JPH1062737A - 液晶マイクロカプセル、液晶表示記録材料、熱可逆性表示記録媒体及び画像記録方法 - Google Patents

液晶マイクロカプセル、液晶表示記録材料、熱可逆性表示記録媒体及び画像記録方法

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JPH1062737A
JPH1062737A JP21989096A JP21989096A JPH1062737A JP H1062737 A JPH1062737 A JP H1062737A JP 21989096 A JP21989096 A JP 21989096A JP 21989096 A JP21989096 A JP 21989096A JP H1062737 A JPH1062737 A JP H1062737A
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polymer
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JP21989096A
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Takashi Morikawa
尚 森川
Masanobu Ninomiya
正伸 二宮
Takashi Uematsu
高志 植松
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 材料の自由な組み合わせにより、光散乱性
(白濁性)に優れ、液晶表示記録材料に好適な液晶マイ
クロカプセル、光散乱状態を容易に制御でき、画像部と
背景部とのコントラストが大きく、明瞭な画像を表示記
録できる液晶表示記録材料等を提供すること。 【解決手段】 高分子液晶を主成分とする芯材と、樹脂
を主成分とし、この芯材の表面を被覆する外殻とを有す
る液晶マイクロカプセルである。この液晶マイクロカプ
セルにおいては、外殻が、その表面に凹凸を有する態様
が好ましい。高分子液晶が、液晶性モノマーと非液晶性
モノマーとの共重合体である態様が好ましい。また、前
記液晶マイクロカプセルを、該液晶マイクロカプセルの
外殻における樹脂と異なる樹脂中に分散してなる液晶表
示記録材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光散乱性に優れ、
液晶表示記録材料に好適な液晶マイクロカプセル、該液
晶マイクロカプセルを用いることにより、光散乱状態を
容易に制御でき、画像部と背景部とのコントラストが大
きく、明瞭な画像を表示記録できる液晶表示記録材料、
該液晶表示記録材料を用いることにより、大掛かりな装
置が不要で、熱のみによって、画像部と背景部とのコン
トラストが大きく、明瞭な画像の表示記録と、その消去
とを可逆的に行うことができる熱可逆性表示記録媒体、
及び、該液晶表示記録材料乃至該熱可逆性表示記録媒体
を用いることにより、熱を印加するだけで、白濁−透明
の切換えをフレキシブルに、かつ容易に行うことがで
き、明瞭な画像の表示記録と、その消去とを可逆的に行
うことができる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、文字、図形等の画像情報の記録及
び消去を可逆的に行うことができる可逆性表示記録媒体
に関する研究報告が盛んになされている。その中でも、
サーマルヘッド等を用い、熱を印加することにより、光
散乱性(白濁性)を制御しつつ、白濁部と透明部とを形
成し、前記画像情報の記録及び消去を簡単に行うことが
できる熱可逆性表示記録媒体が注目されている。このよ
うな熱可逆性表示記録媒体としては、例えば、以下のよ
うに多数提案されている。
【0003】特開昭60−180887号公報には、2
種類の高分子をブレンドし、互いに分散させ、熱によ
り、該高分子同士を相溶乃至非相溶の状態にさせ、該高
分子同士の界面における屈折率差に基づく光散乱状態を
利用して前記画像情報の表示を行う素子が、提案されて
いる。特開昭54−119377号公報には、樹脂母材
中に有機低分子化合物の微結晶を分散し、その結晶サイ
ズの変化及び該変化の際に形成される空隙の存在に基づ
く光散乱状態を利用して前記画像情報の表示を行う素子
が、提案されている。しかし、これらの素子における高
分子や、低分子化合物の微結晶は、溶融相分離法や溶媒
相分離法により作製されるため、その粒径乃至粒径分布
や表面形状を制御するのは困難である。このため、該素
子の場合、十分な光散乱性(白濁性)を得ることができ
ないという問題がある。
【0004】また、高分子液晶化合物を用い、その液晶
基に基づく大きな複屈折率、液晶ポリドメイン構造に基
づく光散乱状態と、等方性ガラス状態とを利用して前記
画像情報の表示を行う素子等も提案されている。しか
し、この素子等の場合、上述の素子に比べて光散乱性
(白濁性)は優れるものの、熱可逆性表示記録媒体とし
て望まれる光散乱性(白濁性)のレベルは満足し得ない
という問題がある。
【0005】一方、少なくとも熱以外の例えば電場等を
印加することにより、光散乱性(白濁性)を制御する素
子も提案されている。例えば、マトリックス樹脂中に低
分子液晶が分散されてなり、該低分子液晶の屈折率と該
マトリックス樹脂との屈折率差に基づく光散乱状態を、
電場を印加して制御する素子が提案されている。また、
特開平3−284988号公報には、マトリックス樹脂
中に高分子液晶が分散されてなり、熱及び電場を印加す
ることにより、光散乱状態を制御する素子が提案されて
いる。しかし、これらの素子における低分子液晶や、高
分子液晶は、重合相分離法により作製されるため、その
粒径乃至粒径分布や表面形状を制御するのは困難であ
る。このため、該素子の場合、十分な光散乱性(白濁
性)を得ることができないという問題がある。
【0006】さらに、上述した従来の各素子は、各種の
相分離法により作製されるため、該従来の各素子の場
合、材料の組み合わせ、例えば、有機結晶性材料とマト
リックス樹脂との組み合わせ、低分子液晶化合物と樹脂
形成材料単量体との組み合わせ等が限られ、目的に応じ
て所望のマトリックス樹脂を選択することができず、そ
の性能の向上には限界があるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情の下でなされたものであり、前記従来における問題
を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。本
発明は、材料の自由な組み合わせにより、光散乱性(白
濁性)に優れ、液晶表示記録材料に好適な液晶マイクロ
カプセルを提供することを目的とする。本発明は、前記
液晶マイクロカプセルを用いることにより、光散乱状態
を容易に制御でき、画像部と背景部とのコントラストが
大きく、明瞭な画像を表示記録できる液晶表示記録材料
を提供することを目的とする。本発明は、前記液晶表示
記録材料を用いることにより、大掛かりな装置が不要
で、熱のみによって、画像部と背景部とのコントラスト
が大きく、明瞭な画像の表示記録と、その消去とを可逆
的に行うことができる熱可逆性表示記録媒体を提供する
ことを目的とする。本発明は、前記液晶表示記録材料乃
至該熱可逆性表示記録媒体を用いることにより、熱を印
加するだけで、白濁−透明の切換えをフレキシブルに、
かつ容易に行うことができ、明瞭な画像の表示記録と、
その消去とを可逆的に行うことができる画像形成方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。即ち、第一は、高分子液
晶を主成分とする芯材と、樹脂を主成分とし、この芯材
の表面を被覆する外殻とを有することを特徴とする液晶
マイクロカプセルである。前記液晶マイクロカプセルに
おいては、外殻が、その表面に凹凸を有する態様が好ま
しい。また、高分子液晶が、液晶性モノマーと非液晶性
モノマーとの共重合体である態様が好ましい。第二は、
上述の液晶マイクロカプセルを、該液晶マイクロカプセ
ルの外殻における樹脂と異なる樹脂中に分散してなるこ
とを特徴とする液晶表示記録材料である。第三は、少な
くとも上述の液晶表示記録材料を基体上に有してなるこ
とを特徴とする熱可逆性表示記録媒体である。第四は、
上述の液晶表示記録材料における高分子液晶に熱を印加
することにより、該高分子液晶を、等方相状態及び/又
は液晶相状態に変化させ、画像情報の記録及び消去を行
うことを特徴とする画像記録方法である。また、上述の
熱可逆性表示記録媒体における高分子液晶に熱を印加す
ることにより、該高分子液晶を、等方相状態及び/又は
液晶相状態に変化させ、画像情報の記録及び消去を行う
ことを特徴とする画像記録方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
(液晶マイクロカプセル)本発明の液晶マイクロカプセ
ルは、高分子液晶を主成分とする芯材と、樹脂を主成分
とし、この芯材の表面を被覆する外殻とを有する。
【0010】前記高分子液晶としては、熱の印加によっ
て光の透過率が可逆的に変化し得るものであれば特に制
限はなく、それ自体公知のものが挙げられるが、例え
ば、有機高分子化合物の主鎖又は側鎖にメソゲン(液晶
性を示す分子)が結合した主鎖型高分子液晶又は側鎖型
高分子液晶などが挙げられる。これらの中でも、メソゲ
ンの分子運動性が高く、分子の配向制御が容易であるた
め、表示用途に好適な点で、側鎖型高分子液晶が好まし
い。
【0011】前記高分子液晶としては、例えば、以下に
示す構造式で表されるメソゲン残基を主鎖又は側鎖に含
む高分子液晶が好適に挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】(これらの式中、X及びYは、それぞれ、
単結合、−N=N−、−N(→O)=N−、−CN=N
−、−N=CH−、−COO−、−OOC−、及びエチ
ニレン基から選択される基を表す。R1は、アルコキシ
基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びア
ルキル基から選択される基を表す。pは、1〜5の中か
ら選択される整数を表す。なお、pが2以上の場合、そ
れぞれのR1は異なっていてもよい。)
【0014】これらのメソゲン残基は、前記高分子液晶
中に、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含ま
れていてもよい。前記メソゲン残基の中でも、一般的
に、ビフェニルタイプのものは、ターフェニルタイプの
ものよりTiが低く、また、不飽和脂肪族環を含むもの
はTiを低下させる性質がある。これらのメソゲン残基
を目的に応じて適宜組み合わせて前記高分子液晶中に含
ませることにより、前記高分子液晶の性質を変化させる
ことができる。
【0015】前記高分子液晶においては、例えば、その
主鎖又は側鎖に、前記メソゲン残基を含む液晶性鎖のみ
を含んでいてもよいし、該液晶性鎖と非液晶性鎖とを含
んでいてもよい。後者のような高分子液晶としては、例
えば、液晶性モノマーと非液晶性モノマーとの共重合体
などが挙げられ、このような高分子液晶は、例えば、特
開平4−218024号公報、特開平6−18866号
公報等に開示されているように、画像情報の記録像部と
背景部とにおけるコントラストを向上させたり、感熱特
性の最適化を図る必要がある場合には有利である。
【0016】前記高分子液晶は、例えば、それ自体重合
可能なメソゲン化合物をラジカル重合、イオン重合等す
るか、水素化ポリシリコーン等の反応性ポリマーに付加
反応可能なメソゲン化合物を付加することにより製造す
ることができる。なお、この明細書において、前者のメ
ソゲン化合物を「メソゲンモノマー」と称することがあ
り、後者のメソゲン化合物を「付加反応可能なメソゲン
化合物」と称することがある。
【0017】前記メソゲン化合物としては、例えば、ビ
フェニル系、フェニルベンゾエート系、シクロヘキシル
ベンゼン系、アゾキシベンゼン系、アゾベンゼン系、ア
ゾメチン系、フェニルピリミジン系、ジフェニルアセチ
レン系、p−フェニル(フェニルベンゾエート)系、シ
クロヘキシルビフェニル系、ターフェニル系等の剛直な
メソゲン分子に、所定の長さのアルキルスペーサーを介
して、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル基や
ビニル基等が結合したものが代表的である。
【0018】前記メソゲン化合物の代表的な構造として
は、例えば、下記の構造が挙げられる。 CH2=C(Ra)−COO−(CH2l−O−A ・・・(1) CH2=CH−(CH2l−O−A ・・・(2) (これらの式中、Raは、水素又はメチル基を表す。l
は、1〜30の中から選択される整数を表す。Aは、前
記化1に示すメソゲン残基を表す。) なお、前記(1)で表されるメソゲン化合物は、例えば
ラジカル重合により好適に得られ、前記(2)で表され
るメソゲン化合物は、例えばグラフト重合により好適に
得られる。
【0019】前記メソゲン化合物と、共重合され又は共
付加され得る非メソゲン化合物としては、特に制限はな
く目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、
(メタ)アクリル酸アルキル及びその誘導体、スチレン
及びその誘導体、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリ
ル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロリドン、
1−ヘキセン、1−オクテン等、架橋のための反応性基
を持つ化合物である、(メタ)アクリル酸、ω−カルボ
キシ−ポリカプロラクトン−モノ(メタ)アクリレー
ト、スルホン酸ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフォスフェー
ト、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)
アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルサクシ
ネート、フタル酸モノ(メタ)アクリレート、2−(メ
タ)アクリロキシエチル(2−ヒドロキシエチル)フタ
レート、4−(メタ)アクリロキシアルキルオキシ−ベ
ンゾイックアシッド、グリセリル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシ基置換スチレン、メタ(アクリル)アミ
ド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、グリシジル(メタ)アクリレート、2−プロペン−
1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどが挙げられ
る。
【0020】前記非メソゲン化合物は、1種単独で用い
てもよいし、2種以上を併用してもよい。前記非メソゲ
ン化合物は、前記高分子液晶のTi等を変化させる等の
目的から、これと共重合され又は共付加される前記メソ
ゲン化合物の種類等に応じて適宜選択することができ
る。
【0021】前記非メソゲン化合物の前記高分子液晶中
への共重合量乃至共付加量としては、単量体単位とし
て、0.1〜70モル%が好ましく、0.5〜50モル
%がより好ましい。前記共重合量乃至共付加量が、0.
1モル%未満である場合、所望の共重合効果乃至共付加
効果が発現しにくく、70モル%を越えると、液晶とし
ての機能が不十分になることがある。前記高分子液晶
が、前記メソゲン化合物と前記非メソゲン化合物との共
重合体である場合、該共重合体としては、ランダム共重
合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいず
れであってもよい。
【0022】前記高分子液晶には、目的に応じて適宜添
加剤を含有させることができる。例えば、前記高分子液
晶の耐侯性の向上を目的として、前記高分子液晶に、ヒ
ンダードアミンやヒンダードフエノール等の各種酸化防
止剤を含有させてもよい。前記添加剤の前記高分子液晶
における含有量としては、例えば、該高分子液晶に対し
て0.01〜5重量部程度が好ましい。
【0023】本発明において、前記高分子液晶の分子量
としては、重量平均分子量が1,000〜1,000,
000程度であり、好ましくは10,000〜500,
000程度である。前記重量平均分子量が、1,000
未満程度であると、共重合体の組成制御が困難であり、
また、熱印字ができないことがあり、1,000,00
0を越えると、溶剤溶解性が著しく低下し、マイクロカ
プセル化できなくなることがある。
【0024】前記芯材に含まれる前記高分子液晶の量と
しては、通常95〜100重量%であり100重量%が
より好ましい。前記芯材に含まれる前記高分子液晶の量
が100重量%でない場合、他の成分としては、前記添
加剤が挙げられる。
【0025】前記樹脂としては、特に制限はなく目的に
応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリウレ
ア樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエス
テル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシウレア樹脂、エポキ
シウレタン樹脂などが好適に挙げられる。これらの樹脂
の中でも、得られる液晶マイクロカプセルの形状や粒
径、粒度分布等の制御が容易な点で、ポリウレタン樹脂
が特に好ましい。
【0026】前記外殻(以下「カプセル」と称すること
がある)の表面の状態としては、特に制限はなく、例え
ば、滑面状、粗面状、凹凸状などのいずれであってもよ
いが、光分散性(白濁性)に優れる点で、凹凸状が好ま
しい。前記外殻の表面が、凹凸状である場合、該凹凸の
ピークの高さをそれぞれP1〜Pnとすると、その平均の
ピーク高さ(Pave.)としては、微小な凹凸により光散
乱が強く起こる点で、0.1〜0.5μmであるのが好
ましい。一方、前記ピーク高さ(Pave.)が0.1〜
0.5μmの範囲外であると、光散乱性(白濁性)が低
下することがある。なお、前記Pave.は、例えば、液晶
マイクロカプセルの電子顕微鏡写真において、任意に凹
凸を5つ選び、それぞれの凹凸についてピーク高さP1
〜P5を測定し、その平均値として算出することができ
る。
【0027】前記液晶マイクロカプセルの形状として
は、例えば、立方体状、直方体状等の方体状、球状、楕
円球等の球状、その他任意の形状が挙げられるが、光散
乱性(白濁性)の制御の点からは、球状が好ましい。前
記液晶マイクロカプセルの大きさとしては、その径が通
常0.05〜20μm程度であり、0.1〜5.0μm
が好ましく、0.5〜2.0μmがより好ましい。前記
径が、0.05〜20μmの範囲外であると、光散乱性
(白濁性)を失うことがある。一方、前記径が前記範囲
内にあると、該液晶マイクロカプセルを白濁−透明型の
液晶表示記録材料に利用する場合において、前記径の分
布における極大点において、強く光を散乱し得る点で好
ましい。また、前記径が、前記好ましい範囲内、又はよ
り好ましい範囲内にあると、その効果が顕著である点で
好ましい。
【0028】本発明の液晶マイクロカプセルは、例え
ば、以下に説明するマイクロカプセル形成法に従って作
製され得る。前記マイクロカプセル形成法としては、例
えば、in−situ重合法、界面重合法、これらの組
み合わせによる方法などが挙げられる。
【0029】前記in−situ重合法は、例えば、特
公昭49−45131号公報、特公昭50−22507
号公報等に記載されているように、第一の外殻形成用単
量体と第二の外殻形成用単量体とを、油性液滴(油性
相)の内部及び界面において重合させることにより、外
殻を形成させる方法である。このin−situ重合法
によると、例えば、前記高分子液晶を溶剤に溶かした溶
液中に、第一の外殻形成用単量体と第二の外殻形成用単
量体とを含有させ、これを水性相中に油性液滴(油性
相)として存在させ、該油性液滴(油性相)の内部にお
いて、前記両単量体を重合させることにより、前記高分
子液晶の表面に外殻が被覆形成される。
【0030】前記界面重合法は、例えば、特公昭38−
19574号公報、特公昭42−446号公報、特公昭
58−66948号公報、特公昭59−148066号
公報、特公昭59−162562号公報、特公平2−3
1381号公報等に記載されているように、油性液滴
(油性相)中に存在する第一の外殻形成用単量体と、該
油性液滴(油性相)外に存在する第二の外殻形成用単量
体とを、該油性液滴(油性相)の界面において、反応さ
せることにより、外殻を形成させる方法である。この界
面重合法によると、例えば、水性相中に第二の外殻形成
用単量体を含有させ、前記高分子液晶を含有する溶液中
に第一の外殻形成用単量体を含有させ、これを前記水性
相中に油性液滴(油性相)として分散させ、該油性液滴
(油性相)の界面において、前記両単量体を重合させる
ことにより、前記高分子液晶の表面に外殻が被覆形成さ
れる。
【0031】なお、本発明においては、前記in−si
tu重合法と前記界面重合法とを組み合せて、前記油性
液滴(油性相)の内部及び界面において、前記両単量体
を重合させることにより、前記高分子液晶の表面に外殻
を被覆形成してもよい。これらのマイクロカプセル形成
法の中でも、外殻の表面に所望の凹凸を容易に形成する
ことができる点で、界面重合法が好ましい。
【0032】前記外殻が、前記ポリウレタン樹脂により
形成される場合には、前記マイクロカプセル重合法にお
いて、前記第一の外殻形成用単量体として多価イソシア
ネート化合物を、前記第二の外殻形成用単量体として、
該イソシアネート化合物と反応するポリオール化合物又
はポリアミン化合物を、それぞれ用いることができる。
【0033】前記第一の外殻形成用単量体としては、特
に制限はなく、種々のイソシアネート化合物及び多価イ
ソシアネート化合物が挙げられるが、例えば、m−フェ
ニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネ
ート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−ト
リレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソ
シアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシア
ネート、3,3’−ジメチルフェニルメタン−4,4−
ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネー
ト、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、
トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、
ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレ
ン−1,2−ジイソシアネート、シクロ1,4−ジイソ
シアネート等の2価のイソシアネート;4,4,4−ト
リフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,
4,6−トリイソシアネート等の3価のイソシアネー
ト;4,4−ジメチルフェニルメタン−2,2,5,5
−テトライソシアネート等の4価のイソシアネート;ヘ
キサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパ
ンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとの
トリメチロールプロパンの付加物、キシレンジイソシア
ネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレン
ジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等の
ようなイソシアネートプレポリマー;シリルイソシアネ
ート化合物などが挙げられる。
【0034】これらの第一の外殻形成用単量体の中で
も、反応性が高い点で、シリルイソシアネート化合物が
好ましい。前記シリルイソシアネート化合物としては、
例えば、 (CH3)3SiNCO、(C25)3SiNC
O、(C37)3SiNCO、(C49)3SiNCO、
(CH3)(C25)(C37)SiNCO、(CH3)(C2
5)2SiNCO、(CH3)2Si(NCO)2、(C49)2
Si(NCO)2、CH3Si(NCO)3、C25Si
(NCO)3、C49Si(NCO)3、CH2=CHSi
(NCO)3、CH2=C(CH3)Si(NCO)3、(C
3O)3 SiNCO、(C25O)3 SiNCO、(C3
7O)3 SiNCO、(C49O)3 SiNCO、(C
3O)2Si(NCO)2、(C49O)2Si(NCO)2
CH3OSi(NCO)3、C25OSi(NCO)3、C3
7OSi(NCO)3、C49OSi(NCO)3、Si
(NCO)4、(CH3)(CH3O)2SiNCO、(C
25)(C25O)2SiNCO、(C37)(C25O)2
iNCO、(C49)(C37O)Si(NCO)2、(C
3)(CH3O)Si(NCO)2、(C25)(C25O)
Si(NCO)2、(C37)(C25O)Si(NC
O)2、(C49)(C25O)Si(NCO)2、(C65
O)Si(NCO)3、(C65)2Si(NCO)2などが
挙げられる。
【0035】前記マイクロカプセル形成法として界面重
合法を採用し、前記第一の外殻形成用単量体として、前
記シリルイソシアネート化合物を用いると、油性液滴を
形成した直後に該油性液滴の界面において緻密な外殻が
形成され、該外殻を有するカプセル体が得られ、該カプ
セル体内に前記高分子液晶とメチルエチルケトン等の溶
剤とを閉じ込めることができる。その後、該カプセル体
内から前記溶剤を蒸発させると、該カプセル体内におい
て体積の縮小が起こり、表面に凹凸を有する外殻を有す
る液晶マイクロカプセルが容易に得られる。
【0036】これらの第一の外殻形成用単量体は、1種
単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、前記シリルイソシアネート化合物を用いる場合、
前記多価イソシアネートとの併用が好ましい。前記第一
の外殻形成用単量体の使用量としては、前記高分子液晶
1重量部に対して、通常0.001〜0.50重量部で
あり、0.01〜0.30重量部が好ましい。前記使用
量が、0.001重量部未満であると、前記高分子液晶
の被覆が不十分になることがあり、また、外殻の形状の
制御が困難になることがあり、0.50重量部を越える
と、外殻の形状の制御が困難になり、また、外殻の厚み
が厚くなりすぎて、その表面に凹凸を形成するのが困難
になることがある。なお、前記第一の外殻形成用単量体
が前記シリルイソシアネート化合物である場合、その使
用量としては、前記高分子液晶材料1重量部に対して、
通常0.0001〜0.50重量部であり、0.01〜
0.10重量部が好ましい。前記使用量が、0.001
重量部未満であると、前記高分子液晶の被覆が不十分に
なることがあり、また、外殻の形状の制御が困難になる
ことがあり、0.50重量部を越えると、外殻の形状の
制御が困難になり、また、外殻の厚みが厚くなりすぎ
て、その表面に凹凸を形成するのが困難になることがあ
る。
【0037】第二の外殻形成用単量体としては、前記第
一の外殻形成用単量体と反応することができればよく、
特に制限はないが、例えば、ポリオール化合物、ポリア
ミン化合物又はセルロース化合物などが好適に挙げられ
る。
【0038】前記ポリオール化合物としては、特に制限
はなく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパ
ンジオール、1,4ブタンジオール、1,5ペンタジオ
ール、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,7−ヘプタンジ
オール、1,8オクタンジオール、プロピレングリコー
ル、2,3−ジヒドロキシブタン、1,2−ジヒドロキ
シブタン、1,3−ジヒドロキシブタン、2,2−ジメ
チル−1,3−プロパンジオール、2,4−ペンタンジ
オール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,
5−ペンタジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコ
ール、1,2,6−トリヒドロキシヘキサン、2−フェ
ニルプロピレングリコール、1,1,1−トリメチロー
ルプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトー
ル、ペンタエリスリトールエチレノキサイド付加物、グ
リセリン、1,4−ジ(2−ヒドロエトキシ)ベンゼ
ン、レゾルシノールジヒドロキシエチルエーテル等の芳
香族多価アルコールとアルキレノキサイドとの縮合生成
物、p−キシリレングリコール、m−キシレングリコー
ル、p−キシレンジオール、α,α’−ジヒドロキシ−
p−ジイソプロピルベンゼン、4,4−ジヒドロキシ−
ジフェニルメタン、2−(p,p’−ジヒドロキシジフ
ェニルメチル)ベンジルアルコール、ビスフェノールA
のエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロ
ピレンオキサイド付加物、カルボキシメチルセルロース
などが挙げられる。
【0039】前記ポリオール化合物は、1種単独で使用
してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ポリオ
ール化合物の使用量としては、前記第一の外殻形成用単
量体1モルに対し、水酸基の割合が、通常0.02〜2
モルであるのが好ましい。
【0040】前記ポリアミン化合物としては、特に制限
はなく、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジア
ミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、p−フェニレンジアミ
ン、m−フェニレンジアミン、ピペラジン、2−メチル
ピペラジン、2,2−ジメチルピペラジン、2−ヒドロ
キシトリメチルジアミン、ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、
テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
【0041】前記ポリアミン化合物は、1種単独で使用
してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ポリア
ミン化合物の使用量としては、前記第一の外殻形成用単
量体1モルに対し、水酸基の割合が、通常2〜5モルで
あるのが好ましい。
【0042】前記マイクロカプセル形成法における前記
油性相は、一般的には前記高分子液晶と、前記第一の外
殻形成用単量体及び/又は第二の外殻形成用単量体とを
溶剤に溶解したものである。前記溶剤としては、特に制
限はなく、それ自体公知の溶剤、例えば、ジクロロメタ
ン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙
げられる。なお、本発明においては、前記油性相に、酢
酸エチル等の水に対する分配率の高い溶剤を少量添加し
ておくのが好ましい。この場合、油性液滴(油性相)中
における未反応の前記第一の外殻形成用単量体を、該油
性液滴の界面に移動させ、カプセル形成反応させること
ができ、該油性液滴において残存する第一の外殻形成用
単量体の量を少なくさせることができる点で有利であ
る。
【0043】前記マイクロカプセル形成法における前記
水性相は、前記油性相を乳化させるために予め、保護コ
ロイドを含有させておいてもよい。前記保護コロイドと
しては、前記第一の外殻形成用単量体と反応することが
でき、かつ乳化作用を有する材料を用いることができ
る。前記保護コロイドの具体例としては、例えば、水溶
性高分子が好適に挙げられる。前記水溶性高分子として
は、例えば、それ自体公知のアニオン性高分子、ノニオ
ン性高分子、両性高分子などが挙げられるが、これらの
中でも、ポリビニルアルコール、ゼラチン及びセルロー
ス系水溶性高分子、カルボキシメチルセルロースなどが
好ましい。前記保護コロイドの前記水性相における含有
量としては、一般的には0.01〜20重量部程度であ
り、0.1〜5重量部程度が好ましい。
【0044】前記マイクロカプセル形成法においては、
まず、前記油性相となる液と、前記水性相となる液とを
それぞれ別々に調製する。なお、前記油性相となる液
は、例えば、前記高分子液晶と、第一の外殻形成用単量
体及び/又は第二の外殻形成用単量体を、前記溶剤に溶
解することにより調製することができる。前記水性相
は、例えば、前記第二の外殻形成用単量体を水等の水系
媒体に溶解することにより調製することができる。次
に、前記油性相となる液を、前記水性相となる液中に添
加し、機械力を用いて乳化させる。すると、前記油性相
となる液は、前記水性相となる液中で液滴の状態で存在
する。つまり、水性相中に油性液滴(油性相)が分散し
た状態になる。そして、この後、あるいは必要に応じて
温度を上昇させた後、前記油性液滴(油性相)の界面に
おいて、前記第一の外殻形成用単量体と第二の外殻形成
用単量体との界面重合反応が生じ、前記高分子液晶の表
面に外殻が被覆形成され、粒子状の液晶マイクロカプセ
ルが生成する。前記界面重合反応が終了した後、前記油
性相に含まれる溶剤の脱溶剤処理を行い、得られた粒子
状の液晶マイクロカプセルを前記水性相から分離し洗浄
した後、乾燥することにより、本発明の液晶マイクロカ
プセルが得られる。
【0045】本発明の液晶マイクロカプセルは、光分散
性(白濁性)に優れ、また、表面が外殻で被覆されてい
るので耐溶剤性等に優れ、以下の本発明の液晶表示記録
材料に好適に用いることができる。
【0046】(液晶表示記録材料)本発明の液晶表示記
録材料は、前記本発明の液晶マイクロカプセルを、該液
晶マイクロカプセルの外殻における樹脂と異なる樹脂
(以下「マトリックス樹脂」と称することがある)中に
分散してなる。
【0047】前記マトリックス樹脂としては、一般的に
は、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、
ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリメチル
アクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルア
クリレート、ポリエチルアクリレートなどの熱可塑性樹
脂が好適に挙げられる。
【0048】前記マトリックス樹脂は、例えば、以下の
ように目的に応じて適宜自由に選択することができる。
一例としては、マトリックス樹脂と前記高分子液晶との
屈折率差を大きくとることを目的とする場合には、前記
マトリックス樹脂として、低屈折率の樹脂を選択するの
が好ましい。前記低屈折率の樹脂としては、例えば、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポ
リトリフルオロエチルメタクリレート、ポリビニルイソ
ブチルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテルなど
の熱可塑性低屈折率樹脂が好適に挙げられる。
【0049】他の例としては、液晶表示記録材料の耐久
性を向上させることを目的とする場合には、前記マトリ
クックス樹脂として、ガラス転移点温度の高い、紫外線
硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを選
択するのが好ましい。前記紫外線硬化性樹脂、電子線硬
化性樹脂、熱硬化性樹脂などの具体的としては、エポキ
シアクリレート(ビスフェノールA型、ノボラック型な
どのアクリレート)、ウレタンアクリレート、ポリカー
ボネート、ポリエステルアクリレートなどが好適に挙げ
られる。
【0050】前記液晶表示記録材料における前記液晶マ
イクロカプセルの含有量としては、通常20〜99重量
部程度であり、40〜90重量部が好ましい。前記含有
量が、20重量部未満であると、所望の光散乱性等の光
学特性が得られないことがあり、99重量部を越える
と、前記マトリックス樹脂の結着力が低減し、液晶表示
記録材料の機械的強度が不十分になることがある。
【0051】本発明の液晶表示記録材料は、以下の本発
明の熱可逆性表示記録媒体に好適に用いることができ
る。
【0052】(熱可逆性表示記録媒体)本発明の熱可逆
性表示記録媒体は、前記本発明の液晶表示記録材料を基
体上に有してなり、さらに必要に応じて、表面保護層、
光反射層、光吸収層、空気層などを有してなる。なお、
本発明の熱可逆性表示記録媒体においては、前記本発明
の液晶表示記録材料による層を「光散乱層(液晶層)」
と称する。
【0053】前記基体の素材としては、例えば、ポリエ
ステル、アセテート、ポリカーボネート、ポリスルホ
ン、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ルなどのそれ自体公知の樹脂が好適に挙げられる。前記
基体の形状としては、例えば、板状、フィルム状、シー
ト状などが挙げられる。
【0054】前記基体は、有色であってもよいし、無色
であってもよい。熱可逆性表示記録媒体における画像乃
至背景を有色にする場合には、有色の基体が選択され
る。なお、有色の基体を選択しない場合でも、着色層を
設けることにより、熱可逆性表示記録媒体における画像
乃至背景を有色にすることができる。前記基体の厚みと
しては、例えば、ハンドリングのし易さ等の点で、一般
的には1〜1,000μmであり、10〜200μmが
好ましい。
【0055】前記光散乱層(液晶層)の厚みとしては、
所望の光学特性に応じて適宜選択でき、一概に規定する
ことはできないが、一般的には0.1〜50μmであ
り、1〜20μmが好ましい。前記厚みが、0.1μm
未満であると、光散乱層(液晶層)としての機能を十分
に発揮し得ないことがあり、50μmを越えると、熱が
該光反射層(液晶層)全体に伝わらず、画像情報の記録
・消去を効率よく行うことができないことがある。
【0056】前記表面保護層は、前記光散乱層(液晶
層)の表面を保護する目的で前記熱可逆性表示記録媒体
に設けられる。このため、前記表面保護層は、耐磨耗
性、耐熱性、耐圧性、表面摩擦性、表面潤滑性等の特性
に優れることが要求され、これらの特性を満たす表面保
護層の素材としては、例えば、紫外線硬化樹脂、電子線
硬化樹脂等の熱硬化性樹脂などが好適に挙げられる。前
記紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等の熱硬化性樹脂
は、多官能モノマーや多官能オリゴマーの重合反応によ
り膜を形成するため、これらを表面保護層の素材として
用いると、機械的強度が大きく、強靱な表面保護層を形
成することができる点で有利である。
【0057】前記紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等の
熱硬化性樹脂の具体例としては、ポリエステルアクリレ
ート、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルアク
リレート、ポリスチルメタクリレート、ポリエーテルメ
タクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリ
レート(特にビスフェノールA型、ビスフェノールF
型、ビスフェノールS型の骨格をそれぞれ有するエポキ
シアクリレートやフェノールノボラック型エポキシアク
リレート)、ポリカーボネート、ポリブタジエンアクリ
レート、シリコーンアクリレート、メラミンアクリレー
ト等の多官能オリゴマーで官能基数が1〜10のもの;
2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアク
リレート、フェノキシエチルアクリレート、1,6ヘキ
サジオールアクリレート等の単官能モノマー、などが好
適に挙げられる。
【0058】本発明においては、前記表面保護層に、フ
ィラーを分散されておくのが好ましく、この場合、前記
熱可逆性表示記録媒体のサーマルヘッドに対する耐久性
等を向上させることができ、可逆性表示記録媒体の繰り
返し性の向上等の点で有利である。前記フィラーとして
は、例えば、炭酸カルシウムフィラー、シリカフィラー
などが好適に挙げられる。前記フィラーの前記表面保護
層に分散させる量としては、通常1〜7重量%程度であ
る。
【0059】前記表面保護層の厚みとしては、0.1〜
20μmが好ましい。前記厚みが、0.1μm未満であ
ると、前記光散乱層(液晶層)を十分に被覆することが
できず、また表面保護層が柔らかすぎて、表面保護層と
しての機能が十分に発揮し得ないことがあり、20μm
を越えると、表面保護層が硬くなりすぎ、割れを生じた
りすることがあり、また、熱が前記光散乱層(液晶層)
に十分に伝わらないことがある。
【0060】前記光反射層は、例えば白濁−透明のコン
トラストを大きくさせる等の目的で前記熱可逆性表示媒
体に設けられる。前記光反射層としては、特に制限はな
くそれ自体公知のものでよく、例えば、アルミ等の薄層
などが挙げられる。前記光反射層は、前記熱可逆性表示
記録媒体中において、前記基体上に設けられるのが好ま
しい。前記光反射層の厚みとしては、特に制限はない
が、例えば、10nm〜100μmが好ましい。
【0061】前記光吸収層は、例えば白黒表示等を得る
ため、グロスの小さな表示を得るため等の目的で前記熱
可逆性表示媒体に設けられる。前記光吸収層としては、
特に制限はなくそれ自体公知のものでよく、例えば、カ
ーボンブラックなどが挙げられる。前記光吸収層は、前
記熱可逆性表示記録媒体中において、前記基体上に設け
られるのが好ましい。前記光吸収層の厚みとしては、特
に制限はないが、例えば、1〜100μmが好ましい。
【0062】前記空気層は、例えば、前記光吸収層を設
けると、画像が暗くなるため、それを防止するための光
を反射する界面を付与する等の目的で前記熱可逆性表示
媒体に設けられる。前記空気層は、前記基体と前記光吸
収層との間に例えば、スペーサを用いて空隙を設けるこ
とで形成できる。前記空気層は、前記熱可逆性表示記録
媒体中において、前記光吸収層上に設けられるのが好ま
しい。前記空気層の厚みとしては、特に制限はないが、
例えば、1〜5μmが好ましい。
【0063】本発明の熱可逆性表示記録媒体の構造の具
体例としては、例えば、図2〜5に示すような構造など
が挙げられる。図2に示す熱可逆性表示記録材料10
は、基体11上に、光散乱層(液晶層)12と表面保護
層13とがこの順に積層されてなる構造を有する。この
熱可逆性表示記録材料10の場合、表面保護層13が設
けられているので、耐久性に優れる。図3に示す熱可逆
性表示記録材料10は、基体11上に、光反射層14と
光散乱層(液晶層)12と表面保護層13とがこの順に
積層されてなる構造を有する。この熱可逆性表示記録材
料10の場合、さらに光反射層14が設けられているの
で、表示コントラストに優れる。図4に示す熱可逆性表
示記録材料10は、基体11上に、光吸収層15と光散
乱層(液晶層)12と表面保護層13とがこの順に積層
されてなる構造を有する。この熱可逆性表示記録材料1
0の場合、さらに光反射層14に代えて光吸収層15が
設けられているので、例えば白黒表示が可能になる。図
5に示す熱可逆性表示記録材料10は、基体11上に、
光吸収層15と空気層16と基体11と光散乱層(液晶
層)12と表面保護層13とがこの順に積層されてなる
構造を有する。この熱可逆性表示記録材料10の場合、
さらに空気層16が設けられているので、よりコントラ
ストの高い白黒表示が可能になる。
【0064】本発明の熱可逆性表示記録媒体において
は、例えば、前記マトリックス樹脂を溶剤に溶かした液
中に、前記本発明の液晶マイクロカプセルを混合・分散
させて塗布液を調製する。この塗布液を前記基体上に塗
布・乾燥することにより、前記基体上に光散乱層(液晶
層)を形成することができる。前記混合・分散の方法と
しては、特に制限はなく、それ自体公知の混合機乃至分
散機、例えば、ホモジナイザー等を用いて行うことがで
きる。前記塗布の方法としては、特に制限はなく、例え
ば、バーコーター、カーテンコーター、ニーダーコータ
ー、グラビアコーター等を用いて行うことができる。前
記乾燥の方法としては、特に制限はなく、例えば、乾燥
機を用いて行ってもよいし、風乾により行ってもよい。
なお、前記塗布液は、保護コロイドとしても機能する前
記マトリックス樹脂を含んだ水溶液中に、前記本発明の
液晶マイクロカプセルを混合・分散させることにより調
製してもよい。また、前記マトリックス樹脂が、紫外
線、電子線又は熱硬化性樹脂である場合には、前記塗布
・乾燥の後に、紫外線、電子線又は熱を付与させて、前
記マトリックス樹脂を硬化させるのがよい。
【0065】一方、前記塗布液を用いずに、前記本発明
の液晶マイクロカプセルを、前記マトリックス樹脂が軟
化する温度条件下で、該マトリックス樹脂と混合し、該
マトリックス樹脂中に前記液晶マイクロカプセルを分散
させ、この混合物を前記基体上に積層した後、冷却する
ことにより、前記基体上に光散乱層(液晶層)を形成す
ることもできる。
【0066】なお、本発明の熱可逆性表示記録媒体にお
いては、例えば、前記基体上に前記光散乱層(液晶層)
を形成した後、前記表面保護層の素材を溶剤に溶かした
塗布液を調製し、この塗布液を該光散乱層(液晶層)上
に塗布・乾燥し、さらに紫外線、電子線又は熱を付与す
ることにより、前記基体上に表面保護層を硬化・形成す
ることができる。また、前記光反射層、前記光吸収層、
前記空気層、前記着色層等は、前記光散乱層(液晶層)
等と同様にして、あるいは公知の方法に従って設けるこ
とができる。
【0067】(画像形成方法)本発明の画像形成方法
は、前記本発明の液晶表示記録材料における高分子液晶
に、又は、前記本発明の熱可逆性表示記録媒体における
高分子液晶に、熱を印加することにより、該高分子液晶
を、等方相状態及び/又は液晶相状態に変化させ、画像
情報の記録及び消去を行う。
【0068】本発明の画像形成方法をより具体的に説明
すると、以下の通りである。即ち、まず、前記本発明の
液晶表示記録材料における高分子液晶に、又は、前記本
発明の熱可逆性表示記録媒体における高分子液晶に、熱
を部分的に印加する。該高分子液晶は、該高分子液晶の
液晶相−等方相相転移点(Ti)温度以上の温度に、部
分的に加熱される。この加熱された部分(以下「熱印加
部分」と称することがある)は、光学的に異方性を示
し、白濁している液晶相状態から、光学的に等方性を示
し、透明な等方相状態に変化している。その後、該高分
子液晶を、ガラス相転移点(Tg)温度以下の温度まで
急激に過冷却する。すると、この過冷却により、光学的
に等方性を示す等方相状態にあり、透明になっていた前
記熱印加部分は、該等方相状態のままガラス状態として
固定されるので、透明のままである。
【0069】一方、前記高分子液晶における前記熱印加
部分以外の部分は、液晶相のまま維持されるので、白濁
している。その結果、前記熱印加部分とそれ以外の部分
とでは透明−白濁とにより、像が形成される。このと
き、所望の文字、図形等の画像情報がそのままの形状に
再現されるように前記熱印加部分を形成すると、前記画
像情報を、白濁の背景中に形成された透明像として記録
することができる。前記画像情報の記録が行われる際に
おいては、前記高分子液晶は、液晶相状態及び等方相状
態、又は、等方相状態のみにある。
【0070】次に、前記高分子液晶を、Ti温度以上の
温度まで加熱した後、Tg温度以下の温度まで徐々に冷
却する。すると、前記高分子液晶の全体が、光学的に異
方性を示す液晶相状態になり、かつ該液晶相状態のまま
ガラス状態として固定されるので、該高分子液晶の全体
が白濁する。その結果、先に記録した画像情報が消去さ
れる。
【0071】以上のように、本発明の画像形成方法にお
いては、前記本発明の液晶表示記録材料における高分子
液晶に、又は、前記本発明の熱可逆性表示記録媒体にお
ける高分子液晶に、部分的に、所定の熱を印加し、急冷
することによって、白濁した液晶相状態の中に、透明な
等方相状態を形成し、文字、図形等の画像情報の表示記
録を行うことができる。そして、前記本発明の液晶表示
記録材料における高分子液晶に、又は、前記本発明の熱
可逆性表示記録媒体における高分子液晶に、全面的に、
所定の熱を印加し、徐々に冷却することによって、白濁
した液晶相状態のみを形成し、先に形成した画像情報の
記録を消去することができる。このプロセスを繰り返す
ことにより、本発明の画像形成方法においては、白濁−
透明による画像の表示記録と消去とをフレキシブルに、
かつ、可逆的に連続して行うことができる。
【0072】以上のように、本発明の液晶マイクロカプ
セルを用いた液晶表示記録材料及び熱可逆性表示記録媒
体、並びに、これらを用いた本発明の画像形成方法にお
いては、熱(冷却を含む)を印加し、これを制御するの
みで、文字、図形等の画像情報の表示記録と消去とを可
逆的に行うことができる。したがって、熱と電場、熱と
磁場等の二つ以上の外力を同時に制御しなければならな
い場合に比べて、非常に簡便であり、記録装置が大掛か
りにならずに済む。
【0073】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではな
い。
【0074】−高分子液晶の合成− メソゲンモノマーとしての4−アクリロキシヘキシルオ
キシ−4’−シアノ−ビフェニル285gと、非メソゲ
ンモノマーとしてのブチルメタクリレート15gと、重
合開始剤としてのAIBN(アゾイソブチルニトリル)
0.6gとを、溶剤としてのMEK(メチルエチルケト
ン)300g中、70℃で24時間共重合させ、液晶性
モノマーと非液晶性モノマーとの共重合体である高分子
液晶を合成した。この高分子液晶を、メタノール中で再
沈殿精製して290g得た。なお、この高分子液晶は、
その重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算)
が100,000で、構造式(I)で表される構造を有
していた。
【0075】
【化2】
【0076】(実施例1) −液晶マイクロカプセルの作製− 前記構造式(I)で表される高分子液晶10gと、第一
の外殻形成用単量体としてのメチルシリルトリイソシア
ネート0.1gとを、溶剤としてのジクロロメタン15
gに溶解させて油性相となる液を調製した。一方、第二
の外殻形成用単量体としての、かつ、保護コロイドとし
てのカルボキシメチルセルロースを、水系媒体としての
水に溶かして、水性相となる3重量%カルボキシメチル
セルロース水溶液を調製した。次に、前記油性相となる
液を、前記水性相となる3重量%カルボキシメチルセル
ロース水溶液中に乳化分散して、水性相に油性液滴(油
性相)を分散させ、水中油型エマルジョンを調製した。
【0077】この水中油型エマルジョンを40℃の恒温
層にて48時間撹拌し、界面重合反応及び脱溶剤を終了
させた。その結果、反応液中にはカプセル化された微粒
子が分散しているのが確認された。遠心分離機を用い
て、この反応液から前記カプセル化された微粒子を沈降
させ、上清を除去し、代わりに蒸留水を新たに加えて撹
拌し、再度、前記カプセル化された微粒子を前記蒸留水
中に分散させた。この操作を3回繰り返して、前記カプ
セル化された微粒子の表面に付着していたカルボキシメ
チルセルロースを除去した。そして、このカプセル化さ
れた微粒子を凍結乾燥機を用いて乾燥して、液晶マイク
ロカプセルを得た。得られた液晶マイクロカプセルの平
均粒径は、約1.3μmであった。この液晶マイクロカ
プセルを電子顕微鏡観察したところ、その外殻の表面に
は明確な凹凸は見られず、真球に近い状態であるのが確
認された。
【0078】−熱可逆性表示記録媒体の作製− 前記液晶マイクロカプセル8gを、マトリックス樹脂と
しての紫外線硬化性樹脂(DPCA60、日本化薬
(株)製)2gを溶剤としてのテトラヒドロフラン30
gに溶解させた液に混合して混合液とし、この混合液に
超音波振動を与えて前記液晶マイクロカプセルを分散さ
せて塗布液を調製した。この塗布液を、基体としての、
厚みが100μmであるPETフィルム上にバーコータ
ーを用いて塗布した。この塗布面に対し、メタルハライ
ドランプを用いて紫外線を照射し、前記塗布液を紫外線
硬化させて、厚み7.0μmの光散乱層(液晶層)を前
記PETフィルム上に形成した。なお、この光散乱層
(液晶層)は、本発明の液晶表示記録材料に相当する。
【0079】次に、表面保護層の素材としての紫外線硬
化性樹脂に1%の炭酸カルシウムフィラーを分散させた
紫外線硬化性組成物(商品名:アロニックスUV370
0N:東亜合成(株)製)を、前記光散乱層(液晶層)
の表面に塗布し、該塗布面にメタルハライドランプを用
いて紫外線を照射し、前記紫外線硬化性樹脂を紫外線硬
化させ、厚みが約1μmの表面保護層を前記光散乱層
(液晶層)上に形成して、熱可逆性表示記録媒体を作製
した。
【0080】−熱可逆性表示記録媒体の評価− 得られた熱可逆性表示記録媒体の裏面に、アルミを蒸着
したPETフィルムを重ねて評価用の熱可逆性表示記録
媒体を作製した。この評価用の熱可逆性表示記録媒体に
対し、サーマルヘッド印字装置(マチレス(株)製:印
字条件;ライン速度=10msec、パルス幅=3ms
ec、印加電圧=20Vrms)を用いて印字を行い、
熱可逆性表示記録媒体に白濁部と透明部とを形成した。
その後、白濁部と透明部とにおける反射光学濃度(O.
D.値)を、光学濃度測定装置(X−rite404;
X−rite社製)を用いて測定し、白濁性(光反射
性)及び透明性を評価した。その結果を表1に示した。
【0081】なお、前記白濁性の評価は、以下の基準に
て行った。 O.D.値≦0.30・・・◎ 0.30<O.D.値≦0.35・・・○ 0.35<O.D.値≦0.40・・・△ 0.40<O.D.値・・・・・・・・× また、前記透明性の評価は、以下の基準にて行った。 O.D.値<1.00・・・× 1.00≦O.D.値<1.20・・・△ 1.20≦O.D.値<1.30・・・○ 1.30≦O.D.値・・・・・・・・◎
【0082】(実施例2)実施例1において、前記構造
式(I)で表される高分子液晶10g、第一の外殻形成
用単量体としてのメチルシリルトリイソシアネート0.
1g、及び、第一の外殻形成用単量体としてのキシレン
ジイソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モ
ルとの付加物(武田薬品工業(株);タケネートD−1
10N)1.0gを、溶剤としてのジクロロメタン15
gに溶解させて油性相となる液を調整し、また、第二の
外殻形成用単量体としての、かつ保護コロイドとしての
カルボキシメチルセルロースを、水系媒体としての水に
溶解して、水性層となる1重量%カルボキシメチルセル
ロース溶液を調製した外は、実施例1と同様にして熱可
逆性表示記録媒体を作製した。得られた液晶マイクロカ
プセルに平均粒径は、約1.2μmであった。また、こ
の液晶マイクロカプセルを電子顕微鏡観察したところ、
その外殻の表面には凹凸が観察され、該凹凸の平均のピ
ーク高さ(Pave )は、0.4μmであった。なお、前
記Pave の値は、液晶マイクロカプセルの電子顕微鏡写
真において、任意に選択した5点の凹凸におけるピーク
差の値を求め、これを平均した算出値である。得られた
熱可逆性表示記録媒体について、実施例1と同様の評価
を行い、その結果を表1に示した。
【0083】(比較例1)実施例1において、前記構造
式(I)で表れる高分子液晶10gを、溶剤としてのジ
クロロメタン15gに溶解させて油性相となる液を調製
し、また、マトリックス樹脂としての紫外線硬化性樹脂
の溶剤として酢酸エチルを用いた外は、実施例1と同様
にして熱可逆性表示記録媒体を作製した。この場合、液
晶マイクロカプセルは得ることができず、得られた粒子
は、カプセル化されていない高分子液晶の粒子であり、
その平均粒径は、約1.4μmであった。得られた熱可
逆性表示記録媒体について、実施例1と同様の評価を行
い、その結果を表1に示した。
【0084】(比較例2)実施例1において、前記構造
式(I)で表される高分子液晶に代えて、下記構造式(I
I)で表される繰り返し単位を有する高分子液晶を用いた
外は、実施例1と同様にして熱可逆性表示記録媒体を作
製した。得られた熱可逆性表示記録媒体について、実施
例1と同様の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0085】
【化3】
【0086】
【表1】
【0087】表1から以下のことが明らかである。即
ち、実施例1及び2と比較例1とを比較すると、高分子
液晶がカプセル化された実施例1及び2では、高分子液
晶がカプセル化されていない比較例1と比べて、熱可逆
性表示記録媒体における光散乱層(液晶層)を形成する
際に、前記高分子液晶が溶剤に膨潤してしまうことがな
く、その結果、白濁性及び透明性が十分であり、画像情
報の良好な表示記録・消去を行うことができることが明
らかである。また、実施例1及び2と実施例3とを比較
すると、高分子液晶として、液晶性モノマーと非液晶性
モノマーとの共重合体を用いた実施例1及び2では、液
晶性モノマーの単独重合体を用いた実施例3に比べて、
コントラストが高く、白濁性及び透明性に優れた熱可逆
性表示記録媒体が得られ、画像情報の良好な表示記録・
消去を行うことができることが明らかである。さらに、
実施例1及び3と実施例2とを比較すると、外殻の表面
に凹凸を有する液晶マイクロカプセルを用いる実施例2
では、外殻の表面に凹凸がなく、真球の液晶マイクロカ
プセルを用いる実施例1及び3に比べて、コントラスト
が高く、白濁性及び透明性に優れた熱可逆性表示記録媒
体が得られ、画像情報の良好な表示記録・消去を行うこ
とができることが明らかである。
【0088】
【発明の効果】本発明によると、前記従来における問題
を解決することができる。本発明によると、材料の自由
な組み合わせにより、光散乱性(白濁性)に優れ、液晶
表示記録材料に好適な液晶マイクロカプセルを提供する
ことができる。本発明によると、該液晶マイクロカプセ
ルを用いることにより、マトリックス樹脂の選択の幅が
広くなり、その結果、耐久性、耐熱性等の諸機能に優れ
ると共に、該液晶マイクロカプセルの分散密度や粒径を
均一化できるので、光散乱状態を容易に制御でき、画像
部と背景部とのコントラストが大きく、明瞭な画像を表
示記録できる液晶表示記録材料を提供することができ
る。本発明によると、該液晶表示記録材料を用いること
により、大掛かりな装置が不要で、熱のみによって、画
像部と背景部とのコントラストが大きく、明瞭な画像の
表示記録と、その消去とを可逆的に行うことができる熱
可逆性表示記録媒体を提供することができる。本発明に
よると、該液晶表示記録材料乃至該熱可逆性表示記録媒
体を用いることにより、熱(冷却を含む)を印加するだ
けで、白濁−透明の切換えをフレキシブルに、かつ容易
に行うことができ、明瞭な画像の表示記録と、その消去
とを可逆的に行うことができる画像形成方法を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の液晶マイクロカプセルの一例
を示す断面概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の熱可逆性表示記録媒体の第1
の例を示す断面概略説明図である。
【図3】図3は、本発明の熱可逆性表示記録媒体の第2
の例を示す断面概略説明図である。
【図4】図4は、本発明の熱可逆性表示記録媒体の第3
の例を示す断面概略説明図である。
【図5】図5は、本発明の熱可逆性表示記録媒体の第4
の例を示す断面概略説明図である。
【符号の説明】
1 液晶マイクロカプセル 2 芯材 3 外殻 10 熱可逆性表示記録媒体 11 基体 12 光散乱層(液晶層) 13 表面保護層 14 光反射層 15 光吸収層 16 空気層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子液晶を主成分とする芯材と、樹脂
    を主成分とし、前記芯材の表面を被覆する外殻とを有す
    ることを特徴とする液晶マイクロカプセル。
  2. 【請求項2】 外殻が、その表面に凹凸を有する請求項
    1に記載の液晶マイクロカプセル。
  3. 【請求項3】 高分子液晶が、液晶性モノマーと非液晶
    性モノマーとの共重合体を含む請求項1又は2に記載の
    液晶マイクロカプセル。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれかに記載の液晶
    マイクロカプセルを、該液晶マイクロカプセルの外殻に
    おける樹脂と異なる樹脂中に分散してなることを特徴と
    する液晶表示記録材料。
  5. 【請求項5】 少なくとも請求項4に記載の液晶表示記
    録材料を基体上に有してなることを特徴とする熱可逆性
    表示記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の液晶表示記録材料にお
    ける高分子液晶に熱を印加することにより、該高分子液
    晶を、等方相状態及び/又は液晶相状態に変化させ、画
    像情報の記録及び消去を行うことを特徴とする画像記録
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の熱可逆性表示記録媒体
    における高分子液晶に熱を印加することにより、該高分
    子液晶を、等方相状態及び/又は液晶相状態に変化さ
    せ、画像情報の記録及び消去を行うことを特徴とする画
    像記録方法。
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US9122119B2 (en) 2002-03-14 2015-09-01 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Display device and method of fabricating the same
US9513528B2 (en) 2002-03-14 2016-12-06 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Display device and method of fabricating the same
US10088732B2 (en) 2002-03-14 2018-10-02 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Display device and method of fabricating the same
US10663834B2 (en) 2002-03-14 2020-05-26 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Display device and method of fabricating the same

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