JPH1067667A - 血小板の安定化方法 - Google Patents

血小板の安定化方法

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JPH1067667A JP9225953A JP22595397A JPH1067667A JP H1067667 A JPH1067667 A JP H1067667A JP 9225953 A JP9225953 A JP 9225953A JP 22595397 A JP22595397 A JP 22595397A JP H1067667 A JPH1067667 A JP H1067667A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機能活性を維持している活性化可能な血小板
の安定化方法および機能的に安定な血小板プレパレーシ
ョンの提供。 【解決手段】 血小板に血小板機能阻害剤および安定化
剤を添加して凍結乾燥することからなる活性化可能な血
小板の安定化方法およびその方法によって得られる機能
的に安定な血小板プレパレーション。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能的に活性な血
小板プレパレーション、および凍結乾燥によってこれら
の機能的に活性な血小板を安定化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】機能的に活性な血小板は、診断および治
療の両者に関連して価値がある。機能的に活性な血小板
プレパレーションを用いる態様の一例には、血小板機能
の診断のための対照材料としてのプレパレーションの使
用がある。血小板凝集測定法はこの診断に最も重要な役
割を果たしている。この診断は、一般に富血小板血漿と
して存在する新鮮な血小板の、様々な凝集促進剤、とく
にADP、アドレナリン、アラキドン酸、コラーゲンお
よびトロンビンに対する反応性の測定を包含する。反応
は通常、既知の濁度測定法を用いて測定される。凝集誘
発剤(アドレナリンを除く)はまず最初に、細胞の形状
に変化をもたらし、この変化は吸光度の一過性の上昇に
よって認知可能である。ついで凝集が起こる。二相性の
凝集曲線を生じることが多い。第二相は放出反応および
プロスタグランジンの合成に密接に関連する。アラキド
ン酸およびコラーゲンは不可逆性の凝集の表現として単
相性の凝集曲線しか誘発しない。
【0003】血小板機能の検討は今日では、合理化と正
確さのために広範囲に自動化されている。結果の評価に
は品質管理戦略が絶対的に必要である。この診断を管理
するために選択できることは、従来「正常」ドナーから
のサンプルのプールの使用しかなかった[Abernathyら
(1978) Throm. Haemostas. 39, p.246]。臨床検査室で
この管理材料を準備するには、莫大な努力と経費がかか
りすぎる。確定された一定の性質を有し、安定で機能的
に活性な血小板プレパレーションが血小板機能の管理に
は望ましいが、このようなプレパレーションはこれまで
なかった。
【0004】安定で機能的に活性な血小板の使用の他の
態様には、血小板が試剤の一つとして用いられる診断試
験法におけるそれらの使用がある。このような方法の一
例としては、ヘパリン関連血小板減少症(HAT)の診
断のための試験がある。これは稀(約5%)ではある
が、ヘパリンによる抗血栓療法における重大な併発症で
ある。非免疫型(HAT I)は、免疫によって決定さ
れる型(HAT II)とは区別される。医薬により誘発
され、一般に出血の併発症を惹起する他の血小板減少症
の場合とは異なり、HATは大血管の閉塞にまで及ぶ血
栓塞栓症の併発を生じる。II型HATの早期診断には様
々な診断アプローチが使用される。初期の予備的試験で
ある血小板の計数や標準方法としてのセロトニン放出試
験は別として、ヘパリン誘発血小板凝集(HIPA)の
試験は、感度および特異性の点で標準方法に近く、とく
に適している[Greinacherら (1991) Thromb. Haemosta
s. 66(6), 734;Greinacherら(1994) Transfusion 34,
p.381]。この試験は患者の血漿が健康なドナーからの
血小板を適当な条件(低ヘパリン濃度)下に凝集させる
ことができるかどうかを検討する。数例の健康なドナー
から富血小板血漿をプールする必要がある血小板の準備
は、臨床検査室にとっては経費と時間がかかりすぎて、
この試験を臨床検査室の定常検査に導入することをこれ
まで阻んできた。適当な条件下に凝集できる程度までの
機能的活性をまだ維持している安定な血小板プレパレー
ションがあれば、この試験の実施は実質的に単純化さ
れ、加速される筈である。
【0005】治療的には、血小板濃縮物は様々な原因に
よる血小板の機能障害の処置に使用できる。血小板濃度
70,000/μl未満は血小板減少症と呼ばれる。血小
板減少症は、血小板の不十分な産生、これらの細胞の分
解の促進、または血小板の異常な分布のいずれかによっ
て起こる[Colmanら(1987) Haemostasis and Thrombosi
s(J.B.Lipincott. Co.) 2版, 28章]。原理的には、不
適切な血小板機能は遺伝的に決定される(たとえば、グ
ランツマン血小板無力症またはベルナール・スリエ症候
群)か、または後天的に獲得される(たとえば、悪性疾
患、化学療法または播種性血管内凝固症候群に伴う骨髄
不全)。多くの薬物、医薬および電離放射線が後天的な
血小板減少症を招来し得る。
【0006】血小板減少症に冒されている患者には血友
病に類似する出血傾向がある。一般に、出血は毛細血管
から起こり、典型的な例は粘膜への比較的軽度の出血で
ある(点状出血)。正常の場合は、毛細血管に対する軽
度の傷害は血小板の凝集によって閉鎖される。
【0007】現在、血小板数の低い患者は濃厚血小板の
輸血によって処置される。これらの濃縮物は通常、血漿
約50ml中に6×1010個の血小板を含有する。これら
は、抗凝固剤処理された血液を段階的に遠心分離し、沈
降血小板を再度血漿に取って調製される。別法として、
濃厚血小板は、血液から血小板を直接分離する血液成分
分離装置を用いて調製することができる。適当な条件
(室温)下に、濃厚血小板は7日まで保存できる。保存
時には、濃縮物を含む袋は絶えず運動させていなければ
ならない。濃厚血小板をさらに長期間保存できることは
望ましいが、これはこれまで達成されていない。
【0008】診断または治療の目的での濃厚血小板の耐
久性を増大させるために可能な第一の戦略は、血小板を
活性化する特定の機構のスイッチを切ることである。こ
れは血小板がそれらの濃縮および保存過程によって早期
に活性化されて含有成分を分泌し凝集しないことの保証
を意図するものである。この種の様々な戦略が文献に記
載されている。これらの戦略は、特定の洗浄操作から特
異的阻害剤の添加にまで及んでいる。たとえば、 −血小板凝集のアクティベーターであるカルシウムは、
たとえばEDTAのようなキレート剤により錯体として
封鎖できる。 −アクティベーターADPは酵素アピラーゼの添加によ
り完全にAMPに分解することができる。 −血小板の活性化に寄与すると考えられる血漿因子は血
小板の洗浄によって除去できる。 −トロンビンはヒルジンまたはヘパリン/アンチトロン
ビンIIIの添加によって阻害できる。 −プロスタサイクリン(PGI2)の添加は細胞のアデ
ニレートシクラーゼを刺激することにより血小板の凝集
を防止する。 −アスピリンまたはインドメタシンは、血小板のシクロ
オキシゲナーゼを阻害し、それによってトロンボキサン
の合成経路を不可逆的に遮断する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際
上、阻害剤の添加は血小板を不可逆的に損傷するかまた
はそれらの機能を強力に阻害することが見出されてい
る。これらの細胞を、それらの機能を有意に損なうこと
なく穏和な様式で安定化する方法が必要とされる。
【0010】安定化方法は、血小板がその全過程を通じ
てある程度の機能活性を維持することを保証するもので
なければならない。これは濃縮物の調製および安定化時
に、たとえば、血小板が形状を変えないこと、アクティ
ベーターを分泌しないこと、および凝集しないことの保
証を包含する。安定な血小板プレパレーションでは、血
小板は大部分が平円盤状の形状を有する個々の細胞とし
て存在しなければならない。その機能活性には、ある種
の細胞小器官(たとえば、a−顆粒)の保持、および分
子レベルで、細胞表面のある種の受容体、たとえばフォ
ンビルブラント因子の受容体として働く糖タンパク質I
b/IXまたはフィブリノーゲンの受容体として働く糖タ
ンパク質IIb/IIIaの維持が必須条件である。さら
に、受容体へのリガンドの結合に応答してメッセンジャ
ー物質を放出しまた生理的過程たとえばa−顆粒からの
分泌を始動する代謝経路が、無傷に維持されていること
を必要とする。
【0011】凍結乾燥により安定化された血小板は既に
記載されているが、これらの血小板はフォンビルブラン
ト因子による活性化に対して適切に反応するのみであ
る。
【0012】したがって、本発明は、上述の要求に合致
する血小板プレパレーションを利用可能にすることを目
的とするものであった。
【0013】
【課題を解決するための手段】個々の細胞として存在
し、機能的に活性な血小板が、驚くべきことに、特定の
阻害剤または安定化剤の添加後に凍結乾燥することによ
って得られることが見出された。
【0014】本発明の意味において、「機能的に活性」
の語は、安定化され再構築された血小板が、以下の物質
の添加に対して、少なくとも血小板特異的物質の分泌、
それらの幾何学的形状の変化、凝集または細胞集合によ
って反応することを意味する。
【0015】上述の添加物質は、ADP、カルシウム、
コラーゲン、アラキドン酸、トロンビン、血小板の構成
成分に対する抗体、および血液凝固カスケードからの血
小板アクティベーターである。血小板はまた、このリス
トからの個々の物質またはそれらの選ばれた組合せに特
異的に反応することが好ましい。血小板はヘパリンの添
加に反応することがとくに好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】したがって、本発明は、最初にま
ず血液を採血し、抗血液凝固剤と混合することによる機
能的に活性な血小板を得る方法に関する。この関連で適
当な抗血液凝固剤は、一般に用いられている抗血液凝固
剤たとえばクエン酸塩またはEDTAであり、これらは
通例用いられる濃度で使用される。好ましい様式におい
ては、阻害剤は採血メジウム中に包含される。たとえ
ば、トロンビン阻害剤を、血液中で形成できるすべての
トロンビンが確実に阻害される濃度で包含させることが
有利である。ヒルジンを最終濃度1単位/ml〜10単位
/mlで使用することがとくに有利である。また、血小板
機能阻害剤を包含させることも可能である。上述の血小
板機能の特異的な阻害剤に加えて、驚くべきことに物質
ヒドロキシクロロキン硫酸塩が血小板機能の阻害剤とし
ての使用に適している。クロロキンおよびヒドロキシク
ロロキンは抗マラリヤ剤として知られている。これらは
細胞膜を完全に通過できる陽イオン型両親媒性薬物であ
る。ミリモル濃度のヒドロキシクロロキン硫酸塩、好ま
しくは0.1〜5g/リットル、とくに好ましくは5g
/リットルが血小板の安定化に適している。
【0017】血小板は、抗血液凝固剤処理された血液か
ら、たとえば本技術分野の熟練者には既知の方法を用
い、連続遠心分離により分離される。最初の工程では遠
心分離はたとえば、3000×gで45分間行われる。
血小板をバッフィーコートから分離して得、抗血液凝固
剤の緩衝溶液中に取る。この材料を200×gで20分
間遠心分離して他の血液細胞と分離する。血小板は上清
を形成する。
【0018】これらの血小板をついで、過剰の洗浄緩衝
液で数回洗浄する。洗浄緩衝液は抗血液凝固剤、緩衝物
質および安定化剤を含有する。適当な抗血液凝固剤の例
にはEDTAまたはクエン酸塩がある。緩衝もクエン酸
で行うことができるし、また他の緩衝系(HEPESま
たはリン酸塩)を使用することもできる。洗浄緩衝液は
好ましくは以下の組成:クエン酸ナトリウム32.2g
/リットル、ヒドロキシクロロキン硫酸塩5g/リット
ル、pH7.4とすることができる。
【0019】ついで、血小板懸濁液に凍結乾燥のための
ケーキ形成剤をさらに加える。多糖たとえばマンニトー
ル、またはタンパク質たとえばポリゲリンもしくは血清
アルブミンが有利である。好ましくは血清アルブミンを
最終濃度0.1〜100g/リットル、さらに好ましく
は10〜70g/リットル、とくに好ましくは50g/
リットルで使用される。
【0020】最終的に、血小板は104/μl〜108
μl、好ましくは107/μlの濃度に調整される。
【0021】血小板は、室温(10〜40℃、好ましく
は20〜25℃)で5〜60分、好ましくは10〜40
分、とくに好ましくは約30分インキュベートするのが
有利で、ついで残留水分含量0%〜10%、好ましくは
約3%が達成されるように凍結乾燥する。
【0022】阻害剤とケーキ形成剤を合わせて添加する
のがとくに有利である。これによって、凍結し凍結乾燥
したのち血小板が生理学的なアクティベーターにより活
性化可能であるという意味において、血小板は明らかに
安定化される。
【0023】再構築には、凍結乾燥血小板濃縮物を活性
化緩衝液中に再構築するのが有利である。この緩衝液に
は、たとえば、 −グルコース0g/リットル〜100g/リットル、好
ましくは1g/リットル〜10g/リットル、とくに好
ましくは約2.4g/リットルの濃度、 −マグネシウム塩、好ましくは塩化マグネシウム0g/
リットル〜100g/リットル、好ましくは1g/リッ
トル〜5g/リットル、とくに好ましくは約1.2g/
リットルの濃度、 −カリウム塩、好ましくは塩化カリウム0g/リットル
〜100g/リットル、好ましくは1g/リットル〜5
g/リットル、とくに好ましくは約1.6g/リットル
の濃度、 −ナトリウム塩、好ましくは食塩0g/リットル〜10
0g/リットル、好ましくは0.5g/リットル〜5g
/リットル、とくに好ましくは約0.6g/リットルの
濃度を含有させる。
【0024】血小板機能の阻害剤を除去するためには、
血小板を上述の活性化緩衝液中で、たとえば懸濁し、約
2400×gで遠心分離して沈降させることによって洗
浄することもできる。
【0025】これらの工程ののちに、血小板濃縮物は、
血小板機能試験のための標準材料または診断試験のため
の試剤として使用することができる。
【0026】凍結乾燥した血小板は+4℃で少なくとも
6カ月保存できる。この保存は凝集測定法で測定される
血小板のアクティベーター、たとえばコラーゲンまたは
トロンビンに対する反応性を損なうことがない。したが
って、安定性は、血小板濃厚液の耐久性(7日)に比較
して少なくともファクターで30改善される。
【0027】凍結乾燥した血小板は、血小板欠損または
血小板機能異常の処置のための医薬としても使用でき
る。
【0028】治療的に使用できる組成物を調製するため
には、血小板を適当な形態に処方しなければならない。
この目的では、熟練者にはそれ自体周知の医薬的に使用
可能な担体系が用いられる。好ましくは、血小板は滅菌
懸濁液として静脈内に投与される。凍結乾燥された材料
は、治療的に活性な材料として活性化可能な血小板、さ
らに安定化剤として、ヒドロキシクロロキン硫酸塩およ
び血清アルブミンから構成される。医薬的にそのまま使
用できる薬剤は、注射用滅菌水に再懸濁することによっ
て既に得られている。ヒドロキシクロロキン硫酸塩およ
び血清アルブミンは両者とも、ヒトにおける広範な使用
経験がある。ヒドロキシクロロキン硫酸塩は古くから知
られているマラリヤ治療用の薬物である[Webster (198
8) in: The Pharmacological Basis of Therapeutics;
L.S.Goodman & A.Gilman, 8版]。その使用経路は一般
に経口であるが、静脈内への使用も可能である[White
(1990)Eur. J. Clin. Pharm. 34 (1), p.1-14]。使用
に好ましいヒドロキシクロロキン硫酸塩の濃度約5g/
リットルおよび血小板の濃度107/μlにおいて、血液
1リットル中に通常含まれる血小板数の輸血ではヒドロ
キシクロロキン硫酸塩250mgの摂取を伴うことにな
る。マラリヤ治療時には1日にこの物質は500mgまで
使用される。0.8mg/kg/時の静脈内投与は毒性学的
に無害である(White, 1988)。したがって、血小板へ
のヒドロキシクロロキン硫酸塩の添加は毒性学的に無害
であると考えられる。
【0029】ヒト血清アルブミンはよく知られた毒性学
的に無害の安定化剤であり、多くの承認された薬剤に含
有されている。
【0030】凍結乾燥した血小板を注射用滅菌水に溶解
後そのまま輸血する方法のほかに、患者に使用するため
の他の血小板処方の採用も可能である。すなわち、最初
に水に再懸濁した血小板を、たとえば数回適当に洗浄し
て、ヒドロキシクロロキンを除去することができる。こ
のためには、約2400×gで遠心分離して血小板を沈
降させ、ついで医薬的に適当なメジウム中に取る。原理
的には、この場合の医薬的に適当なメジウムはこの目的
のために熟練者にはそれ自体周知のすべての溶液であ
り、たとえば、滅菌塩溶液(たとえば、等張性NaCl
溶液もしくは他の塩溶液)、滅菌緩衝溶液(クエン酸
塩、TrisもしくはHEPES)および安定化剤(タン
パク質、たとえばヒト血清アルブミンもしくは他のタン
パク質、または糖たとえばマンニトールもしくは他の
糖)の滅菌溶液である。
【0031】
【実施例】以下の実施例は本発明をさらに明瞭にするこ
とを意図するものである。 実施例1.1:加クエン酸血液から血小板濃縮物の調製 健康ドナーから静脈穿刺により血液を採取し、直ちに抗
血液凝固剤と混合する。これは、濃厚クエン酸塩緩衝液
(39.6g/リットル クエン酸ナトリウム+0.26
g/リットル クエン酸、pH7)50mlを予め加えたフ
ラスコを、気泡の形成を避けながら、血液500mlで満
たすことによって行われる。内容物を混合するために、
フラスコを注意深く振盪する。血液をステンレス鋼製の
容器に移し、12〜18℃において、約3000×gで
45分間遠心分離する。上層の血漿を捨てる。直下の細
胞層、すなわちバッフィーコートを洗浄緩衝液(32.
2g/リットルのクエン酸ナトリウム、5g/リットル
のヒドロキシクロロキン硫酸塩、pH7.4)に取り、2
00×gで20分間の遠心分離を2回して白血球を分離
する。上清が血小板懸濁液を形成する。ついで細胞をさ
らに2回洗浄緩衝液で洗浄する。このためには懸濁液を
最初に2400×gで20分間遠心分離して沈降させた
のち、各場合毎に洗浄緩衝液に再懸濁する。
【0032】実施例1.2:血小板濃縮物の凍結乾燥 血小板懸濁液を実施例1に記載のように調製する。血小
板密度を自動カウンター(Moelab, Hilden, Germany)
を用いて測定する。ついで懸濁液を洗浄緩衝液により5
×107/μlに調整する。懸濁液1mlあたり50mgのウ
シ血清アルブミンを加える。ついでこの懸濁液を適当な
容器に充填し、穏和な条件下に凍結乾燥する。最高温度
は40℃に設定し、乾燥は計25時間続ける。この過程
は残留水分含量が約1〜2%になるように行う。
【0033】実施例2:凍結乾燥後、コラーゲンによる
血小板の凝集 血小板は、実施例1に記載のように、調製し凍結乾燥す
る。凍結乾燥物を元の容量の蒸留水中に再構築する。血
小板を2500×gで10分間遠心分離して沈降させ、
同容量の等張性食塩溶液中に取り、ついでこの溶液で2
回洗浄する。次に、血小板を活性化緩衝液(2.4g/
リットル グルコース、0.6g/リットル NaCl、
1.2g/リットルMgCl2、1.6g/リットルKC
l)に取り、この緩衝液を用いて濃度を4.6×105
μlに調整する。血小板を自動カウンター(Moelab, Hil
den, Germany)を用いて計数する。
【0034】富血小板加クエン酸血漿(健康ドナーから
プール)を、寡血小板血漿で4.8×105/μlに調整
して陽性対照として使用する。4%ホルマリン中に固定
したのち凍結乾燥した血小板を陰性対照として用いる。
これらの血小板は等張性NaCl溶液中に再構築して
4.9×105/μlに調整する。
【0035】1000μlの血小板を、ヒト胎盤コラー
ゲン(1mg/ml, Behring Diagnostics, Marburg, Germ
any)100μlまたは対照として100μlの等張性N
aClと混合し、37℃で15分間インキュベートす
る。混合物をついで40×gで10分間遠心分離して凝
集体を分離する。
【0036】上清中の血小板の密度を各場合について測
定し、凝集できない血小板の比率の指標とする。
【表1】
【0037】富血小板血漿からの血小板および凍結乾燥
された血小板は、選択された条件下に、ほぼすべてが分
離可能な集合体の形態で存在するが、ホルマリン固定血
小板は凝集させることができない。
【0038】実施例3:凍結乾燥後、トロンビンによる
血小板の凝集 血小板は、実施例1に記載のように、調製し凍結乾燥す
る。凍結乾燥物を元の容量の蒸留水中に再構築する。血
小板を2500×gで10分間遠心分離して沈降させ、
同容量の等張性食塩溶液中に取り、ついでこの溶液中で
2回洗浄する。次に血小板を活性化緩衝液(2.4g/
リットル グルコース、0.6g/リットル NaCl、
1.2g/リットル MgCl2、1.6g/リットル K
Cl)に取り、この緩衝溶液を用いて濃度4.6×105
/μlに調整する。血小板を自動カウンター(Moelab, H
ilden, Germany)を用いて計数する。
【0039】4%ホルマリン中に固定したのち凍結乾燥
した血小板を陰性対照として使用する。これらの血小板
は等張性NaCl溶液中に再構築して4.7×105/μ
lに調整する。
【0040】1000μlの血小板を、37℃で15分
間プレインキュベートする。ついで精製したウシトロン
ビン(100μl, 3IU/ml;Behring Diagnostics)ま
たは100μlの等張性NaClを添加する。インキュ
ベーションは37℃で15分間実施する。混合物をつい
で40×gで10分間遠心分離して凝集体を分離する。
【0041】上清中の血小板の密度を各場合について測
定し、凝集できない血小板の比率の指標とした。
【表2】
【0042】凍結乾燥された血小板の約2/3は、選択さ
れた条件下に、分離可能な集合体として存在するが、ホ
ルマリン固定化血小板は凝集させることができない。

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凍結乾燥によって安定化された機能的に
    活性な血小板。
  2. 【請求項2】 哺乳動物血液から単離された請求項1記
    載の血小板。
  3. 【請求項3】 採血した血液を採血メジウムと混合し、
    採血メジウムは抗血液凝固剤からなる請求項2記載の血
    小板。
  4. 【請求項4】 少なくとも1種の血小板凝集阻害剤を採
    血メジウムに添加する請求項3記載の血小板。
  5. 【請求項5】 採血メジウムは、最終濃度0.1U/ml
    〜10U/ml、好ましくは1U/ml〜4U/ml、とくに
    好ましくは約2U/mlのヒルジンからなる請求項4記載
    の血小板。
  6. 【請求項6】 採血メジウムはクロロキン、ヒドロキシ
    クロロキン、カモキン、キナクリンおよびプロカインか
    ら選ばれる1種の物質からなる請求項4記載の血小板。
  7. 【請求項7】 ヒドロキシクロロキンを0.1g/リッ
    トル〜100g/リットル、好ましくは1g/リットル
    〜10g/リットル、とくに好ましくは約5g/リット
    ルの濃度で使用する請求項6記載の血小板。
  8. 【請求項8】 凍結乾燥の前に洗浄される請求項1記載
    の血小板。
  9. 【請求項9】 洗浄緩衝液は抗血液凝固剤好ましくはク
    エン酸塩1g/リットル〜50g/リットル、好ましく
    は2g/リットル〜10g/リットル、とくに好ましく
    は約3.8g/リットルからなる請求項8記載の血小
    板。
  10. 【請求項10】 洗浄緩衝液は、以下の物質:クロロキ
    ン、ヒドロキシクロロキン、カモキン、キナクリンおよ
    びプロカインの群から選ばれる阻害剤からなる請求項8
    記載の血小板。
  11. 【請求項11】 ヒドロキシクロロキンを0.1g/リ
    ットル〜100g/リットル、好ましくは1g/リット
    ル〜10g/リットル、とくに好ましくは約5g/リッ
    トルまでの濃度で使用する請求項10記載の血小板。
  12. 【請求項12】 凍結乾燥の前に少なくとも1種の安定
    化剤を添加する請求項1記載の血小板。
  13. 【請求項13】 安定化剤として、以下の物質:血清ア
    ルブミン1g/リットル〜100g/リットル、好まし
    くは20g/リットル〜60g/リットル、とくに好ま
    しくは約50g/リットル の濃度、炭水化物、好まし
    くはマンニトール1mg/リットル〜100g/リット
    ル、好ましくは5g/リットル〜30g/リットル、と
    くに好ましくは約10g/リットル の濃度、またはポ
    リゲリン1mg/リットル〜100g/リットル、好まし
    くは5g/リットル〜30g/リットル、とくに好まし
    くは10g/リットルの濃度の1種が添加される請求項
    12記載の血小板。
  14. 【請求項14】 凍結乾燥の前に104/μl〜109
    μlの濃度に調整される請求項1記載の血小板。
  15. 【請求項15】 凍結乾燥は残留水分含量0%〜10
    %、好ましくは約3%が達成されるように行われる請求
    項1記載の血小板。
  16. 【請求項16】 凍結乾燥後に活性化緩衝液中に再構築
    される請求項1記載の血小板。
  17. 【請求項17】 活性化緩衝液は以下の物質:グルコー
    ス1mg/リットル〜100g/リットル、好ましくは
    0.1g/リットル〜5g/リットル、とくに好ましく
    は約2.4g/リットルの濃度、さらにマグネシウム塩
    好ましくは塩化マグネシウム1mg/リットル〜100g
    /リットル、好ましくは0.1g/リットル〜5g/リ
    ットル、とくに好ましくは約1.2g/リットルの濃
    度、さらにカリウム塩好ましくは塩化カリウム1mg/リ
    ットル〜100g/リットル、好ましくは0.1g/リ
    ットル〜5g/リットル、とくに好ましくは約1.6g
    /リットルの濃度、およびナトリウム塩好ましくは食塩
    1 mg/l〜100 g/l、好ましくは0.1g/リットル〜5
    g/リットル、とくに好ましくは約0.6g/リットル
    の濃度からなる請求項16記載の血小板。
  18. 【請求項18】 請求項1記載の血小板からなる試剤。
  19. 【請求項19】 血小板機能試験の標準または対照物質
    として使用される請求項18記載の試剤。
  20. 【請求項20】 ヘパリン誘発血小板減少症を検出する
    ために使用される請求項18記載の試剤。
  21. 【請求項21】 請求項1記載の血小板の治療量および
    医薬的に許容される担体材料からなる、患者の不適切な
    血小板機能を処置するための医薬組成物。
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