JPH1056177A - Mott遷移分子電界効果トランジスタ - Google Patents

Mott遷移分子電界効果トランジスタ

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JPH1056177A
JPH1056177A JP9126803A JP12680397A JPH1056177A JP H1056177 A JPH1056177 A JP H1056177A JP 9126803 A JP9126803 A JP 9126803A JP 12680397 A JP12680397 A JP 12680397A JP H1056177 A JPH1056177 A JP H1056177A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 双安定性分子の単層または多層フィルムにお
けるMott金属−絶縁体遷移に基づく新規な電界効果
トランジスタ・スイッチを提供すること。 【解決手段】 電界効果トランジスタはソース電極14
と、ドレイン電極16と、ゲート電極20とを備えてお
り、ソース電極とドレイン電極の間に導電チャネル10
を有する。導通チャネル10は少なくとも1層の分子の
2次元のアレイからなっており、導電チャネル10は絶
縁スペーサ層18によってゲート電極20から分離され
ており、前記分子がMott金属−絶縁遷移を受けるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は広くいえば半導体ス
イッチに関し、特に電界効果トランジスタに関し、具体
的にいえば、カスタム・デザインの双安定性分子の単層
または多層フィルムにおけるMott金属−絶縁体遷移
(Mott metal-insulator transition)に基づく新規な
ナノスケール・スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】既存のコンピュータ回路(論理およびダ
イナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)
の両方)は電界効果トランジスタ(FET)スイッチに
よって支配されている。市販されているチップあたりの
トランジスタの数は、指数的に増加する時間の関数であ
ることが判明している(ムーアの法則)。結果として、
DRAMチップあたりの記憶ビット数もムーアの法則に
従って指数的に増加する。ムーアの法則にはいくつかの
公式がある。たとえば、トランジスタの密度は5年ごと
に10倍となり、計算時間は8年ごとに6分の1にな
り、計算コストは8年ごとに10分の1になる。
【0003】ムーアの法則の背後にある主な要因は時間
によるデザイン・ルールの指数的な減少である。デザイ
ン・ルールの減少は結局、Si技術に固有の物理的限界
と衝突することになると思われる。技術的には、シリコ
ンの物性ではなく、もっとも重要な物理的特性の2つが
きわめて小さい寸法でその重要性のほとんどを失う。す
なわち、長いキャリア平均自由行程およびドープ能力で
ある。というのは、平均自由行程はデバイスの寸法と同
等であるか、またはこれよりも大きくなり、ドーパント
間間隔も同様であるからである。これまで、40nm程
度の最短チャネル長が研究室で実証されており、達成可
能な最短チャネル長に近いものであると考えられてい
る。したがって、デザイン・ルールが今後10−20年
で生じると考えられている40nmの限界に達した場合
に、新しい技術が必要とされる。
【0004】シリコンのこれらの利点が消滅すると同時
に、欠点、すなわち2次元アレイの回路の限界により高
いコストが強いられることになるが、これはメモリ容量
におけるムーアの法則がデザイン・ルールの、それ故、
投資コストのムーアの法則を意味するからである。Si
ウェハ技術におけるように2つの次元に閉じ込めるので
はなく、多層で実施可能な技術があれば、チップあたり
のトランジスタの数におけるムーアの法則の効果をデザ
イン・ルールから分離することによって、投資コストの
増大を回避することができよう。
【0005】これらを考慮すると、平均自由行程が短
く、キャリア濃度が高いシステム、すなわち金属を選ぶ
方向に物理学が進むように思われる。この場合、金属に
おいてスイッチングを行うという問題が重要課題とな
る。本明細書で開示する本発明はキャリア濃度が高い3
端子デバイスであり、「ON」状態である場合に金属で
あるデバイスを構成する問題に対する解決策を与える。
デバイスのスイッチングは相関電子システムにおけるM
ott金属−絶縁体遷移の概念によって実現される。同
時に、現在相当程度まで標準的なものとなっている自動
アセンブリの考えを拡張することによって、製造した構
造においてある程度の3次元性が実現できると考えられ
る。デバイスは既存のFETに基づく回路と両立する予
測された電気特性、すなわちゼロ・スタティック・ゲー
ト電流、高い「OFF」インピーダンス、および低い
「ON」インピーダンスを有するようである。
【0006】これらの特徴、ならびに、最も重要なこと
には、きわめて小さい寸法でのその機能的実現可能性に
より、本発明で提案するデバイスは、コンピュータ業界
が今後10−20年で遭遇することになると予期される
基本的な問題に対して考えられる解決策の1つになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、Mo
tt金属−絶縁体遷移に基づく新規な電界効果トランジ
スタを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電界効果トラン
ジスタは、ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電極
とを備え、ソース電極とドレイン電極の間に導電チャネ
ルを有する。導電チャネルは、少なくとも1層の分子の
2次元アレイから成っており、前記導電チャネルは絶縁
スペーサ層によって前記ゲート電極から分離され、前記
分子はMott金属−絶縁体遷移を受けることができる
ものである。
【0009】Mott遷移を使用して、電界効果トラン
ジスタの機能を備えた実用的な3端子デバイスの形態で
金属−絶縁体遷移を達成することができる。このデバイ
スは導電チャネルとして、電荷キャリア(正孔または電
子)が強く相関されている分子のアレイを使用する。M
ott遷移は金属−絶縁体のスイッチングを決定するも
のであり、外部ゲート電極によって制御されることが示
された。それ以外の場合、デバイスは従来のシリコンに
基づくFETと同等な電気特性を有するようである。
「ON」状態は10e2/hの典型的な相互コンダクタ
ンスを有している。
【0010】デバイスの性能は、「ON」コンダクタン
スおよび「OFF」状態のブレークダウン電圧の点で、
回路に関して満足のいくものである。このデバイスは従
来のFETよりも小さい寸法、すなわち約1桁小さい線
形寸法で形成できる。このデバイスを自動アセンブリ技
術を使用して製造し、多層構造の主要な構造を可能とす
ることができる。それ故、チップあたり多数のトランジ
スタをきわめて小さいデザイン・ルールを必要とするこ
となく、組み立てることができる。これはデバイスの電
圧および電力要件が低いことによって容易となる。それ
故、Mott遷移電界効果トランジスタ(MTFET)
は、既存のシリコン技術を極めて高いトランジスタ密度
まで上げたときに生じる問題の解決策を提供すると考え
られる。
【0011】
【発明の実施の形態】導体のあるタイプの中には、伝導
帯が十分に画定された原子または分子軌道関数によって
形成されたものがある。銅酸塩超伝導体において、この
役割を果たすのはCuのサイトにおけるdx 2 -y 2対称軌
道である。他の例Kn60において、C60の最低位未占
有分子軌道(LUMO−Lowest Unoccupied Molecular
Orbitals)の3重縮退セット(threefold degenerate s
et)が類似した役割を果たす。このような材料を説明す
るもっとも単純なモデルは、参照することによって本明
細書の一部となるJ. HubbardがProc. Roy. Sci. (Londo
n) A276, 238 (1963), A277, 237 (1963), A281, 401
(1963)に記載しているハバード・モデルである。
【0012】銅酸塩CuO2平面などの本質的に規則的
な系においては、系に少なくとも2つのグローバル状
態、すなわち絶縁体と金属があるということが判明して
いる。これらの状態は、参照することによって本明細書
の一部となるMetal-InsulatorTransitions, Taylor & F
rancis, London, 1990にN. Mottが記載しているように
Mott遷移によって分離される。
【0013】Cuサイトあたり正確に1個の電子がある
場合(充填係数n=1)、電子がCuサイトに局在化さ
れ、絶縁性の挙動を与える。この局在化は主として、同
じ軌道内の2つの電子の間のサイト内クーロン反発力U
によって引き起こされる。すべてのサイトに1個の電子
がある構成から開始すると、1つの電子が隣接するサイ
トに転移される単一ホッピング・プロセスはエネルギー
・ペナルティUを含む。したがって、電子は深さUの電
位井戸に効果的に閉じ込められ、これらを局在化する。
このような絶縁体をMott絶縁体という。これは実際
に半充填伝導帯を有するバンド構造の意味での絶縁体で
はなく、相互作用Uにより、また充填係数が1という特
殊性により得られる絶縁体である。
【0014】局在化がUよりも高い温度において破壊す
ることが明らかであろう。さらに、Uは一般にホッピン
グ積分tよりも大きい必要があり、これは単一の電子が
もっとも近い隣接サイトへ転移するためのマトリックス
要素である(不等性が次にもっとも近いサイトへのマト
リックス要素を含んでいる、2Dの単純な方形格子を例
外とする)。
【0015】占有が半充填n=1±δ(ただし、δは銅
酸塩化合物からのデータに基づくと、約0.1−0.1
5よりも大きい)から大幅にずれた場合は、大きいUに
おいても、非局在化された金属状態が生じる。
【0016】絶縁状態において、Uが大きいと、U程度
のギャップがエネルギー・スペクトルに存在する(「上
側」および「下側」のハバード帯(Hubbard bands)間
のギャップ)。導通状態において、金属の場合と同様、
ギャップはない。導通状態が真の金属であるから、2D
システムにおいて、コンダクタンスはe2/hで与えら
れる「最小金属コンダクタンス」よりも低くなることが
できない。この値は約20kΩという2次元シートの抵
抗に対応している。
【0017】ソース、ドレインおよびゲートという3つ
の端子を有しており、ソースとドレインを接続するチャ
ネルを含んでいて、チャネルを構成する材料がゲート端
子の電圧に応じて、Mott絶縁状態または金属導電状
態のいずれかになるような構造を製造することができ
る。したがって、ゲートはソース端子とドレイン端子の
間に導電路がないか、あるいは導電路があるかを制御
し、そして、このデバイスをゲート制御スイッチとして
機能させる。
【0018】第1の実施の形態、すなわちモノクロモフ
ォル(monochromophore)単層構成−エンハンスメント
・モードにおいて、チャネルはyz平面におかれた分子
単層からつくられる。単層を構成する分子Mはレドック
ス・センタ(クロモフォル(chromophore)またはコフ
ァクタ(cofactor)とも呼ばれる)を含んでおり、これ
は不安定な電子(正孔)を含んでいる。具体的にいう
と、レドックス・センタは電子プロセス(すなわち、M
ott絶縁体−金属遷移および電流)に関与する少なく
とも1つの活性構成要素を有していることを特徴として
いる。
【0019】3端子デバイスの単一ゲート形式の単純化
した図を、主要要素を示している図1に示す。まず、分
子の2次元アレイ12からなっている導電チャネル10
は、パラメータUに対して有意な値を有しているという
点で、強く相関した電子系である必要がある。チャネル
はその左側および右側のそれぞれでソース・リード線1
4およびドレイン・リード線16と接触している。絶縁
スペーサ18によって分子層ないしチャネル10から分
離されている金属電極は、ゲート電極20を形成してい
る。スペーサ18に対する適切な材料としては、SrT
iO3などの酸化物がある。基本的なデバイスのパラメ
ータはチャネルの長さLおよび幅W、スペーサの厚さd
ox、分子半径Rmol、面内分子間隔Amol、スペーサ層の
誘電率εox、フィラーおよび層自体の誘電率(両方とも
εとする)、ならびにソース/ドレイン電極のフェルミ
・レベルに関する分子のイオン化エネルギーεIであ
る。チャネル10に垂直な距離をx方向(チャネルから
ゲートへの)と定義し、チャネル10に平行な距離をy
方向(ソースからドレインへの)と定義し、z方向はチ
ャネルの方向(すなわち、図1の紙面へ向かう方向)で
ある。
【0020】デバイスは図2に示すようにデュアル・ゲ
ート構成を有していてもよく、この場合、誘電率εの同
じ材料がチャネル両側の絶縁体に使用されているものと
想定する。表記dをチャネル層の中心から測定した絶縁
体の厚さに使用する。
【0021】絶縁体の材料は無機物でも、有機物でもよ
いが、単一ゲート形態の方がスペーサ層の酸化物技術
(「フィールド酸化物」)と融和性が高い。必要ではな
いが、デュアル・ゲート構成の絶縁層18および18'
は有機物、たとえばポリイミドを含む異なる材料のもの
であってもよい。
【0022】アレイ(チャネルおよび分子層という語も
同等に使用される)は、可動電荷(キャリア)の利用可
能度に応じて、導電状態または絶縁状態になることがで
きる。ゲート電極に電位を印加すると、逆極性のキャリ
アがチャネルに引き寄せられるようになる。チャネル内
のキャリア密度はゲート電位と静電キャリア間反発力の
間の釣り合いによって決定される。キャリア濃度とゲー
ト電圧VGの間の関係を以下で導く。
【0023】エンハンスメント・モードのデバイスにお
いて、ゲート電圧がない場合の分子レベルはソースおよ
びドレイン電極に対して安定した平衡状態にあり、分子
あたりの電子の数が奇数個の整数であるというものであ
る。この電荷状態において、層内の電子はMott遷移
によって局在化される(ただし、ホッピング整数tと温
度Tの条件が満たされることを条件とする)。デバイス
はソース電極とドレイン電極の間の導通に関しては「O
FF」状態である。
【0024】電位を単一(またはデュアル)ゲートに印
加した場合、これは層上に逆の符号の電荷を誘起する。
これが適切な符号のものであり、閾値(通常は、分子あ
たり0.1−0.15個の電子または正孔である)を超
えている場合、分子層は導通状態にスイッチする。デバ
イスはこれで「ON」状態となる。
【0025】エンハンスメント・モードのデバイスにお
ける「ON」状態の特徴は、チャネルの縁部に短い(1
個ないし数個の分子の幅に相当する)非導通領域が存在
することである。キャリアはこれらの縁部領域をトンネ
ル通過しなければならない。
【0026】デバイスはキャリアが電子タイプである
か、正孔タイプであるかに応じて正電圧または負電圧の
いずれかによって、「ON」状態にスイッチする2つの
形態で作成することができる。これらの形態はn型およ
びp型チャネルのMOSFETと類似したものであり、
同様な態様でCMOS回路構成で使用することができ
る。
【0027】デバイスの第2の実施の形態、すなわちモ
ノクロモフォル単層構成−デプリーション・モードはデ
プリーション・モード半導体FETに類似したものであ
る。デバイスにおける分子の特性は、ゲート電位が存在
しない場合に、奇数個の整数の電子を有する電子的構成
が安定していないが、分子層がイオン化して、正孔(p
型)または電子(n型)0.1−0.15個程度のキャ
リア濃度をもたらすというものである。このデバイスは
この場合に、「ON」状態である。
【0028】適切な符号(p型では正、n型では負)お
よび大きさのゲート電位を印加すると、固有のキャリア
濃度が除かれ、層はMott絶縁「OFF」状態に戻
り、分子あたりの電子の数は奇数個の整数となる。それ
故、このデバイスは本質的に「ON」であり、デプリー
ション・モードのFETと同様、これを「OFF」状態
とするためにはゲート電位を必要とする。デプリーショ
ン・モードのデバイスはCMOSと両立するものではな
いが、各種のDRAMメモリ・セル回路と両立するもの
である。デプリーション・モードのデバイスで考えられ
る技術的な利点は、これが「ON」状態である場合に、
導電チャネルの縁部に絶縁領域がないことである。その
代わり、「OFF」状態である場合に、チャネルの縁部
に導通領域が存在するが、これはチャネルを短くする以
外の物理的効果を持っていない。
【0029】第3の実施の形態、すなわちモノクロモフ
ォル多層構成−エンハンスメント・モードを図3に示
す。単一層ではなく、チャネルは結晶質または非晶質の
多層分子アセンブリからなっている。エンハンスメント
・モードのデバイスにおいて、ゲート電圧は、分子固体
の表面に単一分子層程度の幅の導通層を誘起する。それ
故、導電チャネルは単一層の場合に形成されるものとき
わめて類似したものとなる。ブレークダウン電圧、「O
FF」状態から「ON」状態へスイッチするのに必要な
ゲート電圧、線形および非線形両方の領域における「O
N」コンダクタンス、チャネル縁部における絶縁領域の
幅、およびこの縁部領域を通るトンネリングの割合は、
単層エンハンスメント・モードのデバイスのものと同様
でなければならない。多層導電体を絶縁状態にスイッチ
することはできないから、多層デプリーション・モード
のデバイスを作ることはできない。
【0030】さらに、第4の実施の形態、すなわちマル
チクロモフォル単層構成−エンハンスメント・モードは
2つ以上のクロモフォルないしレドックス・センタを有
する分子を用いるのが有利である。マルチクロモフォル
・デバイスを、バイクロモフォルすなわち2成分分子の
形態で図4に示す。マルチクロモフォル・デバイスは本
質的に、4端子デバイスであり、2つの独立したゲート
電圧を有している。簡単にいえば、バイクロモフォル・
デバイスは次のように機能する。分子を構成する2つの
クロモフォルはレドックス対を形成する。もっとも簡単
な仮定は、Vという1つの分子がソース−ドレイン・フ
ェルミ・レベルに関して−εIのエネルギーレベルを有
しており、Cという他方がεIを有しているというもの
である。
【0031】ゲート電圧を一緒に結合した場合(共通ゲ
ートモード動作−デュアル・ゲート・デバイスで一般的
な)、デバイスはモノクロモフォルMTFETの動作と
類似した態様で動作する。εI/eまたは−εI/eのい
ずれかのゲート電圧が分子層をn型またはp型のキャリ
アをそれぞれ取得するのに必要な閾値とする。分子あた
り0.1−0.15のコンダクタンス閾値に必要なゲー
ト電圧は、モノクロモフォルの場合と同様、Cmolの計
算によって決定される。
【0032】しかしながら、異なるモードの動作につい
ては、ゲートがソースおよびドレイン(同じ0ボルトに
あるものとする)に関して逆の極性である場合、エネル
ギーにおいてCレドックス・センタを押し上げ、Vレド
ックス・センタを押し下げる極性は、層を絶縁状態に維
持する。しかし、CおよびVのレベルを同時にプッシュ
する、一般に2εIよりも大きい積分電位に対する閾値
における逆の極性は、キャリアをVセンタからCセンタ
へn型のキャリアを注入し、かつCセンタからVセンタ
へp型のキャリアを注入し始める。この場合も、コンダ
クタンス閾値は容量を考慮して制御される。
【0033】バイクロモフォル・デバイスはその「O
N」状態および「OFF」状態を制御する濃い位相空間
を有している。大きな潜在的な利点は、異なるモードに
おいて、ゲートを接続するモードだけによってCMOS
回路を実現できることであり、別個なn型およびp型の
デバイスは必要ない。
【0034】分子Mはいくつかの形態をとることがで
き、かつ各種の化学的性質を有している。もっとも単純
な形態において、これらはヘム族などの分子である(た
とえば、FeはFe2+状態とFe3+状態の間で切り替わ
る)。より複雑な「分子」は(X+ TCNQ-)などの
電荷移動錯体を含んでいる(ただし、Xはアルカリ金属
であり、TCNQは有機テトラシアノ−p−キノジメタ
ンであり、TCNQは正孔の注入によりTCNQ-とT
CNQの間で切り替わる活性成分である)。
【0035】より一般的には、エンハンスメント・モー
ドのデバイスのための錯体は次のものを含むことができ
る。
【0036】1)正孔ベースの系X+-(ただし、Aは
有機アクセプタ(TCNQおよびC60はその例である)
であり、Xはアルカリ金属である)
【0037】2)電子ベースの系D+-(ただし、Dは
有機ドナー(たとえば、テトラチオフルバレンTTF)
であり、YはBrのようなハロゲンである)
【0038】3)正孔または電子ベースの系D+-(た
だし、Dは有機ドナー(たとえば、ビス(エチレンジチ
オ)−テトラチオフルバレンBEDT−TTF、および
N、N、N'、N'−テトラメチル−p−フェニレンジア
ミンTMPD)であり、Aは有機アクセプタ(TCNQ
など)である)
【0039】分子Mに対する有用な材料として導電性ポ
リマを排除する知られている理由はない。
【0040】本発明のデバイスをさらに説明するため
に、p型エンハンスメント・モードの図1のデバイスを
考える。ゲート電位が存在していない場合、層10の分
子はMott絶縁状態である。このp型エンハンスメン
ト・モードのデバイスにおいて、十分な負電圧がゲート
に印加されている場合、分子は正電荷を帯び、Mott
絶縁体から金属状態にスイッチし、それ故、ソースとド
レインの間の導通を可能とする。このデバイスにおい
て、層10に適切な材料としては、アルカリ金属とTC
NQの電荷移動錯体などがある。
【0041】一方、図1のデバイスがn型エンハンスメ
ント・モードのデバイスである場合には、ゲート電位が
ないときに、層10の分子は同様にMott絶縁状態と
なる。十分な正電圧がゲートに印加されている場合に
は、分子は負電荷を帯び、Mott絶縁体から金属状態
にスイッチし、それ故、ソースとドレインの間の導通を
可能とする。このデバイスにおいて、層10に適切な材
料としては、TTFとハロゲンの電荷移動錯体などがあ
る。
【0042】図1のデバイスがp型デプリーション・モ
ードのデバイスである場合、ゲート電位がないときに、
層10の分子は金属性導電状態であり、十分な電圧がゲ
ートに印加されている場合、分子は正電荷を帯び、絶縁
状態にスイッチする。
【0043】外部電位がないときに、デバイスが「OF
F」状態のままであり、電子ではなく、正孔が導電状態
(すなわち、「ON」状態)における電荷キャリアであ
る状況を使用して、本発明のデバイスの特性を説明す
る。絶縁状態および導通状態におけるデバイスの特性を
説明し、かつ電荷キャリアを外部ゲート電圧によって変
調できるようにする機構も説明する。デバイスの金属−
絶縁体遷移は「ON」状態と「OFF」状態の間でのス
イッチングを可能とする。
【0044】まず、デバイスの「OFF」状態がMot
t絶縁状態であることを実証するために、平衡状態にお
いて、以下の式1が満たされることを条件として、平均
して、アレイ内のサイトあたり1個の電子があるように
デバイスを設計する。運動エネルギーを無視すると、す
べての電子は、図5に示すように、リード線の隣接する
フェルミの海のフェルミ・レベルよりも低いエネルギー
εIに存在するように定められる単一の縮退エネルギー
・レベルを占める。強く相関されている層の分子内の電
子は、互いに接近すると、強いクーロン反発力を受け
る。特に、2つの電子が単一のサイトにあることを認め
る状態は、きわめて高いエネルギーU(U>>kBT、
またはその他任意のエネルギー尺度)を有する。その結
果、このような状態で二重占有が効果的に認められない
ものとなり、リード線内の電子はアレイ内に侵入した
り、あるいはこれを貫通することができなくなる。換言
すると、サイトにおける何らかの二重占有を可能とする
状態はU程度のギャップ(図5)によって排除される。
系は熱平衡状態でMott絶縁体のままであるが、下記
を条件とする。 kBT<<εIおよびKBT<<U−εI (1)
【0045】ドレイン−ソース電圧を印加しても、系を
金属状態に簡単に移すことはできない。図7は負バイア
ス電圧VDS=−Vが存在する場合の系に対する電子エネ
ルギー図を示す。(CMOSに適用した場合には、これ
は重要な点である。)実際には、負のドレイン−ソース
電圧はドレイン端部に近いアレイ内の電子のレベルを上
げる。ドレイン電極に近づくと、図7における静電エネ
ルギーの変動は、次の分析式にほぼしたがうものとな
る。
【数1】 uGはゲート電圧、δyはドレイン電極からの距離、dは
ドレイン電極(無限に近い薄いシートであるとする)と
ゲート電極(無限の薄いシートであるとする)との間の
距離であり、誘電率は単位値(unity)としてとってい
る。この近似式の平方根の特異性は図7の数値解で明ら
かであろう。
【0046】上記の計算は単位誘電率を想定している。
一様な誘電率εを導入した場合には、図7の絶縁体内部
の電圧変動は係数εだけ減少し、電極表面における電位
のジャンプが現れる。この改変された図は以下の検討を
変えるものではない。
【0047】ドレインに近い分子エネルギー・レベルの
上昇に関わりなく、 e|VDS|<U−εI (図7に示したパラメータによって満たされる)という
条件の下では、系内のハバード障壁のため、アレイとド
レインまたはソースの間の電子移動は認められない。イ
オン化レベルにおける電子に関しては、アレイから左側
にあるソースへの電子の移動は中間プロセスにおいて二
重占有のある状態を呼び出さなければならず、これはU
程度のエネルギーを必要とする。また、電子がドレイン
からアレイ内の親和レベル(上側ハバード帯)へトンネ
ル通過することは不可能であるが、これはドレインのフ
ェルミ・レベルが上側ハバード帯よりも依然低いためで
ある。それ故、式(3)の条件が満たされている限り、
系はMott絶縁体のままである。層の連続モデルを非
連続のものと置き換えても、上記は量的に変わるもので
はない。
【0048】重なっているゲート電極と基板の間に負電
圧を印加することにより、イオン化エネルギー・レベル
(下側ハバード帯)がリード線のフェルミ・レベルより
も上にシフトすると、アレイは金属状態にスイッチしよ
うとする。所与のゲート電圧におけるアレイ内の利用可
能な電荷キャリアの実際の密度も、アレイ内のクーロン
相互作用によって左右される。
【0049】デバイスに負のゲート電圧−VG(VG
0)がかかっており、系が平衡状態のままであると仮定
する。ソース−ドレインのフェルミ・レベルに関してキ
ャリア密度e(VG−εI)がゼロの場合における層のイ
オン化レベルが正になった場合、アレイ内の電子がリー
ド線に放出され、層を正に荷電する傾向がある。この荷
電傾向は層内での静電エネルギーの蓄積によって妨げら
れる。分子あたりの総電子レベルは次のように書き表す
ことができる。
【数2】 ただし、δは分子あたりの端数の(fractional)正電荷
(0<δ<1)、Cmolは次式によって定義されるもの
である。
【数3】
【0050】式(5)において、Vtotはriにおいて分
子から始まるr0における分子上の総(直接+誘起)電
位である。
【0051】r0における分子からの誘起電位自体は式
(5)には含まれておらず、この電位はεIを再正規化
するように作用するが(これはεIをその気相値(gas-p
hasevalue)から下げる)、式(4)の2番目の項には
寄与しない。再正規化効果はεIの値に定義されるもの
と考えられる。
【0052】両方の領域の誘電率が同じで、図1に示し
た単一ゲートの場合にεに等しい場合、式(5)は次の
ように書き表すことができる。
【数4】 ただし、分子層をxy平面にあるものと定義し、Rmol
は層内の分子の半径である。
【0053】分子間分離度amolが分子−表面間距離よ
りも遙かに小さい場合、Cmolの連続限界(continuum l
imit)Ccontに達する。この場合、次のような標準的な
結果が得られる。
【数5】 ただし、nは単位面積あたりの分子の濃度である。
【0054】式(6)をεox>>εである高誘電関数酸
化物の場合に、他の限界に使用することもできる。dox
+Rmolという量は分子半径Rmol自体まで減少し、式
(6)は次のようになる。
【数6】
【0055】厳密にいえば限界Rmol>>doxだけで正
確なものである式(6)と式(8)の間の近似補間式
が、式(6)のdox
【数7】 で置換することによって得られる。式(9)は図1のd
oxの任意の値に対してCmolを近似的に予測するのを可
能とする。
【0056】図8は分子アレイが稠密にパックされた単
層である場合のCmolの値を、それぞれamolに対するd
=dox+Rmolまたは=Rmolの比の関数として示す。比
d/amolは式(8)の場合に2分の1未満であり、C
molが式(7)の連続限界よりもかなり大きいことを示
す。
【0057】図2に示したデュアル・ゲート構成の場
合、分子あたりの総静電エネルギーに対する式(4)は
依然保持されるが、分子あたりのキャパシタンスが次の
ように変更されていることを除く。
【数8】 ただし、pは無限数の画像電荷を総計するすべての整数
にわたるものである。Cmolの値を図8にプロットし
た。
【0058】δに関して式(4)を最小化すると、ゲー
ト電圧VGを分子あたりのキャリアの端数δに接続する
式として次式が得られる。 VG=VT+eδ/Cmol したがって、VT=e-1εIは分子層内の電荷キャリアの
比ゼロ濃度を得るために必要な最小ゲート電圧を定義す
る。適切に「ON」(金属)状態になるのに必要なキャ
リアの典型的な端数としてδ=0.15をとった場合
(銅酸塩データに基づいて)、図8と式(6−10)と
ともに式(11)を使用すると、各種のパラメータ・セ
ットに対して必要な「ON」ゲート電圧を指定すること
ができる。0.25ev(300Kにおいて〜10kB
T)程度のεIの値が認められる。単一ゲート構成およ
びデュアル・ゲート構成に関するこれらの結果を表Iお
よび表IIに示す。
【0059】 表I(路離:Å) d Rmolmol ε εox δ VG ES(V) VG(V) 20 5 10 4 20 0.15 0.428 0.678 20 5 10 4 100 0.15 0.228 0.478 20 5 15 4 10 0.15 0.271 0.521 20 10 20 4 10 0.15 0.214 0.464 20 10 20 4 100 0.15 0.103 0.353 20 10 30 4 10 0.15 0.080 0.330 表II(路離:Å) d amol ε δ VG ES(V) VG(V) 20 10 4 0.15 0.488 0.738 20 15 4 0.15 0.187 0.437 20 20 4 0.15 0.085 0.335
【0060】これらの結果を0.4Vないし0.8Vの
ゲート電圧に対して動作が可能であることを示すものと
して要約することができる。Uが1−2ev程度である
とすると、このような範囲はゲートがソース−ドレイン
電圧によって駆動される場合に、式(3)が満たされ、
妥当な設計の場合に、提案されているデバイスが記述さ
れたとおりに機能できることを示すのに妥当なものであ
る。
【0061】アレイの連続処理に依存する工学的解析を
後で行うために、以下の定義を便宜上導入する(n=ア
レイ内の単位面積あたりの分子の濃度)。 C'T=nCmol (12 ) Q'h=neδ (13 )
【0062】また、正孔の最大利用可能数がδ≦1によ
って限定されることも注目に値する。換言すると、アレ
イ内の正孔濃度はゲート電圧VG≧VT+ne/C'Tに対
するnにおいて不変である。この事実をより明確に示す
ために、V0 GをVT+ne/C'Tと定義し、式(11)
を次のように書き直す。
【数9】 O063】デバイスの導電チャネル全体にわたって正孔
の分布が一様であると想定して、閾値電圧VTが導かれ
たことに留意されたい。デバイスがソースからドレイン
までのチャネル全体にわたって厚さが変動するスペーサ
を有している場合には、これは正しいものではなくなる
こととなる。正孔の分布は有限のドレイン−ソース・バ
イアスが印加された場合にも変動する。この後者の場
合、導電チャネルを通過する電流が存在することによっ
て、状況はさらに複雑となる。また、静電エネルギーの
式、式(4)を書くに当たり、両側のアレイ−リード接
点におけるエッジ効果を無視したが、これについては以
下で詳細に検討する。
【0064】エッジ効果を無視したことに加えて、上記
においては、分子間ホッピング整数tも無視した。tが
分子層に関して〜100meVよりも大幅に大きいとは
考えられず、運動エネルギー効果(〜t)が表Iで演繹
されるエネルギーの尺度で小さいものであり、したがっ
て、Mott遷移FETの最初の処理で妥当に無視でき
ると考えられる。
【0065】適切なゲート電圧を印加することによっ
て、相関電子系を「ON」状態から「OFF」状態に、
あるいはその逆にすることが可能となる。ドレイン−ソ
ース電圧が存在する場合の金属状態における電流電圧特
性を検討する。
【0066】線形領域の場合、最初に、デバイスは低い
ドレイン−ソース電圧VDSにあると考える。この条件の
下で、ゲート−アレイ・バイアス、したがって電荷(正
孔)分布はソース14からドレイン16までの導電チャ
ネル全体にわたってほぼ一様である。系の移動電荷密度
はほぼ式(14)によって与えられる。
【0067】VDSによって駆動される定常電流はy軸
(すなわち、ソース−ドレイン方向)に沿って流れる。
それ故、オームの法則を次のように書くことができる。
【数10】 ただし、μh=eτ/mhは正孔移動度で、一定であると
想定される。それ故、所与のゲート電圧において、一定
のチャネル・コンダクタンスGL=∂IDS/∂VD Sが存
在している。式(15)におけるVGに対する依存度は
アレイ内の利用可能な移動正孔のみによるものである。
式(14)に関する検討で上述したように、その点でア
レイの帯域が空となり、これが周知の(Mottではな
い)絶縁体となる正孔密度の上限(サイトあたり正孔1
個)がある。最大チャネル・コンダクタンスは、したが
って、δ=0とδ=1の間に生じる。
【0068】非線形領域において、ゲート電圧VGに比
較して無視できるまで、ドレイン−ソース電圧の値が増
加した場合、上記の分析はもはや維持できなくなる。有
限のドレイン−ソース電圧は導電チャネルに沿った電位
分布を変えるように作用する。したがって、ゲートとチ
ャネルの間の電圧、および実際の電荷密度はソースから
ドレインへ進む位置yの関数となる。特に、ドレインに
ソースに関してマイナスのバイアスがかかっている場
合、閾値充電電位は上がり、利用可能な正孔密度を下げ
る。
【0069】任意のVDSに対する電流電圧特性を定性的
に示すには、半導体デバイス物理で広く使用されている
いわゆる緩慢チャネル近似(gradual channel approxim
ation)が使用される。この近似は電流方向の電界がア
レイに対して垂直な電界よりも遙かに小さい(しかも、
緩やかに変化する)と想定している。この近似内で、
(定常)チャネル電流の関数としての、チャネルに沿っ
た増分電圧降下は次のように表される。 IDS∂y=μhWQ'h(y)∂Vy (16) ただし、Q'h(y)はチャネル内の位置yにおける正孔
密度であり、ソースからドレインに向かって変化する。
この場合も、銅酸塩データから演繹されるように移動度
μhが一定であると想定している。ドレインにマイナス
のバイアスがかかっており、V>0でVDS=−Vである
場合、緩慢チャネル近似の範囲内で、分子あたりの正孔
の端数はチャネルに沿った位置yにおけるサイト依存閾
電圧としてVTをVT+Vrと置換し、Vyが(0,V)の
間で変動するものとして式(11)によって近似的に表
すことができる。位置yにおけるチャネルに沿った単位
長さあたりの総電荷キャリア密度は次式で与えられる。 Q'h(y)=C'T(VG−VT−Vy) (17 )
【0070】式(17)と式(16)を組み合わせるこ
とにより、次式のような一様な電流IDSの関数として、
チャネル内の任意の位置yにおける電位Vyを評価する
ことが可能となる。
【数11】 O071】ソース−ドレインチャネルに沿ったVyおよび
Q'h(y)の変化を、中程度のバイアス電圧および強い
バイアス電圧に関してそれぞれ図9および図10に示
す。さらに、集積経路をソースからドレインへのチャネ
ル全体に延ばすことによって、電流を次式のように印加
電圧の関数として表すこともできる。
【数12】
【0072】電流IDSはドレイン−ソース電圧VDS(=
−V)の非線形関数となる。ドレインが負にバイアスさ
れる場合、電流はVDSの値の増加とともに緩やかに増加
し、結局、−VDS=Vsat=VG−VTにおいて最大値に
達し、次式のようになる。
【数13】
【0073】周知のMOSFETの場合と同様、式(1
7)から明らかなように、ドレインに−Vsatのバイア
スがかけられている場合、ドレイン電圧は(Q'h(L)
=0)の結果として移動電荷(正孔)が利用できなくな
るドレイン端部に近い相関電子における負のゲート電圧
の効果を正確に打ち消す。
【0074】ドレインにさらにバイアスがかけられ、|
DS|>Vsatとなると、図10に示すようにキャリア
が利用できないドレイン電極の近くで、いわゆるピンチ
オフ領域が観察される。チャネル内の電流は強い電界が
かかるピンチオフ領域の両端に電荷キャリアを注入する
ことによって維持される。電流の大きさは、式(19)
に示すように減少するのではなく、シリコンMOSFE
Tに関連して周知の負帰還現象によってIsatに、ある
いはその少し上に維持される。ピンチオフ領域の幅が広
くなりすぎると、電流は減少し、ピンチ領域自体が消滅
する。図11は様々なゲート電圧における電流−電圧特
性を示す。図11において、δ=0.1−0.5(下の
曲線から上の曲線)である。曲線における電流IDSお
よび電圧VDSはそれぞれIO=GTmax0およびV0=e
/Cmolに関して増減する。ゲート電圧はエンハンスメ
ント・モードのデバイスにおいてマイナスであり、その
値は下の曲線から上の曲線へ移動するにしたがって増加
し、一方、デプリーション・モードにおいてはプラスと
なり、下の曲線から上の曲線に向かって減少する。
【0075】式(2)からわかるように、飽和領域I
satにおける正孔電流はゲート電圧にしたがって二次式
で変化する。ゲート電圧がさらにマイナスとなると(あ
るいは、VGが増加すると)、ドレイン飽和電圧Vsat
よびチャネル内の利用可能電荷キャリアの両方が、VG
にしたがって線形に増加する。したがって、GT=∂I
sa t/∂VGによって規定される相互コンダクタンスはし
たがって、次式のようにゲート電圧の線形関数となる。
【数14】 ただし、Iは電荷キャリアに対する平均自由行程を指
し、nh=kf 2/4πは層内の正孔濃度であり、kfは対
応する波数ベクトルである。Iが数分子間距離程度の系
の場合、相互コンダクタンスGTは数量子のコンダクタ
ンスとなる。1量子のコンダクタンスe2/hが約26
kΩに対応しているため、典型的な飽和相互コンダクタ
ンスはしたがって、数キロオームに対応している。
【0076】小さいドレイン・バイアスがかかった線形
領域において、キャリア密度δが正孔1個/分子に達し
た場合に、系が従来のバンド絶縁体になるため、VG
増加したときに相互コンダクタンスが無限に増加できな
いことにも留意されたい。それ故、GTはドーピング0
<δ0<1の中間値のどこかで最大値に達する。平均自
由行程が数分子間距離程度であると想定すると、最大コ
ンダクタンスは次式程度、すなわち数kΩとなる。
【数15】
【0077】最後に、正のバイアス電圧がドレインに印
加された場合(VDS>0)、ピンチオフ領域は考えられ
ず、正のバイアス電圧がかかっている場合に、電流電圧
曲線に飽和領域は存在しない。しかしながら、ゲートお
よびドレインの電圧の組合せ効果が強くなりすぎた場合
に、正孔密度がドレイン端部に近傍のチャネルにおいて
上限に達する可能性がある。このような限度を超える
と、電流は急速に減少し、系は最終的に従来のバンド絶
縁体になる。
【0078】p型エンハンスメント・モードのデバイス
の特性に注目したが、n型エンハンスメント・モードの
デバイスに対する分析を同じようにして行うことができ
る。しかしながら、この後者の場合、エネルギー図は図
6に示すように、p型デバイスのものに比較して逆のも
のとなる。換言すれば、上側ハバード帯が金属−絶縁体
のスイッチングに関与し、正孔ではなく電子が電荷キャ
リアとなる。同様に、デバイスはゲート電圧ゼロにおい
て「OFF」状態であり、十分大きい正ゲート電圧が印
加された場合に、「ON」状態となる。
【0079】低いVDSにおいてチャネルを金属状態にバ
イアスするVGで導通している場合、非導通であるエッ
ジを通るトンネル状態が全体的なデバイスの導電度を制
限する。この効果の連続した分析を次のように行った。
【0080】図12において、典型的なゲート電圧がま
ず印加され、チャネルが依然絶縁状態である(δ=0)
場合の、チャネルにおける電位分布がプロットされてい
る。両端における電位の変動はほぼ次式によって記述さ
れる。
【数16】 ただし、δyはソース(または、ドレイン)電極から測
定した距離であり、dは分子層とゲート電極の間の間隔
である。チャネルが導通したとしても、δyが電極にき
わめて近い限り、式(25)は正しいものである。した
がって、小さい絶縁領域がソース電極とドレイン電極に
近い分子層の縁部に考えられる。
【0081】図13は縁部における絶縁領域の幅を決定
する位相図を示す。所与のゲート電圧VGでの平衡状態
において、分子層の導通部分は電位−VTを受ける。位
相図はye/d−VG/VTのパラメータ空間で描かれて
いる(ただし、yeは絶縁エッジ領域の幅である)。図
13から、まず、中程度のバイアス電圧および強いバイ
アス電圧に関して、絶縁領域が分子1個または2個の直
径内だけに限定される傾向があることに留意されたい。
一方、層全体は閾電圧VTよりも低いゲート電圧VGに対
して絶縁状態となり、ゲート電圧VGが情報からVTに近
づくと絶縁領域は急激に大きくなり、ゲート電圧が閾電
圧よりも十分大きくなって、絶縁エッジ領域の負の効果
を回避することを明確に示す。たとえば、VG=2VT
場合、エッジ領域は幅20Åスペーサに対して〜10Å
となる。
【0082】エッジ領域が一般に、分子1個または2個
の距離程度であるのに対し、電荷キャリア(正孔)に対
するバリアが
【数17】 であるから、トンネル状態が簡単に生じ、エッジ領域は
デバイスが機能するのにきわめて限定された効果を有す
るだけであると考えられる。
【0083】電荷キャリアがエッジ領域において三角形
のバリアに面しており、有効電界がε=VG/ye(ただ
し、yeは図13の位相図によって決定される最大バリ
ア幅である)であると想定すると、バリアを通るトンネ
ル・コンダクタンスは簡単に計算され、次式のように書
き表すことができる。
【数18】
【0084】コンダクタンスの大きさの程度を予測する
ために、εf=0.5eVという値およびデバイス幅W
=100nmを想定する。パラメータの好ましくない選
択、すなわちεI=0.5eV、VG=1.0V(図12
からわかるように、d=40Åに対して
【数19】 )であるとしても、トンネル・コンダクタンスを〜3e
2/h程度の大きさとなると予想できる。一方、εI
0.25eVおよびVG=0.6Vをとることにより、
バリア幅はd=30Åに対して
【数20】 、およびコンダクタンスは〜25e2/hに達する。
【0085】トンネル・コンダクタンスをより正確に分
析するには、式(25)に示すようなエッジ領域におけ
る現実的な電位の変動、およびVim=−e2/2πεδ
yによって記述することのできる、影鏡像引力のバリア
低下効果の両方を考慮する必要がある。バリアの高さが
3(eVG2/3(2e2/εd)1/2/2πという量だけ
低下すると考えられ、これはεIというバリア高さに比
較してきわめて顕著なものである。したがって、図12
の位相図から決定されるように分子1個または2個の距
離のバリア幅の場合、影像引力はトンネル電流をさらに
増加させ、その結果、可能なエッジ効果を減少させる。
それ故、エッジ効果は本発明のデバイスが適正に機能す
ることに影響を及ぼす有意性をほとんど持っていないと
の結論が下される。
【0086】単層相互コンダクタンス・スイッチの上述
のエンハンスメント・モード・タイプに加えて、デプリ
ーション・モード・タイプのデバイスも存在しており、
このデバイスにおいては、しかしながら、ゲート電位は
ソース電位およびドレイン電位の範囲外にあり、CMO
S用途には適さないものとなっている。しかしながら、
デプリーション・モード・タイプは各種のDRAMメモ
リ・セルの設計と親和性のあるものであり、デプリーシ
ョン・モードのデバイスは有用なものとなると考えられ
る。
【0087】p型のデプリーション・モードのデバイス
は分子エネルギー・レベルεIをマイナスとすることに
よって実現されるので、分子はゲート電位が存在しなく
てもイオン化する傾向がある。ゼロ−VGキャリア電位
はVG=0として式(11)によって制御される。 εI=−δ/Cmol
【0088】δ=0.15という「ON」正孔濃度の場
合、εIの必要な値は表Iの第7欄から読みとることが
できる。
【0089】ゲート電圧をマイナスとすることによっ
て、デバイスを「OFF」とすることができる。必要な
電圧の揺れは表Iの最後の欄のものと同じである。
【0090】したがって、εIの異なる調整およびゲー
ト電圧のシフト(キャリア濃度から式(11)によって
決定される)とは別に、デバイスは図11の特性にした
がって作動する。
【0091】デプリーション・モードのデバイスの利点
はチャネルのエッジにトンネル・インピーダンスがない
ことである。ゲート電界が存在しない場合に、チャネル
が「ON」なのであるから、金属電極によって選別され
る、エッジにおける分子は常に「ON」状態である。し
たがって、チャネルの他の部分が「ON」であるか、
「OFF」であるかに関わりなく、エッジの分子は導通
し、「OFF」状態においては、チャネルをわずかに短
くするように作用するだけである。メモリに適用した場
合、この利点が決定的なものとなることが判明した。
【0092】単一ゲート・デバイスの製造に当たり、金
属電極および酸化物(存在している場合)はホット・プ
ロセスで形成されると考えられる。次いで、分子層が標
準的な自動アセンブリ・プロセスによって塗布される。
この酸化物プロセスは2D技術に限定されるが、これは
この上に次の層を付着させる際に他の酸化物のホット・
プロセスが生じた場合に、分子層が「クッキング」され
てしまうからである。
【0093】デュアル・ゲート・デバイスはポリイミド
などの有機絶縁体を使用して、全有機物プロセスで製造
される。このようなプロセスは多層構造を構築するのに
も使用することができる。100nmのゲート(100
かける100分子程度のアレイ)および32層の場合、
1011ビット程度の記憶容量が実現可能であり、この容
量は従来の技術的リソースに対する課題となっていた。
【0094】デバイス内の導電チャネルを構成する分子
は単一層の形態であっても、あるいは、エンハンスメン
ト・モードのデバイスの場合には、ゲートにもっとも近
い分子層だけがチャネルを形成する微結晶ないし非晶質
の3D分子アレイの形態であってもよい。
【0095】酸化物でよい絶縁体の表面は分子を受け入
れるように作成する必要がある。これは平坦で、ステッ
プ密度の状態である必要がある。この表面は清浄化さ
れ、特に単一層チャネル形態のデバイスの場合には、参
照することによって本明細書の一部となる"An Introduc
tion to Ultrathin Organic Films, from Langmiur-Blo
dgett to Self-Assembly", A. Ulman, Academic Press,
Boston (1991)およびJ.A. Tour他, J. Am. Chem. Soc,
117, 9529, 1995に記載されているような、その上に組
み立てられる分子との親和性にあわせて選択された活性
化学族によって調製される。
【0096】分子を組み立てるプロセスは溶液、または
蒸着、または分子ビーム、またはその他のプロセスによ
って行われる。
【0097】単一層の自動アセンブリは分子が表面に付
着すること、あるいはあらかじめ表面に付着されている
化学族に付着することを可能とするように分子に組み込
まれた化学族を利用して処理される。
【0098】分子はラングミュア−ブロジェット・プロ
セスにより、あるいは表面をこれが溶解する溶液にさら
すことにより、あるいはその他の手段によって付着され
る。これにより、分子の稠密で、おそらくは配列された
層が、強く配向された態様で表面に付着される。分子
は、これらを表面に結合する化学族に加えて、MTFE
Tデバイスが機能する際に重要な役割を果たすレドック
ス活性センターを含んでいなければならない。
【0099】単層チャネルを備えており、Mott遷移
によって作動する、Mott遷移電界効果トランジスタ
(MTFET)と呼ばれる3端子デバイスを説明した。
このデバイスは導通チャネルとして、電荷キャリア(正
孔または電子)が強く相関されている分子のアレイを使
用する。Mott遷移は金属−絶縁体の切換えを決定
し、外部ゲート電極によって制御されることが示されて
いる。それ以外の場合、デバイスは従来のシリコン・ベ
ースのFETと親和性のある電気的特性を有していると
思われる。「ON」状態は〜10e2/hという典型的
な相互コンダクタンスを有している。
【0100】分子層の分子として考えられる候補を選択
する際の主な基準は(オンサイトの)クーロン反発力U
である。論理環境におけるMTFETの適正な動作に
は、デバイス環境におけるクーロン反発力Uが、半径の
範囲が0.5−1nmの分子に対してそれぞれ少なくと
も1.5−0.75eV程度である必要がある。
【0101】要約すると、Mott遷移電界効果トラン
ジスタは以下の特性と利点を有している。Mott遷移
デバイスは約4の格子間隔の比較的短い平均自由行程に
合わせるため高いキャリア密度を活用することを特徴と
している。シリコン技術におけるような純度が高く、配
列された材料が必要なく、製造プロセスが単純化され
る。デバイスは、>1のキャリアが利用できることを条
件として、キャリア平均自由行程程度の絶対最小サイズ
で動作できる。それ故、4×4アレイ(たとえば、格子
間隔にも夜が4nm×4nm)程度の最小サイズを実現
できる。4×4アレイ内のキャリアの数はあらゆる時点
でキャリア2個程度であり、これもデバイスが機能する
下限に近いものである。この最小サイズは従来の最小サ
イズのFETを凌駕する100というパッキング密度を
与える。「ON」抵抗はサイズによって左右され、コン
ダクタンスの数分の1、たとえば数kΩ程度であり、こ
れは論理およびメモリでの用途に適切なものであると推
定される。動作電圧は約0.5Vであり、これは室温に
おける雑音よりも依然高いものではあるが、オーミック
加熱を現在実施されているものよりも大幅に減らすもの
である。デバイスはn型およびp型で作成することがで
き、CMOS技術を実現することが可能となる。
【0102】デプリーション・モードに類似したデバイ
スはCMOSに適用するのに適していないが、DRAM
環境では適切なものである。ここでの利点は「ON」状
態でエッジ効果がないことであり、これは「OFF」状
態に見え、無害である。デプリーション・モード構成の
選択は顕著なエッジ問題が存在する場合に利用可能な回
答である。
【0103】デバイスは、たとえば、標準的な自動アセ
ンブリ技術により液体から付着された単層を連続して付
着させ、次いで、その上に絶縁体および電極を付着させ
ることによって、図14に示すように、スタック・アレ
イとして構築することができる。デバイスのアレイはy
−z平面にあり、アレイのスタックはx方向にある(上
述のように)。このタイプのプロセスはデュアル・ゲー
ト全有機物形態のデバイスで特に実施できる。スタック
・アレイDRAM技術で達成可能なビット密度は、設計
ルールの積極的に利用することにより、1011−1012
の範囲になると考えられる。スタック・アレイ論理デバ
イスが実現可能である。分子内のHOMO−LUMOギ
ャップを横切る励起はデバイスの機能(有機LEDで顕
著な)に必要なく、デバイスの寿命を長くする。図14
において、層22は平坦な絶縁体であり、24はスタッ
ク内のデバイスの間の干渉を防止する接地スクリーニン
グ平面である。単一ゲートタイプのスタック・アレイは
ゲート20と隣接する第2の酸化物層18'を除去する
ことによって形成される。
【0104】これらはすべて、上述したFET技術に対
する多層(すなわち、低コストの)、低電力かつ小型の
製造を可能とするものである。これらは、既存のシリコ
ン技術を活用することでは結局満たすことのできない将
来の技術に規定された要件である。
【0105】まとめとして、本発明の構成に関して以下
の事項を開示する。
【0106】(1)ソース電極と、ドレイン電極と、前
記ソース電極とドレイン電極の間に導通チャネルを有す
るゲート電極とを備えており、前記導通チャネルが少な
くとも1層の分子の2次元のアレイからなっており、前
記チャネルが絶縁スペーサ層によって前記ゲート電極か
ら分離されており、前記分子がMott金属−絶縁遷移
を受けることができる電界効果トランジスタ。 (2)前記分子が不安定な電子を含んでいるレドックス
・センタである、上記(1)に記載のトランジスタ。 (3)前記分子がD+-タイプ(ただし、D+は有機ド
ナーであり、Y-はハロゲン・イオンである)である、
上記(2)に記載のトランジスタ。 (4)前記分子がD+-タイプ(ただし、D+は有機ド
ナーであり、A-は有機アクセプタである)である、上
記(1)に記載のトランジスタ。 (5)前記D+がTTFであり、前記Y-がBrである、
上記(3)に記載のトランジスタ。 (6)前記D+がBEDT−TTFであり、前記A-がT
CNQである、上記(4)に記載のトランジスタ。 (7)前記分子が不安定な正孔を含んでいるレドックス
・センタである、上記(1)に記載のトランジスタ。 (8)前記分子がX+-タイプ(ただし、Xはアルカリ
金属であり、Aは有機アクセプタである)である、上記
(7)に記載のトランジスタ。 (9)前記分子がD+-タイプ(ただし、D+は有機ド
ナーであり、A-は有機アクセプタである)である、上
記(7)に記載のトランジスタ。 (10)前記X+がアルカリ金属であり、前記A-がC60
である、上記(8)に記載のトランジスタ。 (11)前記X+がアルカリ金属であり、前記A-がTC
NQである、上記(8)に記載のトランジスタ。 (12)前記D+がTMPDであり、前記A-がTCNQ
である、上記(9)に記載のトランジスタ。 (13)前記絶縁スペーサ層が酸化物である、上記
(1)に記載のトランジスタ。 (14)ソース電極と、ドレイン電極と、第1のゲート
電極と、前記ソース電極とドレイン電極の間に導通チャ
ネルを有する第2のゲート電極とを備えており、前記導
通チャネルが第1の絶縁スペーサ層によって前記第1の
ゲート電極から分離されており、かつ第2の絶縁スペー
サ層によって前記第2のゲート電極から分離されてお
り、前記分子がMott金属−絶縁遷移を受けることが
できる電界効果トランジスタ。 (15)前記分子が不安定な電子を含んでいるレドック
ス・センタである、上記(14)に記載のトランジス
タ。 (16)前記分子がD+-タイプ(ただし、D+は有機
ドナーであり、Y-はハロゲン・イオンである)であ
る、上記(15)に記載のトランジスタ。 (17)前記分子がD+-タイプ(ただし、D+は有機
ドナーであり、A-は有機アクセプタである)である、
上記(14)に記載のトランジスタ。 (18)前記D+がTTFであり、前記Y-がBrであ
る、上記(15)に記載のトランジスタ。 (19)前記D+がBEDT−TTFであり、前記A-
TCNQである、上記(17)に記載のトランジスタ。 (20)前記分子が不安定な正孔を含んでいるレドック
ス・センタである、上記(14)に記載のトランジス
タ。 (21)前記分子がX+-タイプ(ただし、Xはアルカ
リ金属であり、Aは有機アクセプタである)である、上
記(20)に記載のトランジスタ。 (22)前記分子がD+-タイプ(ただし、D+は有機
ドナーであり、A-は有機アクセプタである)である、
上記(20)に記載のトランジスタ。 (23)前記X+がアルカリ金属であり、前記A-がC60
である、上記(21)に記載のトランジスタ。 (24)前記X+がアルカリ金属であり、前記A-がTC
NQである、上記(21)に記載のトランジスタ。 (25)前記D+がTMPDであり、前記A-がTCNQ
である、上記(22)に記載のトランジスタ。 (26)前記分子がマルチクロモフォルである、上記
(14)に記載のトランジスタ。 (27)前記分子がバイクロモフォルである、上記(2
6)に記載のトランジスタ。 (28)前記第1の絶縁層が酸化物であり、前記第2の
絶縁層が酸化物である、上記(14)に記載のトランジ
スタ。 (29)前記第1と第2の絶縁層の前記酸化物が同じも
のである、上記(28)に記載のトランジスタ。 (30)前記第1と第2の絶縁層の前記酸化物が異なる
ものである、上記(29)に記載のトランジスタ。 (31)スタックした上記(14)のトランジスタのア
レイ。 (32)論理デバイスである、上記(31)に記載のア
レイ。 (33)メモリ・デバイスである、上記(31)に記載
のアレイ。 (34)スタックした上記(1)のトランジスタのアレ
イ。 (35)論理デバイスである、上記(34)に記載のア
レイ。 (36)メモリ・デバイスである、上記(34)に記載
のアレイ。
【図面の簡単な説明】
【図1】単一のゲートを有する3端子モノクロモフォル
単層Mott遷移電界効果トランジスタの略側面図であ
る。
【図2】デュアル・ゲートを有する3端子モノクロモフ
ォル単層Mott遷移電界効果トランジスタの略側面図
である。
【図3】単一のゲートを有する3端子モノクロモフォル
多層Mott遷移電界効果トランジスタの略側面図であ
る。
【図4】デュアル・ゲート4端子バイクロモフォル単層
Mott遷移FETの略側面図である。
【図5】図に示したデバイスのエネルギー図であり、p
型エンハンスメント・モードのデバイスの平衡状態にお
ける分子エネルギー・レベルを示す図である。
【図6】n型エンハンスメント・モードのデバイスの平
衡状態における分子エネルギー・レベルを示す図であ
る。
【図7】電極およびチャネルを薄板として扱い、ゲート
電極が無限のものとして計算した、ゲートとソースが接
続されたp型デバイスに対するドレイン−ソース・バイ
アスVDSの存在下でのチャネルに沿った分子エネルギー
・レベルのエネルギー変動を示すグラフである。
【図8】実線の曲線が単一ゲートの場合(均一誘電率ε
ox=ε)であり、破線の曲線がデュアル・ゲートの場合
である、連続層に対するキャパシタンスでのアレイ内の
分子あたりのキャパシタンスを示すグラフである。
【図9】Vsat=0.5VおよびVDS=−0.25Vで
弱くバイアスのかけられたドレインに対するソース−ド
レイン・チャネルに沿った電位の分布(実線)および正
孔キャリアの分布(破線)を示す電位分布のグラフであ
る。
【図10】Vsat=0.5VおよびVDS=−0.75V
で|VDS|>Vsatであり、ピンチオフ領域の幅がドレ
インに近い2nmである場合のピンチ区間における電位
分布のグラフである。
【図11】式(14)によって決定されるソース端部ド
ーピングに対応するさまざまな電圧における電流IDS
ドレイン−ソース電圧VDS(=−V)のグラフである。
【図12】チャネルの長さがL=100nm、酸化物ス
ペーサの幅がdox=20Åであると想定した場合の、キ
ャリア濃度ゼロにおいてVG=1Vの存在下でのチャネ
ルの電位分布のグラフである。
【図13】dを分子層とゲートの間の距離とした場合
の、分子層における絶縁(「OFF」)エッジ領域を示
す(ye/d)と(VG/VT)の位相図である。
【図14】本発明のデバイスのスタック・アレイの略断
面図である。
【符号の説明】
10 チャネル 12 2次元アレイ 14 ソース・リード線 16 ドレイン・リード線 18 絶縁スペーサ 20 ゲート電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 49/00 (72)発明者 デニス・ニューンス アメリカ合衆国10598 ニューヨーク州ヨ ークタウン・ハイツ バーバリー・ロード 980 (72)発明者 チン・ゾウ アメリカ合衆国10562 ニューヨーク州オ ッシニング レークビュー・ロード 21

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ソース電極と、ドレイン電極と、ゲート電
    極とを備え、前記ソース電極とドレイン電極の間に導電
    チャネルを有し、前記導電チャネルが少なくとも1層の
    分子の2次元のアレイからなっており、前記導電チャネ
    ルが絶縁スペーサ層によって前記ゲート電極から分離さ
    れており、前記分子がMott金属−絶縁遷移を受ける
    ことができる電界効果トランジスタ。
  2. 【請求項2】前記分子が不安定な電子を含むレドックス
    ・センタである、請求項1に記載のトランジスタ。
  3. 【請求項3】前記分子がD+-タイプ(ただし、D+
    有機ドナーであり、Y-はハロゲン・イオンである)で
    ある、請求項2に記載のトランジスタ。
  4. 【請求項4】前記分子がD+-タイプ(ただし、D+
    有機ドナーであり、A-は有機アクセプタである)であ
    る、請求項2に記載のトランジスタ。
  5. 【請求項5】前記D+がTTF(テトラチオフルバレ
    ン)であり、前記Y-がBrイオンである、請求項3に
    記載のトランジスタ。
  6. 【請求項6】前記D+がBEDT−TTF[ビス(エチ
    レンジチオ)−テトラチオフルバレン]であり、前記A
    -がTCNQ(有機テトラシアノ−p−キノジメタン)
    である、請求項4に記載のトランジスタ。
  7. 【請求項7】前記分子が不安定な正孔を含んでいるレド
    ックス・センタである、請求項1に記載のトランジス
    タ。
  8. 【請求項8】前記分子がX+-タイプ(ただし、Xはア
    ルカリ金属であり、Aは有機アクセプタである)であ
    る、請求項7に記載のトランジスタ。
  9. 【請求項9】前記分子がD+-タイプ(ただし、D+
    有機ドナーであり、A-は有機アクセプタである)であ
    る、請求項7に記載のトランジスタ。
  10. 【請求項10】前記X+がアルカリ金属であり、前記A-
    がTCNQ(有機テトラシアノ−p−キノジメタン)ま
    たはC60である、請求項8に記載のトランジスタ。
  11. 【請求項11】前記D+がTMPD(N,N,N',N'
    −テトラメチル−p−フェニレンジアミン)であり、前
    記A-がTCNQ(有機テトラシアノ−p−キノジメタ
    ン)である、請求項9に記載のトランジスタ。
  12. 【請求項12】ソース電極と、ドレイン電極と、第1の
    ゲート電極と、第2のゲート電極とを備え、前記ソース
    電極とドレイン電極の間に導通チャネルを有し、前記導
    通チャネルが第1の絶縁スペーサ層によって前記第1の
    ゲート電極から分離されており、かつ第2の絶縁スペー
    サ層によって前記第2のゲート電極から分離されてお
    り、前記分子がMott金属−絶縁遷移を受けることが
    できる電界効果トランジスタ。
  13. 【請求項13】前記分子が不安定な電子を含んでいるレ
    ドックス・センタである、請求項12に記載のトランジ
    スタ。
  14. 【請求項14】前記分子が不安定な正孔を含んでいるレ
    ドックス・センタである、請求項12に記載のトランジ
    スタ。
  15. 【請求項15】前記分子がマルチクロモフォルである、
    請求項12に記載のトランジスタ。
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