JPH106103A - 工作機械のスピンドル構造 - Google Patents

工作機械のスピンドル構造

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JPH106103A
JPH106103A JP17725396A JP17725396A JPH106103A JP H106103 A JPH106103 A JP H106103A JP 17725396 A JP17725396 A JP 17725396A JP 17725396 A JP17725396 A JP 17725396A JP H106103 A JPH106103 A JP H106103A
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bearing
rotary tool
air
tool
air supply
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Kiyoshi Sawada
潔 沢田
Shunichi Otaka
俊一 尾高
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Fanuc Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転工具自体の機械的強度の限界まで工具の
回転速度を上げることができるスピンドル構造を提供す
ること。 【解決手段】 刃先となる先端縮径部4a,本体部4
b,タービン翼4cからなる回転工具4を一体に構成す
る。空気噴出孔7および吸気通路11により構成される
静圧空気軸受けでスラスト軸受を構成して回転工具4の
端面を支え、多数の空気噴出孔14により構成される静
圧空気軸受でラジアル軸受を構成して回転工具4の外周
面を支える。エアノズルとなる空気噴出孔20からター
ビン翼4cに駆動エアを吹き付けて回転工具4を高速回
転する。回転工具4と共に回転する機械要素がなく被駆
動体の慣性質量が小さくなるので高速回転が可能であ
り、また、被駆動体が回転工具4のみで一体に構成され
ているので、工具自体の機械的強度の限界で高速回転を
実施することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械のスピン
ドル構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】エンドミルのような回転工具を使う工作
機械では、工具半径が小さくなると刃先の切削速度が低
下して加工効率が低下する。また、切削速度が低下する
と工具の切れ味性能が低下する場合もある。このような
場合、工具の回転速度を速めてこれらの弊害を防ぐが、
従来のスピンドル構造では、工具以外にも工具と一体に
なって回転する様々な機械要素があり、これらの機械要
素の慣性質量、および、遠心力に対する機械要素の強度
上の問題等による制約があるため、回転工具の回転速度
をそれ自体の限界まで高めることができないといった問
題があった。
【0003】図3に従来のスピンドル構造の一例を示
す。従来のスピンドル構造は、図3に示す通り、回転工
具100をスピンドル101に対して着脱可能に取り付
けるためのチャック機構102、および、スピンドル1
01の両端と軸受箱103の内周面との間に介装されて
スピンドル101を回転自在に支持するボールベアリン
グ104と、スピンドル101内に設けられたチャック
開閉機構105、ならびに、スピンドル101の端部に
固着され、図示しない主軸モータの回転をベルト伝動手
段等を介してスピンドル101に伝達するためのプーリ
106等によって構成されている。
【0004】つまり、回転工具100と一体に回転する
機械要素は、スピンドル101,チャック機構102,
2つのボールベアリング104の内輪,チャック開閉機
構105,プーリ106である。
【0005】一般に、チャック機構102の主要部は、
スピンドル101とのテーパ嵌合により回転工具100
を締め付けるコレット107によって構成され、また、
図4に示すように、様々な工具径に対応するためのアダ
プタスリーブ108をコレット107と回転工具100
との間に介装するようにしたものもある。
【0006】また、チャック開閉機構105は、コレッ
ト107の端部に設けられた突起109と、該突起10
9に係合する操作ロッド110、および、操作ロッド1
10を押し引きするためアクチュエータ111によって
構成される。操作ロッド110は、アクチュエータ11
1のスプリング等により、スピンドル101に対するコ
レット107の嵌合を強める方向に常に引っ張られてお
り、回転工具100を取り外す場合には、アクチュエー
タ111のエアシリンダ等を作動させて、前記スプリン
グの力に抗して操作ロッド110を突き出し、コレット
107とスピンドル101との嵌合を緩めることで回転
工具100の取り外しを可能としている。
【0007】従って、スピンドル101の直径はチャッ
ク機構102およびチャック開閉機構105を内蔵でき
るだけの大きさが必要であり、この要求を満たす必要
上、スピンドル101の直径が必然的に増大して慣性質
量も大きくなり、回転速度の高速化が困難となる。ま
た、スピンドル101の直径が大きくなればボールベア
リング104の内輪の直径も必然的に大きくなり、回転
工具100と共に回転する機械要素の慣性質量は一層増
大することになる。そうかといって、これを防止するた
めにチャック機構102やスピンドル101の肉厚を薄
くしたり、また、チャック開閉機構105を不用意に小
形化したのでは、機械要素の強度自体を保つことが困難
となり、当然、強力な遠心力に耐えてこれらの部材を回
転させることはできなくなる。また、回転速度の限界範
囲内ではあっても、各部のハメアイに嵌合状態の変化等
が生じ、工具100の把持精度の低下、および、これに
よって生じる加工精度の低下が心配される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の欠点を解消し、回転工具自体の機械的強度の
限界まで工具の回転速度を上げことができ、また、回転
速度を上げた場合でも、工具のブレ等による加工精度の
劣化が発生しない工作機械のスピンドル構造を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転工具の軸
の外周部にタービン翼を一体に形成し、該タービン翼に
エアを吹き付けて前記軸を回転させるエアノズルと、前
記軸の回転を支持するための軸受構造とを設けたことを
特徴とする構成により前記目的を達成した。
【0010】また、回転工具の軸にモータのロータを一
体に形成し、該ロータを回転させるステータと、回転工
具の軸の回転を支持するための軸受構造とを設けたこと
を特徴とする構成により同様の目的を達成した。
【0011】回転工具自体がエアノズルからの空気また
はステータが発生させる回転磁界によって直に駆動され
るので、従来必要とされていたチャック機構やチャック
開閉機構が不要となる。工具と一体に回転する機械要素
の大半が不要となるので、被駆動体の慣性質量が大幅に
減少し、回転工具の高速回転が可能となる。また、チャ
ック機構やチャック開閉機構等といった複雑なハメアイ
を利用した機構で工具を保持する必要がないので強力な
遠心力に耐えることができ、工具を高速回転させてもブ
レやビビリといった現象が発生しにくい。
【0012】更に、回転工具の軸を支持する軸受として
静圧空気軸受,静圧油軸受または動圧流体軸受を採用す
ることによりベアリングの内輪等の機械要素を被駆動体
に取り付ける必要がなくなり、被駆動体の一層の軽量化
と高速回転が可能になる。
【0013】また、ボールベアリングやローラベアリン
グ等の接触式の軸受を採用する場合であっても、内輪を
省略してボールやローラを直に工具の軸に接触する構成
とすることにより、静圧空気軸受,静圧油軸受または動
圧流体軸受の場合と略同等に、被駆動体の慣性質量の軽
減化が可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の幾つかを説明する。図1は回転工具をタービン
翼とエアで回転させ、かつ、回転工具の軸受けとして静
圧空気軸受を採用したスピンドル構造の一例を示す断面
図である。
【0015】このスピンドル構造は、図1に示す通り、
軸受箱本体1とその側方に固着されたサイドブロック
2、および、軸受箱本体1の上面に固設されたトッププ
レート3と、前記軸受箱本体1に装着される回転工具4
とによって構成される。
【0016】回転工具4は、エンドミルまたは砥石等を
構成する先端縮径部4aと従来のスピンドル(101)
に相当する本体部4bとにより構成され、本体部4bの
中央外周部には、その全周に亘ってタービン翼4cが形
成されている。
【0017】実質的な工具として作用する先端縮径部4
aと円柱状の本体部4bとは完全に一体であり、また、
タービン翼4cも本体部4bと完全に一体である。
【0018】但し、実際に本体部4bの外周面からター
ビン翼4cが径方向に突出しているというわけではな
く、このタービン翼4cは、本体部4bの外周面に軸方
向の楔状溝を所定ピッチで多数刻設することにより、そ
の削り残し部分によって形成している。従って、本体部
4bの中央部における軸方向断面をとれば、その断面は
一種のスパーギァのような形状を呈する。但し、1枚1
枚の歯の形状は実際のスパーギアとは相違し、歯面の一
方が斜面、また、もう一方が本体部4bの径方向と一致
する屹立面である。従って、本体部4bの外周面をカム
線図のようにして展開すれば、ノコ歯状の凹凸が見られ
る。
【0019】タービン翼4cを溝加工によって形成する
理由は、加工の簡便性と回転工具4の脱着作業の容易性
およびスピンドル構造全体の構成の簡素化である。
【0020】軸受箱本体1は、図1において上下方向に
長い角柱体、例えば、四角柱によって構成され、その中
央部には、回転工具4の本体部4bよりも僅かに太く形
成された貫通孔5が上下に貫通している。また、この貫
通孔5の全長は回転工具4の本体部4bの全長よりも僅
かに長く、従って、軸受箱本体1の上面にトッププレー
ト3を取り付けて貫通孔5に回転工具4の本体部4bを
差し込み、更に、回転工具4の先端縮径部4aにリテー
ナ6を通して軸受箱本体1の下面に固定した状態では、
トッププレート3の下面と回転工具4の本体部4bの上
端面との間に僅かな間隙が生じることになる。
【0021】リテーナ6は、図1に示す通り、中央に孔
を有する円盤状の板状部材であり、この孔の内径は、工
具4の先端縮径部4aの外径よりも僅かに大きく、ま
た、本体部4bの外径よりは僅かに小さい。リテーナ6
はネジ等の固定手段により軸受箱本体1の下面に着脱可
能に取り付けられている。また、トッププレート3もネ
ジ等の固定手段により軸受箱本体1の上面に取り付ける
が、軸受箱本体1に対して着脱可能とする必要はない。
【0022】軸受箱本体1とトッププレート3とを別体
構造とするのは、回転工具4の本体部4bの上端面と対
向するトッププレート3の下面を完全な平面に形成する
必要があるからで、また、この平面上に周溝状の空気噴
出孔7を形成する必要があるからでもある。
【0023】無論、軸受箱本体1とトッププレート3と
を一体のブロックから削り出し、軸受箱本体1の下面か
ら下穴を明けた後、円柱状の電極を使用してキリ穴先端
部を平面に加工し、更に、円柱の端面中央部に円柱状の
窪みを刻設した電極を入れて形彫作業を行なうことで本
体部4bの上端面に対向する平面に周溝を形成するとい
ったことも可能ではあるが、加工効率や生産コストの面
から見れば最適な方法ではない。
【0024】より現実的な加工方法は、軸受箱本体1と
トッププレート3とを別体構造とし、トッププレート3
の下面を研削加工等で平滑に仕上げてから回転工具4の
本体部4bの上端面と対向するトッププレート3の下面
位置に彫刻または形彫等で空気噴出孔7となる周溝を刻
設することである。
【0025】空気噴出孔7を形成する周溝は、図1に示
す通り、本体部4bの上端面の外周部と重合するように
設け、更に、この周溝の一部に径方向外側から連絡する
送気通路8をトッププレート3の下面に刻設し、送気用
ニップル9の取り付け孔10の底からキリ穴を通して、
孔10と送気通路8とを連絡するようにする。送気通路
8の加工に関しても、軸受箱本体1とトッププレート3
とを別体構造とした場合の方が遥かに楽であり、小径の
エンドミルを使用した単純な溝加工により実施すること
ができる。
【0026】また、空気噴出孔7を形成する周溝の中
心、要するに、回転工具4の中心軸の延長線上には、吸
気用ニップル12の取り付け孔13の底からキリ穴を通
し、吸気通路11を設ける。
【0027】送気用ニップル9および送気通路8を介し
てコンプレッサから送り込まれる空気は、空気噴出孔7
から回転工具4の上端面外周部に向けて吹き付けて回転
工具4を軸方向に排斥し、また、吸気通路11および吸
気用ニップル12を介して真空装置に吸い込まれる空気
は回転工具4の上端面中央部を引き付けて、両者の力が
釣り合う位置で軸受箱本体1に対する回転工具4の軸方
向位置が安定する。この構成は、本出願人らが特願平8
−80873号として既に提案している静圧空気軸受の
応用であって、この実施形態においては、回転工具4を
軸方向に支えるスラスト軸受として作用する。但し、こ
のスラスト軸受には調心機能はない。
【0028】そこで、本実施形態においては回転工具4
の偏心を防止するラジアル軸受として作用する静圧空気
軸受けを軸受箱本体1の貫通孔5の径方向に沿って複数
配備するようにしている。
【0029】ラジアル軸受として作用する静圧空気軸受
けは、図1に示す通り、集合送気通路15と送気通路1
6および空気噴出孔14によって構成される。
【0030】送気通路16は、図1に示す通り、貫通孔
5との間にある程度の間隙(肉厚)を残して軸受箱本体
1の前後左右方向に複数穿設されている。図1で確認さ
れる送気通路16は、共に、軸受箱本体1の前後方向、
要するに、紙面厚み方向に設けられた盲穴または貫通孔
である。軸受箱本体1の上下方向の同一高さに設けられ
た各々の送気通路16は、その端部において相互に連絡
して貫通孔5を包囲する必要があり、例えば、軸受箱本
体1を四角柱で形成するなら、相互に隣接する2つの側
面の両端から直角にキリ穴を開け、これら4本のキリ穴
によって“#”の字状の連絡路を形成するのが好都合で
ある。無論、貫通孔5を包囲するためには最低3本のキ
リ穴を穿設すればよいが、ドリル刃の侵入角度等に関す
る加工上の観点からも、4本のキリ穴によって“#”の
字状の連絡路を形成するのが最も簡単である。
【0031】キリ穴を貫通させた場合にはその両端に、
また、盲穴にした場合ではその開口の各々にテーパネジ
等を刻設して雄ネジ等を螺合させ、キリ穴の両端を塞い
で空気の洩れを防止する。これで、貫通孔5を包囲して
一巡する送気通路16の連絡路が形成されたことにな
る。図1の例では、この“#”の字状の送気通路16の
連絡路を軸受箱本体1の上下2か所に配備している。
【0032】以下の説明では、単に“送気通路16”と
いった場合は送気通路16を構成するキリ穴自体を指
し、また、“送気通路16の連絡路”といった場合は貫
通孔5を包囲して一巡する送気通路16の経路全体を指
すものとする。
【0033】更に、軸受箱本体1の側面からは、貫通孔
5の中心に向かう盲穴によって構成される噴出孔連絡口
17が、“送気通路16の連絡路”と交叉するかたち
で、貫通孔5との間にある程度の間隙(肉厚)を残して
穿設され、更に、噴出孔連絡口17の底からは、貫通孔
5の中心に向かう空気噴出孔14が貫通孔5の周面を貫
いて貫通している。なお、噴出孔連絡口17の開口部は
“送気通路16”の場合と同様にして塞ぐ。空気噴出孔
14は、“送気通路16の連絡路”毎に、貫通孔5を取
り巻くかたちで最低3個は必要であり、その各々は、貫
通孔5の軸心を基準に放射線状に、かつ、等ピッチで配
備するようにする。従って、例えば、空気噴出孔14が
3個の場合は120°ピッチ、4個の場合は90°ピッ
チの配備である。
【0034】但し、“送気通路16の連絡路”を軸受箱
本体1の上下方向に多数重合配備し、“送気通路16の
連絡路”毎に周方向の位相をずらせて空気噴出孔14を
配備するような場合は必ずしもこの限りではなく、“送
気通路16の連絡路”毎の空気噴出孔14の数を2個ま
たは1個としてもバランスを保てる場合がある。しか
し、本実施形態では“送気通路16の連絡路”の数は2
であり、空気噴出孔14を2個または1個としてバラン
スを保てるほどの数ではないので、図1に示す通り、
“送気通路16の連絡路”毎に6個(断面表示が2個+
破線表示が2個+断面より手前の非表示のものが2個)
の空気噴出孔14を配備している。
【0035】また、軸受箱本体1の上面からは上側の
“送気通路16の連絡路”と前述の送気通路8とを連絡
するキリ穴を穿設して集合送気通路15とする。集合送
気通路15をそのまま延長して上側の“送気通路16の
連絡路”と下側の“送気通路16の連絡路”とを連絡す
るようにしてもよいが、この実施形態ではエアベント1
8が邪魔になるので、集合送気通路15は上側の“送気
通路16の連絡路”と連絡する位置で止めている。図1
では見えないが、この実施形体では、図1の断面よりも
手前または奥手に、上側の“送気通路16の連絡路”と
下側の“送気通路16の連絡路”とを連絡する第2の集
合送気通路が、軸受箱本体1の下面から上側の“送気通
路16の連絡路”の位置まで貫通して設けられており、
その下面側の開口部は前記と同様の手法で塞がれてい
る。なお、孔112は軸受箱1を工作機械のコラム部分
に装着するためのボルト通し穴である。
【0036】送気用ニップル9を介してコンプレッサか
ら送り込まれる空気の一部は集合送気通路15を介して
上側の“送気通路16の連絡路”に送り込まれ、更に、
その一部は前述した第2の集合送気通路を介して下側の
“送気通路16の連絡路”に送り込まれる。上下の“送
気通路16の連絡路”に送り込まれた空気は各々の“送
気通路16の連絡路”が有する噴出孔連絡口17を介し
て夫々の空気噴出孔14から吹きだし、回転工具4の本
体部4bの外周面を工具4の軸心に向けて排斥する。前
述した通り、各々の“送気通路16の連絡路”における
空気噴出孔14は貫通孔5の軸心を中心に放射線状に等
ピッチで配備されているので、これらの排斥力の釣り合
いにより、回転工具4の軸心が貫通孔5の軸心上に安定
的に保持される。貫通孔5に送り込まれた空気は最終的
にエアベント18またはリテーナ6と回転工具4との間
の間隙を通って外部に抜ける。
【0037】また、軸受箱本体1の右側面からは、貫通
孔5との間にある程度の間隙(肉厚)を残して送気通路
19が穿設され、その底から、回転工具4の外周面の接
線方向に向かう空気噴出孔20が貫通孔5の周面を突き
破って貫通している。空気噴出孔20は回転工具4のタ
ービン翼4cを回転駆動するためのエアノズルとなるも
ので、従って、その噴出孔もタービン翼4cの歯の屹立
面に対峙する位置に開口されている。つまり、厳密に
は、空気噴出孔20は回転工具4の外周面の接線から僅
かに径方向内側にオフセットされた位置に設けられてい
るということである。また、空気噴出孔20は、ラジア
ル軸受となる上下の空気噴出孔14の丁度中央に位置す
るように設け、空気噴出孔20からの駆動エアの噴出に
よってラジアル軸受を構成する静圧空気軸受のバランス
が崩れないようにしている。
【0038】軸受箱本体1に取り付けられたサイドブロ
ック2側の駆動エア供給用ニップル22および送気通路
21と軸受箱本体1側の送気通路19とを介してコンプ
レッサから送り込まれる空気は、空気噴出孔20から吹
き出してタービン翼4c、要するに回転工具4を回転さ
せた後、貫通孔5を挟んで対向する位置に穿設された前
述のエアベント18を介して外部に排出される。
【0039】なお、サイドブロック2を軸受箱本体1と
別体構成としてボルト23,24で固定しているのは、
噴出孔連絡口17や空気噴出孔14のキリ穴の加工を容
易にするためであり、前述のトッププレート3の場合と
同様、必ずしも別体構成にしないと加工が不可能になる
というものではない。
【0040】回転工具4を構成する先端縮径部4a,本
体部4b,タービン翼4cは完全に一体で、エアノズル
となる空気噴出孔20から噴出される駆動エアによっ
て、回転工具4自体が直に回転駆動されるようになって
おり、しかも、スラスト軸受およびラジアル軸受を共に
静圧空気軸受で構成しているため、チャック機構やチャ
ック開閉機構およびベアリングの内輪といった機械要素
をスピンドル(101)と一体に備えていた従来のスピ
ンドル構造に比べ、被駆動体の慣性質量を大幅に軽減す
ることができ、被駆動体である回転工具4の高速回転が
可能となる。また、一体構造であるために構造的に脆弱
な部分が存在せず、高速回転によって強力な遠心力が作
用した場合でもハメアイの緩みや遠心力による機械要素
の変形等を原因とする工具のブレやビビリといった現象
が発生しにくい。
【0041】回転工具4自体の構成は従来のものに比べ
て多少複雑にならざるを得ないが、タービン翼4cの部
分も単純な溝加工によって形成することができるので、
工具製造コストの増加は最小限度に抑制することができ
る。また、工具の材質によっては転造によってタービン
翼4cを形成することも可能であり、これが最も安価な
製造手段でもある。
【0042】磨耗した回転工具4を交換する場合には、
リテーナ6を外して回転工具4の差し替え作業を行なう
だけでよく、チャック機構やチャック開閉機構を省略し
たからといって、それによって余計な手間が生じるとい
ったことは全くない。
【0043】この実施形態においては静圧空気軸受を採
用しているが、静圧空気軸受に代えて静圧油軸受けを採
用することも可能である。但し、図1に示した実施形態
に限っていえば、ラジアル軸受けの部分に油を使用する
とリテーナ6と回転工具4との間の間隙から油が洩った
り、エアベント18の部分からオイルミストが噴出した
りする恐れがあるので、静圧油軸受の適用範囲はスラス
ト軸受の部分に限られる。
【0044】また、スラスト軸受の部分に関しては従来
公知の動圧流体軸受を適用することも可能であるが、一
般的な動圧流体軸受には排斥力と共に吸引力を作用させ
るといった機能はないので、実際の加工を行なわずに回
転工具4を回転させた場合、つまり、回転工具4に反力
を作用させずに回転動作を行なわせたような場合におい
ては、回転工具4の先端縮径部4aと本体部4bとの間
の段差部分がリテーナ6に押し付けられるといった可能
性もある。
【0045】図2に示す実施形態は、軸受箱の側に固設
したステータで回転工具を電気的に回転させ、かつ、回
転工具の軸受けとして内輪のないボールベアリングを採
用したスピンドル構造の一例を示す断面図である。
【0046】このスピンドル構造は、図2に示す通り、
軸受箱本体1′とその内周面に固設されたステータ2
5、および、軸受箱本体1′と回転工具4′との間に介
在するボールベアリング26a,26b、ならびに、軸
受箱本体1′の端部に装着されたリテーナ6′により構
成される。
【0047】回転工具4′は、エンドミルまたは砥石等
を構成する先端縮径部4a′と従来のスピンドル(10
1)に相当する本体部4b′とからなり、本体部4b′
上には、ロータ部4c′が一際太く形成されている。
【0048】軸受箱本体1′の内周面は全体として円筒
状に形成され、その一端部は僅かに縮径されてボールベ
アリング26aの外周部に嵌合する丸み付けが施されて
いる。なお、ここでいうボールベアリング26aとは個
々の剛球ではなく、保持器27aにより保持された多数
の剛球全体で形成される構造のことである。各々の剛球
は環状の保持器27aの周方向に沿って等間隔で並べら
れ、保持器27aから脱落しないように、保持器27a
に対して回転自在に嵌め込まれている。保持器27aは
軸受箱本体1′の縮径部とも回転工具4′の本体部4
b′とも干渉しないような形状に構成する必要があり、
結果的に、その形状は図2に示す通り、円錐台の外周面
に沿った形となる。
【0049】また、リテーナ6′は軸受箱本体1′の他
端部に形成された拡径部に位置決めして嵌め込まれるよ
うになっており、最終的には、リテーナ6′の外周部を
貫通する複数のボルト等によって軸受箱本体1′の他端
部に着脱可能に固定される。無論、軸受箱本体1′の拡
径部とリテーナ6′の内外とに雌ネジと雄ネジとを刻設
し、両者を螺合することによって固定するようにしても
よい。リテーナ6′にも、前述した軸受箱本体1′の端
部構造と同様、ボールベアリング26bの外周部に嵌合
する丸み付けが施されている。保持器27bの構成も保
持器27aと同様である。
【0050】また、回転工具4′における本体部4b′
の両端面には、ボールベアリング26aおよび26bの
内周部に嵌合する丸み付けが施され、ボールベアリング
26aおよび26bを介し、回転工具4′が軸受箱本体
1′およびリテーナ6′により回転自在に支持されてい
る。ボールベアリング26aおよび26bは共に実質的
なアンギュラ軸受であり、ボールベアリング26bは回
転工具4′の先端を軸受箱本体1′に押し込む方向の力
を支え、また、ボールベアリング26aの方は回転工具
4′の先端を軸受箱本体1′から引き抜く方向の力を支
えている。
【0051】ボールベアリング26aおよび26b共に
外輪や内輪を省略した構成であるから、回転工具4′自
体にベアリングの内輪を取り付ける必要がなく、回転運
動する被駆動体の慣性質量の軽減に大きな効果がある。
【0052】磨耗した回転工具4′を交換する際には、
リテーナ6′を外してベアリング26bと古い回転工具
4′を軸受箱本体1′から抜き取り、改めて新しい回転
工具4′を差し込んでから、ベアリング26bおよびリ
テーナ6′を再装着する。リテーナ6′の丸み付け部分
には、加工時の反力によってボールベアリング26bが
強く押し付けられるので磨耗が生じ易く、ある程度の周
期でリテーナ6′自体を交換する必要があるが、緊急に
際しては、リテーナ6′の端面6aに平面研削をかけて
磨耗相当分の幅詰めを施して急場を凌ぐことも可能であ
る。
【0053】また、回転工具4′を構成する先端縮径部
4a′,本体部4b′,ロータ部4c′は完全に一体
で、軸受箱本体1′に固設されたステータ25が発生す
る回転磁界によって、回転工具4′自体が直に回転駆動
されるので、チャック機構やチャック開閉機構といった
機械要素をスピンドル(101)と一体に備えていた従
来のスピンドル構造に比べ、被駆動体の慣性質量を大幅
にして被駆動体である回転工具4′の一層の高速回転が
可能となる。また、一体構造であるために構造的に脆弱
な部分が存在せず、高速回転によって強力な遠心力が作
用した場合でもハメアイの緩みや遠心力による機械要素
の変形等を原因とする工具のブレやビビリといった現象
が発生しにくい。
【0054】この実施形態では軸受としてボールベアリ
ング26a,26bを採用したものについて述べている
が、最初の実施形態で説明したような静圧空気軸受を適
用することも可能である。
【0055】当然、これとは逆に、最初に説明した実施
形態に対してボールベアリングからなる軸受け構造を適
用してもよい。
【0056】
【発明の効果】本発明のスピンドル構造によれば、回転
工具と共に回転するチャック等の機械要素をなくして被
駆動体の慣性質量を大幅に減らすことができるので、従
来のスピンドル構造に比べて相当の高速で回転工具を回
転駆動することができ、特に、小径工具を利用した精密
加工に有利である。
【0057】また、被駆動体となる回転工具自体が完全
な一体構造であるので、高速回転時の遠心力による機械
要素の変形や嵌合部のハメアイの変化等を原因とする回
転工具のブレ等を防止することができる。
【0058】更に、静圧空気軸受,静圧油軸受,動圧流
体軸受、または、内輪を省略したボール軸受やローラ軸
受等で回転工具を支えることにより軸受の内輪まで不要
としているので、被駆動体には構造的な脆弱部が全くな
く、回転工具自体の機械的強度の限界まで回転工具の回
転速度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態のスピンドル構造
を示す断面図である。
【図2】本発明を適用した別の一実施形態のスピンドル
構造を示す断面図である。
【図3】従来のスピンドル構造を示す断面図である。
【図4】従来のスピンドル構造の他の例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1,1′ 軸受箱本体 2 サイドブロック 3 トッププレート 4,4′ 回転工具 4a′ 先端縮径部 4b′ 本体部 4c タービン翼 4c′ ロータ部 5 貫通孔 6,6′ リテーナ 6a 端面 7 空気噴出孔 8 送気通路 9 送気用ニップル 10 取り付け孔 11 吸気通路 12 吸気用ニップル 13 取り付け孔 14 空気噴出孔 15 集合送気通路 16 送気通路 17 噴出孔連絡口 18 エアベント 19 送気通路 20 空気噴出孔(エアノズル) 21 送気通路 22 駆動エア供給用ニップル 23 ボルト 24 ボルト 25 ステータ 26a,26b ボールベアリング 27a,27b 保持器 100 回転工具 101 スピンドル 102 チャック機構 103 軸受箱 104 ボールベアリング 105 チャック開閉機構 106 プーリ 107 コレット 107 アダプタスリーブ 109 突起 110 操作ロッド 111 アクチュエータ 112 ボルト通し穴

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転工具の軸の外周部にタービン翼を一
    体に形成し、該タービン翼にエアを吹き付けて前記軸を
    回転させるエアノズルと、前記軸の回転を支持するため
    の軸受構造とを有する工作機械のスピンドル構造。
  2. 【請求項2】 回転工具の軸にモータのロータを一体に
    形成し、該ロータを回転させるステータと、前記軸の回
    転を支持するための軸受構造とを有する工作機械のスピ
    ンドル構造。
  3. 【請求項3】 前記軸受構造が静圧空気軸受である請求
    項1または請求項2記載の工作機械のスピンドル構造。
  4. 【請求項4】 前記軸受構造が静圧油軸受である請求項
    1または請求項2記載の工作機械のスピンドル構造。
  5. 【請求項5】 前記軸受構造が動圧流体軸受である請求
    項1または請求項2記載の工作機械のスピンドル構造。
  6. 【請求項6】 前記軸受構造が、直接工具の軸に接触す
    るボールまたはローラを有する接触式軸受である請求項
    1または請求項2記載の工作機械のスピンドル構造。
JP17725396A 1996-06-18 1996-06-18 工作機械のスピンドル構造 Pending JPH106103A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016112673A (ja) * 2014-12-17 2016-06-23 富士重工業株式会社 工具駆動装置、工具駆動装置用のアタッチメント及び被穿孔品の製造方法
CN112714833A (zh) * 2018-09-13 2021-04-27 日本精工株式会社 主轴装置

Cited By (3)

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CN112714833A (zh) * 2018-09-13 2021-04-27 日本精工株式会社 主轴装置
CN112714833B (zh) * 2018-09-13 2022-08-26 日本精工株式会社 主轴装置

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