JPH106432A - ガスバリア性積層体及びその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層体及びその製造方法

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JPH106432A
JPH106432A JP17992796A JP17992796A JPH106432A JP H106432 A JPH106432 A JP H106432A JP 17992796 A JP17992796 A JP 17992796A JP 17992796 A JP17992796 A JP 17992796A JP H106432 A JPH106432 A JP H106432A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂フィルム基材と金属又は金属化合物の蒸
着薄膜であるガスバリア性薄膜とからなるガスバリア性
積層体において、樹脂フィルム基材とガスバリア性薄膜
との間の密着性を改善し、且つ、優れたガスバリア性を
保持できるようにする。 【解決手段】 樹脂フィルム基材1上に金属又は金属化
合物からなるガスバリア性薄膜2が物理蒸着法により形
成されてなるガスバリア性積層体において、蒸着合成法
により形成されたポリアミド膜3を、樹脂フィルム基材
1とガスバリア性薄膜2との間に挟持させるか又はガス
バリア性薄膜2上に積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素、水蒸気等の
ガスの通過を遮断する薄膜(ガスバリア性薄膜)を有す
るガスバリア性積層体に関する。特に、ガスバリア性積
層体の製造時や製袋時に実施される種々の処理工程(例
えば、蒸着工程、印刷工程、ラミネート工程、折り曲げ
工程、シール工程等)においてガスバリア性薄膜が剥離
や剥落しにくく、また、その積層体から形成された包装
体の使用時に実施される種々の処理(例えば、高温ボイ
ル処理、高温高圧レトルト処理等)においてガスバリア
性薄膜が剥離や剥落しにくく、更に、耐熱性、弾性、機
械的性質に優れ、加えて、耐薬品性、耐油性、耐摩擦性
にも優れたガスバリア性積層体とその製造方法に関す
【0002】る。
【従来の技術】近年、食品、医療品等の包装に用いられ
る包装材料に対しては、内容物の変質を防止もしくは抑
制できることが求められている。例えば、食品用包装材
料に対しては、内容物(例えば、蛋白質や油脂等)の酸
化や変質の抑制、更に内容物の風味や鮮度を保持できる
ことが求められ、また、医療品用包装材料に対しては、
内容物の無菌状態を維持でき、更に、有効成分の変質を
抑制して効能を維持できることが求められている。
【0003】このような要望に応えるためには、内容物
を変質させうる気体(例えば、酸素)が包装材料を通過
して内容物に接触しないようにすることが必要である。
従って、包装材料に対しては、これらの気体(ガス)を
遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
【0004】従来より、酸素を遮断するバリア性フィル
ムとしては、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン
ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリアクリロニト
リルフィルム等が知られている。また、水蒸気を遮断す
るバリア性フィルムとしてはポリプロピレンフィルム、
ポリエチレンフィルム等が知られている。ところで、こ
れらのフィルムを単独で用いた場合には、同時に酸素と
水蒸気との双方に対する十分なガスバリア性を備えてい
ないために、それらを組み合わせてラミネート法または
コーティング法により積層したものを包装材料として用
いている。しかし、保存や使用環境における温度や湿度
の影響を受け十分なガスバリア性を発揮できない場合も
ある。
【0005】また、酸素と水蒸気との双方に対するバリ
ア性を単独で備えている樹脂フィルムとして、ポリ塩化
ビニリデンフィルム、あるいはポリエステルフィルムに
塩化ビニリデン共重合体樹脂をコーティングした樹脂フ
ィルム、ポリプロピレンフィルムに塩化ビニリデン共重
合体樹脂をコーティングした樹脂フィルム、ナイロンフ
ィルムに塩化ビニリデン共重合体樹脂をコーテイングし
た樹脂フィルム等が知られている。しかし、これらの樹
脂フィルムを使用後に焼却処分した場合には、有毒ガス
が発生するという問題がある。
【0006】ところで、高度なガスバリア性が要求され
る包装材料としては、樹脂フィルム基材上に、圧延法に
より製造された金属箔(例えばアルミニウム箔)であっ
て、非常に優れたガスバリア性を示す金属箔を積層する
ことにより作製された積層フィルムが用いられている。
この場合、樹脂フィルム基材に対しては、単独でガスバ
リア性を示すことは特に要求されていない。
【0007】しかし、圧延法で製造された金属箔の厚み
が比較的厚いために、使用後に廃棄物を焼却処分する
と、焼却残滓として金属又はその酸化物が焼却炉中に残
り、また、その再利用も難しいため、圧延法で製造され
た金属箔をガスバリア膜として使用することは、環境問
題上望ましいものではない。
【0008】そこで、上述のような問題に対し、最近で
は一酸化ケイ素(SiO)等のケイ素酸化物(Si
x)、酸化アルミニウム(Alyz)、アルミニウム
(Al)等の金属あるいは金属化合物の薄膜を、樹脂フ
ィルム上に、圧延法ではなく非常に薄く成膜できる蒸着
法により形成した蒸着フィルムが開発されている。この
ような蒸着フィルムは、ガスバリア性の樹脂フィルムよ
りも優れたガスバリア特性を有し、しかも高温高湿度下
での劣化も少ないという性質を有しており、実際に包装
材料に利用されるようになっている。この場合、このよ
うな蒸着フィルムは、単体で用いられることはほとんど
なく、他の基材と貼り合わせて包装用積層材料を作製
し、それを袋や種々の容器に加工している。
【0009】しかしながら、上述したように、金属ある
いは金属化合物のガスバリア性薄膜を樹脂フィルム基材
上に蒸着法により形成した蒸着フィルムにおいては、有
機物である樹脂フィルム基材と、それに接する無機物で
あるガスバリア性薄膜との間の機械的性質、化学的性
質、熱的性質、電気的性質等の諸性質が非常に異なって
いる。従って、ガスバリア性積層体の製造時や製袋時に
実施される種々の処理工程(例えば、蒸着工程、印刷工
程、ラミネート工程、折り曲げ工程、シール工程等)中
に、あるいはその積層体から形成された包装体の使用時
に実施される種々の処理(例えば、高温ボイル処理、高
温高圧レトルト処理等)中に、ガスバリア性薄膜に機械
的ストレス、熱的ストレス等が加わるとガスバリア性薄
膜に、クラック、ピンホール等の損傷や欠陥が発生し、
それらの損傷部分や欠陥部分から酸素や水蒸気等の気体
が通過するようになり、結果的に本来有しているはずの
高いガスバリア性能が低下するという問題がある。
【0010】また、無機物のガスバリア性薄膜と有機物
である樹脂フィルム基材との間では強固な結合が得られ
難く、また、ガスバリア性薄膜上に形成されるインキ層
や接着剤層との間でも強固な結合が得られ難いために、
それらの層間の密着性が不十分となって層間剥離の問題
が生じるとともに、層間剥離の際にはガスバリア性薄膜
にも損傷が生じ、ガスバリア性能が劣化するという問題
がある。
【0011】更に、内容物によっては酸性成分やアルカ
リ性成分を含んでおり、ガスバリア性積層体を構成する
各材料の耐薬品性が十分でない場合もあり、その場合に
はガスバリア性積層体のガスバリア性が低下し、しかも
樹脂フィルム基材とガスバリア性薄膜との密着性が低下
するという問題もあった。
【0012】このような問題に対して、蒸着基材となる
樹脂フィルム基材とガスバリア性薄膜との密着性を改善
するために、樹脂フィルム基材の表面に種々の表面処理
(例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ
処理、火炎処理、加熱処理、アルカリ液表面処理等)を
施し、それにより樹脂フィルム基材の表面を活性化し、
その後に金属または金属化合物の蒸着を行うことにより
ガスバリア性薄膜を形成することが試みられている。こ
れらの処理が施された樹脂フィルム基材は、その表面の
濡れ性が向上してガスバリア性薄膜との二次結合力が増
加する。従って、樹脂フィルム基材とガスバリア性薄膜
との間の密着性が向上することが期待できる。
【0013】また、蒸着基材となる樹脂フィルム基材と
ガスバリア性薄膜との密着性を改善するための別な方法
として、従来の樹脂フィルム基材を作製する際に主とし
て用いられているモノマー成分に、他のモノマー成分を
共重合させることにより得られる共重合樹脂フィルム基
材を使用したり、樹脂フィルム基材の成膜時に他の樹脂
を共押出しすることにより得られる共押出多層樹脂フィ
ルム基材を使用したり、蒸着基材となる樹脂フィルム基
材の表面に、樹脂フィルム基材の成膜時にオフラインま
たはインラインでエチレンイミン系、アミン系、エポキ
シ系、ウレタン系あるいはポリエステル系等のコーティ
ング剤を塗布したりすることも試みられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蒸着基
材となる樹脂フィルム基材とガスバリア性薄膜との密着
性を改善するために、樹脂フィルム基材の表面に種々の
表面処理を施してその表面を活性化した場合、その活性
化状態は経時と共に大きく減少するので、これらの表面
処理方法によっては常に満足する密着性が得られない等
の問題がある。
【0015】また、樹脂フィルム基材として、従来の樹
脂フィルム基材を作製する際に主として用いられている
モノマー成分に他のモノマー成分を共重合させることに
より得られる共重合樹脂フィルム基材を使用したり、樹
脂フィルム基材の成膜時に他の樹脂を共押出しすること
により得られる共押出多層樹脂フィルム基材を使用した
り、成膜時にコーティング剤を塗布することにより得ら
れるものを使用したりする場合には、樹脂フィルム基材
とガスバリア性薄膜との間の密着性は向上するが、それ
らの耐熱性が十分でないために、熱寸法安定性が悪く、
蒸着、印刷、ラミネート等の各工程における熱負荷時に
ガスバリア性薄膜が機械的ストレスを受け、それにより
ガスバリア性薄膜にクラック、ピンホール等が発生し、
ガスバリア性が低下するという問題がある。
【0016】なお、樹脂フィルム基材に形成されたガス
バリア性薄膜と、その上に更に印刷層やヒートシール性
フィルムを積層する際に用いられるインキや接着剤など
との密着性の改良も試みられており、例えば、前述した
ようなエチレンイミン系、アミン系、エポキシ系、ウレ
タン系あるいはポリエステル系等のコーテイング剤を塗
布することが行われている。しかし、コーティング剤の
樹脂成分によっては、密着性あるいはガスバリア性が低
下するという問題がある。即ち、それらの耐熱性が十分
でないために、製袋工程や成型工程で受ける熱負荷によ
りあるいは経時的に体積膨脹または体積収縮を起こして
ガスバリア性薄膜が機械的ストレスを受け、それにより
ガスバリア性薄膜にクラック、ピンホール等が発生し、
印刷層や接着剤層等からガスバリア性薄膜が剥離し、そ
のガスバリア性が低下する。
【0017】また、樹脂フィルム基材とガスバリア性薄
膜との間のコーティング層の塗布工程や、ガスバリア性
薄膜と印刷層あるいは接着剤層との間のコーティング層
の塗布工程は、ガスバリア性薄膜の形成工程とは別々の
ラインで行なわれるために、製造コストがかさむという
問題もある。
【0018】本発明は、以上の従来の技術の課題を解決
しようとするものであり、樹脂フィルム基材と金属又は
金属化合物の蒸着薄膜であるガスバリア性薄膜とからな
るガスバリア性積層体において、樹脂フィルム基材とガ
スバリア性薄膜との間の密着性を改善し且つ優れたガス
バリア性を保持できるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述の目的
を達成するために、以下に示す本発明を完成させた。
【0020】即ち、第1の本発明は、樹脂フィルム基材
上に金属又は金属化合物からなるガスバリア性薄膜が物
理蒸着法により形成されてなるガスバリア性積層体にお
いて、蒸着合成法により形成されたポリアミド膜が、樹
脂フィルム基材とガスバリア性薄膜との間に挟持されて
いることを特徴とするガスバリア性積層体を提供する。
【0021】また、第2の本発明は、樹脂フィルム基材
上に金属又は金属化合物からなるガスバリア性薄膜が物
理蒸着法により形成されてなるガスバリア性積層体にお
いて、蒸着合成法により形成されたポリアミド膜がガス
バリア性薄膜上に形成されていることを特徴とするガス
バリア性積層体を提供する。
【0022】更に、第3の本発明は、上述のガスバリア
性積層体の製造方法であって、ガスバリア性薄膜の物理
蒸着と、ポリアミド膜の蒸着合成とが同一バッチ内で行
なわれることを特徴とする製造方法を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照しなが
ら詳細に説明する。
【0024】図1は、第1の本発明のガスバリア性積層
体の断面図である。このガスバリア性積層体は、樹脂フ
ィルム基材1とガスバリア性薄膜2との間に、蒸着合成
法により形成されたポリアミド膜3が挟持されている構
造を有する。ここで、蒸着合成法により形成されるポリ
アミド膜3は、その膜内部に強固なアミド(−CONH
−)結合を有すると共に、樹脂フィルム基材1との間で
も強固な化学結合を形成し、十分な密着性を発揮する。
しかも、物理蒸着法により形成される金属又は金属化合
物からなるガスバリア性薄膜2との間でも十分な密着性
を発揮する。更に、ポリアミド膜3は、高い融点を有す
る高結晶性ポリマーであるために、蒸着処理、印刷処
理、ラミネート処理、ボイル処理、レトルト処理などの
各加工処理工程における熱ストレスに対して十分な耐熱
性を示し、しかも機械的性質(例えば弾性、耐摩擦性
等)にも優れているので機械的ストレスに対する十分な
耐性も有する。従って、樹脂フィルム基材1とガスバリ
ア性薄膜2との間に蒸着合成法により形成されるポリア
ミド膜3を挟持させることにより、樹脂フィルム基材1
とガスバリア性薄膜2との密着性を改善し、且つ、優れ
たガスバリア性を保持することができる。
【0025】また、ポリアミド膜3は耐薬品性及び耐油
性に優れているために、ポリアミド膜3を備えたガスバ
リア性積層体で包装袋を作製した場合、その内容物の種
類の自由度を高くすることができる。
【0026】また、ポリアミド膜3として蒸着合成法で
形成されるものを使用するので、ポリアミド膜3の成膜
の前工程、後工程での連続同一真空バッチ内で物理蒸着
法によって金属または金属化合物のガスバリア性薄膜の
形成が可能となり、生産工程及び生産コストの点で有利
となる。
【0027】図1の態様においては、樹脂フィルム基材
1とガスバリア性薄膜2との間にポリアミド膜3が挟持
されているが、図2に示すように、ガスバリア性薄膜2
の外側面に、ポリアミド膜3と同等のポリアミド膜4を
更に設けることができる。
【0028】次に、図3に示す第2の本発明のガスバリ
ア性積層体について説明する。図3に示すガスバリア性
積層体は、樹脂フィルム基材1上に、ガスバリア性薄膜
2が積層され、更にその上に蒸着合成法により形成され
るポリアミド膜3が形成されている。このような構造と
することにより、図1の態様に比べて樹脂フィルム基材
1とガスバリア性薄膜2との間の密着性については多少
劣るが、ポリアミド膜3側からの熱的ストレスや機械的
ストレスに対する耐性をガスバリア性積層体に付与する
ことができ、結果的に、ポリアミド膜3を設けない場合
に比べ、樹脂フィルム基材1とガスバリア性薄膜2との
間の密着性と、ガスバリア性積層体のガスバリア性とを
良好な状態に保持することができる。
【0029】図3の態様においては、ポリアミド膜3と
樹脂フィルム基材1とでガスバリア性薄膜2を挟持する
ような構造となっているが、図4に示すように、ポリア
ミド膜3上に、ガスバリア性薄膜2と同等のガスバリア
性薄膜5を更に設けることができる。
【0030】次に、本発明のガスバリア性積層体の各構
成単位について説明する。
【0031】本発明において、樹脂フィルム基材1は、
シート状又はフィルム状の形状を有し、ポリオレフィン
(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル
(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,4
−ナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロ
ン12等)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、
芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイ
ミドポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエ
ーテルケトン、ポリアリレート、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリフェニレンオキサイド、テトラフルオロエ
チレン、一塩化三フッ化エチレン、フッ化エチレンプロ
ピレン共重合体、ポリイミドなどの包装材料として通常
に用いられるものを、ガスバリア性積層体の用途に応じ
て適宜選択して使用することができる。
【0032】なお、樹脂フィルム基材1としては、必要
に応じて二軸延伸したものを使用することができる。ま
た、これらの樹脂フィルム基材1には、必要に応じて公
知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑
剤、滑剤、着色剤等の添加剤を加えることができる。
【0033】このような樹脂フィルム基材1の表面に
は、コロナ放電処理、プラズマ活性化処理、グロー放電
処理、逆スパッタ処理、あるいは粗面化処理などの表面
活性化処理を施すことができる。その他に、クリーニン
グ処理や帯電除去処理などの公知の表面処理を行うこと
もできる。このような表面処理に代えて、樹脂フィルム
基材1の表面には、オフラインやインラインで、エチレ
ンイミン系、アミン系、エポキシ系、ウレタン系、ポリ
エステル系などのコーティング剤でコーティング処理を
施すこともできる。このような処理により、樹脂フィル
ム基材1とポリアミド膜3あるいはガスバリア性薄膜2
との密着性を向上させることができる。
【0034】樹脂フィルム基材1の厚さは、特に制限さ
れないが、ポリアミド膜3の成膜工程やガスバリア性薄
膜2の成膜工程における取扱性等を考慮すると、2〜4
00μmの範囲が好ましい。
【0035】本発明において、蒸着合成法により形成さ
れるポリアミド膜3は、式(1)又は(2)
【0036】
【化1】 -[R-CONH]- (1) -[CO-R-CONH-R1-NH]- (2) (式中、R及びR1は置換又は未置換のアルキレン又は
アリーレン等の二価の連結基である。)で表される結合
を有する膜であり、具体的には、ナイロン6、ナイロン
66、ナイロン11や、ノーメックス、ケブラー29、
ケブラー49等の商品名で特定されるものを使用するこ
とができる。
【0037】なお、蒸着合成法としては、公知の手法を
利用することができ、常圧で、ヘキサメチレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルエーテル等のジアミン類と、ア
ジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸などの二塩基酸類
とを、ハロゲンランプなどによる加熱により1:1のモ
ル比で蒸発させて反応させ、樹脂フィルム基材1又はガ
スバリア性薄膜2上にポリアミド膜3を析出させること
ができるが、減圧低温CVD法を利用することが好まし
い。これは、ポリアミド膜3の形成と後述するガスバリ
ア性薄膜2の形成とを同一バッチ内で行なうことがで
き、製造工程的にも製造コスト的にも有利となるためで
ある。ここで、減圧低温CVD法の圧力条件は、好まし
くは1×10-4Pa〜8×10-1Paである。
【0038】なお、ジアミン類と二塩基酸類とのそれぞ
れの種類は、必要に応じて適宜選択することができ、従
って、ポリアミド膜3としては、2種類以上のポリアミ
ドの混合物から形成されてもよい。更に、単層のポリア
ミド膜でもよく、複数層のポリアミド膜でもよい。
【0039】また、ポリアミド膜3の厚みは、薄すぎる
と均一膜となりにくくなり、厚すぎるとフレキシビリテ
ィーが損なわれるので、通常、10〜5000オングス
トロームの範囲であり、好ましくは50〜500オング
ストロームの範囲である。
【0040】本発明において、物理蒸着法により形成さ
れる金属あるいは金属化合物からなるガスバリア性薄膜
2としては、アルミニウム、シリカ、チタニウム、亜
鉛、ジルコニウム、マグネシウム、錫、銅、鉄などの金
属やこれらの金属の酸化物、窒化物、フッ化物等(例え
ば酸化アルミニウム(Al23)、一酸化ケイ素(Si
O)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化チタニウム(T
iO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(Z
rO2)、酸化マグネシウム(MgO)、フッ化マグネ
シウム(MgF)、酸化錫(SnO)、酸化銅(Cu
O)、酸化鉄(Fe23))の薄膜を挙げることができ
る。
【0041】ガスバリア性薄膜2の膜厚としては、薄過
ぎると薄膜に抜けが生じ、ガスバリア性にバラツキが生
じ易く、厚過ぎると薄膜のフレキシビリティーが損なわ
れ、クラック、ピンホールが発生し易くなり、ガスバリ
ア性が低下するので、好ましくは50〜5000オング
ストローム、より好ましくは200〜1500オングス
トロームの範囲である。なお、ガスバリア性薄膜2は単
一成分の単層に限られることなく、上記の蒸着材料の混
合物からなる蒸着薄膜であっても、また2層以上の多層
膜であってもよい。
【0042】物理蒸着法としては、公知の真空蒸着、イ
オンプレーティング、スパッタリングなどの蒸着法を利
用することができる。これらの中でも、真空蒸着、イオ
ンプレーティングが生産性の高さの点から好ましい。蒸
着装置の加熱方式としては、抵抗加熱方式、エレクトロ
ンビーム(EB)加熱方式、高周波誘導加熱方式等を利
用することができる。
【0043】以上、説明した本発明のガスバリア性積層
体は、図1〜図4に示したような層構成となるように、
樹脂フィルム上基材1上に、蒸着合成法によりポリアミ
ド膜3を形成し且つ物理蒸着法によりガスバリア性薄膜
2を形成することにより製造することができる。特に、
蒸着合成法として減圧低温CVD法を利用することによ
り、ポリアミド膜3の蒸着合成とガスバリア性薄膜2の
物理蒸着とを同一バッチ内で行うことができるので好ま
しい。これにより、ポリアミド膜3とガスバリア性薄膜
2とを連続して成膜できるので、製造工程的にも製造コ
スト的にも利点がある。
【0044】このように、同一バッチ内でガスバリア性
積層体を製造するための装置の一例を、図5に模式的に
示す。同図に示されるように、この装置は、巻出しロー
ル101に巻かれた樹脂フィルム基材102が、真空蒸
着兼減圧低温(プラズマ)CVD装置100内のロール
室103に装填されている。この樹脂フィルム基材10
1は、ガイドロール104aを通り金属製の冷却ドラム
105に接しながら第1の減圧低温CVD室106a、
次いでガスバリア性薄膜を形成するための材料である蒸
着源107を有する蒸着室108、及び第2の減圧低温
CVD室106bを順次通って、最後に冷却ドラム10
5から離れてガイドロール104bを経てロール室10
3に設置されている巻取りロール109に巻き取られる
構成となっている。具体的は、先ず真空蒸着装置兼減圧
低温CVD装置100内の真空度を2×10-6〜8×1
-3、好ましくは8×10-6〜8×10-5Torrとす
る。そして、第1の減圧低温CVD室106a中の冷却
ドラム105上を走行している樹脂フィルム基材102
に、ポリアミド膜用原料蒸発源110aにジアミン類を
供給し、ポリアミド膜用原料蒸発源110bに二塩基酸
類(例えば、二塩基酸又は二塩基酸ジハライドもしくは
二塩基酸無水物)を供給し、それぞれの蒸発温度もしく
はそれ以上の温度に、ハロゲンランプなどの加熱手段1
11a、111bを使用し、熱電対で温度を測定しなが
ら加熱する。また、ジアミン類と二塩基酸類とが1:1
のモル比で反応して堆積するように、水晶振動子膜厚モ
ニター等で観測しながらコントロールする。
【0045】次に、ポリアミド膜が形成された樹脂フィ
ルム基材1の当該ポリアミド膜上に、蒸着室108中で
金属又は金属化合物からなるガスバリア性材料を真空蒸
着する。この場合、ガスバリア性材料を蒸着源107に
投入し、減圧下で加熱(例えばエレクトロンビーム加
熱)することによりガスバリア性薄膜を成膜する。
【0046】ここで、ガスバリア性薄膜上に、必要に応
じて、第2の減圧低温CVD室106bで再度ポリアミ
ド膜をガスバリア性薄膜上に成膜してもよい。即ち、第
2の減圧低温CVD室106b中の冷却ドラム105上
を走行している樹脂フィルム基材102に、ポリアミド
膜用原料蒸発源110cにジアミン類を供給し、ポリア
ミド膜用原料蒸発源110dに二塩基酸類を供給し、そ
れぞれの蒸発温度もしくはそれ以上の温度に、ハロゲン
ランプなどの加熱手段111c、111dを用いて、熱
電対で温度を測定しながら加熱する。また、ジアミン類
と二塩基酸類とが1:1のモル比で反応して堆積するよ
うに、水晶振動子膜厚モニター等で観測しながらコント
ロールする。このように樹脂フィルム基材上にポリアミ
ド膜とガスバリア性薄膜とが形成されてなるガスバリア
性積層体は、ガイドロール104bを経て、巻取りロー
ル109に連続的に巻き取られることとなる。
【0047】このようにして得られたガスバリア性積層
体は、種々の包装材料として有用であり、種々の形状に
加工され、実用に供される。
【0048】
【実施例】以下、本発明のガスバリア性積層体を具体的
に説明する。
【0049】実施例1 図5に示したような真空蒸着兼減圧低温CVD装置10
0を用いて以下に示すようにガスバリア性積層体を製造
した。
【0050】まず、樹脂フィルム基材102として、1
2μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィル
ム(以下PET基材と略称する)を使用した。このPE
T基材102をロール室103の巻出しロール101か
ら引き出し、ガイドロール104aを経て、金属製の冷
却ドラム105に接触させながら第1の減圧低温CVD
室106a、ついでガスバリア性材料の蒸着源107を
有する蒸着室108、そして第2の減圧低温CVD室1
06bを順次通った後に冷却ドラム105から離れ、ガ
イドロール104bを経てロール室103に設置されて
いる巻取りロール109に巻き取られるようにセッティ
ングした。
【0051】先ず,真空蒸着兼減圧低温CVD装置10
0全体の真空度を1.5×10-5Torrに調整した
後、第1の減圧低温CVD室106a中で冷却ドラム1
05上を走行しているPET基材102に、原料蒸発源
110aにジアミノジフェニルエーテルを供給し、原料
蒸発源110bにテレフタル酸ジクロリドを供給した。
そして、原料蒸発源110aのジアミノジフェニルエー
テルをその蒸発温度の約60℃に熱電対で測定しながら
ハロゲンランプ111aで加熱した。また、原料蒸発源
110bのテレフタル酸ジクロリドをその蒸発温度の約
150℃に熱電対で測定しながらハロゲンランプ111
bで加熱した。また、水晶振動子膜厚モニターで観測し
ながら、ジアミノジフェニルエーテルとテレフタル酸ジ
クロリドとが1:1のモル比で堆積するようにコントロ
ールした。このときの圧力は3.0×10-4Torrに
調整した。この結果、冷却ドラム105上を走行してい
るPET基材102の表面に、厚さ100オングストロ
ームのポリアミド膜が形成された。
【0052】次に、蒸着室108中において冷却ドラム
105に接触しながら走行しているPET基材102の
ポリアミド膜上に、酸化ケイ素(SiO)を厚さ500
オングストロームとなるように真空蒸着(蒸着条件:エ
レクトロンビームパワー(30KV−0.75A),圧
力2×10-4Torr)させ、ガスバリア性薄膜を形成
した。これにより、図1に示すような、PET(基材)
/ポリアミド膜/SiO薄膜(ガスバリア性薄膜)の三
層構成のガスバリア性積層体が得られた。
【0053】更に、減圧低温CVD室106b中で冷却
ドラム105に接触しながら走行している積層体(PE
T/ポリアミド膜/SiO薄膜)のSiO薄膜上に、原
料蒸着源110cにジアミノジフェニルエーテルを供給
し、原料蒸発源110dにテレフタル酸ジクロリドを供
給し、前述のポリアミド膜の形成と同様の条件に従っ
て、100オングストローム厚のポリアミド膜を形成し
た。これにより、図2に示すような、PET/ポリアミ
ド膜/SiO薄膜/ポリアミド膜の四層構成のガスバリ
ア性積層体が得られた。この積層体は、冷却ドラム10
5を離れ、ガイドロール104bを経て、ロール室10
3中の巻取りロール109に連続的に巻取った。
【0054】得られたガスバリア性積層体の表面のポリ
アミド膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延
伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により
貼り合わせた。これにより、ヒートシール可能なガスバ
リア性積層体が得られた。
【0055】実施例2 減圧低温CVD発生室106bにおいてポリアミド膜を
形成しなかった以外は、実施例1と同様の操作により、
図1に示すようなPET/ポリアミド膜/SiO薄膜の
3層構成のガスバリア性積層体が得られた。そして、得
られたガスバリア性積層体の表面のSiO薄膜に、更に
熱接着性樹脂として30μm厚の未延伸ポリプロピレン
フィルムをドライラミネート法により貼り合わせた。こ
れにより、ヒートシール可能なガスバリア性包装材料が
得られた。
【0056】実施例3 減圧低温CVD室106aにおいてポリアミド膜を積層
しなかった以外は、実施例1と同様の操作により、図3
に示しようなPET/SiO薄膜/ポリアミド膜の3層
構成のガスバリア性積層体が得られた。そして、得られ
たガスバリア性積層体の表面のポリアミド膜に、更に熱
接着性樹脂として30μm厚の未延伸ポリプロピレンフ
ィルムをドライラミネート法により貼り合わせた。これ
により、ヒートシール可能なガスバリア性包装材料が得
られた。
【0057】実施例4 酸化ケイ素に代えて、ガスバリア性材料として酸化アル
ミニウム(純度99.99%)を使用し、且つエレクト
ロンビームパワーを30KV−0.75Aとした以外は
実施例1と同様の操作により、PET/ポリアミド膜/
Al23薄膜/ポリアミド膜の四層構成のガスバリア性
積層体が得られた。
【0058】得られたガスバリア性積層体の表面のポリ
アミド膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延
伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により
貼り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材
料が得られた。
【0059】実施例5 酸化ケイ素に代えて、ガスバリア性材料として酸化マグ
ネシウム(純度99.99%)を使用し、且つエレクト
ロンビームパワーを30KV−1.00Aとした以外は
実施例1と同様の操作により、PET/ポリアミド膜/
MnO薄膜/ポリアミド膜の四層構成のガスバリア性積
層体が得られた。
【0060】得られたガスバリア性積層体の表面のポリ
アミド膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延
伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により
貼り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材
料が得られた。
【0061】実施例6 酸化ケイ素に代えて、ガスバリア性材料として金属アル
ミニウム(純度99.99%)を使用し、且つエレクト
ロンビームパワーを30KV−0.50Aとした以外は
実施例1と同様の操作により、PET/ポリアミド膜/
Al薄膜/ポリアミド膜の四層構成のガスバリア性積層
体が得られた。
【0062】得られたガスバリア性積層体の表面のポリ
アミド膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延
伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により
貼り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材
料が得られた。
【0063】実施例7 原料蒸発源110a及び110cに供給するジアミン類
として、ジアミノジフェニルエーテルに代えてヘキサメ
チレンジアミンを使用し、原料蒸発源110b及び11
0dに供給する二塩基酸ジクロリドとして、テレフタル
酸ジクロリドに代えてアジピン酸を使用する以外は、実
施例1と同様の操作により、PET(基材)/ナイロン
66(ポリアミド膜)/SiO薄膜(ガスバリア性薄
膜)/ナイロン66(ポリアミド膜)の四層構成のガス
バリア性積層体が得られた。
【0064】得られたガスバリア性積層体の表面のポリ
アミド膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延
伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により
貼り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材
料が得られた。
【0065】実施例8 酸化ケイ素に代えて、ガスバリア性材料として金属アル
ミニウム(純度99.99%)を使用し、且つエレクト
ロンビームパワーを30KV−0.50Aとした以外は
実施例7と同様の操作により、PET(基材)/ナイロ
ン66(ポリアミド膜)/Al薄膜(ガスバリア性薄
膜)/ナイロン66(ポリアミド膜)の四層構成のガス
バリア性積層体が得られた。
【0066】得られたガスバリア性積層体の表面のポリ
アミド膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延
伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により
貼り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材
料が得られた。
【0067】比較例1 2つの減圧低温CVD室106aと106bとにおい
て、ポリアミド膜を積層しない以外は、実施例1と同様
の操作により、PET/SiO薄膜の2層構成のガスバ
リア性積層体を作製した。
【0068】得られたガスバリア性積層体の表面のSi
O薄膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延伸
ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により貼
り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材料
が得られた。
【0069】比較例2 2つの減圧低温CVD室106aと106bとにおい
て、ポリアミド膜を積層しない以外は、実施例4と同様
の操作により、PET/Al23薄膜の2層構成のガス
バリア性積層体を作製した。
【0070】得られたガスバリア性積層体の表面のAl
23薄膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延
伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により
貼り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材
料が得られた。
【0071】比較例3 2つの減圧低温CVD室106aと106bとにおい
て、ポリアミド膜を積層しない以外は、実施例5と同様
の操作により、PET/MgO薄膜の2層構成のガスバ
リア性積層体を作製した。
【0072】得られたガスバリア性積層体の表面のMg
O薄膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延伸
ポリプロピレンフィルムをドライラミネート法により貼
り合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材料
が得られた。
【0073】比較例4 2つの減圧低温CVD室106aと106bとにおい
て、ポリアミド膜を積層しない以外は、実施例6と同様
の操作により、PET/Al薄膜の2層構成のガスバリ
ア性積層体を作製した。
【0074】得られたガスバリア性積層体の表面のAl
薄膜に、更に熱接着性樹脂として30μm厚の未延伸ポ
リプロピレンフィルムをドライラミネート法により貼り
合わせた。これにより、ヒートシール可能な包装材料が
得られた。
【0075】(評価)以上のようにして作製した実施例
1〜8及び比較例1〜4のガスバリア性積層体につい
て、ガスバリア特性(酸素透過率,透湿度)を以下の測
定条件で測定した。また、各実施例及び各比較例で得ら
れたヒートシール可能な包装材料について、ポリアミド
膜及びガスバリア性薄膜の密着特性(剥離強度)を以下
の測定条件で測定した。得られた結果を表1に示す。
【0076】(ガスバリア特性)酸素透過率(cc/m2/day) 25℃−100%RHの環境下でモコン法(MOCON
OXTRAN−10/50A)により測定した。酸素
透過率は低い程好ましいが、実用的には0.1(cc/m2/d
ay) 以下であることが望まれる。
【0077】透湿度(g/m2/day)40℃−90%RHの
環境下でモコン法(MOCON PERMATRAN−
W6)により測定した。透湿度は低い程好ましいが、実
用的には0.3(g/m2/day) 以下であることが望まれ
る。
【0078】(密着特性)剥離強度(g/15mm) 15mm幅のサンプルを、剥離角度90度−剥離速度3
00mm/minの条件でインストロン型引張試験機により測
定した。剥離強度は高い程望ましいが、実用的には45
0g/15mm以上であることが望まれる。
【0079】
【表1】 ガスバリア性 密着性 酸素透過率 透湿度 剥離強度 (cc/m2/day) (g/m2/day) (g/15mm) 実施例1 0.1> 0.1> 630 実施例2 0.1> 0.2 600 実施例3 0.1> 0.2 660 実施例4 0.1> 0.1> 700 実施例5 0.1> 0.1> 550 実施例6 0.1> 0.1> 550 実施例7 0.1> 0.1> 650 実施例8 0.1> 0.1> 500 比較例1 2.5 2.3 370 比較例2 3.0 3.1 400 比較例3 1.0 0.6 290比較例4 1.2 0.9 160
【0080】表1から、実施例1〜8のガスバリア性積
層体は、酸素及び水蒸気に対して優れたバリア性を示し
ていることがわかる。また、実施例1〜8のガスバリア
性積層体を使用した包装材料の剥離強度も非常に良好な
結果を示していることがわかる。
【0081】一方、ポリアミド膜が形成されていない比
較例1及び2のガスバリア性積層体を使用した包装材料
の剥離強度は、同一のガスバリア性薄膜を有する実施例
1及び4のガスバリア性積層体に比べ約30〜40%低
下していることがわかる。更に、酸素透過率も透湿度が
少なくとも約25倍〜30倍となっており、ガスバリア
性が大きく低下していることがわかる。
【0082】また、ポリアミド膜が形成されておらず且
つガスバリア性薄膜としてMgO又はAlを使用してい
る比較例3及び4のガスバリア性積層体を使用した包装
材料の剥離強度は、同一のガスバリア性薄膜を有する実
施例5及び6のガスバリア性積層体に比べ約50〜70
%低下していることがわかる。更に、酸素透過率も透湿
度は、少なくとも約6倍〜12倍となっており、ガスバ
リア性が大きく低下していることがわかる。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、蒸着合成法により形成
されたポリアミド膜を、樹脂フィルム基材とガスバリア
性薄膜との間に挟持させるか又はガスバリア性薄膜上に
積層することにより、ガスバリア性積層体の層間の密着
性を向上させることができる。
【0084】また、ポリアミド膜は、耐熱性、弾性、機
械的性質、及び耐油性、耐薬品性に優れているので、本
発明のガスバリア性積層体は、蒸着、印刷、ラミネー
ト、製袋等の積層体製造工程における機械的ストレス、
熱的ストレスからくる歪みによるクラック、ピンホール
が発生しにくく、ガスバリア性劣化が起き難いものとな
る。更に、ポリアミド膜を低圧低温CVD法で行なうこ
とで、ポリアミド膜とガスバリア性薄膜とを同一バッチ
内で連続的に積層させることができ、加工性、生産性に
非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリア性積層体の一実施例を示す
断面図である。
【図2】本発明のガスバリア性積層体の別の実施例を示
す断面図である。
【図3】本発明のガスバリア性積層体の更に別の実施例
を示す断面図である。
【図4】本発明のガスバリア性積層体の更に別の実施例
を示す断面図である。
【図5】本発明のガスバリア性積層体の製造装置の概略
図である。
【符号の説明】
1…樹脂フィルム基材 2,5…ガスバリア性薄膜 3,4…ポリアミド膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 14/12 C23C 14/12 14/20 14/20 A // C23C 16/30 16/30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂フィルム基材上に金属又は金属化合
    物からなるガスバリア性薄膜が物理蒸着法により形成さ
    れてなるガスバリア性積層体において、蒸着合成法によ
    り形成されたポリアミド膜が、樹脂フィルム基材とガス
    バリア性薄膜との間に挟持されていることを特徴とする
    ガスバリア性積層体。
  2. 【請求項2】 ガスバリア性薄膜上に蒸着合成法により
    形成されたポリアミド膜が更に形成されている請求項1
    記載のガスバリア性積層体。
  3. 【請求項3】 蒸着合成法が減圧低温CVD法である請
    求項1又は2記載のガスバリア性積層体。
  4. 【請求項4】 樹脂フィルム基材上に金属又は金属化合
    物からなるガスバリア性薄膜が物理蒸着法により形成さ
    れてなるガスバリア性積層体において、蒸着合成法によ
    り形成されたポリアミド膜がガスバリア性薄膜上に形成
    されていることを特徴とするガスバリア性積層体。
  5. 【請求項5】 ポリアミド膜上に、金属又は金属化合物
    からなるガスバリア性薄膜が更に形成されている請求項
    4記載のガスバリア性積層体。
  6. 【請求項6】 蒸着合成法が減圧低温CVD法である請
    求項4又は5記載のガスバリア性積層体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のガスバ
    リア性積層体の製造方法であって、ガスバリア性薄膜の
    物理蒸着と、ポリアミド膜の蒸着合成とが同一バッチ内
    で行なわれることを特徴とする製造方法。
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WO2004043690A1 (ja) * 2002-11-14 2004-05-27 Kabushiki Kaisha Hosokawa Yoko 複層シート及び該複層シートにより構成される食品用又は医薬品用又は器具用包材

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WO2004043690A1 (ja) * 2002-11-14 2004-05-27 Kabushiki Kaisha Hosokawa Yoko 複層シート及び該複層シートにより構成される食品用又は医薬品用又は器具用包材

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