JPH106298A - 積層基板の孔あけ加工法およびそれに用いるシート - Google Patents

積層基板の孔あけ加工法およびそれに用いるシート

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JPH106298A
JPH106298A JP15714896A JP15714896A JPH106298A JP H106298 A JPH106298 A JP H106298A JP 15714896 A JP15714896 A JP 15714896A JP 15714896 A JP15714896 A JP 15714896A JP H106298 A JPH106298 A JP H106298A
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compound
sheet
water
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weight
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JP15714896A
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English (en)
Inventor
Chuzo Isoda
忠三 磯田
Takayuki Morishita
貴之 森下
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】貫通孔穿設時の除熱効果,潤滑効果,切り屑の
飛散防止効果に優れ、高品質の貫通孔を容易に穿設する
ことのできる積層基板の孔あけ加工法およびそれに用い
るシートの提供をその目的とする。 【解決手段】積層基板に貫通孔を穿設する孔あけ加工法
において、下記の(A)および(B)を含有し、かつ上
記(A)および(B)の混合割合が、重量基準で、
(A)/(B)=40/60〜95/5の範囲に設定さ
れた混合物により形成されてなるシートを準備して、積
層基板面に上記シートを配置し、積層基板の基板に上記
シートを介して貫通孔を穿設する。 (A)下記の(a)および(b)を反応させてなる重量
平均分子量10000以上の水溶性高分子化合物。 (a)活性水素基を2個有する有機化合物に、エチレ
ンオキシドを70重量% 以上含有するアルキレ
ンオキシドを付加重合させてなる重量平均分子量
1000以上のポリアルキレンオキシド化合物。 (b)ジカルボン酸類化合物およびジイソシアネート
化合物の少なくとも一方 。 (B)金属粉末および金属系化合物の少なくとも一方。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両面および多層プ
リント回路配線板等の積層板にスルーホールを形成加工
する積層基板の孔あけ加工法およびそれに用いるシート
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、プリント回路配線板等の電子積
層基板にスルーホール(貫通孔)を穿設する場合は、一
般に、上記配線板上に金属薄板を載置し、錐,ドリルあ
るいはパンチャー等で貫通孔を穿設している。このスル
ーホール形成工程において、切り屑が発生して配線板表
面に付着したり、さらにスルーホール内やその縁に付着
したりする問題が発生している。また、スルーホール切
削面が粗面に形成されてしまったりする問題も生ずる。
したがって、従来は、吸引装置を設けて強制的にこれら
切り屑を除去したり、切削終了後に、切削面を研磨処理
してスルーホール形成部分周辺に付着した切削屑を取り
除いていた。しかし、このように切り屑を吸引したり、
研磨処理するのは作業工程が煩雑となり好ましいもので
はない。
【0003】このような作業工程を簡略化するために、
例えば、絶縁体に金属箔が積層された積層基板にドリル
等による貫通孔を形成する際、上記積層基板の片面ある
いは両面に水溶性潤滑剤含浸シートを配置し、このシー
トを介してスルーホール(貫通孔)を穿設することが行
われている(米国特許第4781495号および米国特
許第4929370号)。すなわち、上記方法は、固形
の水溶性潤滑剤であるジエチレングリコールやジプロピ
レングリコール等のグリコール類と脂肪酸等のエステル
物合成ワックス、非イオン性界面活性剤の混合物を紙等
に含浸させたシートを用いて行う方法である。また、上
記方法以外に、ポリエチレングリコール,ポリプロピレ
ングリコールの水溶性高分子を単独であるいはこれら水
溶性高分子混合物、さらにこれらの脂肪酸エステル等を
用い、上記高分子層が形成されたシートを用い、上記シ
ートを積層板に載置してドリルにより貫通孔を形成する
方法が提案されている(特開平4−92488号,特開
平4−92489号,特開平4−92490号,特開平
4−92491号,特開平4−92492号,特開平4
−92493号,特開平4−92494号)。さらに、
ポリエーテルエステルと水溶性滑剤とを特定の割合で混
合した混合物からなる水溶性滑剤シートを、積層体のド
リル孔あけ時に用いる孔あけ加工法が提案されている
(特開平6−344297号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法は、貫通孔の穿設時のドリルビットの発熱防止効果が
不充分であったり、べたつきが生じたり、貫通孔穿設時
に水溶性高分子が固く溶融せずに潤滑効果が得られなか
ったり、さらに熱可塑性に乏しくフィルム成形性に劣り
シート状に形成しにくいというような様々な欠点を有し
ている。特に、最近、積層基板の実装密度が上がり、貫
通孔の直径も、0.5mm,0.3mm,0.25m
m,0.20mmと徐々に小さくなってきている。この
ため、ドリル等を用いての切削の際に生ずる摩擦熱を効
果的に抑制することが要望されている。
【0005】このような要望から、本出願人は、特殊な
水溶性高分子化合物を主成分とする高分子シートを用い
て積層基板に孔あけ加工を施す方法をすでに出願してい
る(特開平7−96499号)。
【0006】しかし、最近では、上記要望に加えて、穿
設時のより一層優れた潤滑性と、穿設時に発生した熱を
効果的に放熱することのできる優れた放熱性とが望まれ
ている。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、貫通孔穿設時の除熱効果,潤滑効果および切り
屑の飛散防止効果に優れ、高品質の貫通孔を容易に穿設
することのできる積層基板の孔あけ加工法およびそれに
用いるシートの提供をその目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、絶縁体に金属箔が積層された積層基板の
少なくとも片面に、シートを配置し、上記積層基板に上
記シートを介して貫通孔を穿設する積層基板の孔あけ加
工法であって、上記シートが、下記の(A)および
(B)を含有し、かつ上記(A)および(B)の混合割
合が、重量基準で、(A)/(B)=40/60〜95
/5の範囲に設定された混合物により形成されてなるシ
ートである積層基板の孔あけ加工法を第1の要旨とす
る。 (A)下記の(a)および(b)を反応させてなる重量
平均分子量10000以上の水溶性高分子化合物。 (a)活性水素基を2個有する有機化合物に、エチレン
オキシドを70重量%以上含有するアルキレンオキシド
を付加重合させてなる重量平均分子量1000以上のポ
リアルキレンオキシド化合物。 (b)ジカルボン酸類化合物およびジイソシアネート化
合物の少なくとも一方。 (B)金属粉末および金属系化合物の少なくとも一方。
【0009】また、上記(A)および(B)を含有し、
かつ上記(A)および(B)の混合割合が、重量基準
で、(A)/(B)=40/60〜95/5の範囲に設
定された混合物により形成されてなる孔あけ加工用シー
トを第2の要旨とする。
【0010】本発明者らは、積層板に微細な貫通孔を形
成する際に、良好な潤滑性を付与して、発熱を防止する
とともに生じた熱の放熱性に優れ、貫通孔穿設時に切り
屑等の飛散を抑制してきれいな切削面が得られる貫通孔
の形成方法について一連の研究を重ねた。その結果、貫
通孔を形成する際、融点が低く潤滑効果に優れた特殊な
水溶性高分子化合物(A)と、金属粉末および金属系化
合物の少なくとも一方(B)を特定の混合割合で混合し
た混合物からなる特殊なシートを用いることを着想し
た。すなわち、上記特殊なシートを基板面に載置してシ
ートを介して貫通孔を穿設すると、ドリル等の回転によ
り発生する摩擦熱によりシートが容易に溶融して切り屑
を取り込み、切削面の荒れを防止するとともに、溶融し
た高分子化合物が潤滑剤の役割を果たし、摩擦熱による
温度上昇の抑制とともに発生した熱が効果的に放出さ
れ、この摩擦熱に伴うドリルの折れ等が防止されること
を見いだし本発明に到達した。
【0011】本発明は、上記特定の水溶性高分子化合物
の溶融温度が低いため、貫通孔の穿設、例えばドリルや
錐等による切削時の発熱により上記混合物からなるシー
トが直ちに融解して除熱および潤滑効果を示し、切削面
での荒れの発生が防止される。また、貫通孔の穿設後
に、切削面を研磨処理する必要がなくなり工程の簡略化
が図れる。特に、本発明の孔あけ加工法の効果は、直径
が0.5mm以下の非常に小さな貫通孔の穿設時に顕著
である。一般的に、貫通孔の直径が小さい場合は、ドリ
ルや錐の直径も小さくなり、積層基板に貫通孔を穿設す
る際に発生する応力により折れてしまうため、積層基板
を一度に1〜2枚程度しか重ねることができない。しか
し、本発明によれば、応力の発生の抑制と優れた放熱性
の実現により、積層基板を3〜5重ねて孔あけ加工を行
うことが可能となり生産効率が向上する。
【0012】さらに、本発明によると、特に切削面の荒
れの低減が顕著であるため、切削後に銅メッキ処理を行
った場合、ハロー現象の発生が著しく小さくなる特徴が
ある。多層板の場合は、内層銅板にハロー現象が発生す
ると、経日と共にハロー現象発生面で銅腐食が生起し、
時には銅製回路が断線する現象が生じる。したがって、
ハロー現象の発生を極力抑制する工夫が要求されてい
る。上記ハロー現象は、孔あけ切削時の切削面の荒れに
より、内層銅板にメッキ液が浸透し、メッキ処理後の水
洗工程でメッキ液を取り除くことが不可能なため、この
メッキ液による銅腐食が発生する。また、メッキ前処理
で、還元剤を用いてメッキ液の酸化を防止する方法もあ
るが、この場合は、工程中に還元処理工程を組み入れる
必要があり、加工工程が増え煩雑となる。本発明では、
このような処理工程を増やすことなくハロー現象の発生
を防止することが可能となりより効果的である。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を詳しく説明す
る。
【0014】本発明の孔あけ加工法の対象となる積層基
板は、金属箔と電気絶縁体とが積層され一体化した種々
のプリント配線板用基材であり、例えば金属箔張積層
板,内層にプリント配線回路を有する多層積層板,内層
にプリント配線回路を有する金属箔張積層板,金属箔張
プラスチックフィルム等があげられる。
【0015】本発明の積層基板の孔あけ加工法には、積
層基板の孔あけ加工用の特殊なシートが用いられる。
【0016】そして、本発明において、上記特殊なシー
トは、上記混合物のみからなる単独シート、もしくはシ
ート基材の基材面に上記混合物からなる特殊な高分子層
が形成されたシートである。
【0017】上記混合物は、特殊な水溶性高分子化合物
(A)と、金属粉末および金属系化合物の少なくとも一
方(B)とを特定の割合で用いて得られるものである。
【0018】上記特殊な水溶性高分子化合物(A)は、
下記の(a)および(b)を反応させてなる重量平均分
子量10000以上の水溶性高分子化合物である。 (a)活性水素基を2個有する有機化合物に、エチレン
オキシドを70重量%以上含有するアルキレンオキシド
を付加重合させてなる重量平均分子量1000以上のポ
リアルキレンオキシド化合物。 (b)ジカルボン酸類化合物およびジイソシアネート化
合物の少なくとも一方。
【0019】そして、上記水溶性高分子化合物(A)の
重量平均分子量は10000以上に設定され、より好ま
しくは3万〜20万であり、特に好ましくは8万〜16
万である。
【0020】上記(a)の活性水素基を2個有する有機
化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ポリ
テトラメチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−
ジメタノール等の脂環式ジオール、ブチルアミン、オク
チルアミン、ラウリルアミン、シクロヘキシルアミン、
アニリン等のアミン類があげられる。これらは単独でも
しくは併せて用いられる。
【0021】また、上記有機化合物に付加重合させるエ
チレンオキシドを主体とするアルキレンオキシドとして
は、エチレンオキシド単独、あるいはエチレンオキシド
を主成分とし、これにプロピレンオキシド,ブチレンオ
キシド,スチレンオキシド,α−オレフィンエポキシ
ド,グリシジルエーテル類等を混合した混合物があげら
れる。なお、上記エチレンオキシドの含有量は、70重
量%(以下「%」と略す)以上に設定する必要がある。
特に好ましくは85〜100%である。すなわち、エチ
レンオキシドの含有量が70%未満では、水溶性高分子
化合物(A)の水溶性が低下するからである。
【0022】そして、上記(a)は、上記各成分を用い
て、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の苛
性アルカリを触媒として、約90〜200℃の温度で2
〜30時間反応させて、活性水素基を2個有する有機化
合物にエチレンオキシドを含有するアルキレンオキシド
をブロックまたはランダムで付加重合させることにより
得られる。
【0023】上記各成分を用いて得られるポリアルキレ
ンオキシド化合物(a)は、重量平均分子量1000以
上であり、特に好ましくは5000〜30000であ
る。すなわち、重量平均分子量が1000未満では、対
応する上記(b)のジカルボン酸類化合物,ジイソシア
ネート化合物の連結剤の添加割合が多くなるため水可溶
性が劣化する傾向がみられるからである。また、重量平
均分子量が5000〜30000では、(b)の連結剤
で反応させることにより得られる水溶性高分子化合物
(A)の融点が適度に高くなり、かつフィルム成形性が
良好となり好ましい。
【0024】上記ポリアルキレンオキシド化合物(a)
と反応させる(b)のなかのジカルボン酸類化合物とし
ては、ジカルボン酸,ジカルボン酸無水物,ジカルボン
酸の低級アルキルエステルがあげられる。上記ジカルボ
ン酸としては、フタル酸,イソフタル酸,テレフタル
酸,マロン酸,コハク酸,セバシン酸,マレイン酸,フ
マル酸,アジピン酸,イタコン酸等があげられ、ジカル
ボン酸無水物としては、上記各種ジカルボン酸の無水物
があげられる。また、上記ジカルボン酸の低級アルキル
エステルとしては、上記各種ジカルボン酸のメチルエス
テル,ジエチルエステル等があげられる。これらは単独
でもしくは併せて用いられる。
【0025】上記(b)のなかのジイソシアネート化合
物としては、具体的には、トリレンジイソシアネート、
ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレ
ンジイソシアネート、4,4−メチレン−ビス(シクロ
ヘキシールイソシアネート)等があげられる。
【0026】本発明における特殊な水溶性高分子化合物
(A)は、上記(a)と(b)とを用い、つぎのように
反応させて得られる。まず、(b)がジカルボン酸類化
合物の場合について述べる。すなわち、上記(a)を準
備し、これに上記(b)を添加した後、昇温させ、80
〜250℃の加熱下において0.001〜20mmHg
の減圧にして脱水または脱アルコールを行うことにより
得られる。この間の反応時間としては、通常、30分〜
10時間である。
【0027】そして、上記(a)と(b)とを反応させ
る際の両者の配合割合(a/b)は、当量比で、a/b
=1/0.90〜1/3.50の範囲に設定することが
好ましく、より好ましくはa/b=1/0.95〜1/
3.50の範囲である。
【0028】つぎに、上記(b)がジイソシアネート化
合物の場合について述べる。すなわち、ジイソシアネー
ト化合物の場合におけるウレタン化反応は、例えばポリ
オキシアルキレンポリオールとジイソシアネート化合物
とを、NCO/OH当量比を0.5〜1.5の範囲内で
混合させて、80〜150℃,1〜10時間反応させる
ことにより行われる。
【0029】このようにして得られる水溶性高分子化合
物(A)の重量平均分子量は、前述のように、1000
0以上に設定され、より好ましくは3万〜20万であ
り、特に好ましくは8万〜16万である。すなわち、重
量平均分子量が10000未満では機械強度が低く、ま
た二次加工性に劣る傾向がみられ、逆に20万を超える
と、樹脂の溶融状態の流れ特性が悪くなり、メルトフラ
クチャー現象が発生し、押出成形が不可能となるからで
ある。
【0030】そして、上記特殊な水溶性高分子化合物
(A)とともに用いられる、金属粉末および金属系化合
物の少なくとも一方(B)において、上記金属粉末とし
ては、例えば、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、鉄
粉末、ステンレス粉末等があげられる。上記金属粉末を
配合することにより、孔あけ加工時のドリル等の回転に
より発生する摩擦熱の優れた放熱効果が得られる。特
に、高い熱伝導率という点から、アルミニウム粉末、銅
粉末を用いることが好ましい。そして、これら金属粉末
における形状としては、球状、破砕状等特に限定するも
のではない。さらに、粉末の粒径においても特に限定す
るものではない。
【0031】また、上記金属系化合物としては、例え
ば、炭素数12〜22の高級脂肪酸のカルシウム、バリ
ウム、アルミニウム等の各種金属塩があげられる。具体
的には、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カリウ
ム、ラウリン酸バリウム等があげられる。上記金属系化
合物を配合することにより、上記特殊な水溶性高分子化
合物(A)単独の場合に比べて孔あけ加工時におけるよ
り一層優れた潤滑性の向上効果が図れる。なかでも、取
扱いが容易という点から、ステアリン酸バリウムを用い
ることが好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併
せて用いられる。
【0032】上記特殊な水溶性高分子化合物(A)と、
金属粉末および金属系化合物の少なくとも一方(B)の
混合割合〔(A)/(B)〕は、重量基準で、(A)/
(B)=40/60〜95/5の範囲に設定する必要が
ある。特に好ましくは(A)/(B)=85/15〜9
5/5である。すなわち、両者の混合割合において、
(A)が40未満〔(B)が60を超える〕では、造膜
性が失われる。また、(A)が95を超える〔(B)が
5未満〕と、付与される潤滑効果が発現しないからであ
る。
【0033】さらに、上記(A)および(B)の混合物
に、必要に応じて、潤滑性を一層向上させるために、ポ
リエチレングリコール、非イオン界面活性剤等の水溶性
潤滑剤、水溶性の防錆剤等を適宜に配合してもよい。
【0034】上記積層基板の孔あけ加工用シートが、シ
ート基材の基材面に上記混合物からなる特殊な高分子層
が形成されたシートである場合の、上記シート基材とし
ては、特に限定するものではないが金属薄板が好まし
い。なかでも、アルミニウム,亜鉛,鉄等の薄板が用い
られる。そして、シート基材の厚みは、通常、100〜
500μmに設定される。
【0035】本発明の孔あけ加工法に用いるシートは、
例えばつぎの二通りの方法により製造される。まず、上
記シートが、上記特定の水溶性高分子化合物(A)と金
属粉末および金属系化合物の少なくとも一方(B)の混
合物を形成材料とする単独フィルムもしくは単独のシー
トのみからなる場合について述べる。すなわち、上記
(A)と(B)の混合物を用い、通常の方法、例えば溶
液流延法、Tダイやインフレーションでの溶融押出法、
またはカレンダ法により製造される。
【0036】つぎに、上記シートが、シート基材面に上
記混合物を形成材料とする高分子層として形成された複
数層シートの場合について述べる。すなわち、上記混合
物を溶融押出してフィルムを作製し、この特殊フィルム
と、シート基材とを接着剤を用いることにより積層し一
体化することにより製造される。もしくは、上記混合物
を水あるいは有機溶媒に溶解して、この溶液を上記シー
ト基材面に薄膜コーティングし、その後40〜50℃の
温度で溶媒を完全に除去すること等により製造される。
この場合、シート基材の片面もしくは両面に薄膜コーテ
ィングし、特殊な高分子層が形成される。
【0037】上記シートにおいて、例えばシートが混合
物からなる単層のシートから構成される場合のシートの
厚みは、50〜500μmの範囲に設定することが好ま
しい。また、本発明のシートが、上記混合物からなる高
分子層とシート基材とからなる複数層の場合は、上記高
分子層の厚みは、上記範囲に設定することが好ましく、
シート全体の総厚みは、特に限定するものではないが、
厚み50〜500μmの範囲となるよう設定することが
好ましい。
【0038】本発明のプリント配線基板等の積層基板の
孔あけ加工法は、上記シートを用い例えばつぎのように
して行われる。すなわち、まず絶縁基板に金属箔が積層
された積層基板を準備する。一方、上記の製法に従って
孔あけ加工用シートを作製し準備する。そして、上記積
層基板の片面もしくは両面に上記シートを配置し、この
シートを介して積層基板に所定の位置および大きさに、
ドリルおよび錐等によりスルーホール(貫通孔)を穿設
する。このようにして孔あけ加工が行われる。
【0039】上記孔あけ加工の際のシートの配置は、積
層基板の両面にそれぞれ配設することが好ましいが、積
層基板の片面に配置する場合は、ドリルおよび錐側とな
るように配置することが好ましい。さらに、上記シート
がシート基材と混合物からなる高分子層の複数層からな
る場合、特殊な高分子層面を積層基板と対峙させるよう
に配置することが好ましい。
【0040】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0041】
【実施例1】エチレングリコールにエチレンオキシドを
付加せしめて得られたポリエチレングリコール(重量平
均分子量10000)100重量部(以下「部」と略
す)に、ジメチルテレフタレート2.2部を配合した。
そして、通常のポリエステル化反応により重量平均分子
量13万、水溶液粘度250cps(30℃,B型粘度
計)の水溶性高分子化合物を得た。
【0042】つぎに、上記水溶性高分子化合物80部
と、アルミニウム粉末20部とを混合して混合物を作製
した。
【0043】この混合物を用いて、単軸押出機によりT
ダイ温度90℃の条件下でシート状に押し出して、厚み
200μmのシートを製造した。
【0044】
【実施例2〜4】水溶性高分子化合物とアルミニウム粉
末の配合量を下記の表1に示す割合(混合割合)に変え
た。それ以外は実施例1と同様にして厚み200μmの
シートを製造した。
【0045】
【表1】
【0046】
【実施例5】実施例1で作製した混合物を、水/メタノ
ールの混合溶媒〔混合割合=1:1(重量比)〕に溶解
して濃度30%の溶液を得た。この溶液を厚み100μ
mのアルミニウム薄板表面に、ドクターブレード(津川
精機製作所社製,ドクターブレード装置DP−150)
を用いてコーティングして厚み200μmの薄膜加工を
行った。このようにして高分子薄膜が形成されたアルミ
ニウム薄板を製造した。
【0047】
【実施例6】ポリエチレングリコール(分子量840
0)840部とジメチルセバシン酸23.2部を用いて
通常の重縮合反応を行い、10%水溶液粘度で600c
ps(30℃,B型粘度計)の水溶性高分子化合物(重
量平均分子量10万)を得た。
【0048】つぎに、上記水溶性高分子化合物40部
と、銅粉末10部とを混合して混合物を作製した。
【0049】この水溶性高分子化合物を用い実施例1と
同様の方法に従って厚み100μmのフィルムを製造し
た。
【0050】
【実施例7〜8】水溶性高分子化合物と銅粉末の配合量
を下記の表2に示す割合(混合割合)に変えた。それ以
外は実施例6と同様にして厚み100μmのシートを製
造した。
【0051】
【表2】
【0052】
【実施例9】ポリプロピレングリコール(分子量200
0)20部に、エチレンオキシド180部を付加反応さ
せて重量平均分子量20000のポリアルキレングリコ
ールを得た。ついで、このポリアルキレングリコール2
00部とジメチルテレフタル酸1.94部を用いた重縮
合反応を行い、重量平均分子量14万,10%水溶液粘
度260cps(30℃,B型粘度計)の水溶性高分子
化合物を得た。
【0053】つぎに、上記水溶性高分子化合物40部
と、アルミニウム粉末30部とを混合して混合物を作製
した。
【0054】この混合物を用い実施例1と同様の方法に
従って厚み100μmのシートを製造した。
【0055】
【実施例10】ビスフェノールAにエチレンオキシド8
5%,プロピレンオキシド15%からなるアルキレンオ
キシドをブロック付加重合させて得られたポリアルキレ
ンオキシド化合物(重量平均分子量20000)100
部に、ヘキサメチレンジイソシアネート0.84部と、
少量のジブチルチンジラウレートを添加し、100℃で
ウレタン化反応させて重量平均分子量250万,2%水
溶液粘度2000cps(30℃,B型粘度計),溶融
粘度58℃の水溶性高分子化合物を得た。
【0056】なお、上記ウレタン化反応におけるNCO
/OH当量比は1とした。ついで、上記水溶性高分子化
合物40部と、アルミニウム粉末60部とを混合して混
合物を作製した。
【0057】この混合物を用い実施例1と同様の方法に
従って厚み200μmのシートを製造した。
【0058】
【実施例11】上記実施例1で得られた水溶性高分子化
合物90部と、ステアリン酸バリウム10部とを混合し
て混合物を作製した。
【0059】この混合物を用い実施例1と同様の方法に
従って厚み200μmのシートを製造した。
【0060】
【実施例12〜14】水溶性高分子化合物とステアリン
酸バリウムの配合量を下記の表3に示す割合(混合割
合)に変えた。それ以外は実施例11と同様にして厚み
100μmのシートを製造した。
【0061】
【表3】
【0062】
【比較例1】実施例1で得られた水溶性高分子化合物を
用いて、単軸押出機によりTダイ温度90℃の条件下で
シート状に押し出して、厚み200μmのシートを製造
した。
【0063】
【比較例2】厚み100μmのアルミニウム薄板を準備
した。
【0064】つぎに、厚み1.6mmのガラスエポキシ
6層基板(両面銅張り,銅厚み35μm)を準備し、上
記のようにして得られたシート、フィルムおよびアルミ
ニウム薄板を用いて、直径の異なる2種類のドリル(直
径0.30mm、直径0.50mm)を用いた孔あけ加
工を各々下記に示す条件下で行った。そして、ドリルの
針2000ビットおよび5000ビット使用後のそれぞ
れの切削面におけるハロー発生状況、ネイルヘッド、内
壁粗さ、スミヤの発生状況を光学顕微鏡により観察して
評価した。その結果を後記の表4〜5に示す。
【0065】〔孔あけ加工条件〕 ドリルの直径:0.30mm、0.50mmの2種類 ドリル回転数:80000rpm 送り速度:1.6mm/min ガラスエポキシ6層基板の重ね枚数:3枚 積層順序(ドリル側から):シートもしくはフィルム
/厚み200μmmのアルミニウム薄板/一枚目のガラ
スエポキシ6層基板(1)/二枚目のガラスエポキシ6
層基板(2)/三枚目のガラスエポキシ6層基板(3)
/ベークライト板
【0066】〔ハロー発生状況〕5000ビット後の孔
あけ加工を施した積層基板の貫通孔に対してスルーホー
ルメッキ処理を行った後、この基板の表面銅をエッチン
グした際の、メッキ処理薬剤のスルーホール周辺の浸透
の度合い(ピンク色に変色)を観察した。そして、その
結果を下記に示すように5段階に評価した。 1:ハローの発生無し。 2:わずかにハローの発生が確認された。 3:一部分にハローの発生が確認された。 4:大部分にハローの発生が確認された。 5:全体的にハローの発生が確認された。
【0067】〔ネイルヘッド〕孔あけ加工時のドリル切
削の際に、内層銅箔の切削面が引きちぎられ、貫通孔表
面に釘の頭状のもの(ネイルヘッド)が形成された。そ
のネイルヘッドの突出(バリ)長さ(μm)を測定し
た。
【0068】〔内壁粗さ〕孔あけ加工を施した孔壁表面
の粗さ度合い(平均粗さ)を測定した。
【0069】〔スミアの発生状況〕孔あけ加工を施した
孔壁表面について、加工熱(ドリル切削熱)によって溶
融したエポキシ樹脂が表層および内層の銅箔に付着した
度合いを観察し、その結果を下記に示すように5段階に
評価した。 1:付着が全く確認されず。 2:わずかに付着が確認された。 3:一部分に付着が確認された。 4:大部分に付着が確認された。 5:全体的に付着が確認された。
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】上記の表4〜表5の結果から、全実施例に
おいては、ハロー発生状態およびスミヤの発生が抑制さ
れ、ネイルヘッド、内壁粗さとも小さく、孔あけ加工が
良好に行われたことがわかる。これに対して、比較例で
は、ハローの発生あるいはスミヤの発生が明らかに確認
され、しかも、ネイルヘッドおよび内壁粗さの値も、特
に5000ビット後において大きくなり、孔あけ加工が
良好に行われていないことがわかる。
【0073】
【発明の効果】以上のように、本発明は、積層基板に貫
通孔を穿設する際に、上記積層基板面に、特殊な水溶性
高分子化合物(A)と、金属粉末および金属系化合物の
少なくとも一方(B)を特定の混合割合で混合した混合
物からなる特殊なシートを配設して、孔あけ加工を行う
ものである。このため、貫通孔穿設時のドリル等の回転
により発生する摩擦熱により上記シートが溶融して切り
屑を取り込み、切削面の荒れを防止するとともに、溶融
した高分子化合物が潤滑剤の役割を示して、摩擦熱によ
る温度上昇の抑制とともに発生した熱が効果的に放出さ
れ、この摩擦熱に伴うドリルの折れ等を防止することが
できる。また、孔あけ加工後に、切削面を研磨処理する
必要がなくなり工程の簡略化が図れる。特に、本発明の
孔あけ加工法は、直径が0.5mm以下の小さな貫通孔
の形成加工に適している。したがって、通常、基板の孔
あけ加工の際には、基板は、一度に1〜2枚程度しか重
ねることができないが、本発明によれば、配線基板を3
〜5枚重ねて孔あけ加工を行うことが可能となり生産効
率の向上が実現する。
【0074】さらに、本発明の孔あけ加工法によると、
特に切削面の荒れが少なく、切削後に銅メッキ処理を行
った場合、ハロー現象の発生を著しく小さくすることが
可能となる。すなわち、多層板の場合、内層銅板にハロ
ー現象が発生すると、経日と共にハロー現象発生面で銅
腐食が生起し、時には銅製回路が断線する現象が生じる
場合があり、ハロー現象発生の防止が要望されている。
上記ハロー現象は、孔あけ切削時の切削面の荒れによ
り、内層銅板にメッキ液が浸透し、メッキ処理後の水洗
工程でメッキ液を取り除くことが不可能なため、このメ
ッキ液により銅腐食が発生する。また、メッキ前処理
で、還元剤を用いてメッキ液の酸化を防止する方法もあ
るが、この場合は、工程中に還元処理工程を組み入れな
ければならず、加工工程が増え煩雑となる。本発明で
は、このような処理工程を増やすことなくハロー現象の
発生を防止することが可能となり一層効果的である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体に金属箔が積層された積層基板の
    少なくとも片面に、シートを配置し、上記積層基板に上
    記シートを介して貫通孔を穿設する積層基板の孔あけ加
    工法であって、上記シートが、下記の(A)および
    (B)を含有し、かつ上記(A)および(B)の混合割
    合が、重量基準で、(A)/(B)=40/60〜95
    /5の範囲に設定された混合物により形成されてなるシ
    ートであることを特徴とする積層基板の孔あけ加工法。 (A)下記の(a)および(b)を反応させてなる重量
    平均分子量10000以上の水溶性高分子化合物。 (a)活性水素基を2個有する有機化合物に、エチレン
    オキシドを70重量%以上含有するアルキレンオキシド
    を付加重合させてなる重量平均分子量1000以上のポ
    リアルキレンオキシド化合物。 (b)ジカルボン酸類化合物およびジイソシアネート化
    合物の少なくとも一方。 (B)金属粉末および金属系化合物の少なくとも一方。
  2. 【請求項2】 下記の(A)および(B)を含有し、か
    つ上記(A)および(B)の混合割合が、重量基準で、
    (A)/(B)=40/60〜95/5の範囲に設定さ
    れた混合物により形成されてなることを特徴とする積層
    基板の孔あけ加工用シート。 (A)下記の(a)および(b)を反応させてなる重量
    平均分子量10000以上の水溶性高分子化合物。 (a)活性水素基を2個有する有機化合物に、エチレン
    オキシドを70重量%以上含有するアルキレンオキシド
    を付加重合させてなる重量平均分子量1000以上のポ
    リアルキレンオキシド化合物。 (b)ジカルボン酸類化合物およびジイソシアネート化
    合物の少なくとも一方。 (B)金属粉末および金属系化合物の少なくとも一方。
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