および右濃淡画像における対応画素の画素位置
と、左濃淡画像および右濃淡画像の大きさNとにより求
められる。尚、対応画素どうしの輝度比を算出する際、
左濃淡画像の輝度値Llと右濃淡画像の輝度値Lrのど
ちらを分母にしどちらを分子にするかは画素面の傾きの
正負に関係するので予め決めておけば良く、本質的な問
題ではない。
【0053】そして、被写体24における着目部分26
を順次に他の部分に移して同様な手順で傾き角βをそれ
ぞれ検出する。これら検出した各部の傾き角βから奥行
微分量m・tanβ(ただし、mは1画素の単位長さを
表す。)を求め、この奥行微分量を積分装置等で画素の
配列方向に沿って積分すれば被写体の奥行を求めること
ができ、画像の細かい凹凸を再現することができる。そ
の一例を図5に示す。ただし、通常は1枚の画像として
得られるので面の画面になっているが、ここでは説明の
簡単化のため画面の中の1走査線(ライン)についての
み示している。
【0054】すなわち、図5(A)は、1走査線に沿う
複数の画素(正確には被写体上の複数の着目部分)ごと
の傾き角を法線の方向によって示した図である。横軸に
1走査線(水平走査線)上の画素の画素No.(画素番
号)を取り、その横軸に直交する方向(図5(A)の矢
印pで示す方向)にカメラ22a、22bの光軸o1、
o2が延在するものとする。この図5(A)は、カメラ
22a、22bの光軸o1、o2に対し矢印に示すよう
な向きに画面(着目部分の面)が傾いていることを示し
ている。その画面の傾きをもとに積分などの従来の処理
で凹凸を再現すると図5(B)の図が得られる。
【0055】図5(B)は、求めた面の傾きから再現し
た曲面の様子を示す図であり、横軸に画素No.を取
り、縦軸に奥行を取って示す。1画素の単位長さmは既
知であるから、法線の向きが判れば凹凸の度合い(奥行
微分量)も三角関数から求められる。このような処理を
画面全体に亘って処理することで、1画面の凹凸(奥
行)を再現できる。このように、左濃淡画像および右濃
淡画像中のそれぞれの着目部分に対応する画素同士の輝
度比に基づいて、その着目部分の面の傾きを求めること
ができる。
【0056】一方、この実施の形態では、上述したよう
に、着目部分26に対応する画素同士の輝度比H=[L
r(d2)/Ll(d1)]を求めるのではなく、基準
画像の着目部分26に対応する第1画素「B」と、この
第1画素「B」に対応する左濃淡画像の原点画素「A」
から第1および第2オフセットだけ離間した各画素「A
1」、「A2」との、前述した第1および第2輝度比H
1およびH2を算出する。そして、これら第1および第
2輝度比H1およびH2に対して、上記(3)式、
(4)式および(5)式を適用して傾きβを求める。
【0057】図6は、凸部38を有する被写体24の着
目部分26とこの着目部分26に対応する濃淡画像の画
素位置との関係を模式的に示す線図である。図6に、左
カメラ22aをレンズ40aおよび結像面42aの構成
にて示し、また、右カメラ22bをレンズ40bおよび
結像面42bの構成にて示す。従って、結像面42aお
よび42bに結像される像は、そのまま左濃淡画像およ
び右濃淡画像のそれぞれに対応することになる。また、
左カメラ22aおよび右カメラ22bは、各々の光軸o
1およびo2が平行になるように被写体24に対し配置
されている。
【0058】図6において、被写体24の凸部38の先
端部分を着目部分26とし、この部分26から発してレ
ンズ40aで集光され結像面42a上の位置aに結像さ
れる光線と、同じく着目部分26から発してレンズ40
bで集光され結像面42b上の位置bに結像される光線
とを実線で示してある。結像面42a上の位置bは、上
述した左濃淡画像中の原点画素「A」に対応するとし、
この位置aに到達する光の強度が原点画素「A」の輝度
Ll(d1)に相当すると考える。また、同様にして、
結像面42b上の位置bは、上述した右濃淡画像中の第
1画素「B」に対応するとし、結像面42b上の位置b
に到達する光の強度が第1画素「B」の輝度Lr(d
2)に相当すると考える。
【0059】この実施の形態では、着目部分26の面の
傾きを求めるに当たって、先ず、上述したように原点画
素「A」から第1および第2オフセットだけ離れた第2
および第3画素「A1」および「A2」を求める。この
第2画素「A1」に相当する結像面42a上の位置を記
号cで示し、また、第3画素「A2」に相当する結像面
42b上の位置を記号dで示す。そして、結像面42a
上の位置cに対応する被写体24上の部分26aと、結
像面42a上の位置dに対応する被写体24上の部分2
6bとは、着目部分26を間にして両隣に位置する被写
体24上の部分となっている。
【0060】次に、前の処理で得られた第1および第2
輝度比H1およびH2に基づいて、被写体24の曲面を
再構成する処理につき説明する。
【0061】先ず、第1輝度比H1から第1傾きβ(H
1)を算出する。第1傾きβ(H1)は、上記(3)
式、(4)式および(5)式を用いて算出することがで
きる。その際に、(4)式および(5)式中の画素位置
Plとしては位置(d1+1)を代入し、画素位置Pr
としては位置d2を代入して計算すればよい。ここで求
めた第1傾きβ(H1)は、被写体24上の部分26a
における面の傾きにほぼ相当している量である(この実
施の形態では、基準画像としての右濃淡画像中の着目部
分26に対応する第1画素についてはオフセット処理を
施さずにそのまま固定しているので、正確には部分26
aにおける面の傾きとは異なっている。)。この処理
は、前述した第1輝度比算出部32の出力を受けて、第
1傾き算出部44において行われる。
【0062】次に、第2輝度比H2から第2傾きβ(H
2)を算出する。第2傾きβ(H2)は、上記(3)
式、(4)式および(5)式を用いて算出することがで
きる。その際に、(4)式および(5)式中の画素位置
Plとしては位置(d1−1)を代入し、画素位置Pr
としては位置d2を代入して計算すればよい。ここで求
めた第2傾きβ(H2)は、被写体24上の部分26b
における面の傾きにほぼ相当している量である(先に述
べた理由から、正確には異なっている。)。この処理
は、前述した第2輝度比算出部34からの出力を受け
て、第2傾き算出部46において行われる。
【0063】次に、着目部分26を変えて第1傾きβ
(H1)を求め、これら第1傾きβ(H1)に基づいて
第1曲面を構成する。この処理は被写体24における着
目部分26を順次に他の部分に移して、同様な手順で第
1傾き角β(H1)をそれぞれ検出してゆけばよい。こ
れら検出した各部の第1傾き角β(H1)から奥行微分
量m・tanβ(H1)を求め、この奥行微分量を積分
装置等で画素の配列方向に沿って積分すれば被写体の奥
行が求められ、画像の細かい凹凸を再現できる。
【0064】図7(A)は、1走査線に沿う複数の画素
(正確には被写体上の複数の着目部分)ごとの傾き角β
(H1)を法線の方向によって示した図である。カメラ
22a、22bの光軸に対し矢印に示すような向きに画
面(着目部分の面)が傾いていることを示している。横
軸に1走査線(水平走査線)上の画素の画素No.(画
素番号)を取り、その横軸に直交する方向にカメラ22
a、22bの光軸o1、o2が延在するものとする。そ
の画面の傾きをもとに積分などの従来の処理で凹凸を再
現すると図7(B)の図が得られる。図7(B)は、求
めた面の傾きから再現した曲面の様子を示す図であり、
横軸に画素No.を取り、縦軸に奥行を取って示す。こ
のような処理を画面全体に亘って行うことで1画面の凹
凸(奥行)を再現できる。この第1傾きβ(H1)に基
づいて構築した凹凸を第1曲面と称している。この第1
曲面をΣβ(H1)で表す(この量を第1奥行とも称す
る。)。この処理は、第1傾き算出部44の出力を受け
て、第1奥行算出部48において行われる。
【0065】次に、着目部分26を変えて第2傾きβ
(H2)を求めこれら第2傾きβ(H2)に基づいて第
2曲面を構成する。この処理も第1曲面を構成した処理
と同様に、先ず、被写体24における着目部分26を順
次に他の部分に移して同様な手順で第2傾き角β(H
2)をそれぞれ検出してゆく。これら検出した各部分の
第2傾き角β(H2)から奥行微分量m・tanβ(H
1)をそれぞれ求め、この奥行微分量を積分装置等で画
素の配列方向に沿って積分すれば被写体の奥行が求めら
れ、画像の細かい凹凸を再現できる。
【0066】図7(C)は、1走査線に沿う複数の画素
(正確には被写体上の複数の着目部分)ごとの傾き角β
(H2)を法線の方向によって示した図である。カメラ
22a、22bの光軸に対し矢印に示すような向きに画
面(着目部分の面)が傾いていることを示している。横
軸に1走査線(水平走査線)上の画素の画素No.(画
素番号)を取り、その横軸に直交する方向にカメラ22
a、22bの光軸o1、o2が延在するものとする。そ
の画面の傾きをもとに積分などの従来の処理で凹凸を再
現すると図7(D)の図が得られる。図7(D)は、求
めた面の傾きから再現した曲面の様子を示す図であり、
横軸に画素No.を取り、縦軸に奥行を取って示す。こ
のような処理を画面全体に亘って行うことで1画面の凹
凸(奥行)を再現できる。この第2傾きβ(H2)に基
づいて構築した凹凸を第2曲面と称している。この第2
曲面をΣβ(H2)で表す(この量を第2奥行とも称す
る。)。この処理は、第2傾き算出部46の出力を受け
て、第2奥行算出部50で行われる。
【0067】次に、第1および第2曲面の平均曲面を被
写体24の曲面として再構成する。この処理は、求めた
第1および第2曲面すなわちこれら曲面を表す第1およ
び第2奥行を平均することにより平均奥行を求め、この
平均奥行に基づいた曲面を第1および第2曲面の平均曲
面として求める。すなわち、平均曲面(平均奥行){Σ
β(H1)+Σβ(H2)}/2を求める。この実施の
形態では、この平均曲面を以て被写体24の曲面として
いる。一例として、図7(E)に第1および第2曲面
(図7(B)および(D))の平均曲面を示す。図7
(E)は、求めた面の第1曲面および第2曲面から求め
た平均曲面の様子を示す図であり、横軸に画素No.を
取り、縦軸に奥行を取って示す。上述の処理は、第1お
よび第2奥行算出部48および50の出力を受けて、平
均奥行算出部52において行われる。
【0068】尚、上述したように、第1輝度比H1と第
2輝度比H2とを求め、各々について傾きを算出し、各
々の傾きに基づいて曲面を再構成し、それらの平均曲面
を求めることによって被写体の曲面を再構成してもよい
し、あるいは、第1輝度比と第2輝度比とを求めこれら
の輝度比の平均を取り、その平均輝度比に基づいて平均
傾きを求め、その平均傾きに基づいて曲面を再構成して
もよい。前者については説明したので、次に、後者の方
法及び装置の例につき説明する。
【0069】図8は、第1の実施の形態の被写体の曲面
再構成装置の変形例の構成を示すブロック図である。図
1を参照して説明した装置とは、奥行検出部36の構成
が異なるだけであるから、この奥行検出部36の構成に
つき説明する。この変形例の奥行検出部36は、平均輝
度比算出部54、平均傾き算出部56および第3奥行算
出部58を備えている。
【0070】平均輝度比算出部54は、第1および第2
輝度比の平均輝度比を求める手段である。上述した第1
および第2輝度比算出部32および34の各出力に対し
処理を施して、平均輝度比を出力する。
【0071】また、平均傾き算出部56は、平均輝度比
から平均傾きを算出する手段である。この平均傾き算出
部56は、平均輝度比算出部54から出力された平均輝
度比を入力とし、この平均輝度比を用いて平均傾きを算
出して出力する。
【0072】また、第3奥行算出部58は、平均傾きに
基づいて第3奥行を算出してこの第3奥行に基づき被写
体の曲面を再構成する手段である。第3奥行算出部58
は、平均傾き算出部56から出力された平均傾きから第
3奥行を算出する。そして、この第3奥行算出部58で
は、被写体上の着目部分を変えて求めた平均傾きに基づ
いて第3奥行(平均曲面)を求め、被写体の曲面の再構
成を行う。この変形例の構成であっても、前述した第1
の実施の形態の被写体の曲面再構成装置と同様の効果を
奏する装置を構成することができる。
【0073】以上説明したように、第1の実施の形態の
被写体の曲面再構成方法は、被写体における第1着目部
分の面の傾きを、この第1着目部分に隣接する、互いに
異なる第2および第3着目部分の面の傾きをそれぞれ第
1および第2傾きとして求めて、これら第1および第2
傾きの平均を取ることにより求める方法である。このよ
うに、被写体の1部分に着目して面の傾きを求めるので
はなく、その着目部分に隣接する部分の面の傾きを求め
これらの平均傾きを前述の着目部分の傾きとして求めて
いるので、被写体の曲面形状の連続性を取り入れてより
正確な曲面を再構成することができる。
【0074】次に、この実施の形態の被写体の曲面再構
成方法の効果につき説明する。上述したように、従来は
輝度比HとしてH=Ll(d1)/Lr(d2)を用
い、この輝度比Hに基づき、傾きを求め、奥行を求め被
写体の曲面を再構成していた。しかし、測定精度の関係
上、被写体上の位置を表す量である位相差に被写体の凹
凸部分に対応した変化が現れないことがあった。つま
り、位相差画像上では、その凹凸部分に対応する画素の
値に変化が認められずに、あたかも平坦であるかのよう
に検出してしまうことがあった。従って、検出した位相
差を用いて輝度比を計算すると、被写体上にその凹凸部
分が無い曲面を再構成してしまう場合があった。このこ
とは、実際の着目部分とは異なる位置についての輝度比
を計算してしまうということでもある。このように、被
写体上の位置の検出があいまいであり、また、輝度の絶
対値Ll(d1)およびLr(d2)を正確に検出する
ことができないため、実際の被写体にあるべき細かい凹
凸を検出することが困難であった。
【0075】例えば、図9に着目部分と画素位置との関
係を模式的に示す。被写体24上の凸部38の先端部分
を着目部分26とするとき、この着目部分26から発し
てレンズ40aで集光され結像面42a上の位置aに結
像される光線と、同様に、着目部分26から発してレン
ズ40bで集光され結像面42b上の位置bに結像され
る光線とを、図9には実線で示してある。また、同図中
において、この被写体24に凸部38が無くその部分が
平坦面(図9の破線nで示す面)であるときに、その平
坦面上の着目部分26cから発してレンズ40aで集光
され結像面42a上の位置cに結像される光線と、同様
にして、着目部分26cから発してレンズ40bで集光
され結像面42b上の位置dに結像される光線とを破線
で示してある。
【0076】この図9から明らかなように、凸部38が
小さく着目部分26と平坦面上の着目部分26cとの距
離が小さいとき、結像面42a上の位置aおよびc間、
あるいは、結像面42b上の位置bおよびd間の距離が
小さくなり、これらの位置の識別ができなくなることが
ある。従って、凸部38上を位相差検出面としたときと
平坦面nを位相差検出面としたときとで、位相差の変化
が認められなくなる。また、図9では、被写体24上に
凸部38がある場合につき説明したが、図10に示すよ
うに、凸部38の代わりに被写体24上に凹部39があ
る場合であっても同様の問題が生じていた(尚、図10
において、凹部39以外の符号は図9の符号と対応して
いる。)。
【0077】一方、上述したように、この実施の形態の
被写体の曲面再構成方法によれば、着目部分に対応する
一方の濃淡画像中の画素から第1および第2オフセット
だけ離間した画素に対して、上記(3)式、(4)式お
よび(5)式を適用して被写体の曲面を再構成する。す
なわち、従来に測定していた輝度比H=Ll(d1)/
Lr(d2)を用いるのではなく、第1輝度比H1=L
l(d1+1)/Lr(d2)と第2輝度比H2=Ll
(d1−1)/Lr(d2)とを測定して、これらに基
づき曲面を再構成する。ここで、第2輝度Ll(d1+
1)を Ll(d1+1)=Ll(d1)+Δ1 ・・・(6) で表す。また、第3輝度Ll(d1−1)を Ll(d1−1)=Ll(d1)−Δ2 ・・・(7) で表す。この実施の形態では、測定した第1輝度比H1
と第2輝度比H2との平均値を、被写体の着目部分にお
ける輝度比(平均輝度比)として求める。すなわち、求
める平均輝度比H0は H0=(H1+H2)/2 ={Ll(d1+1)+Ll(d1−1)}/(2Lr(d2)) ={Ll(d1)+Δ1+Ll(d1)−Δ2}/(2Lr(d2)) =Ll(d1)/Lr(d2)+(Δ1−Δ2)/(2Lr(d2)) ・・・(8) と表すことができる。上述したように、この実施の形態
においては、第1および第2オフセットを被写体が連続
体とみなせる範囲に設定してあるから、Δ1≒Δ2と考
えてよい。よって、上記(8)式で表される輝度比H0
を、本来の輝度比Hに代えて用いることができる。この
ように、輝度値Ll(d1)を実際に正確に測定するこ
とができなくても、この方法によれば、着目部分の面に
おける輝度比が求められることが理解できる。
【0078】このように、この実施の形態の被写体の曲
面再構成方法によれば、被写体の輝度の分布とカメラの
配置による輝度比の歪とを、第1および第2オフセット
の処理を施すこの実施の形態の手法により是正すること
が可能である。よって、従来より正確に輝度比を測定す
ることができるから、より正確に被写体の曲面を再構成
することができるようになる。
【0079】また、傾きから奥行を算出するための積分
としては、例えば、同じ位相差の被写体上の部分につい
て継続して積分を行い、所定位相差以上の変化がある場
合には積分開始値にリセットし、その後、次の所定の位
相差の被写体上の部分について積分を行うといった方法
を用いるのが良い。このように、輝度比を求める対応す
る画素同士が同じ位相差として扱える範囲を積分区間と
して設定して、積分を行う。図11は、この積分方法の
説明に供する図である。図11の上側から、画素No.
(画素番号)と位相差の関係を示すグラフ、画素No.
と傾き値の関係を示すグラフ、画素No.と積分値との
関係を示すグラフを示してある。各グラフの横軸に画素
No.を取って示し、各グラフの横軸の画素No.を揃
えて示してある。積分は、画面(濃淡画像)の走査ライ
ンごとにカメラ配列方向に沿って行う。
【0080】図11において、積分は画素番号N1から
画素番号N4側に行ってゆく。積分開始値を記号Sで表
す。画素No.がN1のときに第1の積分を開始し、画
素No.がN2のときに位相差が変化するからこの第1
の積分を終了する。そして、この画素N2で積分開始値
Sにリセットする。次に、画素N2から第2の積分を開
始し、画素No.がN3のところで位相差が変化するか
らこの第2の積分を終了する。同様にして、画素N3で
積分開始値Sにリセットし、次に、第3の積分を開始し
て、画素No.がN4になるまで積分を行う。
【0081】この積分方法は、一般に、被写体が、距離
方向においては離散的に存在しており、同一被写体は一
定位相差内に存在するという経験則に基づいた積分方法
である。この積分方法によれば、被写体の積分領域を位
相差の変化によって自動的に設定することができるか
ら、従来のように、積分領域決定操作を行う必要がない
(文献3「電子情報通信学会論文誌 D−II Vol.
J76−D−II No.10 pp.2243−224
6 1993年10月」参照)。従って、従来のよう
に、積分計算の初期値として画像中の最明点を用いた
り、あるいは、初期傾き値の誤差を最小にするような積
分開始点を求めてから積分を行うなどの手間がかからな
いで済む(文献3)。
【0082】また、この積分方法によれば、被写体の色
が混在している場合であっても被写体の位相差は同一値
として得られるから、連続して積分を行うことが可能で
ある。従って、従来のように、色ごとに積分領域を変え
るといった操作が不要になる。このように、従来は2次
元画像を明度値を用いて領域分割しなければならなかっ
た欠点や、積分開始点を別途に求めなければならない欠
点を解消することができる。
【0083】また、ステレオ画像から得た位相差を用い
て復元した粗い凹凸に対して、前述した積分方法で得た
凹凸(奥行)を重畳することで、細かい凹凸を再現する
ことが可能である。尚、例えば第1および第2オフセッ
トの各々の場合に対して逆方向、すなわち水平走査線の
順方向と逆方向とに積分方向を設定することにより、積
分ノイズの累積の偏りを低減させることができる。ま
た、積分走査方向は走査ラインの左からと右からとの結
果の平均でよいので、所定位相差ごとに画面内で方向を
変えてもよい。また、各位相差ごとに別々に積分を並列
に行ってもよい。そして、この積分方法を用いる場合に
は、被写体の曲面再構成装置として前述した、第1奥行
算出部48、第2奥行算出部50および第3奥行算出部
58に、積分を行っている領域が所定位相差内か否かを
判定する手段すなわち積分範囲を設定するための手段を
備えておくのが良い。
【0084】以上説明した被写体の曲面再構成方法によ
れば、位相差画像すなわちステレオ画像を用いた従来手
法だけでは、例えば被写体までの距離が1m程度でカメ
ラ画角13度程度、2台のカメラ間隔が6.5cm程度
でCCDの画素数が640×480程度の場合に、数c
m程度の距離分解能しか持てず、人間の顔などを測定し
た場合には平面的に見えてしまっていたのが、この実施
の形態で説明した手法を用いることにより鼻などの凹凸
を得ることができるようになる。このように、被写体の
輝度反射特性とカメラ配置との関係で、ステレオ視した
ときのステレオ画像から求めた位相差画像が平坦である
ために、実画像の凹凸との間にズレが存在し、正しい対
応画素同士で輝度比を得ることができなかった問題を緩
和することができる。従って、従来に比べ、より正確な
曲面再構成を可能にする3次元形状再構成装置を実現で
きる。
【0085】また、この実施の形態の被写体の曲面再構
成方法によれば、輝度の絶対値を使用する必要がない。
従って、傾きマップを使用する必要が無くなり、種々の
条件下での測定が可能になる。また、被写体の色や明る
さに制限されないから、反射率マップも不要であり、使
用環境を広くすることができる。また、光源の位置にも
依らないから、従来のように光源位置をパラメータとし
て用意する必要がなく、装置を簡略化することができ
る。さらに、面の傾きの初期値を位相差画像のエッジ
(位相差の変わり目部分)で得るから、積分範囲の検出
や積分初期値の選択などの余分な処理を必要としない利
点がある。そして、色の混在する被写体であっても連続
して積分が可能であるから、従来のように色ごとに積分
領域を設定する必要がなく、装置を簡略化することがで
きる。
【0086】尚、第1および第2オフセットは画素単位
で設定したが、例えば隣接画素の重み付け平均により画
素間の値を算出して、画素単位より小さいオフセットを
利用することができる。また、画素の輝度比を例えばそ
の画素を取り囲んでいる3×3画素の平均として求めて
もよい。さらに、輝度比を階調として量子化して扱って
もよい。また、2眼のステレオ画像装置に限らず、多眼
のステレオ画像装置を用いて、各濃淡画像の対ごとにこ
の実施の形態で説明した手法を適用してもよい。さら
に、2眼ステレオ検出装置で撮像せずに他の手段で距離
画像あるいは左右画像対応情報(位相差画像)を得て
も、その後にこの実施の形態の手法を適用することがで
きる。例えば、1台のカメラを移動して複数位置からの
濃淡画像を得る構成としてもよい。
【0087】[第2の実施の形態]図12は、第2の実
施の形態の被写体の曲面再構成装置の構成を示すブロッ
ク図である。第2の実施の形態の構成は、前述した曲面
再構成部12を複数段具え、これら各曲面再構成部12
ごとに異なる濃淡画像を基準画像として設定してあり、
これら各曲面再構成部12が出力する予備奥行を統合す
ることにより被写体の奥行とする奥行統合部を具える構
成である。この実施の形態では、曲面再構成部12を2
つ具えており、図12においてそれぞれを第1曲面再構
成部12aおよび第2曲面再構成部12bとして示して
ある。また、図12において、左濃淡画像格納部18a
および右濃淡画像格納部18bをひとまとめにして濃淡
画像格納部18として示してある。さらに図12におい
て、位相差画像格納部20は、左位相差画像格納部20
aと右位相差画像格納部20bとに分けて示してある。
【0088】ここで、左位相差画像とは、右濃淡画像を
基準とした場合の位相差画像のことである。また、右位
相差画像とは、左濃淡画像を基準とした場合の位相差画
像のことである。これら左右位相差画像はそれぞれ上述
した左位相差画像格納部20aおよび右位相差画像格納
部20bに格納されている。そして、左位相差画像格納
部20aに格納されている左位相差画像の情報が第1曲
面再構成部12aに出力されるように構成してあり、ま
た、右位相差画像格納部20bに格納されている右位相
差画像の情報が第2曲面再構成部12bに出力されるよ
うに構成してある。このように、第1曲面再構成部12
aにおいては、基準画像として左濃淡画像を設定して第
1の実施の形態で説明した処理を行い、第2曲面再構成
部12bにおいては、基準画像として右濃淡画像を設定
して第1の実施の形態で説明した処理を行うようにした
構成となっている。そして、これら第1および第2曲面
再構成部12aおよび12bの出力が、奥行統合部60
に入力される。そして、第1曲面再構成部12aで求め
た第1予備奥行と、第2曲面再構成部12bで求めた第
2予備奥行とを、奥行統合部60において統合し、この
統合結果としての奥行を用いて被写体の曲面を再構成す
る。
【0089】また、この統合として重み付け平均を行う
のが良い。すなわち、第1曲面再構成部12aで求めた
予備奥行と、第2曲面再構成部12bで求めた予備奥行
とのそれぞれに対し重みを付して平均を取ることにより
算出される奥行で以て、左カメラの位置で見た画像と右
カメラの位置で見た画像との中間の位置で見た画像を表
現できるようになる。例えば、重みがそれぞれ0.5で
あるならば両カメラの真ん中の位置の画像が得られ、重
みが左0.7、右0.3ならばやや左カメラ側から見た
画像が得られる。
【0090】図13は、着目部分と画素位置との関係を
模式的に示す図である。この実施の形態では、先ず、右
濃淡画像を基準画像に設定し、第1の実施の形態で説明
したように、左濃淡画像中の原点画素(図13の結像位
置aに相当する画素。着目部分26に対応する左濃淡画
像中の画素である。)から第1および第2オフセットだ
け離間した各画素(図13の結像位置bおよびcにそれ
ぞれ相当する画素。それぞれ着目部分26aおよび26
bに対応する左濃淡画像中の画素である。)を求め、こ
れに続く前述した処理を行う。次に、左濃淡画像を基準
画像に設定し、第1の実施の形態で述べた処理を適用し
て、右濃淡画像中の原点画素(図13の結像位置dに相
当する画素。着目部分26に対応する右濃淡画像中の画
素である。)から第1および第2オフセットだけ離間し
た各画素(図13の結像位置eおよびfにそれぞれ相当
する画素。それぞれ着目部分26dおよび26eに対応
する右濃淡画像中の画素である。)を求め、これに続く
前述した処理を行う。尚、右濃淡画像を基準画像に設定
した場合と、左濃淡画像を基準画像に設定した場合と
で、第1および第2オフセットの大きさが異なっていて
もよい。この実施の形態では、説明の複雑化の解消を図
るため、すべてのオフセットを1画素分の大きさに取っ
て説明する。
【0091】右濃淡画像を基準画像に設定した場合に、
第1および第2オフセットに対応する各輝度比H1およ
びH2は、第1の実施の形態と同様に、 H1=Ll(d1+1)/Lr(d2) H2=Ll(d1−1)/Lr(d2) で表せる。また、左濃淡画像を基準画像に設定した場合
に、第1および第2オフセットに対応する各輝度比H3
およびH4は、 H3=Ll(d1)/Lr(d2+1) H4=Ll(d1)/Lr(d2−1) で表せる。これら各輝度比H1、H2、H3およびH4
が各曲面再構成部12aおよび12bのそれぞれで処理
され、先ず、それぞれの輝度比に基づき傾きβ(H
1)、β(H2)、β(H3)およびβ(H4)が求め
られる。そして、これらβ(H1)、β(H2)、β
(H3)およびβ(H4)から奥行Σβ(H1)、Σβ
(H2)、Σβ(H3)およびΣβ(H4)がそれぞれ
求められる。そして、第1曲面再構成部12aからは予
備奥行{Σβ(H1)+Σβ(H2)}/2が出力さ
れ、第2曲面再構成部12bからは予備奥行{Σβ(H
3)+Σβ(H4)}/2が出力される。これら予備奥
行のそれぞれは奥行統合部60に入力され、そこで重み
付け平均が取られる。例えば、重みをAおよびB(A+
B=1、A>0、B>0)で表すと、奥行統合部60か
らは、値 A・{Σβ(H1)+Σβ(H2)}/2+B・{Σβ
(H3)+Σβ(H4)}/2 が出力される。前述したように、例えばA=B=0.5
とすれば、左カメラと右カメラとの中間の位置で見た3
次元形状を再現することができる。
【0092】
【発明の効果】この出願に係る第1発明の被写体の曲面
再構成方法によれば、被写体の1部分に着目してその着
目部分の面の傾きを求めるのではなく、その着目部分に
隣接する部分の面の傾きを求めこれらの平均を取ること
により前述の着目部分の面の傾きとする方法であるか
ら、この方法により求めた傾きに基づいて再構成された
曲面には被写体の曲面形状の連続性が取り入れられ、よ
り正確な曲面を再構成することができる。
【0093】次に、この出願に係る第2発明の被写体の
曲面再構成方法によれば、着目部分に隣接する2つの被
写体の部分について面の傾きを求めこれらの平均傾きを
前述の着目部分の面の傾きとすることにより、1つの着
目部分について輝度比を求め傾きを算出する場合にその
着目部分の位置やその着目部分に相当する画素の輝度値
の検出精度が不充分であったために生じていた、細かい
凹凸の見逃しを抑制することができる。
【0094】また、この第2発明の被写体の曲面再構成
方法の好適例によれば、複数の濃淡画像の各々を基準画
像とした場合にそれぞれ予備奥行を求めこれら予備奥行
を重み付け平均することにより、被写体の曲面を、見る
位置を変えて再構成することができるようになる。
【0095】次に、この出願に係る第3発明の被写体の
曲面再構成装置によれば、或る着目部分に隣接する2つ
の被写体の部分について傾きを求めこれらの平均傾きを
その着目部分の傾きとするから、1つの着目部分につい
て輝度比を求め傾きを算出し曲面を再構成する場合に着
目部分の位置の検出精度や画素の輝度値の検出精度が良
くなかったために生じていた、被写体上の細かい凹凸の
見逃しを抑制することができる。
【0096】また、第3発明の被写体の曲面再構成装置
の好適な構成例によれば、複数の濃淡画像の各々を基準
画像とした場合にそれぞれ求めた予備奥行きを統合する
ことにより、被写体の曲面を、見る位置を変えて再構成
することができる装置である。
【0097】また、第3発明の被写体の曲面再構成装置
において、好ましくは、前記奥行統合部は、前記予備奥
行を重み付け平均して前記被写体の奥行とする手段であ
るのが良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の被写体の曲面再構成装置の
構成を示す図である。
【図2】カメラと被写体との光学的配置例を示す図であ
る。
【図3】左右画像の対応づけ処理の説明図である。
【図4】輝度比算出処理および傾き検出処理の説明図で
ある。
【図5】被写体面の傾き再現処理の説明図である。
【図6】着目部分と画素位置との関係を示す図である。
【図7】被写体面の傾き再現処理の説明図である。
【図8】第1の実施の形態の被写体の曲面再構成装置の
変形例の構成を示す図である。
【図9】着目部分と画素位置との関係を示す図である。
【図10】着目部分と画素位置との関係を示す図であ
る。
【図11】積分方法の説明図である。
【図12】第2の実施の形態の被写体の曲面再構成装置
の構成を示す図である。
【図13】着目部分と画素位置との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
10:画像検出部 12:曲面再構成部 14:2眼ステレオ検出装置 16:画像記憶部 18:濃淡画像格納部 18a:左濃淡画像格納部 18b:右濃淡画像格納部 20:位相差画像格納部 22a:左カメラ 22b:右カメラ 24:被写体 26:被写体の着目部分 27:第1輝度検出部 28:原点画素設定部 29:第2輝度検出部 30:第3輝度検出部 32:第1輝度比算出部 34:第2輝度比算出部 36:奥行検出部 38:凸部 39:凹部 40a,40b:レンズ 42a,42b:結像面 44:第1傾き算出部 46:第2傾き算出部 48:第1奥行算出部 50:第2奥行算出部 52:平均奥行算出部 54:平均輝度比算出部 56:平均傾き算出部 58:第3奥行算出部 60:奥行統合部 62a,62b:オフセット付加部 64a,64b:輝度検出部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被写体を少なくとも2つの異なる位置か
    ら撮像してそれぞれの位置から見た各々1つずつの濃淡
    画像を検出し、前記異なる濃淡画像における画素同士の
    輝度比を算出し、この輝度比に基づいて前記被写体の面
    の傾きを算出し前記被写体の曲面を再構成するに当た
    り、 前記被写体における第1着目部分の面の傾きを、該第1
    着目部分に隣接する、互いに異なる第2および第3着目
    部分の面の傾きをそれぞれ第1および第2傾きとして求
    めて、これら第1および第2傾きの平均を取ることによ
    り求めることを特徴とする被写体の曲面再構成方法。
  2. 【請求項2】 (a)被写体を少なくとも2つの異なる
    位置から撮像してそれぞれの位置から見た各々1つずつ
    の濃淡画像を検出し、(b)異なる前記濃淡画像におけ
    る画素同士の輝度比を算出し、(c)この輝度比に基づ
    いて前記被写体の面の傾きを算出し前記被写体の曲面を
    再構成するに当たり、 前記(b)工程は、(b−1)前記濃淡画像の1つを基
    準画像として設定して該基準画像を構成するマトリック
    ス配列された多数の画素のうち前記被写体の着目部分に
    対応した1つの画素を第1画素として該第1画素の第1
    輝度を検出するステップと、(b−2)前記基準画像と
    は異なる前記1つの濃淡画像を構成するマトリックス配
    列された多数の画素のうち前記着目部分に対応した1つ
    の画素を原点画素とし、該原点画素から第1オフセット
    だけ離れた画素を第2画素として該第2画素の第2輝度
    を検出するステップと、(b−3)前記原点画素と前記
    第2画素とを結ぶ直線上であって、前記第2画素とは反
    対側に前記原点画素から第2オフセットだけ離れた画素
    を第3画素として該第3画素の第3輝度を検出するステ
    ップと、(b−4)前記第1輝度と前記第2輝度との第
    1輝度比を求めるステップと、及び(b−5)前記第1
    輝度と前記第3輝度との第2輝度比を求めるステップと
    を含み、及び前記(c)工程は、(c−1)前記第1お
    よび第2輝度比に基づいて前記被写体の面の傾きを算出
    し前記被写体の曲面を再構成するステップを含むことを
    特徴とする被写体の曲面再構成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の被写体の曲面再構成方
    法において、前記(c−1)ステップは、(h1)前記
    第1輝度比から第1傾きを算出するサブステップと、
    (h2)前記第2輝度比から第2傾きを算出するサブス
    テップと、(h3)前記着目部分を変えて前記第1傾き
    を求めこれら第1傾きに基づいて第1曲面を構成するサ
    ブステップと、(h4)前記着目部分を変えて前記第2
    傾きを求めこれら第2傾きに基づいて第2曲面を構成す
    るサブステップと、(h5)前記第1および第2曲面の
    平均曲面を前記被写体の曲面として再構成するサブステ
    ップとを含むことを特徴とする被写体の曲面再構成方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の被写体の曲面再構成方
    法において、前記(c−1)ステップは、(i1)前記
    第1および第2輝度比の平均輝度比を求めるサブステッ
    プと、(i2)前記平均輝度比から平均傾きを算出する
    サブステップと、(i3)前記着目部分を変えて前記平
    均傾きを求めこれら平均傾きに基づいて求めた平均曲面
    を前記被写体の曲面として再構成するサブステップとを
    含むことを特徴とする被写体の曲面再構成方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の被写体の曲面再構成方
    法において、前記(a)ステップで検出された前記濃淡
    画像の全てに対して前記(b−1)ステップで順次に前
    記基準画像を設定して前記(b−1)〜(b−5)ステ
    ップを実行した後、前記基準画像に関してそれぞれ得ら
    れた第1および第2輝度比の組に基づいて前記被写体の
    予備曲面をそれぞれ求め、これら予備曲面の重み付け平
    均曲面を前記被写体の曲面として再構成することを特徴
    とする被写体の曲面再構成方法。
  6. 【請求項6】 被写体を少なくとも2つの異なる位置か
    ら撮像して複数の濃淡画像を検出する画像検出部と、検
    出された互いに異なる濃淡画像における画素同士の輝度
    比を算出し、この輝度比に基づいて前記被写体の面の傾
    きを算出して前記被写体の曲面を再構成する曲面再構成
    部とを具える曲面再構成装置において、前記曲面再構成
    部は、 前記複数の濃淡画像の1つを基準画像として設定して該
    基準画像を構成するマトリックス配列された多数の画素
    のうち前記被写体の着目部分に対応した1つの画素を第
    1画素として該第1画素の第1輝度を検出する第1輝度
    検出部と、 前記基準画像とは異なる前記1つの濃淡画像を構成する
    マトリックス配列された多数の画素のうち前記第1画素
    に対応する1つの画素を原点画素として対応付けを行う
    原点画素設定部と、 前記原点画素から第1オフセットだけ離れた画素を第2
    画素として該第2画素の第2輝度を検出する第2輝度検
    出部と、 前記原点画素と前記第2画素とを結ぶ直線上であって、
    前記第2画素とは反対側に前記原点画素から第2オフセ
    ットだけ離れた画素を第3画素として該第3画素の第3
    輝度を検出する第3輝度検出部と、 前記第1輝度と前記第2輝度との第1輝度比を求める第
    1輝度比算出部と、 前記第1輝度と前記第3輝度との第2輝度比を求める第
    2輝度比算出部と、 前記第1および第2輝度比に基づいて前記被写体の曲面
    を再構成する奥行検出部とを具える手段であることを特
    徴とする被写体の曲面再構成装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の被写体の曲面再構成装
    置において、 前記画像検出部は、2眼ステレオ検出装置と、 該2眼ステレオ検出装置が検出した左右の濃淡画像をそ
    れぞれ格納する濃淡画像格納部と、 格納された左右の濃淡画像における、前記被写体の同一
    箇所に対応するそれぞれの画素間の関係を記す左右画像
    対応情報を格納する位相差画像格納部とを具えることを
    特徴とする被写体の曲面再構成装置。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の被写体の曲面再構成装
    置において、 前記奥行検出部は、前記第1輝度比から第1傾きを算出
    する第1傾き算出部と、 前記第2輝度比から第2傾きを算出する第2傾き算出部
    と、 前記第1傾きに基づいて第1奥行を算出する第1奥行算
    出部と、 前記第2傾きに基づいて第2奥行を算出する第2奥行算
    出部と、 前記第1および第2奥行の平均奥行を求めこの平均奥行
    に基づき前記被写体の曲面を再構成する平均奥行算出部
    とを具えることを特徴とする被写体の曲面再構成装置。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載の被写体の曲面再構成装
    置において、 前記奥行検出部は、前記第1および第2輝度比の平均輝
    度比を求める平均輝度比算出部と、 前記平均輝度比から平均傾きを算出する平均傾き算出部
    と、 前記平均傾きに基づいて平均奥行を算出しこの平均奥行
    に基づき前記被写体の曲面を再構成する第3奥行算出部
    とを具えることを特徴とする被写体の曲面再構成装置。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載の被写体の曲面再構成
    装置において、 前記曲面再構成部を複数段具え、これら各曲面再構成部
    ごとに異なる前記濃淡画像を前記基準画像として設定し
    てあり、これら各曲面再構成部が出力する予備奥行を統
    合することにより前記被写体の奥行とする奥行統合部を
    具えることを特徴とする被写体の曲面再構成装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の被写体の曲面再構
    成装置において、前記統合は、重み付け平均により行う
    ことを特徴とする被写体の曲面再構成装置。
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