JPH1067958A - ポリマー微粒子 - Google Patents

ポリマー微粒子

Info

Publication number
JPH1067958A
JPH1067958A JP22665896A JP22665896A JPH1067958A JP H1067958 A JPH1067958 A JP H1067958A JP 22665896 A JP22665896 A JP 22665896A JP 22665896 A JP22665896 A JP 22665896A JP H1067958 A JPH1067958 A JP H1067958A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
polymer fine
polymer
group
polyol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22665896A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuo Kase
光雄 加瀬
Tsugio Tomura
次男 戸村
Ichiro Muramatsu
一郎 村松
Yasunari Kawashima
康成 川島
Hajime Suganuma
肇 菅沼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP22665896A priority Critical patent/JPH1067958A/ja
Publication of JPH1067958A publication Critical patent/JPH1067958A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】色鮮やかで、滲みがなく、耐久性に優れ、筆記
用水性インク、インクジェット用インク等の用途に好適
なポリマー微粒子を提供する。 【解決手段】 分子中にポリマー微粒子と結合しうる官
能基を有する染料と、平均粒子径が5〜700nm、最
大粒子径が1000nm以下、粒度分布がワイブル確率
分布を適用した場合の形状パラメーターのm値で1.5
以上であり、有機溶剤に不溶なイオン対を形成し得る基
を有するウレタン系ポリマー微粒子とが結合してなるポ
リマー微粒子に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筆記用具等に用い
る水性インク、特にインクジェット記録用インク用のポ
リマー微粒子に関する。
【0002】更に、本発明は、染料と結合してなり、平
均粒子径が5〜700nm、最大粒子径が1000nm
以下、粒度分布がワイブル確率分布を適用した場合の形
状パラメーターのm値に於いて1.5以上のポリマー微
粒子に関する。
【0003】本発明のポリマー微粒子は、水等の分散媒
に対して安定に分散し、有機溶剤に対して不溶であっ
て、本発明のポリマー微粒子を含んでなる水性インクは
とりわけ色鮮やかで、耐水性、耐久性に優れた文字、印
刷物を与えるため、筆記用用具、取り分けインクジェッ
ト記録方式に於いて最適なインクを与えるものである。
【0004】
【従来の技術】近年、筆記用具の分野に於いて品質の優
れた水性インクが求められ、その中でも、最近、急速に
普及しているインクジェット記録方式の分野では、イン
クの品質向上が強く求められている。インクジェット記
録方式は、その機構がシンプルで取り扱いが容易、高画
質でカラー化も容易であるため、今後、パーソナルコン
ピューター等の分野で一層、急速に普及することが予想
される。
【0005】しかし、従来、インクジェット記録方式に
用いられる水性インクは、インクジェットの孔の目詰ま
りを防止するため、多くの場合染料が用いられている。
特に赤、青、及び黄色等のカラーインクでは色の鮮やか
さに対する要望から、水溶性の染料が用いられるため、
印刷物は耐水性に乏しく、水や汗によって滲みを生じ、
印刷部が不鮮明になり易く、耐久性に劣り、実用上にお
いて重大な欠点を有していた。
【0006】これらの欠点を改善する方法として、イン
クジェット記録用インクの水媒体にイソプロピルアルコ
ール、ジエチレングリコール等のアルコール類を併用
し、この水媒体に溶解する染料を用いることによって耐
水性を向上する試みもなされているが、水に触れた際の
滲みを生じやすいのみならず溶出の傾向も見られるた
め、インクジェット記録用インクとしての耐水性に劣
り、その改善はなされるに至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来の筆記用水性インク、インクジェット
記録用インクの耐久性等に劣る欠点を一挙に改善し、水
や汗によって滲みを生じることなく、色鮮やかで、耐久
性の優れた、従来に無い性能の優れたインクに適用でき
るポリマー微粒子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決する為に鋭意研究を行った結果、染料を結合し
たポリマー微粒子を用いて得られる水性インキが、染料
単独を用いて得られる水性インキに比べ、とりわけ色鮮
やかで耐久性の優れることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0009】即ち、本発明は、分子中にポリマー微粒子
と結合するに適した官能基を有する染料と平均粒子径が
5〜700nm、最大粒子径が1000nm以下、粒度
分布がワイブル確率分布を適用した場合の形状パラメー
ターのm値で1.5以上であるポリマー微粒子とが結合
してなるポリマー微粒子を提供するものであり、本発明
のポリマー微粒子は、好ましくは有機溶剤、より好まし
くはアセトンに対して不溶であるポリマー微粒子を提供
するものである。
【0010】また本発明のポリマー微粒子は、好ましく
は架橋構造を有するものであり、好ましくはウレタン系
ポリマー微粒子、より好ましくはイオン対を形成しうる
基を有するウレタン系微粒子を提供するものであり、ま
た好ましくは球状であり、好ましくはポリウレタン・ポ
リ尿素構造を有するポリマー微粒子を提供する。
【0011】さらに該ポリマー微粒子を含有してなる水
性インキ又はインクジェット記録用インキを提供するも
のである。
【0012】
【発明の実施の態様】本発明のポリマー微粒子は、分子
中にポリマー微粒子と結合しうる官能基を有する染料と
特定のポリマー微粒子とが結合してなるものである。
【0013】本発明のポリマー微粒子と染料との間の結
合は、物理的結合及び/又は化学的結合に基づくもので
ある。染料とポリマー微粒子との物理的な結合は、水素
結合、ファンデルワールス力等によるものであり、化学
結合は、イオン結合、共有結合、及び配位結合によるも
のである。これらの結合については、阿部田、今田氏の
共著、解説染料学、11ページ(色染社、平成元年発
行)にも記述されている通りである。
【0014】かかる結合の強さが染料分子の耐久性の向
上に寄与するため、結合力の高い化学結合は、ポリマー
微粒子の耐久性の向上に対して特に有効である。染料と
ポリマー微粒子の物理的な結合も、その結合の数、複合
化によって、微粒子の耐久性を高める上で有効に作用し
得るものである。
【0015】本発明のポリマー微粒子と染料との間の結
合は、従来から良く知られている染料を各種の繊維に染
色すると同様の方法によって得られるものである。
【0016】本発明は、ポリウレタン・ポリ尿素微粒子
の水分散体に染料、例えば後述する直接染料と呼ばれる
染料を添加し、加熱保持することによって、染料を物理
的に結合したポリマー微粒子を調製し得る。
【0017】又本発明は、上記のポリウレタン・ポリ尿
素微粒子の水分散体に染料、例えばカチオン染料を添加
し、反応せしめることにより、イオン結合で化学的に結
合したポリマー微粒子を調製し得る。
【0018】ウレタン系ポリマー微粒子としては、本発
明者らの発明に関する特願平6ー191597号及び特
願平7ー25184号の方法を応用展開することによっ
て容易に得られるものであり、好ましくは、イオン対を
形成し得るポリオール(A)、ポリイソシアネート
(B)とポリアミン(C)を必須の成分として反応せし
めて生成するポリウレタン・ポリ尿素微粒子の水分散体
に染料を添加し、結合せしめることによって得られるも
のである。
【0019】本発明は、特に望むなら、イオン対を形成
し得る基を有するポリオール(A)と染料とを予め混
合、イオン結合によって反応せしめることによって、又
は該混合物にポリイソシアネート(B)を加え、該ポリ
イソシアネート中のイソシアネート基と染料とを共有結
合によって反応せしめる等の方法によって、染料が化学
的に結合したウレタン系微粒子を製造することもでき
る。
【0020】本発明のポリマー微粒子は、平均粒子径が
5〜700nm、最大粒子径が1000nm以下、粒度
分布がワイブル確率分布を適用した場合の形状パラメー
ターのm値で1.5以上であるポリマー微粒子である。
【0021】ここで、平均粒子径とは、一般的に個数平
均、長さ平均、面積平均、体積平均で表されるものをい
うが、本発明でいう平均粒子径とは、通常用いられる体
積平均で表されるものをいう。
【0022】またワイブル確率分布は、下記の式1で表
される。 F(t)=1−exp[−(t/η)m ] (式1) [式中、F(t)はワイブル分布関数、tは粒径、ηは
尺度母数、mは形状母数である。]
【0023】ワイブル確率分布において粒度分布を表す
形状母数m値は、値の高いほど粒度の揃っていること、
即ち、粒度分布のシャープなことを示している。ワイブ
ル確率分布で全ての粒度分布を完全に表現することはで
きないので、最大限に近似した値である。
【0024】本発明者らは、既に粒度の数値管理に関す
る最適の方法として、信頼性工学の分野で、従来から広
く用いられているワイブル確率分布の形状パラメーター
のm値で微粒子の粒度分布を数値で表現できる方法を報
告している(高分子論文集、50巻、No.5、p42
5〜430(1993)。
【0025】本発明のポリマー微粒子の粒度は、平均粒
子径は5〜700nm、好ましくは6〜400nm、更
に好ましくは7〜300nmであることが必要である。
又、最大粒子径は、1000nm以下であることが求め
られ、好ましくは、600nm以下、更に好ましくは、
400nm以下であることが必要である。又、本発明の
ポリマー微粒子の粒度は、m値で1.5以上、好ましく
は1.7以上、更に好ましくは1.8以上の粒度の揃っ
たものであることが望ましい。
【0026】本発明のポリマー微粒子の平均粒子径、及
び最大粒子径があまり大きすぎると実用に供する際、例
えば、ジェットインクの用途に用いるとインクジェット
の径内を詰まらせる原因になるため好ましくない。また
粒子径にばらつきが大きい、即ち、ワイブル確率分布の
形状パラメーターのm値が低い場合にも、同様にインク
ジェット装置内の目詰まりを発生させ易くするため好ま
しくなく、粒度について上記の制約が求められる。
【0027】本発明のポリマー微粒子の平均粒子径、最
大粒子径を越える場合、又はm値が低い微粒子を上記の
用途に用いる場合には、精密なろ過膜等で、粒度を調節
する必要があるが、技術的な困難、経済的な不利益を免
れ得ない。
【0028】本発明のポリマー微粒子の平均粒子径は、
動的光散乱測定法による測定、例えば、日機装(Lees+
Northrup)製の粒度分布計「マイクロトラック UPA
9340」で容易に測定することができる。
【0029】また本発明のポリマー微粒子は、有機溶剤
に不溶であることが好ましい。ポリマー微粒子は、微粒
子を構成するポリマー粒子の結晶性、あるいは、溶解し
にくいポリマー組成などに起因して不溶となることもあ
り得るが、通常は、架橋構造を有することに起因する場
合が多く、本発明のポリマー微粒子も架橋構造を有する
ものが好ましい。
【0030】有機溶剤としては、一般的にはアセトンが
挙げられ、場合によっては、その他イソプロピルアルコ
ール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルコール類、あるいはそれらの水を含む混合物等が挙
げられる。
【0031】架橋構造を有するポリマー微粒子として
は、ポリマー微粒子が設計し易く、極めて容易に架橋構
造を導入できる等の点から、ウレタン系ポリマー微粒子
が好ましいものである。
【0032】その他特に望むならば、ビニル重合によて
生成する重合系のポリマー微粒子、あるいはその他のポ
リマー微粒子であっても、本発明のポリマー微粒子とし
て使用することができる。
【0033】ビニル系ポリマー微粒子としては、スチレ
ン及びその誘導体、メチルメタクリレート、及びアクリ
ル酸メチル等の各種アクリル系ビニル単量体から乳化重
合、懸濁重合反応等によって誘導されるビニル系ポリマ
ー微粒子等が挙げられる。アクリル系ビニル単量体とし
ては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル
酸等の水酸基、カルボキシル基等の官能基を有するビニ
ル単量体も挙げられる。
【0034】本発明に好適なポリマー微粒子として、水
を主成分とする媒体中に安定な分散体を与える必要があ
り、そのための手段として、該粒子表面にイオン対を形
成し得る基を導入することが求められる。イオン対を形
成し得る基としては、カルボキシル基、スルフォン酸
基、及びアミノ基等が好ましく、これらの基を3級アミ
ン、ナトリウム等のアルカリ金属、乃至有機酸等により
中和し、4級化すること等により、該ポリマー微粒子を
水媒体中に安定に分散せしめることができるものであ
る。
【0035】本発明のポリマー微粒子にあっては、既述
の如く、ウレタン系のポリマー微粒子が特に好ましいも
のの一つである。本発明のウレタン系ポリマー微粒子
は、上記の特願平6−191597号及び特願平7−2
5184号等に記述した方法により、ポリマー微粒子の
原料素材、粒度、架橋構造、イオン形成性基の導入等の
粒子設計を極めて容易に行い得るものである。又上記の
発明に記述された微粒子の設計方法を基にして技術を更
に展開し、高度化することにより、染料を結合し、ポリ
マー微粒子を設計する方法を確立して本発明を完成する
に至ったものである。
【0036】本発明のウレタン系ポリマー微粒子の製造
に際しては、架橋構造を付与せしめるため、イオン対を
形成し得る基を有するポリオール(A)とポリアミン
(C)における水酸基と活性水素基を有するアミノ基の
当量の総和に対し、ポリイソシアネート(B)の当量
を、1以上に設定して行うことが好ましい[NCO/
(−OH+−NH2)≧1]。
【0037】また、これらのポリマー微粒子の製造にお
いては、使用するポリオール(A)のイオン形成性基
は、そのままの形、又は中和された形の塩で用いても良
い。
【0038】ここで、本発明に用いられるイオン対を形
成し得る基を有するポリオール(A)は、ポリイソシア
ネート(B)と反応性を有する、少なくとも2個以上の
水酸基を併せ持つ、数平均分子量300〜10,000
を有するポリオールである。又上記のイオン対を形成し
得る基は、ポリマー微粒子を水媒体に安定的に分散せし
める役割を果たすと共に、染料中のイオン性基とも反応
し得るものである。
【0039】例えば、上記ポリオール(A)のイオン対
を形成し得る基がカルボン酸基である場合には、アミ
ン、アンモニア、あるいは苛性ソーダ等の塩基で中和す
ることによって塩を形成し得る、数平均分子量300〜
10、000を有するポリオールである。かかるイオン
対を形成し得る基としては、カルボキシル基に加えてス
ルホン基あるいはアミノ基等が挙げられ、これらのイオ
ン形成性基を複合した形で含むポリオールであっても無
論なんら差し支えはない。
【0040】カルボキシル基、スルホン酸基、及びアミ
ノ基等のイオン対を形成し得る官能基を有するポリオー
ルとしては、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオ
ール、ポリエステルポリオール、ラクトン変性ポリエス
テルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アル
キドポリオール、ロジン変性アルキドポリオール、フェ
ノール樹脂変性ロジンエステル、ポリエーテルポリオー
ル、ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポ
リオール、ポリアセタールポリオール、ポリオレフィン
ポリオール、エポキシ変性ポリオール、シリコン変性ポ
リオール、又はフッ素ポリオールなどが挙げられる。
【0041】上記のポリオール(A)にあって、例えば
カルボン酸基を含むポリオールの原料、製法等に関する
説明を記すならば、以下の通りである。
【0042】a)ポリウレタンポリオールは、エチレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジ
オール、、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサン
ジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘ
キサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒ
ドロキシピバリルヒドロキシピバレート等の2官能のア
ルコール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプ
ロパン、グリセリンもしくはヘキサントリオール、ペン
タエリスリトール等の3官能以上のアルコール類、
【0043】ポリプロピレングリコール、ポリプロピレ
ントリオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリ
エーテルポリオール等及び/又は上述した各種ポリオー
ル類の少なくとも1種以上と、後掲するジイソシアネー
ト化合物、及びそれらの化合物から誘導されるポリイソ
シアネート類の少なくとも1種以上と、ジメチロールプ
ロピオン酸等のカルボキシ基を含有するジオール類とを
反応せしめて得られるカルボキシ基を有するポリオール
をその例として挙げることができる。
【0044】b)アクリルポリオール、例えば、β−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、及びβ−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸
基含有アクリル単量体と、アクリル酸、メタアクリル酸
等のカルボキシル基含有単量体、更にこれらと共重合可
能な他のアクリル単量体、
【0045】例えば、メチルメタアクリレート、ブチル
メタアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレー
ト、エチルアクリレート等、マレイン酸ジブチル、スチ
レン等を共重合せしめることにより、カルボキシル基を
分子中に有するアクリル重合体をアクリルポリオールの
例として挙げられる。なお、上記のカルボキシ基含有ア
クリルポリオールは、その設計により、1分子中に任意
の数の水酸基を有するものを得ることができる。
【0046】c)ポリエステルポリオールは、上掲の如
き各種多価アルコールの1種以上と、多価カルボン酸類
との共縮合により得られる、分子中にカルボン酸基を残
存せしめたポリエステルポリオールであれば良い。ここ
に言う多価カルボン酸の代表的なものとしては、以下の
ものが挙げられる。
【0047】即ち、アジピン酸、セバシン酸、アゼライ
ン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル
酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シ
トラコ酸、イタコン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−
ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカル
ボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、又
は2,5,7−ナフタレントリカルボン酸などである。
【0048】また上記のポリエステルを得る際にポリオ
ール原料の一種として、d)ラクトン変性ポリエステル
ポリオールは、例えば、その一例として上記、a)に記
載したポリエステルポリオールを用いて、ε−カプロラ
クトン、δ−バレロラクトンもしくは3−メチル−δ−
バレロラクトンの如き各種ラクトン類と開環重合によっ
て容易に得られるものであり、分子中にカルボキシル基
を残存させた形のラクトン系ポリエステルポリオール類
である。
【0049】e)ポリエステルアミドポリオールは、ア
ミノアルコール、例えば、エタノールアミンを上掲した
ポリエステルポリオールの原料の一つとして共縮合させ
ることによって得られる分子中にカルボキシル基を残存
させたものが、その例として挙げられる。
【0050】f)アルキドポリオールは、例えば、上
記、a)ポリエステルポリオールの製造に於いて用いら
れる2官能アルコール類の一部に変えて、各種の油脂類
とグリセリンのエステル交換によって得られるモノグリ
セライドを用いることにより、容易に製造できるもので
ある。
【0051】g)ポリエーテルポリオールとしては、ポ
リオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキ
シテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレン・
オキシテトラメチレングリコール共重合体等のポリエー
テルグリコール類、
【0052】或いはトリオール類等の少なくとも1種以
上と、後掲する2ないし3官能以上のポリイソシアネー
ト類の少なくとも1種以上と、ジメチロールプロピオン
酸等のカルボキシル基を含有するジオール類とのウレタ
ン化反応生成物や、上掲したポリエーテルポリオール類
の少なくとも1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合
によって得られるものである。
【0053】i)ポリチオエーテルポリオールは、チオ
ジグリコールと、上掲の多価アルコール類、多価カルボ
ン酸類とホルムアルデヒド、アミノアルコールもしくは
アミノカルボン酸と、ジメチロールプロピオン酸等のカ
ルボキシル基を含有するジオール類との縮合反応によっ
て得られる、分子中にカルボキシル基を含有するポリチ
オエーテル類が、その例として挙げられる。
【0054】j)ポリカーボネートポリオールは、上掲
の多価アルコール類とジメチロールプロピオン酸等のカ
ルボキシル基を含有するジオール類とをジアリールカー
ボネート、例えばジフェニルカーボネートと反応させる
ことによって得られるカルボキシル基を有するポリオー
ルがその例として挙げられる。
【0055】k)ポリアセタールポリオールは、例え
ば、グリコール又はヘキサンジオール、或いはトリメチ
ロールプロパン等とジメチロールプロピオン酸等のカル
ボキシル基を含有するジオール類とをホルムアルデヒド
と反応させることによって製造されるスルホン酸ナトリ
ウム含有ポリオールがその例として挙げられる。
【0056】l)ポリオレフィンポリオールは、例え
ば、水酸基を末端に有する多官能のブタジエンプレポリ
マー、イソプレンプレポリマーに、マレイン酸、或いは
イタコン酸等を付加せしめることにより、得られる分子
中にカルボキシル基を有するポリオールを、その例とし
て挙げることができる。
【0057】m)エポキシ変性ポリエステルポリオール
としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビ
スフェノールA型エポキシ化合物、一価及び/又は多価
アルコールのグリシジルエーテル、あるいは一塩基酸及
び/又は多塩基酸のグリシジルエステルの如き各種のエ
ポキシ化合物を、上掲したポリエステルポリオールの合
成時に、1種以上併用して得られる多官能のポリオール
である。
【0058】n)シリコ−ンポリオールは、分子中にシ
ロキサン結合を有するポリオールであり、反応性基を有
するシリコ−ン化合物を、上掲したそれぞれのポリオー
ルの原料の1部として反応させて得られる各種シリコー
ンポリオールが挙げられる。反応性基を有するシリコン
化合物として代表的なものを示せば、
【0059】水酸基を有するシリコ−ン化合物として
は、X−22−160−AS、X−22−160A、X
−22−160B、X−22−160C等(信越シリコ
ーン株式会社製)や、SH−3746、SF−842
8、SH−3771、BY−16−036、BY−16
−027、BY−16−038(東レ・ダウコーニング
・シリコーン株式会社製)等、
【0060】アミノ基を有するシリコーン化合物として
は、X−22−161AS、X−22−161A、X−
22−161B、X−22−161−C(信越シリコー
ン株式会社製)等や、BY−16−828、BY−16
−850、BY−16−841、BY−16−849、
BY−16−872(東レ・ダウコーニング・シリコー
ン株式会社製)等、
【0061】及びグリシジル基を有するシリコーン化合
物としては、X−22−163AS、X−22−163
A、X−22−163B、X−22−163C(信越シ
リコーン株式会社製)や、SF−8413、SF−84
11(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
等、ビニル基を有するシリコ−ン化合物としては、X−
22−164AS、X−22−164A、X−22−1
64B、X−22−164C(信越シリコーン株式会社
製)等、
【0062】チオール基を有するシリコーン化合物とし
ては、X−22−167AS、X−22−167A、X
−22−167B、X−22−167C(信越シリコー
ン株式会社製)等が挙げられる。3官能以上のシリコー
ンポリオールは、上掲した3官能性以上の各種ポリオー
ルの合成時に、上記した各種の反応性を有するシリコー
ン化合物を反応させることによって得られる。
【0063】o)フッ素ポリオールは、分子中にフッ素
原子を有するポリオールであり、例えば、フッ化ビニリ
デン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエ
チレン、ヘキサフルオロプロピレン、(パー)フルオロ
アルキルエーテル(但し、アルキル基の炭素数1〜1
8)又はアルキル基がC1〜C18なるパーフルオロアル
キル・トリフルオロビニルエーテルに代表されるフッ素
ビニル単量体と、水酸基含有ビニル単量体、カルボキシ
ル基含有ビニル単量体、及びこれらと共重合可能な他の
ビニル系単量体を共重合して得られる、分子中にカルボ
ン酸基を含有する多官能のフッ素ポリオールが挙げられ
る。
【0064】以上、イオン対、乃至イオン対を形成し得
るポリオール(A)の例として、a)〜o)に、分子中
にカルボキシ基を含むポリオールとしてポリウレタンポ
リオールを初めとする各種のポリオールを例示した。更
に、これ以外にスルホン酸基、それらのトリエチルアン
モニウム、ジメチルラウリルアミン等の4級アンモニウ
ム塩、アミノ基を分子中に含む既述の各種のポリオール
もポリオール(A)に含まれる。又、ポリオール(A)
は、カルボキシル基、スルフォン酸基等の複数の基を含
むポリオールであっても差し支えない。
【0065】尚、上記のポリオール(A)へのスルホン
酸基の導入には、スルホン酸ナトリウムを分子中に含む
イソフタル酸ジメチル、式[I]が有効な化合物の例と
してとして挙げられ、アミノ基の導入には、Nーメチル
ジエタノールアミンが有効な化合物の例として挙げられ
る。
【0066】
【化1】
【0067】本発明においては、上記の各種ポリオール
(A)を、単独、もしくは2種以上併用しても良い。ポ
リオール(A)の数平均分子量としては、300〜1
0,000、好ましくは500〜8,000、更に好まし
くは1,000〜5,000であることが、ポリマー微粒
子の粒度の調製、更には微粒子内部の充分な架橋のため
に好適である。
【0068】またポリオール(A)は、有機溶剤に溶解
され、希釈された形で、反応に用いられても良い。ポリ
オール(A)に含有されるイオン対を形成し得る基、例
えばカルボキシル基などの酸基の場合には、トリエチル
アミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の3
級アミンやアンモニア等の塩基で中和した塩、即ち、4
級アンモニウム塩、スルホン酸基の場合には、通常、苛
性ソーダの中和塩の形で使用される。
【0069】上記の如く、本発明で用いるポリオール
(A)中に容易に導入することのできる、イオン対を形
成し得る基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、
アミノ基がその代表例であり、通常、ポリオール分子中
に1〜5個のイオン対を形成しうる基を導入すること
が、安定な微粒子の水分散体を得る上で効果的である。
【0070】ポリオール(A)として一般的なものとし
ては、ポリエステルポリオール、アルキドポリオール、
ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ヒ
ドロキシル基含有ビニル共重合体等が挙げられるが、こ
れらのポリオールに限定されるものではなく、必要に応
じて、その他のポリオールも使用し得るものである。
【0071】一方、ポリイソシアネート(B)を構成す
るイソシアネート類としては、それら自体が公知である
ようなものは、一般的に使用しうるが、それらのうちで
も特に代表的なもののみを例示すれば、
【0072】トリレンジイソシアネート、ジフェニルメ
タン−4,4'−ジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、p
−フェニレンジイソシアネート、ジベンジルジイソシア
ネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−も
しくはp−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、
又はトリフェニルメタントリイソシアネートの如き芳香
族ジ−ないしトリイソシアネートモノマー類や、水添ト
リレンジイソシアネート、
【0073】水添ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシ
アネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリ
レンジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイ
ソシアネート、又はイソホロンジイソシアネートの如き
脂肪族、又は脂環式ジイソシアネートモノマー類などが
挙げられる。本発明には、これらポリイソシアネート
(B)を単独もしくは2種以上併用してもよい。
【0074】あるいは、これらの各種ジイソシアネート
モノマー類から誘導される3官能以上のイソシアヌレー
ト型ポリイソシアネート、アダクト型ポリイソシアネー
ト又はビュ−レット型ポリイソシアネートの如き各種の
イソシアネートプレポリマーもポリイソシアネート
(B)として好ましく使用することができる。
【0075】更に、特に望むならば、上掲された如き各
種のイソシアネートモノマー類やポリイソシアネート類
の1種以上と、上掲された多価アルコール、ポリウレタ
ンポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリ
オール、
【0076】ラクトン変性ポリエステルポリオール、ポ
リエステルアミドポリオール、アルキドポリーオール、
ポリエーテルポリオール、変性ポリエーテルポリオー
ル、ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポ
リオール、ポリアセタールポリオール、ポリオレフィン
ポリオール、エポキシ変性ポリオール、
【0077】シリコンポリオール、又はフッ素ポリオー
ルの如き各種ポリヒドロキシ化合物の1種以上とをウレ
タン化反応させて得られる末端イソシアネート基を有す
るウレタン変性ポリイソシアネートプレポリマー類など
を、用いても良く、これらは単独使用で使用するほか
に、2種以上の併用でもよい。
【0078】ポリイソシアネート(B)の選択に当たっ
ては、耐候性や機械的物性などを考慮した場合には、原
料イソシアネートモノマーの種類としては、脂肪族系及
び/又は脂環式系が好ましい。更に、取扱い上の安全性
や、毒性を考慮した場合には、ポリイソシアネート
(B)としては、これらのイソシアネートプレポリマー
を用いるのが好ましい。
【0079】ポリイソシアネート(B)の数平均分子量
は、性能の優れた架橋微粒子を得る上から、100〜
3,000なる範囲内、好ましくは200〜2,000、
より好ましくは400〜1,500なる範囲内にあるこ
とが望ましい。
【0080】本発明において使用する好適なポリアミン
(C)は、公知慣用のジアミン、ポリアミン又はそれら
の混合物であるが、そのうちでも特に代表的なもののみ
を挙げれば、1,2−エチレンジアミン、ビス−(3−
アミノプロピル)−アミン、ヒドラジン、ヒドラジン−
2−エタノール、ビス−(2−メチルアミノエチル)−
メチルアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、3−
アミノ−1−メチルアミノプロパン、N−ヒドロキシエ
チルエチレンジアミン、
【0081】N−メチル−ビス−(3−アミノプロピ
ル)−アミン、テトラエチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、1−アミノエチル−1,2−エチレンジア
ミン、ビス−(N, N’−アミノエチル)−1,2−エ
チレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレ
ンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、フェニレン
ジアミン、トリレンジアミン、2,4,6−トリアミノト
ルエントリハイドロクロライド、1,3,6−トリアミノ
ナフタレン、イソホロンジアミン、
【0082】キシリレンジアミン、水添キシリレンジア
ミン、4,4’−ジアミノフェニルメタン又は水添4,
4’−ジアミノジフェニルメタン、あるいは、X−22
−161−AS、X−22−161A、X−22−16
1B、X−22−161C(信越シリコーン株式会社
製)や、BY−16−828、BY−16−850、B
Y−16−8417、BY−16−849、BY−16
−872(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社
製)等のシリコーン系ポリアミン類、
【0083】更に、ジエチレントリアミンなどのポリア
ミン類に、パーフルオロオクチルクロライドやなどのパ
ーフルオロアルキル化合物を付加した化合物に代表され
るフッ素系ポリアミン類などの、ポリアミンモノマーの
誘導体などが挙げられるが、耐候性の観点からは、脂肪
族系及び/又は脂環族系の使用が望ましい。
【0084】本発明におけるポリウレタン・ポリ尿素微
粒子にあっては、粒度のそろった粒子を得ることができ
る。しかし、こうした粒子は通常、粒度の不均一で多数
の粒子から構成されている場合があるため、平均粒径、
最大粒径のみならず粒度分布を管理することが特に重要
であり、その粒度分布を数値で表現できることが必要で
ある。
【0085】なお、ポリウレタン・ポリ尿素架橋微粒子
なる名称は、従来は微粒子の製造時における配合組成、
製造手順からの推定構造に基ずくものである。しかし、
最近、本発明者等による比較的粒径の大きなウレタン微
粒子の構造解析に関する研究結果から、粒子表面は尿素
結合、粒子内部はウレタン結合に富む球状粒子であるこ
とが確かめられている[Preprints of 5th SPSJ Interna
tional Polymer Conference、43頁(1994)]。
【0086】本発明者のウレタン系ポリマー微粒子は、
ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを混合
し、必要に応じて有機溶剤で希釈して粘度調製の後、ポ
リアミンを含む水中に分散させ、イソシアネート基とア
ミノ基との尿素化反応により、微粒子表面にシェルを形
成させ、更に、微粒子の内部はポリオール分子中の水酸
基とイソシアネート基とのウレタン化反応によって架橋
硬化せしめたポリウレタン・ポリ尿素微粒子に、染料を
添加、加熱等の方法により結合せしめたものであり、極
めて容易、かつ安定的、高品質に得ることができるもの
である。
【0087】本発明の分子中にポリマー微粒子と結合し
うる官能基を有する染料は、本発明のポリマー微粒子と
物理的結合、及び/又は化学的な結合を形成するに適し
た官能基を有する染料である。ポリマー微粒子と結合し
うる官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルフ
ォン酸基、及びアミノ基、水酸基、更には、カルボン酸
の4級アンモニウム塩類、スルフォン酸ナトリウム等を
その分子中に有する染料である。
【0088】かかる本発明に用られる染料としては、染
料の化学構造上から分類して例示するならば、例えばニ
トロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベン染料、
ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサ
ンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、ポリメチ
ン染料、アゾメチン染料、チアゾール染料、アジン染
料、オキサジン染料、チアジン染料、ラクトン染料、ア
ミノケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染
料、フタロシアニン染料等が挙げられる。
【0089】以上に記した本発明に用いられる各種の染
料を、染色上の分類法、即ち、染料の基材(繊維、本発
明に於いてはポリマー微粒子)に対する結合様式の分類
によって示すならば、直接染料、建染染料、ナフトール
染料、及び分散染料等がその例として挙げられる。これ
らの染料は、主に水素結合、乃至ファンデアワールス力
で物理的に結合し、カチオン染料(塩基性染料)、及び
酸性染料はイオン結合、反応染料は共有結合によって化
学的に結合する染料である。
【0090】上記の染料の具体的な例を挙げるならば、
例えば式〔II〕〜〔IX〕の構造を有する染料がその一例
として挙げられるが、本発明はここに例示する染料には
何ら限定されるものではない。
【0091】
【化2】
【0092】
【化3】
【0093】
【化4】
【0094】
【化5】
【0095】
【化6】
【0096】
【化7】
【0097】
【化8】
【0098】
【化9】
【0099】上記の染料にあって、式〔II〕〜〔V〕は
塩基性染料(カチオン染料)、式〔VI〕〜〔IX〕は直接
染料に属する。又化学構造からは、式〔II〕はオキサジ
ン染料、式〔III〕及び式〔IV〕はメチン染料、式〔V〕
はキサンテン染料、式〔VI〕〜〔IX〕はジスアゾ染料
(2個のアゾ基を持つ)に属し、その内、式〔VI〕は金
属錯塩系のジスアゾ染料と呼ばれる。
【0100】本発明の染料は、ポリマー微粒子の発色に
必要な量を用いればよいが、通常は、ポリマー微粒子に
対して1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%を結
合せしめて用いるのがよい。
【0101】本発明の染料を結合せしめたポリマー微粒
子を得る好ましい手順の1例を示すならば、例えばイオ
ン対を形成し得るポリオール(A)にポリイソシアネー
ト(B)を添加、混合して得られる有機相を、水媒体中
に添加、分散によりポリマー微粒子を生成せしめる。次
いでポリアミン(C)の水溶液を加え、ポリマー微粒子
の表面に存在するイソシアネート基とポリアミンとの尿
素化反応により、粒子表面にシェルを形成せしめ、更
に、粒子内部をウレタン化反応によって硬化、熟成せし
める事により、安定なポリマー微粒子の水分散体を得
る。この系に染料を含む水散体を加え、加熱、反応等の
手段によりポリマー微粒子と染料を物理的、乃至化学的
に結合せしめることによって、本発明の染料を結合した
ポリマー微粒子が得られる。
【0102】上記のポリマー微粒子を得る方法において
は、ポリオール(A)の水酸基とポリアミン(C)のア
ミノ基の当量の総和に対し、ポリイソシアネート(B)
の当量が1以上であることが好ましい(NCO/(−O
H+−NH2)≧1)。
【0103】更に詳しくは、ポリオール(A)のヒドロ
キシ基当量とポリイソシアネート(B)のイソシアネー
ト基当量との比率を0.1:1〜0.9:1、好ましくは
0.1:1〜0.8:1、更に好ましくは0.2:1〜0.
7:1なる範囲で両成分を混合し、これら両成分の混合
物それ自体が、三次元架橋し得る組成にすることが好ま
しい。
【0104】本発明のウレタン系のポリマー微粒子にお
いては、粒子内部におけるウレタン化反応を三次元的に
進行させることで、従来技術では得られなかった粒子全
体の強靱性や耐溶剤性の向上が図られる。粒子内部の三
次元的ウレタン化反応の為に、使用するポリオール
(A)及び/又はポリイソシアネート(B)は、その全
てが3官能以上の官能基を有する必要はないが、少なく
ともその一部は、3官能以上の官能基を有するポリオー
ル(A)及び/又はポリイソシアネート(B)であるこ
とが好ましい。また3官能以上のポリアミンを添加する
ことも有効である。
【0105】即ち、使用する反応成分として、3官能以
上の官能基を有するポリオール(A)及び/又はポリイ
ソシアネート(B)をポリオール(A)とポリイソシア
ネート(B)との総量中の、少なくとも0.1モル%以
上、好ましくは0.2モル%以上、更に好ましくは0.3
モル%以上用いて、残りは通常2官能性のイオン形成性
を有するポリオール及び/又はポリイソシアネートを使
用することにより、良好な粒子内部の三次元架橋構造を
得ることができる。
【0106】本発明のポリマー微粒子は、非反応性の有
機溶剤を用いてポリオール(A)等の有機相、水相を希
釈、低粘度化することにより、粒子の生成、更にはウレ
タン化反応を容易に進行させることができる。使用でき
る有機溶剤としては、ポリオール(A)、ポリイソシア
ネート(B)、有機金属触媒(ウレタン化触媒)、及び
ポリアミン(C)と非反応性の溶剤であれば良い。
【0107】これらの有機溶剤としては、例えば、エス
テル、エーテル、ケトン系、芳香族系又は脂肪族系炭化
水素等が挙げられ、これらのうち、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノ
ン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン、ジフェニルエーテル、N−メチル−2−ピ
ロリドン又はミネラルスピリットなどが好ましい。これ
らの有機溶剤は、必要に応じて、ポリマー微粒子形成中
あるいは微粒子形成後に、加熱や減圧などの処理、溶剤
置換等により除去あるいは置換してもよい。
【0108】また有機相が分散される水相は、特に望む
ならノニオン系、アニオン系、又はカチオン系の各種の
界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアル
キルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アラ
ビアゴム、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポ
リビニルピロリドン及びエチレン無水マレイン酸共重合
体などを用いてもよい。
【0109】本発明は、ウレタン系微粒子の内部におい
ては積極的にウレタン化反応をさせることに特徴の一つ
を有するものであるが、公知の如く、ヒドロキシル基と
イソシアネート基とのウレタン化反応は、特にイソシア
ネート基が脂肪族あるいは脂環族系に基づく場合には、
アミノ基との尿素化反応に比較して反応速度が遅い傾向
にある。
【0110】周知の如く、水とイソシアネート基との反
応性はヒドロキシル基との反応性に比較して極めて遅
く、通常ポリアミン(C)の添加により形成される外壁
による隔離効果により、水分の微粒子内部への浸透は無
視できる処から、反応温度を上げ、時間をかけることに
よって、微粒子内部でのウレタン化反応を実施するとい
う目的は達成できるが、特に望むならば、有機金属触媒
を使用しても良い。
【0111】これらの有機金属触媒としては、イソシア
ネート基とヒドロキシル基の反応を促進せしめる公知慣
用の触媒を使用することができ、例えばナフテン酸コバ
ルト、ナフテン酸亜鉛、テトラ−n−ブチル錫、トリ−
n−ブチル錫アセテート、n−ブチル錫トリクロライ
ド、トリメチル錫ハイドロオキサイド、ジメチル錫ジク
ロライド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウ
レート、オクテン酸錫又はカリウムオレエート等が挙げ
られ、これらの1種以上が用いられる。
【0112】該有機金属触媒は、有機相に対して5〜1
0,000ppm、好ましくは、8〜5,000ppm、
更に好ましくは10〜1,000ppmなる範囲で添加
することにより、極めて短時間に強靱な架橋微粒子が形
成される。
【0113】触媒の添加時期としては、有機相を水相中
に分散せしめる工程とポリアミン(C)を添加する工程
との中間で行うことによりポリウレタンポリ尿素架橋微
粒子分散体を得ることができるが、触媒を水分散化(微
細分散化)に先だって、有機相中に添加せしめることが
より好ましい。
【0114】水分散化(微細分散化)の前に該触媒を有
機相へ添加する場合は、水相への分散化後に該触媒を添
加するよりも、有機相中のポリオール(A)とポリイソ
シアネート(B)との混合物に添加する方が、水の影響
が無く好ましい。これは、触媒が均質に分散でき、微粒
子内部の架橋が均質となるため、高品質のポリウレタン
ポリ尿素架橋微粒子分散体を得ることができるからであ
る。
【0115】ポリアミン(C)を添加した後の当該触媒
の添加は、微粒子外壁が形成されつつある状態のため
に、当該触媒が粒子内部に取り込まれ難くなり、微粒子
内部のウレタン化反応の促進性が低下する傾向にある処
から、あまり好ましくない。
【0116】ポリマー微粒子の設計に際しては、有機相
を構成するポリオール(A)中のイオンを形成し得る基
の種類、使用量、中和度、精製(洗浄)、あるいは分散
工程での分散方法(分散装置)、分散条件、温度などの
諸条件を適宜選択することにより、ポリマー微粒子とし
て好適な粒度、架橋密度等を自由に設計し調整すること
ができる。
【0117】以上に記述した本発明のポリマー微粒子
は、筆記用具に用いる水性インク、特にインクジェット
記録用インク用として好適のものである。
【0118】インクジェットは、一般にジェットイン
ク、またはインクジェットインクなる言葉を用いるが、
これは、いずれもインクジェット方式による記録、ない
し印刷に用いるインクを意味するものである。
【0119】日本語では、インクジェット記録用イン
ク、あるいはインクジェット印刷用インクなる用語が一
般に多く用いられる。英語では、インクジェットインク
(InkJet Ink)なる用語が用いられている例が見られ
る。本発明に於いてはこれらをジェットインクと総称す
る。
【0120】インクジェットの方式には、サーマルジェ
ット方式、ピエゾ方式、コンテニュアス方式(連続型)
等があり、それらに用いるジェットインクとしては、イ
ンクの粘度等、各々の方式に適した配合に変える必要は
ある。本発明のジェットインク用ポリマー微粒子を用い
れば、他成分の簡単な配合の変更により、基本的にはい
ずれの方式のインクジェットにも対応することができ
る。
【0121】本発明のジェットインクは、本発明のポリ
マー微粒子、水を主とする媒体、更に必要に応じて、乾
燥防止剤を含有するものである。かかる乾燥防止剤は、
インクジェットの噴射ノズル口でのインクの乾燥を防止
する効果を与えるものであり、通常水の沸点以上の沸点
を有するものが使用される。
【0122】またインクジェット用インクの主溶剤であ
る水は、ノズル目詰まりを回避するために、濾過された
イオン交換水以上のグレードの水を使用することが好ま
しい。
【0123】上記の乾燥防止剤としては、従来からイン
クジェット用インクに用いられている溶剤を用いること
ができ、例えば、具体的にはエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリ
ン等の多価アルコール類、N−メチル−2−ピロリド
ン、2−ピロリドン等のピロリドン類、アミド類、ジメ
チルスルホオキサイド、イミダゾリジオン等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0124】これら乾燥防止剤の使用量は、種類によっ
て異なるが、通常水100重量部に対して1〜150重
量部の範囲から適宜選択される。また、必要に応じてジ
ェット噴射して付着したインクを紙によりよく浸透させ
るために、浸透性付与剤として浸透性付与効果を示す水
溶性有機溶媒を加えても良い。
【0125】かかる浸透性付与剤としては、エタノー
ル、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ジエ
チレングリコール−N−ブチルエーテル等のグリコール
エーテル等を用いることができるが、これらに限定され
るものではない。浸透性付与剤の使用量は、本発明にお
ける効果を達成する範囲であればよく、特に限定されな
いが、最終的に得られるジェットインク中で0.1〜1
0重量%となるような量が好ましい。
【0126】更に特に望むならば、アクリル酸樹脂、ポ
リビニルアルコール等の水溶性樹脂、炭酸ナトリウム、
水酸化カリウム、N−メチルジエタノールアミン、トリ
エタノールアミン等のアルカリ性のpH調整剤、酢酸、
グリコール酸等の酸性のpH調整剤、分散、消泡、紙へ
の浸透のためのアニオン性あるいはノニオン性の界面活
性剤、安息香酸Na、デヒドロ酢酸Na、2−ピリジン
チオール−1−オキサイドNa塩等の防腐、防かび剤
や、エチレンジアミン四酢酸4Na等のキレート剤等を
必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。これらの添加
剤の添加量は一般に0.01%〜数%以内である。
【0127】
【実施例】以下、本発明を実施例により、具体的に説明
する。 実施例1及び比較例1 a)イオン形成性を有するウレタンポリオール、IPC−0
01の調製 撹拌機、冷却管、温度計、及び窒素ガス導入管を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに2,2−ジメチロー
ルブタン酸360g(2.4モル)、アジペートP−1
010(クラレ製MPDアジペート:Mn=1000)
1600g(1.6モル)、エチルメチルケトン180
0gを仕込み、窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら70℃
まで昇温した後、イソホロジイソシアネート720gを
投入し、80℃に昇温した。80℃の温度で約7時間反
応し、イソシアネート含有量が0.1%以下であること
を確認後、更に1時間、80℃の温度に保持して反応を
終了した。内容物の不揮発分(NV%)をエチルメチル
ケトンで60%に調製し、粘ちょうな樹脂状物が得られ
た。
【0128】この樹脂状物は酸価:29.2,水酸基
価:22.4の測定結果が得られた。これらの測定結果
から、この樹脂状物は数平均分子量 Mn=3000,
1分子中のカルボキシル基の数 FCOOH=3,1分
子中の水酸基の数 FOH=2のイオン形成性を有する
ポリオールであることが推定された。
【0129】b)ポリマー微粒子、FPC−001の調製 イオン形成性を有するポリオール IPC−001(Mn=
3000、NV=60%)135g(約0.027モ
ル)、脂肪族イソシアヌレート型ポリイソシアネート
(大日本インキ化学工業(株)社製 バーノックDN90
1S ロットNo.C−126,数平均分子量(Mn)=
615,平均官能度=3.4,イソシアネート含有量=
23.3%)24.3g(0.040モル)、トリエチ
ルアミン(TEA)7.95g(0.078モル)、メ
チルエチルケトン(MEK)26.1g、及び反応触媒
としてジブチル錫ジラウレート(DBTDL)の1%ト
ルエン溶液9.47gを容量500mlのビーカー中で
混合、素早く均一な有機相を調製した。 次いで、上記
の有機相をイオン交換水290gに撹拌下ゆっくりと加
え、粒子を生成せしめた後、高圧分散機により粒子の粒
径を微細化せしめると共に粒度分布を調整してポリマー
微粒子を合成した。更に、ジエチレントリアミン(DE
TA)2.50g(0.024モル)とイオン交換水2
2.5gからなる液を約5分間を要して水相に添加し、
30分間放置した後、80℃の温度で1時間加熱した。
50℃の温度に冷却した。次いで水酸化ナトリウムの2
0%水溶液7.80g(0.039モル)を添加した
後、再度80℃に昇温し30分間反応を行った。イオン
交換水で濃度調製を行い、ウレタン系ポリマー架橋微粒
子25%を含む水分散体、FPC−001を得た。このウ
レタン系ポリマー微粒子(FPC−001)の架橋密度
1)(個数/g、計算値)=3.1 ×1020であ
り、粒度の測定値は体積平均粒径(VD50)=50n
m,最大粒径(Dmax)=204nmであった。
【0130】1)架橋密度=(fcs−2)×Na/2Mn fcs:平均官能基数(ホ゜リオール(水酸基のみ)、ホ゜リイソシアネ
ート及びホ゜リアミン(DETA)の加重平均値) Na :アボガドロ数 Mn:平均分子量(ホ゜リオール(水酸基のみ)、ホ゜リイソシアネート
及びホ゜リアミン(DETA)の加重平均値)
【0131】c)黒色染料を結合したポリマー微粒子の
調製、水性インクとしての評価 ウレタン系ポリマー微粒子の水分散体 FPC−001の3
0gをビーカに仕込み、撹拌下にバイエル(株)製黒色
の直接染料 Bayscript Black SP liq.2.5gを徐々に
添加した。次いで80℃に昇温、30分間保持して染色
されたポリマー微粒子,FPB−001を得た。
【0132】この染色されたポリマー微粒子 FPB−00
1を用い、下記の処方で水性インクFPBI−001を調製
した。評価結果は表4に示される通りであって、FPBI−
001は染料のみで調製した水性インク(CONB−00
1)に比較して滲み、耐水性、色濃度いずれも優れたも
のであった。
【0133】
【表1】
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
【表4】
【0137】実施例2 a)イオン形成性を有するウレタンポリオール IPC−0
02の調製 撹拌機、冷却管、温度計、及び窒素ガス導入管を備えた
容量3リットルの四つ口フラスコに2,2−ジメチロー
ルプロピオン酸(Mw=134)134g(1.0モ
ル)、イソホロンジイソシアネート(Mw=222)3
33g(1.5モル)、酢酸エチル430gを仕込み、
窒素ガス雰囲気下、攪拌しながら発熱に注意して80℃
まで昇温した。80℃の温度で約1、5時間保持したと
ころでフラスコ内が均一な透明液であることが確認され
た(イソシアネート含有量:5.3%)。更に反応を継
続し、合計3時間、80℃の温度に保持、反応せしめた
後、50℃の温度に降温した。次いでポリカプロラクト
ンポリオール(ダイセル化学(株)社製 プラクセルL2
12AL Mw=1250)1250g(1.0モル)
を加え、80℃の温度に昇温し、2時間保持した後のイ
ソシアネート含有量は0.1%であった。更に1時間8
0℃の温度に保持して反応を終了した。内容物の不揮発
分(NV%)を酢酸エチルで70%に調製し、粘ちょう
な樹脂状物が得られた。
【0138】この樹脂状物は酸価:33.1、水酸基
価:32.8の測定結果が得られた。これらの測定結果
から、この樹脂状物は、数平均分子量 Mn=340
0,1分子中のカルボキシル基の数 FCOOH=2,
1分子中の水酸基の数 FOH=2のイオン形成性を有
するポリオールであることが推定された。
【0139】b)ポリマー微粒子 FPC−002の調製 イオン形成性を有するポリオール、FPC−002を用い
てポリマー微粒子 IPC−002を調製した結果は表3に
記載の通りであった。
【0140】c)黒色染料を結合したポリマー微粒子の
調製、水性インクとしての評価 ウレタン系ポリマー微粒子の水分散体 FPC−002を用
いて実施例1のc)と同様の方法により、黒色に染色さ
れたポリマー微粒子 FPB−002及び水性インクFPBI−
002を調製した。表4に示した評価結果より、FPBI−
002は染料のみで調製した水性インク(CONB−00
1)に比較して滲み、耐水性及び色濃度いずれも優れた
ものであった。
【0141】実施例3及び4 a)イオン形成性を有するポリオール IPC−003及び
IPC−004の調製 実施例1のb)IPC−002と同様の方法により、イオ
ン形成性を有するポリオール IPC−003及びIPC−0
04を表2に記載の如く調製した。
【0142】b)ポリマー微粒子 FPC−003及びFPC
−004の調製 イオン形成性を有するポリオール IPC−003及びIPC
−004を用いてポリマー微粒子 FPC−002及びFPC
−004を調製した結果は表3に記載の通りであった。
【0143】c)黒色染料を結合したポリマー微粒子の
調製、水性インクとしての評価 ウレタン系ポリマー微粒子の水分散体 FPC−003及び
FPC−004を用いて実施例1のc)と同様の方法によ
り、それぞれ黒色に染色されたポリマー微粒子FPB−0
03及びFPB−004、水性インクFPBI−003及びFPB
I−004を調製した。表−3に示した評価結果より、F
PBI−003及びFPBI−004は染料のみで調製した水
性インク(CONB−001)に比較して滲み、耐水性及び
色濃度いずれも優れたものであった。
【0144】実施例5、6及び比較例2 青色染料を結合したポリマー微粒子の調製、水性インク
としての評価 ウレタン系ポリマー微粒子の水分散体 FPC−001及び
FPC−004を30gずつ各々ビーカーに仕込み、攪拌
下にバイエル(株)社製青色の直接染料 Bayscript Cyan
BG liq. 5.8gをそれぞれ徐々に添加する。次いで共
に80℃に昇温、30分間保持してそれぞれ染色された
ポリマー微粒子 FPA−001及びFPA−004を得た。
【0145】この染色されたポリマー微粒子 FPA−00
1及びFPA−004を用い、下記の処方で水性インク FP
AI−001及びFPAI−004を調製した。表6に示した
評価結果より、FPAI−001及びFPAI−004は染料の
みで調製した水性インク(CONA−001)に比較して滲
み、耐水性及び鮮やかさいずれも優れ、これらの結果か
らポリマー微粒子に染料が結合したことが示唆される。
【0146】
【表5】
【0147】
【表6】
【0148】実施例7、8及び比較例3 赤色染料を結合したポリマー微粒子の調製、水性インク
としての評価 ウレタン系ポリマー微粒子の水分散体 FPC−001及び
FPC−004を30gずつ各々ビーカーに仕込み、攪拌
下に日本化薬(株)社製赤色の直接染料 Kayaset Ma-gent
a 227Cの5%水溶液30gをそれぞれ徐々に添加する。
次いで共に80℃に昇温、30分間保持してそれぞれ染
色されたポリマー微粒子 FPM−001及びFPM−004
を得た。
【0149】この染色されたポリマー微粒子、FPM−0
01及びFPM−004を用い、下記の処方で水性インクF
PMI−001及びFPMI−004を調製した。表8に示し
た評価結果より、FPMI−001及びFPMI−004は染料
のみで調製した水性インク(CONM−001)に比較して
滲み、耐水性、色鮮やかさ何れも優れ、これらの結果か
らポリマー微粒子に染料が結合したことが示唆される。
【0150】
【表7】
【0151】
【表8】
【0152】実施例9、10及び比較例4 黄色の染色を結合したポリマー微粒子の調製、水性イン
クとしての評価 ウレタン系ポリマー微粒子の水分散体 FPC−001及び
FPC−004を30gずつ各々ビーカーに仕込み、攪拌
下に日本化薬(株)社製黄色の直接染料 Kayaset Ye-llow
086Cの2%水溶液75gをそれぞれ徐々に添加する。
次いで共に80℃に昇温、30分間保持してそれぞれ染
色されたポリマー微粒子 FPY−001及びFPY−004
を得た。
【0153】この染色されたポリマー微粒子 FPY−00
1及びFPY−004を用い、下記の処方で水性インク FP
YI−001及びFPYI−004を調製した。表10に示し
た評価結果より、FPYI−001及びFPYI−004は染料
のみで調製した水性インク(CONY−001)に比較して
滲み、耐水性及び色鮮やかさ何れも優れ、これらの結果
からポリマー微粒子に染料が結合したことが示唆され
る。
【0154】
【表9】
【0155】
【表10】
【0156】実施例11及び比較例5 a)イオン形成性を有するポリオール IPC−005の調
製 実施例1と同じ付属設備を備えた容量1リットルの4つ
口フラスコに5−ソジウムスルフォイソフタル酸ジメチ
ル(Mw=296)461g(1.6モル)、ネオペン
チルグリコール(Mw=104)486g(4.6モ
ル)を仕込み、撹拌しながら150℃まで昇温する。1
50℃で均一溶液であることを確認した後、酢酸亜鉛
0.75gを投入して190℃に昇温、約2.5時間保
持し、反応中に生成するメタノールを流出せしめ、生成
物としてイオン形成性を有するポリオール、IPC−00
5の中間体である、IPC−005−M1(5−ソジウムス
ルフォイソフタル酸のネオペンチルエステル、Mw(計
算値)444)を得た。
【0157】次いで、実施例1と同じ付属設備を備えた
容量1リットルの4つ口フラスコに、IPC−005−M1
を56.3g(0.13モル)、ネオペンチルグリコー
ル481g(4.6モル)、アジピン酸(Mw=14
6)529g(3.6モル)、及びジブチル錫ジオクト
エート 0.2gを仕込んだ。次に撹拌しながら約6時
間をかけて徐々に220℃まで昇温、更に220℃の温
度で2時間保持して反応を終了、生成物として分子中に
スルフォン酸ナトリウム基を含む水酸基価:135,酸
価:4.5のイオン形成性を有するポリオール IPC−0
05の中間体であるポリエステル IPC−005−M2
(Mw=830,FOH=2,FSO3Na=1)を得
た。
【0158】更に、実施例1と同じ付属設備を備えた容
量3リットルの4つ口フラスコに、IPC−005−M2を
451g、イソフォロンジイソシアネート(Mw=22
2)605g仕込んで80℃に昇温、1時間保持、反応
せしめた後50℃に降温する。2,2−ジメチロールブ
タン酸(Mw=148)242g(1.6モル)、メチ
ルエチルケトン980gを加え、80℃の温度に昇温、
3時間保持した。次にポリエステルポリオール(株式会
社クラレ製 クラポールP−510、Mn=500)5
21.9g(1.0モル)を加え、80℃で3時間保持
したところでイソシアネート含有量は0.1%、更に1
時間80℃の温度に保持して反応を終了した。内容物の
不揮発分(NV%)を60%にメチルエチルケトンで調
整し、粘ちょうな樹脂状物が得られた。この樹脂状物は
酸価:32.4,水酸基価:21.8の測定結果が得ら
れ、これらの測定結果から数平均分子量 Mn=330
0,1分子中のカルボキシル基の数 FCOOH=3,
1分子中の水酸基の数 FOH=2,1分子中のスルホ
ン酸ナトリウム基の数 FSO3Na=1のイオン形成
性を有するポリオール IPC−006であることが推定さ
れた。 b)ポリマー微粒子 FPC−005の調製 FPC−001と同様の方法により、イオン形成性を有す
るポリオール IPC−005を用いてFPC−005を調整
した。結果は表3に記載の通りであった。 c)染料を結合したポリマー微粒子 FPI−005の調
製、水性インクとしての評価 ウレタン系ポリマー微粒子の水分散体 FPC−005の3
0gをビーカーに仕込み、攪拌下に保土ヶ谷化学(株)
社製赤色のカチオン染料 Cathilon Blill Red4GH200の
5%水溶液4.5gを徐々に添加する。次いで80℃に
昇温、30分間保持して染色されたポリマー微粒子 FPI
−005を得た。
【0159】この染色されたポリマー微粒子 FPI−00
5を用い、下記の処方で調製した水性インクの評価結果
は表12に示した通りであって、染料のみで調製した水
性インク( CON−005)に比較して滲み及び耐水性、
色鮮やかさにおいて優れ、FPI−005にあってはポリ
マー微粒子 FPC−006に染料が結合したものであるこ
とを示している。
【0160】
【表11】
【0161】
【表12】
【0162】実施例12及び比較例6 実施例5のa)と同じ方法で調製した黒色微粒子 FPI-
004の水分散体を孔径4.0μmのミリポアフィルタ
ーを通して得られた黒色分散体80部にグリセリン20
部を配合、撹拌混合してインクジェット用インク(N
o.1)を調製した。得られたインクをサーマルジェッ
ト式インクジェットプリンター(日本ヒューレットパッ
カード(株)社製DJ560J)を用い、富士ゼロックス
(株)社製PPC用紙で印刷試験を行った。その際、黒色
微粒子の代わりに染料を用いて調製したインク(Re.
1)を用いて比較した。結果は表13に示した通りであ
る。
【0163】印刷試験の結果は表13で明らかなように
微粒子から得たインクは染料のみから得たインクに比較
して滲み、耐水性、色鮮やかさの点で優れていることが
分かる。
【0164】
【表13】
【0165】実施例13及び比較例7 実施例6のc)と同じ方法で調製した赤色微粒子 FPI-
005の水分散体を孔径4.0μmのミリポアフィルタ
ーを通して得られた赤色分散体80部にグリセリン20
部を配合、撹拌混合してインクジェット用インク(N
o.2)を調製した。得られたインクをサーマルジェッ
ト式インクジェットプリンター(日本ヒューレットパッ
カード(株)社製DJ560J)を用い、富士ゼロックス
(株)社製PPC用紙で印刷試験を行った。その際、赤色
微粒子の代わりに染料を用いて調製したインク(Re.
2)を用いて比較した。結果は表14に示した通りであ
る。
【0166】印刷試験の結果は表14で明らかなように
微粒子から得たインクは染料のみから得たインクに比較
して滲み、耐水性、色鮮やかさの点で優れていることが
分かる。
【0167】
【表14】
【0168】
【発明の効果】本発明の染料を結合した特定のポリマー
微粒子は、色鮮やかで濃度も得やすく、滲みを生じ難
く、耐久性にも優れるため、筆記用水性インク、インク
ジェット用インク等の用途に好適なポリマー微粒子であ
る。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にポリマー微粒子と結合しうる官
    能基を有する染料と平均粒子径が5〜700nm、最大
    粒子径が1000nm以下、粒度分布がワイブル確率分
    布を適用した場合の形状パラメーターのm値で1.5以
    上であるポリマー微粒子とが結合してなるポリマー微粒
    子。
  2. 【請求項2】 ポリマー微粒子が、有機溶剤に不溶であ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリマー微粒子。
  3. 【請求項3】 有機溶剤がアセトンであることを特徴と
    する請求項2に記載のポリマー微粒子。
  4. 【請求項4】 ポリマー微粒子が、架橋構造を有するこ
    とを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のポリ
    マー微粒子。
  5. 【請求項5】 ポリマー微粒子が、ウレタン系ポリマー
    微粒子であることを特徴とする請求項1から4の何れか
    1項記載のポリマー微粒子。
  6. 【請求項6】 ウレタン系ポリマー微粒子が、イオン対
    を形成し得る基を有するウレタン系ポリマー微粒子であ
    ることを特徴とする請求項5記載のポリマー微粒子。
  7. 【請求項7】 ウレタン系ポリマー微粒子が、カルボン
    酸塩の基及び/又はスルフォン酸塩の基を有することを
    特徴とする請求項6記載のポリマー微粒子。
  8. 【請求項8】 分子中にポリマー微粒子と結合しうる官
    能基を有する染料の官能基が、カルボキシル基、スルフ
    ォン酸基、アミノ基及びこれら官能基の塩、並びに水酸
    基からなる群から選ばれる1種又は2種以上であること
    を特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載のポリマー
    微粒子。
  9. 【請求項9】 ポリマー微粒子が、球状であることを特
    徴とする請求項1から8の何れか1項記載のポリマー微
    粒子。
  10. 【請求項10】 ポリマー微粒子が、イオン対を形成し
    得る基を有するポリオール(A)と、ポリイソシアネー
    ト(B)、ポリアミン(C)を必須の成分として反応し
    て得られるウレタン系ポリマー微粒子であることを特徴
    とする請求項7〜9の何れか1項記載のポリマー微粒
    子。
  11. 【請求項11】 ウレタン系微粒子が、ポリウレタン・
    ポリ尿素構造を有することを特徴とする請求項5から1
    0の何れか1項記載のポリマー微粒子。
  12. 【請求項12】 請求項1から11の何れかに記載のポ
    リマー微粒子を含有してなる水性インキ。
  13. 【請求項13】 請求項1から11の何れかに記載のポ
    リマー微粒子を含有してなるインクジェット記録用イン
    キ。
JP22665896A 1996-08-28 1996-08-28 ポリマー微粒子 Pending JPH1067958A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22665896A JPH1067958A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 ポリマー微粒子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22665896A JPH1067958A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 ポリマー微粒子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1067958A true JPH1067958A (ja) 1998-03-10

Family

ID=16848634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22665896A Pending JPH1067958A (ja) 1996-08-28 1996-08-28 ポリマー微粒子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1067958A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0983866A2 (en) * 1998-08-31 2000-03-08 Eastman Kodak Company Melt-fusible ink-jet recording elements and inks
EP1308486A1 (en) * 2001-11-01 2003-05-07 Kao Corporation Ink set
JP2009029867A (ja) * 2007-07-25 2009-02-12 Konishi Co Ltd 膨潤型吸油性ポリマー粒子
WO2010064698A1 (ja) * 2008-12-05 2010-06-10 コニシ株式会社 ポリウレタン粒子及びポリウレタン粒子群の製造方法
JP2015129269A (ja) * 2013-12-05 2015-07-16 キヤノン株式会社 インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0983866A2 (en) * 1998-08-31 2000-03-08 Eastman Kodak Company Melt-fusible ink-jet recording elements and inks
EP0983866A3 (en) * 1998-08-31 2001-09-19 Eastman Kodak Company Melt-fusible ink-jet recording elements and inks
EP1308486A1 (en) * 2001-11-01 2003-05-07 Kao Corporation Ink set
US6960622B2 (en) 2001-11-01 2005-11-01 Kao Corporation Ink set
JP2009029867A (ja) * 2007-07-25 2009-02-12 Konishi Co Ltd 膨潤型吸油性ポリマー粒子
WO2010064698A1 (ja) * 2008-12-05 2010-06-10 コニシ株式会社 ポリウレタン粒子及びポリウレタン粒子群の製造方法
JP2010132779A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Konishi Co Ltd ポリウレタン粒子及びポリウレタン粒子群の製造方法
EP2365024A1 (en) * 2008-12-05 2011-09-14 Konishi Co., Ltd. Polyurethane particles and method for producing polyurethane particle cluster
EP2365024A4 (en) * 2008-12-05 2012-12-26 Konishi Co Ltd POLYURETHANE PARTICLES AND METHOD FOR MANUFACTURING POLYURETHANE PARTICLE AGGREGATES
JP2015129269A (ja) * 2013-12-05 2015-07-16 キヤノン株式会社 インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6034154A (en) Polymer fine particles for jet ink, process for producing the same, and jet ink comprising the same
US7176248B2 (en) Smear resistant inkjet inks
JP5647106B2 (ja) 架橋ポリウレタンを含有し、さらに追加の反応性成分を含有する生地用インクジェットインク
JP6928655B2 (ja) 捺染用インクジェットインク、インクカートリッジ、インクセット、及びインクジェット捺染方法
EP2294103B1 (en) Urea-terminated polyurethane dispersants for ink jet inks
CN108340676A (zh) 清洗液,清洗方法及其装置,喷墨记录方法及其装置
US20170233595A1 (en) Aqueous polymer compositions for printing, digital ink jet inks and printing onto textiles
US20130196124A1 (en) Aqueous Ink Jet Ink Composition
EP2220177A1 (en) Aqueous inkjet inks with ionically stabilized dispersions and polyurethane ink additives
US20120220718A1 (en) Ink-jet ink comprising cross-linked pigment dispersion based on polyurethane dispersants
JP2003034071A (ja) インクジェット印刷方法
JP2011519380A (ja) インク、方法および使用
JP6154325B2 (ja) 被架橋顔料分散物およびポリマーバインダーを含むインクジェットインク
US9062228B2 (en) Aqueous inkjet inks containing polyurethane binders with components to interact with cellulose
WO2009143441A1 (en) Urea-terminated polyurethane dispersants
EP2235084A1 (en) Polyurethanes with nonionic hydrophilic terminating groups and aqueous dispersions thereof
JPH08295837A (ja) 顔料含有ジェットインク用ポリマー微粒子及びそれを含有するジェットインク
JPH0859770A (ja) ポリウレタンポリ尿素架橋微粒子分散体及びその製造方法
JPH1067958A (ja) ポリマー微粒子
JPH093376A (ja) ジェットインク用熱可塑性ポリマー微粒子及びジェットインク
JP3922460B2 (ja) ジェットインク用ポリマー微粒子及びジェットインク
JP2017114991A (ja) インク、インク収容容器、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物
JPH06200149A (ja) 水性顔料分散体
JP3041899B2 (ja) 意匠性印刷インキ
JPWO2020004228A1 (ja) インク、インクカートリッジ、インクセット、インクジェットプリンタ及びインクジェット捺染方法