JPH106012A - 溶接用給電チップ装置 - Google Patents

溶接用給電チップ装置

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JPH106012A
JPH106012A JP17752396A JP17752396A JPH106012A JP H106012 A JPH106012 A JP H106012A JP 17752396 A JP17752396 A JP 17752396A JP 17752396 A JP17752396 A JP 17752396A JP H106012 A JPH106012 A JP H106012A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性が良好で、溶接ワイヤに対する給電動
作を確実に成し得ると共に挿通動作の円滑化を図り、こ
れによってアーク溶接の性能向上を図った溶接用給電チ
ップ装置を提供すること。 【解決手段】 給電チップ本体1(11,21,31,
41,51,56,61)と給電部とにより成り、給電
チップ本体1は、中心軸部分に溶接ワイヤ案内孔1Cを
備えた導電性部材からなり、給電部は、少なくとも三個
の導電性部材等からなる球状部材2(22,32,4
2,52,57,62)を備え、且つ当該球状部材2
を、給電チップ本体1の溶接ワイヤ送出側にて同一平面
上で同一円周上に配設固定し、この各球状部材2によっ
て囲まれた中央に溶接ワイヤ挿通孔3(23,33,4
3,57a,63)を形成したこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接用給電チップ
装置に係り、特に、自動化もしくは半自動化されたアー
ク溶接に使用される溶接ワイヤに対する給電および繰り
出し用の溶接用給電チップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ガスシールドアーク溶接にあっ
ては、従来より、タングステン電極を装備した非溶極式
のティグ(TIG)溶接と、溶接ワイヤを溶かしながら
アーク溶接する溶極式のマグ(MAG)溶接,同じく溶
極式のミグ(MIG)溶接が知られている。
【0003】この内、溶極式のミグ溶接とマグ溶接は、
使用するシールドガスによって区別される溶接法であ
り、両者間には本質的な相違はない。このため、この種
の溶極式アーク溶接は、従来よりミグ・マグ溶接法と呼
ばれている。
【0004】図27にミグ・マグ溶接法の一例を示す。
この図27におけるミグ・マグ溶接法では、まず、電極
として機能する溶接ワイヤ101が、モータ102によ
って駆動される送給ローラ103によって給電チップ
(溶接用給電チップ装置)104内を通して母材105
に向けて連続的に送られる。そして、溶接ワイヤ101
が、給電チップ104内を通過する際に溶接機106か
らの電流が当該溶接ワイヤ101に通電され、溶接ワイ
ヤ101の先端部101Aと母材105との間にアーク
Ac が発生する。ここで、記号Ga はシールド用ガスの
流れを示す。
【0005】そして、このアークAc が熱源となって溶
接ワイヤ101の先端部101Aと母材105とを溶融
させ、溶けたワイヤ先端が溶滴となって母材105に移
行して溶融池105Aが形成される。この溶融池105
Aが冷却されて溶接金属105Bとなり、継手が完成す
る。更に、給電チップ104の外側周囲を取り囲んで溶
接トーチ(シールドノズル部)107が装備され、ここ
からシールド用のガスGa が溶接箇所に向けて噴射さ
れ、これによって、アークAc と溶融池105Aとが周
囲の空気に触れないように遮蔽されるようになってい
る。
【0006】一方、上記従来例にあっては、給電チップ
104における溶接ワイヤ101の繰り出しに際して、
同時に高密度電流を効率良く溶接ワイヤ101に印加し
なければならない。この場合、先端部からあまり離れた
位置に溶接ワイヤ101への通電箇所を設定すると、先
端部以外で溶接ワイヤ101が発熱して溶ける恐れがあ
る。このため、かかる発熱等を回避しつつ高密度電流を
効率良く且つ確実に溶接ワイヤ101に印加するため、
多くの場合、溶接箇所に近い給電チップ104部分で高
密度電流を溶接ワイヤ101に印加するように工夫され
ている。
【0007】ここで、上記給電チップ(溶接用給電チッ
プ装置)104部分の従来例を更に詳述する。
【0008】〔給電チップの従来例1〕図28(A)
(B)に示す給電チップ111は、中心軸上に溶接ワイ
ヤ挿通孔111aを備えた円筒状に形成され、図28
(A)(B)に示すように上端部に取り付け用のねじ部
111Aが設けられ、下端部周囲にはテーパ111Bが
付された形状となっている。この場合、長さLは40〜
45〔mm〕に設定され、直径DT は約10〔mm〕に
設定されている。また、中央部の溶接ワイヤ挿通孔11
1aの直径は、挿通される溶接ワイヤ101の直径をD
0 とすると、D0 +α(α=0.2〜0.4〔mm〕)
となっている。
【0009】そして、実際の使用に際しては、図29に
示すように筒状保持部材112に保持されて溶接トーチ
107内に装備され、又溶接ワイヤ101が溶接ワイヤ
挿通孔111aに挿通され、しかる後、図27の状態に
設定されるようになっている。この図29において、符
号101Pは溶接ワイヤ101が湾曲され溶接ワイヤ挿
通孔111a内の内壁面に当接して形成される給電ポイ
ントを示す。これにより、母材(図示略)との間でアー
クAc が発生し前述したようにアーク溶接が行われる。
【0010】一方、この図28の従来例1にあっては、
給電ポイントが一定せず、このため、給電通路が断続的
となるという事態が生じていた。
【0011】〔給電チップの従来例2〕図30にこれを
示す。この図30に示す従来例(給電チップ121)
は、前述した図28に於ける不都合を改善するためのも
ので、特開昭64ー18582号公報および実開昭62
ー174785号公報に開示されているように、板ばね
121A及びネジ121Bを用いて、溶接ワイヤ101
を溶接ワイヤ挿通孔121aの内壁に押し付けるという
手法を採っている。符号121bはワイヤ押圧部材を示
す。
【0012】このため、この図30における従来例にあ
っては、ワイヤ押圧部材121bの押圧作用によって給
電ポイント101Pを確実に形成し、これによって安定
した給電を継続し得るようになっている。
【0013】〔給電チップの従来例3〕図31(A)
(B)にこれを示す。この図31(A)(B)に示す従
来例(給電チップ131)は、特開平6ー304761
号公報に開示されているように、外観は前述した図28
の場合と同一であるが、その先端部に図31(B)に示
すような断面三角形状の溶接ワイヤ挿通孔132aを備
えた先端部材132を装備した点に特徴を備えている。
その他の構成は前述した図28の場合と同一となってい
る。
【0014】また、先端部材132の溶接ワイヤ挿通孔
132aの断面形状としては、特開平6ー304761
号公報では、更に上記図31(A)(B)における先端
部材132の変形例として、図32(A)〜(D)に示
す先端部材132A,132B,132C,132Dを
提案している。この先端部材132A〜132Dは、そ
れぞれ断面が多角形もしくは楕円形等の溶接ワイヤ挿通
孔132Aa,132Ba,132Ca,132Daを
備えている。そして、各溶接ワイヤ挿通孔132Aa,
132Ba,132Ca,132Daの大きさは、内接
円を想定した場合に当該内接円の直径を溶接ワイヤ10
1の直径寸法に対して0.05〜0.20〔mm〕だけ
加算した大きさに設定されている。
【0015】このため、この従来例3(図31〜図3
2)では、溶接ワイヤ101のガタ(中心線からのず
れ)を小さくすると共に、断面空間を大きく設定し得る
ので、切り粉や切り屑等の異物に対しては断面内のコー
ナ部分を利用してこれらを有効に落下排出させることが
でき、また、溶接ワイヤ101を溶接ワイヤ挿通孔13
2a(又は132Aa〜132Da)内の内壁面で二箇
所以上で接触させることができ(クサビ状の溝領域に入
り込むため)、このため給電性が向上するという利点が
ある。
【0016】〔給電チップの従来例4〕図33〜35に
これを示す。この図33〜図35に示す従来例(給電チ
ップ141)では、特開昭63ー90368号公報に開
示されているように、外観は前述した図28の場合と同
一で、その溶接ワイヤ挿通孔141aの周囲四箇所に当
該溶接ワイヤ挿通孔141aに連なるシールドガス用の
ガス供給溝141bが設けられ、この溶接ワイヤ挿通孔
141aおよびガス供給溝141b内にシールド用のガ
スを流通させるようにした点に特徴を備えている。
【0017】更に、この図33〜図35に示す従来例で
は、コイルばね141Aおよび押圧ピン141Bによっ
て溶接ワイヤ101を溶接ワイヤ挿通孔141a内の側
壁に押しやって当該溶接ワイヤ101を偏心させ、これ
によって、給電チップ141と溶接ワイヤ101との当
接状態を確実に設定しようとするものである。このた
め、この図33〜図35における従来例にあっては、溶
接トーチ(シールドノズル部)の全体的な小型化が可能
となっており、また通常のノズル及び通常の給電チップ
を用いたものよりシールド効果を高めることができると
いう利点がある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来例1〜従来例4にあっては、以下に示す不都合が
生じていた。
【0019】即ち、図28〜図29に示す従来例1にあ
っては、給電チップ111の溶接ワイヤ挿通孔111a
が、溶接ワイヤ101の直径より0.2〜0.4〔m
m〕程度大きく設定されていることから、連続溶接によ
ってワイヤ先端にズレ(中心位置から偏心)を生じ,同
時に送給時の振動によって溶接箇所からはずれ易く、こ
のため、ビードが蛇行するという不都合があった。
【0020】更に、例えば真っ直ぐの溶接ワイヤ101
を使用すると、溶接ワイヤ挿通孔111aが大きいため
給電ポイントが得にくくなり、通電が安定せず、このた
め不安定なアークを生じ、溶接欠陥(品質不良)を起こ
し易い。
【0021】また、図30に示す従来例2にあっては、
図28における不都合が改善されアーク溶接を安定した
状態で行う事が可能であるが、一方では、加工費が高騰
し、更に、溶接ワイヤ101に付された押し出し力に抗
して板ばね121Aにより押圧するため、経時的に、ワ
イヤ押圧部材121bによる噛み込みが発生し、溶接ワ
イヤ101を円滑に押し出すことができないという不都
合が生じていた。
【0022】更に又、ワイヤ押圧部材121bに対する
噛み込みによって切り粉や切り屑等の異物が発生し、そ
れが又かみ込みとなり、これが溶接ワイヤ挿通孔121
a内に連続的に蓄積して溶接ワイヤ101の押し出し動
作がかかる点においても阻害され、同時に摩擦の増加等
も重なって溶接ワイヤ101が溶接ワイヤ挿通孔121
aの内壁に溶着し易い。このため、溶接ワイヤ101の
繰り出しの円滑化が阻害され、時には溶接ワイヤ101
が不足して溶接箇所の品質低下をきたすという不都合が
生じていた。
【0023】図31〜図32に示す従来例3にあって
は、給電チップ131を形成する銅もしくは銅合金から
成る棒状部材の中心軸部分又は先端部材132に、断面
三角形状もしくは四角形状等の溶接ワイヤ挿通孔131
a,132a,132Aa〜132Daを形成する構成
であることから、生産コストが著しく増大するという不
都合が常に存在していた。
【0024】即ち、図28に示すように通常の丸穴の溶
接ワイヤ挿通孔111aを備えた給電チップにあって
は、ドリル加工ができるが、図31〜図32に示す断面
形状の溶接ワイヤ挿通孔131a,132a,132A
a〜132Daにあっては、放電加工,超音波加工,ワ
イヤカット,スエージング等の加工となるため、多くの
設備投資を必要とし、加工時間も長くなり、更に放電加
工および超音波加工では電極等が必要となり、ワイヤカ
ット,スエージング等の加工では消耗品が高価であり、
従ってランニングコストも多大となり、生産性が悪く、
単価も例えば丸穴の場合の10倍程度となるという不都
合が生じていた。
【0025】更に又、図33〜図35に示す従来例4に
あっては、前述した従来例2(図30)の場合と同様
に、溶接ワイヤ101を溶接ワイヤ挿通孔141a内の
凸側壁に押しやって強制的に偏心させるようにしたこと
から、従来例2の場合と同様に切り粉や切り屑等が発生
し易く、またワイヤと押圧ピン141B間に詰まり易
く、且つ加工コストが高騰し,生産性が悪い等の不都合
が常に存在していた。
【0026】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合
を改善し、とくに生産性が良好で、溶接ワイヤに対する
給電を確実に成し得ると共に挿通動作の円滑化を図り、
これによってアーク溶接の性能向上を図った溶接用給電
チップ装置を提供することを、その目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、給電チップ本体と給電部
とを備え、給電チップ本体は、中心軸部分に溶接ワイヤ
案内孔を備えた導電性部材からなる。又給電部は、少な
くとも3個の導電性部材からなる球状部材を備え、且つ
当該球状部材を、給電チップ本体の溶接ワイヤ送出側に
て同一平面上で同一円周上に配設固定されて成る。そし
て、この各球状部材によって囲まれた中央に溶接ワイヤ
挿通孔を形成する、という構成を採っている。
【0028】このため、この請求項1記載の発明では、
例えば図1乃至図4に示すように、給電チップ本体1の
ワイヤ案内穴1Cに溶接ワイヤ101を挿通し、その送
出端では少なくとも三個の球状部材2に囲まれて形成さ
れる挿通孔3から溶接ワイヤ101をアーク溶接に適し
た所定長さに突出させ、しかるのち、所定の溶接動作に
移行する。
【0029】この場合、溶接ワイヤ101は、アーク溶
接の進行とともに溶融消費されるため、その所定量が順
次繰り出される。同時に溶接ワイヤ101は先端部がア
ークの発生位置の変化に応じて僅かに偏心するが、この
場合、溶接ワイヤ101は挿通孔3の有する少なくとも
三個の球状部材2相互間に形成された楔状の空間領域に
挟み込まれるようにして当接する。このため、溶接ワイ
ヤ101は確実に少なくとも二個の球状部材2に当接し
通電状態が維持され、その送り出しも円滑に行われる。
【0030】更に、継続使用の結果、溶接ワイヤに付着
して切り粉等が給電チップ内に侵入しても、或いは溶接
ワイヤ101と給電チップ本体1のワイヤ案内孔1Cの
内面との接触により又は溶接ワイヤ101と球状部材2
との接触によって切り粉等が発生しても、ワイヤ挿通孔
3の断面形状が星型多角形状(但し球状部材2が三個の
場合は図3(A)のように星型三角形状)であることか
ら、楔形のコーナ部から当該切り粉等が自然落下する。
このため、切り粉や切り屑によって挿通孔2が塞がるこ
とがなく、かかる点においても溶接ワイヤ101の挿通
動作を更に円滑に成し得るという利点を備えている。
【0031】請求項2記載の発明では、まず、給電チッ
プ本体と給電部とを備えている。給電チップ本体は、中
心軸部分に溶接ワイヤ案内孔を備えた導電性部材から成
る。又給電部は、少なくとも三個の球状部材を備え、且
つ当該球状部材を、前述した給電チップ本体の溶接ワイ
ヤ送出側にて同一平面上で同一円周上に配設固定されて
成る。そして、この各球状部材によって囲まれた中央に
溶接ワイヤ挿通孔を形成し、同時に、隣接する球状部材
の少なくとも一方を導電性部材で形成する、という構成
を採っている。
【0032】このため、この請求項2記載の発明では、
隣接する球状部材の少なくとも一方を導電性部材で形成
したので、溶接ワイヤ101は当該導電性部材からなる
球状部材に必ず接触することとなり、かかる点において
前述した請求項1記載の発明とほぼ同等に機能する。ま
た、導電性部材からなる球状部材以外の球状部材を耐磨
耗性材料又は耐熱性材料で形成することによって給電部
の耐久性の向上を図り得る。
【0033】請求項3記載の発明では、上記請求項1又
は2記載の発明において、前述した球状部材を、給電チ
ップ本体にネジで固定する、という構成を採っている。
【0034】このため、この請求項3記載の発明では、
前述した請求項1又は2記載の発明と同等に機能するほ
か、各球状部材を単にねじで固定するようにしたので、
給電チップ本体の構造を更に単純化すると共に、適当な
スペーサを介在させる等によって各球状部材の固定位置
をづらすこともでき、かかる点において溶接ワイヤ挿通
孔の大きさを調整し変更することも可能となる。
【0035】請求項4記載の発明では、上記請求項1又
は2記載の発明において、球状部材は、給電チップ本体
のワイヤ送出側に設けた環状突設部により形成される凹
部に収納すると共に、ワイヤ送出口を有する環状蓋体で
固定する、という構成を採っている。
【0036】このため、この請求項4記載の発明では、
前述した請求項1又は2記載の発明と同等に機能するほ
か、組み立て及び保守が容易となる。
【0037】ここで、請求項1乃至請求項4の記載にお
いて、給電チップ本体又は環状蓋体に形成される溶接ワ
イヤ案内孔の直径は、前述した球状部材のより設定され
るワイヤ挿通孔の内接円の直径よりも大きく形成する。
【0038】請求項5記載の発明では、給電チップ本体
と、球状部材で形成される給電部とから成る。給電チッ
プ本体は、導電性部材から成り、筒状中空部を有すると
共に溶接ワイヤ導入側の中心軸部分に溶接ワイヤ案内孔
を備え、且つそのワイヤ送出側にワイヤ送出口を備えて
いる。又給電部は、複数段の球状部材の層からなる。こ
の給電部の各段の層は、導電性部材から成る少なくとも
三個の同一直径の球状部材からなる。この各球状部材
を、保持体として機能する筒状中空部の内壁に当接した
状態で同一平面上で且つ同一円周上に配設固定する。そ
して、上記各球状部材のより囲まれた中央に溶接ワイヤ
挿通孔を形成する、という構成を採っている。
【0039】このため、この請求項5記載の発明では、
前述した請求項1記載の発明と同等に機能するほか、溶
接ワイヤ101の挿通や切り屑等の排出が更に容易とな
り、また、溶接ワイヤ101が蛇行してもその複数箇所
で球状部材に接触することから当該溶接ワイヤ101に
対する通電状態をより有効に維持することが可能とな
る。
【0040】請求項6記載の発明では、給電チップ本体
と、球状部材で形成される給電部とから成る。給電チッ
プ本体は、導電性部材から成り、筒状中空部を有すると
共に溶接ワイヤ導入側の中心軸部分に溶接ワイヤ案内孔
を備え、且つそのワイヤ送出側にワイヤ送出口を備えて
成る。また、給電部は、複数段の球状部材の層からな
り、この給電部の各段の層は、少なくとも三個の同一直
径の球状部材からなり、この各球状部材を、保持体とし
て機能する筒状中空部の内壁に当接した状態で同一平面
上で且つ同一円周上に配設固定して成る。
【0041】給電部の各段の層は、導電性部材から成る
球状部材の層と、これより小径のセラミック等の耐熱性
部材から成る球状部材の層とを、一層おきに配設する。
そして、前述した導電性部材から成る球状部材により囲
まれた中央に、溶接ワイヤ挿通孔を形成する、という構
成を採っている。
【0042】このため、この請求項6記載の発明では、
前述した請求項5記載の発明と同等に機能するほか、と
くに一層おきに配設される層は、耐熱性が良好であるこ
とから、全体的に耐久性向上を図ることができる。
【0043】請求項7記載の発明では、上記請求項5又
は6記載の発明において、ワイヤ送出口は、給電チップ
本体のワイヤ送出側に装備された環状蓋体に設ける、と
いう構成を採っている。
【0044】このため、この請求項7記載の発明では、
前述した請求項5又は6記載の発明と同等に機能するほ
か、メンテナンスおよび球状部材の取り換え組み立てが
容易となる。
【0045】請求項8記載の発明では、前述した請求項
5又は6記載の発明において、ワイヤ案内孔は、給電チ
ップ本体のワイヤ導入側に装備された環状蓋体に設け
る、という構成を採っている。
【0046】このため、この請求項8記載の発明でも、
上記請求項7記載の発明とほぼ同等の機能を備えたもの
を得ることができる。
【0047】請求項9記載の発明では、上記請求項5乃
至8にいずれかに記載の発明において、各段の層を構成
する円周回りに配置された球状部材は、隣接する層の球
状部材に対して給電チップ本体の中心軸方向に沿って同
一線上に同位相で配設する、という構成を採っている。
【0048】このため、この請求項9記載の発明では、
前述した5乃至8にいずれかに記載の発明と同等の機能
を備えたものを得ることができる。
【0049】請求項10記載の発明では、前述した請求
項5乃至8にいずれかに記載の発明において、各段の層
を構成する円周回りに配置された球状部材は、隣接する
他の層の球状部材の相互間に位置するように中心点から
みて所定角度ずらした状態で配設する、という構成を採
っている。
【0050】このため、この請求項10記載の発明で
は、前述した請求項5乃至8のいずれかに記載の発明と
同等の機能を有するほか、各段の球状部材が安定した状
態で給電チップ本体に収納されるため、溶接ワイヤの補
給作業をより一層円滑に行うことができ、各段相互間の
球状部材が相互に二箇所で当接するため、導通状態を更
に確実なものとすることができる。
【0051】請求項11記載の発明では、上記請求項1
0記載の発明において、給電チップ本体の中空部内に配
設した球状部材は、給電チップ本体の内面と前述した給
電チップ本体に装備された環状蓋体とによって固定す
る、という構成を採っている。
【0052】このため、この請求項11記載の発明で
は、前述した請求項10記載の発明と同等に機能するほ
か、球状部材の交換等を含めて当該装置全体のメンテナ
ンスが容易となる。
【0053】請求項12記載の発明では、上述した請求
項1乃至11のいずれかに記載の発明において、給電チ
ップ本体に装備され,同一面上で且つ円状に配置された
各球状部材を、相互に当接した状態で同一円周上に配置
する、という構成を採っている。
【0054】このため、この請求項12記載の発明で
は、上述した請求項1乃至11のいずれかに記載の発明
と同等に機能するほか、とくに各球状部材を所定位置に
固定するに際して給電チップ本体内の空間形状を例えば
円筒状にすると、何らの係止手段を有することなくその
内壁と各球状部材との相互作用によって各球状部材を一
義的に固定することが可能となる。
【0055】請求項13記載の発明では、上述した請求
項1乃至11の何れかに記載の発明において、給電チッ
プ本体に装備され同一面上で且つ円状に配置された各球
状部材は、相互に所定間隔を隔てて同一円周上に配置す
ると共に、その間隔を溶接ワイヤの直径よりも小さく設
定する、という構成を採っている。
【0056】このため、この請求項13記載の発明で
は、前述した請求項1乃至11のいずれかに記載の発明
と同等に機能するほか、中央部の空間が広げられること
から同一太さの溶接ワイヤについて比較すると隣接する
各球状部材を当接した場合に比べて相対的に各球状部材
の直径を小さく設定することが可能となり、このため、
給電チップ本体の外形を小さくすることができる。
【0057】請求項14記載の発明では、上記請求項1
3記載の発明において、給電チップ本体に装備された同
一円周上の各球状部材は、隣接する他の球状部材と相互
に横連結部材を介して所定間隔を維持し且つ一体的に連
結する、という構成を採っている。
【0058】このため、この請求項14記載の発明で
は、前述した請求項13記載の発明と同等に機能するほ
か、中央部の空間が広げられることから同一太さの溶接
ワイヤについて比較すると隣接する各球状部材を当接し
た場合に対して相対的に各球状部材の直径を小さく設定
することが可能となり、ひいては、給電チップ本体の外
径を小さくすることができる。更に、内部の各球状部材
が定位置を容易に保持されることから装置全体の組み立
てが容易となる。
【0059】請求項15記載の発明では、前述した請求
項9,10,12,13又は14記載の発明において、
給電チップ本体に装備された各段の球状部材は、円周上
の位置が同一の球状部材をそれぞれ縦連結部材により軸
方向に連結し一体化する、という構成を採っている。
【0060】このため、この請求項15記載の発明で
は、前述した請求項9,10,12,13又は14記載
の発明と同等に機能するほか、各段の球状部材全体を係
合したのちに当該球状部材全体を給電チップ本体内に収
納することができるので、組み立て及び保守が容易とな
る。
【0061】請求項16記載の発明では、上記請求項1
5記載の発明において、縦連結部材は、その両端部を給
電チップ本体の所定位置に固定する、という構成を採っ
ている。このため、この請求項16記載の発明では、前
述した請求項15記載の発明と同等の機能し組み立て及
び保守が容易となる。
【0062】請求項17記載の発明では、前述した請求
項1乃至16のいずれかに記載の発明において、各球状
部材に囲まれて形成されるワイヤ挿通孔の大きさを、当
該ワイヤ挿通孔に内接する円を想定した場合の当該内接
円の外径をD,溶接ワイヤの直径をD0 として、「D0
<D<D0 +0.2〔mm〕」の関係を維持し得る大き
さとする、という構成を採っている。
【0063】このため、この請求項17記載の発明で
は、前述した請求項1乃至16のいずれかに記載の発明
と同等に機能するほか、ワイヤ挿通孔の通路が従来のも
のより小さいことから、溶接作業時における溶接ワイヤ
の振れが少なくなり、且つ溶接ワイヤへの給電回路の接
触不良を有効に排除することができる。
【0064】請求項18記載の発明では、前述した請求
項1乃至17のいずれかに記載の発明において、導電性
部材を、銅又は銅合金とする、という構成を採ってい
る。このため、この請求項18記載の発明では、前述し
た請求項1乃至17のいずれかに記載の発明と同等に機
能するほか、電気抵抗が小さくなり従って発熱を有効に
抑制することができ、とくに球状部材相互間の導通状態
が更に円滑化され、過熱状態の発生が有効に抑制され
る。
【0065】請求項19記載の発明では、前述した請求
項2,3,4,6乃至18のいずれかに記載の発明にお
いて、給電部を構成する球状部材の内、導電性部材で形
成されていない他の球状部材をセラミック等の耐磨耗性
及び耐熱性を有する部材により形成する、という構成を
採っている。
【0066】このため、この請求項19記載の発明で
は、前述した請求項2,3,4,6乃至18のいずれか
に記載の発明と同等に機能するほか、溶接ワイヤとの接
触による球状部材の磨耗を抑制し且つ耐久性向上を図る
ことができる。
【0067】請求項20記載の発明では、前述した請求
項1乃至19のいずれかに記載の発明において、給電チ
ップ本体の溶接ワイヤ送出側に装備される環状蓋体を、
電気絶縁部材により形成する、という構成を採ってい
る。
【0068】このため、この請求項20記載の発明で
は、前述した請求項1乃至19のいずれかに記載の発明
と同等に機能するほか、溶接作業時におけるスパッタの
付着を抑制し給電チップ本体の耐久性向上をはかること
ができる。
【0069】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に従って説明する。
【0070】〔第1の実施形態〕図1に第1の実施形態
を示す。この図1において符号1は導電性部材から成る
柱状の給電チップ本体を示す。この給電チップ本体1
は、図1の上端部分に本体装置(図示せず)への取付け
用ネジ部1Aを備え、中心軸部分には溶接ワイヤ101
挿通用のワイヤ案内孔1Cを備えている。このワイヤ案
内孔1Cは、溶接ワイヤ101の直径D0 〔mm〕に対
して「D0 +0.2〔mm〕」以上の大きさに設定され
ている。
【0071】符号2は、給電チップ本体1の溶接ワイヤ
送出側に装備された同一直径の球状部材を示す。この球
状部材2は、本実施形態では同一円周上で且つ相互に当
接した状態で四個装備されている。この四個の球状部材
2は、給電チップ本体1の図1における下端部周囲に突
出された環状突設部1B内に収納され、該環状突設部1
Bにネジ止めされている。符号2aは球固定手段として
のネジ部材を示す。
【0072】上記球状部材2は、本実施形態では銅又は
銅合金によって形成されている。又、符号3は、四個の
球状部材2によって囲まれて成る溶接ワイヤ101用の
ワイヤ挿通孔を示す。この四個の球状部材2によって形
成されるワイヤ挿通孔3は、該ワイヤ挿通孔3に内接す
る円筒を想定した場合の当該内接円筒の外径をD(図1
参照),溶接ワイヤ101の直径をD0 とすると、「D
0 <D<D0 +0.2〔mm〕」の関係を維持した大き
さに設定されている。
【0073】このワイヤ挿通孔3は、四個の球状部材2
によって囲まれていることから四角形状の空間領域を形
成し、その四隅が楔状を成すようになっている。このた
め、溶接ワイヤ101はこの楔状の空間領域に入り込み
易い状態,即ち四本の球状部材2の何れか2個に当接し
易い状態となっている。その他の構成は、前述した図3
1に示す従来例と同一となっている。
【0074】次に、上記第1実施形態の作用を説明す
る。まず、ワイヤ案内孔1C,ワイヤ挿通孔3に溶接ワ
イヤ101を挿通し、その端部を四個の球状部材2によ
って囲まれて成るワイヤ挿通孔3の先端部からアーク溶
接に適した所定長さに突出させ、しかるのち所定の溶接
動作に移行する。
【0075】この場合、ミグ・マグ溶接法では、溶接ワ
イヤ101は、アーク溶接の進行とともに溶融消費され
るため、その所定量が順次繰り出される。同時に溶接ワ
イヤ101は多くの場合、その先端部がアークの発生位
置の変化に応じて僅かに偏心するが、この偏心動作によ
って溶接ワイヤ101はワイヤ挿通孔3の有する四箇所
の楔状空間領域の何れかに挟み込まれる。このため、溶
接ワイヤ101は少なくとも二個の球状部材2に確実に
当接することとなり、溶接ワイヤ101の偏心動作にあ
っても通電状態が確実に維持される。また、溶接ワイヤ
101は、ワイヤ挿通孔3に内接すると想定される円よ
りもその直径が前述したように幾分小さく設定されてい
ることから、その送り出しも円滑に行われる。
【0076】更に、継続使用の結果、溶接ワイヤに付着
して給電チップ内に切り粉やゴミが侵入しても,或いは
溶接ワイヤ101と球状部材2との接触等によって切り
粉や切り屑が発生しても、ワイヤ挿通孔3の断面形状が
四角形状であり四箇所のコーナ部から当該切り粉等が自
然落下する。このため、切り粉や切り屑によってワイヤ
挿通孔3が塞がることがなく、かかる点においても溶接
ワイヤ101の挿通動作を円滑に成し得るという利点を
備えている。
【0077】また、球状部材2を球固定手段としてのネ
ジ部材2aによって個別に給電チップ本体1に固定した
ので、溶接ワイヤ101に対する給電回路を当該球状部
材2を介しても確実に形成することができ、更に必要に
応じて個別に交換することがき、このため、かかる点に
おいて装備全体の保守性および耐久性の向上を図り得る
という利点がある。
【0078】ここで、四個の球状部材2を導電性材料で
形成したがその一部をセラミック等の耐磨耗性及び耐熱
性に優れた材料で形成してもよい。この場合、隣り合う
いずれか一方は導電性材料とする。又、図1に示す第1
の実施形態にあっては、四個の球状部材2を一段装備し
た場合を例示したが、球状部材2については個数を限定
するものではなく、図3(A)に示すように球状部材2
を三個装備しても、図3(B)に示すように球状部材2
を五個装備しても、又図3(C)に示すように球状部材
2を六個装備してもよい。又、一段で三個以上の球状部
材を複数段に重ねて装備してもよい。
【0079】ここで、、図1では、球状部材2を同一円
周上にて当接した場合を例示したが、図4に示すよう
に、球状部材2の相互間に所定の間隙Sを隔てて同一円
周上に等間隔に装備してもよい。この場合、間隙Sは溶
接ワイヤ101の直径よりも小さく設定されている。
【0080】又、図4(A)では球状部材2が四個の場
合を示し、図4(B)では球状部材2が三個の場合を示
す。このようにすると、球状部材2で囲まれるワイヤ挿
通孔3部分の空間断面積が大きくなり、同一の溶接ワイ
ヤ101を使用するに際しては相対的に給電チップ本体
1の直径を小さくすることができ、取り扱いが容易とな
るという利点がある。更に、球状部材2を図1に示す如
く給電チップ本体内に取り付ける場合は、給電チップ本
体の外径を小さくすることができる。
【0081】また、球状部材2の相互間には、図4
(C)に示すように球連結手段としての横連結部材4を
装備してもよい。このようにすると、組み立てが容易と
なり生産性向上を図り得る。また、球状部材2の材質に
ついては、導電性良好な部材であれば銅又は銅合金以外
のものであってもよい。
【0082】〔第2の実施形態〕図5に第2の実施形態
を示す。この図5に示す第2の実施形態は、球状部材3
の球固定手段として前述したネジ部2aに代えて環状蓋
体10を装備した点に特徴を備えている。
【0083】この環状蓋体10は、図5に示すように断
面U字状に形成され、給電チップ本体11の図5におけ
る下端部に螺合されている。ここで、給電チップ本体1
1の図5における下端部に形成された環状突設部11B
の内側の深さは、前述した球状部材3の直径寸法よりも
小さく設定されている。これによって四個の球状部材3
が一括して給電チップ本体11に着脱自在に装着され、
同時に当該各球状部材3と給電チップ本体11との当接
状態が堅牢となるように設定されている。
【0084】ここで、上記環状蓋体10については本実
施形態にあっては銅又は銅合金にて形成されているが、
セラミック等の電気絶縁性及び耐熱性を有する部材によ
って形成すると更によい。また、上記環状蓋体10に形
成されるワイヤー送出口10Aの直径は、球状部材で形
成される星型多角形のワイヤー挿通孔101の外径寸法
よりも大きく且つ球状部材3の固定支持には支障のない
程度に小さく形成されている。その他の構成は前述した
図1の第1の実施形態と同一となっている。
【0085】このようにしても前述した図1乃至図2の
第1実施形態の場合と同等の作用効果を有するほか、着
脱が容易となり保守性及び生産性を更に有効に改善し得
るという利点があり、また、環状蓋体をセラミック等の
電気絶縁性材料で形成することにより、スパッタの付着
を抑制する効果も備えるという利点がある。更に、送出
孔10Aは比較的大きく形成されるため、切り粉や切り
屑の排出には支障を生じない。
【0086】〔第3の実施形態〕図6乃至図9に第3の
実施形態を示す。この図6乃至図9において、符号21
は給電チップ本体を示す。この給電チップ本体21は、
導電性部材から成り、図6乃至図7に示すように上端部
に取付け用ネジ部21Aを備え、中心軸部分には溶接ワ
イヤ101を挿通するワイヤ案内孔21Cを備え、ま
た、中央部から下方部分には筒状部21Bを備えてい
る。
【0087】給電チップ本体21の筒状部21B内に
は、ワイヤ挿通孔23の一部を成す同一直径の球状部材
22が、前述した給電チップ本体21の内壁に当接した
状態で複数段(図7では9段)にわたって収納装備され
ている。この各段の球状部材22は、同一円周上に所定
間隔Sを隔てて三個等間隔に配設され、これによって当
該球状部材22部分における前述したワイヤ挿通孔23
が形成されている。
【0088】ここで、前述した各段の球状部材22は、
給電チップ本体21の中心軸に沿った方向に隣接する一
方の段の各球状部材22が他方の段の各球状部材22の
相互間に位置するように、各段ごとに所定角度回転した
状態(所定角度ずらした状態)で配設されている。これ
によって、上下方向における各球状部材22が相互に安
定した位置に設定される。図7の場合、一方の段と他方
の段とが、相互に60°回転した状態に配設されている
(図8参照)。符号24は、上記各球状部材22の配設
位置を固定するための縦連結部材としての位置固定バー
を示す。
【0089】また、上記各球状部材22は、本実施形態
にあっては各段の球状部材2の全体を銅もしくは銅合金
によって形成したが、一つ置きの段に位置する複数の球
状部材をセラミック等の耐熱性及び耐磨耗性に優れた材
料により形成してもよい。
【0090】符号25は、給電チップ本体21の図7に
おける下端部に螺合装備された環状蓋体を示す。また、
符号26は、筒状部21A内の上端部に配設された環状
押圧板を示す。この環状押圧板26は銅又は銅合金から
成り、りん青銅等からなるコイルばね27によって常時
図7の下方に押圧されている。このため、適度の押圧力
が前述した各球状部材22に印加され、給電チップ本体
21と各球状部材22とが適度に当接され、当該各球状
部材22を介して給電チップ本体21から溶接ワイヤ1
01に所定の溶接電流が通電されるようになっている。
【0091】前述した位置固定バー(縦連結部材)24
は、等間隔に六本装備され、それぞれ前述した各球状部
材22の中心部を貫通してこれらと同一円周上に配設さ
れている。そして、この位置固定バー24は、本実施形
態にあってはその図7における下端部が環状保持板24
Aに固定され、上端部が環状押圧板26の上下動を許容
しつつ当該環状押圧板26を貫通して前述したコイルば
ね27が装備された空間内に突設されている。
【0092】このため、上述した各球状部材22相互間
の当接状態を維持しつつ当該各球状部材22の相互間が
安定状態で固定されるようになっている。かかる状態
は、保守時に溶接ワイヤ101を抜き取った場合にも維
持される。そして、この場合、各球状部材22は位置固
定バー24と共に筒状部21B内に対して一体的に挿脱
され、これによって組み立てが容易となり保守作業も容
易となる。
【0093】このようにしても、前述した図1(第1実
施形態)と同等の作用効果を有するほか、球状部材22
相互間に溶接ワイヤ101の直径よりも小さい間隙Sを
設けたので、当該球状部材22に囲まれた中心軸部分の
空間が広げられることから、球状部材22の相互間を当
接した場合に比較して各球状部材22の直径を小さく設
定することが可能となり、更に、溶接ワイヤ101の交
換補給時に残存する溶接ワイヤ101を給電チップ本体
21から引き抜いても位置固定バー24および環状保持
板24Aが機能して内部の各球状部材22が定位置を保
持されることとなり、このため、溶接ワイヤ101の補
給作業の円滑化を図ることができる。また、各段の球状
部材22の全体を位置固定バー24及び環状保持板24
Aと環状押圧板26とで係合したのち給電チップ本体2
1内に収納することができるので、組み立ておよび保守
が容易となる。
【0094】更に、各段の球状部材22にあっては、上
述したように、各段の三個の各球状部材22が他方の段
の三個の各球状部材22の相互間に位置するように、各
段ごとに所定角度(60°)ずらした状態で安定装備し
たので、溶接ワイヤ101の補給作業をより一層円滑に
行うことができ、各段相互間の球状部材22が相互に二
箇所で当接するため、導通状態を更に確実なものとする
ことができる。
【0095】ここで、上記図7の実施形態にあっては、
各球状部材22の内、一段置きに球状部材22の材質を
変化させた場合を例示したが、各段共、銅又は銅合金の
ものとセラミック等の絶縁体で形成したものとを少なく
とも一つ置きに配置してもよい。このように、各球状部
材22の内の一部をセラミック等の絶縁体で形成する
と、耐磨耗性が良好となり全体的に耐久性向上を期待す
ることができる。
【0096】また、上記図7の実施形態にあっては、各
球状部材22の連結手段として位置固定バー(縦連結部
材)24および環状保持板24Aを装備した場合を例示
したが、これに代えて図4(C)に示すように、球状部
材2の相互間に横連結部材4を装備してもよい。このよ
うにすると、構成をより簡略化することができる。
【0097】〔第4の実施形態〕この第4の実施形態で
は、給電チップ本体31を単純な円筒状とし、その上下
端を環状蓋体で形成するようにしたものである。
【0098】図10にこれを示す。この図10に示す第
4の実施形態は、給電チップ本体31を円筒状部材31
Aで形成すると共にこの円筒状部材31Aの上端部を形
成する環状蓋体として取付けネジ部31Bを着脱自在に
装備し、これによって球状部材32で形成されるワイヤ
挿通孔33を長く設定した点に特徴を備えている。その
他の構成は前述した図7〜図9に示す第3の実施形態と
同一となっている。
【0099】このようにしても前述した第3の実施形態
(図7〜図9)と同等の作用効果を有するほか、給電チ
ップ本体31を円筒状部材31Aで形成し且つ内部に球
状部材32を収納したので、全体的に内部空間が多くな
り、このため給電チップ装置全体の軽量化を図ることが
でき、可搬性を良好なものとすることができる。
【0100】〔第5の実施形態〕図11乃至図14にこ
れを示す。この図11乃至図14に示す第5の実施形態
では、給電チップ本体41が、銅又は銅合金から成る円
筒状部材41Aと、この円筒状部材41Aの図12にお
ける上下端部に装備された環状蓋体41B,41Cとに
より構成されている。
【0101】更に、給電チップ本体41内には、同一面
上で且つ同一円周上に四個の球状部材42が、相互に当
接して複数段にわたって収納され装備されている。そし
て、各段の四個の球状部材42は、相互に他方の段の各
球状部材42に対して相互に45°ずれた状態で収納さ
れている(図13,図14参照)。符号43はワイヤ挿
通孔を示す。このワイヤ挿通孔43の大きさについては
前述した図1の場合と同一に設定されている。
【0102】ここで、円筒状部材41Aの図12におけ
る上端部に装備された環状蓋体41Bは、りん青銅等の
導電性良好な弾性材からなり、一部に内径側に通ずるス
リット溝41Baを備え、スプリングバック等の手法に
よって円筒状部材41Aに装着されるようになってい
る。また、円筒状部材41Aの図12における下端部に
装備された環状蓋体41Cは、円筒状部材41Aと同一
の素材によって形成されている。その他の構成は前述し
た図10に示す第4の実施形態と同一となっている。
【0103】このようにしても、前述した第4実施例
(図10)とほぼ同等の作用効果を有するほか、給電チ
ップ本体41に図12の上方に突出した取付けねじ部が
ないことから、装置全体をより一層軽量化することがで
きる。また、給電チップ本体41内で複数段に積層され
た状態の各球状部材42を各段に四個配設すると共に同
一円周上に相互に当接した状態で収納したので、前述し
た各実施形態の場合と異なり、各球状部材42を連結す
る連結手段が不要となり、その分、装置全体の簡略化お
よび軽量化を図ることができ、従って保守性および生産
性向上を図ることができる。
【0104】ここで、環状蓋体に形成された案内孔41
BA,送出孔41CAは、前述した第1乃至第2の実施
形態のワイヤー案内孔及びワイヤー送出孔と同様の大き
さに形成される。また、上記第5実施形態にあっては、
全ての球状部材42を銅又は銅合金等の導電性部材で形
成した場合を例示したが、一段置きにセラミック等の耐
熱性に優れた部材で且つ直径を導電性部材のものより小
さく形成したものを装備するようにしてもよい。
【0105】〔第6の実施形態〕図15にこれを示す。
この図15に示す第6の実施形態では、給電チップ本体
51は、銅又は銅合金から成るり且つ送出口51Abを
備えた環状の底板部51Aaを有する円筒状部材51A
と、この円筒状部材51Aの図15の上端部に着脱自在
に螺合装備された取付けねじ部51Bとを備えて構成さ
れている。符号51Cは、取付けねじ部51Bの中心軸
部分に設けられた溶接ワイヤ101用のワイヤ案内孔を
示す。
【0106】また、給電チップ本体51内には、前述し
た図12の場合と同様に各段とも4個の球状部材52が
複数段にわたって収納装備されている。この各段に装備
された4個の球状部材52は同一円周上に相互に当接し
て装備されている。
【0107】更に、給電チップ本体51の円筒状部材5
1A内の空間には、図15における各球状部材52の上
側に、該各球状部材52を下方に押圧するための押圧用
環状蓋体53と、この押圧用環状蓋体53を球状部材5
2側に押圧するコイルばね54と、該コイルばね54を
保持する環状スペーサ55とが装備されている。
【0108】この環状スペーサ55および押圧用環状蓋
体53は銅又は銅合金から成り、コイルばね54はりん
青銅等によって形成されている。また、各球状部材52
はそれぞれ銅又は銅合金によって形成されている。ワイ
ヤー案内孔51C及びワイヤー送出口51Abの直径
は、例えば前述した第3の実施形態(図6乃至図9参
照)の場合と同一となっている。その他の構成は前述し
た図11〜14に示す第5の実施形態と同一となってい
る。
【0109】このようにしても、前述した第5実施例
(図11〜図14図)とほぼ同等の作用効果を有するほ
か、取付けねじ部51Bを円筒状部材51Aに着脱自在
に螺合装備したので、保守性が良好なものとなってい
る。
【0110】一方、図15において、球状部材52が複
数段の各段とも球状部材52の相互間に間隙を設定した
場合であっても、2〜3段の場合又は相互間の間隙が僅
かの場合で各段に配設される球状部材が3〜5個程度の
場合は、所定の位置に球状部材を配置して組み立てた
後、球状部材の上下方向の移動がないようにその上下を
環状蓋体で固定することで、当該各球状部材は円筒状部
分の内壁に押圧固定される。この場合は、例えば図7に
示すような位置固定バー(縦連結部材)24および環状
保持板24Aが不要となる。
【0111】〔第7の実施形態〕図16乃至図18にこ
れを示す。この図16乃至図18に示す第7の実施形態
では、給電チップ本体56が、銅又は銅合金から成る円
筒状部材56Aと、この円筒状部材56Aの図16にお
ける上下端部に装備された環状蓋体56B,56Cとに
より構成されている。この場合、環状蓋体56Bは、ネ
ジ止めによって装備されるようになっている。
【0112】この給電チップ本体56内には、前述した
第5実施形態(図11〜図14)における球状部材42
の大きさ(直径)を小さくした球状部材57が三段にわ
たって層状に装備され、各段には四個の球状部材57が
等間隔に配設されている。符号58は中心軸部分にワイ
ヤ案内穴58aを備えた柱状スペーサを示す。また、各
段の球状部材57の相互間には、図17に示すように隙
間Sが設けられている。符号57aは球状部材57によ
って囲まれた空間に形成される溶接ワイヤ挿通孔を示
す。また、各段の球状部材57及び柱状スペーサ58
は、給電チップ本体56と同様に銅又は銅合金で形成さ
れている。
【0113】更に、図16の下端部に螺合装備された環
状蓋体56Cには、中心部に溶接ワイヤ送出口56Ca
が設けられ、そのその図16における上面側(球状部材
57を受ける面)に、所定幅wの十字状凹溝56Cb
(図18参照)が形成されている。この十字状凹溝56
Cbの幅wは、本実施形態では球状部材57の半径寸法
とほぼ同程度で、深さはw/3程度に設定されている。
その他の構成は、前述した第5の実施形態(図11〜図
14)の場合と同一となっている。
【0114】このようにしても、前述した第5の実施形
態(図11〜図14)とほぼ同等の作用効果を有するほ
か、とくに前述した球状部材57が柱状スペーサ58と
する共に給電チップ本体56内に収納されると、当該環
状蓋体56Cの十字状凹溝56Cbに前述した球状部材
57が入り込み、これによって球状部材57は等間隔に
配置され、同時に円周方向への移動も阻止される。
【0115】また、上述のように、球状部材57の直径
を前述した第5実施形態(図11〜図14)の場合に比
較して小さくすると共に球状部材57相互間に溶接ワイ
ヤ101の直径よりも小さい隙間Sを設けたので、給電
チップ本体56の中心軸上に形成される球状部材57で
囲まれた空間の内接円の直径Dを、前述した第5実施形
態(図11〜図14)の場合に比較して大きくすること
ができる。このことは、同一太さの溶接ワイヤ101を
使用する場合を考えると、相対的に給電チップ本体56
を細く形成することができ、かかる点において軽量化が
促進され、取り扱い易くなる。
【0116】そして、組み立てに際しては、円筒状部材
56Aの底部に環状蓋体56Cをねじ込み、その後、溶
接ワイヤ挿通孔57aに内接する外径を備えた円柱部材
(図示せず)を中心軸上において球状部材57を収納配
置した後に柱状スペーサ58を挿入し、これを環状蓋体
56Bで固定し、その後に前述した中心部の円柱を引く
抜けばよい。
【0117】ここで、上記第7実施形態にあっては、全
ての球状部材57を銅又は銅合金等の導電性部材で形成
した場合を例示したが、一段置きにセラミック等の耐熱
性及び耐磨耗性に優れた部材を装備するようにしてもよ
い。
【0118】〔第8の実施形態〕図19乃至図20にこ
れを示す。この図19乃至図20に示す第8の実施形態
では、給電チップ本体61は、銅又は銅合金から成る円
筒状部材61Aと、この円筒状部材61Aの図19にお
ける上下端部に着脱自在に嵌合装備された一方と他方の
環状蓋体61B,61Cとにより構成されている。
【0119】この給電チップ本体61内には、4個の球
状部材62が複数段にわたって収納装備されている。こ
の各段に装備された4個の球状部材62は同一円周上に
相互に当接して装備されている。符号63は各球状部材
62によって囲まれてなるワイヤ挿通孔を示す。この場
合、各段の4個の各球状部材62は、下方の段の各球状
部材62に順次積み重なるようにして中心軸に沿って四
列平行に配設され、同時に各球状部材62を縦連結手段
としての位置固定バー64でこれらを貫通して連結した
点に特徴を備えている。
【0120】更に、上記位置固定バー64は、図19に
下端部側がボルトヘッドを形成し、上端部がねじ部を成
している。そして、前述した一方の環状蓋体61Bに位
置固定バー64のボルトヘッドが係止され、他方の環状
蓋体61Cに位置固定バー64のねじ部が二重ねじ構造
で固定装備され、これによって装置全体が位置固定バー
64によって一体化された状態となっている。その他の
構成は前述した図11〜図14に示す第5の実施形態と
同一となっている。
【0121】このようにしても、前述した第5実施例
(図11〜図14)とほぼ同等の作用効果を有するほ
か、全体が位置固定バー64によって一体化された状態
となっているため、構造が更に単純化されることから保
守性および生産性が更に良好なものとなっている。
【0122】〔第9の実施形態〕図21にこれを示す。
この図21に示す第9の実施形態では、各球状部材62
と円筒状部材61Aとの間に形成される四箇所の空間6
1Kの内の一箇所に、当該空間内に内接すると想定され
る直径を備えた円柱部材70を収納装備する。そして、
各各球状部材62を円筒状部材61Aの内壁に密着した
状態に設定し、前述した四本の位置固定バー64を省略
する。その他の構成は前述した図19乃至図20(第8
の実施形態)と同一となっている。
【0123】このようにしても、前述した図19乃至図
20(第8の実施形態)のものと同等の作用効果を有す
るほか、図19乃至図20における四本の位置固定バー
64が不要となることから、各球状部材62の孔加工お
よび位置固定バー64に対する串刺し状の組み立て作業
等が不要となり生産性を大幅に向上させることができる
という利点がある。
【0124】
【実施例】ここで、前述した図1に示す実施形態におい
て、複数個の球状部材によって形成されワイヤ挿通孔に
内接する円筒を想定し、その想定される円筒の直径Dと
球状部材の直径D1 との関係を検討してみた。図1乃至
図6に示す各実施形態に対応した検討結果を図22乃至
図25に示す。
【0125】この場合、図22では球状部材が三個の場
合を示し、図23では球状部材が四個の場合を示し、図
24では球状部材が五個の場合を示し、図25では球状
部材が六本の場合を示す。又、これらをまとめた検討結
果を図26に示す。
【0126】これによると、図1乃至図6に示す各実施
形態においては、球状部材の数が多いほど当該球状部材
の直径を小さくすることができ、溶接用給電チップ装置
の全体的な直径も小さくすることができるという結果を
得ることができた。
【0127】一方、この検討結果は、球状部材の相互間
に適当な間隔を設けることによって逆に当該球状部材の
直径を小さくすることができ、装置全体的の直径も小さ
くすることも可能となることが判明した。
【0128】
【発明の効果】以上のように、本発明によると、溶接用
ワイヤ用のワイヤ挿通孔を少なくとも三個の球状部材に
よって形成するようにしたので、溶接ワイヤに対する球
状部材の直径の大きさを適当に選択設定することによっ
て当該溶接ワイヤとこれに当接するワイヤ挿通孔の内壁
面との間隔を特に孔加工をすることなく小さく設定し得
るので、溶接ワイヤの振れを有効に抑制することがで
き、従って溶接ワイヤによる溶接箇所の狙い位置の位置
ずれを小さくすることができ、同時に溶接ワイヤの連続
した挿通移動を円滑に成し得ると共に、複数箇所での接
触が可能となることから安定した導通(給電)状態を得
ることができる。
【0129】また、ワイヤ挿通孔の空間断面形状が、例
えば四個の球状部材を使用した場合には星型四角形状と
いう異形(円形でない)と成り、このため、円形加工孔
の場合に比較して切り粉や切り屑等の異物を逃がすため
の連続した空間が形成され、従って切り粉や切り屑等の
異物による挿通孔の目つまり及びこれに伴う溶接ワイヤ
の座屈等を大幅に少なくすることができ、かかる点にお
いて溶接ワイヤの挿通動作の円滑化を図ることができ、
従って、溶接ワイヤを連続して安定した状態で溶接箇所
に送りだすことができ、このため、溶接箇所におけるア
ークに不安定状態の発生が少なくなり、良好なアーク溶
接を継続することができる。
【0130】更に、溶接ワイヤのワイヤ挿通孔を異形の
挿通孔としたにもかかわらず,これを複数の球状部材で
容易に形成し得るので、生産上の困難性を有効に改善す
ることができる。
【0131】そして、特に、連続使用によってワイヤ挿
通孔が一部磨耗した場合には、当該磨耗にかかる箇所の
球状部材(多くはアーク溶接側に位置する球状部材)の
みを交換すればよいこととなり、かかる点において装置
全体の耐久性を著しく強化することができ、複数個の球
状部材を収納したので全体的に内部空間が多くなり、そ
の分、給電チップ本体部分の軽量化を達成することがで
き、可搬性がよいという従来にない優れた溶接用給電チ
ップ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す一部省略した縦
断面図である。
【図2】図1の底面図である。
【図3】図1内に開示した球状部材と溶接ワイヤとの関
係を示す他の例で、図3(A)は球状部材が三個の場合
を示し、図3(B)は球状部材が五個の場合を示し、図
3(C)は球状部材が六個の場合を示す。
【図4】図1内に開示した球状部材相互間に隙間Sを設
定した場合の例を示す図で、図4(A)は球状部材が四
個の場合を示し、図4(B)は球状部材が三個の場合を
示し、図4(C)は球状部材が3個の場合の他の例を示
す。
【図5】本発明の第2の実施形態を示す一部省略した縦
断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示す正面図で、図6
(A)は正面図、図6(B)は底面図である。
【図7】図6(A)のAーA線に沿った断面図である。
【図8】図7のAーA線に沿った断面図である。
【図9】図7のBーB線に沿った断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態を示す一部省略した
縦断面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態を示す平面図であ
る。
【図12】図11のAーA線に沿った断面図である。
【図13】図12のAーA線に沿った断面図である。
【図14】図12のBーB線に沿った断面図である。
【図15】本発明の第6の実施形態を示す一部省略した
縦断面図である。
【図16】本発明の第7の実施形態を示す一部省略した
縦断面図である。
【図17】図16のAーA線に沿った拡大断面図であ
る。
【図18】図11内に開示した下方の環状蓋体の例を示
す拡大斜視図である。
【図19】本発明の第8の実施形態を示す一部省略した
縦断面図である。
【図20】図19のAーA線に沿った断面図である。
【図21】本発明の第9の実施形態を示す一部省略した
横断面図である。
【図22】図1に開示した第1の実施形態の具体的な実
施例を示す図で、図22(A)は球状部材が三個の場合
の当該球状部材によって形成される挿通孔の大きさ(内
接円)と球状部材との関係を示す説明図、図22(B)
は図22(A)の具体的寸法の例を示す図表である。
【図23】図1に開示した第1の実施形態の具体的な実
施例を示す図で、図23(A)は球状部材が四個の場合
の当該球状部材によって形成される挿通孔の大きさ(内
接円)と球状部材との関係を示す説明図、図23(B)
は図23(A)の具体的寸法の例を示す図表である。
【図24】図1に開示した第1の実施形態の具体的な実
施例を示す図で、図24(A)は球状部材が五個の場合
の当該球状部材によって形成される挿通孔の大きさ(内
接円)と球状部材との関係を示す説明図、図24(B)
は図24(A)の具体的寸法の例を示す図表である。
【図25】図1に開示した第1の実施形態の具体的な実
施例を示す図で、図25(A)は球状部材が六個の場合
の当該球状部材によって形成される挿通孔の大きさ(内
接円)と球状部材との関係を示す説明図、図25(B)
は図25(A)の具体的寸法の例を示す図表である。
【図26】図22乃至図25に開示した各実施例におけ
る球状部材の大きさD1 と挿通孔に内接すると想定され
る円筒領域の直径Dとの関係を示す示す線図である。
【図27】ミグ・マグ溶接法を示す説明図である
【図28】図27内に開示された給電チップの従来例1
を示す図で、図28(A)は縦断面図、図28(B)は
図28(A)の底面図である。
【図29】図28における従来例1の使用状態を示す一
部省略した説明図である。
【図30】図27内に開示された給電チップの従来例2
を示す縦断面図である。
【図31】図27内に開示された給電チップの従来例3
を示す図で、図31(A)は縦断面図、図31(B)は
図31(A)のAーA線に沿った断面図である。
【図32】図31に示す従来例3の変形例を示す図で、
図32(A)はワイヤ挿通孔が四角形の場合を示し、図
32(B)はワイヤ挿通孔が五角形の場合を示し、図3
2(C)はワイヤ挿通孔が円形と十字状スリットとの組
み合わせからなる形状の場合を示し、図32(D)はワ
イヤ挿通孔が楕円形の場合を示す説明図である。
【図33】図27内に開示された給電チップの従来例4
を示す縦断面図である。
【図34】図33のAーA線に沿った断面図である。
【図35】図33のBーB線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41,51,56,61 給電
チップ本体 2,22,32,42,52,57,62 球状部材 2a 球固定手段としてのネジ部材 3,23,33,43,57a,63 ワイヤ挿通孔 4 球固定手段としての横連結部材 10,25,41B,41C,61B,61C,56
B,56C 環状蓋体 24,64 球固定手段としての位置固定バー(縦連結
部材) 24A 連結部材保持手段としての環状保持板 101 溶接ワイヤ

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給電チップ本体と給電部とにより成り、 前記給電チップ本体は、中心軸部分に溶接ワイヤ案内孔
    を備えた導電性部材からなり、 前記給電部は、少なくとも三個の導電性部材からなる球
    状部材を備え、且つ当該球状部材を、前記給電チップ本
    体の溶接ワイヤ送出側にて同一平面上で同一円周上に配
    設固定し、 この各球状部材によって囲まれた中央に溶接ワイヤ挿通
    孔を形成してなる溶接用給電チップ装置。
  2. 【請求項2】 給電チップ本体と給電部とにより成り、 前記給電チップ本体は、中心軸部分に溶接ワイヤ案内孔
    を備えた導電性部材からなり、 前記給電部は、少なくとも三個の球状部材を備え、且つ
    該球状部材を、前記給電チップ本体の溶接ワイヤ送出側
    にて同一平面上で同一円周上に配設固定し、 この各球状部材によって囲まれた中央に溶接ワイヤ挿通
    孔を形成してなり、 隣接する球状部材の少なくとも一方を導電性部材で形成
    してなる溶接用給電チップ装置。
  3. 【請求項3】 前記球状部材は、前記給電チップ本体に
    ネジで固定されてなる請求項1又は2記載の溶接用給電
    チップ装置。
  4. 【請求項4】 前記球状部材は、前記給電チップ本体の
    ワイヤ送出側に設けた環状突設部により形成される凹部
    に収納すると共に、ワイヤ送出口を有する環状蓋体で固
    定して成る請求項1又は2記載の溶接用給電チップ装
    置。
  5. 【請求項5】 給電チップ本体と球状部材で形成される
    給電部とからなり、 前記給電チップ本体は、導電性部材から成り、筒状中空
    部を有すると共に溶接ワイヤ導入側の中心軸部分に溶接
    ワイヤ案内孔を備え、且つそのワイヤ送出側にワイヤ送
    出口を備えて成り、 前記給電部は、複数段の球状部材の層からなり、 この給電部の各段の層は、導電性部材から成る少なくと
    も三個の同一直径の球状部材からなり、この各球状部材
    を、保持体として機能する筒状中空部の内壁に当接した
    状態で同一平面上で且つ同一円周上に配設固定して成
    り、 上記各球状部材により囲まれた中央に溶接ワイヤ挿通孔
    を形成して成る溶接用給電チップ装置。
  6. 【請求項6】 給電チップ本体と球状部材で形成される
    給電部とからなり、 前記給電チップ本体は、導電性部材から成り、筒状中空
    部を有すると共に溶接ワイヤ導入側の中心軸部分に溶接
    ワイヤ案内孔を備え、且つそのワイヤ送出側にワイヤ送
    出口を備えて成り、 前記給電部は、複数段の球状部材の層からなり、 この給電部の各段の層は、少なくとも三個の同一直径の
    球状部材からなり、この各球状部材を、保持体として機
    能する筒状中空部の内壁に当接した状態で同一平面上で
    且つ同一円周上に配設固定して成り、 前記各段の層は、導電性部材から成る球状部材の層と、
    これより小径のセラミック等の耐熱性部材から成る球状
    部材の層とを、一層おきに配設して成り、 前記導電性部材から成る球状部材により囲まれた中央に
    溶接ワイヤ挿通孔を形成して成る溶接用給電チップ装
    置。
  7. 【請求項7】 前記ワイヤ送出口は、前記給電チップ本
    体のワイヤ送出側に装備された環状蓋体に設けられて成
    る請求項5又は6記載の溶接用給電チップ装置。
  8. 【請求項8】 前記ワイヤ案内孔は、前記給電チップ本
    体のワイヤ導入側に装備された環状蓋体に設けられて成
    る請求項5又は6記載の溶接用給電チップ装置。
  9. 【請求項9】 前記各段の層を構成する円周回りに配置
    された球状部材は、隣接する層の球状部材に対して前記
    給電チップ本体の中心軸方向に沿って同一線上に同位相
    で配設して成る請求項5乃至8のいずれかに記載の溶接
    用給電チップ装置。
  10. 【請求項10】 前記各段の層を構成する円周回りに配
    置された球状部材は、隣接する他の層の球状部材の相互
    間に位置するように中心点からみて所定角度ずらした状
    態で配設して成る請求項5乃至8のいずれかに記載の溶
    接用給電チップ装置。
  11. 【請求項11】 前記給電チップ本体の中空部内に配設
    した球状部材は、前記給電チップ本体の内面と前記給電
    チップ本体に装備された環状蓋体とによって固定されて
    成る請求項10記載の溶接用給電チップ装置。
  12. 【請求項12】 前記給電チップ本体に装備され同一面
    上で且つ円状に配置された前記各球状部材は、相互に当
    接した状態で同一円周上に配置して成る請求項1乃至1
    1のいずれかに記載の溶接用給電チップ装置。
  13. 【請求項13】 前記給電チップ本体に装備され同一面
    上で且つ円状に配置された前記各球状部材は、相互に所
    定間隔を隔てて同一円周上に配置すると共に、その間隔
    を前記溶接ワイヤの直径よりも小さく設定して成る請求
    項1乃至11のいずれかに記載の溶接用給電チップ装
    置。
  14. 【請求項14】 前記給電チップ本体に装備された同一
    円周上の各球状部材は、隣接する他の球状部材と相互に
    横連結部材を介して所定間隔が維持され一体的に連結さ
    れて成る請求項13記載の溶接用給電チップ装置。
  15. 【請求項15】 前記給電チップ本体に装備された前記
    各段の球状部材は、円周上の位置が同一の球状部材をそ
    れぞれ縦連結部材により軸方向に連結し一体化して成る
    請求項9,10,12,13又は14に記載の溶接用給
    電チップ装置。
  16. 【請求項16】 前記縦連結部材は、その両端部が前記
    給電チップ本体の所定位置に固定されて成る請求項15
    記載の溶接用給電チップ装置。
  17. 【請求項17】 前記各球状部材に囲まれて形成される
    ワイヤ挿通孔の大きさを、当該ワイヤ挿通孔に内接する
    円を想定した場合の当該内接円の外径をD,溶接ワイヤ
    の直径をD0 として、「D0 <D<D0 +0.2〔m
    m〕」の関係を維持し得る大きさとした請求項1乃至1
    6のいずれかに記載の溶接用給電チップ装置。
  18. 【請求項18】 前記導電性部材を、銅又は銅合金とし
    た請求項1乃至17のいずれかに記載の溶接用給電チッ
    プ装置。
  19. 【請求項19】 前記給電部を構成する球状部材の内、
    導電性部材で形成されていない他の球状部材をセラミッ
    ク等の耐熱性及び耐磨耗性部材により形成したことを特
    徴とする請求項2,3,4,6,7,8,9,10,1
    1,12,13,14,15,16,17又は18項記
    載の溶接用給電チップ装置。
  20. 【請求項20】 前記給電チップ本体の溶接ワイヤ送出
    側に装備される環状蓋体を、電気絶縁部材により形成し
    たことを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載
    の溶接用給電チップ装置。
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JP2007519527A (ja) * 2004-01-27 2007-07-19 フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 溶接ワイヤ移送装置および方法
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