JPH1067542A - 薄膜付きガラス板およびその製造方法 - Google Patents

薄膜付きガラス板およびその製造方法

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JPH1067542A
JPH1067542A JP22382396A JP22382396A JPH1067542A JP H1067542 A JPH1067542 A JP H1067542A JP 22382396 A JP22382396 A JP 22382396A JP 22382396 A JP22382396 A JP 22382396A JP H1067542 A JPH1067542 A JP H1067542A
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glass plate
metal
film
glass
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Isao Muraguchi
功 村口
Hidemi Nakai
日出海 中井
Toshio Sumi
俊雄 角
Tadashi Kumakiri
正 熊切
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Kobe Steel Ltd
NSG Techno Research Co Ltd
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Kobe Steel Ltd
Nippon Sheet Glass Techno Research Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下地膜を形成することなくガラス板とその表
面に形成した薄膜の密着性を改善する。 【解決手段】 ガラス板に断面方向の濃度分布が薄膜を
形成する表面の近傍で最大となるようにTi等の金属イ
オンを含有させて、好ましくはガラス板中に含まれる金
属イオンと同種の金属を含む薄膜とガラス板との密着性
を向上させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱線反射ガラス等
に代表される薄膜付きガラス板、すなわち、表面に金属
薄膜または金属化合物薄膜を形成した薄膜付きガラス板
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス板表面に薄膜を形成する方法とし
て、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティ
ング法などの真空成膜法が広く普及してきている。これ
らの真空成膜法では、膜の付着力を高めるために基板と
なるガラス板の洗浄が極めて重要である。ガラス板の洗
浄方法としては、ガラス板を各種の洗浄剤に浸漬した
り、これらの液でガラス板表面を吹き上げるいわゆる湿
式洗浄法が一般に採用されている。
【0003】一方、これらの洗浄方法では、真空成膜法
において十分な膜強度が得られないことから、特公平7
−115890号には、ガラス板表面に下地膜を形成し
た後にこの下地膜をガスイオン照射により処理し、この
下地膜の上に形成する被膜の付着力を向上させる方法が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、特公
平7−115890号に記載の方法は、下地膜を別個に
形成する必要があるため、薄膜を必要とされる膜数より
も1層余分に形成する必要があり、製造効率上難点があ
った。また、製造された薄膜付きガラス板も、照射され
たガスイオンを含む下地膜の存在により、薄膜全体の特
性が本来求められているものとは合致しない場合があっ
た。
【0005】かかる事情に鑑み、本発明は、本来必要と
される薄膜の他に下地膜等を形成することなくガラス板
と薄膜の密着性を向上させた薄膜付きガラス板およびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、基板とな
るガラス板に特徴的な濃度分布をもって金属イオンを分
布させることにより、上記目的を達成できることを見い
出した。
【0007】すなわち、請求項1に係る薄膜付きガラス
板は、ガラス板と、このガラス板の表面に形成した金属
薄膜または金属化合物薄膜とを有する薄膜付きガラス板
であって、前記ガラス板には、断面方向の濃度分布が前
記表面の近傍で最大となるように金属イオンを含有させ
て、前記表面におけるガラス板と薄膜との密着性を向上
させたことを特徴とする。また、請求項2に係る薄膜付
きガラス板は、請求項1に記載の薄膜付きガラス板にお
いて、前記薄膜は、ガラス板に含まれる前記金属イオン
と同種の金属を含むことを特徴とする。さらに、請求項
3に係る薄膜付きガラス板は、請求項1または2に記載
の薄膜付きガラス板において、前記金属イオンが、A
g、Al、Au、C、Ce、Co、Cu、Fe、Hf、
Ir、Mg、Mo、Nb、Ni、Pt、Si、Ta、T
i、W、Y、ZrおよびZnからなる群のうちの少なく
とも1種を含むことを特徴とする。
【0008】また、請求項4に係る薄膜付きガラス板の
製造方法は、ガラス板の表面に金属薄膜または金属化合
物薄膜を形成する薄膜付きガラス板の製造方法であっ
て、薄膜を形成する前に、加速した金属イオンを前記ガ
ラス板の薄膜を形成する表面に照射して、断面方向の濃
度分布が前記表面の近傍で最大となるように前記ガラス
板中に金属イオンを含有させることを特徴とする。
【0009】請求項1に係る発明によれば、ガラス板表
面近傍に金属イオンが存在しているので、この表面上に
形成される金属薄膜または金属化合物薄膜とガラス板と
の付着が強固になり、密着性が向上する。この密着性の
向上には、ガラス板表面近傍の金属イオンと薄膜中の金
属との化学結合が寄与していると考えられる。また、同
発明によれば、下地膜による薄膜特性への影響が排除さ
れる。さらに、同発明によれば、金属イオンはガラス板
表面近傍において最大の濃度を有していてガラス板内部
の濃度が相対的に低いので、金属イオンによる薄膜付き
ガラス板の特性への影響は過度に至ることはない。すな
わち、ガラス板に金属イオンを均等に分布させて薄膜と
の密着性向上を図った場合よりも、薄膜付きガラス板の
光学特性等の変化(例えば可視光透過率の低減)は抑制
されている。
【0010】請求項2に係る発明によれば、金属薄膜ま
たは金属化合物薄膜に、ガラス板に含まれる金属イオン
と同種の金属が含まれているので、ガラス板表面におけ
る化学結合がより大きく密着性に寄与する。
【0011】請求項4に係る発明によれば、薄膜とガラ
ス板の密着性が向上した薄膜付きガラス板を効率的に製
造できる。すなわち、薄膜とガラス板との間に下地膜を
形成することなく薄膜の付着力を向上させることができ
る。下地膜は、その形成自体が製造効率上好ましくない
だけではなく、上述のように、薄膜の特性を変化させる
おそれがある。
【0012】特に、請求項4に係る発明によれば、金属
イオンをガラス板表面に照射することによるガラス板表
面のエッチング効果(スパッタリング効果)もあり、単
にガラス板中に金属イオンを分散させただけでは得られ
ない大きな薄膜の付着力向上が得られる。すなわち、金
属イオンの照射は、ガラス板表面に付着している有機汚
染物質や吸着水の除去、およびダングリングボンドの生
成による基板表面の活性化にも効果があり、これら効果
はすべてガラス板とその上に形成する薄膜との付着力の
向上に寄与する。
【0013】しかも、請求項4に係る発明によれば、ソ
ーダライムシリカガラス等アルカリ成分を含むガラス板
を用いた場合には、金属イオン注入によるガラス板中に
おけるアルカリ成分の分布変化が薄膜の付着力向上に寄
与する。すなわち、ガラス板表面近傍のソーダ(Na2
O )等のアルカリ成分は、水分や炭酸ガスを吸収し溶
解しやすく、ガラス板と薄膜との密着性を悪化させる原
因となるが、ガラス板への金属イオン照射によりガラス
板表面近傍に含まれるアルカリ成分の濃度分布を低下さ
せることができるため、薄膜の付着力はアルカリ成分に
よる悪影響を受けない。また、ガラス板表面近傍で濃度
が最大となるように分布する金属イオンは、この近傍で
のアルカリ成分の濃度を最小にするとともに、相対的に
濃度が上昇したガラス板内部のアルカリ成分の表面への
溶出をも抑制する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る薄膜付きガ
ラス板1の模式的断面図である。表面近傍で最大濃度を
示すように分布した金属イオンを含有するガラス板2の
表面に薄膜3が形成されている。なお、図1における金
属イオン4は、濃度分布を視覚的に明示するために模式
的に示してある。
【0015】ここで、ガラス板2としては、使用目的に
応じて、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラ
ス、硼珪酸ガラス、リチウムアルミノシリケートガラ
ス、石英ガラス等を使用することができる。ソーダライ
ムガラス等アルカリ成分を含むガラスを用いると、上述
のようなアルカリ成分の薄膜への影響排除の効果が得ら
れる。
【0016】また、薄膜3としては、金属薄膜または金
属化合物薄膜であれば特に限定されないが、代表的に
は、紫外線吸収薄膜、熱線反射薄膜、熱線吸収薄膜等の
太陽光線をコントロールするための薄膜、ガラス表面の
放射率を制御する低放射薄膜、通電によりガラス表面を
加熱するための導電性薄膜、可視光反射率を制御する低
反射薄膜、美観向上のための有色薄膜等を挙げることが
できる。この薄膜3は、Ag、Al、Au、C、Ce、
Co、Cu、Fe、Hf、Ir、Mg、Mo、Nb、N
i、Pt、Si、Ta、Ti、W、Y、Zr、Zn等の
金属薄膜または金属化合物薄膜であり、金属化合物薄膜
としては、上記に例示される金属の酸化物薄膜、窒化物
薄膜、炭化物薄膜、珪化物薄膜、硼化物薄膜またはこれ
らの複合膜を挙げることができる。なお、本発明におい
ては、薄膜3は1層に限るものではなく、2層以上の多
層膜(例えば金属酸化物薄膜と銀薄膜を交互に積層した
低放射薄膜、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜とを交互に積
層した低反射薄膜)でもよい。この場合は、最もガラス
板に近い薄膜が、ガラス板中に含まれる金属イオンと同
種の金属を含むことが好ましい。
【0017】金属イオン4のガラス板中への分散は、電
圧印可により加速し、高エネルギーを付与した金属イオ
ン4をガラス板2の表面に照射してイオンをガラス板中
に注入すればよい。この金属イオン4の注入は、薄膜3
を形成する前に行われる。薄膜3を形成する前に行え
ば、薄膜3には金属イオン4が本質的には含有されない
ので、薄膜3の特性が変化することはない。なお、イオ
ン照射の工程は低圧に保った容器内において行われる
が、このイオン照射の後に容器内における低圧を保持し
たまま(場合によっては気圧を調整してから)続けてス
パッタリング法等のいわゆる真空成膜法を実施すること
が好ましい。製造効率が向上するばかりでなく、金属イ
オンによるエッチングによって形成された活性点を保持
して、ガラス板表面への大気中の汚染物質や水分の付着
を防止することができるからである。
【0018】一般に、真空成膜法による薄膜は、密着性
が問題となるから、本発明による効果が顕著となる。例
えば、スパッタリング法は大面積ガラス板への成膜が容
易であるが、本発明の利用により高耐久性を有するスパ
ッタリング薄膜の形成が可能となる。また、アーク蒸着
法による薄膜は、硬度は高いものの膜中の内部応力が高
いため膜剥離が起こりやすいが、本発明の利用に高硬度
で耐久性に優れた薄膜の形成が可能となる。
【0019】本発明者らは、種々の金属イオン照射実験
を繰り返し、金属イオン4がガラス板表面近傍にて最大
濃度となるような金属イオンの照射条件を見出した。こ
れらの条件は、具体的には、金属イオンの加速電圧、照
射角度、ドーズ量である。これらの条件は相互に密接に
関係するが、一般に好ましい条件を以下に例示する。
【0020】金属イオンの照射角度としては、35〜7
5゜が好ましい。金属イオンの分布はイオン照射角度に
最も依存し、一般的には、照射角度が35゜よりも小さ
いとガラス板内部で金属イオンが最大濃度となり、一
方、照射角度が75゜よりも大きいと金属イオンが効率
よく注入できない。ここで、照射角度とは、イオンの照
射方向とガラス板の法線のなす角度である。
【0021】金属イオンの加速エネルギーとしては、1
0〜140keVが好ましく、さらに好ましくは、20
〜60keVである。金属イオンの濃度分布は、イオン
の注入深さとその際のガラス板表面のエッチング率によ
って決まるためイオンの加速エネルギーにも大きく依存
するが、一般的には、10keV以下の加速電圧ではイ
オンの注入よりもガラス板表面のエッチングが支配的に
なり、一方、140keV以上の加速電圧では注入深さ
が深くなりすぎてガラス板表面のイオン濃度が最大にな
らない。
【0022】注入する金属イオンのドーズ量としては、
5.0×1015〜1×1017ions/cm2が好まし
い。一般的に、ドーズ量が5.0×1015ions/c
2より小さい場合にはガラス板中に十分に金属イオン
が注入されず、一方、1×1017ions/cm2より
多い場合にはガラス板が着色したり、構造変化によるダ
メージ(クラックの発生)が生じ、イオン注入にも必要
以上に長時間を要する。
【0023】本発明においては、上記のように諸条件を
調整して、ガラス板中の金属イオンの断面方向の濃度分
布がガラス板表面から50nm以内の範囲で最大とする
ことが本発明の効果をより顕著にする上で好ましい。
【0024】
【実施例】
(実施例1、2)厚さ2mmで100mm×100mm
の石英ガラス板について、アルカリ洗剤による超音波洗
浄、上水超音波洗浄、純水超音波洗浄をこの順序で実施
した。この石英ガラス板をイオン注入装置を取り付けた
直流マグネトロンスパッタ装置内に設置し、真空ポンプ
で約1.0×10-5Torrにまで排気した。次に、陰
極アーク放電を利用したイオン源を用いたイオン注入装
置により、石英ガラス板に対してTiイオン照射を実施
した。このときのTiイオンの加速電圧は30kV(加
速エネルギーは60keV)、ドーズ量は、5.0×1
16ions/cm2 とした。また、イオンの照射角度
は、ガラス板の法線との角度が60゜(実施例1)と0
°(実施例2)の2方向から実施した。
【0025】イオン照射終了後、スパッタ装置内に窒素
ガスを導入して圧力を約3.0×10-3Torrに調整
し、装置内のTiターゲットに対して直流電源から電力
を印加することによってスパッタ成膜を開始した。電流
値が4.5Aになるように調整し、所定の時間だけスパ
ッタ成膜を実施することによって厚さ約70nmのTi
N膜を形成した。
【0026】以上のように、Tiイオンの照射角度が異
なるTiN膜を形成した薄膜付きガラス板について、テ
ーバー摩耗テストを実施した。テーバー摩耗テストには
テーバー試験器(TABER社製MODEL5130)
を使用し、摩耗ホイール(CS−10F)に4.90N
(500gf)の荷重をかけて膜面について1000回
転の摩耗試験を実施した。テーバー摩耗テスト後の可視
光透過率およびヘイズ率を分光光度計(日立製作所製U
−3400)およびヘイズメーター(スガ試験器製HG
M−2DP)を用いて測定し、摩耗テスト実施前に同じ
装置を用いて測定しておいた可視光透過率およびヘイズ
率と比較した。これらの測定結果を表1に示す。また、
上述のイオン照射条件でTiイオンを注入したガラス板
についてのガラス板断面方向のTiイオン濃度分布を図
2に示す。
【0027】(比較例1)石英ガラス板に金属イオンを
照射する工程を省略した他は、実施例1、2と同様にし
て、TiN膜付きガラス板を製造した。このTiN膜付
きガラス板について、実施例1、2と同様の特性評価を
実施した。この結果を表2に示す。
【0028】表1、2に示したように、Tiイオンの照
射の有無は、テーバー磨耗テスト実施前の可視光透過率
にほとんど影響を及ばさない。一方、テーバー摩耗テス
ト実施前後の可視光透過率変化およびヘイズ率変化は、
Tiイオンを照射しない場合が5%を超えたのに対し、
Tiイオンを照射した場合は5%以下となった。特に、
Tiイオン照射角度が60゜の実施例1においては、変
化量が3%以下であった。また、テーバー摩耗テスト実
施前後のヘイズ率変化も可視光透過率変化と同様の傾向
が認められた。なお、実施例1のTiN膜付きガラス板
は、摺動部に用いられる自動車用窓ガラスに求められる
耐摩耗性(500gf荷重1000回転テスト前後のヘ
イズ率変化が2%以下)を具備している。
【0029】また、図2から、ガラス板表面に斜方から
イオン照射を実施すると、ガラス板表面に垂直にイオン
照射を実施した場合よりも、金属イオンがガラス板最表
面に集中することがわかる。すなわち、ガラス板に垂直
にイオンを注入した場合のイオン濃度分布が表面から5
0nm程度で最大となったのに対し、ガラス板の法線と
60゜をなす角度からイオンを注入した場合のイオン濃
度分布はガラス板表面から10nm以内において最大と
なった。
【0030】(実施例3、4、比較例2)厚さ2mmで
100mm×100mmのソーダライムガラス板(市販
のフロートガラス)について、実施例1、2と同様の洗
浄工程およびイオン照射工程を実施した。Tiイオンの
加速電圧、ドーズ量も、上記実施例と同様、それぞれ3
0kV(加速エネルギーは60keV)、5.0×10
16ions/cm2 とした。また、イオンの照射角度は
ガラス板法線と60°(実施例3)と0゜(実施例4)
の2方向から実施した。
【0031】イオン照射終了後、スパッタ装置内にAr
ガスを導入して圧力を約3.0×10-3Torrに調整
し、装置内のTiターゲットに対して直流電源から電力
を印加することによってスパッタ成膜を開始した。電流
値が1.0Aになるように調整し、所定の時間だけスパ
ッタ成膜を実施することによって厚さ約10nmのTi
膜を形成した。
【0032】その後、スパッタ装置内を真空ポンプで
1.0×10-5Torrにまで排気してからArガス5
0%と酸素ガス50%の混合ガスを導入し、圧力を約
3.0×10-3Torrに調整した。続いてスパッタ装
置内に取り付けてあるTiターゲットに対して直流電源
から電力を印加することによって反応性のスパッタ成膜
を開始し、2.5Aの電流に調整した。所定の時間だけ
スパッタ成膜を実施することによって厚さ約15nmの
Ti酸化物膜を形成した。
【0033】以上のように、Tiイオンの照射角度が異
なるTi膜/Ti酸化物膜を形成した薄膜付きガラス板
(実施例3、4)およびイオン照射を実施しないでTi
膜/Ti酸化物膜を形成した薄膜付きガラス板(比較例
2)について、実施例1、2と同様に諸特性を評価し
た。これらの結果を表1、2に併せて示す。また、上述
のイオン照射条件でTiイオンを注入したソーダライム
ガラス板についてのガラス板断面方向のNa濃度分布を
図3に示す。
【0034】表1、2に示したように、被膜の構成を変
更しても、ガラス板への金属イオンの照射は、被膜の耐
磨耗性を向上させる。特に、実施例3、4と比較例2と
では、テーバー摩耗テスト実施前後の可視光透過率変化
に大きな差異が認められる。
【0035】また、図3から、ガラス板表面に斜方から
イオン照射を実施すると、ガラス板表面に垂直にイオン
照射を実施した場合よりも、ガラス板最表面でのNaイ
オン濃度が減少することがわかる。
【0036】(実施例5、比較例3)直流マグネトロン
装置の代わりにアークイオン蒸着装置を用いた他は、実
施例3、4と同様にして、ソーダライムガラス板にTi
イオン照射を実施した。このときのイオンの照射は、ガ
ラス板法線と60゜をなす方向から実施した。
【0037】イオン照射終了後、アークイオン蒸着装置
内にN2 ガスを導入して圧力を約3.0×10-3Tor
rに調整し、装置内のTiカソードに対して直流電源か
ら140Aの直流電流を流して放電電圧18Vのアーク
放電を開始した。このアーク放電を所定の時間維持し、
アークイオン蒸着により厚さ40nmのTiN膜を形成
した。
【0038】以上のように、TiN膜を形成した薄膜付
きガラス板(実施例5)について、実施例1、2と同様
にして諸特性を評価した。この結果を表1に併せて示
す。一方、イオン照射を実施しないで同様にアークイオ
ン蒸着によりTiN膜を形成した薄膜付きガラス板(比
較例3)は、大気中に取り出した時点でTiN膜がガラ
ス板から剥離した。
【0039】(実施例6〜12)金属イオンを照射する
工程における金属イオンの加速電圧、ドーズ量、照射角
度を適宜変更した他は、実施例1と同様の手順でソーダ
ライムガラス板にイオン照射処理を実施し、また、実施
例1と同様のスパッタリング法によりTiN膜を形成し
て、TiN膜付きガラス板を製造した(実施例6〜1
2)。これらの薄膜付きガラス板について、実施例1と
同様に諸特性を評価した。これらの結果を表1に併せて
示す。
【0040】(実施例13〜16)照射する金属イオン
種を適宜変更し、また、スパッタリング法に使用するタ
ーゲットの種類を照射する金属イオン種により適宜変更
して、ソーダライムガラス板上に、実施例1と同様の手
順で、各種薄膜を形成した(実施例13〜16)。これ
らの薄膜付きガラス板についても、実施例1と同様にし
て諸特性を評価した。一方、実施例13〜16におい
て、各種金属イオンを照射せずに薄膜を形成したガラス
板(比較例4〜7)についても、同様の特性評価を実施
した。これらの結果を表1、2に併せて示す。表1、2
より、各種薄膜についても耐摩耗性の向上が認められ
た。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、薄膜付きガラス板にお
ける薄膜の耐摩耗性を向上させる。
【0042】請求項1に係る発明によれば、金属薄膜ま
たは金属化合物薄膜とガラス板との付着が強固になり、
密着性が向上する。したがって、内部応力の大きな薄膜
にも良好な耐摩耗性を付与することができる。また、同
発明によれば、下地膜を形成することなく薄膜の密着性
を向上させているので、薄膜の特性が全体として変化せ
ず、膜特性の制御も容易である。さらに、同発明によれ
ば、薄膜の密着性の改善を薄膜付きガラス板の光学特性
等を大きく変化させずに実現することができる。薄膜の
密着性のさらなる改善は、請求項2に係る発明により達
成される。
【0043】請求項4に係る発明によれば、薄膜とガラ
ス板の密着性が向上した薄膜付きガラス板を下地膜を設
けることなく効率的に製造できる。また、金属イオンに
よるガラス板表面のエッチング(スパッタリング)、有
機汚染物質等の除去、ダングリングボンドの生成による
基板表面の活性化等により、ガラス板とその上に形成す
る薄膜との付着力の一層の向上が実現する。さらに、同
発明において、ソーダライムシリカガラス等アルカリ成
分を含むガラス板を用いた場合には、ガラス板表面近傍
に含まれるアルカリ成分の濃度分布を低下することがで
きるため、薄膜の付着力はアルカリ成分により阻害され
ない。ガラス板表面近傍の金属イオンは、ガラス板内部
のアルカリ成分の表面への溶出をも抑制する。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る薄膜付きガラス板の模式的断面
図である。
【図2】 ガラス板にイオンを注入するときのガラス板
断面方向のイオン濃度分布に対するイオン照射角度の影
響を示す図である。
【図3】 ソーダライムシリカガラス板にイオンを注入
したときのガラス板断面方向のNa分布に対するイオン
照射角度の影響を示す図である。
【符号の簡単な説明】
1:薄膜付きガラス板、2:ガラス板、3:薄膜、4:
金属イオン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 角 俊雄 兵庫県伊丹市鴻池字街道下1番 日本板硝 子テクノリサーチ株式会社内 (72)発明者 熊切 正 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス板と、このガラス板の表面に形成
    した金属薄膜または金属化合物薄膜とを有する薄膜付き
    ガラス板であって、前記ガラス板には、断面方向の濃度
    分布が前記表面の近傍で最大となるように金属イオンを
    含有させて、この表面におけるガラス板と薄膜との密着
    性が向上するようにしたことを特徴とする薄膜付きガラ
    ス板。
  2. 【請求項2】 前記薄膜は、ガラス板に含まれる前記金
    属イオンと同種の金属を含む請求項1に記載の薄膜付き
    ガラス板。
  3. 【請求項3】 前記金属イオンが、Ag、Al、Au、
    C、Ce、Co、Cu、Fe、Hf、Ir、Mg、M
    o、Nb、Ni、Pt、Si、Ta、Ti、W、Y、Z
    rおよびZnからなる群のうちの少なくとも1種を含む
    請求項1または2に記載の薄膜付きガラス板。
  4. 【請求項4】 ガラス板の表面に金属薄膜または金属化
    合物薄膜を形成する薄膜付きガラス板の製造方法であっ
    て、薄膜を形成する前に、加速した金属イオンを前記ガ
    ラス板の薄膜を形成する表面に照射して、断面方向の濃
    度分布が前記表面の近傍で最大となるように前記ガラス
    板中に金属イオンを含有させることを特徴とする薄膜付
    きガラス板の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008537519A (ja) * 2005-03-10 2008-09-18 エージーシー フラット グラス ユーロップ エスエー 選択的な散乱を有する自動車用窓ガラス
JP2009035748A (ja) * 2007-07-31 2009-02-19 Nikko Kinzoku Kk 含Au表面処理Ti材料
JP2017101297A (ja) * 2015-12-02 2017-06-08 中部電力株式会社 遮熱膜

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