JPH1065237A - 固体レーザ装置 - Google Patents

固体レーザ装置

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JPH1065237A
JPH1065237A JP22256996A JP22256996A JPH1065237A JP H1065237 A JPH1065237 A JP H1065237A JP 22256996 A JP22256996 A JP 22256996A JP 22256996 A JP22256996 A JP 22256996A JP H1065237 A JPH1065237 A JP H1065237A
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JP
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light
laser
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solid
state laser
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JP22256996A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Miyake
和幸 三宅
Koichi Taniguchi
浩一 谷口
Kazuyuki Tadatomo
一行 只友
Hiroyuki Shiraishi
浩之 白石
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 青色のレーザ光を高効率に出射でき、かつ、
光ピックアップ等の光源に適した小型の固体レーザ装置
を提供すること。 【解決手段】 下記、励起光源1とレーザ活性媒体2と
一対の共振器ミラー3a、3bとを有する固体レーザ装
置である。励起光源1は、810nm〜850nm、9
70nm〜990nmの中から選ばれる1種類以上の波
長を有する励起光を供する。レーザ活性媒体は、〔Tm
を含有する塩化物結晶〕2aと、該塩化物結晶2aを包
み込んで設けられ〔PrとYbとを共に含有するフッ化
物ガラスまたは酸化物ガラス〕2bとからなる。一対の
共振器ミラー3a、3bは、前記PrとYbとが励起光
を波長上方変換して発する第一の波長の光をこれらの間
に閉じ込めることができ、かつ、前記Tmが第一の波長
の光を波長上方変換して放出する第二の波長の光をレー
ザ発振させレーザ光として出射し得るものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、固体レーザ装置に
関し、特に光ピックアップなどの光源として利用され得
る小型の固体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小型で長寿命かつ信頼性の高い青
色光源の要求が高まっており、その一つとして励起光の
波長を波長上方変換するアップコンバージョン現象を利
用したレーザ素子が注目されている。図3は、従来のア
ップコンバージョン・レーザ装置の構成の一例を示す図
である。同図に示す装置の構成は、例えば、会議録 Com
pact Blue-Green Lasers Technical Digest 1993, Vol.
2, JWE1, pp110-112 : "Upconversion Fiber Lasers"
や、平成5年秋季応用物理学会 30a-D-6, p975 : "Tm
+3 :ZBLANファイバの青色室温発振" に開示されて
いる。
【0003】図3のレーザ装置は、励起光源のNd:Y
AGレーザ装置61と、該YAGレーザから出射された
光ビームを集光する集光光学系62と、波長上方変換材
料のフッ化物であるZBLAN(ZrF4 −BaF−L
aF3 −AlF3 −NaF)ガラスファイバ64と、光
共振器63とを有している。ZBLANガラスファイバ
64はレーザ活性媒体であり、1000ppm程度の希
土類元素のTmがドープされている。そのTm3+イオン
14 準位から 36 準位への遷移で波長480nm
のレーザ光を得ている。また、ZBLANガラスは、効
率を稼ぐため1m程度の長さのファイバー状を呈してい
る。Nd:YAGレーザ装置61は、Tm3+イオンの 1
4 準位にポンピングするため、Tm3+イオンの吸収に
あわせて、1112nm、1116nm、1123nm
の三つの波長のレーザ光を励起光として同時に供給し得
るものである。
【0004】図4は、従来のアップコンバージョン・レ
ーザ装置の他の構成例を示す図である。同図に示す装置
の構成は、例えば、文献 SPIE Vol. 1223 Solid State
Laser(1990) 54-63 : "Blue upconversion thrulium la
ser"に開示されている。
【0005】図4のレーザ装置は、励起光源である二つ
の色素レーザ71、72と、二つのレーザ光を集光する
集光光学系73と、波長上方変換材料のフッ化物である
YLF結晶75と、光共振器74とを有している。レー
ザ活性媒体であるYLF結晶75には、希土類元素のT
mがドープされている。そのTm3+イオンの 12 準位
から 34 準位への遷移で波長453nmのレーザ光を
得ている。励起光源の色素レーザとして、波長の異なる
二つのレーザ光が同時に用いられているが、これもTm
3+イオンの吸収にあわせ、効率を上げるためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】Tm3+イオンには、従
来実用化されている半導体レーザの光ビームの波長にあ
った吸収帯がなく、上記のように、異なった二つの波長
あるいは三つの波長のレーザ光を用意する必要がある。
そのため、装置全体を小型化することが困難であった。
【0007】また、ドープする希土類元素のTm濃度を
上げることによって、励起光に対する吸収あるいは青色
の発光強度を増加させ、効率を上げることで小型化を考
えることができる。しかし、図3の装置の構成では、Z
BLANガラスを現状以上にTm濃度を上げて製作する
ことは困難である。また、Tm濃度を上昇させても、濃
度消光という現象が起きるので、必ずしも効率が上がる
結果にはならない。励起効率を上げ、青色の十分な発光
強度を得るためには、図3の装置のように、ZBLAN
ガラスをある程度以上の長さのファイバ状とする必要が
ある。そのため装置全体を小型化することが困難であっ
た。
【0008】同様に、図4の装置の構成でも、YLF結
晶におけるTm濃度の上昇によって濃度消光が起きるの
で、Tm濃度の上昇には上限がある。従って、青色レー
ザ光を取り出すためには、最小励起強度(しきい値強
度)を上昇させねばならないという欠点があった。
【0009】以上のように従来の装置では、光ピックア
ップ等の光源に適した高効率な青色を提供する小型の固
体レーザ装置は得られなかった。
【0010】本発明の課題は、青色のレーザ光を高効率
に出射でき、かつ、光ピックアップ等の光源に適した小
型の固体レーザ装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、希土類元
素であるPrが、現在実用化されている半導体レーザの
波長にちょうど合致する吸収帯を有するものであること
に着目し、これを利用して本発明を完成させた。本発明
の固体レーザ装置は、次の特徴を有するものである。
【0012】(1)励起光源とレーザ活性媒体と一対の
共振器ミラーとを有する固体レーザ装置であって、励起
光源が、810nm〜850nm、970nm〜990
nmの中から選ばれる1種類以上の波長を有する励起光
を供するものであり、レーザ活性媒体が、Tmを含有す
る塩化物結晶と、該塩化物結晶を包み込んで設けられP
rとYbとを共に含有するフッ化物ガラスまたは酸化物
ガラスとからなるものであり、一対の共振器ミラーが、
前記PrとYbとが励起光を波長上方変換して発する第
一の波長の光をこれらの間に閉じ込めることができ、か
つ、前記Tmが第一の波長の光を波長上方変換して放出
する第二の波長の光をレーザ発振させレーザ光として出
射し得るものであることを特徴とする固体レーザ装置。
【0013】(2)励起光源が、波長810nmのレー
ザ光を励起光として出射する半導体レーザを複数有する
半導体レーザアレイであって、一対の共振器ミラーが対
向する方向に対して側面方向からレーザ活性媒体に励起
光を照射し得るよう配置されたものである上記(1)記
載の固体レーザ装置。
【0014】(3)一対の共振器ミラーのうち、一方の
共振器ミラーは、少なくとも波長450±10nmの光
を全反射するものであり、他方の共振器ミラーは、レー
ザ光を出射する側であって、波長450±10nmの光
を90%〜99.5%反射するものである上記(1)記
載の固体レーザ装置。
【0015】(4)一対の共振器ミラーのうち、一方の
共振器ミラーは、少なくとも波長480±10nmの光
を全反射するものであり、他方の共振器ミラーは、レー
ザ光を出射する側であって、波長480±10nmの光
を90%〜99.5%反射するものである上記(1)記
載の固体レーザ装置。
【0016】(5)Tmを含有する塩化物結晶がTmB
2 Cl7 結晶であり、PrとYbとを共に含有するフ
ッ化物ガラスがPrとYbとをドープしたZBLAN
(ZrF 4 −BaF2 −LaF3 −AlF3 −NaF)
ガラスである上記(1)記載の固体レーザ装置。
【0017】(6)Tmを含有する塩化物結晶がTmB
2 Cl7 結晶であり、PrとYbとを共に含有する酸
化物ガラスがPrとYbとをドープしたテルライト(T
eO2−WO3 −Li2 O)ガラスである上記(1)記
載の固体レーザ装置。
【0018】
【発明の実施の形態】Prを含有する、酸化物、フッ化
物あるいは塩化物等のアップコンバージョン材料は、波
長800nm帯、980nm帯あるいは1500nm帯
の半導体レーザを用いて励起することができ、青色、青
緑色、赤色及び赤外線等の領域に蛍光を発するものであ
ることが知られている。とりわけ、Prと同時にYbを
含有する材料は、800nm帯の半導体レーザで励起す
ると、その波長のレーザ光を波長上方変換し635nm
付近の赤色領域に強い蛍光を発することがわかった。
【0019】しかし前記励起光によるこの波長域の蛍光
は、Prだけを含有しYbを同時に含まない材料では非
常に弱いピークしか現れない。これは、Ybイオンが8
00nm帯のレーザ光に対して幅広い吸収帯をもってお
り効率よく吸収できること、また、Ybイオンの 2
5/2 準位とPrイオンの 14 準位がほぼ同じくらいの
エネルギーレベルにあり、 14 準位の方が 25/2
位に比べて若干低いレベルであることから、Ybイオン
において 25/2 準位に励起された電子のエネルギーが
Prイオンの 14 準位へ効率よく伝達されるためであ
る。
【0020】また、Tmイオン化準位では、基底準位の
36 から 32 への遷移、 36から 33 への遷
移、 34 から 12 への遷移、 34 から 14 への
遷移が、赤色波長域の光の吸収に対応する。この吸収さ
れた赤色波長域の光は、波長上方変換されて、青色光と
して放出される。
【0021】そこで、本発明の固体レーザ装置では、レ
ーザ活性媒体として、図1(b)にその断面を示すよう
に、内部の物質2aと、その内部の物質2aの表面全体
を覆う表層の物質2bとからなる2層の構造のものを用
いる。その内部の物質2aは、Tmを含有する塩化物結
晶であり、これを包み込んで設けられる表層の物質2b
は、PrとYbとを共に含有するフッ化物ガラスまたは
酸化物ガラスである。
【0022】先ず、従来の一般的な半導体レーザから供
される例えば810nm帯の励起光を、表層の物質にお
けるPrイオンとYbイオンとによって波長上方変換
し、第一の波長の光として635nm付近の赤色領域の
蛍光をPrイオンから放出させ、次に、この635nm
付近の赤色領域の蛍光を、Tmイオンにおいてさらに波
長上方変換し、第二の波長の光として青色光を放出させ
る。即ち、810nm帯レーザ光を励起光として、これ
をレーザ活性媒体における表層の物質と内部の物質にお
いて波長上方変換を2段階行い青色レーザ光として出射
するのである。
【0023】また、近年開発が進んでいる0.67μm
帯の赤色半導体レーザを励起光源として用いた場合、T
mイオンの最適吸収波長よりも若干長波長であり、かつ
単色性が高いことから、励起効率が悪く、Tmから放出
される青色の蛍光は弱いものとなる。また、希土類含有
塩化物材料は、特開平7−97572号に開示されてい
るように蛍光強度は、酸化物やフッ化物に比較して10
倍以上強く濃度消光も観察されていないので、レーザ媒
体としては有効な材料である。
【0024】そこで、本発明では、光共振器ミラーを、
青色レーザ発振が可能なように、450nm付近(特に
450nm±10nm)、または480nm付近(特に
480nm±10nm)でQが高くなるように形成する
ものである。更に、望ましくは表層のPrとYbとによ
って波長上方変換され放出される635nm付近(特に
635nm±10nm)でもQが高くなるように形成
し、光共振器内に赤色領域の光を閉じ込めるものとす
る。このような構成とすることによって、PrとYbが
波長上方変換して放出する635nm付近を中心とする
光は、十分な強度をもって内部の物質中のTmに照射さ
れる。
【0025】また、Tmを含有する材料としては、希土
類元素を含有するための母材となる物質として、特開平
7−97572号に開示されているようなR1x R2
(1-x)Ba2 Cl7 (ただし、R1、R2は各々1以上
の希土類元素を示す。)で表される希土類含有塩化物結
晶を用いれば、従来まで用いられていた酸化物材料やフ
ッ化物材料に比較して格段に蛍光強度が強く、レーザ光
を効率良く得ることができる。また、PrとYbを含有
する材料としては、希土類元素イオン間のエネルギー伝
達が大きい、フッ化物ガラスまたは酸化物ガラスが好ま
しいものとして用いられる。
【0026】また、前記のような塩化物材料は、潮解性
を有するものであり、湿気に弱いという問題があるが、
その表面全体を湿気に強いフッ化物材料あるいは酸化物
材料で包み込むことによって遮水され、安定したレーザ
活性媒体が得られる。
【0027】レーザ活性媒体の形状としては、特に限定
されないが、製造が容易である点からは円柱状が好まし
い。また、励起光を受ける面を平面としてもよい。
【0028】励起光源としては、810nm〜850n
m、970nm〜990nmから選ばれる1種類以上の
波長を有する励起光を供するものであればどのようなも
のでもよいが、半導体レーザを用いることを可能とした
ことが本発明の重要な特徴の一つであるから、半導体レ
ーザを用いて、全体をコンパクト化することが好ましい
態様である。特に、波長810nmのレーザ光を出射す
る半導体レーザは、表層のPr・Ybと、内部のTmと
による2段階の波長上方変換の最初の光源として好まし
い。
【0029】励起光をレーザ活性媒体に照射するために
は、励起光が一対の共振器ミラーのいずれか一方を通過
しレーザ活性媒体に到達する態様であってもよいが、本
実施例のように、励起光が、一対の共振器ミラーの対向
する方向に対して側面方向からレーザ活性媒体に励起光
を照射する態様が好ましく、特に、共振器ミラーの対向
する方向に対して垂直な方向から、外側の物質に対し
て、共振器ミラーの対向する方向全長にわたって照射す
る態様が好ましい。
【0030】また、側面方向からレーザ活性媒体に励起
光を照射する態様の場合、外側の物質から内側の物質へ
とアップコンバージョン現象をより効率よく連鎖的に発
生させるため、図1(a)に示すように、励起光源から
レーザ活性媒体に励起光を照射したとき、励起光源から
見た該レーザ活性媒体の背後を中心とする周囲に、励起
光および第一番目の波長の光をレーザ活性媒体に向けて
反射させて戻すミラー6を設け、これらの光の後逸や外
部への拡散を抑制してもよい。ミラーは平面やレーザ活
性媒体に沿った曲面が挙げられる。
【0031】光共振器ミラーの反射の構造は限定されな
いが、反射面にコーティングを施してなる誘電体多層膜
の態様が好ましい。誘電体多層膜としては、TiO2
HfO2 、Ta2 5 、ZrO2 、SiO2 、MgO、
Al2 3 、MgF2 、ThF4 、NaFから選ばれる
2種類以上の材料を積層したものが挙げられる。
【0032】上記希土類含有塩化物結晶をレーザ活性媒
体として用いるに際しては、表層に互いに平行な2面を
設け、この2面がレーザ共振器ミラーとして機能するよ
うに、所定の加工を施すことが好ましい態様である。こ
れによって、共振器ミラーを別途設ける必要がなくな
る。
【0033】
【実施例】
実施例1 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。図
1は、本発明による固体レーザ装置の一実施例の構成を
示す図である。同図に示すように、本実施例の固体レー
ザ装置は、励起光源1と、レーザ活性媒体2と、一対の
光共振器ミラーとを有する。励起光源1はハイパワーの
半導体レーザアレイからなる。レーザ活性媒体2は、T
mを含有する塩化物結晶2aと、この塩化物結晶2aを
包み込んで設けられPrとYbとを共に含有するフッ化
物ガラス2bとからなる。また、本実施例では、励起光
源1から見たレーザ活性媒体の背後にミラー6を設け、
レーザ活性媒体が後逸した励起光および第一の波長の光
をレーザ活性媒体に向けて反射させて戻す態様とした。
【0034】励起光に用いる半導体レーザの発振波長と
しては、810nmから850nmの波長域のものが特
に有効である。本実施例では、ハイパワーの半導体レー
ザアレイとして、最大出力60W、発振波長810nm
のQCWレーザを用いた。励起光源は、一対の共振器ミ
ラーが対向する方向に対して側面方向からレーザ活性媒
体に励起光を直接照射し得るよう配置されている。
【0035】レーザ活性媒体2は、内部の物質であるT
m含有塩化物材料2aとして、直径2mm、長さ4mm
の円柱状のTmBa2 Cl7 単結晶を用いた。また、そ
の表面を包み込んで設けられるPr・Yb含有材料2b
としてZBLANガラスを用いた。TmBa2 Cl7
結晶の外側表面全体は、ZBLANガラスによって、厚
さ1mmとなるよう均一にコートされている。
【0036】一対の共振器ミラー3a、3bのうち一方
のミラー3aには、635nm付近及び450nm付近
の波長の光を100%近く反射する特性のコーティング
膜4が施されている。他方のミラー3bは出力側であっ
て、波長635nm付近をピークとする光を100%近
く反射し、波長450nm付近をピークとする光を98
%反射する特性を持ったコーティング膜5が施されてい
る。光共振器全体としては、450nm付近及び635
nm付近の両方の波長に対しQが高く、効率良く発振さ
せるようになっており、特に635nm付近の波長の光
を該光共振器内に閉じ込めるようになっている。
【0037】図1に例示する固体レーザ装置において、
ハイパワーの半導体レーザアレイ1を駆動し、光ビーム
をレーザ活性媒体2に入射させる。半導体レーザアレイ
からの光ビームが、PrおよびYbを含有するZBLA
Nガラス2bに入射すると、入射した光ビームは該ZB
LANガラス2b内部で吸収されてポンピングに利用さ
れる。
【0038】ZBLANガラス2b内では、入射した光
ビームが主にYbイオンに吸収される。これらYbイオ
ン内では、電子が 27/2 準位から 25/2 準位へポン
ピングされる。これらの電子のエネルギーが、Ybイオ
ンの 25/2 準位より若干低いPrイオンの 14 準位
へ伝達され、さらに 30 準位へポンピングされる。こ
れらの準位から基底準位へ緩和する際に、青色から赤外
線の領域に蛍光を発する。とりわけ、 30 準位から 3
2 準位へ遷移の赤色の蛍光が強く観察される。本実施
例でも、Prイオンから同様な蛍光を発し、光共振器3
によってこれらの蛍光のうち635nm付近の波長の光
が閉じ込められる。
【0039】一方、Tmイオンは、810nm付近の波
長の吸収はなく半導体レーザの光ビームは吸収しない
が、表層から発せられる635nm付近の波長の光を吸
収して、Prイオンと同様にアップコンバージョン現象
によって紫外線から青色の領域に蛍光を発する。これら
の蛍光のうち450nm付近の波長の光だけが、上記光
共振器ミラーによって、レーザ光として取り出される。
以上の励起(吸収)、発光過程を図2に示す。
【0040】もちろん、同図には示していない励起、発
光過程もあるが、ここでは本発明に係る主たる過程につ
いてのみ示してある。
【0041】実施例2 本実施例では、上記実施例1で用いた450nm付近の
波長にQの高い光共振器3の代わりに、480nm付近
の波長にQの高い光共振器を用いる態様を示す。ただ
し、635nm付近の波長の光を光共振器内に閉じ込め
る特性は、上記実施例1と同様である。上記実施例1で
は、Tmイオンの 12 準位から 34 準位への遷移に
よる450nm付近の波長の蛍光を利用するものであっ
たが、Tmイオンからは 14準位から 36 準位への
遷移による480nm付近の波長の蛍光も発せられる。
従って、480nm付近の波長にQの高い光共振器を用
いることによって、480nmの青色レーザ光を取り出
すことができた。
【0042】また、図1のように、635nm付近及び
810nm〜850nm付近の波長の光を高反射するコ
ーティング膜を施したミラー6を、励起光源1から見た
レーザ活性媒体の背後に配置することにより、さらに励
起効率を上げることができた。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体レー
ザ装置には、励起光源として従来の半導体レーザを用い
ることができる。その励起光に対して一つのレーザ活性
媒体内において二段階の波長上方変換が行われ、青色レ
ーザ光が得られる。従って、従来の青色レーザ光を出射
し得る固体レーザ装置と比較して、より小型で効率のよ
い固体レーザ装置を提供できる。
【0044】また、レーザ活性媒体の端面に対し、該端
面がレーザ共振用ミラーとして機能するように所定の加
工を施せば、固体レーザ装置をさらに小型軽量化するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体レーザ装置の一実施例の構成
を示す図である。
【図2】本発明に係る励起および発光過程を示す図であ
る。
【図3】青色レーザ光を出射し得る固体レーザ装置の従
来例を示す図である。
【図4】青色レーザ光を出射し得る固体レーザ装置の他
の従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 励起光源(半導体レーザ) 2 レーザ活性媒体 2a Tmを含有する塩化物結晶 2b Pr及びYbを共に含有する、 フッ化物ガラスあるいは酸化物ガラス 3a、3b 一対の共振器ミラー 4、5 コーティング膜 6 ミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 只友 一行 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 白石 浩之 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光源とレーザ活性媒体と一対の共振
    器ミラーとを有する固体レーザ装置であって、励起光源
    が、810nm〜850nm、970nm〜990nm
    の中から選ばれる1種類以上の波長を有する励起光を供
    するものであり、レーザ活性媒体が、Tmを含有する塩
    化物結晶と、該塩化物結晶を包み込んで設けられPrと
    Ybとを共に含有するフッ化物ガラスまたは酸化物ガラ
    スとからなるものであり、一対の共振器ミラーが、前記
    PrとYbとが励起光を波長上方変換して発する第一の
    波長の光をこれらの間に閉じ込めることができ、かつ、
    前記Tmが第一の波長の光を波長上方変換して放出する
    第二の波長の光をレーザ発振させレーザ光として出射し
    得るものであることを特徴とする固体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 励起光源が、波長810nmのレーザ光
    を励起光として出射する半導体レーザを複数有する半導
    体レーザアレイであって、一対の共振器ミラーが対向す
    る方向に対して側面方向からレーザ活性媒体に励起光を
    照射し得るよう配置されたものである請求項1記載の固
    体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 一対の共振器ミラーのうち、一方の共振
    器ミラーは、少なくとも波長450±10nmの光を全
    反射するものであり、他方の共振器ミラーは、レーザ光
    を出射する側であって、波長450±10nmの光を9
    0%〜99.5%反射するものである請求項1記載の固
    体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 一対の共振器ミラーのうち、一方の共振
    器ミラーは、少なくとも波長480±10nmの光を全
    反射するものであり、他方の共振器ミラーは、レーザ光
    を出射する側であって、波長480±10nmの光を9
    0%〜99.5%反射するものである請求項1記載の固
    体レーザ装置。
  5. 【請求項5】 Tmを含有する塩化物結晶がTmBa2
    Cl7 結晶であり、PrとYbとを共に含有するフッ化
    物ガラスがPrとYbとをドープしたZBLAN(Zr
    4 −BaF2 −LaF3 −AlF3 −NaF)ガラス
    である請求項1記載の固体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 Tmを含有する塩化物結晶がTmBa2
    Cl7 結晶であり、PrとYbとを共に含有する酸化物
    ガラスがPrとYbとをドープしたテルライト(TeO
    2 −WO3 −Li2 O)ガラスである請求項1記載の固
    体レーザ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6650677B1 (en) 2000-04-11 2003-11-18 Kabushiki Kaisha Toshiba Up-conversion laser
JP2006313813A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Shimadzu Corp 半導体レーザ励起固体レーザ装置
JP2016082121A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 三星ダイヤモンド工業株式会社 固体レーザ素子
JP2016082122A (ja) * 2014-10-20 2016-05-16 三星ダイヤモンド工業株式会社 固体レーザ素子

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