JPH1060288A - 抗菌抗黴性樹脂組成物 - Google Patents

抗菌抗黴性樹脂組成物

Info

Publication number
JPH1060288A
JPH1060288A JP9118161A JP11816197A JPH1060288A JP H1060288 A JPH1060288 A JP H1060288A JP 9118161 A JP9118161 A JP 9118161A JP 11816197 A JP11816197 A JP 11816197A JP H1060288 A JPH1060288 A JP H1060288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
antibacterial
metal
antifungal
troponoid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9118161A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidechika Wakabayashi
英親 若林
Masaru Sakamoto
勝 阪本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP9118161A priority Critical patent/JPH1060288A/ja
Publication of JPH1060288A publication Critical patent/JPH1060288A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の有機系及び無機系の樹脂添加抗菌抗黴剤
が有する抗菌抗黴機能不足、安全性の問題点を解決し、
樹脂材料の成形加工に必要な十分な耐熱性を有し、少量
で十分な抗菌機能のみならず抗黴機能をも有し、安全性
にも優れた有機金属系の樹脂添加抗菌抗黴剤およびこれ
を用いた樹脂組成物を提供する。 【解決手段】下記の式(1)で示されるトロポノイド金
属錯耐体の1種類以上を、有効成分として含有している
ことを特徴とする樹脂添加抗菌抗黴剤。 【化1】 (式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニ
ル基、MはFeを除く金属、nは金属Mの価数、mは配
位数を示す。また、nとmとは、1〜6の同じ整数を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下記の式(1)で
示されるトロポノイド金属錯体の1種類以上を有効成分
として含有することを特徴とする樹脂添加抗菌防黴剤お
よびこれを用いた樹脂組成物に関するものである。
【化2】 (式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニ
ル基、MはFeを除く金属、nは金属Mの価数、mは配
位数を示す。また、nとmとは、1〜6の同じ整数を示
す。)
【0002】
【従来の技術】樹脂材料は、従来考えられていた程、微
生物に強くないことが認識されて以来、これまで各種の
樹脂添加抗菌防黴剤が開発され、用いられてきた。樹脂
添加抗菌防黴剤として要求される特性としては、成形
加工する際に必要な200〜300℃の耐熱性を有し、
物性に悪影響を与えることがなく、少量でも効果が
あり、安全性が高く長期に使用できることがあげられ
る。そこで、これらの要求特性の面から従来の抗菌防黴
剤を(A)有機系及び(B)無機系に大別して見てみる
と次のことが分かる。(A)有機系抗菌防黴剤は、イミ
ダゾ−ル系、チアゾ−ル系、ハロアルキルチオ系、ニト
リル系、ピリジン系、砒素含有系に分類できるが、その
中で、上記の耐熱性を有している薬剤は、イミダゾ−ル
系の2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾ−ル(TB
Z)類及び砒素含有系の10,10’−オキシビスフェ
ノキシアルシン(OBPA)をあげることができる。し
かし、TBZ類は、安全性に優れ防黴性を有するが抗菌
性が低いため抗菌効果を発現させるには薬剤量が多くな
り物性に悪影響を与えたり、薬剤の耐候性、安定性が弱
いなどの問題点を有しており、OBPAは、少量で抗菌
防黴性を有するが有毒な砒素を含む薬剤のため廃材処理
などでの環境汚染や安全性の点で問題を抱えている。一
方、(B)無機系抗菌防黴剤は、銀もしくは銀を主成分
として各種の無機担体に担持したもので、耐熱性、安全
性に優れてはいるが抗菌性の発現に有機系よりも薬剤量
が多く必要であるため物性に悪い影響を与えたり、防黴
性が非常に低いなど抗菌防黴機能の面でも不充分である
という問題点があった。
【0003】本発明で用いるトロポノイド金属錯体は、
トロポノイド化合物と金属化合物との反応で得られるこ
とが知られている〔例えば、H.Iinuma,J.C
hem.Soc.Japan,64,742(194
3)、B.E.Bryantet al.,J.Ame
r.Chem.Soc.,75,3784(1953)
など〕。また、トロポノイド化合物を金属錯体にすると
出発物質よりも難水溶性になり、融点や分解温度が高く
なるなどの物性に変化がおこることが知られている〔例
えば、W.von E.Dering et al.,
J.Amer.Chem.Soc.,72,2305
(1950)、B.E.Bryant et al.,
J.Amer.Chem.Soc.,75,3784
(1953)など〕。更に、トロポノイド金属錯体を殺
菌剤として応用した技術が緑膿菌殺菌剤・消毒剤として
特開平7−69873で開示されている。また、トロポ
ノイド金属錯体を木材防腐剤として応用した技術が出願
されている(特願平7−336858)。しかし、トロ
ポノイド金属錯体の細菌類、木材腐朽菌に対する抗菌性
が他の黴に対して防黴性を有するかどうかは知られてい
ない。更に、トロポノイド金属錯体が樹脂添加抗菌防黴
剤として応用可能かどうかについては、全く知られてい
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の従
来の有機系及び無機系抗菌防黴剤の問題点を解決し、樹
脂の成形加工に充分な耐熱性を有し、少量で充分な抗菌
機能のみならず防黴機能をも有し、安全性にも優れてい
る有機金属系の樹脂添加抗菌防黴剤及びこれを用いた樹
脂組成物を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、下記の式
(2)で示されるトロポロン化合物と金属化合物から前
記の式(1)で示されるトロポノイド金属錯体を公知の
技術で合成し、トロポノイド金属錯体を樹脂に練り込み
抗菌性及び防黴性について調べた。その結果、トロポノ
イド鉄錯体以外のトロポノイド金属錯体は、従来の有機
系及び無機系抗菌防黴剤の問題点を解決し、樹脂の成形
加工に充分な耐熱性を有し、少量で充分な抗菌機能のみ
ならず防黴機能をも有し、安全性にも優れた有機金属系
の樹脂添加抗菌防黴剤であることを見いだし本発明を完
成させた。
【0006】
【化3】 〔式中、Rは式(1)と同じ。〕
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において前記の式(1)、
(2)で示されるRは、水素原子もしくは、炭素数1〜
6程度の低級アルキル基、アルケニル基である。そし
て、前記の式(2)で示されるトロポロン化合物の具体
例としては、α、β、γ−ツヤプリシン、α、β、γ−
ドラブリン、トロポロンをあげることができる。また、
これらトロポロン化合物としては、青森ヒバ、台湾ヒノ
キなどの天然物から抽出した天然品でも合成品でも同様
に使用できる。
【0008】本発明で用いられる金属は、周期律表Ia
のアルカリ金属、IIaのアルカリ土類金属、Feを除く
IVaからIbに属する遷移金属およびIIbからIVbに属
する金属元素から選ばれる少なくとも1種である。金属
がFeの場合、トロポロン−Fe錯体の抗菌防黴性は、
他のトロポノイド金属錯体より格段に劣る。
【0009】金属の具体例としてLi、Na、Kなどの
アルカリ金属、Be、Mg、Caなどのアルカリ土類金
属、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、CuなどのF
eを除くIVaからIbに属する遷移金属、Zn、Ga、
GeなどのIIbからIVbに属する金属があげられ、好ま
しくはNa、K、Mg、Ca、Ba、Cu、Ag、Z
n、Snなどの金属があげられる。
【0010】また、トロポノイド化合物と反応させる金
属化合物としては、金属無機塩もしくは金属有機塩を用
いることができる。具体的には、金属無機塩として、例
えば水酸化物、塩酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜
硝酸塩、炭酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、ヨ
ウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、亜硫
酸塩などがあげられ、金属有機塩としては、酢酸塩など
の脂肪族飽和モノカルボン酸塩、シュウ酸塩などの脂肪
族飽和ジカルボン酸塩、オレイン酸塩などの脂肪族不飽
和カルボン酸塩、安息香酸などの環式カルボン酸塩、乳
酸などのヒドロキシカルボン酸塩、グルタミン酸塩など
のアミノカルボン酸塩などがあげられるが特にこれらに
限定されるものではない。
【0011】本発明で用いられるトロポノイド金属錯体
は、トロポノイド化合物と金属化合物を反応させる公知
の方法〔例えば、H.Iinuma,J.Chem.S
oc.Japan,64,742(1943)、B.
E.Bryant et al.,J.Am.Che
m.Soc.,75,3784(1953)〕によって
合成することができる。
【0012】本発明のトロポノイド金属錯体の合成法を
以下に示した。 (1)金属がアルカリ金属の場合、トロポノイド化合物
と水酸化アルカリ金属を等モル水溶液中で加熱反応させ
てトロポノイド−アルカリ金属錯体とする。 (2)金属がアルカリ金属以外の場合、金属塩の水溶液
をトロポノイド−アルカリ金属錯体の水溶液に等モル加
えるかもしくはトロポノイド化合物のメタノ−ル溶液に
金属塩の水溶液を等モル加えて反応させ水に難溶なトロ
ポロノイド金属錯体を得る。
【0013】具体的には、(1)で例えば、α、β、γ
−ツヤプリシン、α、β、γ−ドラブリン、トロポロン
とKOHの等モルの水溶液を加熱反応させた後、水を留
去し、α、β、γ−ツヤプリシン、α、β、γ−ドラブ
リン、トロポロンの各K金属錯体を得ることができる。
また(2)で例えば、(1)と全く同じようにして合成
したα、β、γ−ツヤプリシン、α、β、γ−ドラブリ
ン、トロポロンの各Na塩とMgSO4の等モル水溶液
を混合させ、生成した沈澱物をロ別してα、β、γ−ツ
ヤプリシン、α、β、γ−ドラブリン、トロポロンの各
Mg金属錯体を得ることができる。また(2)で、例え
ばα、β、γ−ツヤプリシン、α、β、γ−ドラブリ
ン、トロポロンのメタノ−ル溶液とZn(CH3CO
O)2の水溶液を混合し、生成した沈澱物をロ別して
α、β、γ−ツヤプリシン、α、β、γ−ドラブリン、
トロポロンの各Zn(II)金属錯体を得ることができ
る。以上の方法で得たトロポノイド金属錯体は、再結晶
などで精製後、元素分析、ICP発光分光分析により同
定した。
【0014】本発明で用いるトロポノイド金属錯体は、
金属化合物の金属の価数と同じ数のトロポノイド化合物
が配位して錯体を形成する。このようにトロポノイド化
合物を金属錯体化すると原料トロポノイド化合物より格
段に水に難溶性になったり、融点や分解温度が非常に高
くなるなど大きく物性が変化することが知られている
〔例えば、W.von E.Doering et a
l.,J.Am.Chem.Soc.,72,2305
(1950)、B.E.Bryant et al.,
J.Amer.Chem.Soc., 75,3784
(1953)など〕。合成したトロポノイド金属錯体の
融点、分解温度は、熱重量分析により測定した。
【0015】本発明で用いることができる樹脂として
は、天然樹脂、半合成樹脂及び合成樹脂のいずれでも良
く、また熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂いずれでも良
い。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、塩
素化ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、、
エチレンアクリル酸エチル共重合樹脂などのポリエチレ
ン系樹脂;ポリプロピレン樹脂;4−メチルペンテン−
1樹脂;ABS樹脂、AS樹脂、ACS樹脂、AES樹
脂、ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂;ポリメタ
クリル酸エステルまたはアクリル酸エステル重合樹脂の
アクリル系樹脂;塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニ
ル共重合樹脂、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合樹脂、
塩化ビニルアクリル酸エステルもしくは塩化ビニルメタ
クリル酸共重合樹脂、塩化ビニルアクリルニトリル共重
合樹脂、エチレン塩化ビニル共重合樹脂、プロピレン塩
化ビニル共重合樹脂、EVA−塩化ビニル共重合樹脂な
どの塩化ビニル系樹脂;塩化ビニリデン樹脂;酢酸ビニ
ル、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルホルマール
樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリブチラー
ル樹脂、ポリビニルエーテル樹脂などの酢酸ビニル系樹
脂;セルロースアセテート、セルロースニトレート、セ
ルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステ
ル及びセルロースメチレート、セルロースエチレートな
どのセルロースエーテルのセルロース系樹脂;ナイロン
6、ナイロン66、ナイロンMXD6などのポリアミド
系樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリカーボネート樹脂;
ポリエチレンテレフタレート樹脂;ポリブチレンテレフ
タレート樹脂;変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフ
ェニレンオキサイド樹脂のフェニルエーテル系樹脂;ポ
リフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルフォン樹脂;液
晶プラスチック;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド樹
脂;ポリアミノビスマレイミド樹脂;ポリエーテルスル
フォン樹脂;ポリフェニレンスルフォン樹脂、ポリアリ
ルスルフォン樹脂;ポリアリレート樹脂;グラフト化ポ
リフェニレンエーテル樹脂;ポリエーテルエーテルケト
ン樹脂;AAS樹脂;MUH樹脂;ポリ四フッ化エチレ
ン、ポリフッ化エチレンプロピレン、四フッ化エチレン
・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂、エチレ
ン・四フッ化エチレン共重合樹脂、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリ三フッ化塩化エチレン、フッ素ゴムなどのフッ
素系樹脂;シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリコ
ーンゴム樹脂などのシリコーン系樹脂;天然ゴム樹脂、
エボナイト樹脂、塩化ゴム樹脂などの天然ゴム系樹脂;
ブタジエンスチレン共重合樹脂、ニトリルゴム樹脂、ク
ロロプレンラバー樹脂などのブタジエン系合成ゴム樹
脂;ポリイソプレン樹脂、ブチルゴム樹脂、ポリイソブ
チレン樹脂などのオレフィン系合成ゴム樹脂;多硫化系
合成ゴム樹脂;クロロスルフォン化ポリエチレン樹脂な
どを挙げることができる。これらの樹脂を1種または2
種以上併用して用いることができる。また、塩化ビニル
系エラストマ−、ポリエチレン系エラストマ−、ポリオ
レフィン系エラストマ−、ポリスチレン・ブタジエン共
重合熱可塑性エラストマ−、エチレン酢酸ビニルエラス
トマー、塩素化ポリエチレンエラストマー、ポリウレタ
ン系エラストマ−、ポリエステル系エラストマ−などの
熱可塑性エラストマ−を配合したものも用いることがで
きる。また、熱硬化性樹脂の具体例としてフェノ−ル樹
脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリ
ルフタレ−ト樹脂、不飽和ポリエステル、飽和アルキッ
ド樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0016】本発明の抗菌抗黴剤の使用量は樹脂成分1
00部に対して、0.0001部から20部、好ましく
は0.005部から10部さらに好ましくは0.001
部から10部未満である。その使用量が0.0001部
以下では抗菌抗黴性が劣り、10部以上になると成形品
の外観が悪くなり、熱変色が起こる。
【0017】本発明の抗菌抗黴樹脂組成物には、炭素繊
維、ガラス繊維、金属繊維、ロックフィラ−、炭酸カル
シウム、タルク、マイカ、硫酸バリウム、酸化マグネシ
ウム、チタン酸バリウムウィスカ−、酸化亜鉛ウィスカ
−などの充填剤を1種または2種以上を併用して用いる
ことが出来る。また樹脂組成物には各種の添加剤を用い
ることが出来る。添加剤として、例えば、難燃剤、酸化
防止剤、帯電防止剤、カップリング剤、着色剤、紫外線
吸収剤、離型剤などをあげることができる。
【0018】本発明の抗菌抗黴性樹脂組成物の作成にお
いて、用いる樹脂は、粉体、粒状あるいはペレット状な
どにして、抗菌抗黴剤は、粉体あるいはマスタ−バッチ
などにして均一に混合する。均一に混合する方法として
は、各種押出器、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ロ−
ラ−などを用いて、各成分を混練りすることによって得
られる。また、混練りする際に、一括して混練りしても
良いし、何段かに分けた多段混練りをしても良い。この
ようにして混練りした樹脂組成物は各種の成形法、例え
ばプレス成形、押出成形、射出成形、真空成形、発砲成
形、異形成形、ブロ−成形などの成形法により各種成形
品に成形される。これらの成形品はその優れた特性によ
り自動車分野、電気・電子分野、OA・家電分野、日用
品・雑貨、医療トレイなどの医療分野、衛生繊維などの
繊維分野、便座・化粧台・風呂場廻りなどのサニタリ−
分野、電車の吊り輪、ドアのノブ、電話機などの不特定
多数の人々が触れる製品分野などで用いることができ
る。
【0019】以下、トロポノイド金属錯体の合成例、熱
的性質を説明する。
【0020】合成例1 KOH、1.68g(0.03モル)を150mlの水
に溶解し、これにトロポロン3.66g(0.03モ
ル)を加えて加熱溶解した。水を減圧留去すると黄色固
体が残る。この固体をエタノ−ル・ジエチルエ−テルか
ら再結晶し、結晶をロ別後、70℃で減圧乾燥して黄色
固体3.61g(収率75%)を得た。この固体は、元
素分析、ICP発光分光分析により同定した。また、融
点、分解温度は、熱重量分析により測定した。この結果
を表1に示した。
【0021】
【表1】 (トロポロン)−K錯体の分析結果 C H N K 分析値 52.09 3.60 0.2 > 23 理論値 52.48 3.15 0 24.4 融点 220℃ 分解温度 340℃ ────────────────────────────────── 表1から分析値と理論値が良く一致し、(トロポロン)
−K錯体が合成されていることが確認された。また、ト
ロポロン(融点 50℃、分解温度 200℃)は、K
金属錯体にすることによって融点、分解温度が著しく高
くなることが分かる。
【0022】合成例2 β−ツヤプリシン(別名 ヒノキチオ−ル)5.00g
(0.03モル)を50mlのメタノ−ルに溶解し、Z
n(CH3 COO)2 ・2H2 Oを3.4g(0.01
5モル)を150mlの水に溶解し混合すると淡黄色の
沈澱を生じた。塩化メチレン50mlで3回抽出し、溶
媒および酢酸を減圧留去すると、淡黄色個体が残った。
この固体をエタノ−ルから再結晶し、ロ過した後、10
0℃で減圧乾燥して淡黄色固体5.02gを得た(収率
84%)。この固体を、元素分析、ICP発光分光分析
で同定した。また、融点、分解温度は、熱重量分析によ
り測定した。この結果を表2に示した。
【0023】
【表2】 〔(β−ツヤプリシン)2 −Zn錯体の分析結果〕 C H N Zn 分析値 60.75 5.70 0.2> 16 理論値 61.31 5.66 0 16.7 融点 214℃ 分解温度 395℃ ──────────────────────────────── 表2から分析値と理論値が良く一致し、(β−ツヤプリ
シン)2 −Zn錯体が合成されていることが確認され
た。また、β−ツヤプリシン(融点 53℃、分解温度
204℃)は、Zn金属錯体することによって融点、
分解温度が著しく高くなることが分かる。
【0024】合成例3 公知な方法(例えば、特公昭49−28747)によっ
て合成したα−ドラブリンのNa塩5.00g(0.0
27モル)を水150mlに溶解し、これに別にMgS
4 を1.62g(0.014モル)、水50mlに溶
解した水溶液を混合すると白色の沈澱を生じた。この沈
澱をロ別し水洗した後、100℃で減圧乾燥して白色固
体3.23g(収率69%)を得た。この固体を、元素
分析、ICP発光分光分析で同定した。また、融点、分
解温度は、熱重量分析により測定した。この結果を表3
に示した。
【0025】
【表3】 〔(α−ドラブリン)2 −Mg錯体の分析結果〕 C H N Mg 分析値 61.95 5.30 0.2> 7 理論値 62.30 5.23 0 6.6 融点 210℃ 分解温度 373℃ ───────────────────────────── 表3から分析値と理論値が良く一致し、(α−ドラブリ
ン)2 −Mg錯体が合成されていることが確認された。
また、α−ドラブリン(融点 41℃、分解温度153
℃)は、Mg金属錯体にすることによって融点、分解温
度が著しく高くなることが分かる。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳しく説明す
る。
【0027】実施例1〜22 試験樹脂材料の一例としてポリエチレン(低密度)を用
いて実施例を説明する。 抗菌防黴試験 抗菌防黴性に用いる試験片は、ポリエチレンに各種トロ
ポノイド金属錯体を0.1 %、1.0 %添加してラボプラス
トミルで温度200℃で良く練り込み、500mm×500mm
×1mmの試験片を用意する。参照のためトロポノイド金
属錯体を添加しないブランク試験片をも用意する。抗菌
試験は、この試験片を滅菌シャ−レに入れ、大腸菌(Es
cherichia coli IFO 3972)もしくは黄色ブド
ウ球菌(Staphylococcus aureus IFO 12732)
を温度37℃、18時間程度前培養した後、希釈ブイヨ
ン培地に均一に懸濁した菌液0.5ml(菌数1.0〜
5.0×105 個)を試験片の上面に接種する。そし
て、この接種液の上に450mm×450mm ×0.1mm のポリエ
チレンフィルムを被せて温度35℃、湿度90%RH以
上で24時間保存する。保存終了後、直ちにポリエチレ
ンフィルムに付着している菌をSCDLP培地10ml
で滅菌シャ−レ中に洗い出し、この洗い出した液1ml
をブイヨン寒天培地で温度35℃、48時間培養し生菌
数を測定する。この操作は、ブランク試験片についても
全く同様に行った。一方、防黴試験については、国際規
格ISO 846 B法(1978)に準じて試験し
た。更に、市販の抗菌防黴剤としてTBZ、OBPA、
Ag/ゼオライトを用いて同様に抗菌防黴試験を行っ
た。その結果を表4に示した。表4よりツヤプリシンF
e金属錯体を除いてα、β、γ−ツヤプリシン金属錯体
は、樹脂の成形加工に必要な充分な耐熱性を有し、少量
でも充分な抗菌性を有し、しかも防黴機能をも有するこ
とが分かる。一方、表4で金属がNa、Cu、Zn、A
g、Ba、Ca、Mgのα、β、γ−ツヤプリシン金属
錯体についてAMES法による変異原性、ラットによる
経口急性毒性、及びウサギによる皮膚一次刺激の安全試
験を行ったところ、すべて原料α、β、γ−ツヤプリシ
ンと同様の結果で、それぞれ陰性、普通物、皮膚一次刺
激性なしと安全性が確認された。
【0028】
【表4】
【0029】実施例23〜40 添加、練り込む薬剤としてα、β、γ−ドラブリン金属
錯体を用い、その他は、実施例1〜22と全く同様にし
て行った。その結果を表5に示した。 表5よりドラブ
リンFe金属錯体を除いてα、β、γ−ドラブリン金属
錯体は、樹脂の成形加工に必要な充分な耐熱性を有し、
少量でも充分な抗菌性を有し、しかも防黴機能をも有す
ることが分かる。
【0030】
【表5】
【0031】実施例41〜48 添加、練り込む薬剤としてトロポロン金属錯体を用い、
その他は、実施例1〜22と全く同様にして行った。そ
の結果を表6に示した。表6よりトロポロン鉄金属錯体
を除いてトロポロン金属錯体は、樹脂の成形加工に必要
な充分な耐熱性を有し、少量でも充分な抗菌性を有し、
しかも防黴機能をも有することが分かる。
【0032】
【表6】
【0033】さらに、以下実施例により本発明を具体的
に説明する。なお、抗菌抗黴試験に加えて、成形品表面
外観と熱変色性の評価を下記の様に行った。 成形品表面外観評価 二点ピンポイントゲ−トで50mm×100mm×1m
mの平板を成形し、ウエルド部及びそれ以外の面の外観
を下記の目視基準で評価した。 外観良好:○ 外観不良:× 熱変色性 射出成形機のシリンダ−温度をプロピレン、ABSで2
20℃、塩化ビニルで190℃に設定し、この温度でス
トレ−ト成形して成形品を得た。また、この他、溶融樹
脂をそのまま15分間滞留させた後、成形して成形品を
得た。そして、前者と後者の成形品の色調を以下の目視
基準で比較評価した。 色調良好:○ 色調不良:×
【0034】実施例49〜101 市販のポリプロピレン(三菱化学製;PPFX4D)と
合成したα、β、γ−ツヤプリシン、α、β、γ−ドラ
ブリンおよびトロポロン金属錯体を120℃で水分量
0.1%以下に乾燥させ、表7の配合比で混合し、ベン
ト付き2軸押出機で混練りペレット化した。得られたペ
レットは、再び120℃で乾燥して水分量0.1%以下
に乾燥し、射出成形によって抗菌抗黴試験片、成形品表
面外観及び熱変色評価用試験片を成形した。これらの試
験片を用いて上記の方法により各種試験を行った。その
結果を表7に示した。表7よりトロポノイド金属錯体を
ポリプロピレンに対して0.001部以上10部未満の
組成物は、抗菌抗黴試験、成形品表面外観及び熱変色の
点で優れていることが分かる。また、抗菌抗黴の添加量
が。10部以上では、成形品表面外観及び熱変色が落ち
る。更に、0.001部以下の抗菌抗黴剤の添加量では
抗菌抗黴機能が実用的でなくなる。一方、市販のTBZ
では、抗黴性、成形品表面外観及び熱変色が実用的であ
る範囲では抗菌性が弱く実用性に劣る。また、Ag系抗
菌剤は、成形品表面外観及び熱変色が実用的である範囲
では抗菌性、抗黴性が弱く特に抗黴機能に劣る。
【0035】
【表7】
【0036】実施例102〜126 実施例49〜101までと同様に市販の塩化ビニル樹脂
(三井東圧化学社製;SE1143)と合成したα、
β、γ−ツヤプリシンを120℃で水分量0.1%以下
に乾燥させ、表8に記載の配合比で混合し、ベント付き
二軸押出機で混練りペレット化した。得られたペレット
は、再び120℃で乾燥して水分量0.1%以下に乾燥
し、射出成形によって同様に各種試験片を成形し、各種
試験を行った。その結果を表8に示した。表8よりトロ
ポノイド金属錯体を塩化ビニル樹脂に対して0.001
部以上10部未満添加した樹脂組成物は、抗菌抗黴性、
成形品表面外観及び熱変色性に優れていることが分か
る。また、抗菌抗黴の添加量が10部以上では、成形品
表面外観及び熱変色性が劣る。更に、0.001部以下
の抗菌抗黴の添加量では、抗菌抗黴機能が実用的でなく
なる。一方、市販品のTBZでは、抗黴性に優れるが成
形品表面外観及び熱変色性が実用的である範囲では抗菌
性、抗黴性が弱く特に抗黴機能に劣る。
【0037】実施例127〜151 塩化ビニル樹脂の替わりに、ABS樹脂(旭化成社製;
スタイラック−ABS100S)を使用する以外は、実
施例49〜101迄と同様に行い、結果を表8に示し
た。表8より、トロポノイド金属錯体をABS樹脂に対
して、0.001部以上10部未満の組成物は、抗菌抗
黴性、成形品表面外観及び熱変色性に優れていることが
分かる。また、抗菌抗黴剤の添加量が10部以上では、
成形品外観及び熱変色性が劣る。更に、0.001部以
下の抗菌抗黴剤の添加量では、抗菌抗黴機能が実用的で
なくなる。一方、市販品のTBZは、成形品表面外観及
び熱変色性が実用的である範囲では、抗黴に優れるが抗
菌性は弱く、実用性に劣る。また、Ag系抗菌剤は、成
形品表面外観が実用的である範囲では、抗菌性、抗黴性
が弱く実用性に劣る。
【0038】
【表8】
【0039】
【発明の効果】本発明のトロポノイド鉄金属以外のトロ
ポノイド金属錯体は、従来の有機系及び無機系樹脂添加
抗菌防黴剤の問題点を解決し、樹脂材料の成形加工に必
要な充分な耐熱性を有し、少量で充分な抗菌機能のみな
らず防黴機能をも有し、安全性にも優れた有機金属系の
樹脂添加抗菌防黴剤である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 55/02 A01N 55/02 G C08K 5/07 C08K 5/07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100部に、下記の(1)
    式で示されるトロポノイド金属鎖体の1種類以上を0.
    001〜10部添加することを特徴とする抗菌抗黴性樹
    脂組成物。 【化1】 (式中、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニ
    ル基、MはFeを除く金属、nは金属Mの価数、mは配
    位数を示す。また、nとmとは、1〜6の同じ整数を示
    す。)
  2. 【請求項2】請求項1記載のトロポノイド金属錯体の1
    種類以上を有効成分として含有することを特徴とする樹
    脂添加抗菌抗黴剤。
  3. 【請求項3】トロポノイド金属錯体がα、β、γ−ツヤ
    プリシン金属錯体、α、β、γ−ドラブリン金属錯体、
    またはトロポロン金属錯体である請求項1記載の抗菌抗
    黴性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】金属が周期律表Iaのアルカリ金属、IIa
    のアルカリ土類金属、Feを除くIIaからIbに属する
    遷移金属及びIIbからIVbに属する金属元素から選ばれ
    る少なくとも1種である請求項1記載の抗菌抗黴性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】金属がNa、K、Mg、Ca、Ba、C
    u、Ag、Znから選ばれる金属元素の少なくとも1種
    である請求項1記載の抗菌抗黴性樹脂組成物。
JP9118161A 1996-05-17 1997-05-08 抗菌抗黴性樹脂組成物 Pending JPH1060288A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9118161A JPH1060288A (ja) 1996-05-17 1997-05-08 抗菌抗黴性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12333896 1996-05-17
JP8-123338 1996-05-17
JP9118161A JPH1060288A (ja) 1996-05-17 1997-05-08 抗菌抗黴性樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1060288A true JPH1060288A (ja) 1998-03-03

Family

ID=26456143

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9118161A Pending JPH1060288A (ja) 1996-05-17 1997-05-08 抗菌抗黴性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1060288A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006036733A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Asahi Kagaku Kogyo Kk ヒノキチオールの気化方法
JP2008195709A (ja) * 2007-01-17 2008-08-28 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属−トロポロン錯体を無機層間に担持した抗菌防カビ材料

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006036733A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Asahi Kagaku Kogyo Kk ヒノキチオールの気化方法
JP2008195709A (ja) * 2007-01-17 2008-08-28 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属−トロポロン錯体を無機層間に担持した抗菌防カビ材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05230325A (ja) 防菌、防カビ性ポリアセタール樹脂組成物
US5468738A (en) Fungicide and its use
EP3175867A1 (en) Use of (hetero)polyoxometalates for simultaneously imparting antimicrobial properties to a surface of a substrate and reducing the growth of a biofilm on the surface of the substrate
JP5784581B2 (ja) プラスチック中のピリチオン安定剤としてのデヒドロ酢酸の塩
JPH1060288A (ja) 抗菌抗黴性樹脂組成物
US9982121B2 (en) Pyridinium modified composite, and article including same
US20090203812A1 (en) Salts of Dehydroacetic Acid as an Antimicrobial for Plastics
JPH1129416A (ja) 熱可塑性プラスチックの抗菌防カビ組成物
US20080248076A1 (en) Antimicrobial rubber bands
EP3269771A1 (en) Pyridinium modified composite, and article including same
JP3309869B2 (ja) 抗菌性熱可塑性樹脂組成物および抗菌性成形物
US3632825A (en) Nickel alkoxide compounds and process for preparation thereof
KR970004205B1 (ko) 항균성 플라스틱 조성물
WO2009100878A1 (en) Salts of dehydroacetic acid as an antimicrobial for plastics
JPH09100204A (ja) 抗菌剤
JP3140628B2 (ja) ポリアセタール樹脂組成物
CN108070141A (zh) 一种抗菌塑料及其制备方法和应用
JPH03167103A (ja) 防かび防藻性樹脂組成物
KR101973775B1 (ko) 항균 마스터 배치 조성물
JP2005060332A (ja) 抗菌剤として有効なホスホニウム塩化合物
JPS59174638A (ja) 防黴剤含有ポリオレフイン組成物
US4356279A (en) 2,2,6,6-Tetramethyl-4-piperidyl-substituted heterocyclic ring compound and polymers containing same
JPH08269234A (ja) 抗菌防黴剤組成物
JP5435547B2 (ja) 銀亜鉛錯体、および抗菌・抗カビ剤
JP2000302616A (ja) 抗菌性樹脂組成物、抗菌性組成物および成形品