JPH1054516A - ガス化炉バーナ - Google Patents

ガス化炉バーナ

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Publication number
JPH1054516A
JPH1054516A JP22438496A JP22438496A JPH1054516A JP H1054516 A JPH1054516 A JP H1054516A JP 22438496 A JP22438496 A JP 22438496A JP 22438496 A JP22438496 A JP 22438496A JP H1054516 A JPH1054516 A JP H1054516A
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JP
Japan
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burner
heat
undercoat
top coat
porosity
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Withdrawn
Application number
JP22438496A
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English (en)
Inventor
Yoshio Harada
良夫 原田
Tatsuo Minazu
竜夫 水津
Toshio Tsujino
敏男 辻野
Kotaro Katagiri
光太郎 片桐
Yutaka Itonaga
裕 糸永
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UBE AMMONIA KOGYO KK
Tocalo Co Ltd
Ube Corp
Original Assignee
UBE AMMONIA KOGYO KK
Tocalo Co Ltd
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温還元性雰囲気中での耐久性を大幅に改善
した特に化石燃料のガス化炉に用いられるガス化炉バー
ナを提供する。 【解決手段】 耐熱鋼または耐熱合金製バーナ基材の表
面、すなわちバーナチップ先端部分に形成された水冷ジ
ャケットの先端面部にCo、Ni、Cr、Alのうちか
ら、少なくとも2種を含む合金材料、またはこれにY、
Hf、Ta、Si、Bなどを少なくとも1種を添加した
合金材料を溶射法によって厚さ50〜1000μm、気
孔率0.3〜8%の範囲にアンダーコート34を施工す
る。その後、アンダーコート34の上にY23、Ca
O、CeO2、MgOのなかから少なくとも1種を含む
ZrO2系セラミックスを溶射法によって厚さ30〜1
000μm、気孔率8〜20%の範囲にトップコート3
6を被覆させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガス化炉バーナに係
り、特に石炭、石油などの化石燃料の燃焼用に適用する
のに好適なガス化炉バーナに関するものであり、同様な
燃焼雰囲気に暴露される金属製部材にも適用可能なバー
ナ技術である。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素含有気体等のガス化剤を用い
て、石炭あるいは石油コークスなどの固定炭素質原料を
ガス化する方式として、固体炭素質原料を湿式粉砕して
スラリー化した後、ガス化炉内に供給し、これをガス化
剤の酸素により部分酸化して、一酸化炭素および水素を
主成分とする可燃性ガスを生成させるプロセスとしてテ
キサコ法が広く行われている(特開昭54−15903
号公報、特開昭55−65296号公報、特開昭56−
16592号公報、特開昭58−208386号公報な
ど)。このプロセスでは、固体炭素質原料のスラリーが
酸素含有ガスとともにバーナにより反応炉に噴霧され、
反応温度が980〜1900℃、反応圧力が10〜25
0Kg/cm2の条件下におかれた炉内で、固体燃料の部分酸
化反応が行われるのである。
【0003】図2はテキサコ法による化石燃料のガス化
装置の系統図である。化石燃料のスラリーを攪拌機1に
より攪拌しつつ一時貯溜するタンク2を備え、このタン
ク2からポンプ3により燃料スラリーをガス化炉バーナ
4に供給するようにしている。ガス化炉バーナ4では、
スラリーを化石燃料の理論燃焼酸素量の40〜60%の
量の酸素とともにガス化炉5に噴霧し、1250〜14
50℃の温度、20〜80気圧の炉内圧力下でガス化
(部分酸化)される。ガス化炉5の下部には急冷室6が
設けられ、反応室7とスロート部8により連通されてい
る。反応室7で発生したガスは急冷室6の水中に吹き込
まれ、水面上部に設けられた排出口9から取り出すよう
にしている。
【0004】ところで、従来のこの種のガス化炉バーナ
では、バーナチップの先端が反応室7内に臨まれ、高温
還元性ガスに晒される。このため、輻射熱や炉壁からの
熱伝導によりバーナチップが高温となるため、先端部を
冷却するようにしており、図3に示すように、冷却ジャ
ケット10によりバーナチップ先端部を囲み、冷却導管
をバーナ周囲に巻回して冷却水を流して冷却する構造と
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のガス化炉バーナでは、次のような問題点を抱えてい
たものである。 (1)、現在の化石燃料を燃焼するガス化炉バーナは、
環境の高熱や燃焼炎の輻射熱の影響を受ける一方、バー
ナ部材の過熱を防止するために行われている冷却水作用
によって大きな熱歪が発生する。この状態が長時間続い
たり高温被曝と冷却が繰り返し行われるとバーナ部材に
熱疲労亀裂が発生するとともに、これが成長して部材が
甚だしく損耗し、その機能を早期に消失する。 (2)、バーナ部材が環境の高温と燃焼ガス成分による
還元性雰囲気下における高温腐食作用によって、浸炭、
脱炭、硫化、酸化などの現象によって損耗する。またこ
れらの現象の発生によって耐熱疲労性が著しく低下す
る。
【0006】このようなことから、従来のガス化炉バー
ナではチップ先端エッジに放射状のクラックが入る等の
問題があり、ガス化炉バーナの耐久性の向上を図ること
が課題となっていた。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に着目し、耐
久性を大幅に改善することができるようにしたガス化炉
バーナを提供することを目的としている。また、特に化
石燃料のガス化炉にて還元性雰囲気中に用いられる場合
にも耐久性を向上させることができるガス化炉バーナを
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るガス化炉バーナは、第1に化石燃料ス
ラリを部分酸化してガス化するためのガス化炉バーナで
あって、耐熱鋼または耐熱合金製バーナ基材の表面にC
o、Ni、Cr、Alのうちから、少なくとも2種を含
む合金材料、またはこれにY、Hf、Ta、Si、Bな
どを少なくとも1種を添加した合金材料を溶射法によっ
てアンダーコートを施工した後、その上にY23、Ca
O、CeO2、MgOのなかから少なくとも1種を含む
ZrO2系セラミックスを溶射法によってトップコート
を被覆させたことを特徴とするものである。
【0009】第2には、耐熱鋼または耐熱合金製バーナ
基材の表面にCo、Ni、Cr、Alのうちから少なく
とも2種を含む合金材料、またはこれにY、Hf、T
a、Ce、Si、Bなどを少なくとも1種を添加した材
料を用いて厚さ50〜1000μm、気孔率0.3〜8
%の範囲にアンダーコートを溶射施工し、その上にY2
3、CaO、CeO2、MgOのなかから少なくとも1
種を含むZrO2系セラミックスを溶射法によってトッ
プコートを被覆させたことを特徴としている。
【0010】また、第3には、耐熱鋼または耐熱合金製
バーナ基材の表面にCo、Ni、Cr、Alのうちか
ら、少なくとも2種を含む合金材料、またはこれにY、
Hf、Ta、Ce、Si、Bなどを少なくとも1種を添
加した材料を用いて溶射法によってアンダーコート施工
した後、その上に被覆するY23、CaO、CeO2
MgOのなかから少なくとも1種を含むZrO2系セラ
ミックスのトップコートが厚さ30〜1000μm、気
孔率8〜20%の範囲にあることを特徴としている。
【0011】また、耐熱鋼または耐熱合金製バーナ基材
の表面にCo、Ni、Cr、Alのうちから、少なくと
も2種を含む合金材料、またはこれにY、Hf、Ta、
Si、Bなどを少なくとも1種を添加した合金材料を溶
射法によって厚さ50〜1000μm、気孔率0.3〜
8%の範囲にアンダーコートを施工した後、その上にY
23、CaO、CeO2、MgOのなかから少なくとも
1種を含むZrO2系セラミックスを溶射法によって厚
さ30〜1000μm、気孔率8〜20%の範囲にトッ
プコートを被覆させたことを特徴とするものである。
【0012】更に具体的には、化石燃料スラリを部分酸
化してガス化するためのガス化炉バーナであって、バー
ナ先端部に耐熱鋼または耐熱合金製バーナ基材により水
冷ジャケットを形成し、この水冷ジャケットの先端表面
にCo、Ni、Cr、Alのうちから、少なくとも2種
を含む合金材料、またはこれにY、Hf、Ta、Si、
Bなどを少なくとも1種を添加した合金材料を溶射法に
よってアンダーコートを施工した後、その上にY23
CaO、CeO2、MgOのなかから少なくとも1種を
含むZrO2系セラミックスを溶射法によってトップコ
ートを被覆させるとともに、前記アンダーコートが厚さ
50〜1000μm、気孔率0.3〜8%の範囲に溶射
施工され、前記トップコートが厚さ30〜1000μ
m、気孔率8〜20%の範囲に溶射施工されたことを特
徴とするものである。
【0013】
【作用】ガス化炉は、石炭あるいは石油コークスなどの
化石燃料に水を添加したスラリーを理論燃焼酸素量の4
0〜60%の量で燃焼させ、COとH2を製造するもの
であるが、この炉内雰囲気を構成するガス成分の種類
は、酸化性ガス(H2O、O2、CO2)、還元性ガス
(CO、H2)、非酸化性ガス(N2)が混在する非常に
複雑な雰囲気となっている。しかも、これらの性質の異
なるガス種が不規則に発生するとともに、不均等に分布
し、さらに全体としてはCO、H2を主成分とする還元
環境を構成している。このような環境下において、従
来、酸化性雰囲気下で使用されているMCrAlX合金
被膜が耐熱、耐高温腐食性を発揮するか否か明らかでな
かったが、本発明の実施によってはじめてMCrAlX
合金被膜の適用が可能であるとの結果が得られた。この
ように、全体として還元性雰囲気下にあるガス化炉にお
いて、MCrAlX合金被膜が優れた保護作用を示した
理由は、含有量の少ないH2O、O2、CO2などの酸化
性ガスと接触した際に、すばやくCr23、Al23
保護膜を生成し、その後CO、H2などの還元性ガスと
接触しても、その破壊作用を防止するものと考えられ
る。
【0014】また、Y23、CaO、CeO2、MgO
を添加したZrO2のトップコートは加熱、冷却に伴う
急激な体積変化を添加物により結晶構造を部分的に安定
して優れた断熱効果を与えるものである。
【0015】上記構成に加えて、トップコートに気孔率
が8〜20%となるように設定することにより、加熱−
冷却の繰返しによるセラミックス特有の熱衝撃性に弱い
欠点を補い、長期間にわたってトップコートとしての遮
熱効果を発揮させることができる。したがって、ガス化
炉バーナにおける特に冷却ジャケット部にて発生し易い
熱疲労亀裂の成長防止効果が極めて高い構造となってい
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図1は本発明に係るガス化炉バーナを示してお
り、同図(1)はバーナ縦断面、同図(2)は要部拡大
断面図である。このガス化炉バーナ20は、中心軸部に
形成される第1酸素流路22と、この酸素流路22の周
囲に同心円状に形成された化石燃料スラリー通路24
と、更にその周囲にやはり同心円状に形成された第2酸
素流路26とを有している。最外周の第2酸素流路26
を形成しているノズルチップ外套28の先端部外周には
ドーナツリング状の水冷ジャケット30を形成し、ここ
に冷却水を通流させるようにしている。水冷ジャケット
30には図3に示したようにノズルチップ外套28の周
囲に巻回される水管32が接続され、同時にノズルチッ
プ外套28の外周面部分の冷却をなすようにしている。
【0017】本発明は、上記バーナ20のチップ先端面
を構成している前記水冷ジャケット30における炉に対
面している先端面部分にCo、Ni、Cr、Alのうち
から、少なくとも2種を含む合金材料、またはこれに
Y、Hf、Ta、Si、Bなどを少なくとも1種を添加
した合金材料を溶射法によってアンダーコート34を施
工した後、その上にY23、CaO、CeO2、MgO
のなかから少なくとも1種を含むZrO2系セラミック
スを溶射法によってトップコート36を被覆させてなる
溶射被膜38を形成したものである。そして、特にトッ
プコート36は気孔率が8〜20%の多孔質溶射被膜と
するとともに、アンダーコート34はそれより低い0.
3〜8%の気孔率を有する孔質被膜としたものである。
【0018】ここで、このようなガス化炉バーナ20が
使用される環境の熱的および腐食的影響を述べた後、こ
れに対処するために採用した耐熱性および耐高温腐食性
に優れる溶射被覆38の施工プロセスと、その作用機構
について述べる。
【0019】(A)バーナが使用される環境 石炭や石油などの化石燃料を燃焼するガス化炉バーナ2
0は、燃焼炎による高温被曝とともに燃焼ガス成分によ
る腐食作用を受ける。すなわち、前者は化石燃料の燃焼
熱および燃焼炎の輻射熱が主体であり、通常1000〜
1500℃(石油ガス化の場合は1000〜1400
℃、石油コークスガス化の場合は1300〜1500
℃)の高熱を受ける。このため、ガス化炉バーナ20は
耐熱鋼、耐熱合金などの高級金属材料によって製造され
る一方、内部からガス化炉バーナ20を冷却する方式が
採用されている。
【0020】このように表面が高熱に曝され、内部が冷
却されているガス化炉バーナ20では内外の温度差に起
因する大きな熱歪が発生し、この状態が長時間継続され
たり、ガス化炉バーナ20の運転と停止が繰返されると
ガス化炉バーナ20に亀裂が発生するとともに、これが
成長してバーナ部材を破損することとなる。ガス化炉バ
ーナ20を構成する耐熱鋼や耐熱合金は、高温で長時間
使用するだけでも各種の金属間化合物の析出とその成長
などによって延性が低下してくるので、亀裂の発生は一
層容易となる。
【0021】一方、高温の燃焼ガス成分によるガス化炉
バーナ20の腐食作用は化石燃料の燃焼条件によって大
きな影響を受け、一般に完全燃焼ガス中では酸化反応が
主体となり、不完全燃焼ガス中では浸炭現象が優先す
る。後者の浸炭現象は耐熱鋼や耐熱合金中に必須の添加
金属として存在するCrと優先的に結合して炭化物を形
成するため、耐熱性の低下はもとより耐高温腐食性、さ
らには延性の低下を来し、亀裂の発生を誘発することと
なる。化石燃焼ガス中に不純物として硫黄化合物が含ま
れているときは、完全燃焼ガス中ではSO2、SO3など
の硫黄酸化物、不完全燃焼ガス中ではH2S、COSな
どの硫黄化合物として存在する。特に後者の硫黄化合物
は強い硫化腐食作用を有し、ガス化炉バーナ20の亀裂
部に多量に認められていることから、亀裂発生とその成
長にも大きな影響を与えているものと考えられる。
【0022】(B)本発明の溶射皮膜は、次のような溶
射材料によるアンダーコート34とトップコ−ト36を
施工することによって、ガス化炉バーナ20が運転中に
受ける高熱と高温腐食作用を防止するものである。以
下、本発明の溶射皮膜の施工プロセス順に説明する。
【0023】アンダーコート34の施工 アンダーコート材料としてCo、Ni、Cr、Alのう
ちから少なくとも2種を含む合金を溶射材料として用
い、ガス化炉バーナ20の先端面を構成している水冷ジ
ャケット30の先端表面に、溶射法によって50〜10
00μm厚に施工する。このアンダーコートの目的は、
ガス化炉バーナ20の燃焼ガスによる腐食作用を防ぐと
ともに、ガス化炉バーナ20と良好な密着性を発揮さ
せ、さらに後工程のZrO2系セラミックスのトップコ
ート36との結合性をも向上させるものである。このた
め、50μmより薄いと耐高温腐食性が十分でなく、ま
た1000μmより厚くするとアンダーコート34自体
の機械的強度が劣化するので得策でない。
【0024】また、アンダーコート34の耐高温腐食性
の点から気孔率を0.3〜8.0%の範囲に調整するの
がよい。大気中の溶射で、0.3%以下の気孔率を得る
ことは技術的に困難であり、また8%以上の気孔率では
十分な耐高温腐食性が得られない。本発明で使用できる
Co、Ni、Cr、Alのうち、少なくとも2種以上を
含む合金の成分としては次の範囲にあるものが好適であ
る。 Co:0〜70wt% Ni:0〜75wt% Cr:5〜70wt% Al:1〜29wt%
【0025】また、上記合金に添加するY、Hf、T
a、Si、B成分量は、次の範囲にあることが好まし
い。 Y :0〜5wt% Hf:0〜l0wt% Ta:1〜20wt% Si:0.1〜14wt% B :0.1〜1wt%
【0026】なお、上記成分の作用機構は概略次の通り
であり、本発明のアンダーコート34は、燃焼ガスによ
る酸化反応(主としてH2O、O2、CO2など)はもと
より還元成分(H2、C、CO)が存在したり、硫黄化
合物(SO2、H2S、COSなど)が含まれていてもそ
れぞれのガス成分の腐食作用に対しても高い抵抗力を発
揮するものである。 Co、Ni:金属単体は勿論、Alと金属間化合物を形
成してアンダーコートの機械的強度を向上させるととも
に、高い耐浸炭性能を発揮する。 Cr、Al:僅かな酸素、H2O存在下でもCr23
Al23のような保護性酸化膜を生成して耐酸化性を向
上させる。還元性雰囲気下においても環境の遮断性に優
れている。 Y、Hf、Ta、Si、B:Cr23、Al23などの
保護性酸化膜を機械的に補強して、その寿命延長に効果
がある。
【0027】アンダーコート34の施工に用いる溶射法
としては、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、爆発
溶射法が適しており、またプラズマ溶射の溶射環境とし
て大気中または非酸化性ガス中さらに減圧中のいずれも
成膜可能である。
【0028】トップコート36の施工 トップコ−ト材料としてY23、CaO、CeO2、M
gOのうち、少なくとも1種以上を5〜30wt%含む
ZrO2系セラミックスを用いて、プラズマ溶射法によ
って30〜1000μm厚に施工する。Y23、Ca
O、CeO2、MgOなどの添加成分量が5wt%より
少ない場合には、主成分のZrO2が1000〜110
0℃の高温帯を通過(加熱する場合も冷却時でも)する
際、大きな体積変化を伴う結晶の変態によって破壊され
易く、また30wt%以上添加しても破壊防止効果が少
ないうえ、耐熱性が劣化するからである。
【0029】トップコート36の目的は、遮熱作用によ
ってガス化炉バーナ20の過熱を防ぐことにある。すな
わち、ZrO2は高融点(2,700℃)かつ熱伝導率
が低いため、環境の熱を遮断してガス化炉バーナ20の
上昇を防止するのに好都合である。ただ、金属に比較す
ると脆いため、気孔率8〜20%の多孔質皮膜として、
加熱・冷却の繰返しによる熱衝撃に弱い欠点を補うよう
に工夫した。気孔率が8%より少ない場合は、耐熱衝撃
性が低く20%以上より多い場合には熱遮蔽効果が少な
くなるので好ましくない。
【0030】なお、アンダーコート34の気孔率は0.
3〜8.0%、トップコート36の気孔率は8〜20%
に設定するが、これは溶射条件を調整することにより任
意に設定でき、例えば溶射材料粉末の粒度、溶射ガンと
基材との距離を変更することによって調整できる。ま
た、プラズマ溶射の場合には、プラズマ作動ガスを変更
すること等でも調整可能である。
【0031】以上、詳述したようにアンダーコート34
はガス化炉バーナ20の高温腐食を防ぐとともにトップ
コート36との密着性を向上させることにあり、またト
ップコート36は主として熱遮蔽作用によってアンダー
コート34およびガス化炉バーナ20の過熱を防止する
ことにあり、両皮膜の存在によって熱疲労に起因するガ
ス化炉バーナ20の亀裂発生および高温の燃焼ガスによ
る腐食作用を防止するものである。
【0032】
【実施例】
(第1実施例)本実施例では、トップコートのZrO2
に添加するY23、CaO、CeO2、MgO酸化物の
耐熱衝撃性能を調査した。
【0033】(1)テストピースの製作 SUS304鋼(幅50mm×長さ100mm×厚さ5
mm)の板状試験片をAl23を用いてブラスト処理し
た後、プラズマ溶射法によって62.7wt%Co−2
9wt%Cr、6wt%Al−0.5wt%Y−1.8
%Si合金を150μm厚のアンダ−コ−トを施工し
た。その後、8−24wt%のY23、CaO、CeO
2、MgOを含むZrO2系セラミックスを300μmに
プラズマ溶射法によってトップコートを形成した。
【0034】なお、比較例としてアンダーコートは本発
明と同じ合金を用いて150μm厚に施工し、トップコ
ートのみ3〜5wt%のY23、CaO、CeO2、M
gOを含むZrO2系セラミックスを300μm厚に施
工した。
【0035】(2)熱衝撃試験方法 上記の試験片を1070℃に保持した電気炉中に15分
間加熱した後、室内に取り出し、圧縮空気を吹き付けて
200℃まで冷却した。この操作を10回繰返し、トッ
プコートの剥離状況を調査した。
【0036】(3)試験結果 試験結果を表1に要約した。この結果から明らかなよう
に比較例の試験片(No.5〜8)は、1回目からトッ
プコートが剥離(No.6)し、長いものでも3回目
(No.8)で局部剥離が発生した。これに対し、本発
明の試験片は10回の繰返しでも健全な状態を維持して
おり、良好な耐熱衝撃性を有することが明らかとなっ
た。
【0037】
【表1】 (備考)(1)アンダーコー卜欄およびトップコート欄の数字はwt%を示す (2)トップコートの気孔率は8〜15%の範囲にある。
【0038】(第2実施例)次に、溶射被膜38を図1
に示した実機バーナ20に対しアンダーコート34とト
ップコート36を施工した。その概要は下記の通りであ
る。
【0039】バーナ20の水冷ジャケット30の先端外
表面の基材に対し、プラズマ溶射法により36.2wt
%Co―32.8wt%Ni―21.5wt%Cr―
9.0wtAl―0.5wt%Y合金により、厚さ30
0μm、気孔率3.1%となるようにアンダーコート3
4を施工した。
【0040】次いで、上記アンダーコート34の表面
に、8wt%Y2O3−92wt%ZrO2合金をプラ
ズマ溶射法により、厚さ300μm、気孔率12.0%
となるようにトップコート36を施工した。
【0041】このようにして得られたバーナ20を用い
て石炭ガス化処理を行ったところ、トップコート36の
多孔質8YZの気孔部分でクラックが停止し、アンダー
コート34へのクラックの影響がなかった。これは、熱
応力による応力集中を各孔で吸収してクラックがトップ
コート自体に入りにくくするとともにアンダーコートへ
クラックが入ることを阻止し、空孔による熱伝導率が低
下して耐熱衝撃性が改善したためと思われる。
【0042】(第3実施例)本実施例では、トップコー
トの気孔率とアンダーコートとの密着性の関係について
調査した。
【0043】(1)テストピースの製作 SUS304鋼(幅50mm×長さ100mm×厚さ8
mm)の板状試験片をAl23を用いてブラスト処理し
た後、プラズマ溶射法によって、30.2wt%Ni−
39.5wt%Co−21.0wt%Cr−8.5wt
%Al−0.8wt%Y合金を170μm厚のアンダー
コートを施工した。その後、8wt%Y 2O3−92wt
%ZrO2および10wt%CeO2−90wt%ZrO
2セラミックスをプラズマ溶射法によって300μm厚
のトップコートを施工した。トップコートを形成するに
際し、溶射距離、溶射材料の粒径、溶射距離などを変化
させることによってトップコートの気孔率を8%〜40
%の範囲に調整した。
【0044】(2)熱衝撃試験方法 第1実施例の衝撃試験条件と同じ要領で実施した。
【0045】(3)試験結果 試験結果を表2に要約した。この結果から明らかなよう
に、気孔率の大きい比較例のトップコート8wt%Y2
3−92wt%ZrO2(No.3、4)および10w
t%CeO2−90wt%ZrO2(No.7、8)はい
ずれも剥離しないか、また剥離しても極めて局部的であ
るなど耐熱衝撃性は比較的良好であった。
【0046】しかし、気孔率が大きいため気孔部を通し
て内部へ侵入した高温の空気によってアンダーコートが
過度に酸化され、大きく盛り上がるほど変形しているの
が認められた。したがって、気孔率を8%〜20%の範
囲に調整した本発明のトップコート(No.1、2、
5、6)は、良好な密着性と同時にアンダーコートの酸
化を防止する作用を示し、優れた耐熱衝撃性を発揮する
ことがわかった。
【0047】
【表2】 なお、アンダーコート欄およびトップコート組成欄の数
字はwt%を示す。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、耐熱鋼
または耐熱合金製バーナ基材の表面にCo、Ni、C
r、Alのうちから、少なくとも2種を含む合金材料、
またはこれにY、Hf、Ta、Si、Bなどを少なくと
も1種を添加した合金材料を溶射法によってアンダーコ
ートを施工した後、その上にY23、CaO、Ce
2、MgOのなかから少なくとも1種を含むZrO2
セラミックスを溶射法によってトップコートを被覆させ
た構成とし、また、トップコートを8〜20%の気孔率
の多孔質トップコートとしたので、特に化石燃料スラリ
を部分酸化してガス化するためのガス化炉バーナに用い
た場合の耐熱性の改善が見られると共に、還元性雰囲気
中における耐腐食性の改善効果が高く、バーナ寿命を大
幅に延長させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス化炉バーナの構造説明を示す
断面図である。
【図2】化石燃料のガス化プロセスの説明図である。
【図3】従来のガス化炉バーナの側面図および要部拡大
断面図である。
【符号の説明】
20 ガス化炉バーナ 22 第1酸素流路 24 化石燃料スラリー流路 26 第2酸素流路 28 バーナチップ外套 30 水冷ジャケット 32 水管 34 アンダーコート 36 トップコート 38 溶射被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 良夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 水津 竜夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 辻野 敏男 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社宇部本社内 (72)発明者 片桐 光太郎 山口県宇部市西本町1丁目12番32号 宇部 興産株式会社宇部本社内 (72)発明者 糸永 裕 山口県宇部市大字藤曲2575番地 宇部アン モニア工業有限会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化石燃料スラリを部分酸化してガス化す
    るためのガス化炉バーナであって、耐熱鋼または耐熱合
    金製バーナ基材の表面にCo、Ni、Cr、Alのうち
    から、少なくとも2種を含む合金材料、またはこれに
    Y、Hf、Ta、Si、Bなどを少なくとも1種を添加
    した合金材料を溶射法によってアンダーコートを施工し
    た後、その上にY23、CaO、CeO2、MgOのな
    かから少なくとも1種を含むZrO2系セラミックスを
    溶射法によってトップコートを被覆させたことを特徴と
    する耐熱性および耐高温腐食性に優れるガス化炉バー
    ナ。
  2. 【請求項2】 耐熱鋼または耐熱合金製バーナ基材の表
    面にCo、Ni、Cr、Alのうちから少なくとも2種
    を含む合金材料、またはこれにY、Hf、Ta、Ce、
    Si、Bなどを少なくとも1種を添加した材料を用いて
    厚さ50〜1000μm、気孔率0.3〜8%の範囲に
    アンダーコートを溶射施工し、その上にY23、Ca
    O、CeO2、MgOのなかから少なくとも1種を含む
    ZrO2系セラミックスを溶射法によってトップコート
    を被覆させたことを特徴とする耐熱性および耐高温腐食
    性に優れるガス化炉バーナ。
  3. 【請求項3】 耐熱鋼または耐熱合金製バーナ基材の表
    面にCo、Ni、Cr、Alのうちから、少なくとも2
    種を含む合金材料、またはこれにY、Hf、Ta、C
    e、Si、Bなどを少なくとも1種を添加した材料を用
    いて溶射法によってアンダーコート施工した後、その上
    に被覆するY23、CaO、CeO2、MgOのなかか
    ら少なくとも1種を含むZrO2系セラミックスのトッ
    プコートが厚さ30〜1000μm、気孔率8〜20%
    の範囲にあることを特徴とする耐熱性および耐高温腐食
    性に優れるガス化炉バーナ。
  4. 【請求項4】 耐熱鋼または耐熱合金製バーナ基材の表
    面にCo、Ni、Cr、Alのうちから、少なくとも2
    種を含む合金材料、またはこれにY、Hf、Ta、S
    i、Bなどを少なくとも1種を添加した合金材料を溶射
    法によって厚さ50〜1000μm、気孔率0.3〜8
    %の範囲にアンダーコートを施工した後、その上にY2
    3、CaO、CeO2、MgOのなかから少なくとも1
    種を含むZrO2系セラミックスを溶射法によって厚さ
    30〜1000μm、気孔率8〜20%の範囲にトップ
    コートを被覆させたことを特徴とする耐熱性および耐高
    温腐食性に優れるガス化炉バーナ。
  5. 【請求項5】 化石燃料スラリを部分酸化してガス化す
    るためのガス化炉バーナであって、バーナ先端部に耐熱
    鋼または耐熱合金製バーナ基材により水冷ジャケットを
    形成し、この水冷ジャケットの先端表面にCo、Ni、
    Cr、Alのうちから、少なくとも2種を含む合金材
    料、またはこれにY、Hf、Ta、Si、Bなどを少な
    くとも1種を添加した合金材料を溶射法によってアンダ
    ーコートを施工した後、その上にY23、CaO、Ce
    2、MgOのなかから少なくとも1種を含むZrO2
    セラミックスを溶射法によってトップコートを被覆させ
    るとともに、前記アンダーコートが厚さ50〜1000
    μm、気孔率0.3〜8%の範囲に溶射施工され、前記
    トップコートが厚さ30〜1000μm、気孔率8〜2
    0%の範囲に溶射施工されたことを特徴とする耐熱性お
    よび耐高温腐食性に優れるガス化炉バーナ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004510938A (ja) * 2000-04-21 2004-04-08 イーストマン ケミカル カンパニー バーナーノズル面用ねじ込み遮熱材
JP2013001907A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 General Electric Co <Ge> ガス化装置用のフィードインジェクタ
WO2015129082A1 (ja) * 2014-02-27 2015-09-03 三菱日立パワーシステムズ株式会社 バーナ及びこれを備える湿式炉

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