JPH1055516A - 磁気ヘッドおよびそれを用いた録再一体型磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッドおよびそれを用いた録再一体型磁気ヘッド

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JPH1055516A
JPH1055516A JP21462996A JP21462996A JPH1055516A JP H1055516 A JPH1055516 A JP H1055516A JP 21462996 A JP21462996 A JP 21462996A JP 21462996 A JP21462996 A JP 21462996A JP H1055516 A JPH1055516 A JP H1055516A
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Akio Hori
昭男 堀
Hiroaki Yoda
博明 與田
Norio Ozawa
則雄 小沢
Takeo Sakakubo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気ヘッドにおいて、例えば 10Gb/inch2
度まで対応可能な狭トラックを実現する上で、磁極先端
部によるスロートハイト、トラック幅、さらには磁極後
部との接合面積等を容易に制御することを可能にする。 【解決手段】 下部磁極18上に磁気ギャップ層21が
形成され、この磁気ギャップ層21上に、トレンチ
(溝)24内に埋め込まれた磁極先端部半体23aと、
媒体対向面Sから後退した位置に配置され、磁極先端部
半体23aと一部が積層された磁極後部半体23bとを
有する上部磁極23が設けられている。磁極先端部半体
23aの形成部位となるトレンチ24内には、コイル2
5を絶縁するためのコイル絶縁層26の端部が存在して
おり、コイル絶縁層26の端部で媒体対向面Sからの長
さが規定されている。あるいは、連続して形成される上
部磁極の先端部の形成部位となるトレンチ内に、コイル
絶縁層の端部を存在させ、このコイル絶縁層の端部で媒
体対向面からの長さを規定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドおよび
それを用いた記録・再生一体型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の高密度化が進み、VT
Rでは500Mb/inch2 、HDDでは 200Mb/inch2 という
高記録密度のシステムが実用化されており、またさらな
る高密度化が要求されている。このような高記録密度化
に伴って、狭トラック化は必須の課題である。例えば、
200Mb/inch2 のHDDの場合、トラック幅は 7μm 、ト
ラック間距離は 2μm 程度であり、トラック幅公差はト
ラック間距離(2μm)程度とすれば要求に応えることがで
きた。しかし、さらなる高記録密度化に対応するために
は、トラック幅は 5〜 6μm 以下にする必要があり、公
差も 0.5μm 以下が要求される。さらに、 10Gb/inch2
程度の高記録密度化に向けては、トラック幅 1μm 以
下、公差 0.1μm 程度が要求されることが予測される。
これらに応えるためには、磁気ヘッドの大幅な改善が必
要となる。
【0003】ところで、従来の薄膜磁気ヘッドにおいて
は、トラック幅加工はパーマロイ等の選択メッキにより
行っており、トラック幅精度は選択メッキ前のPEP工
程(フォト・エングレイブメント・プロセス)における
レジストのパターニング精度で決定される。この場合、
上部磁極の形成前の下地段差は10μm 程度あり、この段
差を十分被覆するためには下地段差と同程度のレジスト
厚さが必要で、塗布方法を工夫しても 5μm 程度のレジ
スト厚が最低必要となる。このため、コンタクト露光で
のフレネル回折に基くボケの大きさが 3.5μm 程度とな
り、遠い将来のトラック幅精度はもとより、200Mb/inch
2 (トラック間距離(ガードバンド)〜2μm 程度)に
も対応できない。
【0004】そこで、上部磁極を略扇形状をなす先端部
半体と、後部ギャップ部まで延在する後部半体とで構成
し、先端部半体を下地段差が比較的小さい製造初期の段
階でイオンビームミリング法で形成して、加工公差を小
さくしようとする方法が提案されている。しかし、上部
磁極の先端部半体をイオンビームミリング法で作製する
限り、レジストマスク寸法と最終の磁極の寸法の差が大
きくなり、 10Gb/inch2 までは到底対応することができ
ない。また、イオンビームミリング法で作製する限り、
そのレ−トが数10nm/minと遅く、生産性の向上を図るこ
とができない。また、略扇形状をなす先端部半体を、選
択メッキプロセスで形成する方法もあるが、選択メッキ
を用いる限りレジストマスク寸法と段差を無視すること
はできず、少なくとも下部磁極と上部磁極との合計厚さ
(約 6μm )程度の厚膜レジストをパターニングする必
要があるため、厚膜レジスト自体のパターニング公差が
大きくなってしまう。またさらに、微細部への選択メッ
キは極度に困難である。一方、このような課題に対し
て、例えば 10Gb/inch2 まで対応可能な狭トラックの寸
法交差と量産性を共に満足させるために、例えば図8に
示すように、上部磁極1の先端部半体1aを、予め絶縁
層2で形成したトレンチ3内に磁性体をコリメーション
スパッタ等で埋め込んで形成した薄膜磁気ヘッドが提案
されている(特開平7-141621号公報参照)。なお、図8
において、1bは上部磁極1の先端部半体1aに一部積
層された後部半体、4は磁気ギャップ、5は下部磁極、
6は図示を省略したコイルが埋め込まれたコイル絶縁層
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た上部磁極1の先端部半体1aをトレンチ3内に埋め込
み形成する薄膜磁気ヘッドにおいては、トレンチ3の形
状に由来して磁極先端部半体1aの形状精度を確保する
ことが難しいという問題が生じる。
【0006】すなわち、トラック幅を規定するトレンチ
3は、例えばSiO2 等からなる絶縁層2上にレジスト
マスクを形成した後、RIE(リアクティブイオンエッ
チング)等のエッチングを施して作製するため、例えば
図9の平面図に示すように、レジストマスクの形状を反
映して、トレンチ3の端部がR形状となってしまう。こ
れは、レジストは矩形パターンで露光現像しても、ポス
トベーク後に最小表面積を保って安定になろうとするた
め、レジストマスクを用いる限り、端部のR形状は回避
することができないためである。
【0007】例えば、 10Gb/inch2 まで対応可能な狭ト
ラックの薄膜磁気ヘッドを作製する場合、上述したよう
な端部にR形状を有するトレンチ3では、記録磁界を規
定する記録ヘッドのスロートハイトhを正確に制御する
ことは困難であり、また磁極先端部半体1aと磁極後部
半体1bとの接合面積を一定に保つことが難しい。これ
らはいずれも発生磁界の強度等に影響を及ぼすことか
ら、薄膜磁気ヘッドの歩留りや信頼性を低下させること
になる。なお、スロートハイトhは、下部磁極5と最短
距離で対向する上部磁極1の部分領域について、媒体対
向面から奥への距離とするものである。
【0008】さらに、図9に示したように、トレンチ3
の端部でスロートハイトhを規定する構造では、スロー
トハイトhを短くするためにはトレンチ3の端部を媒体
対向面Sに近付けるしかない。この構造では、スロート
ハイトhがトレンチ3端部のR形状におけるd2 より短
くなると、媒体対向面Sでのトレンチ3の幅が仕様値(2
1 )より小さくなり、トラック幅の制御が困難になる
という問題が生じる。本発明は、このような課題に対処
するためになされたもので、例えば 10Gb/inch2 程度ま
で対応可能な狭トラックを実現する上で、磁極先端部に
よるスロートハイト、トラック幅、さらには磁極後部と
の接合面積等を容易に制御することを可能にした磁気ヘ
ッドを提供することを目的としており、さらにそのよう
な磁気ヘッドを用いた録再一体型磁気ヘッドを提供する
ことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の磁気ヘッ
ドは、下部磁極と、前記下部磁極上に形成された磁気ギ
ャップ層と、媒体対向面側に溝が備えられ、前記磁気ギ
ャップ層上に形成された第1の絶縁層と、前記溝内部の
前記媒体対向面より奥の部分領域に形成された第2の絶
縁層と、前記第1の絶縁層上に形成されたコイルと、前
記コイルを覆うコイル絶縁層と、前記溝内部の他の部分
領域、前記第2の絶縁層上および前記コイル絶縁層上に
形成された上部磁極とを具備することを特徴としてい
る。
【0010】請求項2記載の磁気ヘッドは、上記した請
求項1記載の磁気ヘッドにおいて、第2の絶縁層と前記
コイル絶縁層とは同一層であることを特徴としている。
【0011】請求項3記載の磁気ヘッドは、上記した請
求項1記載の磁気ヘッドにおいて、前記上部磁極は、前
記溝内部の部分領域に形成された磁極先端部半体と、こ
の磁極先端部半体上、前記第2の絶縁層上および前記コ
イル絶縁層上に形成された磁極後部半体とからなること
を特徴としている。
【0012】請求項4記載の録再一体型磁気ヘッドは、
磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の下側に形成さ
れた下側磁気シールド層と、前記下側磁気シールド層と
共に再生用磁気ギャップ層を介して前記磁気抵抗効果膜
を挟持しかつ下部磁極を構成する上側磁気シールド層
と、前記上側磁気シールド層上に形成された記録用磁気
ギャップ層と、媒体対向面側に溝が備えられ、前記記録
用磁気ギャップ層上に形成された第1の絶縁層と、前記
溝内部の前記媒体対向面より奥の部分領域に形成された
第2の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成されたコイ
ルと、前記コイルを覆うコイル絶縁層と、前記溝内部の
他の部分領域、前記第2の絶縁層上および前記コイル絶
縁層上に形成された上部磁極とを具備することを特徴と
している。請求項1記載の磁気ヘッドにおいては、上部
磁極の先端部の形成部位となる第1の絶縁層に設けた溝
の媒体対向面より奥の部分領域に、第2の絶縁層例えば
請求項2記載の磁気ヘッドのようにコイル絶縁層の端部
を存在させているため、上部磁極の先端部がレジストに
起因するR形状となることを防止することができる。そ
して、第2の絶縁層の端部で媒体対向面からの長さを規
定しているため、上部磁極のスローハイトを正確に制御
することが可能となる。さらに、スローハイトを例えば
溝の幅より短く設定する場合においても、媒体対向面か
ら溝端部を十分に離し、かつ第2の絶縁層の端部を媒体
対向面に近付けることによって、溝端部のR形状を媒体
対向面に露出させない構造とすることができる。よっ
て、トラック幅を精度よく制御することができる。
【0013】また、請求項3記載の磁気ヘッドにおいて
は、上部磁極を磁極先端部半体と磁極後部半体に分割し
て作製しており、この場合磁極先端部半体と磁極後部半
体との接合面積を一定に保ちやすくなり、プロセス再現
性がさらに向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0015】図1および図2は、本発明の磁気ヘッドを
録再一体型磁気ヘッドに適用した一実施形態を説明する
ための図面であり、図1は録再一体型磁気ヘッドの断面
図、図2は要部を一部断面で示す斜視図である。
【0016】これらの図において、11はAl2 3
きAl2 3 ・TiC等からなる基板であり、この基板
11上にはアモルファスCoZrNb合金等のアモルフ
ァス軟磁性体やNiFe合金、FeSiAl合金等の結
晶質軟磁性体からなる下側磁気シールド層12が形成さ
れている。下側磁気シールド層12上には、Al2 3
等の非磁性絶縁膜からなる下側再生磁気ギャップ層13
を介して、磁気抵抗効果膜(MR膜)14が形成されて
いる。
【0017】上記MR膜14としては、例えば電流の方
向と磁性層の磁化モーメントの成す角度に依存して電気
抵抗が変化するNi80Fe20等からなる異方性磁気抵抗
効果膜や、強磁性膜と非磁性膜との積層膜構造を有し、
各強磁性層の磁化の成す角度に依存して電気抵抗が変化
する、いわゆるスピンバルブ効果を示すCo90Fe10
Cu/Co90Fe10積層膜等からなるスピンバルブ膜、
あるいは巨大磁気抵抗効果を示す人工格子膜が例示され
る。また、MR膜14の両端には、Cu等からなる一対
のリード15(図1はその一方を示す)が電気的に接続
されており、これらMR膜14およびリード15により
MR素子16が構成されている。
【0018】MR素子16上には、Al2 3 等の非磁
性絶縁膜からなる上側再生磁気ギャップ層17が形成さ
れており、さらにその上には下側磁気シールド層12と
同様な軟磁性材料からなる上側磁気シールド層18が形
成されている。これらによって、再生ヘッド(再生部)
として機能するシールド型MRヘッド19が構成されて
いる。
【0019】上述したシールド型MRヘッド19からな
る再生ヘッド上には、誘導型の薄膜磁気ヘッド20から
なる記録ヘッド(記録部)が形成されている。シールド
型MRヘッド19の上側磁気シールド層18は、誘導型
薄膜磁気ヘッド20の下側磁極を兼ねるものであり、こ
の上側磁気シールド層を兼ねる下側磁極18上には、A
2 3 等の非磁性絶縁材料からなる記録磁気ギャップ
層21が形成されている。
【0020】記録磁気ギャップ層21上には、第1の絶
縁層としてSiO2 等からなるトレンチ形成用絶縁層2
2が設けられており、このトレンチ形成用絶縁層22に
上部磁極23の磁極先端部半体23aの形成位置となる
トレンチ(溝)24が設けられている。このトレンチ2
4の形状については後に詳述する。トレンチ形成用絶縁
層22上には、Cu等からなるコイル25が形成されて
おり、このコイル25はレジスト等のコイル絶縁層26
で覆われている。
【0021】トレンチ24の媒体対向面Sとは反対側の
端部内には、コイル25を絶縁するコイル絶縁層26の
端部が存在しており、このコイル絶縁層26の端部で媒
体対向面Sからの距離を規定している。すなわち、トレ
ンチ24内部の媒体対向面Sより奥の部分領域に形成さ
れる第2の絶縁層は、コイル絶縁層26と同一層とされ
ている。
【0022】このコイル絶縁層26の端部で媒体対向面
Sからの距離が規定されたトレンチ24内、すなわちト
レンチ24内部の他の部分領域には、アモルファスCo
ZrNb合金等のアモルファス軟磁性体やNiFe合
金、FeSiAl合金等の結晶質軟磁性体が埋め込まれ
ており、この軟磁性体が磁極先端部半体23aを構成し
ている。磁極先端部半体23aの後方には、上部磁極2
3の磁極後部半体23bが、磁極先端部半体23aと一
部積層するように形成されている。すなわち、磁極後部
半体23bは、磁極先端部半体23a上、第2の絶縁層
を兼ねるコイル絶縁層26上に形成されている。この磁
極後部半体23bの先端は、媒体対向面Sから後退した
位置に存在している。
【0023】磁極先端部半体23aと磁極後部半体23
b上には、Al2 3 等からなる保護層27が形成され
て、誘導型薄膜磁気ヘッド20の電磁変換部の主要部が
構成されている。そして、前述したシールド型MRヘッ
ド19からなる再生ヘッド(再生部)と、この誘導型薄
膜磁気ヘッド20からなる記録ヘッド(記録部)とによ
って、記録・再生一体型磁気ヘッド28が構成されてい
る。
【0024】次に、上記実施形態の録再一体型磁気ヘッ
ド28の製造工程について述べる。まず、基板11上に
下側磁気シールド層12、下側再生磁気ギャップ層13
を順に形成し、この下側再生磁気ギャップ層13上にM
R膜14を形成する。このMR膜14を所定形状にパタ
ーニングした後、MR膜14の両端に一対のリード15
を形成してMR素子16とする。このMR素子16上に
上側再生磁気ギャップ層17、上側磁気シールド層18
を順に形成して、シールド型MRヘッド19を作製す
る。
【0025】次に、上記したシールド型MRヘッド19
の上側磁気シールド層を兼ねる下側磁極18上に、記録
磁気ギャップ層21を形成し、その上にSiO2 等から
なるトレンチ形成用絶縁層22を形成する。そして、こ
のトレンチ形成用絶縁層22上にレジストマスクを形成
した後、CF4 等のガスによりトレンチ形成用絶縁層2
2をRIE等の手段によりエッチングして、図3に示す
ように、トレンチ形成用絶縁層22にトレンチ24を形
成する。
【0026】このトレンチ24の媒体対向面Sとは反対
側の端部24aは、レジストマスクの形状を反映してR
形状となるが、このR形状の端部24aがスローハイト
や記録トラック幅等に影響を及ぼさないように、媒体対
向面Sから十分に離れた位置となるようトレンチ24の
長さを設定する。
【0027】次いで、トレンチ形成用絶縁層22の後方
上にコイル25を形成した後、このコイル25をレジス
ト等からなるコイル絶縁層26で覆う。この際、その端
部がトレンチ24内に入るようにコイル絶縁層26を形
成し、このレジスト等からなるコイル絶縁層26を所定
の形状に現像、露光する際、図4に示すように、コイル
絶縁層26の端部が媒体対向面Sから所定の距離hとな
るようにパターニングする。
【0028】すなわち、このコイル絶縁層26の端部で
媒体対向面Sからの距離hを規定している。ここで、コ
イル絶縁層26の端部位置は、コイル絶縁層26として
レジストを用いる場合、レジストの種類やそのベーク温
度等を制御することにより正確に規定することができ
る。
【0029】そして、このコイル絶縁層26の端部で媒
体対向面Sからの距離hを規定したトレンチ24内に、
前述したような軟磁性体を例えばコリメーションスパッ
タで埋め込み、その後ポリッシングやエッチバック等で
不要部分を取り除くことによって、図5に示すようにト
レンチ24内に磁極先端部半体23aを形成する。この
後、図2に示したように、トレンチ24内の磁極先端部
半体23aと一部が積層するように、磁極後部半体23
bを形成する。
【0030】このように、トレンチ24の媒体対向面S
とは反対側の端部24aを媒体対向面Sから十分に離れ
た位置とし、この端部24a側にコイル絶縁層26の一
部を存在させることによって、レジストマスクの形状を
反映したトレンチ端部24aのR形状をコイル絶縁層2
6で埋めることができる。よって、このトレンチ24内
に埋め込み形成した磁極先端部半体23aは、その媒体
対向面Sとは反対側の端部がR形状となることはない。
【0031】また、図6に示すように、トレンチ24は
コイル絶縁層26の端部で媒体対向面Sからの距離hが
規定されているため、磁極先端部半体23aの媒体対向
面Sからの距離、すなわちスローハイトを正確に制御す
ることができる。さらに、磁極先端部半体23aと磁極
後部半体23bとの接合面積を一定に保つことができ
る。加えて、トレンチ端部24aにトレンチ幅が狭くな
るR形状が存在していないため、軟磁性体のコリメーシ
ョンスパッタ等による埋め込み形成を均一に実施するこ
とができる。すなわち、磁極先端部半体23aとなる軟
磁性体が均一に成長しやすくなり、磁極先端部半体23
aの磁気特性の向上を図ることができる。さらに、媒体
対向面Sからの距離hをコイル絶縁層26の端部で規定
したトレンチ24内に磁極先端部半体23aを形成して
いるため、スローハイトをトラック幅より短く設定する
場合においても、図6に示すようにトレンチ端部24a
のR形状を媒体対向面Sに露出させない構造とすること
ができる。従って、磁極先端部半体23aによりトラッ
ク幅を正確に規定することが可能となる。
【0032】言い換えると、コイル絶縁層26の端部を
トレンチ24内に存在させ、かつこのコイル絶縁層26
の端部でスロートハイトhを規定しているため、トレン
チ形成用絶縁層22に形成する当初のトレンチ24は、
その端部24aが媒体対向面Sから十分に離れた位置と
することができる。従って、トレンチ24をトレンチ形
成用絶縁層22にRIE等で作製する際に、レジストマ
スクの形状を反映してトレンチ端部24aがR形状とな
っても、このトレンチ端部24aのR形状がスロートハ
イト、トラック幅、磁極後部半体との接合面積等に影響
を及ぼすことはない。
【0033】これらによって、幅 1μm 以下というよう
な狭トラックを実現する場合においても、上部磁極23
の形状精度を再現性よく確保することができる。すなわ
ち、10Gb/inch2 程度まで対応可能な狭トラックの薄膜
磁気ヘッド20を再現性よく作製することが可能とな
る。また、このような誘導型の薄膜磁気ヘッド20とシ
ールド型MRヘッド19とを組合せて録再一体型磁気ヘ
ッド28を構成することによって、高記録密度化への対
応を図った記録再生特性に優れた磁気ヘッドを提供する
ことができる。
【0034】次に、本発明の他の実施形態について、図
7を参照して説明する。図7に示す録再一体型磁気ヘッ
ド29は、前述した実施形態と同一構成のシールド型M
R19を有している。このシールド型MRヘッド19か
らなる再生ヘッド(再生部)上には、誘導型の薄膜磁気
ヘッド30からなる記録ヘッド(記録部)が形成されて
いる。シールド型MRヘッド19の上側磁気シールド層
18は、誘導型薄膜磁気ヘッド30の下側磁極を兼ねる
ものであり、この上側磁気シールド層を兼ねる下側磁極
18上には、Al2 3 等の非磁性絶縁材料からなる記
録磁気ギャップ層21が形成されている。
【0035】記録磁気ギャップ層21上には、第1の絶
縁層としてSiO2 等からなるトレンチ形成用絶縁層2
2が設けられており、このトレンチ形成用絶縁層22に
上部磁極30の先端部30aの形成位置となるトレンチ
(溝)24が設けられている。トレンチ形成用絶縁層2
2上には、Cu等からなるコイル25が形成されてお
り、このコイル25はレジスト等のコイル絶縁層26で
覆われている。
【0036】トレンチ24の媒体対向面Sとは反対側の
端部内には、コイル絶縁層26の端部が存在しており、
このコイル絶縁層26の端部で媒体対向面Sからの距離
hを規定している。すなわち、コイル絶縁層26はトレ
ンチ24内部の媒体対向面Sより奥の部分領域に形成さ
れる第2の絶縁層を兼ねている。
【0037】上部磁極31を構成するアモルファスCo
ZrNb合金等のアモルファス軟磁性体やNiFe合
金、FeSiAl合金等の結晶質軟磁性体は、その一部
がコイル絶縁層26の端部で媒体対向面Sからの距離が
規定されたトレンチ24内、すなわちトレンチ24内部
の他の部分領域に埋め込まれ、かつこの埋め込み部から
後方に連続するように形成されている。すなわち、上部
磁極31はトレンチ24内に埋め込まれた先端部31a
と、この先端部31aから連続して後方に向けて、第2
の絶縁層を兼ねるコイル絶縁層26上に成膜された後方
部31bとにより構成されている。
【0038】上述した上部磁極31上には、Al2 3
等からなる保護層27が形成されており、これらによっ
て誘導型薄膜磁気ヘッド30の電磁変換部の主要部が構
成されている。そして、前述したシールド型MRヘッド
19からなる再生ヘッド(再生部)と、この誘導型薄膜
磁気ヘッド30からなる記録ヘッド(記録部)とによっ
て、録再一体型磁気ヘッド29が構成されている。
【0039】この実施形態の録再一体型磁気ヘッド29
においても、トレンチ24の媒体対向面Sとは反対側の
端部を媒体対向面Sから十分に離れた位置とし、この端
部側にコイル絶縁層26の一部を存在させているため、
レジストマスクの形状を反映したトレンチ端部のR形状
をコイル絶縁層26で埋めることができ、よって上部磁
極31の先端部31aの媒体対向面Sとは反対側の端部
がR形状となることはない。
【0040】また、トレンチ24はコイル絶縁層26の
端部で媒体対向面Sからの距離が規定されているため、
上部磁極31の先端部31aの媒体対向面Sからの距
離、すなわちスローハイトを正確に制御することができ
る。さらに、トレンチ端部にトレンチ幅が狭くなるR形
状が存在していないため、軟磁性体のコリメーションス
パッタ等による埋め込み形成を均一に実施することがで
きる。すなわち、上部磁極31を構成する軟磁性体が均
一に成長しやすくなり、上部磁極31の磁気特性の向上
を図ることができる。
【0041】さらに、媒体対向面Sからの距離をコイル
絶縁層26の端部で規定したトレンチ24内に上部磁極
31の先端部31aを埋め込み形成しているため、スロ
ーハイトをトラック幅より短く設定する場合において
も、トレンチ端部のR形状を媒体対向面Sに露出させな
い構造とすることができる。従って、上部磁極31の先
端部31aによりトラック幅を正確に規定することが可
能となる。
【0042】このように、レジストマスクの形状を反映
してトレンチ端部がR形状となっても、このトレンチ端
部のR形状がスロートハイト、トラック幅等に影響を及
ぼすことはないため、幅 1μm 以下というような狭トラ
ックを実現する場合においても、上部磁極31の形状精
度を再現性よく確保することができる。すなわち、10Gb
/inch2 程度まで対応可能な狭トラックの薄膜磁気ヘッ
ド30を再現性よく作製することが可能となる。また、
この実施形態における薄膜磁気ヘッド30では、上部磁
極31を先端部31aから後方部31bまで連続して形
成しているため、製造工数の削減等を図ることができ
る。
【0043】ただし、上部磁極先端部の媒体対向面Sに
露出する形状の制御性については、上部磁極の後方部す
なわち磁極後部半体23bの位置を正確に制御できるこ
とから、前述した第1の実施形態の方が有利である。
【0044】そして、上述したような誘導型薄膜磁気ヘ
ッド30とシールド型MRヘッド19とを組合せて録再
一体型磁気ヘッド29を構成することによって、高記録
密度化への対応を図った記録再生特性に優れた磁気ヘッ
ドを提供することができる。なお、上述した各実施形態
では、上部磁極の先端部のみをトレンチ内に埋め込み形
成する場合について説明したが、下部磁極についても上
側再生磁気ギャップ層17上に、前述したトレンチ形成
用絶縁層22と同様な他のトレンチ形成用絶縁層を形成
し、この他のトレンチ形成用絶縁層に形成したトレンチ
内に一部を埋め込むことによって、上部磁極の先端部の
形状制御性を高めることができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気ヘッ
ドによれば、磁極先端部によるスロートハイト、トラッ
ク幅、さらには磁極後部との接合面積等を容易に制御す
ることができる。従って、例えば 10Gb/inch2 程度まで
対応可能な狭トラックの磁気ヘッドを再現性よく提供す
ることが可能となる。また、本発明の録再一体型磁気ヘ
ッドによれば、高記録密度化への対応を図った上で、優
れた記録再生特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁気ヘッドを録再一体型磁気ヘッド
に適用した一実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図2】 図1に示す録再一体型磁気ヘッドの要部を一
部断面で示す斜視図である。
【図3】 図1に示す録再一体型磁気ヘッドの要部製造
工程の一部を示す断面図である。
【図4】 図3以降の録再一体型磁気ヘッドの製造工程
を示す断面図である。
【図5】 図4以降の録再一体型磁気ヘッドの製造工程
を示す断面図である。
【図6】 図1に示す録再一体型磁気ヘッドのトレンチ
構造を示す平面図である。
【図7】 本発明の磁気ヘッドを録再一体型磁気ヘッド
に適用した他の実施形態の概略構成を示す断面図であ
る。
【図8】 従来の磁気ヘッドの一構成例を一部断面で示
す斜視図である。
【図9】 図8に示す磁気ヘッドのトレンチ構造を示す
平面図である。
【符号の説明】
12……下側磁気シールド層 14……磁気抵抗効果膜(MR膜) 18……上側磁気シールド層を兼ねる下側磁極 19……シールド型MRヘッド 20……誘導型薄膜磁気ヘッド 21……記録磁気ギャップ層 22……トレンチ形成用絶縁層 23、30……上部磁極 23a……磁極先端部半体 23b……磁極後部半体 24……トレンチ 25……コイル 26……コイル絶縁層 30a……上部磁極の先端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀 昭男 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 與田 博明 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 小沢 則雄 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 坂久保 武男 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 小泉 隆 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部磁極と、 前記下部磁極上に形成された磁気ギャップ層と、 媒体対向面側に溝が備えられ、前記磁気ギャップ層上に
    形成された第1の絶縁層と、 前記溝内部の前記媒体対向面より奥の部分領域に形成さ
    れた第2の絶縁層と、 前記第1の絶縁層上に形成されたコイルと、 前記コイルを覆うコイル絶縁層と、 前記溝内部の他の部分領域、前記第2の絶縁層上および
    前記コイル絶縁層上に形成された上部磁極とを具備する
    ことを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気ヘッドにおいて、 前記第2の絶縁層と前記コイル絶縁層とは同一層である
    ことを特徴とする磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の磁気ヘッドにおいて、 前記上部磁極は、前記溝内部の部分領域に形成された磁
    極先端部半体と、この磁極先端部半体上、前記第2の絶
    縁層上および前記コイル絶縁層上に形成された磁極後部
    半体とからなることを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 磁気抵抗効果膜と、 前記磁気抵抗効果膜の下側に形成された下側磁気シール
    ド層と、 前記下側磁気シールド層と共に再生用磁気ギャップ層を
    介して前記磁気抵抗効果膜を挟持し、かつ下部磁極を構
    成する上側磁気シールド層と、 前記上側磁気シールド層上に形成された記録用磁気ギャ
    ップ層と、 媒体対向面側に溝が備えられ、前記記録用磁気ギャップ
    層上に形成された第1の絶縁層と、 前記溝内部の前記媒体対向面より奥の部分領域に形成さ
    れた第2の絶縁層と、 前記第1の絶縁層上に形成されたコイルと、 前記コイルを覆うコイル絶縁層と、 前記溝内部の他の部分領域、前記第2の絶縁層上および
    前記コイル絶縁層上に形成された上部磁極とを具備する
    ことを特徴とする録再一体型磁気ヘッド。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6278580B1 (en) 1998-10-15 2001-08-21 Tdk Corporation Composite type thin film magnetic head that includes a pole chip and a top pole and an insulating layer that acts as an etching stopper during anisotropic etching
KR100334833B1 (ko) * 1999-03-24 2002-04-27 가타오카 마사타카 박막 자기헤드 및 그 제조방법
US6826012B1 (en) 1999-07-08 2004-11-30 Tdk Corporation Thin-film magnetic head and method of manufacturing same
US7012784B2 (en) 1999-07-08 2006-03-14 Tdk Corporation Thin-film magnetic head and method of manufacturing same

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